特許第6362175号(P6362175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6362175ガイド弁ディスクを備えるスラムシャット(slam−shut−パタンと閉まる)安全装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362175
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ガイド弁ディスクを備えるスラムシャット(slam−shut−パタンと閉まる)安全装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/32 20060101AFI20180712BHJP
   F16K 17/32 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   F16K1/32 B
   F16K17/32
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-534633(P2015-534633)
(86)(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公表番号】特表2015-530542(P2015-530542A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013061790
(87)【国際公開番号】WO2014052513
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年9月21日
(31)【優先権主張番号】61/706,198
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257184
【氏名又は名称】エマーソン プロセス マネージメント レギュレーター テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EMERSON PROCESS MANAGEMENT REGULATOR TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175190
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 裕明
(72)【発明者】
【氏名】モルドヴァン,クリスティアン−ティベリウ
(72)【発明者】
【氏名】ボウブリー,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル−ヴラド,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ハル,スタンレイ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ウールームス,デイビッド イー.
(72)【発明者】
【氏名】グエン,タン ケー.
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第202418759(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0284102(US,A1)
【文献】 米国特許第04295489(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00− 1/54
F16K 17/18−17/34
F16K 17/36−17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラムシャット(パタンと閉める)安全装置であって、
入口、出口を有し、前記入口と前記出口との間に延在する流れ経路を画定する弁体であって、前記入口と前記出口との間に配設されるオリフィスを取り囲む弁座を含む、弁体と、
前記弁体に接続され、末端表面を有する喉部と、
前記弁体内に配設される弁ディスクであって、前記弁ディスクが前記弁座から離間する第1の開放位置と、前記弁ディスクが前記弁座に対して着座する第2の閉鎖位置との間でスラムシャット軸に沿って移行可能であり、径方向肩部を含む、弁ディスクと、
前記弁ディスクに動作可能に連結され、前記第1の開放位置に前記弁ディスクを配置する非作動位置と、前記第2の閉鎖位置に前記弁ディスクを配置する作動位置との間で、前記弁体に対して前記スラムシャット軸に沿って移行可能である、リセットピンであって、アクチュエータの前記非作動位置から前記作動位置への前記リセットピンの移行に応答するように配列される、リセットピンと、
