特許第6362226号(P6362226)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362226
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】溶解性固体構造物の形態の組成物
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/30 20060101AFI20180712BHJP
   D04H 1/4309 20120101ALI20180712BHJP
   D01F 6/14 20060101ALI20180712BHJP
   D01F 6/16 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   C08J9/30CEX
   D04H1/4309
   D01F6/14 D
   D01F6/16
【請求項の数】11
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-561345(P2016-561345)
(86)(22)【出願日】2015年4月20日
(65)【公表番号】特表2017-518392(P2017-518392A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】US2015026582
(87)【国際公開番号】WO2015164227
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】61/982,736
(32)【優先日】2014年4月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】ミン マオ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウィリアム ハメルスキー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウェイン グレン
(72)【発明者】
【氏名】トッド ライアン トンプソン
【審査官】 弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−519788(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0135528(US,A1)
【文献】 特表2012−511046(JP,A)
【文献】 特表2013−536270(JP,A)
【文献】 特表2012−511045(JP,A)
【文献】 特開2004−256799(JP,A)
【文献】 特開平02−075650(JP,A)
【文献】 特表2012−511049(JP,A)
【文献】 B.Briscoe,The effects of hydrogen bonding upon the viscosity of aqueous poly (vinyl alcohol) solutions ,Polymer,2000年 5月,Volume 41,Issue10,p.3851-3854
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
D01F 6/14
D01F 6/16
D04H 1/4309
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に溶解性であり、本明細書に記載の手による溶解方法により測定された3ストローク〜20ストロークの手による溶解値を有し、複数の繊維を含む多孔質固体形態の構造物であって、
(a)1重量%〜95重量%の界面活性剤と、
(b)ビニルアセテート及びビニルアルコール単位を含む、5重量%〜50重量%のコポリマーと、
を含み、前記コポリマーが、84%以下のアルコール単位を含む、多孔質固体形態の構造物。
【請求項2】
前記コポリマーが、82.5%以下のアルコール単位を含む、請求項1に記載の構造物。
【請求項3】
前記コポリマーが、81%以下のアルコール単位を含む、請求項1又は2に記載の構造物。
【請求項4】
前記コポリマーが、70%〜81%のアルコール単位を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項5】
前記コポリマーが、20,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項6】
アニオン性界面活性剤を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項7】
5%〜9%の多孔度を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項8】
50%〜98%の多孔度を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項9】
ビニルアセテート及びビニルアルコールの単位を含む少なくとも1種の追加のコポリマーを含み、少なくとも1種の追加のコポリマーが、84%以下のアルコール単位を含み、かつ60,000〜300,000の重量平均分子量を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項10】
0重量%〜30重量%のコポリマー及び40重量%〜65重量%の界面活性剤を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の多孔質固体形態の構造物を調製するプロセスであって、
(a)1種又は複数種のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、1つ又は複数の界面活性剤と、60重量%以下の水と、を含む加工混合物を調製する工程であって、前記加工混合物は、70℃において5000センチポアズ〜150,000センチポアズの粘度を有する、工程と、
(b)前記加工混合物の液体フィルムに対して向けた第一の加圧ガス流を含む流体フィルムフィブリル化プロセスにより、前記加工混合物を繊維にフィブリル化して、繊維を形成する工程と、
(c)第二の加圧ガス流により、前記加工混合物の前記繊維を少なくとも部分的に乾燥させる工程と、
(d)前記部分的に乾燥された繊維を所定表面上に堆積させ、部分的に乾燥された繊維ウェブ構造物のウェブを形成する工程と、
(e)前記部分的に乾燥された繊維ウェブ構造物を、所望の最終含水率まで乾燥する工程と、
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解性固体構造物の形態の組成物に関する。溶解性固体構造物は、前記構造物がその意図された用途に対して良好に機能し、かつ有益な製造条件を可能とする特定のポリマーを使用して形成される。
【背景技術】
【0002】
今日の市場における多くのパーソナルケア、布地ケア及び他の消費者製品は液体形態で販売されている。液体製品は、広く使用される一方、包装、保管、輸送、及び使用利便性に関して、トレードオフを伴うことが多い。液体消費者製品は、典型的には瓶に入れて販売され、瓶は包装廃棄物と共にコストを増大させ、瓶の多くは最後には埋立地に行き着くことになる。
【0003】
水溶性の高分子構造体及び界面活性剤又は他の成分を含む、溶解性の固体製品が開示されている。既存の溶解性製品は、最終消費者に良好な性能上の利益をもたらすが、溶解性製品を製造するプロセスでは、コスト、製造速度、及び/又は製品ばらつきのパラメータは最善のものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、その意図された目的に対して良好に機能し、所望のコスト及び速度パラメータ内で製造できる溶解性固体構造物に対する必要性が依然として存在する。加えて、固体製品の溶解特性を改善して、消費者満足度の改善を促進することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
