(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362170
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ポンプ式吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20180712BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20180712BHJP
B65D 51/16 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D83/00 K
B65D51/16 310
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-74038(P2015-74038)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-193738(P2016-193738A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2017年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−212849(JP,A)
【文献】
特開2014−148329(JP,A)
【文献】
実開平04−041754(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 83/00
B65D 83/08−83/76
B05B 11/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部(4)から口頸部(8)を起立する容器体(2)と、
容器体(2)内へ上昇可能に嵌合した摺動底部材(12)と、
上記容器体(2)の上部に装着させたポンプ装置(16)とを具備し、
ポンプ装置(16)は、
口頸部(8)の外面に嵌合された装着部材(18)と、
この装着部材(18)と連結させて上記口頸部(8)を介して胴部(4)内へ垂下したシリンダ(22)と、
上方へ付勢させた状態でシリンダ(22)内へ下半部を挿入した作動部材(32)とを具備し、
シリンダ(22)に対する作動部材(32)の上下動により、容器体(2)内の液体を第1逆止弁(V1)を介してシリンダ(22)内へ液体を吸い上げるとともに、シリンダ(22)内から第2逆止弁(V2)を介して作動部材(32)の吐出口(42)より外部へ吐出するように設けたポンプ式吐出容器において、
上記シリンダ(22)と口頸部(8)との間隙(G)内に、容器体(2)の空気を逃がすための空気逃がし弁(VA)を形成したことを特徴とするポンプ式吐出容器。
【請求項2】
上記空気逃がし弁(VA)は、上記シリンダ(22)の外面に空気弁体(50)を嵌合させ、この空気弁体が有する逆スカート状の弾性筒部(60)の先端部(62)を、口頸部の内面に当接させてなることを特徴とする、請求項1記載のポンプ式吐出容器。
【請求項3】
上記空気弁体(50)は、上記弾性筒部(60)を上端側から突出する嵌合筒部(52)を、シリンダ(22)外面に固定するとともに、嵌合筒部(52)の外面に係合溝(58)を周設しており、
上記口頸部(8)内面側から係合突起(10)を内方突出し、
ポンプ装置(16)を口頸部(8)に装着したときに、上記係合突起(10)が上記係合溝(58)内に嵌入するように形成したことを特徴とする、請求項2記載のポンプ式吐出容器。
【請求項4】
上記シリンダ(22)の下部内に、上記作動部材(32)に内部に上端部を連携させてポペット弁体(30)を挿入し、このポペット弁体(30)の下端部と、シリンダ(22)の下端部内面に形成した第1弁座(23)とで、上記第1逆止弁(V1)を形成したことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のポンプ式吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ式吐出容器、特に高粘度液体用のポンプ式吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種容器として、口頸部を起立する容器体の下部内に摺動底部材を上昇可能に嵌合するとともに、上記口頸部から容器体上部内へシリンダを嵌挿し、このシリンダ内に作動部材の下半部を上方付勢状態で挿入し、シリンダに対する作動部材の上下動により、容器体の液体を第1逆止弁を介してシリンダ内へ吸引し、さらにシリンダ内から作動部材の吐出口を介して吐出するようにしたものが知られている。液体の吸引により容器体内部が負圧化すると上記摺動底部材が容器体内を上昇する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−148329
