特許第6361932号(P6361932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361932
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】昇降式容器ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   B60N3/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-97088(P2015-97088)
(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-210331(P2016-210331A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】政次 美徳
(72)【発明者】
【氏名】澤田 晋一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 邦仁
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0290125(US,A1)
【文献】 特開2008−221992(JP,A)
【文献】 特開2005−206138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容空間を区画する上下方向にのびる筒部(21)を有し、該筒部の上端が該収容空間と外部とを連通する開口部とされるケース部(2)と、
該収容空間に配置され、該収容空間に収容された収納状態と該開口部から上方に突出する使用状態との間で往復動可能な筒状の外筒部(3)と、
該収容空間でありかつ該外筒部の軸心の中空部に配置され、該収容空間の該開口部に最も近接して位置する該収納状態と該開口部から最も離反して下方に位置する該使用状態との間で往復動可能な内部材部(4)と、
該内部材部及び該外筒部を互いに異なる方向に変移させる昇降部(5)と、
を有する昇降式容器ホルダ(1)であって、
該昇降部(5)は、
一端部が該外筒部の下端に揺動可能な状態で接続された外筒リンク(51)を備えた外筒昇降部(50)と、
一端部が該内部材部に揺動可能に接続され他端部が該ケース部に接続された第1の内部材リンク(54)と、該第1の内部材リンクに互いに揺動可能な状態で支持された、一端部が該ケース部に揺動可能に接続され他端部が該内部材部に接続された第2の内部材リンク(55)と、を該内部材部のさらに下方に有する内部材昇降部(53)と、
該外筒リンクの揺動と、該内部材昇降部の該第1の内部材リンクと該第2の内部材リンクの少なくとも一方の揺動とを伝達するギア部(513,57)と、
有し、
該外筒リンクは、一対の棒状の回転部(510,510)と、一対の回転部を接続する接続部(515)と、を有し、
該内部材部は、その上部に容器が載置される底壁となる上面部(4a)を有することを特徴とする昇降式容器ホルダ。
【請求項2】
前記第1の内部材リンクの前記一端部と前記第2の内部材リンクの前記他端部との距離、及び該第2の内部材リンクの前記一端部と該第1の内部材リンクの前記他端部との距離が変化することが許容された状態で、該第1の内部材リンクの該他端部が前記ケース部に接続され、かつ該第2の内部材リンクの該他端部が前記内部材部に接続される請求項1記載の昇降式容器ホルダ。
【請求項3】
前記ギア部は、
前記外筒リンクに、該外筒リンクの揺動中心と一致する回転中心を備えた外筒ギア部(513)と、
前記第2の内部材リンクに、該第2の内部材リンクの揺動中心と一致する回転中心を備えるとともに、該外筒ギア部と歯合する内部材ギア部(57)と、
を有する請求項1〜2のいずれか1項に記載の昇降式容器ホルダ。
【請求項4】
前記昇降部は、前記外筒部と前記内部材部の一方を、前記収納状態又は前記使用状態となるように上方又は下方に向けて付勢する、あるいは該収納状態と該使用状態の二つの状態となるように上下方向に付勢方向が切り替えられる付勢手段(6)を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の昇降式容器ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を保持するための容器ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料の容器には丈の高いものから丈の低いものまで種々の形状のものがある。例えば、丈の高い容器としてはペットボトル型の容器や大径の紙コップ等を挙げることができ、丈の低い容器としては缶型の容器や小型の紙コップを挙げることができる。以下、必要に応じて、丈の高い容器を大型容器と呼び、丈の低い容器を小型容器と呼ぶ。
