【実施例1】
【0014】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。
図1乃至
図4に示すように本発明に係る樹脂成形品取出し機1は、樹脂成形機3の固定側プラテン5の上面に固定され、該樹脂成形機3の操作側又は反操作側に設定された樹脂成形品の集積箇所に樹脂成形品を取り出す。
【0015】
なお、固定側プラテン5の上面に対する樹脂成形品取出し機1の取付け構造としては、取付け位置の高さ調整する架台(図示せず)を介して取り付けられるが、本例においては、説明の便宜上、固定側プラテン5の上面に対して架台を設けずに樹脂成形品取出し機1を直接取り付けるものとする。
【0016】
樹脂成形機3は、公知の構造で、固定側プラテン5及び該固定側プラテン5に対して所定の間隔をおいて設けられた可動側プラテン7に横架されたタイバー9に可動盤11がタイバー9の軸線方向へ摺動するように支持される。該可動盤11には、油圧シリンダ、電動モータに連結された送りねじ等の型締め手段13に連結され、該型締め手段13の作動により可動盤11が固定側プラテン5側へ移動した際に、該可動盤11に設けられた可動金型16を固定側プラテン5に設けられた固定金型15に型締めさせる。そして固定側プラテン5側に設けられた射出手段17は、型締めされた可動金型16及び固定金型15のキャビィティ内に溶融した合成樹脂を射出して樹脂成形品を成形する。
【0017】
上記樹脂成形品取出し機1の第1フレーム19は、樹脂成形機3の中心軸線と直交する方向(以下、左右方向とも称する。)へ延出し、該第1フレーム19には、第1走行体21がその長手方向へ移動可能に支持される。第1走行体21には、上記左右方向と直交する方向(以下、前後方向とも称する。)へ延出する第2フレーム23が設けられ、該第2フレーム23には、第2走行体25がその長手方向へ移動可能に支持される。
【0018】
第2フレーム23には、上記左右方向及び前後方向と直交する上下方向に延出する上下フレーム27が昇降可能に支持され、該上下フレーム27の下部には、可動金型16内に保持された樹脂成形品を保持して樹脂成形品集積箇所に取り出するチャック29が、必要に応じて該チャック29を反転して姿勢制御する姿勢制御部材(図示せず)を介して設けられる。
【0019】
該チャック29は、例えばチャック板29aに負圧発生回路(図示せず)に接続された複数の吸着パッドや複数対のエアーシリンダ等の保持部材29bが樹脂成形品の各製品に対応して設けられ、これら保持部材29bにより樹脂成形品を保持して樹脂成形機3から取り出す。
【0020】
なお、上記第1及び第2走行体21・25と上下フレーム27は、例えば数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ26、28、30に連結され、一部が第1及び第2走行体21・25と上下フレーム27にそれぞれ設けられたナット(図示せず)に噛合わされる送りねじから構成される送りねじ往復移動手段、一方が電動モータに連結された一対の回転体に掛渡され、一部が第1及び第2走行体21・25と上下フレーム27にそれぞれ固定されるベルトから構成されるベルト往復移動手段等によりそれぞれの方向へ往復移動される。
【0021】
上記樹脂成形品取出し機1における開放位置側の樹脂成形品集積箇所には、樹脂成形品集積装置31が配置される。該樹脂成形品集積装置31の本体フレーム37は、上端が第1フレーム19の開放側端部より下方に位置する高さで、その下部には、樹脂成形機3の中心軸線と平行する軸線を有したガイド部材39が設けられ、該ガイド部材39には、第1可動体41が軸線と一致する方向へ移動可能に支持される。
【0022】
該第1可動体41には、上下フレーム43の基端部が固定され、該上下フレーム43には、上下方向に軸線を有したガイド部材45が設けられる。該ガイド部材45には、第2可動体47が昇降可能に支持される。
【0023】
これら第1及び第2可動体41、47は、上記した第1及び第2走行体21・25と上下フレーム27の移動手段と同様の移動手段がそれぞれ設けられ、その数値制御可能なサーボモータ等の電動モータに符号42、48を付して示す。そして第1及び第2可動体41、47は、電動モータ42、48の駆動に伴って対応する方向へ往復移動される。
【0024】
上記第2可動体47には、例えば後述するパレット49より一回り大きく、周囲を囲む大きさで四角枠状の支持フレーム51が設けられ、該支持フレーム51における対向辺には、ガイドロッド53が摺動可能にそれぞれ軸支される。支持フレーム51の内側に位置する各ガイドロッド53の端部には、パレット49の側縁に係止可能な係止部材55が設けられ、
【0025】