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の容器では、液体を容器体内へ充填するとともに、作動部材をセットするときに、空気が容器体内部の上部へ残ってしまうという不都合があった。
空気が容器体の上部に残ると、液体の適切な吸上げを妨げるおそれがある。特に内容液が高粘性液体の場合には、第1逆止弁が適切に閉まらない可能性(例えば弁板の3か所を3本の収縮片で支える三点弁を用いた場合に収縮片が延びたまま戻らない可能性)があり、この状態で、シリンダの周囲に空気が滞在すると、シリンダ内部と容器体の上部との間を空気が行き来するだけで液体が吐出されないという不都合があった。
【0005】
本発明の目的は、容器体の上部へ空気が溜まらないように空気逃がし弁を設けたポンプ式吐出容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
胴部4から口頸部8を起立する容器体2と、
容器体2内へ上昇可能に嵌合した摺動底部材12と、
上記容器体2の上部に装着させたポンプ装置16とを具備し、
ポンプ装置16は、
口頸部8の外面に嵌合された装着部材18と、
この装着部材18と連結させて上記口頸部8を介して胴部4内へ垂下したシリンダ22と、
上方へ付勢させた状態でシリンダ22内へ下半部を挿入した作動部材32とを具備し、
シリンダ22に対する作動部材32の上下動により、容器体2内の液体を第1逆止弁V1を介してシリンダ22内へ液体を吸い上げるとともに、シリンダ22内から第2逆止弁V2を介して作動部材32の吐出口42より外部へ吐出するように設けたポンプ式吐出容器において、
上記シリンダ22と口頸部8との間隙G内に、容器体2の空気を逃がすための空気逃がし弁VAを形成した。
【0007】
本手段は、
図1及び
図2に示すように、シリンダ22と口頸部8との間隙G内に、容器体2の空気を逃がすための空気逃がし弁VAを設けることを提案する。これにより容器体に液体を充填した後、
図3に示すようにポンプ装置16を容器体にセットしようとするときに、空気逃がし弁VAが開いて(
図4参照)、容器体上部から空気を排気することができる。なお、「空気を逃がす」とは、空気逃がし弁より上方の間隙部分(空気貯留室)へ逃がすこと、及び、図示しない連通路を介して間隙を外部へ連通させることで、間隙を介して外部へ逃がすことの双方を含むものとする。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記空気逃がし弁VAは、上記シリンダ22の外面に空気弁体50を嵌合させ、この空気弁体が有する逆スカート状の弾性筒部60の先端部62を、口頸部の内面に当接させてなる。
【0009】
本手段は、空気逃がし弁VAの好適な構成として、
図2に示すように、上記シリンダ22の外面に嵌合させた空気弁体50の逆スカート状の弾性筒部60の先端部62を、口頸部の内面に当接させた構造を提案している。予めシリンダ22に空気弁体50を嵌合し、次にシリンダを容器体にセットすればよいので、簡単に構成できる。
【0010】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記空気弁体50は、上記弾性筒部60を上端側から突出する嵌合筒部52を、シリンダ22外面に固定するとともに、嵌合筒部52の外面に係合溝58を周設しており、
上記口頸部8内面側から係合突起10を内方突出し、
ポンプ装置16を口頸部8に装着したときに、上記係合突起10が上記係合溝58内に嵌入するように形成している。
【0011】
本手段は、
図2に示すように、空気弁体50の嵌合筒部52に係合溝58を周設し、ポンプ装置16が口頸部8にセットされたときに、口頸部8内面側から突出する係合突起10が上記係合溝58内に嵌入するようにしたから、嵌入時の感触でポンプ装置16が正しくセットされたことが判り、セット性が良好となる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ
上記シリンダ22の下部内に、上記作動部材32に内部に上端部を連携させてポペット弁体30を挿入し、このポペット弁体30の下端部と、シリンダ22の下端部内面に形成した第1弁座23とで、上記第1逆止弁V1を形成している。
【0013】
本手段は、