多孔質溶解性固体の形態の構造物は、(a)約1重量%〜約95重量%の界面活性剤と、(b)約5重量%〜約50重量%のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、を含み、前記コポリマーは、約84%以下のアルコール単位を含む。
【0006】
連続気泡発泡体である、多孔質溶解性固体の形態の構造物は、(a)約1重量%〜約75重量%の界面活性剤と、(b)約10重量%〜約50重量%のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、を含み、前記コポリマーは、約84%以下のアルコール単位を含み、前記発泡構造物は、約80%〜約100%の連続気泡含有率を有する。
【0007】
多孔質溶解性固体形態の構造物は、(1)約1重量%〜約95重量%の界面活性剤と、(2)約5重量%〜約50重量%のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、を含む複数の繊維を含み、前記コポリマーは、約84%以下のアルコール単位を含む。
【0008】
連続気泡発泡体である、多孔質溶解性固体形態の構造物を調製するプロセスは、(a)(1)約1重量%〜約75重量%の界面活性剤と、(2)約0.1重量%〜約25重量%のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、(3)約60重量%以下の水と、(4)任意選択に約0.1重量%〜約25重量%の可塑剤と、を含むプレミックスを調製する工程であって、前記プレミックスは、(i)70℃において、約1000cps〜約100,000cpsの粘度を有し、(ii)約60℃〜約100℃の範囲の温度に加熱される、工程と、(2)前記プレミックス内に気体を導入することによりプレミックスに通気し、湿潤気泡化混合物を形成する工程であって、前記湿潤気泡化混合物は、(i)約0.15〜約0.65g/mLの密度、及び(ii)約5〜約100マイクロメートルの直径を有する気泡を含む、工程と、(3)前記湿潤気泡化混合物を、金型内の個々のキャビティ内に投与するか、又は連続シートとして投与する工程と、(4)前記湿潤気泡化混合物を加熱し、かつ水を蒸発させるためのエネルギーを加えることにより、湿潤気泡化混合物を乾燥させ、構造物を提供する工程と、を含み、前記構造物は、約70%〜約100%の連続気泡含有率を有する。
【0009】
相当数の繊維を含む、多孔質溶解性固体形態の構造物を調製するプロセスは、(a)1種又は複数種のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、1つ又は複数の界面活性剤と、約60重量%以下の水と、を含む加工混合物を調製する工程であって、前記加工混合物は、70℃において約5000センチポアズ〜約150,000センチポアズの粘度を有する、工程と、(b)前記加工混合物の液体フィルムに対して向けた第一の加圧ガス流を含む流体フィルムフィブリル化プロセスにより、前記加工混合物を繊維にフィブリル化して、繊維を形成する工程と、(c)第二の加圧ガス流により、前記加工混合物の繊維を少なくとも部分的に乾燥させる工程と、(d)前記部分的に乾燥された繊維を特定表面上に堆積させ、部分的に乾燥された繊維ウェブ構造物のウェブを形成する工程と、(e)前記部分的に乾燥された繊維ウェブ構造物を、所望の最終含水率まで乾燥する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に基づく繊維を作製するのに好適な装置の略図である。
図2】本発明に基づく繊維を紡糸するのに好適なダイの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本明細書で使用するとき、構造物を形成している繊維の「平均直径」は、測定される試料中の全溶解性繊維の直径の算術平均として計算される。繊維直径の相対標準偏差は、測定される試料中の全繊維の直径の統計的標準偏差を平均直径で除算することにより計算される。繊維直径を測定する方法は、本明細書で後に記載する。
【0012】
本明細書で使用するとき、「溶解性」は、構造物が本明細書で論じる手による溶解の値を満足することを意味する。その構造物は、手による溶解法によって測定される、約1〜約30ストローク、1つの実施形態では約2〜約25ストローク、別の実施形態では約3〜約20ストローク、及び更に別の実施形態では約4〜約15ストロークの手による溶解の値を有する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「可撓性」は、構造物が本明細書で論じる最大力値までの距離を満足することを意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「連続気泡発泡体」は、気体、典型的には乾燥プロセス中に発泡構造が崩壊しない空気などの気体を含有し、それにより物理的強度及び固体の凝集性を維持する、空隙又は気泡のネットワークを画定する、固体の、相互結合されている、ポリマー含有マトリックスを意味する。その構造物の相互結合性は、星形(Star)体積、構造モデル指数(SMI)及び連続気泡含有百分率によって説明することができる。
【0015】
本明細書で使用するとき、「多孔質」は、その構造物が、微視的な複合三次元構成によりもたらされる空所、空間、又は間隙、(一般に本明細書において「孔」と称される)を有し、それらを介して液体が流動できる経路、通路又は流路を提供することを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、「多孔度」及び「百分率多孔度」は、互換的に使用され、それぞれ構造物の空間体積を測る尺度を示し、以下のように算出され、
[1−([構造物の坪量]/[構造物の厚さ×塊状で乾燥済み材料の密度])]×100%
相殺するように単位を調整して、100%を乗算することにより百分率多孔度を提供する。
【0017】
その構造物は、本明細書において「構造物」又は「溶解性構造物」と称されてもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、「ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマー」(及びそれらに関連して使用されるときは「コポリマー」)は、以下の構造(I)のポリマーを示す:
【0019】
【化1】
【0020】
構造(I)において、m及びnは、コポリマーが本明細書に記載された重合度及びアルコール含有率の特徴を有するような整数である。明確を期する目的のために、用語「コポリマー」のこのような使用では、本発明の部分的に加水分解されたポリビニルアセテートは、ビニルアルコール及びビニルアセテートの単位を含むと伝えることを意図する。以下で論じるように、前記コポリマーは、ビニルアセテートとビニルアルコールのモノマー単位の重合とは対立的に、ビニルアセテートモノマーを重合し、次に一部のアセテート基をアルコール基に加水分解することにより、通常は調製される(一つには、ビニルアルコールの不安定性に起因する)。
【0021】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲内で使用されるとき、1つ又は複数が特許請求されるか又は記載されるものと意味すると理解される。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「含む」、「含む(s)」、及び「含んでいる」は、非限定的であることを意味する。
