(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362172
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】蓋体付きレセプタクルコネクタ、それと組み合わせて用いるRFフラットケーブル及びプラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/40 20110101AFI20180712BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20180712BHJP
H01R 13/6582 20110101ALI20180712BHJP
H01B 7/08 20060101ALI20180712BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
H01R24/40
H01R13/639 Z
H01R13/6582
H01B7/08
H01B7/00 306
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-87646(P2015-87646)
(22)【出願日】2015年4月22日
(65)【公開番号】特開2015-211037(P2015-211037A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年8月7日
(31)【優先権主張番号】201410164751.7
(32)【優先日】2014年4月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515111163
【氏名又は名称】ハルモト テクノロジー (シェンジェン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】チェン シーチェ
(72)【発明者】
【氏名】ワン チャシン
(72)【発明者】
【氏名】カン チンチュワン
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05482477(US,A)
【文献】
特開2014−053223(JP,A)
【文献】
特開2004−247086(JP,A)
【文献】
特開2008−192369(JP,A)
【文献】
特開2002−324633(JP,A)
【文献】
特開2000−106237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/40
H01B 7/00
H01B 7/08
H01R 13/639
H01R 13/6582
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFフラットケーブル又は同軸ケーブルに接合されるプラグコネクタに適合する蓋体付きレセプタクルコネクタであって、レセプタクル絶縁体と、レセプタクル中央端子と、レセプタクルシェルと、金属蓋体とを含み、
前記レセプタクル絶縁体は、収容口を有して凹設される収容空間と、前記RFフラットケーブル又は前記プラグコネクタが前記収容口から前記収容空間に進入したとき、前記収容空間における前記RFフラットケーブル又は前記プラグコネクタを横方向に離れないように位置規制する横方向位置規制機構とを有し、
前記レセプタクル中央端子は、前記レセプタクル絶縁体に設置されており、前記RFフラットケーブル又は前記プラグコネクタを電気的に接続することにより、前記RFフラットケーブル又は前記同軸ケーブルの中央導体の電気信号を受信し、前記レセプタクル絶縁体の前記収容空間の底部に露出するレセプタクル中央端子接触部と、前記レセプタクル絶縁体から外部に延出されるレセプタクル中央端子ピンとを有し、
前記レセプタクルシェルは、前記レセプタクル絶縁体に設置されており、前記RFフラットケーブル又は前記プラグコネクタを電気的に接続することにより、前記RFフラットケーブル又は前記同軸ケーブルの外部導体の電気信号を受信し、前記レセプタクル絶縁体の前記収容空間の側面に露出するレセプタクルシェル接触部と、前記レセプタクル絶縁体から外部に延出されるレセプタクル中央端子ピンとを有し、
