【実施例】
【0099】
実施例1
ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託された単離ヤブレツボカビを分類学的分類のために特徴付けた。
【0100】
サンプルを干潮の間に潮間帯生息場から収集した。水、堆積物、生きた植物材料および腐敗性植物/動物残骸を無菌の50 ml試験管の中に入れた。水とともに各サンプルの一部を分離培地の固体寒天プレート上に広げた。分離培地は人工海水500 ml、蒸留水500 ml、グルコース1 g、グリセロール1 g、寒天13 g、グルタミン酸塩1 g、酵母エキス0.5 g、カゼイン加水分解物0.5 g、ビタミン溶液(100 mg/Lチアミン、0.5 mg/Lビオチン、B
12 0.5 mg) 1 ml、微量ミネラル溶液(1リットルあたりFeCl
36H
2O 6.0 g、H
3BO
3 6.84 g、MnCl
24H
2O 0.86 g、ZnCl
2 0.06 g、CoCl
26H
2O 0.026、NiSO
4H
2O 0.052 g、CuSO
45H
2O 0.002 gおよびNa
2MoO
42H
2O 0.005 gを含有するPII金属) 1 ml、ならびにペニシリンGおよび硫酸ストレプトマイシン各500 mgからなった。寒天プレートを暗所中20〜25℃でインキュベートした。2〜4日後、寒天プレートを拡大下で観察し、細胞のコロニーを無菌のつまようじで採取し、新たな培地プレート上に再ストリークした。混入生物が除去されるまで、細胞を新鮮培地に繰り返しストリークした。
【0101】
寒天プレート由来のコロニーを、半分強の海水および加圧滅菌された孵化したての塩水幼虫エビの懸濁液(1 ml)を含むペトリ皿に移した。2〜3日後に塩水幼虫エビは胞子嚢の塊で一面が覆われるようになった。飛散した遊走子は放出時に双鞭毛であり、成熟胞子嚢から離れるようにして活動的に遊泳し、その壁残留物は胞子飛散後に、(位相差顕微鏡において)明確に視認できた。胞子嚢は直径が12.5 μm〜25 μmあり、遊走子はサイズが2.5 μm〜2.8 μm×4.5 μm〜4.8 μmであった。個々の胞子嚢あたり8〜24個の胞子があった。定着した胞子嚢は容積を増し、急速に二分裂を起こし、四分子、八分子、および最終的には胞子嚢の塊をもたらした。四分子形成は胞子嚢の成熟前のかなり早い段階で始まった。これらの特徴はシゾキトリウム属に一致している。
【0102】
ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託された単離ヤブレツボカビをさらに、その18s rRNA遺伝子と既知種のそれとの類似性に基づき特徴付けた。ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託されたヤブレツボカビ由来の全ゲノムDNAを標準的な手順(Sambrook J. and Russell D. 2001. Molecular cloning: A laboratory manual, 3rd edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)によって調製し、18s RNA遺伝子のPCR増幅に用いた。18s rRNA遺伝子のPCR増幅を既述(Honda et. al., J. Eukaryot. Microbiol. 46(6) 1999)のプライマーで行った。染色体DNAの鋳型でのPCR条件は以下の通りであった: 全量50 μL中0.2 μM dNTPs、0.1 uMの各プライマー、8% DMSO、染色体DNA 200 ng、2.5 U PfuUltra(登録商標) II fusion HS DNAポリメラーゼ(Stratagene)および1×PfuUltra(登録商標)緩衝液(Stratagene)。PCRプロトコルには以下の段階が含まれた: (1) 2分間95℃; (2) 45秒間95℃; (3) 30秒間55℃; (4) 2分間72℃; (5) 段階2〜4を40サイクル繰り返す; (6) 5分間72℃; および(7) 6℃で保持。
【0103】
PCR増幅により、上記染色体の鋳型を用いた予想サイズを有する異なるPCR産物を得た。PCR産物を製造元の使用説明書にしたがってベクターpJET1.2/blunt (Fermentas)にクローニングし、供給されている標準プライマーを用いて挿入断片の配列を決定した。
【0104】
表2は、ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託されたヤブレツボカビ由来の18s rRNA配列と、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information; NCBI)電子データベース中のDNA配列との比較を示す。手短に言えば、「%同一性」は、DNAアライメントの標準であるVectorNTIプログラム(Invitrogen)の「AlignX」プログラム内のスコアリング行列「swgapdnamt」によって判定された。「%網羅」はNCBI電子データベースからのBasic Local Alignment Search Tool (BLAST)計算の結果から取っており、整列されたセグメントに含まれる問い合わせ配列の長さの割合である。