【0023】
本出願の試験方法の節に開示する方法は、以下の溶解性構造物−物理的特徴の節で論じるものを含む、出願者らの発明のそれぞれのパラメータ値を決定するために使用されなければならない。
【0024】
全ての百分率及び比率は、特に明記されない限り、重量を用いて計算される。全ての百分率及び比率は、特に明記されない限り、総組成物を基準として計算される。
【0025】
本明細書全体を通じて与えられるあらゆる最大数値限定は、それより低いあらゆる数値限定を、そのようなより低い数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことを理解しなければならない。本明細書全体を通して与えられるあらゆる最小数値限定は、それより高いあらゆる数値限定を、そのようなより高い数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通して与えられるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭いあらゆる数値範囲を、そのような狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0026】
I.溶解性構造物−物理的特徴
本発明の構造物は、溶解性で多孔質の固体組成物の形態であり、その多孔度のために、使用中に液体(例えば、水)の流動が可能となり、その結果、固体組成物は容易に溶解し、所望の消費者経験を提供する。構造物の多孔質性は、例えば、連続気泡発泡体の形成又は繊維構造体の形成を含む様々な手段により達成され得る。
【0027】
1つの実施形態では、溶解性固体構造物の百分率多孔度は少なくとも約25%であり、別の実施形態では少なくとも約50%であり、別の実施形態では少なくとも約60%、別の実施形態では少なくとも約70%、そして別の実施形態では少なくとも約80%である。1つの実施形態では、溶解性固体構造物の多孔度は、約99%以下であり、別の実施形態では約98%以下、別の一実施形態では約95%以下、そして別の実施形態では約90%以下である。構造物の多孔度は、上述の「多孔度」の定義に明示される手順に基づいて決定される。
【0028】
効果的な孔のサイズの範囲を調節することができる。構造物の横断面を通る孔サイズ分布は、対称的又は非対称的であり得る。
【0029】
1つの実施形態では、構造物は可撓性であり、約6mm〜約30mmの最大力値までの距離を有する。別の実施形態では、最大力値までの距離は約7mm〜約25mmであり、別の実施形態では約8mm〜約20mm、更に別の実施形態では約9mm〜約15mmである。
【0030】
一態様では構造物はその比表面積により特徴づけられ得る。1つの実施形態では、構造物は、約0.03m2/g〜約0.25m2/gの比表面積を有し、別の実施形態では約0.035m2/g〜約0.22m2/g、別の実施形態では約0.04m2/g〜約0.19m2/g、そして更に別の実施形態では約0.045m2/g〜約0.16m2/gの比表面積を有する。
【0031】
1つの実施形態では、構造物はパッド、細片、又はテープの形態の、平らな可撓性の基材であり、以下の方法により測定して、約0.5mm〜約10mmの厚さを有し、1つの実施形態では約1mm〜約9mm、別の実施形態では約2mm〜約8mm、そして更なる実施形態では約3mm〜約7mmの厚さを有する。別の実施形態では、構造物は約5mm〜約6.5mmの厚さを有するシートである。別の実施形態では、2つ以上のシートを結合して、約5mm〜約10mmの厚さを有する構造物を形成する。
【0032】
1つの実施形態では、構造物は、約200グラム/m2〜約2,000グラム/m2の坪量を有し、別の実施形態では約400g/m2〜約1,200g/m2、別の実施形態では約600g/m2〜約2,000g/m2、そして更に別の実施形態では約700g/m2〜約1,500g/m2の坪量を有する。
【0033】
1つの実施形態では、構造物は、約0.08g/cm3〜約0.30g/cm3の乾燥密度を有し、別の実施形態では、約0.10g/cm3〜約0.25g/cm3、そして別の実施形態では、約0.12g/cm3〜約0.20g/cm3の乾燥密度を有する。
【0034】
連続気泡発泡体構造物に関して、構造物は気泡壁の厚さを有する。1つの実施形態における構造物は、約15マイクロメートル〜約55マイクロメートルの気泡壁の厚さを有し、別の実施形態では、約20マイクロメートル〜約45マイクロメートル、そして別の実施形態では、約25マイクロメートル〜約35マイクロメートルの気泡壁の厚さを有する。
【0035】
連続気泡発泡体構造物に関して、1つの実施形態では、構造物は、約1mm3〜約90mm3の星形体積を有し、別の実施形態では約5mm3〜約80mm3、別の実施形態では約10mm3〜約70mm3、そして更に別の実施形態では約15mm3〜約60mm3の星形体積を有する。1つの実施形態では、連続気泡発泡体構造物は、約0.0〜約3.0の非負の構造モデル指数を有し、1つの実施形態では約0.5〜約2.75、そして別の実施形態では約1.0〜約2.50の構造モデル指数を有する。
【0036】
連続気泡発泡体構造物に関して、1つの実施形態では、構造物は、約70%〜100%の連続気泡含有百分率を有し、1つの実施形態では約80%〜約97.5%、そして別の実施形態では約90%〜約95%の連続気泡含有百分率を有する。
【0037】
繊維構造物に関して、1つの実施形態では、構造物は、約150マイクロメートル未満の平均直径を有する相当数の溶解性繊維を含み、平均直径は、別の実施形態では約100マイクロメートル未満、別の実施形態では約10マイクロメートル未満、そして更に別の実施形態では約1マイクロメートル未満であり、相対標準偏差は、100%未満、あるいは80%未満、あるいは60%未満、あるいは例えば10%〜50%の範囲などの50%未満である。本明細書に明示されるように、相当数は、全溶解性繊維の少なくとも10%を意味し、別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも25%、別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも50%、更に別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも75%を意味する。特定の実施形態では、相当数は、全溶解性繊維の少なくとも99%であってもよい。更なる実施形態では、全溶解性繊維の少なくとも50%が、約10マイクロメートル未満の平均直径を有してもよい。本開示の方法により生成される溶解性繊維は、約1マイクロメートル未満の平均直径を有する相当数の溶解性繊維、又はサブミクロンの繊維を有する。1つの実施形態では、構造物を含む物品は、全溶解性繊維の少なくとも25%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有する繊維を有し、別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも35%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有する繊維、別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも50%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有する繊維、そして更に別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも75%が約1マイクロメートル未満の平均直径をする繊維を有し得る。