【0003】
一般的な容器ホルダは、収容空間を持つケース部を持つ。収容空間は、一般には、ケース部の側壁及び底壁で区画され、容器を収容可能である。収容空間に収容された容器の底面は、ケース部の底壁によって支持できる。容器の側面は、ケース部の側壁によって支持できる。
【0004】
ところで、小型容器を収容するための浅型の収容空間に大型容器を収容する場合には、大型容器の下側部分だけが収容空間に収容され、上側部分は容器ホルダの外部上方に大きく露出する。このため、この場合には大型容器を容器ホルダで安定して支持し難い問題があった。一方、大型容器を収容するための深型の収容空間に小型容器を収容する場合には、収容空間の下側部分(つまり奥側)に小型容器がはまり込み、容器を取り出し難くなる問題があった。
この問題に対して、近年では、容器の底面を支持する底壁の深さを変化させることで、収容空間の実質的な深さを可変する技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、容器収容空間の少なくとも一部を形成する固定周壁部及び可動底壁部と、この可動底壁部を水平姿勢に保持して可動底壁部の上下方向の位置を調節可能な位置調節機構とを備えた容器保持装置(容器ホルダ)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−196884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、引用文献1に記載の容器ホルダ(容器保持装置)では、深さ方向のスペースが要求されるという問題があった。つまり、大型容器に対応した収容空間を形成するためには、収容空間のケース部における開口部から底壁までの深さが深いことが求められ、ケース部の大型化が必要となる。しかし、近年の車両においては、車室内外の意匠性を高めるためことが求められており、車室内の容器ホルダに要求されるスペースを小さくすることが求められている。特に、容器ホルダの深さ方向の長さを短くすることが求められている。
【0008】
また、引用文献1の容器ホルダ(容器保持装置)では、底壁(可動底壁)を上下動するための昇降機構が、底壁(可動底壁)の側方にもうけられている。そして、昇降機構には底壁(可動底壁)をつなぐ底壁支持部が必要となっている。その上、固定周壁部には、底壁支持部の上下動のためのスリットが必要となっていた。固定周壁部のスリットは、容器ホルダの見栄えを低下するだけでなく、容器がスリットの引っかかるおそれもあった。
さらに、従来の容器ホルダ(容器保持装置)では、収容空間の開口部が露出した状態となり、意匠性が悪いという問題もあった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、深さ方向の体格が小さな容器ホルダを簡単な構成で提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明者らは、底壁が昇降可能な容器ホルダの構成に関して検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
本発明の昇降式容器ホルダは、
内部に収容空間を区画するとともに、収容空間の開口部を有するケース部と、
収容空間に配置され、開口部から収容空間の外部方向に往復動可能な筒状の外筒部と、
収容空間でありかつ外筒部の軸心の中空部に配置され、開口部から収容空間の内部方向に往復動可能な内部材部と、
内部材部及び外筒部を互いに異なる方向に変移させる昇降部と、
を有する昇降式容器ホルダであって、
昇降部は、
一端部が外筒部の内部方向の端部に揺動可能な状態で接続された外筒リンクを備えた外筒昇降部と、
一端部が内部材部に揺動可能に接続され他端部がケース部に接続された第1の内部材リンクと、第1の内部材リンクに互いに揺動可能な状態で支持された、一端部がケース部に揺動可能に接続され他端部が内部材部に接続された第2の内部材リンクと、を内部材部のさらに内部方向に有する内部材昇降部と、
外筒リンクの揺動と、内部材昇降部の第1の内部材リンクと第2の内部材リンクの少なくとも一方の揺動とを伝達するギア部と、
を有することを特徴とする昇降式容器ホルダ。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器ホルダは、内部材部と外筒部とが背向する方向に変移することで、容器が収容される収容空間の深さ(内部材部及び外筒部の変移方向の深さ)が変化する。この変化により、所定の深さの収容空間を形成できる。すなわち、開口部を有するケース部から突出する収容空間を形成できる。つまり、本発明の容器ホルダは、深さ方向の体格が小さな容器ホルダとなっている。