【0105】
(表2)18s rRNA配列の比較
【表3】
(p): 部分配列を示す
【0106】
表2に示されるように、%同一性の点で、ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託されたヤブレツボカビ由来の18s rRNA遺伝子配列(SEQ ID NO: 1)は、Honda, D. et al, J. Euk. Micro. 46(6): 637-647 (1999)から提供されたT.アグレガツム(T. aggregatum)の18s rRNA遺伝子配列と、同一ではないが、密接に関連していることが分かった。ヤブレツボカビアグレガツム(Thraustochytrium aggregatum)に対して公開されている18s rRNA配列は部分配列であり、およそ71個のDNAヌクレオチドギャップを配列の中央に有する。%網羅の点で、本発明の分離株の18s rRNA遺伝子配列は、T.アグレガツムとよりもシゾキトリウム種ATCC 20888とより密接に関連している。
【0107】
アクチンおよびβ-チューブリンなどの高度に保存されたタンパク質は生物間の系統発生関係を評価するためのマーカーとして、18s rRNA遺伝子とともに、広く用いられている(Baldauf, S. M. Am. Nat. 154, S178 (1999))。ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託されたヤブレツボカビ由来の全ゲノムDNAも、アクチン遺伝子とβ-チューブリン遺伝子の両方のPCR増幅のための鋳型として用いた。PCR増幅は、T.アグレガツム由来のアクチンおよびβ-チューブリンDNA配列の保存領域に対して設計されたプライマーで行った。
【0108】
染色体DNAの鋳型でのPCR条件は以下の通りであった: 全量50 μL中0.2 μM dNTPs、0.1 uMの各プライマー、8% DMSO、染色体DNA 200 ng、2.5 U Herculase(登録商標) II fusion DNAポリメラーゼ(Stratagene)および1× Herculase(登録商標)緩衝液(Stratagene)。PCRプロトコルには以下の段階が含まれた: (1) 2分間95℃; (2) 30秒間95℃; (3) 30秒間55℃; (4) 2分間72℃; (5) 段階2〜4を40サイクル繰り返す; (6) 5分間72℃; および(7) 6℃で保持。
【0109】
PCR増幅により、上記染色体の鋳型を用いて予想サイズを有する異なるPCR産物を得た。各PCR産物を製造元の使用説明書にしたがってベクターpJET1.2/blunt (Fermentas)にクローニングし、供給されている標準プライマーを用いて各々の挿入断片の配列を決定した。
【0110】
表3は、公開データベースにおいて利用可能なアクチン配列と比較したときの、ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託されたヤブレツボカビ由来のアクチンアミノ酸配列(SEQ ID NO: 3)の同一性を示す。同一性は、タンパク質アライメントの標準であるVectorNTIプログラムの「AlignX」プログラム内のスコアリング行列「blosum62mt2」の使用によって判定された。
【0111】
(表3)アクチンタンパク質配列の%同一性の比較
【表4】
【0112】
表4は、公開データベースにおいて利用可能なβ-チューブリン配列と比較したときの、ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託されたヤブレツボカビ由来のβ-チューブリンアミノ酸配列(SEQ ID NO: 5)の同一性を示す。同一性は、タンパク質アライメントの標準であるVectorNTIプログラムの「AlignX」プログラム内のスコアリング行列「blosum62mt2」の使用によって判定された。
【0113】
(表4)β-チューブリンタンパク質配列の%同一性の比較
【表5】
【0114】
上記の特徴付けに基づき、ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託された単離ヤブレツボカビは、新しいシゾキトリウム種に相当するものと考えられ、それゆえ、シゾキトリウム種ATCC PTA-9695とも表される。
【0115】
実施例2
ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託された単離ヤブレツボカビは、下記のように、さまざまな培養条件の下で高レベルの細胞増殖をもたらした。典型的な培地および培養条件を表1に示す。また、高レベルの脂肪酸およびDHAが認められた(すなわち、乾燥細胞重量の50重量%超が脂肪酸であり、脂肪酸メチルエステルの50重量%超がDHAであった)。
【0116】
pH 7.0で20%溶存酸素とともに22.5℃で8200 ppmのCl
-を用いた炭素および窒素供給培養において、分離株は培養7日後に、140 g/Lの乾燥細胞重量をもたらし、70重量%の脂肪酸含量を有した。閉ループアンモニア供給を用い、pHを7.0で維持した。オメガ-3生産性はこれらの条件の下で8.92 g/(L