前記弁ディスクに接続され、前記弁ディスクから離れて少なくとも部分的に前記リセットピンの上に延在する中空円筒部分を含むガイドカラーであって、前記弁体に接続され、前記リセットピンを支持するスラムシャット本体のガイド穴に摺動可能に配設され、それによって前記リセットピンおよび弁ディスクへのさらなる構造完全性を提供する、ガイドカラーと、を備え
前記径方向肩部は、前記弁ディスクが前記第1の開放位置にあるとき、前記喉部の前記末端表面に当接する、
スラムシャット安全装置。
【請求項2】
前記ガイドカラーが、前記弁ディスクが前記開放位置にあるときに、前記ガイドカラーの大部分が前記ガイド穴の内側に配設される退避位置と、前記弁ディスクが前記閉鎖位置にあるときに、前記ガイドカラーの大部分が前記ガイド穴の外側に配設される延在位置との間で、前記スラムシャット軸に沿って移行可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガイドカラーと前記ガイド穴の内壁との間に配設される1つ以上の位置合わせ部材をさらに備える、請求項1または2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の位置合わせ部材が、前記ガイドカラーの外壁に形成される円周陥凹内に担持される1つ以上の円周位置合わせ部材を含む、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記ガイドカラーが、前記弁ディスクの周辺部分から延在する、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記リセットピンの末端と前記弁ディスクとの間に配設されるプラグ支持部をさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記プラグ支持部が、前記弁ディスク中の開口部を通って延在する突出部を含む、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記リセットピンの周りに配設され、前記閉鎖位置に向かって前記弁ディスクを付勢するばねをさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記弁ディスクおよび前記ガイドカラーが1つの部品である、請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記ガイドカラーが、ねじ接続部、溶接継手、摩擦嵌合継手、ピン継手、接着剤継手、締結具接続部のうちの1つ以上を含む固定装置によって前記弁ディスクに接続される、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
スラムシャット安全装置であって、
弁体に接続されるように適合され、末端表面を含む、喉部を含む、スラムシャット本体と、
前記スラムシャット本体によって支持され、前記喉部から外へ延在するリセットピンであって、前記スラムシャット本体の中に退避した非作動位置と、前記非作動位置に対して前記スラムシャット本体から外へ延在する作動位置との間で、スラムシャット軸に沿って移行可能であり、かつアクチュエータの前記非作動位置から前記作動位置への前記リセットピンの移行に応答するように配列される、リセットピンと、
前記スラムシャット本体の前記喉の外側で前記リセットピンの末端に動作可能に連結される弁ディスクであって、前記スラムシャット本体が前記弁体に接続されるときに、前記弁体内に配設されるように適合され、かつ前記リセットピンが前記非作動位置にあるときの第1の開放位置と、前記リセットピンが前記作動位置にあるときの第2の閉鎖位置との間で前記スラムシャット軸に沿って移行可能であり、前記弁ディスクが前記第1の開放位置にあるとき、前記スラムシャット本体の前記喉部の前記末端表面に当接する径方向肩部を含む、弁ディスクと、
前記弁ディスクに接続され、前記弁ディスクから離れて少なくとも部分的に前記リセットピンの上に延在する中空円筒部分を含むガイドカラーであって、前記スラムシャット本体のガイド穴内に摺動可能に配設される、ガイドカラーと、を備え、
前記ガイドカラーが、前記弁ディスクが前記開放位置にあるときに、前記ガイドカラーの大部分が前記ガイド穴の内側に配設される退避位置と、前記弁ディスクが前記閉鎖位置にあるときに、前記ガイドカラーの前記大部分が前記ガイド穴の外側に配設される延在位置との間で、前記スラムシャット軸に沿って移行可能である、スラムシャット安全装置。
【請求項12】