前記金属蓋体は、一端が前記レセプタクル絶縁体に枢着され、他端が係合手段を有し、外力によって前記係合手段が前記レセプタクル絶縁体に係合するまで枢着回転することにより、前記レセプタクルシェルに電気的に接続されて、前記収容空間を遮蔽するとともに、前記収容空間における前記RFフラットケーブル又は前記プラグコネクタが前記収容口に対して縦方向に離れることを阻止するシールドループが形成される、蓋体付きレセプタクルコネクタ。
【請求項2】
前記レセプタクル絶縁体は、前記収容空間の側壁に、前記RFフラットケーブル又は前記プラグコネクタが上から下へ通過して前記収容空間に進入する口頸部が形成されるように構成されている、請求項1に記載の蓋体付きレセプタクルコネクタ。
【請求項3】
前記金属蓋体の内壁面には、前記収容空間における前記RFフラットケーブル又は前記プラグコネクタを前記レセプタクル中央端子接触部及び前記レセプタクルシェルと確実に電気的に接触させるように確保するために押圧する押圧部が凸設されている、請求項1に記載の蓋体付きレセプタクルコネクタ。
【請求項4】
前記金属蓋体の外壁面は、付勢力が付与されると前記金属蓋体を開蓋する上方に反る開蓋部を有し、前記金属蓋体と前記レセプタクル絶縁体とが係合したとき、前記金属蓋体は、電気通路として前記レセプタクルシェルと前記収容空間における前記RFフラットケーブル又は前記プラグコネクタとを同時に電気的に接触することにより、前記RFフラットケーブル又は前記同軸ケーブルの前記外部導体の電気信号を前記レセプタクルシェルに伝達する、請求項1に記載の蓋体付きレセプタクルコネクタ。
【請求項5】
請求項1に記載の蓋体付きレセプタクルコネクタと組み合わせて用いるRFフラットケーブルであって、少なくとも板状の中央導体、第1絶縁体、外部導体、及び第2絶縁体が順に積層された多層構造で構成され、
前記中央導体は、前記レセプタクル中央端子接触部と接触する位置まで延伸して露出され、
前記第1絶縁体は、前記中央導体と前記外部導体との間の電気通信をブロックし、
前記外部導体は、前記レセプタクル中央端子接触部と接触する位置まで延伸して露出され、
前記第2絶縁部は、前記外部導体の上方を覆って、当該外部導体を絶縁保護する、RFフラットケーブル。
【請求項6】
請求項1に記載の蓋体付きレセプタクルコネクタと組み合わせて用いるとともに、同軸ケーブルに接合して一体になるプラグコネクタであって、
プラグ絶縁体と、
前記レセプタクル中央端子接触部に接触する位置に前記プラグ絶縁体から露出されるプラグ中央端子接触部と、前記同軸ケーブルの中央導体に接合するためのプラグ中央端子接合部とを有するプラグ中央端子と、
前記レセプタクルシェル接触部に接触する位置に設けられるプラグシェル接触部と、前記同軸ケーブルの外部導体及び外部絶縁体をそれぞれ圧着接合する複数のクリップとが設けられ、前記プラグ絶縁体を覆うプラグシェルとを含む、プラグコネクタ。
【請求項7】
前記プラグ中央端子接合部は、前記同軸ケーブルの前記中央導体と、圧着、半田付け、又はIDCソケットにより接合する、請求項6に記載のプラグコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レセプタクルコネクタ、それと組み合わせて用いるRFフラットケーブル及びプラグコネクタに関し、特に、蓋体付きレセプタクルコネクタ、それと組み合わせて用いるRFフラットケーブル及びプラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルは一般的に様々な電子製品のRF信号伝送に用いられる。電子製品の開発が小型化の方向へと進むのに伴い、電子製品の内部に使われる同軸ケーブル及びそのコネクタのサイズも大幅な小型化が必要とされている。一般的に、同軸ケーブルは、プラグコネクタと電子製品の印刷基板(未図示)に半田付けされるレセプタクルコネクタとを電気通信することにより信号を伝達する。
図1に示すように、レセプタクルコネクタ1の中央部分には柱状体のレセプタクル中央端子11と筒状のレセプタクルシェル13が設けられている。レセプタクルシェル13はレセプタクル中央端子11を囲むように設置され、そしてレセプタクル中央端子11の底側から外部にレセプタクル中央端子ピン12が延出し、レセプタクルシェル13の底側から外部にレセプタクルシェルピン14が延出する。使用する際はSMT半田付けや他の接続方法により、これらのピン12、14を印刷基板の指定位置に接続する。