各係止部材55には、支持フレーム51の対向辺に設けられたエアーシリンダ、電磁ソレノイド等の作動部材57が連結される。各係止部材55は、各作動部材57の作動に伴って互いに近づく方向へ移動してパレット49の側縁に係止すると共に遠ざかる方向へ移動してパレット49側縁に対する係止を解除する。
【0026】
樹脂成形品集積装置31の搬入側(図示の例では、射出手段17側)には、例えばベルトコンベヤー、ローラコンベヤ、キャタピラーコンベヤー等で、前後方向の搬送路を有した搬入手段59が設けられる。該搬入手段59は、樹脂成形機3から取り出された樹脂成形品を収容して集積する空のパレット49を樹脂成形品集積装置31へ順次搬入させる。
【0027】
また、樹脂成形品集積装置31の搬出側(図示の例では、型締め手段13側)には、例えばベルトコンベヤー、ローラコンベヤ、キャタピラーコンベヤー等で、前後方向の搬送路を有した搬出手段61が設けられる。該搬出手段61は、取り出された樹脂成形品が各収容区画内に集積されたパレット49を樹脂成形品集積装置31から順次搬出させる。
【0028】
なお、上記パレット49は、縦及び横幅と高さが所定の長さ(高さ)で、内部に複数の収容区画49aが形成される。各収容区画49aの縦及び横幅は、収容する樹脂成形品の大きさにより決定され、パレット49内における収容企画49aの行数(左右方向)及び列数(前後方向)は、パレット49の縦及び横幅に対応して設定される。
【0029】
上記樹脂成形品取出し機1のチャック47に保持された樹脂成形品を樹脂成形品集積装置31におけるパレット49の各収容区画49a内へ集積するための集積データは、後述するように樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置31、パレット49等を製作する際に作成されるCADデータ(寸法データ)に基づいて設定される。
【0030】
図5に示すように、樹脂成形品取出し機1における制御手段62のCPU63は、プログラムデータ記憶手段65、作業データ記憶手段67を備え、プログラム記憶手段65には、樹脂成形品取出し機1による樹脂成形品53の取出し動作及び樹脂成形品の集積動作を実行するプログラムデータ、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置31、パレット49等のCADデータを組み合わせて樹脂成品集積システムのシステムCADデータを作成するシステム化プログラムデータ等の各種プログラムデータが記憶されている。
【0031】
上記作業データ記憶手段67には、成形機CADデータ記憶領域69、取出し機CADデータ記憶領域71、集積装置CADデータ記憶領域73、パレットCADデータ記憶領域75、樹脂成形機3、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置31及びパレット49に対応する領域が配列された寸法データ記憶領域77、樹脂成形品取出し機1におけるチャック29の各移動位置及び樹脂成品集積装置31における集積位置を算出するための演算式を記憶する演算式データ記憶領域79、チャック47の移動データ記憶領域81、樹脂成形品集積装置31の設置位置データ記憶領域83、パレット49の集積位置(収容区画)に対するチャック29の移動位置を記憶する集積データ記憶領域85及びバッファ領域86等を備えている。
【0032】
成形機CADデータ記憶領域69には、樹脂成形機3を製作する際に作製されるCADデータが記憶され、このCADデータは、樹脂成形品取出し機1におけるチャック29の各移動位置や樹脂成形品集積装置31に対する樹脂成形品の集積位置への移動データを設定するのに必要な樹脂成形機1における固定側プラテン5の側面から中心軸線に至る幅MM1、固定側プラテン5の側面から第1フレーム19の取付け面中心に至る幅MM2、型開幅MM3、可動金型の厚さMM4、突出しピンの突出し幅MM5、床面から固定側プラテン5の上面に至る高さMM6、中心軸線高さMM7、固定金型の厚さMM8等の寸法データを含む。(
図6及び
図7参照)
【0033】
取出し機CADデータ記憶領域71には、樹脂成形品取出し機1を製作する際に作製されるCADデータが記憶され、このCADデータは、樹脂成形品取出し機1におけるチャック29の各移動位置や樹脂成形品集積装置31に対する樹脂成形品の集積位置への移動データを設定するのに必要な第1フレーム19における開放位置と反対側端から固定側プラテン5の上面に固定される第1フレーム19の取り付け面中心までの幅RM1、固定側プラテン5の上面から第1フレーム19の下面に至る幅RM2、上下フレーム27の下端からチャック29の中心に至る幅RM3、第1フレーム19の左右方向長さRM4等の寸法データを含む。(
図8及び
図9参照)
【0034】
