(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、浴室の洗い場床に柔らかな踏み心地を付与するために、高硬度の床架台の上に、発泡倍率が6〜10倍の発泡ポリプロピレンなどにより成形された第一のクッション層と、発泡倍率が4.0〜4.5倍の発泡ポリウレタンにより成形された第二のクッション層と、を積層し、さらに、洗い場表面に耐久性を持たせるために第二のクッション層よりも高い高度の表面層を被せて構成した浴室の洗い場床を開示するものである。この第一のクッション層は、金型内で発泡成形させて床基材の形状を賦形するものである(特許文献2参照)。この方法によれば、安価な金型を用いながらも、従来のFRP(繊維強化プラスチック)製の洗い場床では得ることのできないほどの柔らかな踏み心地を付与する洗い場床を提供することができる。
しかし、この洗い場床は、発泡成形によって床基材の形状を出しているため、高い精度で製造することができず、プレス成形などよりも大きな公差となっている。
【0003】
一方、特許文献3に示されるように、側部フロアと中央フロアとに分割したフロアの上面に、凹凸模様が施された樹脂シート製の表面材を載置した洗い場床が提供されている。
【0004】
上述した特許文献1に示されたような柔らかな踏み心地を付与する洗い場床を製作するにあたり、特許文献3に示されたような分割式のフロア(特許文献3のフロアは、特許文献1の第一のクッション層に相当する)を適用しようとすると、発泡成形品である床基材を高精度で成形できず公差が大きいために、隣り合う床基材同士の間に段差が生じることがある。その場合、柔らかな踏み心地を付与するために、表面層と床基材の間に設けられた柔軟性の高いポリウレタン製のクッション層は、柔軟性があるがゆえに、クッション層の下面が床基材間に生じる段差になじむように密接しやすい。そのため、柔らかな踏み心地が得られる反面、床基材間に生じる段差が大きい場合には、踏んだときに段差を感じやすく踏み心地が悪化する。
【0005】
さらに、洗い場床の上面には、排水口に向けて下り傾斜する排水勾配が付与されている。そのため、床基材の上をクッション層と表面層で覆っても、床基材間に生じる段差が大きい場合には、床基材間に生じる段差が洗い場床の上面に表れて、排水勾配の途中に水が溜まるような凹部が形成されて、排水性能が著しく悪化し、洗い場床が乾燥するまでに長時間かかることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決し、樹脂を発泡成形した床基材を分割式にしつつ、洗い場床の排水性能を良好に保つことが可能な浴室の洗い場床を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、請求項1の浴室の洗い場床では、発泡樹脂製の複数の
面材構成部材からなる床基材と、前記床基材を支持する床支持面を有する支持体と、洗い
場の上面を構成する表面材と、前記床基材と前記表面材との間に配設されたクッション材
と、を備え、排水口に向けて下り傾斜する排水勾配が付与された浴室の洗い場床であって
、前記面材構成部材は、前記洗い場の上面の外周端部から離れるにつれて前記排水口に近
づくように形成されて前記外周端部と前記排水口とを結ぶライン上で複数に分割され
、前記排水勾配が、勾配の向きが異なる複数の排水勾配面によって形成され、前記ラインは、前記複数の排水勾配面のうち隣接する2つの排水勾配面が交わって形成される谷線下に配設されており、隣接する前記面材構成部材には段差が設けられていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、発泡成形された面材構成部材に生じる成形誤差により、隣り合う面材構
成部材間に段差が生じても、その段差は、洗い場の上面の外周端部から離れるにつれて排
水口に近づくように形成されて外周端部と排水口とを結ぶライン上に表れる。そのライン
は、排水口に向けて連続的に下り傾斜するため、面材構成部材間に生じた段差が洗い場の
表面に表れたとしても、洗い場上を流れる水は、ラインに沿って流れて排水口に流れ込む
。そのため、洗い場床の上面に水が溜まるような凹部は形成されない。
したがって、樹脂を発泡成形した床基材を分割式にしつつ、洗い場床の排水性能を良好
に保つことが可能な浴室の洗い場床を提供することが可能となる。
さらに、排水勾配の傾斜の途中に段差が生じることがなく、洗い場床の上面に水