前記ガイドカラーと前記ガイド穴の内壁との間に配設される1つ以上の位置合わせ部材をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の位置合わせ部材が、前記ガイドカラーの外壁に形成される円周陥凹内に
担持される1つ以上の円周位置合わせ部材を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ガイドカラーが、前記弁ディスクの周辺部分から延在する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記リセットピンの末端と前記弁ディスクとの間に配設されるプラグ支持部をさらに備える、請求項11〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記プラグ支持部が、前記弁ディスク中の開口部を通って延在する突出部を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記リセットピンの周りに配設され、前記閉鎖位置に向かって前記弁ディスクを付勢するばねをさらに備える、請求項11〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記弁ディスクおよび前記ガイドカラーが1つの部品である、請求項11〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記ガイドカラーが、ねじ接続部、溶接継手、摩擦嵌合継手、ピン継手、接着剤継手、締結具接続部のうちの1つ以上を含む固定装置によって前記弁ディスクに接続される、請求項11〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
スラムシャット安全装置であって、
入口、出口を有し、前記入口と前記出口との間に延在する流れ経路を画定する弁体であって、前記入口と前記出口との間に配設されるオリフィスを取り囲む弁座を含む、弁体と、
前記弁体内に配設される弁ディスクであって、前記弁ディスクが前記弁座から離間する第1の開放位置と、前記弁ディスクが前記弁座に対して着座する第2の閉鎖位置との間でスラムシャット軸に沿って移行可能である、弁ディスクと、
前記弁ディスクに動作可能に連結され、前記第1の開放位置に前記弁ディスクを配置する非作動位置と、前記第2の閉鎖位置に前記弁ディスクを配置する作動位置との間で、前記弁体に対して前記スラムシャット軸に沿って移行可能であるリセットピンであって、アクチュエータの前記非作動位置から前記作動位置への前記リセットピンの移行に応答するように配列される、リセットピンと、
前記弁ディスクに隣接した前記弁体内に生じた流体力の有害作用から前記リセットピンを保護するために前記弁ディスクに連結される第1手段と、を備え、
前記弁ディスクは、前記弁ディスクが前記第1の開放位置にあるとき、前記弁ディスクに隣接した前記弁体内に生じた流体力の有害作用から前記リセットピン及び前記第1手段を保護するための第2手段を含む、
スラムシャット安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガス供給システムのための流体制御要素、より具体的には、ガス供給システムのためのスラムシャット安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスを供給するために使用されるシステム等のガス供給システムは、通常、一連の配管に沿って、一連の弁を通って、生産者から消費者へとガスを輸送する。それぞれのガス供給システムは、この供給システム内のガスの圧力を制御する1つ以上の調整弁を含み得る。通常、ガスは、このシステムを通じて高圧で送られる。しかしながら、ガスの圧力は、消費者への最終供給の前に低減されなければならない。この減圧は、通常、ローカルネットワーク内の減圧ステーションで達成される。
【0003】
通常、これらの減圧ステーションは、1つ以上の圧力調整弁と、圧力調整弁が故障した場合にガスの流れを遮断するための何らかの安全装置とを備える。最も一般的には、スラムシャット安全弁がこの目的のために使用される。例えば、米国特許第4,134,421号(参照により本明細書に組み込まれる)は、輸送管における超過圧力保護を提供するスラムシャット安全弁を開示する。スラムシャット安全弁の別の例は、米国特許第8,225,812号に開示されており、これも参照により本明細書に組み込まれる。スラムシャット安全弁は、概して、圧力調整弁の上流に配置され、これにより、スラムシャット弁は、圧力調整弁が故障した場合に、ガスが圧力調整弁に到達するのを防ぐことができる。スラムシャット安全弁は、圧力調整弁の下流のガス圧の最大限および最小限の圧力耐性について監視する。下流圧力が最大限および最小限の耐性を超える場合、スラムシャット安全弁は閉口し、圧力調整弁へのガスの流れを止め、圧力調整弁の故障による制御されていないガス漏出を防ぐ。
