【実施例】
【0041】
本発明の一態様は、以下の実施例を参照として詳細に記載する。
銅合金ストリップは所望の厚さに加工し、アニールして軟化させ、通常プロセスにより清浄化して最終圧延前にストリップから酸化物を除去する。所望の表面仕上げを与えるように意図された表面をもつ作業ロールを圧延装置スタンド(rolling mill stand)に装填する。コイル状のストリップをこの圧延装置に装填して、最終厚さになるまで一回以上圧延する。所望の表面仕上げとなる作業ロールに必要とされる表面仕上げは、合金、生じる(incomoing)硬度、生じる表面仕上げ、減少パススケジュール(reduction pass schedule)及び当業者に公知の他の因子に依存する。圧延済みストリップの所望の表面仕上げは2〜50マイクロインチRaであるべきであり、好ましくはこの仕上げは4〜36マイクロインチRaであり、最も好ましくは6〜14マイクロインチRaであるべきである。圧延後、コイル状のストリップを半連続清浄ラインに入れて、市販の脱脂溶液を使用して残存する圧延潤滑剤を除去し、水(疎水性曇り防止剤を適用せずに)で濯ぎ、熱空気で乾燥する。清浄ラインから出る乾燥ストリップは、輸送し易くするためにコイル状に巻き戻す。最終の幅に細長く切断し、輸送用に包装するのは、消費者にとって視覚的に好ましくないコーティングされていないストリップが大気によって過剰に酸化されないように、最少遅延で実施すべきである。ストリップ表面の通常の変色及び僅かな酸化は、プロセスの一部として予想され、ストリップの抗菌特性に役立ち得る。表面仕上げをさらに精微化するために必要によりブラシ掛けまたはバフ研磨を任意に使用して清浄処理を実施することができる。
【0042】
本発明のさらなる態様は、以下の実施例を参照として記載されよう。
銅合金ストリップは、すぐに仕上げができる所望の厚さに加工し、アニールして軟化させ、通常のプロセスにより清浄化して最終圧延前にストリップから酸化物を除去する。所望の表面仕上げを提供するように意図した表面を有する作業ロールを圧延装置スタンドに装填する。コイル状のストリップを圧延装置に装填し、一回以上通過させて最終厚さに圧延する。所望の表面仕上げが得られるように操作ロール上に必要な表面仕上げは、合金、生じる硬度、生じる表面仕上げ、減少パススケジュール及び当業者に公知の他の因子に依存する。圧延済みストリップの所望の表面仕上げは2〜50マイクロインチRaであるべきであり、好ましくはこの仕上げは4〜36マイクロインチRaであり、最も好ましくは6〜14マイクロインチRaであるべきである。圧延後、コイル状のストリップを半連続清浄ラインに入れて、市販の脱脂溶液を使用して残存する圧延潤滑剤を除去し、水で濯ぎ、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸または同様のものなどの金属酸化物を減少または溶解させるのに好適な酸の溶液で処理する。多くの市販配合物は、硫酸濃度、通常<30%(過酸化水素などの酸化剤を添加することができる)に依存し、続いて(疎水性曇り防止剤を適用せずに)水洗し、熱空気で乾燥する。硫酸濃度は好ましくは<25%であり、より好ましくは10〜20%である。(所望により)過酸化水素含有量は好ましくは<15%であり、より好ましくは0.5〜3%である。他の酸及び酸化剤も同様に使用することができる。この実施例は単なる例示であり、本発明で具体化された一般原則の適用を制限するものではない。清浄ラインから出る乾燥ストリップは、輸送し易くするためにコイル状に巻き戻す。最終の幅に細長く切断し、輸送用に包装するのは、消費者にとって視覚的に好ましくないコーティングされていないストリップが大気によって過剰に酸化されないように、最少遅延で実施すべきである。ストリップ表面の通常の変色及び僅かな酸化は、プロセスの一部として予想され、ストリップの抗菌特性に役立ち得る。表面仕上げをさらに精微化するために必要によりブラシ掛けまたはバフ研磨を任意に使用して清浄処理を実施することができる。清浄化は、両方の脱脂及び酸処理の装置が利用可能であれば、一つの連続清浄ラインで実施することができる。そうでない場合には、これらの操作は二つの個別の清浄ラインで実施することができる。個別の清浄ラインで実施する場合、疎水性曇り防止剤を最初のラインの乾燥前に適用して、酸処理前にストリップに表面保護を提供することができるが、細長く切断する前に最終処理に続いてそのような阻害剤は適用できない。
【0043】
本発明のさらなる態様は、以下の実施例を参照として説明されよう。
銅合金ストリップは通常の商業的な方法によって加工して、2〜50マイクロインチRaの圧延ストリップの所望の表面仕上げとする。好ましくはこの仕上げは4〜36マイクロインチRaであるべきであり、最も好ましくは6〜14マイクロインチRaであるべきである。ストリップはそのまままたは脱脂して輸送することができ、あるいは(続く形成プロセスのために所望により)アニールして軟化させ、アニールプロセスの間に形成した酸化物を除去する。清浄後、ストリップを疎水性曇り防止剤でコーティングして、表面条件及びストリップの外観を保持し、これは、スタンピング、描画(drawing)、曲げ、鋳造などの通常の商業プロセスにより完成部品に形成する。これらの方法は当業者に公知である。次いでストリップを所望により完成部品に形成する。