【0003】
図2は従来のプラグコネクタの概略図である。
図2に示すように、プラグコネクタ2は、プラグ中央端子21とプラグシェル22を含み、プラグ中央端子21は同軸ケーブルの中央導体(一般的に芯線と呼ばれ、未図示)に電気的に接続し、プラグシェル22は同軸ケーブルの外部導体(未図示)に電気的に接続する。プラグコネクタ2は
図1に示すレセプタクルコネクタ1に嵌合することができ、これによってプラグ中央端子21がレセプタクル中央端子11と電気的に接続するとともに、プラグシェル22とレセプタクルシェル13と電気的に接続し、同軸ケーブルと電子製品の回路基板との間のRF信号の伝送が可能となる。従来のプラグコネクタとレセプタクルコネクタの嵌合過程は、
図3に示すように、プラグコネクタ2は上から下へ移動してレセプタクルコネクタ1に嵌合し、レセプタクルコネクタ1とプラグコネクタ2との接触に起因する干渉力(嵌合強度ともいう)によって、プラグコネクタ2とレセプタクルコネクタ1が嵌合する(
図4を参照)。
【0004】
近年、スマートフォンなどの精密ポータブル電子製品の体積小型化要求により、プラグコネクタ及びそれと組み合わせて用いるレセプタクルコネクタの全体高さをより低くすることが求められている。例えば、プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタの全体高さは、当初の3.5mmから1.2mmに減少しているが、現在さらに1.0mm以下にすることが求められている。前記の全体高さが低いほど、電子製品の薄型化の要求に沿ったものとなるが、プラグコネクタとレセプタクルコネクタの接触面積が不充分(即ち、干渉高さが不十分)となることによって、コネクタ同士の間の嵌合強度も不充分になる。そして外部からの衝撃力を受けた時にプラグコネクタがレセプタクルコネクタから離脱し、電子製品の正常機能に影響を与え、さらに電子製品に損傷を与える恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの問題に基づいて、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの嵌合を確保することを前提として、レセプタクルコネクタ及びそれと組み合わせて用いるプラグコネクタの全体高さを低くすることが、この技術分野における高い関心を集めている。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑み、組み合わせて用いるRFフラットケーブル及びプラグコネクタを効果的に係合するとともに、組み合わせて用いるRFフラットケーブル及びプラグコネクタの全体高さを効果的に低くすることができる蓋体付きレセプタクルコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的及び他の目的を達成するために、本発明の蓋体付きレセプタクルコネクタは、RFフラットケーブル又は同軸ケーブルに接合されるプラグコネクタと組み合わせて用いられ、レセプタクル絶縁体と、レセプタクル中央端子と、レセプタクルシェルと、金属蓋体とを含む。レセプタクル絶縁体には、収容空間が凹設され、RFフラットケーブル又はプラグコネクタが収容空間と構造対応関係を有するため、収容空間に進入することができる。レセプタクル中央端子は、RFフラットケーブル又は同軸ケーブルの中央導体の電気信号を受信するように、レセプタクル絶縁体の収容空間の底部に露出するレセプタクル中央端子接触部を有している。レセプタクルシェルは、RFフラットケーブル又は同軸ケーブルの外部導体の電気信号を受信するように、レセプタクル絶縁体の収容空間の側面に露出するレセプタクルシェル接触部を有している。金属蓋体は、一端がレセプタクル絶縁体に枢着され、他端が係合手段を有している。金属蓋体は、外力によって係合手段がレセプタクル絶縁体に係合するまで枢着回転することにより、収容空間におけるRFフラットケーブル又はプラグコネクタが離れることを阻止できるとともに、レセプタクルシェルに電気的に接触されて収容空間を遮蔽するシールドループが形成されることができる。
【0008】