【0011】
そして、本発明の容器ホルダは、内部材昇降部が内部材部よりもさらに内部方向にもうけられている。この構成では、内部材昇降部の各内部材リンクが内部材部に隠れる。すなわち、外筒部を内部材リンクが貫通しないため、スリットが必要なくなっている。すなわち、スリットによる意匠性の低下が抑えられるだけでなく、容器の出し入れ時にスリットに引っかかることが抑えられる。
その上で、内部材部と外筒部の変移は、昇降部により、同時に行われる。つまり、簡単な構成で、内部材部と外筒部とを同時に変移することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のカップホルダの使用状態での斜視図である。
図2】実施形態のカップホルダの本体部の斜視図である。
図3】実施形態のカップホルダの本体部の下面部の構成を示す断面図である。
図4】実施形態のカップホルダの本体部の構成を模式的に示す図である。
図5】実施形態のカップホルダの外筒の斜視図である。
図6】実施形態のカップホルダの内部材の斜視図である。
図7】実施形態のカップホルダの内部材の構成を示す断面図である。
図8】実施形態のカップホルダの内部材の構成を模式的に示す図である。
図9】実施形態のカップホルダの外筒昇降部の構成を示す分解図である。
図10】実施形態のカップホルダの内部材昇降部の構成を示す分解図である。
図11】実施形態のカップホルダの使用状態での構成図である。
図12】実施形態のカップホルダの収納状態での構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の昇降式容器ホルダをカップホルダで具体化した実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
なお、以下の実施形態において、上方と下方のそれぞれの方向は、特に言及しない限りは各図での上方又は下方に向かう方向を示す。より詳しくは、上方は、開口部から収容空間の外部に向かう方向(軸方向)に当たる。下方は、開口部から収容空間の内部に向かう方向(軸方向)に当たる。
【0014】
[実施形態]
本形態のカップホルダ1は、車両のコンソールボックスに設置されるドリンクホルダである。カップホルダ1の構成を、図1〜10に示した。
図1に示したように、カップホルダ1は、本体部2,外筒3,内部材4,昇降部5,バネ6を有する。
【0015】
(本体部)
本体部2は、図2に斜視図で示したように、上面部20と、筒部21と、を有する。本体部2は、請求項のケース部に該当し、内部に収容空間を区画するとともに、収容空間と外部を連通する連通孔を区画する開口部を有する。
【0016】
上面部20は、カップホルダ1の上面を形成する板状の部材である。上面部20は、筒部21の一方の端部(図では上端)が接続され、筒部21の軸心の中空空間と連通する開口部を有する。
【0017】
筒部21は、カップホルダ1において収容空間を区画する筒状の部材である。収容空間は、外筒3及び内部材4を収容するとともに、カップ(ドリンク、容器)が収容される空間の一部を形成する空間である。筒部21は、一方の端部が上面部20に接続される。筒部21を形成する筒状の部材は、収容空間を形成できる形状であればよく、図に示した円筒の部材であっても、角筒の部材であっても良い。
【0018】
筒部21は、他方の端部(下端)から一方の端部側に伸びる切り欠き22が形成されている。切り欠き22は、外筒3が組み付けられたときに、外筒突起31が貫通する。切り欠き22が形成された筒部21の周縁部には、その外周面から突出して(径方向外方に向かって)伸びるフランジ部220を有する。
【0019】
本形態の筒部21は、図11〜12に示したように、他方の端部(下端)から所定の長さの範囲で、開口部よりも内径が縮径している。具体的には、内径が変化する階段状の段差部を有する。この段差部は、外筒3の下端と当たることで、外筒3が過剰に下方に変移することを防止する。
【0020】
筒部21は、他方の端部(下端)に、貫通孔211が2つ形成されている。二つの貫通孔211,211は、同軸となる位置に形成されている。二つの貫通孔211,211は、筒部21の軸心の中空部に内部材昇降部53を配したときに、第2の内部材リンク55の一端部を間に配することが可能な位置にもうけられている。
【0021】