*日)であり、7日で4.7 g/L EPA (脂肪酸の5重量%)および56.3 g/L DHA (脂肪酸の57重量%)を有した。
【0117】
pH 7.0で20%溶存酸素とともに22.5℃で3640 ppmのCl
-を用いた炭素および窒素供給培養において、分離株は培養7日後に、82 g/Lの乾燥細胞重量をもたらし、58重量%の脂肪酸含量を有した。オメガ-3生産性はこれらの条件の下で4.5 g/(L
*日)であり、7日で2.1 g/L EPA (脂肪酸の4.3重量%)および28.5 g/L DHA (脂肪酸の58.7重量%)を有した。
【0118】
pH 7.0で20%溶存酸素とともに22.5℃で980 ppmのCl
-を用いた炭素および窒素供給培養において、分離株は培養7日後に、60 g/Lの乾燥細胞重量をもたらし、53重量%の脂肪酸含量を有した。オメガ-3生産性はこれらの条件の下で2.8 g/(L
*日)であり、7日で1.1 g/L EPA (脂肪酸の3.4重量%)および18.4 g/L DHA (脂肪酸の56.8重量%)を有した。
【0119】
実施例3
ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託された単離ヤブレツボカビのバイオマスサンプル(サンプルA)から油を抽出した。バイオマスサンプルはpH 7.0で20%溶存酸素とともに22.5℃で980 ppmのCl
-を用いた炭素および窒素供給培養において産生された。油をヘキサン抽出工程によりバイオマスサンプルAから抽出して、微生物油サンプルA1を得た。手短に言えば、ステンレス製の管およびステンレス製の玉軸受けを用いておよそ2時間ヘキサンとともに乾燥バイオマスをすりつぶした。スラリーを真空ろ過し、ろ液を回収した。ロータリーエバポレーターを用いてヘキサンを除去した。FRIOLEX (登録商標)工程(GEA Westfalia Separator UK Ltd., Milton Keynes, England)を用いて油をバイオマスサンプルAから抽出して、微生物油サンプルA2も得た。低圧フラッシュクロマトグラフィーを用いて微生物油サンプルA1およびA2から個別の脂質クラスを単離し、各クラスの重量百分率を判定した。炎イオン化検出を伴うガスクロマトグラフィー(GC-FID)を用い各クラスの脂肪酸プロファイルを脂肪酸メチルエステル(FAME)として判定した。
【0120】
フラッシュクロマトグラフィー
フラッシュクロマトグラフィーを用いて、未精油中に存在する脂質クラスを分離し、油中に存在する各クラスの重量百分率を判定した。クロマトグラフィーシステムには、石油エーテルおよび酢酸エチルから構成される移動相を3 mL/分で用いたSilica Gel 60 (EMD Chemical, Gibbstown, NJ)を利用した。段階的勾配を用いて、カラムから各脂質クラスを選択的に溶出した。移動相の勾配は100%石油エーテルから出発し、50%酢酸エチルで終了した(その後100%メタノールによる洗浄を行った)。Gilson FC 204 large-bedフラクションコレクター(Gilson, Inc., Middleton, WI)を用いて10 mLの試験管の中に画分を回収した。各試験管を薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析し、(予想される保持因子(Rf)を有するTLCプレート上の単一のスポットにより判断したときに)個別の脂質クラスを含有する試験管をプールし、濃縮乾固し、秤量した。次いで全画分含量を重量測定法で判定した。
【0121】
TLC分析
薄層クロマトグラフィーをシリカゲルプレート上で行った。プレートを石油エーテル:エチルエーテル:酢酸(80:20:1)からなる溶媒系によって溶出し、ヨウ素蒸気によって可視化した。各スポットのRf値を次いで、各脂質クラスについて報告されている文献値と比較した。
【0122】
脂肪酸分析
バイオマスのサンプルおよび単離された脂質クラスを脂肪酸組成につきFAMEとして分析した。サンプルをねじ蓋試験管の中に直接秤量し、トルエン中のC19:0内部標準(NuCheck, Elysian, MN) 1 mLおよびメタノール中1.5 NのHCl 2 mLを各試験管に加えた。試験管を短時間ボルテックスし、100℃で2時間加熱ブロック中に置いた。試験管を加熱ブロックから除去し、冷却させ、NaCl飽和水1 mLを加えた。試験管を再びボルテックスし、遠心分離し、上(有機)層の一部をGCバイアルに入れ、GC-FIDにより分析した。FAMEを、Nu-Chek-Prep GLC参照基準(Nu-Chek Prep, Inc., Elysian, MN)を用いて作成された3点内部標準較正曲線を用いて定量化し、保持時間に基づいて暫定的に同定した。存在する脂肪酸を全FAMEのmg/gおよび%として表現した。
【0123】