が溜まるような凹部は形成されない。そのため、洗い場上の水は、2つの排水勾配面が交
わって形成される谷線に沿って排水口まで流れることになる。
したがって、洗い場上の水を速やかに排水口に流し込むことが可能となる。
【0012】
また、請求項
2では、浴室の壁を載せる溝部が形成された枠材を、前記床基材の外周に
沿って配置する。
【0013】
これによれば、浴室の壁を載せる溝部の近傍は、複雑な形状となるが、その部分を面材構成部材とは別体とする。そのため、金型の作製に掛かる費用をさらに削減することができる。
【0014】
また、請求項
3では、前記面材構成部材と前記排水勾配面とを、平面視で同一の形状に
する。
【0015】
これによれば、面材構成部材を、一方向に一律に傾斜した形状にすることができるので、発泡成形の金型の作製にかかる費用をさらに削減することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、樹脂を発泡成形した床基材を分割式にしつつ、洗い場床の排水性能を良好に保つことが可能な浴室の洗い場床を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第一の実施形態にかかる洗い場床を有する浴室を示す斜視図、
図2は洗い場床を示す分解斜視図である。
【0019】
図1に示すように、浴室ユニットは、洗い場床1と、それに隣接する浴槽6と、洗い場床1と浴槽6を取り囲むように設置される壁7と、を備えている。壁7は、洗い場床1の外周端部1cに形成されている溝部に嵌め込まれている。洗い場床1の浴槽側の端部には、排水口151が設けられている。また、洗い場床1の浴槽側には止水壁1bが設けられ、浴槽6の洗い場側にはバスエプロン9が設けられている。
【0020】
洗い場床1の下方には、排水口151と浴室外の排水管路とを連通させる排水管8が敷設されている。
【0021】
図2に示すように、洗い場床1は、支持体11と、床基材12と、クッション材13と、表面材14と、排水口151を形成する排水口部材15と、を備えている。
【0022】
支持体11は、脚112を有するフレーム111と、フレーム111の上面に固定される補強部材115と、を備えている。フレーム11は、鋼材製の梯子状に構成されている。補強部材115には、高強度で剛性のある素材が好適であり、その一例として、樹脂製板材を鋼板で挟みこんだサンドイッチパネル、あるいは、鋼板を折り曲げ形成したデッキプレートなどが用いられている。この補強部材115の上面が床基材12を支える床支持面115aとなる。
補強部材115は、排水口部材15を囲む孔(図示せず)を備えている。なお、補強部材115の略中央には、施工の際に脚112の高さ調節等の作業のための作業口115hが設けられている。作業終了後、この作業口115hには蓋116が被せられる。
【0023】
床基材12は、樹脂を発泡成形して得られるものであり、発泡倍率が6〜10倍の発泡ポリプロピレンによって形成され、床面部121と立壁部123とを備えている。また、床面部121の周端縁部には表面材14の端部が接着される表面材固定部121aが形成され、表面材固定部121aより内側に、クッション材13が埋設されるクッション材組込み凹部121bを形成している。このクッション材組込み凹部121bは、排水口部材15を囲む孔(図示せず)を備えている。また、クッション材組込み凹部121bの上面には、排水口部材15に向けて傾斜する排水勾配の基礎となる勾配が設けられている。
【0024】
クッション材13は、発泡倍率が4.0〜4.5倍の発泡ポリウレタン製であり、床基材12よりも高い弾力性と柔軟性を有する。このクッション材13は、床基材12に形成されたクッション材組込み凹部121b内に埋め込んで接着される。また、クッション材13は、排水口部材15を囲む切欠き13hを備えている。
【0025】
表面材14は、床基材12の床面部121を覆って洗い場1aの表面を形成する床表面部141を有する。また、表皮材14は、端部に、床基材12の立壁部122を覆って止水壁1bの表面を形成する立壁表面部142を有する。また、表面材14は、排水口部材15を囲む孔14hを備えている。この表面材14は、床基材12およびクッション材13の表面を覆って、床基材12の表面材固定部121aに接着されている。
この表面材14には、洗い場1a上に残った水を途中で途切れさせることなく排水口部材15にゆっくりと排出するための排水溝が設けられている(図示せず)。これにより、夜間に入浴した際に洗い場1aの上に残った水が、翌日朝には洗い場1aの上からほとんど無くなるように排水性能を向上させている。