本発明の一実施形態において、レセプタクル絶縁体の収容空間の側壁には、RFフラットケーブル又はプラグコネクタが通過して収容空間に進入する口頸部が形成されてもよい。さらに、レセプタクル絶縁体には、収容空間におけるRFフラットケーブル又はプラグコネクタを横方向に位置規制し、RFフラットケーブル又はプラグコネクタが側壁の口頸部を経由して収容空間から離れないように横方向位置規制機構が形成されてもよい。
【0009】
また、金属蓋体の内壁面には、収容空間におけるRFフラットケーブル又はプラグコネクタを押圧する押圧部が凸設されてもよい。金属蓋体の外壁面には、上方に反る開蓋部を有してもよい。金属蓋体と前記レセプタクル絶縁体とが係合したとき、金属蓋体は、電気通路としてレセプタクルシェルと収容空間におけるRFフラットケーブル又はプラグコネクタとを同時に電気的に接触することにより、RFフラットケーブル又は同軸ケーブルの外部導体の電気信号をレセプタクルシェルに伝達することができる。
【0010】
本発明のRFフラットケーブルは、上記蓋体付きレセプタクルコネクタと組み合わせて用いられ、少なくとも板状の中央導体、第1絶縁体、外部導体、及び第2絶縁体が順に積層された多層構造で構成されている。中央導体は、レセプタクル中央端子接触部と接触する位置まで延伸して露出されている。第1絶縁体は、中央導体と外部導体との間の電気通信をブロックする。外部導体は、レセプタクル中央端子接触部と接触する位置まで延伸して露出されている。第2絶縁部は、外部導体の上方を覆って外部導体を絶縁保護する。
【0011】
本発明のプラグコネクタは、上記蓋体付きレセプタクルコネクタと組み合わせて用いられ、同軸ケーブルに接合して一体になり、プラグ絶縁体と、プラグ中央端子と、プラグシェルとを含む。プラグ中央端子は、プラグ絶縁体の頭部及び尾部にそれぞれ位置するプラグ中央端子接触部と、プラグ中央端子接合部とを有している。プラグ中央端子接触部は、レセプタクル中央端子接触部に接触する位置にプラグ絶縁体から露出され、プラグ中央端子接合部は、同軸ケーブルの中央導体に接合するために用いられる。プラグシェルは、プラグ絶縁体を覆い、プラグシェル接触部と複数のクリップとが設けられている。プラグシェル接触部は、レセプタクルシェル接触部に接触する位置に設けられ、複数のクリップは、それぞれ同軸ケーブルの外部導体及び外部絶縁体を圧着接合するために用いられる。
【0012】
なお、プラグシェルの外壁面には、例えば、嵌合溝又は孔によって形成された誤装着防止構造を設けてもよい。この誤装着防止構造は、レセプタクル絶縁体に係合された金属蓋体に係止するために用いられ、これによって係合の有効性を確認できる。
【発明の効果】
【0013】
先行技術に比べて、本発明の蓋体付きレセプタクルコネクタは、レセプタクル絶縁体と、レセプタクル中央端子と、レセプタクルシェルと、金属蓋体とを含む。レセプタクル絶縁体には、上方が開放される収容空間が形成される。金属蓋体は、レセプタクル絶縁体に枢着され、外力によって枢着回転する。金属蓋体がレセプタクル絶縁体から離れた方向に枢着回転したとき、RFフラットケーブル又はプラグコネクタがレセプタクル絶縁体の収容空間に上から下へ進入することが可能である。金属蓋体がレセプタクル絶縁体と係合したとき、レセプタクル中央端子及びレセプタクルシェルは、それぞれ、RFフラットケーブル又はプラグコネクタの中央導体と外部導体との電気信号を受信することができる。金属蓋体は、係合手段をさらに有し、レセプタクル絶縁体の方向へ枢着回転すると、係合手段がレセプタクル絶縁体に係合し、この係合力によって、収容空間におけるRFフラットケーブル又はプラグコネクタが縦方向に移動することを規制することにより、本発明の蓋体付きレセプタクルコネクタと、それと組み合わせて用いるRFフラットケーブル又はプラグコネクタとの嵌合後の全体高さを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来のレセプタクルコネクタの概略図である。
【
図3】
図2に示すプラグコネクタと
図1に示すレセプタクルコネクタの結合動作の概略図である。
【
図4】
図2に示すプラグコネクタと
図1に示すレセプタクルコネクタの結合動作が完了した状態を示す概略図である。
【
図5】本発明の実施例1に係るレセプタクルコネクタの概略図である。
【
図6】
図5に示すレセプタクルコネクタと組み合わせて用いるRFフラットケーブルの概略図である。