サンプルA1は、未精油をヘキサンに溶解し、カラムの頂部に適用することによって調製された。フラッシュクロマトグラフィーを用いたサンプルの分画の後、ステロールエステル画分は未精油の1.2重量%を占め、トリアシルグリセロール(TAG)画分は未精油の82.7重量%を占め、遊離脂肪酸(FFA)画分は未精油の0.9重量%を占め、ジアシルグリセロール(DAG)画分は未精油の2.9重量%を占めた。サンプルA1の未精油および単離画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/gおよび%FAMEとして計算された、下記表5および表6に示す。
【0124】
(表5)mg/g FAMEとして計算されたサンプルA1脂肪酸プロファイル
【表6】
【0125】
(表6)%全FAMEとしてのサンプルA1脂肪酸プロファイル
【表7】
【0126】
サンプルA2は、未精油をヘキサンに溶解し、カラムの頂部に適用することによって調製された。フラッシュクロマトグラフィーを用いたサンプルの分画の後、ステロールエステル画分は未精油の0.8重量%を占め、トリアシルグリセロール(TAG)画分は未精油の83.4重量%を占め、遊離脂肪酸(FFA)画分は未精油の1.8重量%を占め、ジアシルグリセロール(DAG)画分は未精油の5.6重量%を占めた。サンプルA2の未精油および単離画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/gおよび%FAMEとして計算された、下記表7および表8に示す。
【0127】
(表7)mg/g FAMEとして計算されたサンプルA2脂肪酸プロファイル
【表8】
【0128】
(表8)%全FAMEとしてのサンプルA2脂肪酸プロファイル
【表9】
【0129】
実施例4
実施例3に記述されるように、ヘキサン抽出(サンプルA1)またはFRIOLEX (登録商標)工程(GEA Westfalia Separator UK Ltd., Milton Keynes, England) (サンプルA2)を用いてATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託された単離ヤブレツボカビから前に抽出されていた微生物油のサンプルからトリアシルグリセリド(TAG)を単離した。大気圧化学イオン化質量分析(APCI-MS)による検出を伴う非水性逆相高性能液体クロマトグラフィー(NARP-HPLC)を用いて各TAG異性体の相対面積率を判定し、質量分析断片化パターンを用いて各位置異性体の仮同定を行った。
【0130】
TAGを含む、個々の脂質クラスをフラッシュクロマトグラフィーによって単離した。HPLC/APCI-MSによりTAG画分を分析して、どの脂肪酸成分が各TAG種に存在するか、および各TAG種の相対量を判定した。各TAGピークの仮同定は各ピークのAPCIスペクトルおよび保持時間に基づいた。NARP-HPLCを用いた場合、各TAGの保持は、アシル鎖の全てにおける全炭素数−2×二重結合数と定義される等量炭素数(ECN)とともに増す。また、最適なクロマトグラフィー条件を用いた場合、同じECMを有するが、異なる分布の飽和および不飽和脂肪酸を有するTAG種、ならびにさまざまな鎖長を有する脂肪酸の重要な対も分離することができる。各TAGピークのAPCI質量スペクトルはプロトン化した分子イオン[M + H]
+、アンモニウム付加イオン[M + NH
4]
+およびDAG断片イオンの質量を与える。各TAGは特有の質量スペクトルを生じ、DAG断片イオンの質量は各TAG種の同一性を判定する手助けとなる。sn-2位からのアシル基の喪失に対応する断片イオンは、sn-1位またはsn-3位での喪失よりもエネルギー的に不利であるため、APCIスペクトルでは最も弱いシグナルであると考えられる。Modern Methods for Lipid Analysis by Liquid Chromatography Mass Spectrometry and Related Techniques 276-297 (William Craig Byrdwell ed., 2005)。
【0131】
フラッシュクロマトグラフィー
フラッシュクロマトグラフィーを用いて、未精油中に存在する脂質クラスを分離し、油中に存在する各クラスの重量百分率を判定した。クロマトグラフィーシステムには、石油エーテルおよび酢酸エチルから構成される移動相を3 mL/分で用いたSilica Gel 60を利用した。段階的勾配を用いて、カラムから各脂質クラスを選択的に溶出した。移動相の勾配は100%石油エーテルから出発し、50%酢酸エチルで終了した(その後100%メタノールによる洗浄を行った)。Gilson FC 204 large-bedフラクションコレクター(Gilson, Inc., Middleton, WI)を用いて20 mLの試験管の中に画分を回収した。各試験管をTLCによって分析し、(予想される保持因子(Rf)を有するTLCプレート上の単一のスポットにより判断したときに)個別の脂質クラスを含有する試験管をプールし、濃縮乾固し、秤量した。次いで全画分含量を重量測定法で判定した。
【0132】
TLC分析
薄層クロマトグラフィーをシリカゲルプレート上で行った。プレートを石油エーテル:エチルエーテル:酢酸(80:20:1)からなる溶媒系によって溶出し、ヨウ素蒸気によって可視化した。次いで、各スポットのRf値を、各脂質クラスについて報告されている文献値と比較した。
【0133】