筒部21は、他方の端部(下端)に、端面に沿ってのびる、帯状の下面部23を有する。下面部23は、他方の端部(下端)の軸心を通って横断するようにもうけられている。下面部23の幅が筒部21の内径よりも狭く形成されており、帯状の下面部23の側方は、閉塞されておらず、筒部21の内部と外部が連通している。
【0022】
下面部23は、図3に断面図で示したように、その伸びる方向に垂直な断面で、両端が上方に突出した凹字状を有している。具体的には、一対の立壁部230,230と、一対の立壁部230,230をつなぐ底壁231と、を有する。
【0023】
下面部23の凹字状の断面において、一対の立壁部230,230間の幅は、第1の内部材リンク54及び第2の内部材リンク55の幅よりも広く形成されている。すなわち、凹字状の内部に内部材昇降部53を配することができる。
【0024】
そして、下面部23は、図3〜4に示したように、一対の立壁部230,230のそれぞれには、貫通孔232,232がもうけられている。貫通孔232,232は、同軸で形成されているだけでなく、本体部2の貫通孔211とも同軸で形成されている。なお、図4は、下面部23の構成を側方から模式的に示した断面図である。
【0025】
また、一対の立壁部230,230のそれぞれには、貫通孔233がもうけられている。貫通孔233は、帯状の下面部23の伸びる方向に沿って伸びた溝状を有する。それぞれの貫通孔233、233も、同軸で形成されている。
【0026】
筒部21は、その外周面に、昇降部5の外筒リンク51を回転中心511で回転可能(揺動可能)な状態で支持するリンク支持突起24を有する。リンク支持突起24は、筒部21の外周面から突出した棒状(円柱状)の突起である。
また、筒部21は、その外周面に、バネ6の一端が係止されるバネ係止突起25を有する。バネ6は、他端が、外筒リンク51の一方の端部に係止される。
【0027】
(外筒)
外筒3は、請求項の外筒部に該当し、収容空間に配置され、開口部から収容空間の外部方向に往復動可能な筒状の部材である。
【0028】
外筒3は、図5に斜視図で示したように、本体部2の収容空間に収容される筒状を有する部材(筒状の部材)である。外筒3は、その内周面に、切れ欠き等の凹凸を有していない。外筒3は、筒部21の軸心の中空部の形状と略一致する外周形状を有する円筒状を有する。外筒3の軸方向の長さは、収容空間に収容可能な長さであればよく、その長さが長いほど好ましく、筒部21の長さと同じ長さであることがより好ましい。
【0029】
外筒3は、外周面に外筒突起31,32を有する。本形態では、外筒突起31と外筒突起32は、それぞれ2つもうけられている。外筒突起31と外筒突起32は、周方向に沿って交互にもうけられている。
【0030】
外筒突起31は、外筒3の外周面から突出した突起であり、筒部21の切り欠き22に挿入され、切り欠き22及びフランジ部220に沿って外筒3をガイドするため外筒突起本体部310と、外筒突起本体部310の径方向の外方に面する外周面から突出する円柱状の外筒突起先端部311と、を有する。
【0031】
外筒突起本体部310は、外筒3の下端の外周面にもうけられ、下方側に伸びる略角柱形状を有する。外筒突起本体部310の略角柱状は、切り欠き22(及びフランジ部220)に挿入可能な大きさで形成される。
外筒突起先端部311は、昇降部5の外筒リンク51と接続される。
【0032】
外筒突起32は、外筒3の外周面から突出した突起であり、筒部21の切り欠き22に挿入され、切り欠き22及びフランジ部220に沿って外筒3をガイドする。
【0033】
外筒突起32は、外筒突起本体部310と同様に、外筒3の下端の外周面にもうけられ、下方側に伸びる略角柱形状を有する。外筒突起32の略角柱状は、切り欠き22(及びフランジ部220)に挿入可能な大きさで形成される。
【0034】
(内部材)
内部材4は、請求項の内部材部に該当し、収容空間でありかつ外筒部3の軸心の中空部に配置され、開口部から収容空間の内部方向に往復動可能な部材である。内部材4は、図1に図示したように、本体部2の収容空間及び外筒3の中空の軸心部に収容される部材である。
内部材4は、図6に斜視図で示したように、外筒3の軸心の中空部の形状と略一致する外周形状を有する略円盤状の部材である。
【0035】
内部材4の上面4aは、カップホルダ1の上面の意匠面を形成する(蓋部材として機能する)とともに、カップホルダ1がカップ(ドリンク、容器)を保持するときにカップ(ドリンク、容器)の底面を保持(支持)する底壁として機能する。すなわち、内部材4は、その上部にカップ(ドリンク、容器)を載置できる。
【0036】