【0004】
既知のスラムシャット安全弁は、超過圧力または過小圧力状態を検知するときに、弁座の近くにある弁オリフィスを覆う弁ディスクを有する。弁ディスクは、リセットピンに連結され、リセットピンは順に、超過圧力または過小圧力状態を検知するアクチュエータに取り付けられる。リセットピンは、通常、開放または非作動位置にあり、開放位置に弁座から離れて弁ディスクを配置する。万が一、アクチュエータが適切な遮断状態を検知した場合、このアクチュエータはリセットピンを解除し、弁ディスクが弁座に対して閉鎖位置に移行する。
【0005】
従来のスラムシャット装置では、リセットピンは、流体の流れに露出されている。さらに、ある特定の流れ条件下で、例えば、比較的高い流れ条件下で、流体流れによって生じた力は、リセットピンの適切な動作に影響を及ぼし得、さらに、リセットピンを変形させ(例えば、折り曲げ)得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様は、弁体、弁ディスク、レストピン、およびガイドカラーを含むスラムシャット安全装置を提供する。弁体は、入口、出口を有し、入口と出口との間に延在する流れ経路を画定する。弁体はまた、入口と出口との間で配設されるオリフィスを取り囲む弁座も含む。弁ディスクは、弁体内に配設され、弁ディスクが弁座から離間する第1の開放位置と、弁ディスクが弁座に対して着座する第2の閉鎖位置との間でスラムシャット軸に沿って移行可能である。リセットピンは、弁ディスクに動作可能に連結され、第1の開放位置に弁ディスクを配置する非作動位置と、第2の閉鎖位置に弁ディスクを配置する作
動位置との間で、弁体に対してスラムシャット軸に沿って移行可能である。リセットピンは、アクチュエータの非作動位置から作動位置へのリセットピンの移行に応答するように配列される。ガイドカラーは、弁ディスクに接続され、弁ディスクから離れて少なくとも部分的にリセットピンの上に延在する中空円筒部分を含む。ガイドカラーはまた、弁体に接続され、リセットピンを支持するスラムシャット本体のガイド穴内に摺動可能に配設され、それによってレストピンおよび弁ディスクへのさらなる構造完全性を提供する。
【0007】
本開示の別の態様は、スラムシャット本体、リセットピン、弁ディスク、およびガイドカラーを含むスラムシャット安全装置を提供する。スラムシャット本体は、弁体に接続されるように適合された喉部を含む。リセットピンは、スラムシャット本体によって支持され、喉部から外へ延在する。リセットピンは、スラムシャット本体に退避される非作動位置と、退避位置に対してスラムシャット本体から外へ延在する作動位置との間でスラムシャット軸に沿って移行可能である。リセットピンは、アクチュエータの非作動位置から作動位置へのリセットピンの移行に応答するように配列される。弁ディスクは、スラムシャット本体の喉の外側でリセットピンの末端に動作可能に連結され、スラムシャット本体が弁体に接続されるときに、弁体内に配設されるように適合される。弁ディスクは、リセットピンが非作動位置にあるときの第1の開放位置と、リセットピンが作動位置にあるときの第2の閉鎖位置との間でスラムシャット軸に沿って移行可能である。ガイドカラーは、弁ディスクに接続され、弁ディスクから離れて少なくとも部分的にリセットピンの上に延在する中空円筒部分を含む。ガイドカラーはまた、スラムシャット本体のガイド穴内に摺動可能に配設され、そのため、ガイドカラーが、弁ディスクが開放位置にあるときに、ガイドカラーの大部分がガイド穴の内側に配設される退避位置と、弁ディスクが閉鎖位置にあるときに、ガイドカラーの大部分がガイド穴の外側に配設される延在位置との間で、スラムシャット軸に沿って移行可能である。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、入口、出口を有し、入口と出口との間で延在する流れ経路を画定する弁体を含むスラムシャット安全装置を提供する。弁体はまた、入口と出口との間に配設されるオリフィスを取り囲む弁座を含む。本装置は、弁体内に配置され、弁ディスクが弁座から離間する第1の開放位置と、弁ディスクが弁座に対して着座する第2の閉鎖位置との間でスラムシャット軸に沿って移行可能である、弁ディスクをさらに含む。本装置は、弁ディスクに動作可能に連結され、第1の開放位置に弁ディスクを配置する非作動位置と、第2の閉鎖位置に弁ディスクを配置する作動位置との間で、弁体に対してスラムシャット軸に沿って移行可能であるリセットピンをさらに含む。リセットピンはまた、アクチュエータの非作動位置から作動位置へのリセットピンを移行に応答するように配列される。本装置はなお、弁ディスクに隣接した弁体中に生じた流体力の有害作用からリセットピンを保護するために弁ディスクに連結される手段と、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】先行技術のスラムシャット安全弁の、閉鎖位置にある弁ディスクを示す断面図である。