HPLC/APCI-MS分析
使用したLC/MSシステムは大気圧化学イオン化(APCI)およびHewlett Packardモデル1100質量選択検出器(MSD)を備えたHewlett Packard model 1100 HPLC (Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA)からなった。HPLC法では、直列につながれた二本のPHENOMENEX (登録商標) C18カラム(250 mm×4.6 mm、5 μm; Phenomenex, Inc. (Torrance, CA))、1 mL/分の流速、2 μLの注入量、および50℃のカラム温度を利用した。移動相はイソプロパノール(溶媒A)およびアセトニトリル(溶媒B)中0.1%の酢酸アンモニウムからなった。20%の溶媒Aで始め、40分で75%の溶媒Aまで増やし、5分間75%の溶媒Aで保ち、1分で20%の溶媒Aに戻し、かつさらに9分間20%の溶媒Aで保つ、直線勾配を用いた。150のフラグメンター電圧、6 L/分の乾燥気体流、45 psigの噴霧器圧力、350℃の乾燥気体温度、325℃の気化器温度、3500 Vのキャピラリ電圧および10 μAのコロナ電流を用い、MSD質量範囲をm/z 400〜1150に設定した。
【0134】
トリドコサヘキサエノイン(Tri-DHA)
Tri-DHA STD (NuCheck, Elysian, MN)を用いて、クロマトグラフィーシステムおよび検出器の応答精度を評価した。Tri-DHAピークの保持時間は22.5分であり、全イオンクロマトグラム(TIC)は良好なシグナル対ノイズ比を示した。Tri-DHAピークのAPCI質量スペクトルはm/z 1023.7でプロトン化した分子イオン[M + H]
+、m/z 1040.8でアンモニウム付加イオン[M + NH
4]
+およびm/z 695.5で単一の特徴的なDAG断片イオンを示す。
【0135】
単離TAG画分のサンプルをヘキサン中で調製し、NARP HPLC/APCI-MSにより分析して個々のTAG異性体の同一性を判定した。
【0136】
各ピークの質量スペクトルを評価し、下記表9および10にまとめられているように、各脂肪酸成分の仮同定を行った。
【0137】
(表9)サンプルA1でのLC/APCI-MSによるTAG種の仮同定
【表10】
【0138】
(表10)サンプルA2でのLC/APCI-MSによるTAG種の仮同定
【表11】
【0139】
実施例5
実施例3に記述されるように、Friolex工程を用いて発酵ブロスから油を抽出した後に、未精油を精製、漂白および脱臭段階によりさらに加工処理して最終油を得た。最終油を高オレイン酸ヒマワリ油で希釈して、およそ400 mg/gのDNA含量を有する完成商業油を得た。個々の脂質クラスを単離し、炎イオン化検出を伴うガスクロマトグラフィー(GC-FID)を用い各クラスの脂肪酸プロファイルを脂肪酸メチルエステル(FAME)として判定した。
【0140】
フラッシュクロマトグラフィー
フラッシュクロマトグラフィーを用いて、未精油中に存在する脂質クラスを分離し、油中に存在する各クラスの重量百分率を判定した。クロマトグラフィーシステムには、石油エーテルおよび酢酸エチルから構成される移動相を3 mL/分で用いたSilica Gel 60 (EMD Chemical, Gibbstown, NJ)を利用した。段階的勾配を用いて、カラムから各脂質クラスを選択的に溶出した。移動相の勾配は100%石油エーテルから出発し、50%酢酸エチルで終了した(その後100%メタノールによる洗浄を行った)。Gilson FC 204 large-bedフラクションコレクター(Gilson, Inc., Middleton, WI)を用いて10 mLの試験管の中に画分を回収した。各試験管を薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析し、(予想される保持因子(Rf)を有するTLCプレート上の単一のスポットにより判断したときに)個別の脂質クラスを含有する試験管をプールし、濃縮乾固し、秤量した。次いで全画分含量を重量測定法で判定した。
【0141】
TLC分析
薄層クロマトグラフィーをシリカゲルプレート上で行った。プレートを石油エーテル:エチルエーテル:酢酸(80:20:1)からなる溶媒系によって溶出し、ヨウ素蒸気によって可視化した。各スポットのRf値を次いで、各脂質クラスについて報告されている文献値と比較した。
【0142】
脂肪酸分析
最終油のサンプルおよび単離された脂質クラスを脂肪酸組成につきFAMEとして分析した。サンプルをねじ蓋試験管の中に直接秤量し、トルエン中のC19:0内部標準(NuCheck, Elysian, MN) 1 mLおよびメタノール中1.5 NのHCl 2 mLを各試験管に加えた。試験管を短時間ボルテックスし、100℃で2時間加熱ブロック中に置いた。試験管を加熱ブロックから除去し、冷却させ、NaCl飽和水1 mLを加えた。試験管を再びボルテックスし、遠心分離し、上(有機)層の一部をGCバイアルに入れ、GC-FIDにより分析した。FAMEを、Nu-Chek-Prep GLC参照基準(Nu-Chek Prep, Inc., Elysian, MN)を用いて作成された3点内部標準較正曲線を用いて定量化し、保持時間に基づいて暫定的に同定した。存在する脂肪酸を全FAMEのmg/gおよび%として表現した。