【0038】
II.溶解性構造物−化学組成
本発明の構造物(乾燥済み)は、多孔質溶解性固体の形態であり、(a)約1重量%〜約95重量%の界面活性剤と、(b)約5重量%〜約50重量%のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、を含み、前記コポリマーは、約84%以下のアルコール単位を含む。1つの実施形態では、構造物は約3重量%〜約75重量%の界面活性剤を含み;そして別の実施形態では、約5重量%〜約65重量%の界面活性剤を含む。1つの実施形態では、構造物は、約10重量%〜約50重量%のコポリマーを含み、別の実施形態では約15重量%〜約40重量%のコポリマー、そして別の実施形態では約20重量%〜約30重量%のコポリマーを含む。
【0039】
A.コポリマー
本発明の構造物は、ビニルアセテートとビニルアルコールの単位を含む少なくとも1種のコポリマーを含み、コポリマーは約84%以下のアルコール単位を含む。ビニルアセテートとビニルアルコールの単位からなるコポリマーは、従来、良好な性能の溶解性構造物を作製するために使用されてきたが(例えば、米国特許第8,466,099号、及び米国特許第8,461,090号)、確認されたコポリマーは、本明細書で使用されるコポリマーより、高度のビニルアルコール含有率(すなわち、ポリビニルアセテート出発ポリマーの高度な加水分解)−典型的にはおよそ88%−を有した。ビニルアルコール含有率が高いコポリマーの使用は非常に満足できるものであるが、本明細書に記載されるアルコール含有率が低いコポリマーに関連する驚くべき利点があることを、出願者らは見出した。重要な利点の1つは、低アルコールのコポリマーは、多孔質構造物の生成中の水使用の著しい低減を可能にすることである。数ある中でも特に、この利点により、プロセスの初期段階における水導入の低減、及び構造物形成後の乾燥の時間とエネルギーの減少に起因して、生産速度を高めることが可能になる。これらの利点について、以下の実施例の節で述べる。
【0040】
1つの実施形態では、コポリマーは、約82.5%以下のアルコール単位を含み、別の実施形態では約81%以下のアルコール単位を含む。1つの実施形態では、コポリマーは、約65%〜約84%のアルコール単位を含み、別の実施形態では約65%〜約82.5%のアルコール単位、そして更に別の実施形態では約70%〜約81%のアルコール単位を含む。アルコール単位の百分率(すなわち、加水分解度)は、標準的滴定化学技術を使用して決定できる。そのような一手順は、ISO 15023−2:2003に記載されている。
【0041】
ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーの重合度(平均分子量)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定する。この形態のクロマトグラフィーでは、サイズ排除が利用される。多孔質ビーズを充填したカラムを介して、分離が行われる。分析物が小さくなるほど、孔中でより多くの時間を費やし、したがって、よりゆっくりとカラムを通過する。ポリマーが溶出された時、溶離溶媒中のポリマーの量を、検出器により測定する。本明細書におけるコポリマーの分子量の参照は、重量平均分子量(「MW」)である。コポリマーのMWは広く変化し得るが、1つの実施形態では、コポリマーは、約20,000〜約500,000のMWを有し、1つの実施形態では、約40,000〜約400,000、更に別の実施形態では約60,000〜約300,000、そして更に別の実施形態では約70,000〜約200,000のMWを有する。
【0042】
1つの実施形態では、多孔質溶解性構造物は、本明細書に記載される2種以上のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマー材料を組み合わせることにより調製され得て、コポリマー材料は、それらの重合度及び/又は加水分解度のいずれか又はその両方に関して異なる。
【0043】
確認された利点は上述の1種のコポリマーを使用することにより達成され得るか、又は2種の異なるビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーを使用することが可能である。
【0044】
1つの実施形態では、多孔質溶解性固体構造物は、本明細書に記載されるビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、高い加水分解度を有する(例えば、約88%加水分解された、「高度加水分解物ポリビニルアルコール」)ポリビニルアルコール/ポリビニルアセテートとを組み合わせることにより調製され得る。そのような場合、ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーの、高度加水分解物ポリビニルアルコールに対する比(重量:重量)は、典型的には約5:1〜約1:5となる。
【0045】
本発明に有用なビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーは、周知の化学反応を使用して容易に調製される。そのような一方法は、触媒量のアルカリ(例えば、ナトリウムメトキシド)の存在下で、無水アルコール(例えば、メタノール)を用いた、所望の重合度の出発物質のポリビニルエステル(ポリビニルアセテート;ビニルアセテートモノマー単位の重合によって形成される)の加水分解である。ポリビニルアセテートの、ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーへの加水分解では、生成条件に応じて、異なるアルコール基含有量を有する生成物を得ることができる。加水分解条件が、形成されるビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーの構造に影響を与える。触媒濃度、反応温度、及び反応時間を変えることにより、残留アセチル基(すなわち、加水分解されていないアセチル基)の含有量を、日常的に調整することができる。例えば、Polyvinyl Compounds,Others,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.29,p.605〜609(2000)を参照されたい。ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーはまた、例えば、Kuraray Europe GmbHから市販されている。
【0046】
B.界面活性剤
構造物は、毛髪又は皮膚への用途に好適な1つ又は複数の界面活性剤を含む。構造物における使用に好適な界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、又はそれらの組み合わせが挙げられる。代表的な界面活性剤が本明細書に記載されているが、他の界面活性剤に容易に置き換えることができ、本明細書に記載されるビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーの使用から同様の利益が得られることを、当業者は認識しているであろう。本出願全体を通して記載される各特許は、それぞれが構造物への包含に好適な界面活性剤に関する指針を提供する範囲内で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
1つの実施形態では、構造物は、起泡性の溶解性固体パーソナルケア製品(乾燥済み)であり、約23重量%〜約75重量%の界面活性剤を含み、1つの実施形態では約30重量%〜約70重量%の界面活性剤、別の実施形態では約40重量%〜約65重量%の界面活性剤を含む。