図2】開放位置にある弁ディスクを示す、図1のスラムシャット安全弁の拡大切断図である。
図3】ガイド弁ディスクを組み込む、本開示の教示に従って構成されたスラムシャット安全弁の断面図である。
図4】閉鎖位置にある弁ディスクを示す、図3のスラムシャット安全弁の拡大切断図である。
図5】開放位置にある弁ディスクを示す、図3のスラムシャット安全弁の拡大切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、図面を参照すると、図1および2は、既知のスラムシャット安全装置10の一例を例示する。スラムシャット安全装置10は、ガス供給システムにおいて主要な調整装置(図示せず)に取り付けられ、主要な調整装置の故障の場合には、安全遮断機能を提供し得る。スラムシャット安全装置10は、弁部11、スラムシャット部13、およびアクチュエータ15を含む。弁部11は、流れ経路18を形成する流体通路によって接続される流体入口14および流体出口16を有する弁体12を含む。弁座20は、弁体12内に配設され、流れ経路18の一部を形成する流れオリフィス21を画定する。そのため、スラムシャット安全装置10を通って流れる流体は、流体入口14から弁座20(および弁座20によって形成される流れオリフィス21)を含む流れ経路18を通って流体出口16へと流れる。
【0011】
スラムシャット部13は、超過圧力または過小圧力状態が主要な調整装置の下流で検知されるときに、弁座20と協働して、弁体12を通る流体流れを制限する弁ディスク22を含む。弁ディスク22は、流体オリフィス21を閉鎖するために、弁座20に向かって弁体12内で摺動し、流体オリフィス21を開放するために、弁座20から離れる。通常、アクチュエータ15は、1つ以上のばね28を収容する筺体26を含み、ばね28は、通常、ダイアフラム30に接続される。ダイアフラム30は、アクチュエータ15内の圧力変化に敏感であり、圧力変化に応答してアクチュエータ筺体26内で動く。ダイアフラム30は、筺体26内でダイアフラム30と連動して長手方向に動くバックプレート32に接続される。バックプレート32は、カム34と相互作用し、リセットピン36を係合または解除する。リセットピン36は、弁ディスク22が流れオリフィス21を開放する開放位置で弁座20から離間する退避または非作動位置と、弁ディスク22が流れオリフィス21を閉鎖する閉鎖位置で弁座20に対して着座する延在または作動位置との間で弁体12に対してスラムシャット軸Aに沿って移行可能である。
【0012】
スラムシャット部は、弁ディスク22を閉鎖位置に向かって付勢するように作用するばね37または他の好適な付勢する機構を含む。そのため、リセットピン36は、アクチュエータ15が超過圧力状態または過小圧力状態のいずれかを検知するときに、非作動位置と作動位置との間で移行可能である。アクチュエータ15は、カム34に対しリセットピン36を解除させ、その結果、ばね37は、リセットピン36、ひいては、弁ディスク22を弁座20に向かって摺動させ、最終的には、弁ディスク22を弁座20と接触させ、流れオリフィス21を閉鎖し、弁体12内で流れ経路18を通る流体流れを遮断する。
【0013】
図2は、スラムシャット安全装置10のスラムシャット部13の近景図を示す。リセットピン36が弁ディスク22に接続されて示され、リセットピン36は、弁座20から離間する開放位置に弁ディスク22を配置する非作動位置に配設されている。リセットピン36は、非作動位置に位置付けられる場合、カム34が、弁ディスク22が弁座20から離間する非作動位置(装備位置とも称され得る)にリセットピン36を取り外し可能に保持することができるように、カム34または他の好適なラッチ機構によって適所に保持される。カム34がアクチュエータ15によって作動されるときに、カム34は、リセットピン36を解除し、弁ディスク22が弁座20に向かって摺動するか、またはそうでなければ、弁座20に向かって移行して、スラムシャット安全装置10を閉鎖し、弁体12の流れ経路18を通る流体流れを防ぐ。
【0014】