集積装置CADデータ記憶領域73には、樹脂成形品集積装置31を製作する際に作製されるCADデータが記憶され、このCADデータは、チャック29を開放位置から集積開始位置への移動データを設定するのに必要な第2可動体47の支持フレーム51取付け面から支持フレーム51の中心に至る左右方向幅PC1、支持フレーム51の前後方向幅PC2、第2可動体47の上昇高さPC3等の寸法データを含む。(
図10及び
図11参照)
【0035】
パレットCADデータ記憶領域75には、パレット49を製作する際に作成されるCADデータが記憶され、このCADデータは、チャック29を集積開始位置から各集積位置への移動データを設定するのに必要なパレット49の縦幅PT1、パレット49の収容区画49aの縦幅PT2、パレット49の横幅PT3、収容区画49aの横幅PT4等の寸法データを含む。(
図12参照)
【0036】
なお、CADデータから抽出する寸法に関し、樹脂成形機3に付いては上記したMM1−8、樹脂成形品取出し機1に付いては、上記したRM1−4、樹脂成形品集積装置31に付いては、上記したPC1−3、パレット49に付いては、上記したPT1−4として説明したが、抽出する寸法箇所に付いては、上記に限定されるものではなく、必要に応じて、または演算式に対応する箇所を指定して寸法を抽出すればよい。
【0037】
寸法データ記憶領域77には、樹脂成形品集積装置31及びパレット49に対応する領域に、後述する演算式データ記憶領域79に記憶された各演算式に代入される上記した各種の寸法データが記憶される。
【0038】
これら寸法データは、後述する表示部材95に樹脂成形品取出し集積システムを構成する樹脂成形機3、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置31及びパレット49のCADデータ画像をそれぞれ表示し、CADデータからチャック29の各移動データや集積位置を設定するのに必要な個所の開始点及び終点を指示して寸法、高さ、幅等を抽出したデータである。
【0039】
演算式データ記憶領域79には、成形機CADデータ記憶領域69、取出し機CADデータ記憶領域71、集積装置CADデータ記憶領域73、パレットCADデータ記憶領域75に記憶されたそれぞれのCADデータに含まれる寸法データから樹脂成形品を樹脂成形機3から取り出す際のチャック29の各移動位置及びパレット49の各収容区画49a内に樹脂成形品を集積する際のチャック29の各移動位置を算出するための演算式が記憶される。
【0040】
移動データ記憶領域81には、樹脂成形機3から樹脂成形品を取り出す際にチャック29を待機位置、下降位置、前進位置、後退位置(下降位置)、上昇位置(待機位置)及び開放位置等のそれぞれへ移動するための移動データが記憶される。この移動データは、寸法データ記憶領域77から読み出された寸法データを演算式データ記憶領域79から読み出された演算式に算入して演算された三次元方向の位置データである。
【0041】
設置位置データ記憶領域83には、樹脂成形品取出し機1に対する樹脂成形品集積装置31の設置位置に関する位置データ、詳しくは樹脂成形機3の中心軸線から操作側又は反操作側における樹脂成形品集積装置31の中心に至る左右方向距離、固定プラテン5における可動金型16に対する相対面から樹脂成形品集積装置31の中心に至る前後方向距離及び樹脂成形品集積装置31の設置床面の高さに関するデータが記憶される。該設置位置データに付いては、他の位置データと異なり、作業者が上記左右方向及び前後方向に対する距離と上下高さを直接、数値入力したり、チャック29を樹脂成形品集積装置31の集積開始位置へ移動して教示入力したりして設定される。
【0042】
集積データ記憶領域85には、樹脂成形機3から取り出された樹脂成形品を樹脂成形品集積装置31の支持フレーム51に保持されたパレット49の各収容区画49a内に収容する際に集積開始位置または開放位置を起点とする前後方向、左右方向、上下方向に対するチャック29の集積データが記憶される。この集積データはチャック29の開放位置及び寸法データ記憶領域77から読み出された樹脂成形品集積装置31の寸法データから演算される。
【0043】
待機位置としては、チャック29の移動原点から樹脂成形機3の中心軸線に至る左右方向位置、型開した可動金型16の固定金型15寄りの上方に至る前後方向位置及び可動金型16側の上方で、上方に位置するタイバー9や安全扉に対して非干渉になる高さの三次元位置として設定される。
【0044】