内部材4は、図7〜8に示したように、下面4bに、貫通孔41,41が開口した一対の立壁部40,40が形成されている。なお、図7図3と同様に、図8図4と同様に、内部材4の構成を示した図である。
【0037】
一対の立壁部40,40の間の幅は、第1の内部材リンク54及び第2の内部材リンク55の幅よりも広く形成されている。すなわち、一対の立壁部40,40の間の空間に内部材昇降部53を配することができる。
一対の立壁部40,40のそれぞれには、貫通孔41,41がもうけられている。貫通孔41は、同軸で形成されている。
【0038】
また、一対の立壁部40,40のそれぞれには、貫通孔42がもうけられている。貫通孔42は、立壁部40の伸びる方向に沿って伸びた溝状を有する。それぞれの貫通孔42、42も、同軸で形成されている。
内部材4は、一対の立壁部40,40の伸びる方向が、本体部2の下面部23と重なるように組み付けられる。
【0039】
(昇降部)
昇降部5は、請求項の昇降部に該当し、内部材4及び外筒3を互いに異なる方向に変移させる。
昇降部5は、図9に示したように外筒リンク51を備えた外筒昇降部50と、図10に示したように第1の内部材リンク54及び第2の内部材リンク55を備えた内部材昇降部53と、を備える。
【0040】
(外筒昇降部)
外筒昇降部50は、外筒リンク51を有する。外筒リンク51は、一対の回転部510,510と、一対の回転部510,510を接続する接続部515と、を有する。
【0041】
回転部510は、略棒状(略板状)を有し、その先端部と基端部の間に回転中心511をもつ。回転部510は、外筒3の外筒突起先端部311が挿入される孔512をもつ。孔512は、回転部510の長さ方向にのびる形状を有している。孔512がこの形状(溝状の形状)を有することで、外筒突起先端部311を上下方向(軸方向)に往復動可能となる。
また、回転部510は、孔512のさらに先端側に、バネ6が係止される孔514が開口している。
【0042】
回転部510は、先端部と基端部の間に、回転中心511と同軸に形成された外筒ギア部513を有する。外筒ギア部513は、回転部510の板状の側面(図では下方側の側面)にもうけられた、外周面にギア(歯車)が形成された略円弧状の部分である。外筒ギア部513のギアが形成された略円弧状の外周面は、回転中心511を中心とする円弧面をなしている。
【0043】
接続部515は、一対の回転部510,510を、それぞれの基端部で接続する。接続部515は、一対の回転部510,510を、それぞれの回転中心511,511が同軸に位置する状態で接続する。接続部515が一対の回転部510,510を接続することで、一対の回転部510,510が、回転中心511を中心に回転できる。
【0044】
外筒昇降部50は、180°の位置にあり互いに背向する方向に突出する外筒突起先端部311,311が、一対の回転部510,510のそれぞれの孔512,512に挿入可能な状態で組み付けられる。このとき、一対の回転部510,510は、本体部2(外筒3)の円環状の接線方向に伸びる状態で配され、接続する。
外筒昇降部50は、一対の回転部510,510の間に本体部2が位置する状態で組み付けられる。
【0045】
(内部材昇降部)
内部材昇降部53は、図10に分解図で示したように、第1の内部材リンク54及び第2の内部材リンク55を有する。
【0046】
第1の内部材リンク54は、一端部が内部材4の貫通孔41に揺動可能(回転可能)に同軸で接続され、他端部が本体部2の下面部23の貫通孔233に接続される。第1の内部材リンク54は、他端部側が開いた略U字状の板状を有する。第1の内部材リンク54の一端部には、板の幅方向に貫通する貫通孔540が形成される。また、第1の内部材リンク54の他端部には、板の幅方向に貫通する貫通孔541,541が形成される。
【0047】
第1の内部材リンク54は、一端部の貫通孔540と、内部材4の下面4bの貫通孔41,41とにシャフト560を貫通させて内部材4に組み付けられる。このとき、第1の内部材リンク54は、一対の立壁部40,40の間に配される。すなわち、貫通孔41、貫通孔540、貫通孔41の順序で、シャフト560が貫通する。また、第1の内部材リンク54は、シャフト560を中心に回転可能(揺動可能)に組み付けられる。
【0048】
第1の内部材リンク54は、他端部の貫通孔541と、本体部2に開口した貫通孔233とにシャフト561を貫通させることで、シャフト561を中心に揺動可能(回転可能)に接続される。このとき、貫通孔233、貫通孔541、貫通孔541、貫通孔233の順序で、シャフト561が貫通する。
シャフト561は、貫通孔233に沿って移動可能に接続される。
