特許第6361982号(P6361982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6361982-スクリュープレスの洗浄装置 図000002
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  • 特許6361982-スクリュープレスの洗浄装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361982
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】スクリュープレスの洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/14 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   B30B9/14 G
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-166378(P2015-166378)
(22)【出願日】2015年8月26日
(65)【公開番号】特開2017-42781(P2017-42781A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】本田 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】大西 邦佳
(72)【発明者】
【氏名】石崎 祐一
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】大浦 拓也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 厚
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−011198(JP,U)
【文献】 特開2013−233516(JP,A)
【文献】 特開2004−090049(JP,A)
【文献】 特開平08−033999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/14
B30B 9/02
B30B 3/00
B01D 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュー羽根(3)を巻き掛けたスクリュー軸(4)を回転自在に内設した外筒スクリーン(2)と、
外筒スクリーン(2)の外周に設けた環状洗浄管(6)と、
環状洗浄管(6)を外筒スクリーン(2)の軸方向に移動させる移動装置(8)と、
外筒スクリーン(2)から分離されたろ液を受けるろ液トラフ(5)
を備えるスクリュープレスの洗浄装置において、
ろ液トラフ(5)上方に張設した分離スクリーン(13)と、
環状洗浄管(6)から下方に連結して分離スクリーン(13)に当接する除去部材(14)
を有することを特徴とするスクリュープレスの洗浄装置。
【請求項2】
前記ろ液トラフ(5)は、
外筒スクリーン(2)両端下方のSS回収部(11)と、中央下方のろ液回収部(12)で構成され、
SS回収部(11)は除去部材(14)によって移送されたSSを回収し、
ろ液回収部(12)は分離スクリーン(13)でSSが取り除かれたろ液を回収する
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレスの洗浄装置。
【請求項3】
前記環状洗浄管(6)の下部に、分離スクリーン(13)に向って洗浄水を噴出する下部洗浄管(17)を備えた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリュープレスの洗浄装置。
【請求項4】
前記下部洗浄管(17)の両側方に除去部材(14)を備えた
ことを特徴とする請求項3に記載のスクリュープレスの洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、円筒状の金属製ろ材を用いて固液分離を行い、洗浄水を洗浄管から噴射してろ材の洗浄を行なうスクリュープレスの洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンを張設した円筒の外筒スクリーン内にスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を配設し、スクリュー軸を回転させながら外筒の始端部に供給した汚泥を搬送し、ろ液を外筒スクリーンから排出して外筒の終端部から脱水汚泥を取り出すスクリュープレスが用いられている。
そして、スクリュープレスのスクリーンが目詰まりした際には、スクリーンを洗浄するため、洗浄水をノズルから噴射する洗浄管を外筒スクリーンの外周に円環状に配設し、外筒スクリーンの軸方向に移動自在としてスクリーンの洗浄を行なうスクリュープレスが特許文献1のように知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−11198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的にスクリュープレスは金属製ろ材を用いているため目抜けしやすく、ろ液にSSが混入してしまう。従って、金属製ろ材を用いるとSS回収率が低くなり、回収率を向上させるためには、SSが含有したろ液からSSをろ過する装置を別途設ける必要があった。また、金属製ろ材では強固な凝集フロックが形成されないとSS回収率が低下するため、凝集剤の供給量をやや過剰に設定していた。
上記問題を鑑み、本発明は、スクリュープレスのろ液からSSを回収するため、SS回収機構を設けたスクリュープレスの洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
スクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を回転自在に内設した外筒スクリーンと、外筒スクリーンの外周に設けた環状洗浄管と、環状洗浄管を外筒スクリーンの軸方向に移動させる移動装置と、外筒スクリーンから分離されたろ液を受けるろ液トラフを備えるスクリュープレスの洗浄装置において、ろ液トラフ上方に張設した分離スクリーンと、環状洗浄管から下方に連結して分離スクリーンに当接する除去部材を有することで、外筒スクリーンから目抜けしたSSを分離スクリーンで捕捉することができる。また、分離スクリーン上のSSは除去部材によって掻き取られる。
【0006】