【0026】
排水口部材15は、排水口151を形成する凹形状を有している。この排水口部材15は、表面材14の孔14h周りの下面に接続されている。
【0027】
次に、洗い場1aの上面に設けた排水勾配について説明する。
図3は洗い場床に付与された排水勾配を示す模式図である。
図3に示すように、洗い場1aの上面には、洗い場1a上の水を排水口部材15に流すために排水勾配が付与されている。この排水勾配は、前述したように、床基材12のクッション材組込み凹部121bに設けられた勾配を基礎としている。そして、この排水勾配は、排水口部材15に向けて下り勾配となる3枚の排水勾配面161,162,163に分かれている。この排水勾配面161〜163は、それぞれは平坦な面であり、洗い場1aの外周端部1cの各辺から排水口部材15に向けて一律に下り傾斜している。
【0028】
図3に示す複数の矢印S1は、洗い場1aに形成された排水勾配面161〜163のそれぞれの下り勾配の方向を表している。すなわち矢印S1の向く方向が、下りの方向を示している。このように、洗い場1aにおいて、排水勾配面161〜163は、洗い場1aの外周縁の各辺を始点として、各辺と直交する方向、すなわち、排水口部材15に向けて下り傾斜する傾斜平面になっている。
このような排水勾配によって、洗い場1a上の水は排水口部材15に排出される。
【0029】
この排水勾配面161〜163のうち、任意の排水勾配面と、その排水勾配面と隣接する排水勾配面、すなわち隣り合う排水勾配面は、それぞれ傾斜方向が異なる勾配を有するため、2つの排水勾配面の間の境界は、谷線となる。排水勾配面161と排水勾配面162との境界M1
12は、排水口部材15に向けて傾斜する谷線となる。また、排水勾配面162と排水勾配面163との境界M1
23は、排水口部材15に向けて傾斜する谷線となる。そして、一つの排水勾配面が境界を2つ有する場合は、この2つの境界は所定の距離はなれて排水口部材15に連なる。そのため、それぞれの排水勾配面161〜163は、平面視において、排水口部材15と点で接触するのではなく、面で当接することになる。例えば、排水勾配面162は、2つの境界M1
12,M1
23を有するが、これらの境界M1
12,M1
23は、間を離して排水口部材15に連接するので、排水勾配面162は境界M1
12と境界M1
23とをつなぐ端面162aで排水口部材15と連接する。また、一つの排水勾配面が境界を1つだけ有する場合は、排水勾配面の境界とその境界と反対側の排水勾配面の端面とに挟まれた端面が排水口部材15と面で接触する。例えば、排水勾配面161は、境界M1
12と端面161bとをつなぐ端面161aで排水口部材15に連接する。
【0030】
したがって、排水勾配面を流れてくる水は、必ず、排水勾配面の排水口部材15側の端面の上を通過して排水口部材15に流れ込む(排水勾配面161では端面161aの上を通過して、排水勾配面162では端面162aの上を通過して、排水口部材15に流れ込む)。
【0031】
次に、床基材12の構成について、さらに詳しく説明する。
図4は洗い場床の床基材を示す模式図であり、(a)は床基材を複数の面材構成部材と枠材とに分割した状態を示す平面図、(b)は複数の面材構成部材と枠材とを分離させた状態を示す平面図である。
図4に示すように、床基材12は、複数の面材構成部材121,122,123と枠材127a,127b,127c,127dを寄せ集めて、図示せぬ連結部材によって一体化させて構成されている。
【0032】
面材構成部材121〜123は、いずれも排水口部材15に向けて下方に傾く勾配を備えている。これらの面材構成部材121〜123は、樹脂を発泡成形させて得られるものである。そのため、高い精度で製造することができず、比較的大きな公差を有する。そのため、面材構成部材121〜123は、公差による高さの違いが生じることがある。面材構成部材間に高さの違いが生じると、隣り合う面材構成部材121と面材構成部材122との間、面材構成部材122と面材構成部材123との間には、段差が生じてしまう。
【0033】
しかし、本実施形態の床基材12では、複数の面材構成部材121〜123で床基材12を構成するにあたり、洗い場1aの上面の外周端部1cから離れるにつれて排水口部材15に近づくように形成されて、且つ、外周端部1cと排水口部材15とを結ぶラインL1