【0049】
第2の内部材リンク55は、一端部が本体部2の貫通孔232に揺動可能(回転可能)に同軸で接続され、他端部が内部材4の貫通孔42に接続される。第2の内部材リンク55は、第1の内部材リンク54の略U字状の開口に挿入可能な幅の略帯状(第1の内部材リンク54の開口より狭い略帯状)を有する。第2の内部材リンク55の一端部には、板の幅方向に貫通する貫通孔550が形成される。また、第2の内部材リンク55の他端部には、板の幅方向の側面から突出する突起部551が形成される。
【0050】
第2の内部材リンク55は、一端部の貫通孔550と、本体部2の貫通孔232とにシャフト562を貫通させることで、本体部2に揺動可能(回転可能)に接続される。シャフト562は、本体部2の貫通孔211、211も貫通して組み付けられる。すなわち、貫通孔211、貫通孔232、貫通孔550、貫通孔232、貫通孔211の順序で、シャフト562が貫通する。
第2の内材部リンク55は、他端部の突起部551が、内部材4の貫通孔42に挿入(貫通)することで、突起部551を中心に揺動可能(回転可能)に接続される。また、突起部551は、貫通孔42に沿って変移可能に接続される。
【0051】
第2の内部材リンク55を本体部2に接続するシャフト562は、第2の内部材リンク55の揺動に合わせて回転する。そして、このシャフト562は、外筒ギア部513と歯合するギア57を有する。外筒ギア部513とギア57が歯合することで、第2の内部材リンク55と外筒リンク51とが連動して動作する。このギア57は、請求項の内部材ギア部に相当する。
第1の内部材リンク54及び第2の内部材リンク55は、伸びる方向において、互いに異なる方向の略クランク状に湾曲して形成される。
【0052】
第1の内部材リンク54及び第2の内部材リンク55は、第1の内部材リンク54の間に第2の内部材リンク55が位置する状態で組み付けられる。そして、一端部と他端部の間(中央部)に、両リンク54,55をシャフト56が貫通している。このとき、第1の内部材リンク54及び第2の内部材リンク55は、シャフト56を中心に互いに揺動可能な状態で組み付けられる。
【0053】
(バネ)
バネ6は、請求項の付勢手段に当たる。
バネ6は、一端が筒部21のバネ係止突起25に、他端が外筒リンク51の一方の端部に、それぞれ係止されるターンオーバースプリングよりなる。バネ6は、外筒3を、収容空間の外部方向又は内部方向に付勢する。
バネ6のターンオーバースプリングは、外筒リンク51を介して、外筒3を収容空間の外部方向又は内部方向に付勢する。ターンオーバースプリングは、外部方向と内部方向とで付勢方向が切り替えられる。ターンオーバースプリングの付勢方向の切り替えは、外筒リンク51が動作するときに、一方の端部と他方の端部の距離が短くなっていき、最も短い位置を過ぎたときに生じる。
【0054】
(ダンパ)
本形態のカップホルダ1は、更にダンパ7を有する。ダンパ7は、外筒ギア部513とギア57に歯合する歯車をもち、外筒ギア部513とギア57の回転速度を制御(律速)する。
【0055】
(カップホルダの動作)
本形態のカップホルダ1は、外筒3が収容空間に収容され、内部材4の上面4a、及び外筒3の上方の端部(端面)が本体部2の上面部20と平面をなすように配されている。この状態は、カップ(ドリンク)が収容不可能な状態であり、収納状態とする。
【0056】
そして、内部材4の上面4aを押圧して押し下げることで、内部材4が収容空間に押し込まれるように変移するとともに、外筒3が押し上げられように変移する。外筒3が最も上端側に変移した状態であり、内部材4が最も下端側に変移した状態は、カップ(ドリンク)が収容可能な状態であり、使用状態とする。
【0057】
(収納状態)
本形態のカップホルダ1の収納状態での構成を、図11に概略構成図で示した。
収納状態では、外筒3が収容空間に収容された状態となっている。この状態は、外筒3が最も下方に位置している。外筒3の下方の端部に形成された外周突起31,32も、最も下方に位置する。外周突起31の外周突起先端部311は、外筒昇降部50の外筒リンク51の孔511に挿入されている。このため、外筒リンク51の回転部510の先端が下方に位置している(下がっている)。このとき、回転部510の先端は、回転中心511より下方に位置している。
図11に示したように、収納状態では、内部材4が収容空間に収容された状態となっている。この状態は、内部材4が最も上方に位置している。
【0058】
内部材4には、その下面4bに内部材昇降部53が接続される。このとき、内部材昇降部53を構成する第1の内部材リンク54及び第2の内部材リンク55は、X字をなすようにシャフト56で接続されている。