【
図7】
図6に示すRFフラットケーブルと
図5に示すレセプタクルコネクタの結合動作の概略図である。
【
図8】
図6に示すRFフラットケーブルと
図5に示すレセプタクルコネクタの結合動作が完了した状態を示す概略図である。
【
図9】他の方向から見た
図6に示すRFフラットケーブルの拡大概略図である。
【
図10】
図8に示すRFフラットケーブルとレセプタクルコネクタの結合後の全体構造を示す平面図である。
【
図14】本発明の実施例2に係るレセプタクルコネクタの概略図である。
【
図15】本発明の実施例2に係るプラグコネクタの概略図である。
【
図16】
図15に示すプラグコネクタと
図14に示すレセプタクルコネクタの結合動作の概略図である。
【
図17】
図15に示すプラグコネクタと
図14に示すレセプタクルコネクタの結合動作が完了した状態を示す概略図である。
【
図18】
図15に示すプラグコネクタを第1の方向から見た一部の構成要素の分解図である。
【
図19】
図15に示すプラグコネクタを第2の方向から見た一部の構成要素の分解図である。
【
図20】
図15に示すプラグコネクタを第3の方向から見た一部の構成要素の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、具体的な実施例を例示し、本発明の実施形態について説明する。本発明は、その他の具体的な実施例によって実行や応用することができる。当業者は、本発明に基づいて行ったあらゆる変更や修正は全て、本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0016】
<実施例1>
本実施例による蓋体付きレセプタクルコネクタは、従来のように、レセプタクルコネクタが同軸ケーブルに接合されたプラグコネクタに対する嵌合力を利用せずに、蓋体の係合によりRFフラットケーブルの位置規制を行う。これにより、レセプタクルコネクタの構成高さを効果的に低くすることができ、現在の薄型の電子機器に適用することが可能である。
【0017】
図5〜
図13は、本実施例に係る蓋体付きレセプタクルコネクタ及びそれと組み合わせて用いるRFフラットケーブルの概略図である。
図5に示すように、蓋体付きレセプタクルコネクタ3の形状は、矩形状であるが、円形などの様々な形状であってもよく、図示の形状に限定されない。本実施例の蓋体付きレセプタクルコネクタ3は、レセプタクル絶縁体31と、レセプタクル中央端子32と、レセプタクルシェル33と、金属蓋体34とを含む。
【0018】
本実施例は、上記レセプタクルコネクタ3と組み合わせて用いて、板状の多層構造であるRFフラットケーブル6をさらに提供する。
図6に示すように、RFフラットケーブル6は、従来の多層同心円構造を有する同軸ケーブルに代えて用いることが可能である。RFフラットケーブル6の多層構造は、板状の中央導体61、第1絶縁体62,62’、外部導体63,63’、及び第2絶縁体64,64’が積層されて構成されている。第1絶縁体62,62’は、中央導体61と外部導体63,63’とが短絡しないように絶縁保護を提供する。第2絶縁部64,64’は、それぞれ、外部導体63,63’の上方を覆って、外部導体63,63’を絶縁保護する。
【0019】
レセプタクル絶縁体31には、収容空間311が凹設され、当該収容空間311は、上方に向かって開放する収容口3111を有している。
図7に示すように、蓋体付きレセプタクルコネクタ3と組み合わせるRFフラットケーブル6は、上記収容口3111を上から下へ通って収容空間311の底部に当接するまで、収容空間311に進入することが可能である。レセプタクル中央端子32は、レセプタクル絶縁体31に設置され、レセプタクル絶縁体31の収容空間311の底部に露出するレセプタクル中央端子接触部321を有している。中央端子接触部321は、レセプタクル絶縁体31の収容空間311におけるRFフラットケーブル6の中央導体61に電気的に接触することで、RFフラットケーブル6の中央導体61の電気信号を受信する。それに対応するように、RFフラットケーブル6の中央導体61は、レセプタクル中央端子接触部321に対応する位置まで延びて露出され、プラグコネクタによらずに、レセプタクル中央端子接触部321に電気的に接触して、電気信号を伝達することができる。レセプタクル中央端子32は、レセプタクル絶縁体31から外部に延出されるレセプタクル中央端子ピン322(