【0044】
形成後、及び最終組立の前後、及び製品を使用するために設置する前に、(単数または複数の)製品を商業的な脱脂溶液を使用して清浄化して、成形用潤滑剤として使用した油、ワックス及びグリース残留物を除去し、及び/または水で濯ぎ(疎水性曇り防止剤を適用せずに)、及び/または熱空気で乾燥する。製品は、前記処理前に、コーティング、ラッカー、塗料や他のポリマー仕上げ材で処理すべきではない。脱脂処理に続いて、これらは上記のように酸溶液で処理することもできる。たとえば、上記の硫酸<30%(これに過酸化水素などの酸化剤を添加することができる)及び/または水で濯ぎ(疎水性曇り防止剤を適用せずに)及び/または熱空気で乾燥する。
【0045】
成形した部品は、脱脂後、処理して銅合金表面の酸化状態を慎重に変化させて、抗菌特性を高めるために表面の銅の生物利用性を高める。これは、0C〜500Cの温度で種々の時間、空気(またはO
2、H
2、N
2、またはAg、P、S、N、Cなどの化合物などの種々の構成要素のいずれかを含む反応性雰囲気)中に暴露することを含む、多くの方法のいずれかにより;硫化物、ハロゲン、塩及び希酸の溶液との処理により;酸素を慎重に添加した水との処理により;過酸化水素または同様の酸化剤の溶液との処理により;及び当業者に公知の他の方法により実施することができる。この処理の意図は、銅合金表面の酸化を防ぐ通常の商習慣ではなく、当該表面をより化学的に活性化することである。
【0046】
上記実施例は単なる例示であって、本発明の原理の適用を制限するものではない。他の具体的な装置を使用して、所望の表面粗度または仕上げを達成することができる。油分、グリース及び他の表面フィルムを除去するために他の溶液を使用することができる。種々の酸及び濃度を使用することができ、過酸化水素以外の酸化剤も同様に使用することができる。具体的な特性の表面粗度及び仕上げを作る、及び/またはその銅合金表面を商業的な脱脂処理にかけて疎水性表面フィルムを除去する、及び/またはその表面を酸及び/または酸化剤で処理して、処理面と水溶液との間の接触角を高めて処理表面の銅の生物学的利用性を高める、及び/またはその表面を好適な雰囲気及び温度に暴露して、銅イオンの放出をさらに促進させる、及び/または抗菌作用のためにそのように処理した表面上に疎水性保護及び曇り防止フィルムの使用を除外する原理は、本発明の基本的な部分である。
【0047】
本発明の銅及び銅合金表面は、多くの用途で使用することができ、たとえば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
医療機器
電化製品
点灯装置及び制御機器
衛生器具
手工具
救急処置具
車輌の接触面
農産物及び肉処理包装用の加工機器
農業
穀物または食品貯蔵
水/給食
耳標
乳製品及び肉加工
ファストフード及び商業レストラン
携帯電話及び電気通信
コンピューター(キーボード及び周辺機器)
マスク及び呼吸装置
建材及び建築でのモールドプルーフィング(mold proofing)。
【0048】
本明細書を通して、脱脂(degreasing)及び清浄(cleaning)なる用語を繰り返し使用する。表面を清浄/脱脂する多くの別の方法も予想され、以下のもの:
1)研磨剤で清浄/グリット吹きつけ
2)カソード清浄(cathodic cleaning)/脱脂
3)アノード清浄(anodic cleaning)/化学粉砕(chemical milling)
4)電解及び電気化学的清浄
5)超音波または他の音響活性の適用
6)特別な医学用途用のイオンミリング(ion milling)
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
一態様において、以下の:
超音波+アノード(andoic)電解清浄+カソード化学ミリング
の全てを実施するのが好ましい。
【0050】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]銅ストリップの製造法であって、
a.所定の厚さと所定の抗菌特性に加工すべき銅合金ストリップを準備する;
b.前記銅合金ストリップをアニールする;
c.前記銅合金ストリップを清浄化して最終圧延前に酸化物を除去する;
d.前記銅合金ストリップをコイル形で圧延ミルに装填し、所定の厚さに圧延する;
e.前記銅合金ストリップは、2〜50マイクロインチの表面粗度を有し、より正確な範囲の表面粗度は、前記所定の抗菌特性に依存して少なくとも一部決定される;
f.前記銅合金ストリップをコイル形で少なくとも半連続式の清浄ラインに装填し、残っている全ての圧延潤滑剤を除去する;
g.脱脂溶液を使用してそのような潤滑剤を除去する;