【0048】
好適なアニオン性界面活性剤として、アルキル及びアルキルエーテルスルフェートが挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤は、有機硫酸反応生成物の水溶性塩である。更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、脂肪酸をイセチオン酸でエステル化し、水酸化ナトリウムで中和した反応生成物である。他の同様のアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
例示的なアニオン性界面活性剤として、アンモニウムラウリルスルフェート、アンモニウムラウレススルフェート、トリエチルアミンラウリルスルフェート、トリエチルアミンラウレススルフェート、トリエタノールアミンラウリルスルフェート、トリエタノールアミンラウレススルフェート、モノエタノールアミンラウリルスルフェート、モノエタノールアミンラウレススルフェート、ジエタノールアミンラウリルスルフェート、ジエタノールアミンラウレススルフェート、ラウリン酸モノグリセリドナトリウムスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウレススルフェート、カリウムラウリルスルフェート、カリウムラウレススルフェート、ナトリウムラウリルサルコシネート、ナトリウムラウロイルサルコシネート、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、アンモニウムココイルスルフェート、アンモニウムラウロイルスルフェート、ナトリウムココイルスルフェート、ナトリウムラウロイルスルフェート、カリウムココイルスルフェート、カリウムラウリルスルフェート、トリエタノールアミンラウリルスルフェート、トリエタノールアミンラウリルスルフェート、モノエタノールアミンココイルスルフェート、モノエタノールアミンラウリルスルフェート、ナトリウムトリデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムココイルイセチオネート及びそれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、ナトリウムラウリルスルフェート又はナトリウムラウレススルフェートである。
【0050】
1つの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、式CH3−(CH2z−CH(R1)−CH2−O−(CH2CH(R2)O)y−SO3M、式中、zは約3〜約14であり、R1は、H又は1個〜4個の炭素原子を含む炭化水素ラジカルを表し、R2はH又はCH3であり、R1及びR2が、両方ともHであることはなく、yは0〜約7であり、yが0でないとき、yの平均値は約1であり、Mは一価又は二価の正電荷を持つカチオンである、を有する少なくとも1つの分岐スルフェートである。一価の正電荷を持つカチオンの例には、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンカチオンが挙げられ、二価の正電荷を持つカチオンの例には、マグネシウムが挙げられる。前述の分岐スルフェートに関して、「平均値」は、組成物が1以外のy値を有する分子を含むことがあり、組成物中の全分子のyの平均値は約1であることを意味する。
【0051】
好適な両性又は双性イオン性の界面活性剤として、シャンプー又は他のクレンジング製品に使用される周知のものが挙げられる。好適な双性イオン性又は両性の界面活性剤の非限定的な例は、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号に記載され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
好適な両性界面活性剤として、脂肪族の第二級、及び第三級アミン誘導体として広く記載されている界面活性剤が挙げられ、その内、脂肪族ラジカルは直鎖又は分岐鎖であり得て、脂肪族置換基の1つは約8個〜約18個の炭素原子を含有し、その1つはカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、又はホスホネート等のアニオン基を含有する。例示的な両性の洗浄用界面活性剤として、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
好適な双性イオン性の界面活性剤として、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記載されている界面活性剤が挙げられ、その内、脂肪族ラジカルは直鎖又は分岐鎖であり得て、脂肪族置換基の1つは約8個〜約18個の炭素原子を含有し、その1つはカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、又はホスホネート等のアニオン基を含有する。別の実施形態では、ベタイン等の双性イオン性のものが選択される。
【0054】
組成物における使用に好適な他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意選択的に追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annual,published by M.C.Publishing Co.,及び米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号;同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
別の実施形態では、構造物は、実質的に非起泡性の溶解性固体パーソナルケア製品であり、a)約0重量%〜約10重量%のイオン性(アニオン性、双性イオン性、カチオン性、及びそれらの混合物)界面活性剤を含み、1つの実施形態では約0重量%〜約5重量%のイオン性界面活性剤、そして別の実施形態では約0重量%〜約2.5重量%のアニオン性界面活性剤、b)約1重量%〜約50重量%の非イオン性又は高分子界面活性剤、1つの実施形態では約5重量%〜約45重量%の非イオン性又は高分子界面活性剤、そして別の実施形態では約10重量%〜約40重量%の非イオン性又は高分子界面活性剤、及びそれらの組み合わせを含む。
【0056】
本発明での使用に好適な非イオン性界面活性剤として、McCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American edition(2010)、Allured Publishing Corp.,and McCutcheon’s Functional Materials,North American edition(2010)に記載されるものが挙げられる。本発明の構造物への使用に好適な非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン化アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルカン酸のグリセリルエステル、アルカン酸のポリグリセリルエステル、アルカン酸のプロピレングリコールエステル、アルカン酸のソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化アルカン酸、アルカノールアミド、N−アルキルピロリドン、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミンオキシド、及びポリオキシエチレン化シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