ここで、図3〜5を参照すると、本開示の教示に従って組み立てられたスラムシャット安全装置110が示される。スラムシャット安全装置110は、図1および2に関して上で論じられたスラムシャット安全装置10と同様であり得、したがって、同じか、または同様の要素は、同じ参照番号を有するが、参照番号が100だけ増加する。再度述べるが、スラムシャット安全装置110は、ガス供給システムにおいて主要な調整装置(図示せず)に取り付けられ、主要な調整装置の故障の場合には、安全遮断機能を提供し得る。図
3に示されるように、スラムシャット安全装置110は、スラムシャット部113およびアクチュエータ115を含み得、弁部111に接続されるように適合される。弁部111は、流体入口114と流体出口116とを有する弁体112を含み、入口114および出口116は流れ経路118を形成する流体通路によって接続される。図3〜5に示されるように、弁座120は、弁体112内に配置され、流れ経路118の一部を形成する流れオリフィス121を画定する。そのため、弁部111を通って流れる流体は、流体入口114から弁座120(および弁座120によって形成される流れオリフィス121)を含む流れ経路118を通って流体出口116へと流れる。
【0015】
図3に示される変形例では、スラムシャット安全装置110は、スラムシャット部113の弁ディスク122を受容するために弁体112の喉部141内に実装されるケージ140を含む。しかしながら、他の変形例は、図4および5に示されるものと同様に、ケージ140を含まない。
【0016】
図3〜5のスラムシャット部113は、スラムシャット本体151と、スラムシャット本体151のリセット穴155内に摺動可能に配設されるリセットピン136とを含む。示されるように、リセットピン136およびリセット穴155は、一般的なスラムシャット軸A(図3に示される)上に配設される。スラムシャット本体151は、リセット穴155と弁体112の喉部141との間に配設される喉部153をさらに画定する。スラムシャット本体151の喉部153は、弁体112の喉部141に接続される。図1および2に示される例と同様に、弁ディスク122は、超過圧力または過小圧力状態を主要な調整装置の下流で検知するときに、弁座120と協働して、スラムシャット安全装置110を通る流体流れを制限する。弁ディスク122は、アクチュエータ115の作動に応答して、流体オリフィス121を閉鎖するために、弁座120に向かってスラムシャット軸Aに沿って移行し、既知の様式において、リセットピン136の操作に応答して、流体オリフィス121を開放するために、弁座20から離れてスラムシャット軸Aに沿ってさらに移行するように、リセットピン136の末端136aに動作可能に接続される。
【0017】
図4および5を参照すると、スラムシャット安全装置110の本変形例は、リセットピン136の末端136aに弁ディスク122を動作可能に接続するプラグ支持部160を含む。プラグ支持部160は、本体部164と、本体部164から離れて延在する突出部166とを含む。本体部164は、リセットピン136の末端136aを受容し、これに接続されるブラインドボア168を画定する全体的に円筒形の形態を含む。また、既知の様式において、プラグ支持部160をリセットピン136に接続するために、クリップ165も含まれ得る。突出部166はまた、全体的に円筒形の形態を含むが、本体部164の直径よりも実質的には小さい直径を有する。示されるように、突出部166は、弁ディスク122の中央開口部122aを通って延在する。開示される変形例において、弁座120に対し、弁ディスク122の位置合わせを容易に行うために突出部166に沿って軸方向に制限された距離で弁ディスク122を浮かせることができる様式において、プラグ支持部160上の弁ディスク122を保持するために、ロッキングクリップ170を突出部166に固定する。
【0018】
図3に戻って参照すると、スラムシャット安全装置110の本変形例のアクチュエータ115は、1つ以上のばね128を収容する筺体126を含み、ばね128は、通常、ダイアフラム130に接続される。ダイアフラム130は、アクチュエータ115内の圧力変化に敏感であり、圧力変化に応答してアクチュエータ筺体126内で移行する。ダイアフラム130は、バックプレート132に接続され、筺体126内でダイアフラム130に連動して長手方向に動く。バックプレート132は、カム134と相互作用し、リセットピン136を係合または解除する。前述のように、リセットピン136は、弁ディスク122が流れオリフィス121を開放する開放位置(図5)で弁座120から離間する退