h.前記銅合金ストリップを水で濯ぎ、乾燥する;
i.前記銅合金ストリップをコイル形に巻き戻す;及び
j.前記銅合金ストリップを細長く切断して所定の幅に形成し、前記銅合金ストリップの側面が大気中の酸素と隔絶するコーティングを処置せずに出荷用に包装する、各段階を含む前記製造法。
[2]前記表面粗度が4〜36マイクロインチである、[1]に記載の方法。
[3]前記表面粗度が6〜14マイクロインチである、[1]に記載の方法。
[4]前記銅合金ストリップを、金属酸化物を溶解するように構成された酸で処理する、[1]に記載の方法。
[5]前記酸は30%未満の濃度の硫酸である、[4]に記載の方法。
[6]前記硫酸を酸化剤と組み合わせる、[5]に記載の方法。
[7]前記酸化剤が過酸化水素である、[6]に記載の方法。
[8]前記硫酸が10%〜20%濃度であり、前記過酸化水素が0.5〜3%濃度である、[7]に記載の方法。
[9]前記銅合金ストリップを、加熱吹き込み乾燥空気を適用して乾燥する、[8]に記載の方法。
[10]前記表面粗度が6〜14マイクロインチRaである、[9]に記載の方法。
[11]溶液中に溶解した銅を連続して補充する溶液を提供する方法であって、
a.銅合金接触面をもつ中実の銅合金の塊を準備する、ここで前記銅合金表面は、微生物を殺すために所定の表面粗度と関連する所定の特性とを有する;
b.前記銅合金接触面は、前記銅合金接触面を覆い、前記銅表面接触面が大気中の酸素に暴露されないように隔絶し、さらに前記銅合金接触面に高い濡れ角を提供するバリヤコーティングをその表面上に持たない;
c.前記銅合金接触面は連続する銅供給源を提供するように構成された表面である;
d.微生物を殺すための前記所定の特性のため、ヒトの手または汚染粒子と接触するために暴露し易いように構成される用途に前記銅合金接触面をもつ銅合金の塊を効果的に配置すると、前記銅合金表面上の生存している危険な病原菌の減少を導くことをユーザーに助言することによって、前記銅合金の塊の設置を指示する、各段階を含む、前記方法。
[12]配置の前記指示段階が、中実の銅合金の塊から有用な物品を製造し、ユーザーに前記有用な物品が抗菌特性をもつことを助言する段階を含む、[11]に記載の方法。
[13]前記有用な物品が政府によって鋳造され流通用に放出される硬貨である、[12]に記載の方法。
[14]抗菌特性をもつ有用な物品を設計及び製造する方法であって、
抗菌特性が有用な物品の最小設計要件であることを決定する;
前記有用な物品の接触面の表面粗度特性を抗菌特性の最小要件に少なくとも一部基づいて決定する;
銅合金接触面上に配置された溶液中に高濃度で溶解させるべき銅供給源を連続供給するために、前記表面粗度特性と実質的に適合するように構成される銅合金接触面を提供する、各段階を含む、前記方法。
[15]抗菌消費材の販売法であって、
有用な機能を果たしつつ、有用な消費材の操作の間にヒトの手の一部で触るように構成される、接触面をもつ有用な機能を果たす有用な消費材を提供する;
ここで前記接触面は、2〜50マイクロインチRaの粗度特性をもつ銅合金接触面を含み;
ここで前記接触面は前記接触面を大気中の酸素と隔絶するコーティングをもたない;及び
前記有用な消費材は、前記銅合金接触面上に少なくとも一部基づく接触面上の生存している微生物の量を経時で減少させる傾向のある特性をもつと主張する、各段階を含む、前記方法。
[16]前記有用な消費材がドアノブであり、前記銅合金接触面は6〜14マイクロインチRaの粗度特性をもつ、[15]に記載の有用な消費材の販売法。
[17]前記有用な消費材がドアの押し板であり、ここで前記銅合金接触面は、銅合金接触面の濡れ角を増加させる傾向のあるコーティングをこの表面にもたない、[15]に記載の消費材の販売法。
[18]前記有用な消費材が調理器具である、[15]に記載の有用な消費材の販売法。
[19]抗菌建築材の販売法であって、
有用な機能を果たしつつ、生存している有害な微生物により接触されるように構成されている、その上に接触面をもつ有用な機能を果たす有用な建築材を提供する;
ここで前記接触面は、2〜50マイクロインチRaの粗度特性をもつ銅合金接触面を含み;
ここで前記接触面は前記接触面を大気中の酸素と隔絶するコーティングをもたない;及び
前記有用な建築材は、前記銅合金接触面上に少なくとも一部基づく接触面上に生存している微生物の量を経時で減少させる傾向のある特性をもつと主張する、各段階を含む、前記方法。
[20]前記抗菌建築材が暖房及び排気システム用のダクト工事用であり、且つ前記銅合金接触面は4〜36マイクロインチRaの粗度特性をもつ、[19]に記載の抗菌建築材の販売法。
[21]病気の伝播を低減する方法であって、ドアを開けるときにヒトの手で接触するように設計された位置のドア上に銅合金表面を提供する;
前記銅合金表面は、6〜14マイクロインチRaの表面粗度をもち、前記銅合金表面の濡れ角を高めるような傾向があるコーティングをその上にもたない;及び
前記ドアを病院に配備する、各段階を含む前記方法。