別の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ソルビタンエステル及びソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体から選択され、ソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)、ソルビタンモノパルミテート(SPAN(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(SPAN(登録商標)60)、ソルビタントリステアレート(SPAN(登録商標)65)、ソルビタンモノオレエート(SPAN(登録商標)80)、ソルビタントリオレエート(SPAN(登録商標)85)、ソルビタンイソステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標)40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)21)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)61)、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)81)、全てUniqemaから入手可能、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
好適な高分子界面活性剤としては、エチレンオキシドと脂肪アルキル残基とのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、疎水変性ポリアクリレート、疎水変性セルロース、シリコーンポリエーテル、シリコーンコポリオールエステル、ジ第四級ポリジメチルシロキサン、及び共修飾されたアミノ/ポリエーテルシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
C.任意成分
構造物(乾燥した)は、任意選択的に約1重量%〜約25重量%の可塑剤を含み、1つの実施形態では約3重量%〜約20重量%の可塑剤、1つの実施形態では約5重量%〜約15重量%の可塑剤を含む。
【0060】
構造物内に存在するとき、好適な可塑化剤の非限定的な例として、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル及びジメチコンコポリオールが挙げられる。
【0061】
有用なポリオールの例として、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ソルビトール、マニトール、ラクチトール等の糖アルコール並びに他の一価及び多価の低分子量アルコール(例えば、C2〜C8アルコール);フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、及び高フルクトースコーンシロップ固形物並びにアスコルビン酸等のモノ、ジ−及びオリゴ−糖類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
ポリカルボン酸の例として、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、及びポリマレイン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
好適なポリエステルの例として、グリセリントリアセテート、アセチル化−モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
ジメチコンコポリオールの好適な例として、PEG−12ジメチコン、PEG/PPG−18/18ジメチコン、及びPPG−12ジメチコンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
他の好適な可塑剤として、アルキル及びアリルフタレート;ナフタレート;ラクテート(例えば、ナトリウム、アンモニウム及びカリウムの塩);ソルベス−30;尿素;乳酸;ピロリドンカルボン酸(PCA)ナトリウム;ヒアルロン酸ナトリウム又はヒアルロン酸;可溶性コラーゲン;修飾タンパク質;L−グルタメートモノナトリウム;グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸及びサリチル酸等のα及びβヒドロキシル酸;グリセリルポリメタクリレート;ポリクオタニウム等の高分子可塑剤;たんぱく質並びにグルタミン酸、アスパラギン酸、及びリシン等のアミノ酸;水素化デンプン加水分解物;他の低分子量エステル(例えば、C2〜C10アルコールと酸とのエステル);並びに食品及びプラスチック産業の当業者に既知のその他の水溶性可塑剤;並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
欧州特許第0283165 B1号には、プロポキシル化グリセリン等のグリセロール誘導体を含む好適な可塑剤が開示されている。
【0067】
構造物は、組成物での使用について既知であるか、あるいは他の点で有用であるその他の任意成分を含んでもよいが、但し、このような任意材料は本明細書に記載の選択された不可欠な材料と適合性があるか、あるいは過度に製品性能を損なわないことを条件とする。
【0068】
このような任意成分は、最も典型的には、化粧品での使用が認可され、「CTFA Cosmetic Ingredient Handbook」(Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1992)のような参考文献に記載されている物質である。
【0069】
本明細書において任意成分として好適な乳化剤としては、モノ−及びジ−グリセリド、脂肪アルコール、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビタンエステル、並びに他の既知の乳化剤、あるいは例えばケーキ及び他の焼き菓子及び菓子製品などの気泡化食品の調製時に、又は毛髪用ムースなどの化粧品の安定化時に使用されるものなどの、空気界面を安定化させるのに一般に使用される乳化剤が挙げられる。
【0070】
そのような任意成分の更なる非限定的な例として、防腐剤、香料又は芳香剤、着色剤又は染料、コンディショニング剤、毛髪脱色剤、増粘剤、保湿剤、緩和剤、医薬活性物質、ビタミン又は栄養剤、日焼け止め剤、脱臭剤、知覚剤(sensates)、植物抽出物、栄養剤、収斂薬、化粧用粒子、吸収剤粒子、接着剤粒子、毛髪固定剤、繊維、反応剤、皮膚美白剤、皮膚日焼け剤、フケ防止剤、香料、角質除去剤、酸、塩基、湿潤剤、酵素、懸濁剤、PH調整剤、毛髪着色剤、毛髪用パーマ剤、顔料粒子、抗ニキビ剤、抗菌剤、日焼け止め剤、日焼け剤、剥離粒子、育毛剤又は発毛剤、防虫剤、シェービングローション剤、共溶媒又は他の付加的な溶媒、及び同様の他の材料が挙げられる。
【0071】
好適なコンディショニング剤としては、高融点脂肪化合物、シリコーンコンディショニング剤及びカチオン性コンディショニングポリマーが挙げられる。好適な物質は、米国公開特許第2008/0019935号、米国公開特許第2008/0242584号及び米国公開特許第2006/0217288号で論じられている。
【0072】
構造物による使用のための製品タイプの実施形態の非限定例としては、ハンドクレンジング基材、毛髪用シャンプー又は他の毛髪用トリートメント基材、身体用クレンジング基材、シェービング準備基材、布地ケア基材(柔軟剤)、食器洗浄基材、ペットケア基材、医薬用又は他のスキンケア活性物質を含むパーソナルケア基材、保湿用基材、日焼け止め用基材、習慣的な皮膚有益剤用基材(例えば、ビタミン−含有基材、αヒドロキシ酸−含有基材等)、脱臭用基材、香料−含有基材、等が挙げられる。