今、第1フレーム19における開放位置と反対側端部をチャック29の移動原点とすると、待機位置への移動データを設定するのに必要な寸法データとしては、その左右方向に付いては、第1フレーム19の上記開放位置と反対側端部から固定プラテン5における第1フレーム19の取付け中心に至る左右方向幅RM1、固定プラテン5側面から中心軸線に至る幅MM1及び固定プラテン5側面から第1フレーム19の取付け面中心に至る幅MM2等、また前後方向位置に付いては、中心軸線における金型の型開幅MM3、可動金型16の厚さMM4及び該可動金型16のパーティング面から突出する突出しピンの突出し幅MM5等、更に上下方向位置に付いては、樹脂成形機3の床面から固定プラテン5の上面に至る高さMM6、該固定プラテン5の上面から第1フレーム19の下面に至る幅RM2、上下フレーム27の下端からチャック29の中心までの幅RM3等である。
【0045】
下降位置は、上記待機位置に対し、待機位置の左右方向位置及び前後方向位置を維持した状態でチャック29の各保持部材29bが可動金型16のキャビィティ内に保持された樹脂成形品の製品部に相対する高さに至る位置が上下方向位置に設定される。
【0046】
下降位置の内、上下方向の移動データを設定するのに必要な位置を設定するのに必要な寸法としては、上記待機位置におけるチャック29の上下方向位置と、樹脂成形機3の中心軸線高さMM7等である。
【0047】
前進位置は、上記下降位置に対し、待機位置(下降位置)の左右方向位置及び下降位置の高さ位置を維持した状態でチャック29の各保持部材29bが可動金型16のパーティング面に対して突出しピンの突出幅分を隔て近接する前後方向の位置に設定される。
【0048】
前進位置への移動データを設定するのに必要な寸法データとしては、前後方向位置に付いては、中心軸線における型開幅MM3と可動金型16の厚さMM4と突出しピンの突出し幅MM5等である。
【0049】
開放位置は、チャック29の待機位置(上昇位置)に対し、待機位置の上下方向位置を維持した状態で樹脂成形機3外の操作側又は反操作側に至る左右方向位置、チャック29が上記待機位置(上昇位置)の前後方向位置から固定金型15寄りの前後方向位置に設定される。
【0050】
開放位置への移動データを設定するのに必要な寸法としては、左右方向に付いては、待機位置の左右方向位置と、第1フレーム19の左右方向長さRM5等、また前後方向に付いては、上記金型の型開幅MM3と固定金型15の厚さMM8等である。
【0051】
集積開始位置は、チャック29の開放位置に対し、開放位置の左右方向位置を維持した状態でチャック29が樹脂成形品集積装置31の中心に至る前後方向位置、樹脂成形品集積装置31の支持フレーム51に保持されたパレット49の上方に至る上下方向位置に設定される。
【0052】
集積開始位置への移動データを設定するのに必要な寸法としては、左右方向位置に付いては、第2可動体47の支持フレーム51取付け面から支持フレーム51の中心に至る左右方向幅PC1、前後方向に付いては、第1フレーム19の可動金型16相対面から支持フレーム51中心に至る前後方向幅PC2、上下方向に付いては、第2可動体47の上昇高さPC3等である。
【0053】
集積位置は、チャック29の集積開始位置に対し、集積開始位置の上下方向位置を維持した状態でチャック29が支持フレーム51に保持されたパレット49の各収容区画49aに至る左右方向位置、前後方向位置に設定される。
【0054】
集積位置への移動データを設定するのに必要な寸法としては、左右方向(行方向)に付いては、パレット49の縦幅PT1、内部に設けられる各収容区画49aの縦幅PT2、前後方向(列方向)に付いては、パレット49の横幅PT3、内部に設けられる各収容区画49aの横幅PT4等である。
【0055】
なお、チャック29の各移動位置に関しては、上記待機位置、下降位置、前進位置、可動金型16内からチャック29に保持された樹脂成形品を抜き出す後退位置、チャック29がタイバー9より上方へ移動した上方位置、開放位置をそれぞれ設定する必要があるが、説明の便宜上、後退位置に付いては下降位置に、上方位置に付いては待機位置に一致するものとする。
【0056】
また、開放位置と樹脂成形品集積装置31の設置位置の関係は、樹脂成形機3における操作側又は反操作側における樹脂成形品集積装置31の設置位置が決定されれば、該樹脂成形品集積装置31の設置位置に対応して開放位置が設定されることになる。
【0057】
上記CPU63には、駆動制御手段87が接続され、該駆動制御手段87には、第1乃至第3電動モータ26、28、30がそれぞれ接続される。該駆動制御手段87は、移動データ記憶領域81から読み出された移動データに基づいて対応する電動モータ26、28、30を駆動制御してチャック29をそれぞれの位置へ移動させる。
【0058】
なお、上記第1乃至第3電動モータ26、28、30には、ロータリーエンコーダ等の位置検知器(図示せず)がそれぞれ設けられ、駆動制御手段87は、第1乃至第3電動モータ26、28、30を駆動した際にそれぞれの位置検知器から出力される検知信号に基づいて第1乃至第3電動モータ26、28、30をそれぞれ閉ループ制御するように構成される。