図1に示すように、第1逆止弁を、シリンダ22の下端部と、シリンダ内に挿入されたポペット弁体30の下端部とで形成している。第1逆止弁を三点弁とする場合と比べて、液体を高粘度液体としても、三点弁の伸縮片が伸びて閉じなくなるという如き不都合を生じにくい。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段に係る発明によれば、シリンダ22と口頸部8との間隙G内に、容器体2の空気を逃がすための空気逃がし弁VAを形成したから、容器体内へ液体を充填するときに、容器体の上部に空気が溜まることを防止できるので、液体の吐出を適正に行うことができ、特に液体が高粘度であっても快適に使用できる。
第2の手段に係る発明によれば、上記空気逃がし弁VAは、上記シリンダ22の外面に空気弁体50を嵌合させ、この空気弁体が有する弾性筒部60の先端部を、口頸部の内面に当接させたから、弁をセットすることが容易であり、かつ構成が簡単である。
第3の手段に係る発明によれば、ポンプ装置16が口頸部8にセットされたときに、口頸部8内面側から突出する係合突起10が上記係合溝58内に嵌入するようにしたから、嵌入時の感触でポンプ装置16が正しくセットされたことが判り、セット作業が容易となる。
第4の手段に係る発明によれば、シリンダ22の下部内に、上記作動部材32に内部に上端部を連携させてポペット弁体30を挿入し、このポペット弁体30の下端部と、シリンダ22の下端部内面に形成した第1弁座23とで、上記第1逆止弁V1を形成したので、高粘度の液体を収納した場合でも、弁機能が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るポンプ式吐出容器の縦断面図である。
【
図2】
図1のポンプ式吐出容器の要部拡大図である。
【
図3】
図1のポンプ式吐出容器の組み立て過程の説明図である。
【
図4】
図1のポンプ式吐出容器の作用説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図4は、本発明の実施形態に係るポンプ式吐出容器である。このポンプ式吐出容器は、容器体2と、摺動底部材12と、閉塞部材14と、高粘度等の内容物を吐出可能なポンプ装置16と、空気弁体50とで構成される。これら各部材は、例えば合成樹脂や金属で形成することができる。
【0017】
容器体2は、下端開口の胴部4の上端からフランジ状肩部6を介して口頸部8を起立している。図示例では、胴部4の下端部を小外径部とし、この小外径部に連通孔5を形成している。口頸部8の外面には
図2に示す如く係止凸部9を付設している。
【0018】
摺動底部材12は、容器体2の胴部4内に上方へ摺動可能に嵌合している。図示例の摺動底部材12は、底板12aの外周部に胴部内面と摺接する摺動筒部12bを形成している。
【0019】
閉塞部材14は、上記胴部4の下端を閉塞している。図示例の閉塞部材14は、閉塞板部14aの外周部から起立する嵌合筒部14bを、胴部4の下端部外面に嵌合している。図示例では、嵌合筒部14bの内面から上端面に亘って、胴部4の連通孔5を外部へ連通させる連通溝15を形成している。
【0020】
ポンプ装置16は、
図1に示す如く、装着部材18と、シリンダ22と、ポペット弁体30と、作動部材32とで形成されている。
【0021】
装着部材18は、上記容器体2の上部に取り付けられている。図示例の装着部材18は、上記口頸部8の外面に嵌合した装着筒部18aを有し、この装着筒部18aの上端から内向きのフランジ状頂壁部18bを介して抜止め用筒部18cを口頸部8内へ垂下している。フランジ状頂壁部18bの上面の内周寄りからは、案内筒部18dを起立している。また上記装着筒部18aの上端から下外方へ下端大径のスカート状部18eを突出している。上記装着筒部18aの内面には、係合凸部20を付設し、この係合凸部に口頸部8の係止凸部9が係止するように形成している。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0022】
シリンダ22は、その筒壁22aの上端に付設した鍔部22bを有し、この鍔部22bを上記口頸部8の上端とフランジ状頂壁部18bとの間にパッキンPを介して挟持することで、容器体2内へ垂下している。筒壁22aの下方には下端小径のテーパ状壁部22cを連続形成し、このテーパ状壁部22cの内面を第1弁座23としている。図示例では、上記筒壁22aの下端部とテーパ状壁部22cとの間に、上向き段部24を形成している。また筒壁22aの上部を、筒壁22aの上部から下向き段部26を介して拡幅する大外径部としている。シリンダ22と口頸部8との間には、空気の逃げ場所として間隙Gをとっている。
【0023】
上記シリンダ22の筒壁22a下部内には、後述のポペット弁体30の上方抜け出しを防止するための保持部材28を取り付けている。この保持部材28は、筒壁22aの内面に嵌着させた保持筒部28aから複数の係合リブ28bを内方突設してなる。図示例では、係合リブ28bより下方の保持筒部内面部分に係合凹部29を周設している。