12,L1
23によって複数の面材構成部材121〜123に分割している。そのため、面材構成部材121〜123の間に段差が生じても、その段差は洗い場1aの外周端部1cから排水口部材15に至るまで、ラインL1
12,L1
23に沿って設けられることになる。このラインL1
12,L1
23は、排水口部材15に向けて下り傾斜しているから、面材構成部材間の段差も、外周端部1cから排水口部材15に向けて連続して下り傾斜するように設けられることになる。これにより、この洗い場1aでは、面材構成部材121〜123間に段差が生じても、この段差によって洗い場1aの排水勾配を遮ることがなく、その段差によって洗い場上に水が溜まるような凹部が形成されることはない。よって、洗い場1aの排水性能を良好に保つことが可能となる。
【0034】
図5は、
図4における面材構成部材間の排水勾配を示す模式的斜視図である。ただし、面材構成部材121は、面材構成部材122よりも大きめに形成されたものであり、面材構成部材121と面材構成部材122の間には、段差が生じる。
本実施形態の洗い場床1によれば、この段差が洗い場1aの表面に表れたとしても、段差が連なる方向は、ラインL1
12に沿って設けられることになる。前述したとおり、ラインL1
12は排水口部材15に向けて下り傾斜しているから、面材構成部材121と面材構成部材122との間の段差も、外周端部1cから排水口部材15に向けて連続して下り傾斜する。これにより、この洗い場1aでは、面材構成部材121〜123間に段差が生じても、この段差によって洗い場1aの排水勾配を遮ることがなく、その段差によって洗い場1aの上に水が溜まるような凹部が形成されることはない。
【0035】
次に、本実施形態の作用効果の理解を助けるために、比較例について説明する。
図6は、比較例としての床基材を示す模式図であり、(a)は床基材の平面図、(b)は(a)のY−Y断面図である。
この比較例の洗い場2aでは、複数の面材構成部材221〜223を分けるラインL2
12,L2
23は、洗い場2aの相対する外周端部2c同士を結ぶように設けられていて、外周端部2cと排水口部材15とを結んでいない。さらに、ラインL2
12,L2
23は、排水勾配面のM2
12,M2
23を横切るものとなる。そして、排水口部材15の近くに配設される面材構成部材222よりも、面材構成部材222よりも排水口部材15から離れた位置に配設される面材構成部材221の方が大きめに形成されていると、面材構成部材221と面材構成部材222の間に生じた段差は、ラインL2
12の面材構成部材221側が低くなる段差となる。すると、このラインL2
12の面材構成部材221側には、排水勾配の途中を分断するような凹部1eが生じ、凹部1eに溜まった水は排水口部材15に排出されなくなってしまう。すなわち、この比較例の洗い場2aでは、洗い場2aの排水性能を良好に保つことができない。
【0036】
これに対し、本実施形態の洗い場1aでは、排水勾配付きの発泡樹脂製の床基材12は、洗い場1aの上面の外周端部1cから離れるにつれて排水口部材15に近づくように形成されて外周端部1cと排水口部材15とを結ぶラインL1
12,L1
23の上で、複数の面材構成部材121〜123に分かれている。これにより、発泡成形された面材構成部材121〜123に生じる成形誤差により、隣り合う面材構成部材間に段差が生じても、その段差は、ラインL1
12,L1
23上に表れる。そのラインL1
12,L1
23は、排水口部材15に向けて連続的に下り傾斜するため、面材構成部材間に段差が生じても、洗い場上を流れる水は、このラインL1
12,L1
23に沿って排水口部材15に流れ込む。そのため、洗い場1aの上面に水が溜まるような凹部は形成されない。よって、樹脂を発泡成形した床基材12を分割式にしつつ、洗い場1aの排水性能を良好に保つことができる洗い場床1を提供することができる。
【0037】
図7は、洗い場床の外周端部を示す断面図である。
本実施形態の床基材12では、壁7を載せる溝部1dが形成された枠材127a〜127dを、面材構成部材121〜123の外周に沿って配置する。これによれば、複雑な形状となる溝部1dの近傍を面材構成部材121〜123とは別体とすることができ、金型の作製に掛かる費用をさらに削減することができる。
【0038】