避または非作動位置と、弁ディスク122が流れオリフィス121を閉鎖する閉鎖位置(図3および4)で弁座120に対して着座する延在または作動位置との間で弁体112に対してスラムシャット軸Aに沿って移行可能である。スラムシャット部113は、プラグ支持部と、スラムシャット本体151に実装され、弁ディスク122に隣接したばね座171との間で、リセットピン136の末端136a付近に、ばね137または他の好適な付勢する機構をさらに含む。ばね137は、弁ディスク122を閉鎖位置に向かって付勢するように作用する。
【0019】
その結果、前述のように、リセットピン136は、アクチュエータ115が超過圧力または過小圧力状態のいずれかを検知するときに、非作動位置と作動位置との間でスラムシャット軸Aに沿って移行可能である。アクチュエータ115は、カム134に対しリセットピン136を解除し、そのため、ばね137は、リセットピン136、ひいては、弁ディスク122を弁座120に向かって摺動させるか、またはそうでなければ、弁座120に向かってスラムシャット軸Aに沿って移行させ、最終的には、弁ディスク122を弁座120と接触させ、流れオリフィス121を閉鎖し、流れ経路118を通る流体流れを遮断する。より具体的には、図4に示されるように、ばね137は、リセットピン136、プラグ支持部160、および弁ディスク122を弁座120に向かってそして閉鎖位置にする原因となる。閉鎖位置を占めるとき、弁ディスク122の陥凹前面192内に担持される第1の封止挿入体191は、オリフィス121の末端193を封止係合して、流体密封封止を提供する。さらに、閉鎖位置にあるときに、弁ディスク122の背面194上に担持される第2の封止挿入体195は、プラグ支持部160の肩表面197によって封止係合される。肩表面197と第2の封止挿入体195との間の封止係合は、流体が弁ディスク122の中央開口部122aを通って漏出するのを防ぐ流体密封封止を提供する。
【0020】
装置の動作中、弁ディスク122が開放位置にあるとき、または閉鎖位置から離れて変位した別の位置にあるとき、流体は、弁体112を通って流れ、流体力は、弁ディスク122に作用する。上述のように、図1および2について、そのような流体力は、例えば、従来のスラムシャット安全装置10のリセットピン36等の弁ディスク122を支持する構造物を変形させるには十分高いものであり得る。
【0021】
しかしながら、従来のスラムシャット安全装置10と対照的に、図3〜5を参照して開示されるスラムシャット安全装置110の変形例は、ガイドカラー162を含む。図4および5に最良に示されるように、スラムシャット安全装置110の現在開示される変形例のガイドカラー162は、弁ディスク122に接続され、少なくとも部分的にリセットピン136の上に延在する中空円筒部分174を含む。より具体的には、本変形例において、ガイドカラー162の第1の末端162aは、本変形例の弁ディスク122およびガイドカラー162が1つの部品になるように、弁ディスク122の周辺部分161に一体化して接続される。他の変形例において、ガイドカラー162は、ねじ接続部、溶接継手、摩擦嵌合継手、ピン継手、接着剤継手、締結具接続部、または任意の他の好適な手段によって弁ディスクに接続され得る。
【0022】
図4および5に継続して参照して、ガイドカラー162は、スラムシャット本体151の喉部153内に摺動可能に配設される。より具体的には、スラムシャット安全装置110は、ガイド穴176を画定し、ガイドカラー162は摺動可能に配設される。図3〜5に示されるスラムシャット本体151の変形例において、スラムシャット本体151は、形成または機械加工され得、そのため、例えば、スラムシャット本体151がガイド穴176の内壁176aを画定するように、ガイド穴176がスラムシャット本体151に直接形成される。しかしながら、他の変形例では、ガイド穴176および内壁176aを画定するために、中空スリーブがスラムシャット本体151の喉153に挿入され得る。
【0023】
スラムシャット安全装置110が上述のように構成され、ガイドカラー162は弁ディスク122およびリセットピン136を用いて、スラムシャット軸Aに沿って移行可能であることが見出され得る。つまり、ガイドカラー162は、弁ディスク122が開放位置にあるときには、図5に示されるような、退避位置と、弁ディスク122が閉鎖位置にあるときに、図4に示されるような、延在位置との間で、スラムシャット軸Aに沿って移行可能である。退避位置では、ガイドカラー162の大部分が、ガイド穴176の内側に配設される。さらに、本変形例では、弁ディスク122は、ガイドカラー162が退避位置にあるときに、スラムシャット本体151の喉部153の末端表面157に当接するように適合される径方向肩部175を含み得る。