図12に示す)をさらに有している。RFフラットケーブル6の中央導体61の電気信号を回路基板に伝達するために、レセプタクル中央端子ピン322を回路基板にボンディングしてもよい。
【0020】
上記収容空間311の断面は、ガイド面を形成するため、底部から収容口3111方向へ徐々に広がっている。このガイド面は、RFフラットケーブル6をガイドして収容空間311に進入させる。このように、小型RFフラットケーブル6が収容空間311に進入難い問題を解決できる。従って、RFフラットケーブルを蓋体付きレセプタクルコネクタに収容する作業時間を効果的に減少することができる。レセプタクル絶縁体31は、素材としてSMT高温に耐えるプラスチックを使用するのがよく、インサート射出成形や組み立て式により形成され、プラグ中央端子32及びレセプタクルシェル33を位置決めする。
図7に示すように、レセプタクル絶縁体31は、側面位置規制機構として少なくとも1つのストッパー312をさらに有している。ストッパー312は、RFフラットケーブルが上から下へ通過して収容空間311に進入する口頚部3112を形成するように、収容空間311において、横方向に延びている。このストッパー312は、RFフラットケーブル6を横方向に位置規制し、RFフラットケーブル6が口頸部3112を経由して横方向に収容空間から離れることを阻止する。
【0021】
レセプタクルシェル33は、レセプタクル絶縁体31に配置され、電気的に遮蔽する機能を提供する。レセプタクルシェル33は、レセプタクル絶縁体31の収容空間311の側面及び底部に露出するレセプタクルシェル接触部331,331’を有している。これらレセプタクルシェル接触部331,331’は、RFフラットケーブル6の外部導体63,63’と電気的に接触することによって、RFフラットケーブル6の外部導体63,63’と電気的に接続し、例えば、接地信号の電気信号を伝達する。それに対応するように、RFフラットケーブル6の外部導体63,63’は、それぞれレセプタクルシェル接触部331,331’に対応する位置まで延びて露出されている。これにより、プラグコネクタによらずに、レセプタクルシェル接触部331,331’に電気的に接触して、電気信号を伝達することができる。レセプタクルシェル33は、レセプタクル絶縁体31から外部に延出されるレセプタクルシェルピン332を有している。このレセプタクルシェルピン332を回路基板(図示せず)にボンディングすると、RFフラットケーブル6の外部導体63,63’の電気信号を回路基板に伝達することが可能である。
【0022】
なお、レセプタクル中央端子ピン322やレセプタクルシェルピン332としては、回路基板と結合するSMTピンやスルーホールピンが挙げられる。
図11に示すように、レセプタクルシェルピン332のピン数は2であり、
図12に示すように、レセプタクル中央端子ピン322のピン数は1であるが、レセプタクル中央端子ピン322とレセプタクルシェルピン332のピン数は、これに制限されることなく、状況に応じて調整可能である。
【0023】
金属蓋体34は、一端がレセプタクル絶縁体31に枢着され、他端が係合手段341を有している。金属蓋体34は、外力によって枢着回転し、レセプタクル絶縁体31の上方へ開蓋し(レセプタクル絶縁体31から離れた方向へ枢着回転)、収容空間311の収容口3111を露出させ、RFフラットケーブルが収容口3111を経由して上から下へ収容空間に進入するようになる。
【0024】
金属蓋体34は、外力によって係合手段341がレセプタクル絶縁体31に係合するまで枢着回転することにより、その内壁面が収容口3111を経由してRFフラットケーブルに対して押圧力を提供し、RFフラットケーブル6が収容口3111を経由して収容空間311から縦方向に離れることを阻止することが可能である。故に、レセプタクル絶縁体31に係合された金属蓋体34は、RFフラットケーブル6が蓋体付きレセプタクルコネクタ3から縦方向に離脱するのを効果的に防ぐことができる。
【0025】