前記ろ液トラフは、外筒スクリーン両端下方のSS回収部と、中央下方のろ液回収部で構成され、SS回収部は除去部材によって移送されたSSを回収し、ろ液回収部は分離スクリーンでSSが取り除かれたろ液を回収することで、SSと清澄なろ液を分けて回収することができる。
【0007】
前記環状洗浄管の下部に、分離スクリーンに向って洗浄水を噴出する下部洗浄管を備えたことで、分離スクリーンの目詰まりを解消することができる。
【0008】
前記下部洗浄管の両側方に除去部材を備えたことで、分離スクリーンを洗浄する洗浄水が周囲へ飛散するのを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ろ液中のSSをスクリュープレス内で回収することができるため、別途ろ液をろ過する装置を設ける必要が無い。ろ液中のSSを取り除くための機構は洗浄装置と一体に可動するため、特別な駆動源を必要としない。
また、外筒スクリーンから目抜けしてもスクリュープレス内でSSを回収できるため、目抜け防止のために過剰気味に添加していた凝集剤の量を適正値に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るスクリュープレスの一部縦断側面図である。
図2】同じく、スクリュープレスの断面図である。
図3】同じく、除去部材の細部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明に係るスクリュープレスを図面に基づき詳述すると、図1はスクリュープレスの一部縦断側面図である。
スクリュープレス1は、円筒状の外筒スクリーン2とスクリュー羽根3を巻きかけたスクリュー軸4でろ過室を形成している。
外筒スクリーン2の一端の供給側から汚泥を供給し、他端の排出側から脱水された汚泥が排出される。
スクリュー軸4は汚泥の供給側からケーキの排出側に向かって拡大させて、外筒スクリーン2とスクリュー軸4の間のろ過室を排出側に向って縮小させている。
ろ過室では外筒スクリーン2に内接して回転するスクリュー羽根3により汚泥を搬送し、外筒スクリーン2で汚泥から液体を分離する。
外筒スクリーン2の下方にはろ液トラフ5を設け、外筒スクリーン2で分離したろ液を回収する。
【0012】
外筒スクリーン2の外周には円環状の環状洗浄管6を設けている。環状洗浄管6の内周には洗浄水を噴出するノズル7(図2参照)を設け、噴射した洗浄水で外筒スクリーン2の外面に固着したSSを剥離する。洗浄廃水はろ液トラフ5に流れ込む。
【0013】
環状洗浄管6の上方には環状洗浄管6の移動装置8を設け、移動装置8は、外筒スクリーン2の軸方向に並行した走行レール9と、走行レール9に沿って移動可能な移動架台10で構成する。
移動手段は、走行レール9両端に配置したスプロケットに掛け回したチェーンのほか、ラック・ピニオン、直動モータなど、公知の技術を適用できる。
環状洗浄管6は移動架台10と連結し、外筒スクリーン2の軸方向に移動自在で、供給側から排出側まで移動しながら外筒スクリーン2を洗浄する。
環状洗浄管6には図示しない可撓性の供給管を接続し、洗浄水を供給する。
【0014】
ろ液トラフ5は、外筒スクリーン2両端の下方に位置するSS回収部11と、中央のろ液回収部12で構成する。SS回収部11では、外筒スクリーン2で分離されたろ液に含まれるSSを回収し、ろ液回収部12では、SSが取り除かれた清澄なろ液を回収する。
ろ液回収部12の上方には分離スクリーン13を張設しており、分離スクリーン13上でろ液または洗浄廃水中のSSを捕捉し、SSの取り除かれた清澄なろ液は分離スクリーン13を通過し回収する。
ろ液回収部12で回収された清澄ろ液は系外へ取り出され、SS回収部11で回収されたSSは原液槽へ返送することで、SSの回収率が向上する。
SS回収部11上方の外筒スクリーン2を部分的に無孔とすることで、直接SS回収部11に流れ込むろ液の量を低減させることができる。
【0015】
環状洗浄管6の下方には分離スクリーン13が捕捉したSSを移送する除去部材14を設け、環状洗浄管6と除去部材14をブラケット15により連結することで、除去部材14は環状洗浄管6と共に外筒スクリーン2の供給側から排出側まで自在に移動する。除去部材14は分離スクリーン13が捕捉したSSをSS回収部11に移送し、同時に分離スクリーン13上のSSを除去し、目詰まりを解消する。
【0016】
尚、本発明のスクリュープレス1の洗浄工程は、タイマーにて定期的に行なう他、スクリュープレス1の処理能力の低下を検知して開始するなど、適宜行なうものとする。
【0017】
図2は本発明に係るスクリュープレスの断面図である。
図2図1におけるA−A断面図である。除去部材14は分離スクリーン13が捕捉したSSをSS回収部11まで移送するもので、本実施例ではブラシ14を用いる。ブラシ14は環状洗浄管6の下部に連結したブラケット15に固定され、分離スクリーン13上面と当接する位置に配設する。また、ブラシ14は外筒スクリーン2の径方向に延設する。外筒スクリーン2の洗浄の際に、ブラシ14は分離スクリーン13上を外筒スクリーン2に沿って移動し、分離スクリーン13が捕捉したSSを掻き取りSS回収部11まで移送する。除去部材14はブラシの他、スクレーパーなど分離スクリーン13上のSSを掻き取れる公知のものを利用できる。
【0018】
図3は除去部材の細部断面図である。
図3(a)は除去部材14としてブラシ14を用いたときの細部断面図で、ブラシ14は、環状洗浄管6の下部に連結したブラケット15に押え板16で固定し、ブラシ14先端が分離スクリーン13に当接する位置で固定している。
また、図3(b)のように、ブラシ14と共に、環状洗浄管6の下方に下部洗浄管17を設け、下部洗浄管17のノズル18から噴射する洗浄水で分離スクリーン13の目詰まりを解消してもよい。
図3(c)のように下部洗浄管17の両側方にブラシ14を取り付けた場合、ブラシ14が下部洗浄管17から噴射する洗浄水の飛散を防止することができる。
その他、下部洗浄管17は洗浄水を噴射する代わりに、エアーを噴射して分離スクリーン13の目詰まりを解消しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明に係るスクリュープレスは、外筒スクリーンの下方に設けた分離スクリーンと、環状洗浄管に備えた除去部材により、外筒スクリーンから目抜けしたSSを回収することができるので、SS回収率を向上させることができる。外筒スクリーンの洗浄機構を備えるスクリュープレスに用いることで、洗浄と同時にSSを回収することができる。
【符号の説明】
【0020】
2 外筒スクリーン
3 スクリュー羽根
4 スクリュー軸
5 ろ液トラフ
6 環状洗浄管
8 移動装置
11 SS回収部
12 ろ液回収部
13 分離スクリーン
14 除去部材
17 下部洗浄管
図1
図2
図3