【0024】
ポペット弁体30は、シリンダ22の下部内へ同心状に配置した弁棒30aの下部から外方へ連結部30cを延出するとともに、連結部30cを介して弁棒30aの下部を囲む弁筒部30bを周設し、この弁筒部30bの外面から当接部30dを外方突出してなる。当接部は、半径方向へ放射状に突設する複数の当接リブとして形成することができる。そして当接リブ同士の隙間及び係合リブ28b同士の隙間を介して液体が流通するように形成している。図示の当接リブの上部には爪部31を付設している。
【0025】
また上記弁棒30aは、後述のピストンガイド36のシール部36cと接している。このシール部36cとの摩擦力により、ポペット弁体30は、ピストンガイド36から吊下げられており、弁筒部30bは、
図1の状態で、第1弁座23から離間して保持筒部28a内に位置しており、弁筒部30bの当接部30dは、
図2に示す如く、上記係合リブ28bの下面に当接している。ポペット弁体30は、当接部30dが係合リブ28bの下面に当接している状態と、弁筒部30bの下端が第1弁座23に当接している状態との間で、作動部材32の上下動に追従して、昇降することが可能に形成されている。また図示例では、ポペット弁体30は、当接部30dの爪部31が上記係合凹部29内を昇降可能であるように形成している。弁筒部30bの下端と第1弁座23とは、第1逆止弁V1を形成する。
【0026】
上記作動部材32は、本実施形態において、
図2に示す如く、ピストンガイド36と、ノズルヘッド40と、ピストン48とで構成されている。
【0027】
上記ピストンガイド36は、連通口38を有する縦筒部36aの下端から外向きのフランジ状弁座部36bを突出している。上記縦筒部36aは、後述の連結筒部40cに取り付けられている。また縦筒部36aの下部内面にはシール部36cを周設しており、このシール部36cを上記弁棒30aの上部へ液密に嵌合している。図示例では、フランジ状弁座部36bの上面に環状突部37を周設している。
【0028】
ノズルヘッド40は、頂壁部40aの外周部からヘッド周壁40bを、頂壁部40aの裏面中央部からヘッド周壁40bより長い連結筒部40cをそれぞれ垂下している。ヘッド周壁40bは上記案内筒部18dの外面に摺動自在に嵌合し、連結筒部40cは、抜止め用筒部18c内方へ挿入している。連結筒部40cの下部内面には、上記縦筒部36aを嵌着しており、また連結筒部40cの下端部は大内径部44に形成している。上記ヘッド周壁40bの内面下端部には抜止め用突部46を付設し、案内筒部18dの上端部に係止可能としている。ヘッド周壁40bからは、吐出口42を先端に開口するノズル40dを外方突出している。このノズル40dは連結筒部40cの内部と連通するように形成している。
【0029】
また図示例では、ヘッド周壁40bと連結筒部40cとの間の頂壁部分と連続して係止壁部45を縦設している。案内筒部18d内方のフランジ状頂壁部分と、係止壁部45との間には、スプリングSを介在させ、作動部材32が上方へ付勢されるように形成している。また連結筒部40cの上部内面には、ピストンガイドへの当接用の縦リブ43を縦設している。
【0030】
ピストン48は、ピストンガイド36のフランジ状弁座部36bと連結筒部40cとの間に上下動可能に挿入されている。ピストン48は、本実施形態では、外周壁部48aと内周壁部48bとの上下方向中間部を連結壁部48cで連結してなる。外周壁部48aは、上下両端が大径でこれら両端をシリンダ22内面へ摺接させている。内周壁部48bの上端は、上記連結筒部40cの大内径部44内面に液密にかつ上下動可能に当接している。内周壁部48bの下端部は、上記フランジ状弁座部36bに接近させて、第2逆止弁V2を形成している。図示例では、内周壁部48bの下端を上記環状突部37の内面に当接可能に形成している。
【0031】
上記構成において、作動部材32を押下げると、ピストンガイド36が下降するに伴ってポペット弁体30も下降する。弁筒部30bが第1弁座23に当接すると、第1逆止弁V1が閉弁してポペット弁体30は停止するが、作動部材32は更に下がるので、シリンダ内が加圧される。
【0032】
また作動部材32が下降し始めたときに、ピストン48は、連結筒部40cとの摩擦力によってともに下降するが、シリンダ22と接しているために作動部材32よりも遅く下がり、従って第2逆止弁V2が開く。これによりシリンダ22内の加圧液体が連通口38、連結筒部40cの内部を通って、ノズル40dから吐出される。
【0033】
作動部材32は、