【0143】
サンプルは、最終油250 mgをヘキサン600 μLに溶解し、カラムの頂部に適用することによって調製された。フラッシュクロマトグラフィーを用いたサンプルの分画の後、ステロールエステル画分は最終油の1.2重量%を占め、トリアシルグリセリド(TAG)画分は最終油の92.1重量%を占め、遊離脂肪酸(FFA)画分は最終油の2.1重量%を占め、ステロール画分は最終油の1.1重量%を占め、ジアシルグリセリド(DAG)画分は最終油の2.8重量%を占めた。
【0144】
プールされた画分のTLC分析から、FFAおよびステロール画分にそれぞれTAGおよびDAGが混じっていることが示された。FRIOLEX (登録商標)最終油および単離画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/gおよび%FAMEとして計算された、下記表11および表12に示す。
【0145】
(表11)mg/g FAMEとして計算された脂肪酸プロファイル
【表12】
【0146】
(表12)%全FAMEとしての脂肪酸プロファイル
【表13】
【0147】
実施例6
実施例4に記述されている技法を用いて、実施例5に記述されている最終油のトリアシルグリセリド(TAG)の分析を行った。下記表13および14にまとめられているように、各脂肪酸成分の仮同定を行った。
【0148】
(表13)主要TAG種の仮同定
【表14】
【0149】
(表14)LC/APCI-MSによるTAG種の仮同定
【表15】
【0150】
実施例7
ATCCアクセッション番号PTA-9695の下で寄託された単離ヤブレツボカビの二日齢の種菌のフラスコを、980 ppm Cl
-を含む炭素および窒素供給培養液(ヤブレツボカビ用培地)にて調製した。
【0151】
以下の手順にしたがって突然変異誘発を行った。
【0152】
およそ50 mlの、T=2日齢無菌フラスコのものを、40 mlの無菌ガラスホモジナイザーの中に注ぎ入れた。ホモジナイザー中で50回のプランジを培養液に与えた。培養液をピペットアウトし、無菌の50ミクロンメッシュフィルタを通じてろ過し、これを50 mlの無菌の試験管の中に入れた(メッシュは、より小さな塊および単一細胞に50ミクロンのメッシュを通過させながらより大きなコロニー群を保持する手段として用いられた)。濃縮された単離物(macerate)の全体を、無菌の50 mlの試験管に回収した。単離培養物をボルテックスし、ヤブレツボカビ用培地を含有する試験管の中で最大100分の1倍のレベルでの希釈を行った。希釈された単離物のサンプルをボルテックスした後に、4〜5個のガラスビーズ(3 mmのガラスビーズ)を含有する、100×15 mmの、ヤブレツボカビ用培地の寒天ペトリ皿に接種材料200 μlを加えた。ビーズに、接種材料をプレート全体に均等に広げさせるようにして、各プレートを穏やかに撹拌した。ビーズをプレートから取り除き、プレートを約5分間蓋を載せた状態で静置させて乾燥させた。手順が薄暗がりで行われるように、無菌フードと隣接部の両方の光を消した。手順を実行できるように最小限の光は利用可能であったが、それは間接的で、薄暗いもののみであった。
【0153】
5枚の複製プレートをXLクロスリンカー(Spectronics Corporation, New York)の底面に載せ、サンプルに放射線を照射している間は蓋を取り外した。クロスリンカーはマイクロジュール単位で出力を送るが、90%〜95%の死滅を達成するレベルを探した。同じプロトコルを用いて5枚の複製対照プレートに非突然変異誘発細胞を接種した。これらの細胞数を用いて、%死滅を計算した。照射が終わったら、プレートを取り出し、蓋を交換し、プレートをパラフィルムで包み、引き続きアルミ箔のラップで包んだ。プレートのものを最初の1週間、それらが損傷遺伝子を修復できないように暗所中で増殖させることが必須であった。
【0154】
コロニーをカウントする前に約10日間22.5℃の室内にプレートを置いた。最終のカウントが行われた時点で、個々のコロニーを無菌の接種ループで選び取り、新たなヤブレツボカビ用培地プレート上に再ストリークした。各コロニーを個々のプレート上にプレーティングした。プレートのものが密に増殖したら、接種ループを用いて、サンプルを採取し、ヤブレツボカビ用培地50 mlを含有する無菌の250 ml振盪フラスコの中に接種した。このフラスコを22.5℃の室内にて振盪機に200 rpmとして置いた。T=7日目に、振盪フラスコ培養液を50 mlの無菌の試験管中に収集した。pHをとり、サンプルを沈降させてバイオマスペレットを回収した。各サンプルをすすぎ、再び沈降させる前にイソプロピルアルコールおよび蒸留水の50:50混合液に再び懸濁した。回収されたペレットを凍結乾燥し、秤量し、FAME分析を行った。表15〜21中のデータは、上記の工程で作出された変異体を表す。
【0155】
(表15)ヤブレツボカビ菌株ATCCアクセッション番号PTA-9695の変異体
【表16-1】
【表16-2】
【0156】