【0059】
第1の内部材リンク54は、一端部の貫通孔540と内部材4の下面4bの貫通孔41にシャフト560を貫通させることで、内部材4に同軸で揺動可能(回転可能)に接続される。他端部の貫通孔541と、本体部2に開口した貫通孔233とにシャフト561を貫通させて接続される。このとき、シャフト560,561は、両端が貫通孔41及び貫通孔233の開口から突出した状態となっている。第1の内部材リンク54の他端部は、貫通孔233の伸びる方向で変移が許容された状態で配されている。収納状態の第1の内部材リンク54は、最も立った状態(軸方向に対する傾斜角が最も小さい状態)となっている。
【0060】
第2の内部材リンク55は、一端部の貫通孔550と、本体部2の貫通孔232とにシャフト562を貫通させることで、本体部2に同軸で揺動可能(回転可能)に接続される。他端部の突起部551を、内部材4に開口した貫通孔42に挿通させることで接続される。このとき、シャフト562及び突起部551は、両端が貫通孔232及び貫通孔42の開口から突出した状態となっている。第2の内部材リンク55の他端部は、貫通孔42の伸びる方向(立壁部40の伸びる方向)で変移が許容された状態で配されている。収納状態の第2の内部材リンク55は、第1の内部材リンク54と同様に、最も立った状態(軸方向に対する傾斜角が最も小さい状態)となっている。
【0061】
このとき、第1の内部材リンク54の一端部と第2の内部材リンク55の他端部との距離は、最も短くなっている。同様に、第1の内部材リンク54の他端部と第2の内部材リンク55の一端部との距離は、最も短くなっている。これらの距離は、シャフト560と突起部551の距離、シャフト561と562の距離とすることもできる。
そして、第2の内部材リンク55を本体部2に接続するシャフト562のギア57は、外筒ギア部513と歯合する。
【0062】
この収納状態では、バネ6が外筒リンク51の回転部510の先端を下方に付勢する。すなわち、外筒リンク51を介して外筒3が下方に付勢される。また、このバネ6により、外筒リンク51の自由な回転が規制される。外筒ギア部513を介して内部材昇降部53(第2の内部材リンク55及び第1の内部材リンク54)により内部材4が上方に付勢される。
【0063】
(使用状態への動作)
収納状態のカップホルダ1は、内部材4の上面4aを押圧して押し下げることで、使用状態とすることができる。
内部材4の上面4aを押圧すると、内部材4が下方に変移する。ことのき、内部材4の上面4aを押圧する力は、バネ6が外筒リンク51の回転部510の先端を下方に付勢する力よりも大きい。
【0064】
この力で内部材4の上面4aを押圧すると、内部材4が下方に変移する。内部材4が下方に変移すると、第2の内部材リンク55が、軸方向に対する傾斜角が大きくなる方向(第2の内部材リンク55が寝る方向)に傾く。第2の内部材リンク55の一端部を揺動中心に回転するように傾斜する。このとき、第2の内部材リンク55の他端部は、第1の内部材リンク54の一端部から離反する方向に変移する。また、第2の内部材リンク55の他端部は、突起部551が内部材4の溝状の貫通孔42に沿って、変移する。
【0065】
同様に、内部材4が下方に変移すると、第1の内部材リンク54が、軸方向に対する傾斜角が大きくなる方向に傾く。第1の内部材リンク54の一端部を揺動中心に回転するように傾斜する。第1の内部材リンク54の他端部は、第2の内部材リンク55の一端部から離反する方向に変移する。また、第1の内部材リンク54の他端部は、シャフト561が本体部2の溝状の貫通孔233に沿って、変移する。
言い換えると、内部材4が下方に変移すると、内部材昇降部53の二つの内部材リンク54,55が形成するX字の形状は、高さが減少し、幅が広がる。
【0066】
すなわち、第1の内部材リンク54の一端部と第2の内部材リンク55の他端部との距離は、広がる。同様に、第1の内部材リンク54の他端部と第2の内部材リンク55の一端部との距離は、広がる。この距離の変化は、貫通孔233及び貫通孔42が溝状に形成されていることによる。
【0067】
そして、第2の内部材リンク55の揺動(回転)は、ギア57及び外筒ギア部513を介して外筒リンク51に伝達される。外筒リンク51は、外筒ギア部513を介して、先端部が上方に押し上げられる。そうすると、回転部510に開口した孔512も押し上げられ、孔512に挿入した外筒突起先端部311も押し上げられる。この結果、外筒3が押し上げられる。
【0068】