図2に想像線で示すようにピストンガイド36が保持筒部28aの上端に接したときに停止する。作動部材32の押下げ力を解放すると、スプリングSの弾性復元力により作動部材32は上昇を開始し、このときシリンダ22と接しているピストン48は作動部材32に遅れて上昇するために、第2逆止弁V2が閉じる。またポペット弁体30も、シール部36cとの摩擦により上昇するので、第1逆止弁V1は開く。ポペット弁体30は、当接部30dが係合リブ28bに当接するまで上昇した後に停止するが、作動部材32はさらに上昇を続ける。これによりシリンダ22内部は負圧化し、容器体2からシリンダ22内へ液体が吸い上げられる。
【0034】
本発明においては、口頸部8と、口頸部8に向かい合うシリンダ部分との間隙Gの下部内に空気逃がし弁VAを形成している。以下、本実施形態に基づいて、空気逃がし弁VAの具体的な構成を説明する。
【0035】
本実施形態では、シリンダ22の外面に空気弁体50を取り付けている。空気弁体50は、シリンダ22の外面に嵌合した嵌合筒部52と、嵌合筒部52の上端から、逆スカート状の弾性筒部60を突出し、弾性筒部60の先端部62を、口頸部8の内面へ、
図4に示すように離間可能に当接させている。逆スカート状とは、上端大径のテーパ状という程度の意味である。この弾性筒部60の先端部と口頸部の内面とで空気逃がし弁VAを形成している。空気弁体50は、弾性材料、特に軟材質の弾性材料で形成するとよい。
【0036】
上記嵌合筒部52の内面の上半部は、下半部に比べて大内径として、両半部の間に上向きの係合段部54を形成している。この係合段部54を、上記シリンダ22の下向き段部26に係止させることで、空気弁体50をシリンダ22に対して上方抜け出し不能に固定している。
【0037】
上記係合段部54より上方の嵌合筒部分の外面には係合溝58を周設している。また口頸部8の内面(図示例では口頸部の下端部内面)側から係合突起10を内方突出している。そしてポンプ装置16を口頸部8に対して装着したときに、上記係合突起10が係合溝58に嵌入し、その嵌入時の感触により、ポンプ装置を装着できたことが判るようにしている。ここでポンプ装置の“装着”とは、ポンプ装置を正しい位置にセットできたこと(例えば図示例では係合凸部20と係止凸部9とが噛み合う位置となること)をいうものとする。
【0038】
図示例では、係合突起10は、係合溝58内面との間に隙間を存して遊嵌されるように形成している。係合突起10は、口頸部8の内面に周方向に間欠的に複数形成することができる。
【0039】
さらに図示例では、嵌合筒部52の下部を小外径部として、係合溝58と連続する下側部分を上側大径の傾斜テーパ面56としている。これにより係合突起10が傾斜テーパ面を摺接して係合溝58内へ嵌入する作業が容易となる。
【0040】
本実施形態では、上記間隙Gの内部を外部に対する密閉空間としているが、図示しない連通路を介して間隙を外部へ連通させ、間隙を介して容器体の上部の空気を外部へ逃がすようにしてもよい。
【0041】
上記の構成によれば、
図3に示すように、容器体2内に高粘度液体を充填した後に、ポンプ装置16を口頸部8へセットするときに、容器体内の高圧化により、
図4のように空気逃がし弁VAが開いて、容器体2上部から間隙Gの上部内へ空気を逃がすことができる。従って、作動部材32を操作して液体を吐出する作業に支障を生ずることがない。
【符号の説明】
【0042】
2…容器体 4…胴部 5…通気孔 6…フランジ状肩部
8…口頸部 9…係止凸部 10…係合突起
12…摺動底部材 12a…底板部 12b…摺動筒部
14…閉塞部材 14a…閉塞板部 14b…嵌合筒部 15…通気溝
16…ポンプ装置
18…装着部材 18a…装着筒部 18b…フランジ状頂壁部
18c…抜止め用筒部 18d…案内筒部 18e…スカート状部
20…係合凸部
22…シリンダ 22a…筒壁 22b…鍔部 22c…テーパ状壁部
23…第1弁座
24…上向き段部 26…下向き段部
28…保持部材 28a…保持筒部 28b…係合リブ 29…凹部
30…ポペット弁体 30a…弁棒 30b…弁筒部 30c…連結部
30d…当接部 31…爪部
32…作動部材 36…ピストンガイド 36a…縦筒部
36b…フランジ状弁座部 36c…シール部 37…環状突部
38…連通口
40…ノズルヘッド 40a…頂壁部 40b…ヘッド周壁 40c…連結筒部
40d…ノズル 42…吐出口 43…縦リブ
44…大内径部 45…係止壁部 46…抜止め用突部
48…ピストン 48a…外周壁部 48b…内周壁部 48c…連結壁部
50…空気弁体 52…嵌合筒部 54…係合段部
56…傾斜テーパ面 58…係合溝 60…弾性筒部 62…先端部
G…間隙
P…パッキン S…スプリング
V1…第1逆止弁 V2…第2逆止弁 VA…空気逃がし弁