【0059】
上記CPU63には、チャック駆動制御手段89が接続され、該チャック駆動制御手段89には、チャック29の各保持部材29bを作動する負圧路を開閉する電磁バルブ、電磁ソレノイド等の作動部材(図示せず)が接続される。そしてチャック駆動制御手段89は、チャック29が型開した金型15間の前進位置へ移動した際に各保持部材29bを作動して樹脂成形品の製品部を保持可能にする一方、チャック29が樹脂成形品集積装置31におけるパレット49の各収容区画49aに位置した際に各作動部材の作動を停止してチャック29に保持された樹脂成形品の保持を解除する。
【0060】
なお、上記制御手段62には、樹脂成形機3から型開完了信号、突出し開始信号、突出し完了信号、型閉信号等や樹脂成形品取出し機1に設けられた各種の検知器からの検知信号が入出力手段91を介して入力される。また、制御手段62は、樹脂成形品を保持したチャック29が樹脂成形機3のタイバー9または安全扉の上方へ抜け出した際に樹脂成形機3へ取出し完了信号を出力する。
【0061】
CPU63には、表示制御手段93が接続され、該表示制御手段93には、LCD等の表示部材95が接続される。該表示部材95は、表示された各種のスイッチ、ボタン、キー(カーソルキー、スクロールキー等を含む。いずれも図示せず。)等の押下またはタッチペンによる操作が可能なタッチパネルとして構成される。
【0062】
そして表示制御手段93は、表示部材95に成形機CADデータ記憶領域69、取出し機CADデータ記憶領域71、集積装置CADデータ記憶領域73、パレットCADデータ記憶領域75等にそれぞれ記憶されたCADデータを表示する。
【0063】
また、表示部材95には、ポインタ95aが表示され、該ポインタ95aは、カーソルキーにより移動操作される。該ポインタ95aは、表示部材95上に表示された各CADデータにより寸法データを生成する際に、カーソルキーの移動操作により表示された樹脂成形機3、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置3、パレット49における採寸開始位置及び終了位置をそれぞれ指定する。
【0064】
CPU63には、集積装置駆動制御手段97が接続され、該集積装置駆動制御手段97は、搬入手段59の駆動によりパレット49がパレット取出し位置へ搬入された際に出力される検知器(図示せず)からの検知信号により電動モータ42を駆動制御して上下フレーム43をパレット取出し位置へ移動した後に電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を下降して内側にパレット49を囲むように位置させた後、作動部材57を作動して係止部材55を互いに近づく方向へ移動してパレット49に対向する側縁に係止して保持させる。
【0065】
また、集積装置駆動制御手段97は、上記動作により支持フレーム51にパレット49が保持されると、電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を集積開始位置の所定の高さ位置まで上昇させると共に電動モータ42を駆動制御して支持フレーム51を集積開始位置の搬出手段61側へ移動させる。
【0066】
更に、集積装置駆動制御手段97は、上記動作によりパレット49の各収容区画49a内に樹脂成形品が集積されると、電動モータ42を駆動して支持フレーム51を搬出手段61の上方へ移動した後に電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を搬出手段61へ移載させる。
【0067】
また更に、集積装置駆動制御手段97は、上記動作後、作動部材57を復動してパレット49の側縁に対する係止部材55の係止を解除した後に電動モータ48を復動制御して支持フレーム51をパレット49の側縁から離脱させる。
【0068】
なお、上記説明は、樹脂成形品取出し機1の制御手段62により樹脂成形品集積装置31を駆動制御する構成としたが、上記制御手段62とは別の樹脂成形品集積装置31の制御手段(図示せず)により各電動モータ42、48を駆動制御して集積動作を実行してもよい。
【0069】
また、支持フレーム51の下降位置、上昇位置、上下フレーム43の各移動位置には、検知器(図示せず)がそれぞれ設けられ、これら支持フレーム51、上下フレーム43の移動に伴って出力される検知信号により対応する電動モータ42、48を駆動制御する。
【0070】
次に、樹脂成形品取出し機1による樹脂成形品の集積作用を説明する。なお、樹脂成形品取出し機1によるチャック29の移動動作に付いては、説明の便宜上、チャック29を待機位置、下降位置、前進位置、下降位置(後退位置)、待機位置(上昇位置)、開放位置、集積開始位置の順に移動して樹脂成形品を取り出して集積する基本的な動作として説明する。