言い換えれば、本実施例の蓋体付きレセプタクルコネクタ3のRFフラットケーブル6に対する縦方向の位置規制は、金属蓋体34及びレセプタクル絶縁体31の係合力によって達成することができる。このように、蓋体付きレセプタクルコネクタ3の嵌合高さが低くなっても、この金属蓋体34とレセプタクル絶縁体31との間の係合力によって、RFフラットケーブル6に対して十分な縦方向位置規制力を提供できる。従って、RFフラットケーブル6は外力を受けても蓋体付きレセプタクルコネクタ3から離脱し難い。
【0026】
金属蓋体34の内壁面には、押圧部342が凸設されている。押圧部342は、収容空間311におけるRFフラットケーブル6を押圧する押圧力によって、レセプタクル中央端子接触部321とRFフラットケーブル6の中央導体61とを確実に電気的に接触させる。さらに、レセプタクルシェル接触部311’とRFフラットケーブル6の外部導体63’とを確実に電気的に接触させる。
【0027】
図11に示すように、金属蓋体34とレセプタクル絶縁体31とが係合したとき、金属蓋体34は、電気通路としてRFフラットケーブル6の外部導体63を電気的に接触する。また、
図13に示すように、金属蓋体34の係合手段341がレセプタクル絶縁体31を係合したとき、係合手段341は、レセプタクルシェル接触部331’に電気的に接触するように、レセプタクル絶縁体31内にさらに延びて進入してもよい。このように、金属蓋体34によってRFフラットケーブル6の外部導体63,63’と電気的に接続し、レセプタクル絶縁体31の収容空間311に遮蔽を提供するように、シールドループを形成する。
【0028】
図12に示すように、金属蓋体34の外壁面は、開蓋部343として上方に反る部分を有している。この開蓋部343に対して付勢力が付与しやすいため、開蓋部343を介して金属蓋体34に枢着回転力を付与することにより、レセプタクル絶縁体31から金属蓋体34を開蓋し、又は金属蓋体34をレセプタクル絶縁体31に係合させることが可能である。
【0029】
<実施例2>
本実施例において、実施例1と同一部分又は類似部分には、同一符号又は類似符号を付して詳細な説明を省略する。
【0030】
本実施例による同軸ケーブルに接合されたプラグコネクタは、実施例1の蓋体付きレセプタクルコネクタと組み合わせて用いるものである。プラグコネクタとレセプタクルコネクタの嵌合後の全体高さを効果的に低くすることができ、現在の薄型の電子機器に適用することが可能である。
【0031】
図14〜
図20は、本実施例に係る蓋体付きレセプタクルコネクタ及びそれと組み合わせて用いるプラグコネクタの概略図である。
図15に示すように、プラグコネクタ4は、プラグ絶縁体41と、プラグ中央端子42と、プラグシェル43とを含む。プラグ中央端子42及びプラグシェル43は、プレス加工によって形成されてもよい。また、需要に応じて製品の寿命を長くするための表面処理を施してもよい。本実施例において、プラグシェル43の先頭端が長方形であるが、これに限定されず、組み合わせる蓋体付きレセプタクルコネクタに応じて多角形、円弧形、楕円形或いは不規則な形であってもよい。
【0032】
図16に示すように、プラグコネクタ4が、収容空間311の底部に当接するまで、蓋体付きレセプタクルコネクタ3の収容空間311に上から下へ進入することが可能である。
図17に示すように、金属蓋体34がレセプタクル絶縁体31と係合したとき、プラグ中央端子をレセプタクル中央端子に電気的に接触させるとともに、プラグシェルをレセプタクルシェルに電気的に接触させることにより、レセプタクル中央端子と同軸ケーブル5の中央導体とが導通し、レセプタクルシェルと同軸ケーブル5の外部導体とが導通することができる。
【0033】
図19に示すように、プラグ中央端子42は、プラグ絶縁体41の頭部及び尾部にそれぞれ位置するプラグ中央端子接触部421と、プラグ中央端子接合部422とを有している。プラグ中央端子接触部421は、レセプタクル中央端子接触部に接触する位置にプラグ絶縁体41から露出され、プラグ中央端子42とレセプタクル中央端子とを電気的に接触させる。プラグ中央端子接合部422は、同軸ケーブル5の中央導体51に接合するために用いられる。
【0034】