【0073】
III.製造方法−連続気泡発泡体
低加水分解のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーの使用により、驚いたことに、構造物加工中の水使用量の低減が可能となる(他の物質用の溶媒として導入された水を適切に評価したとき)。すなわち、ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーの使用により、固形分の含有率がより高いプレミックスから加工し始めることが可能となる。固形分の含有率は、水及び低沸点のアルコール等の明らかに揮発性の物質を除外した、全ての固体、半固体、及び液体構成成分の総加工混合物の重量による重量百分率の合計である。出願者らはまた、比較的少量の水中で(約60重量%以下)又は高固形分率(約40%以上)のプロセスで、ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーを使用して発泡体構造物を作製するとき、乾燥発泡体は、高加水分解ポリマーを使用して作製された発泡体と比較して、改善され一体性を呈することも見出した。これにより、以下の実施例の節で述べるように、改善された溶解を含む使用中の利益がもたらされる。
【0074】
溶解性の連続気泡発泡体構造物を調製するプロセスは、
(a)(1)約1重量%〜約75重量%の界面活性剤と、(2)約0.1重量%〜約25重量%のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、(3)約60重量%以下の水と、(4)任意選択的に約0.1重量%〜約25重量%の可塑剤と、を含むプレミックスを調製する工程であって、
プレミックスは、
(i)70℃において、約1000cps〜約100,000cpsの粘度を有し、
(ii)約60℃〜約100℃の範囲の温度に加熱される、工程と、
(b)プレミックス内に気体を導入することによりプレミックスに通気し、湿潤気泡化混合物を形成する工程であって、前記湿潤気泡化混合物は、
(i)約0.15〜約0.65g/mLの密度、及び
(ii)約5〜約100マイクロメートルの直径を有する気泡を含む、工程と、
(c)湿潤気泡化混合物を金型内の個々のキャビティ内に投与するか、又は連続シートとして投与する工程と、
(d)湿潤気泡化混合物を加熱し、かつ水を蒸発させるためのエネルギーを加えることにより、湿潤気泡化混合物を乾燥し、構造物を提供する工程と、を含み、
前記構造物は、約70%〜約100%の連続気泡含有率を有する。
【0075】
1つの実施形態では、プレミックスは、プレミックスの約0.1重量%〜約25重量%のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーを含み、1つの実施形態では約5重量%〜約15重量%のコポリマー、1つの実施形態ではプレミックスの約7重量%〜約10重量%のコポリマーを含む。
【0076】
1つの実施形態では、プレミックスは、約0.1重量%〜約25重量%の可塑剤を含み、1つの実施形態では約1重量%〜15重量%の可塑剤、1つの実施形態では約2重量%〜約10重量%の可塑剤、そして別の実施形態では約2重量%〜約4重量%の可塑剤を含む。
【0077】
A.プレミックスの調製
プレミックスは、一般に、界面活性剤(1つ又は複数)、ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマー、任意選択の可塑剤及び他の任意選択成分を含む対象固形物を混合することにより調製される。ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーの使用に関連する利点は、連続気泡発泡体生成に関して、固形分の含有量が比較的高いプレミックスを使用できることである。論じてきたように、高固形分(すなわち、水の低減)により、作製プロセスの初期段階の水含有率を低減することができ、したがって、所望の乾燥構造物に到達するために水を除去するのに必要とされる時間とエネルギーが低減されるため、高固形分には重大な価値がある。
【0078】
1つの実施形態では、プレミックスは、メカニカルミキサーを使用して形成することができる。本明細書において有用なメカニカルミキサーとして、傾斜ブレードタービン又はMAXBLENDミキサー(Sumitomo Heavy Industries)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
プレミックス中の成分の添加に関して、ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーは、水、界面活性剤(1つ又は複数)、任意の活性物質、可塑剤、及び他の任意選択成分の存在下で成分の任意の組み合わせのプレミックス部分による段階的処理を含んで、最終的に溶解することが想定できる。
【0080】
本発明のプレミックスは、乾燥前のプレミックスの重量基準で、少なくとも約40%の固形分を含み、1つの実施形態では少なくとも約42%、1つの実施形態では少なくとも約44%、別の実施形態では少なくとも約46%、そして別の実施形態では少なくとも約50%の固形分を含む。
【0081】
1つの実施形態では、プレミックスの粘度は、プレミックスが約60℃〜約99℃の範囲の温度に加熱されたときに決定される。1つの実施形態では、粘度は、1秒-1及び70℃で測定される。別の実施形態では、プレミックスの粘度は、周囲温度(25℃)で測定される。
【0082】
プレミックスが60℃〜99℃の範囲の温度に加熱されるとき、プレミックスは、約1000cps〜約20,000cpsの粘度を有し、1つの実施形態では約2,000cps〜約15,000cps、1つの実施形態では約3,000cps〜約10,000cps、そして別の実施形態では約4,000cps〜約7,500cpsの粘度を有する。プレミックスの粘度値は、CPE−41コーンを備えるBrookfield RVDV−1 Prime Viscometerを使用して、1.0s−1のずり速度にて、300秒間測定される。
【0083】
B.プレミックスの任意の継続加熱
任意選択的に、通気プロセスの直前に、周囲温度超であるが構成成分の分解を起こす温度未満で、プレミックスを予熱することができる。1つの実施形態では、プレミックスは、約40℃超で約99℃未満に保持され、別の実施形態では約50℃超で約95℃未満、別の実施形態では約60℃から約90℃未満に保持される。1つの実施形態では、本発明のプレミックスが60℃〜99℃の範囲の温度に加熱されるとき、プレミックスは、約1000cps〜約20,000cpsの粘度を有し、1つの実施形態では約2,000cps〜約15,000cps、1つの実施形態では約3,000cps〜約10,000cps、そして別の実施形態では約4,000cps〜約7,500cpsの粘度を有する。追加の実施形態では、通気プロセス中に追加的加熱が施され、通気中に昇温を試み、かつ維持する。追加的加熱は、1つ又は複数の表面からの伝導加熱、蒸気の注入又は他の加工手段によって達成され得る。
【0084】
通気工程の前にプレミックスを予備加熱する作用によって、より高い固形分含有率を含むプレミックスの粘度を低減し、混合物内への改善された気泡導入を行い、所望の構造物を形成するための手段が提供され得ると思われる。高い固形分含有率を達成することは、乾燥のために必要とされるエネルギーを低減するために望ましい。固形分率の増加、したがって逆に、水分含有量の減少、及び粘度の増加は、乾燥工程中のプレミックス内での膜流出に影響すると考えられる。乾燥中のプレミックスからの膜流出及び水の蒸発は、構造物の連続気泡構造の形成を促進するものと考えられる。