【0071】
先ず、樹脂成形品取出し機1による樹脂成形品の取出し作用及び集積作用を
図13に従って説明すると、樹脂成形品取出し機1のチャック29は、移動データ記憶領域81から読み出された待機位置の移動データに基づいて電動モータ26、28、30を駆動制御して樹脂成形品取出し機1において予め設定された移動原点に対し、樹脂成形機3における中心軸線に一致する左右方向位置、可動金型16のパーティング面に近づく前後方向位置及びタイバー9より上方の待機位置へ移動して待機している。
【0072】
なお、待機位置に付いては、上記した位置に限定されるものではなく、樹脂成形機3や樹脂成形品取出し機1の取出し形態に応じて任意に設定される。
【0073】
一方、樹脂成形品集積装置31にあっては、電動モータ42を駆動制御して上下フレーム43を搬入手段59のパレット取出し位置へ移動した後に電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を、パレット49の対向する側縁側に係止部材55が位置するように下降した後、作動部材57を作動して係止部材55を互いに近づく方向へ移動してパレット49に対向する側縁に係止して保持させる。(
図14参照)
【0074】
上記動作後、電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を樹脂成形品の開放位置に対応する所定の高さ位置まで上昇させると共に電動モータ42を駆動制御して支持フレーム51を、本体フレーム37における左右方向のほぼ中間部に移動して待機させる。
【0075】
上記待機状態にて樹脂成形動作が終了すると、型締め部材13を復動して固定金型15から可動金型16を型開し、型開動作の完了により樹脂成形機3から型開完了信号が制御手段62に入力されると、移動データ記憶領域81から読み出された下降位置の移動データに基づいて第3電動モータ30を駆動制御して上下フレーム27を下降してチャック29を型開した金型15・16間で可動金型16のパーティング面に相対する下降位置へ移動する。
【0076】
上記動作後、移動データ記憶領域81から読み出された前進位置の移動データに基づいて第2電動モータ28を駆動制御して第2走行体25を、チャック29が型開した可動金型16のパーティング面に近接する前進位置へ移動する。上記動作と並行して又は動作後に樹脂成形機3は、突出し部材を作動して可動金型16内の樹脂成形品を相対するチャック29側へ突き出して保持させる。
【0077】
上記動作後、移動データ記憶領域81から読み出された後退位置(下降位置)の移動データに基づいて第2電動モータ28を逆転駆動制御してチャック29を、可動金型16内から樹脂成形品が抜き出される上記下降位置(後退位置)へ戻した後、移動データ記憶領域81から読み出された上昇位置(待機位置)の移動データに基づいて第3電動モータ30を逆転制御して上下フレーム27を上昇してチャック29を金型15・16間から離脱させて待機位置に戻す。
【0078】
上記動作後、移動データ記憶領域81から読み出された開放位置の移動データに基づいて第1電動モータ26を駆動制御して第1走行体21を、待機位置に戻ったチャック29が樹脂成形機3外の操作側又は反操作側に設定された開放位置へ移動した後、移動データ記憶領域81から読み出された集積開始位置の移動データに基づいて第1乃至第3電動モータ26、28、30の内、必要な電動モータを駆動制御して第1走行体21を左右方向、第2走行体25を前進方向、上下フレーム27を下降してチャック47を集積開始位置へ移動する。(
図18乃至
図22参照)
【0079】
そして集積データ記憶領域85から読み出された第1番目の集積データに基づいて第1乃至第3電動モータ26、28、30の内、必要な電動モータを駆動制御して集積位置に待機しているパレット49における第1番目の収容区画49aに相対させた後、保持部材29bによる樹脂成形品の保持を解除して収容区画49a内へ樹脂成形品を集積させる。
【0080】
次の集積時においては、集積データ記憶領域85から読み出された第2番目以降の集積データに基づいて第1乃至第3電動モータ26、28、30の内、必要な電動モータを駆動制御して第1走行体21を左右方向、第2走行体25を前進方向、上下フレーム27を下降してチャック47をパレット49における2番目以降の各収容区画49aに相対させた後に保持部材29bによる樹脂成形品の保持を解除して樹脂成形品を各収容区画49a内へ順次集積させる。
【0081】