次に、床基材の変形例について説明する。なお、この変形例を含め、以降に説明する実施の形態では、前述した実施形態と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省いている。
図8は、変形例にかかる洗い場床の床基材を示す図であり、(a)は洗い場を示す斜視図、(b)は床基材を複数の面材構成部材と枠材とに分割した状態を示す平面図、(c)は複数の面材構成部材と枠材とを分離させた状態を示す平面図である。
【0039】
この洗い場3aは、3つの面材構成部材321〜323を並べた床基材12によって、勾配の向きが異なる3つの排水勾配面161〜163を形成している。面材構成部材321と面材構成部材322との間のラインL3
12は、洗い場3aの排水勾配面間の境界M3
12下に配設され、面材構成部材322と面材構成部材323との間のラインL3
12は、洗い場3aの排水勾配面間の境界M3
23下に配設される。すなわち、ラインL3
12,L3
23は、複数の排水勾配面161〜163のうち隣接する2つの排水勾配面が交わって形成される谷線M3
12,M3
23下に配設されることになる。
よって、面材構成部材321〜323と排水勾配面161〜163とは、平面視で同一の形状となる。また、面材構成部材321〜323は、壁7を載せる溝部1dが形成された枠材127a〜127dを別体としている。
【0040】
これによれば、面材構成部材321〜323を、一方向に一律に傾斜した単純な形状にすることができるので、発泡成形の金型の作製にかかる費用をさらに削減することが可能である。
【0041】
この変形例によれば、排水勾配の傾斜の途中に段差が生じることがなく、洗い場3aの上面に水が溜まるような凹部は形成されない。そのため、洗い場上の水は、2つの排水勾配面が交わって形成される谷線に沿って排水口部材15まで流れることになる。したがって、洗い場上の水を速やかに排水口部材15に流し込むことが可能となる。
【0042】
次に、本発明の第二の実施形態にかかる洗い場床について説明する。
図9は、第二の実施形態にかかる洗い場床に付与された排水勾配を示す図であり、(a)は洗い場を示す斜視図、(b)は床基材を複数の面材構成部材と枠材とに分割した状態を示す平面図、(c)は複数の面材構成部材と枠材とを分離させた状態を示す平面図である。
第一の実施形態では、排水勾配面161〜163は、排水口部材15に向けての下り勾配がそれぞれの領域内において一律に傾斜する傾斜平面となっているが、この第二の実施形態の洗い場4aでは、排水口部材15に向けて下り傾斜するすり鉢状の勾配を有する曲面状の排水勾配面46とした排水勾配を有する。そのため、この洗い場4aにおいては、勾配の方向が異なる複数の排水勾配面によって形成される境界は存在しない。
【0043】
洗い場床4の床基材42は、排水勾配面46と同様に排水口部材15に向けて下り傾斜するすり鉢状の勾配を有する。また、床基材42は、樹脂を発泡成形させて得られた面材構成部材421と面材構成部材422とに分かれている。
【0044】
この床基材42では、面材構成部材421,422で床基材42を構成するにあたり、洗い場4aの上面の外周端部4cから離れるにつれて排水口部材15に近づくように形成されて、且つ、外周端部4cと排水口部材15とを結ぶラインL4
12によって複数の面材構成部材421,422に分割している。そのため、面材構成部材421,422の間に段差が生じても、その段差は洗い場4aの外周端部4cから排水口部材15に至るまで、ラインL4
12に沿って設けられることになる。このラインL4
12は、排水口部材15に向けて下り傾斜しているから、面材構成部材間の段差も、外周端部4cから排水口部材15に向けて連続して下り傾斜するように設けられることになる。これにより、この洗い場4aでは、面材構成部材421,422間に段差が生じても、この段差によって洗い場4aの排水勾配を遮ることがなく、その段差によって洗い場上に水が溜まるような凹部が形成されることはない。
したがって、この第二の実施の形態においても、床基材42を複数に分割しつつ、洗い場4aの排水性能を良好に保つことが可能となる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、複数の排水勾配面を区切る境界を直線にするのに代えて、曲線としてもよい。また、排水口部材の位置を浴槽の長手方向の中心付近に設置するのに代えて、洗い場の隅に設置してもよい。もちろん、床基材を構成する面材構成部材の分割位置についても前述の実施の形態に限定されるものではない。