(表16)ヤブレツボカビ菌株ATCCアクセッション番号PTA-9695の変異体
【表17-1】
【表17-2】
【0157】
(表17)ヤブレツボカビ菌株ATCCアクセッション番号PTA-9695の変異体
【表18-1】
【表18-2】
【0158】
(表18)ヤブレツボカビ菌株ATCCアクセッション番号PTA-9695の変異体
【表19-1】
【表19-2】
【0159】
(表19)ヤブレツボカビ菌株ATCCアクセッション番号PTA-9695の変異体
【表20-1】
【表20-2】
【0160】
(表20)ヤブレツボカビ菌株ATCCアクセッション番号PTA-9695の変異体
【表21-1】
【表21-2】
【0161】
(表21)ヤブレツボカビ菌株ATCCアクセッション番号PTA-9695の変異体
【表22-1】
【表22-2】
【0162】
実施例8
4つのヤブレツボカビサンプルをアメリカン組織培養コレクション(American Tissue and Culture Collection;ATCC)から入手し、各サンプルをバイオマスの脂肪酸プロファイル、抽出された未精油の脂肪酸プロファイル、未精油のトリアシルグリセリド(TAG)画分、および未精油の極性脂質(PL)画分について分析した。分析したサンプルはATCC 34304、20890、20889および20892であった。これらの菌株を、1リットルの人工海水中に50 mlの以下の培地: ペプトン1 g、酵母エキス1 g、グルコース5 gを含有する250 mlの振盪フラスコの中に接種した。培養物を軌道振盪機上にて200 rpmで振盪しながら20℃でインキュベートした。7日後に、培養物を遠心分離(5087×g)によって収集し、水:イソプロパノール(1:1)の混合液で洗浄し、再び遠心分離した。得られたペレットを凍結乾燥した。BlighおよびDyer (Can. J. of Biol. And Phys. 37: 911-917 (1959))の方法を用いて乾燥バイオマスから未精油を抽出した。Kaluznyら(J. Lipid Res. 26: 135-140 (1959))によって開発された固相抽出(SPE)法の変法を用いて未精油からTAGおよびPLを単離した。未精油および単離画分をDHAおよびEPA含量、ならびに(脂肪酸メチルエステルとしての)全脂肪酸含量について分析した。
【0163】
液体抽出
未精油は、100〜200 mgを1.5×10 cmのねじ口試験管の中に秤量し、1:2:0.8のクロロホルム:メタノール:水(CHCl
3:MeOH:H
2O)からなる単相系8 mLを添加し、PT-DA 3012/2アグリゲイタを備えたPOLYTRON(登録商標) PT 3100分散ユニットでホモジナイズすることによって凍結乾燥バイオマスから抽出された。サンプルを氷浴中に浸漬しながら10000 rpmで2分間ホモジナイズした。CHCl
3 2.1 mLを添加し、1分間ボルテックスし、H
2O 1.7 mLを添加し、さらに1分間再びボルテックスすることによって二相系を作出した。下(有機)層をパスツールピペットによって取り出し、回収フラスコの中に入れた。試験管に残ったMeOH-H
2O層を2.1 mL部のCHCl
3でさらに2回再抽出した。有機層を合わせ、窒素流の下で乾燥させた。
【0164】
固相抽出
Vac Elut装置中にセットされた500 mgのアミノプロピルカートリッジ(Burdick & Jackson)を用いてSPEにより未精製の脂質からTAGおよびPL画分を分離した。カートリッジをヘキサン5 mLで調整し、各サンプル10〜20 mgをCHCl
3 400 μLに溶解し、カートリッジに適用した。カラムを2:1のCHCl
3:イソプロピルアルコール(IPA) 4 mLで洗浄して、中性脂質の全てを溶出させ、これを回収し、窒素下で乾燥させた。次に脂肪酸をエーテル中2%の酢酸(HOAc) 5 mLで溶出させ、これを捨てた。PL部分をMeOH 5 mLで溶出させ、これを回収し、窒素下で乾燥させた。中性脂質画分をヘキサン400 μLに再溶解し、第二のアミノプロピルカラム(ヘキサン5 mLで予め調整された)に適用した。ステロールエステルをヘキサン中1%の酢酸エチル(EtOAc) 5 mLで溶出させ、捨てた。最後に、TAGをヘキサン中3%のEtOAc 5 mLで溶出させ、これを回収し、窒素下で乾燥させた。
【0165】
TLC分析
薄層クロマトグラフィーをシリカゲルプレート上で行った。プレートを石油エーテル:エチルエーテル:酢酸(80:20:1)からなる溶媒系によって溶出し、ヨウ素蒸気によって可視化した。
【0166】
脂肪酸分析
バイオマスのサンプル、未精油、単離されたTAGおよびPL画分を脂肪酸組成につきFAMEとして分析した。サンプルをねじ蓋試験管の中に直接秤量し、トルエン中のC19:0内部標準1 mLおよびメタノール中1.5 NのHCl 2 mLを各試験管に加えた。試験管を短時間ボルテックスし、100℃で2時間加熱ブロック中に置いた。試験管を加熱ブロックから除去し、冷却させ、NaCl飽和水1 mLを加えた。試験管を再びボルテックスし、遠心分離し、上(有機)層の一部をGCバイアルに入れ、GC-FIDにより分析した。FAMEを、Nu-Chek-Prep GLC参照基準を用いて作成された3点内部標準較正曲線を用いて定量化し、保持時間に基づいて暫定的に同定した。存在する脂肪酸を全FAMEのmg/gおよび%として表現した。