そのため、この退避位置では、弁体112内で生じ、弁ディスク122に作用するあらゆる流体力がガイドカラー162に伝達され、最終的には、スラムシャット本体151の喉部153によって負担される。同様に、退避位置から離れて延在位置へと変位されると、例えば、弁ディスク122が閉鎖位置に到達する前に、弁体112中に存在するあらゆる流体力がガイドカラー162に伝達され、最終的には、スラムシャット本体151の喉部153によって負担される。そのため、他の開示される特徴と組み合わせてガイドカラー162は、リセットピン136から離れて流体力を有効に伝達し、それによって、スラムシャット安全装置110の強度、完全性、および有用寿命を最大限にすることが理解されよう。
【0024】
ガイド穴176に対するガイドカラー162の変位を容易にするのを支援するために、図3〜5に示されるガイドカラー162の変形例は、ガイドカラー162と、ガイド穴176の内壁176aとの間で配設される1つ以上の位置合わせ部材180をさらに含み得る。スラムシャット安全装置110の開示される変形例には、ガイド穴176の内壁176aは、滑らかな円柱面であり、位置合わせ部材180は、ガイドカラー162の外壁184において形成される対応する円周陥凹182内に担持される、弾性材料(例えば、ゴム、プラスチック等)、黒鉛材料、金属材料、または任意の他の好適な材料から構成される、円周形態を含み得る。他の変形例では、ガイドカラー162の外壁184は、滑らかな円柱面を含み得るが、一方、1つ以上の位置合わせ部材180は、ガイド穴176の内壁176aに形成される円周陥凹内に担持される。いくつかの変形例において、位置合わせ部材180は、ガイドカラー162とガイド穴176との間に流体密封封止を提供する。いくつかの変形例において、位置合わせ部材180は、スラムシャット軸Aに対してガイドカラー162の位置合わせを提供することによって、必ずしも流体密封封止を提供しない。そのような変形例において、弾性位置合わせ部材180は、例えば、弁座120を係合するときに、スラムシャット軸Aに対してガイドカラー162のいくつかの調節を可能にし得る。さらに、位置合わせ部材180は、任意に、ガイドカラー162の内部チャンバ188と弁体112の流体流れ経路118との間に流体連結を提供する1つ以上の軸方向の開口部を含み得る。そのような軸方向の開口部は、ガイドカラー162が弁ディスク122とともに変位するときに、流体を内部チャンバ188中に、そしてそれから外へ排出することができ、それによって、装置110の動作中、チャンバ188内に生じる任意の吸引および/または圧縮の作用を低減させる。図4および5に開示されるもののような、他の変形例において、流体は、弁ディスク122の中央開口部122aを通ってガイドカラー162の内部チャンバ188中に、そしてそれから外へ排出することができる。つまり、図5に示されるように、閉鎖位置以外のすべての位置では、プラグ支持部160の肩表面197は、第2の封止挿入体195(図5を参照のこと)から離間し得、それによって、プラグ支持部160の突出部166と、内部チャンバ188中に、そしてそれから外への流体流れに対応させるために流れ経路を画定する中央開口部122aとの間に小さなギャップを開放する。
【0025】
前述から、スラムシャット安全装置110の開示される構成は、弁ディスク122の動作および動きにおける流体移動の作用を有利に最小限に抑え、そうでなければリセットピン136自体によって少なくとも部分的に負担されたであろうスラムシャット本体151
によって負担される力を偏向させることによって、リセットピン136の構造完全性を維持し得ることが理解されるべきである。したがって、この構築物は、意図される機能性を維持し、スラムシャット安全装置110の有用寿命を最大限にする。したがって、力を記載される様式で伝達するためにガイド穴によって誘導されガイド穴にかかる本明細書に記載されるガイドカラーのいずれの変形例も、弁ディスクに隣接した弁体内に生じた流体力の有害作用からリセットピンを保護するために弁ディスクに連結される手段と称され得る。
【0026】
スラムシャット装置のある特定の代表的な変形例および詳細を、本発明を例示する目的で本明細書に記載されてきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、開示される装置における様々な変更をなし得、以下の特許請求の範囲によって定義され、前述による任意の様式において制限されないことは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5