内部材4が下方に変移して、外筒リンク51が回転すると、バネ6が圧縮する。バネ6が圧縮されていくと、ターンオーバースプリングの付勢力の方向が反転する。そうすると、外筒リンク51の回転部510の先端部が上方に押し上げられる。回転部510に開口した孔512も押し上げられ、孔512に挿入した外筒突起先端部311も押し上げられる。この結果、外筒3が押し上げられ、最上方に押し上げられるとともに付勢される。
【0069】
バネ6の付勢力の方向が反転すると、外筒ギア部513及びギア57(シャフト563)を介して第2の内部材リンク55が回転する。第2の内部材リンク55の回転は、内部材昇降部53の二つの内部材リンク54,55を、X字の形状が、高さが減少し、幅が広がる方向に揺動(回転)する。そして、二つの内部材リンク54,55が、軸方向に対して垂直な方向に伸びる状態(使用状態)となる。
なお、バネ6の付勢力の方向が反転した後、外筒ギア部513とギア57の回転速度は、ダンパ7で制御(律速)される。
【0070】
(使用状態)
使用状態の本形態のカップホルダ1の構成を、図12に概略構成図で示した。
図12に示したように、使用状態では、外筒3が収容空間(本体部2の上面部20)から突出した状態となっている。この状態は、外筒3が最も上方に位置している。外筒3の下方の端部に形成された外周突起31,32も、上方の端部に位置する。外周突起31の外周突起先端部311は、外筒昇降部50の外筒リンク51の孔512に挿入されている。このため、外筒リンク51の回転部510の先端が上方に位置している(上がっている)。このとき、回転部510の先端は、回転中心511より上方に位置している。
使用状態では、内部材4が収容空間で内部方向に変移した状態となっている。この状態は、内部材4が最も下方に位置している。
【0071】
第1の内部材リンク54は、使用状態では、最も寝た状態(軸方向に対する傾斜角が最も大きい状態,図では90°)となっている。同様に、第2の内部材リンク55も、最も寝た状態(軸方向に対する傾斜角が最も大きい状態,図では90°)となっている。
【0072】
このとき、第1の内部材リンク54の一端部と第2の内部材リンク55の他端部との距離は、最も長くなっている。同様に、第1の内部材リンク54の他端部と第2の内部材リンク55の一端部との距離は、最も長くなっている。
【0073】
この使用状態では、バネ6が外筒リンク51の回転部510の先端を上方に付勢する。すなわち、外筒リンク51を介して外筒3が上方に付勢される。また、このバネ6により、外筒リンク51の自由な回転が規制される。外筒ギア部513を介して内部材昇降部53(第2の内部材リンク55及び第1の内部材リンク54)により内部材4が下方に付勢される。
【0074】
(収納状態への動作)
使用状態のカップホルダ1は、外筒3を押圧して押し下げることで、収納状態とすることができる。
外筒3を押圧して押し下げていくと、外筒リンク51が回転していき、内部材4が上方に変移する。そして、バネ6が圧縮され、ターンオーバースプリングの付勢力の方向が反転する。
その後、外筒3を押し下げるとともに、内部材4を上方に変移する方向の付勢力が働き、収納状態となる。
【0075】
(本形態の効果)
以上に説明したように、本形態のカップホルダ1は、昇降部5の両端に外筒3と内部材4とがそれぞれ接続されたことで、簡単な構成で、互いに異なる方向に連動して変移可能となっている。
【0076】
そして、外筒3と内部材4とを互いに異なる方向に変移させて外筒3を上面部20から突出させることで、形成されるカップ収容空間の軸方向の長さを長くすることができる。すなわち、本形態のカップホルダ1は、軸方向の長さが長いカップ(あるいは、ペットボトル)を安定に保持できる。
【0077】
さらに、本形態のカップホルダ1は、内部材4を変移する内部材昇降部53が内部材4の下方にもうけられている。このため、外筒3が切り込みを持たなくなっている。この結果、カップ(ドリンク)が収容される収容空間の意匠性の低下が抑えられる。
【0078】
また、外筒3の内周面に凹凸を形成されないことから、カップ(ドリンク)を挿入したときに、引っかかることが抑えられ、カップの内容物がこぼれることが抑えられている。
【符号の説明】
【0079】
1:カップホルダ
2:本体部 20:上面部
21:筒部 23:下面部
3:外筒 31,32:外筒突起
4:内部材
5:昇降部
50:外筒昇降部 51:外筒リンク
53:内部材昇降部 54:第1の内部材リンク
55:第2の内部材リンク
6:バネ
7:ダンパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12