なお、パレット49の各収容区画49aに対する樹脂成形品の収容作用に付いては、上記したように集積開始位置にてチャック29を左右方向、前後方向及び上下方向へそれぞれ移動して対応する収容区画49aに相対させる他に、例えば支持フレーム51に保持されたパレット49における第1列目の収容区画49aを集積開始位置へ移動した後にチャック29を左右方向及び上下方向へ移動制御して第1列目の各収容区画49a内に樹脂成形品を収容した後に、電動モータ42を駆動制御してパレット49における第2列目以降の各収容区画49aを集積位置へ順次、移動して列ごとに樹脂成形品を収容してもよい。
【0082】
上記作用によりパレット49の各収容区画49a内に樹脂成形品が収容された集積されると、電動モータ42を駆動制御して支持フレーム51を搬出手段61側へ移動した後に電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を下降してパレット49を搬出手段61上に移載し、該状態にて作動部材57を復動してパレット49の側縁に対する係止部材55の係止を解除させる。
【0083】
そして上記状態にて電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を上昇させると共に電動モータ420を駆動制御して搬入手段59側へ移動して次位のからのパレット49を保持可能にさせると共に搬出手段61を駆動して各収容区画49a内に樹脂成形品が収容されて集積されたパレット49を搬出させる。(
図15参照)
【0084】
次に、樹脂成形品を集積する際におけるチャック29の移動データの設定作用に付いて説明する。
先ず、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形機3、樹脂成形品集積装置31及びパレット49における寸法データの抽出に付いて説明すると、表示部材95に表示されたモード切換ボタン(図示せず)を押下(タッチ)操作して寸法抽出モードに切換えると、表示部材95に成形機CADデータ記憶領域69、取出し機CADデータ記憶領域71、集積装置CADデータ記憶領域73、パレットCADデータ記憶領域75にそれぞれ記憶された各CADデータ画像を分割表示する。(
図16参照)
【0085】
次に、表示部材95に表示されたカーソルキー等によりポインタ93aを移動操作して分割表示されたCADデータ画像中から寸法データを抽出しようとする、例えば樹脂成形機3のCADデータ画像を選択すると、
図11に示すように表示部材93の中央部に該樹脂成形機3のCADデータ画像を大きく表示させる。(
図17参照)
【0086】
なお、表示部材93に表示されるCADデータ画像は、必要に応じて三次元画像、二次元画像に切換表示される。
【0087】
この状態にて表示された樹脂成形機3のCADデータ画像(三次元画像、二次元画像)に対してカーソルキー等によりポインタ93aを移動操作して寸法抽出の開始点及び終点をそれぞれ指定した後に抽出スイッチ(図示せず)が操作されると、開始点及び終点の座標データにより両者間の寸法を抽出して寸法データ記憶領域77における対応する領域に記憶させる。
【0088】
上記動作の繰り返しにより樹脂成形機1においてチャック29の移動位置を設定するのに必要な寸法データMM1−MM8を順次、抽出して寸法データ記憶領域77における対応する領域に記憶させる。
【0089】
同様に、表示部材95に分割表示された樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置31、はレット49を順に選択し、表示部材95に大きく表示された樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置31、パレット49のCADデータ画像中の開始点及び終点をポインタ95aに順に指定して両者間の寸法を抽出した後に寸法データ記憶領域77における対応する領域に寸法データRM1−RM4、PC1−PC3、PT1−PT4を記憶させる。
【0090】
上記作業により樹脂成形品取出し機1、樹脂成形機3、樹脂成形品集積装置31、はレット49の寸法データを抽出した後にチャック29の移動位置設定モードに切換える。そして該モードにおいて、例えば待機位置設定キーが操作されると、演算式データ記憶領域79から読み出された待機位置に関する演算式を読み出すと共に寸法データ領域77から該演算式に算入される寸法データを読み出し、該演算式により移動原点に対する待機位置の三次元位置を演算した後に待機位置の三次元位置データを移動データ領域81における待機位置の領域に記憶させる。
【0091】