【0167】
ATCC 34304
ATCC 34304バイオマスの脂質含量はFAMEの合計として9.1%であると推定され、溶媒抽出後に得られた未精油の量は9.2重量%であり、バイオマスに存在する脂肪の回収率101%を示した。バイオマスのEPAおよびDHA含量は、それぞれ、4.8 mg/gおよび38.7 mg/gであると判定された。抽出された未精油には25.9 mg/g EPAおよび238.7 mg/g DHAが含有されていた。単離されたTAGには13.9 mg/g EPAおよび303.9 mg/g DHAが含有され、その一方で単離されたPLには38.7 mg/g EPAおよび237.980 mg/g DHAが含有されていた。バイオマス、抽出された未精油、TAG画分およびPL画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/gおよび%FAMEとして計算された、下記表22および表23に示す。
【0168】
(表22)mg/gとして計算されたATCC 34304の脂肪酸プロファイル
【表23】
【0169】
(表23)%全FAMEとして計算されたATCC 34304の脂肪酸プロファイル
【表24】
【0170】
ATCC 20890
ATCC 20890バイオマスの脂質含量はFAMEの合計として9.2%であると推定され、溶媒抽出後に得られた未精油の量は10.2重量%であり、バイオマスに存在する脂肪の回収率111%を示した。バイオマスのEPAおよびDHA含量は、それぞれ、12.2 mg/gおよび36.6 mg/gであると判定された。抽出された未精油には64.7 mg/g EPAおよび194.2 mg/g DHAが含有されていた。単離されたTAGには41.9 mg/g EPAおよび230.2 mg/g DHAが含有され、その一方で単離されたPLには54.4 mg/g EPAおよび149.5 mg/g DHAが含有されていた。バイオマス、抽出された未精油、TAG画分およびPL画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/gおよび%FAMEとして計算された、下記表24および表25に示す。
【0171】
(表24)mg/gとして計算されたATCC 20890の脂肪酸プロファイル
【表25】
【0172】
(表25)%全FAMEとして計算されたATCC 20890の脂肪酸プロファイル
【表26】
【0173】
ATCC 20889
バイオマスの脂質含量はFAMEの合計として3.3%であると推定され、溶媒抽出後に得られた未精油の量は3.4重量%であり、バイオマスに存在する脂肪の回収率103%を示した。バイオマスのEPAおよびDHA含量は、それぞれ、2.3 mg/gおよび16.5 mg/gであると判定された。抽出された未精油には26.8 mg/g EPAおよび205.1 mg/g DHAが含有されていた。単離されたTAGには7.3 mg/g EPAおよび185.9 mg/g DHAが含有され、その一方で単離されたPLには35.2 mg/g EPAおよび218.6 mg/g DHAが含有されていた。バイオマス、抽出された未精油、TAG画分およびPL画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/gおよび%FAMEとして計算された、下記表26および表27に示す。
【0174】
(表26)mg/gとして計算されたATCC 20889の脂肪酸プロファイル
【表27】
【0175】
(表27)%全FAMEとして計算されたATCC 20889の脂肪酸プロファイル
【表28】
【0176】
ATCC 20892
バイオマスの脂質含量はFAMEの合計として8.8%であると推定され、溶媒抽出後に得られた未精油の量は12.1重量%であり、バイオマスに存在する脂肪の回収率138%を示した。バイオマスのEPAおよびDHA含量は、それぞれ、8.3 mg/gおよび43.3 mg/gであると判定された。抽出された未精油には50.5 mg/g EPAおよび260.1 mg/g DHAが含有されていた。単離されたTAGには98.7 mg/g EPAおよび407.7 mg/g DHAが含有され、その一方で単離されたPLには50.4 mg/g EPAおよび243.12 mg/g DHAが含有されていた。バイオマス、抽出された未精油、TAG画分およびPL画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/gおよび%FAMEとして計算された、下記表28および表29に示す。
【0177】
(表28)mg/gとして計算されたATCC 20892の脂肪酸プロファイル
【表29】
【0178】
(表29)%全FAMEとして計算されたATCC 20892の脂肪酸プロファイル
【表30】
【0179】
本明細書において言及された全ての刊行物、特許および特許出願は、各個別の刊行物、特許または特許出願が参照により組み入れられると具体的かつ個別的に示されているかのように参照により本明細書に組み入れられる。