プラグシェル43の形状を、プラグ絶縁体41を覆って内部に収容するように、プラグ絶縁体41の形状に合わせて設計する。プラグシェル43の頭、尾両端にプラグシェル接触部431と複数のクリップ4311とが設けられている。そして、プラグシェル接触部431は、レセプタクルシェル接触部に接触する位置に設けられ、次のプラグシェル43とレセプタクルシェル33との結合作業が有利になる。複数のクリップ4311は、圧着接合によって同軸ケーブルの外部導体同軸ケーブル5の外部導体53と外部絶縁体54と一体化する。これにより、プラグシェル43は、電気的に遮蔽する機能を提供できる他に、接地信号を伝達する機能も提供できる。また、プラグシェル43の外壁面には、例えば、嵌合溝又は孔によって形成された誤装着防止構造を設けてもよい。この誤装着防止構造は、レセプタクル絶縁体に係合された金属蓋体に係止するために用いられ、係合の有効性を確認できる。
【0035】
プラグシェル43は、プラグ中央導体結合部422の下方位置に対応して空洞432が形成され、空洞432の周壁から遮蔽板433が延出されている。遮蔽板433を曲げることによって、空洞432を遮蔽することができる。サポーターは、遮蔽板433によって遮蔽されていない空洞432を貫通し、プラグ中央導体結合部422を中央導体51に接合する際のサポートを提供し、プラグ中央導体結合部422と中央導体51と圧着で一体化することができる。プラグ中央導体結合部422と中心導体51の圧着接合動作を完了した後、遮蔽板433を曲げることによって、空洞432を遮蔽することができ、プラグ中央導体結合部422と中心導体51との圧着結合部位を遮蔽する。なお、プラグ中央端子接合部422は、同軸ケーブル5の中央導体51と、圧接、半田付け、又はIDCソケットにより接合してもよく、本実施例の圧着接合に限定されない。
【0036】
プラグ絶縁体41は、中空フレーム設計を採用し、その尾端中央部位に、プラグ中央端子接合部422を収容する通孔411を形成している。プラグ絶縁体41の通孔411に隣り合う側壁には溝413が形成されている。同軸ケーブル5の中央導体51は、この溝413を通過することによって、通孔411に進入し、プラグ中央端子接合部422と結合する。上記側壁412の外壁面に同軸ケーブル5の内部絶縁層52の前端が押し付けられるので、次の中央導体51とプラグ中央導体結合部422との結合作業が有利になり、溝413で中央導体51が浮いた状態となり、中央導体51とプラグシェル43の距離を保って、それにより中央導体51の電気的信号の伝達が妨害されることを防止する。
【0037】
また、プラグシェル43の尾部の両側に一対の翼板が上方へ延びている。該一対の翼板は相対的に内側へ曲がることによって通孔411を遮蔽する他に、プラグ中央導体結合部422と中央導体51との接合部位を遮蔽する。これにより、中央導体51の信号伝達が外部の影響を受けないようにする。
【0038】
以上のように、本発明の蓋体付きレセプタクルコネクタは、レセプタクル絶縁体と、レセプタクル中央端子と、レセプタクルシェルと、金属蓋体とを含む。レセプタクル絶縁体には、RFフラットケーブル又はプラグコネクタを収容するための収容空間が形成される。金属蓋体は、一端がレセプタクル絶縁体に枢着されて外力によって枢着回転する。金属蓋体がレセプタクル絶縁体から離れた方向に枢着回転したとき、収容空間が露出し、RFフラットケーブル又はプラグコネクタを収容するようになる。レセプタクル中央端子は、RFフラットケーブル又は同軸ケーブル中央導体の電気信号を受信する一方、レセプタクルシェルは、RFフラットケーブル又は同軸ケーブルの外部導体の電気信号を受信する。
【0039】
金属蓋体は、他端が係合手段を有している。金属蓋体がレセプタクル絶縁体側に向かって枢着回転したとき、金属蓋体の係合手段がレセプタクル絶縁体と係合することにより、収容空間におけるRFフラットケーブル又はプラグコネクタが縦方向に移動することを規制する。このように、蓋体付きレセプタクルコネクタの高さが低くなっても、この金属蓋体とレセプタクル絶縁体との係合によって、RFフラットケーブルに対して十分な縦方向位置規制力を提供できるので、RFフラットケーブルは外力を受けてもレセプタクル絶縁体の収容空間から離脱し難い。従って、本発明の蓋体付きレセプタクルコネクタとそれと組み合わせて用いるRFフラットケーブル又はプラグコネクタとの嵌合高さを効果的に低くすることができ、現在あるいは未来の薄型の電子機器に適用することが可能である。
【0040】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。