待機位置に対する移動データの計算例としては、左右方向位置に付いては、寸法RM1から予め設定された第1フレーム19における左右方向の移動原点(左右方向の移動原点は、第1フレーム19の開放位置と反対側端からの位置)を減算した値に寸法MM1を減算した値を移動データに、また前後位置に付いては、予め設定された前後方向の移動原点(前後方向の移動原点は、第1フレーム19における可動金型16の相対面からの位置)に対して寸法MM3から寸法MM4、MM5を減算した値に予め設定された所定値(可動金型16のバーティング面に対して寸法MM5以上の間隔をおいて相対する必要がある。)を加算した値を移動データに、上下位置に付いては、寸法MM6に寸法RM2を加算した値を移動データにそれぞれ設定する。
【0092】
下降位置に対する移動データの計算例としては、左右方向及び前後方向に付いては、上記待機位置の左右方向位置及び前後方向位置で、上下方向に付いては、上記待機位置の上下位置から寸法MM7を減算した値を移動データに設定する。
【0093】
前進位置に対する移動データの演算式例としては、左右方向位置及び上下方向位置に付いては、上記下降位置の左右方向位置及び上下方向位置で、前後方向位置に付いては、上記下降位置の前後方向位置に対して寸法MM5と上記した所定値を加算した値を移動データに設定する。
【0094】
開放位置に対する移動データの計算例としては、前後方向位置及び上下方向位置に付いては、待機位置の前後方向位置及び上下方向位置で、左右方向位置に付いては、寸法MM4から待機位置の左右方向位置を減算した値を移動データに設定する。
【0095】
集積開始位置に対する移動データの計算例としては、左右方向位置に付いては、寸法PC1の値を移動データ、前後方向に対しては、寸法PC2の1/2の値を移動データ、上下方向に対しては、開放位置の上下位置に対して寸法PC3を減算した値を移動データに設定する。
【0096】
集積位置に対する移動データの計算例としては、左右方向(パレット49における収容区画49aの行方向)に付いては、上記集積開始位置の左右方向位置に対し、寸法PT1を寸法PT2により除算した値(行数、任意の整数)と寸法PT2を乗算した値を加減算した値の移動データ、前後方向(パレット49における収容区画49aの列方向)に付いては、上記集積開始位置の前後方向位置に対し、寸法PT3を寸法PT4により除算した値(列数、任意の整数)に寸法PT4を乗算した値を加減算した値の移動データを設定する。
【0097】
本実施例は、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形機3、樹脂成形品集積装置31及びパレット49の各CADデータから抽出される寸法データに基づいてチャック29を各移動位置(待機位置、下降位置、前進位置、開放位置)や集積開始位置及び各集積位置へ移動するための移動データを生成することができ、従来のように各移動データ及び集積データを直接数値入力する方法、チャック29をそれぞれの位置へ実際に移動して教示入力する方法に比べてチャック29の移動データ及び集積データの設定作業を簡易化し、樹脂成形品取出し作業を効率化することができる。
【0098】
上記説明は、樹脂成形品のみを取り出す樹脂成形品取出し機1に基づいて説明したが、第2フレーム23の固定側プラテン5側に第4走行体(図示せず)を第2走行体25とは独立して移動するように支持し、該第4走行体に、下部にスプル用チャック(図示せず)が設けられた上下フレームを昇降するように支持し、樹脂成形品と共に固定金型15内のスプルを取り出す構成の樹脂成形品取出し機としても実施することができる。
【0099】
上記説明において樹脂成形品取出し機1を、チャック29が左右方向、前後方向及び上下方向へ移動して樹脂成形品を取り出す三次元直交型構造として説明したが、樹脂成形機3の操作側又は反操作側に取り付けられ、チャック29を樹脂成形機3の側方から進入させて樹脂成形品を取り出す横走行型の樹脂成形品取出し機であっても本発明を実施可能である。
【0100】
上記説明において樹脂成形機3を、固定金型15に対して可動金型16を水平方向へ移動して樹脂成形する横型樹脂成形機により説明したが、固定金型15に対して可動金型16を上下方向へ移動して樹脂成形する縦型樹脂成形機としても実施可能である。
【0101】
上記説明は、複数行及び列の収容区画49aを設けたパレット49内に樹脂成形品を集積する構成及び方法としたが、平底型のパレット内に樹脂成形品を段積み集積する構成及び方法としても実施可能である。
【0102】
上記説明の樹脂成形品集積装置31においては、樹脂成形機3の中心軸線と平行に配置された搬入手段59及び搬出手段31により空のパレット49及び樹脂成形品が集積されたパレット49を上記中心軸線と一致する方向(前後方向)へ搬送する構成としたが、搬入手段59及び搬出手段31によるパレット49の搬送方向(搬入方向及び搬出方向)としては、これに限定されるものではなく、搬入手段59及び搬出手段31をその搬送方向が上記中心軸線と直交する左右方向となるよう並行配置した構成としてもよい。