【0085】
プレミックスの予備加熱により、より粘稠性の加工混合物を使用するときでさえも、迅速に溶解する構造物の製造が可能となる。予備加熱なしでは、高い固形分率の値を有するこれらの粘稠性の加工混合物は、通常は、ゆっくりと溶解し、かつ主に独立気泡発泡体を有する構造物を生成する。しかしながら、予備加熱中に上昇した温度により、気泡を外側に分離している薄い液体膜から連続気泡発泡体のプラトー境界内への流出が引き起こされる。この流出により気泡間に開口部ができ、連続気泡の構造物となる。本発明の構造物のそのような相互接続した連続気泡発泡体を得るための立証された能力は、驚くべきものである。
【0086】
加えて、より粘稠性の加工混合物は、乾燥プロセス後に、迅速な溶解速度を依然として維持しながら、低収縮率(%)を有する構造物を結果的にもたらす。このことは、乾燥プロセス中に、より高い粘度を有するプレミックスが、収縮を引き起こす流出及び気泡の破裂/崩壊/融合を軽減できるという事実に起因している。
【0087】
C.プレミックスの通気
湿潤気泡化混合物を形成するためのプレミックスの通気は、1つの実施形態では機械的混合エネルギーによりプレミックス内に気体を導入することにより達成されるが、気泡化混合物を形成するための化学的手段によって達成することもできる。通気は:(i)遊星形ミキサー又は他の好適な混合容器を含む機械的混合によるバッチ槽通気、(ii)食品産業で利用される半連続的若しくは連続的通気装置(加圧式及び非加圧式)、又は(iii)多孔質固体を形成するために、金型内等で熱を用いて圧縮され得る気泡化ビーズ若しくは粒子を形成するために、加工混合物を噴霧乾燥させること、を含む任意の好適な機械的加工手段により達成され得るが、これらに限定されない。
【0088】
別の実施形態では、インサイチュの気体形成による化学発泡剤を用いる通気(発泡系による二酸化炭素(CO2(g))の形成を含む1つ又は複数の成分の化学反応による)を使用することができる。
【0089】
特定の実施形態では、構造物は、従来は食品産業でマシュマロの生産に利用される連続加圧式通気装置内で調製され得ることが見出された。好適な連続加圧式通気装置として、Morton whisk(Morton Machine Co.,Motherwell,Scotland)、Oakes連続自動ミキサー(E.T.Oaks Corporation,Hauppauge,New York)、Fedco Continuous Mixer(The Peerless Group,Sidney,Ohio)、Mondo(Haas−Mondomix B.V.,Netherlands)、Aeros(Aeros Industrial Equipment Co.,Ltd.,Guangdong Province,China)、及びPreswhip(Hosokawa Micron Group,Osaka,Japan)が挙げられる。連続ミキサーは、スラリーを均質化する又は気泡化するように働き、均一な気泡サイズを有する、高度に均一かつ安定した発泡体構造物を生じさせることができる。高剪断ロータ/固定子ミキシングヘッドの独特な設計により、構造物を形成するために(乾燥前に)使用される最初の湿潤気泡化プレミックスの厚さの全域で、気泡サイズを均一化することにつながり得る。
【0090】
湿潤気泡化混合物の気泡サイズは、最終構造物の均一性を達成する助けとなる。1つの実施形態では、湿潤気泡化混合物の気泡サイズは、約5〜約100マイクロメートルであり、別の実施形態では、気泡サイズは、約20マイクロメートル〜約80マイクロメートルである。
【0091】
気泡サイズの均一性により、構造物が、構造物の層において一貫した密度を有するようになる。1つの実施形態では、湿潤気泡化混合物は、約0.15〜約0.50g/モルの密度を有し、1つの実施形態では約0.20〜約0.45g/モル、1つの実施形態では約0.25〜約0.40g/モル、そして別の実施形態では約0.27〜約0.38g/モルの密度を有する。
【0092】
D.投与
乾燥の前に、様々な方法により湿潤気泡化混合物を投与することができる。例えば、金型内の個々のキャビティ内へ、又は連続シートとして湿潤気泡化混合物を投与することができる。1つの実施形態では、金型内の個々のキャビティ内へ、マニホールド型装置を使用して湿潤気泡化混合物を投与する。キャビティの過剰充填又は充填不足を防止するために、正確な投与が必要である。理想的には、頂面が「自己平坦化」し、完成した構造物において滑らかで平らな表面を作り出すか、あるいはきさげ仕上げを使用して、滑らかで平らな表面を作り出すことができる。特定の形状及びサイズをもたらすようにカスタマイズされた、市販の機器を使用して投与が実行されてよい。好適な機器は、E.T.Oakes Corporation(Hauppauge,NY)、OKA−Spezialmaschinefabrik(Darmstadt,Germany)、及びPeerless Food Equipment(Sidney,Ohio)によって提供され得る。完成した構造物に所望の形状及びデザインをもたらす金型の中に、生成物を投与する。金型は、金属、プラスチック、及び複合材など様々な材料から作製されてよい。可撓性金型を使用することは、完成した構造物を乾燥後に金型から取り外す助けとなる。
【0093】
E.乾燥
投与された湿潤混合物にエネルギーを加え、発泡体を加熱し、水を蒸発させる。このエネルギーは、熱風、赤外線、放射熱等の様々なエネルギー源に由来し得る。発泡体が加熱するにつれて、気泡が成長し互いを圧迫し始める。これにより、気泡を分離している薄膜内に圧力が生まれ、これらの膜を、気泡構造のプラトー境界域に流出する。乾燥速度及びプレミックスのレオロジーは、この膜流出を可能にするように制御され、これは次いで、乾燥中の連続気泡発泡体構造物の形成をもたらす。この連続気泡発泡体構造物は、仕上がり乾燥発泡体に良好な溶解性をもたらす。乾燥速度と薄膜のレオロジーが適切に適合しない場合、結果として生じる構造物は、良好に溶解しない、独立気泡発泡体であるか、一部が独立気泡発泡体であり得る。乾燥は、様々な市販の装置、例えば、Lincoln(Manitowoc Foodservicesの一部門)製造の衝突エアドライヤー及びAutobake Ovens and Baking Systems(Sydney,Australia)を使用して実施することができるこの方法による乾燥は、連続気泡孔径に勾配をもたらし得る。金型に加えられる熱は、基材を不均一に加熱し、したがって、細孔勾配が生じ、金型と接触する発泡体の側に最大の細孔が形成され得る。乾燥プロセス後に固体構造物内に幾らかの残存する残留水が存在し得るが、典型的には約10重量%以下であることが理解されよう。
【0094】
F.状態調整
一部の乾燥条件下で、構造物が乾燥機を退出するときに、構造物内に内部水分の勾配がある。この内部水分勾配が大きすぎ、かつ構造物の中心が湿潤でありすぎる場合は、構造物の取り外し工程において、構造物の品質を損なうことがある。一定期間、制御された温度及び湿度条件で構造物を保持して、構造物内の水分勾配を平衡化することができる。
【0095】
G.金型からの取り外し
投与工程で金型を使用するときは、構造物を金型から取り外すために、金型の反転と吸引の組み合わせを使用することができる。乾燥構造物の多孔度が比較的高く、構造物を通して真空吸引することができるため、金型の反転が望ましい。
【0096】
H.微量添加物
付加的な微量成分−詳細には乾燥条件に耐えられないかもしれない芳香剤等の温度感受性の物質を、乾燥後に構造物に添加してもよい。各構造物に対して適切な量の物質を正確に投与し、仕上がり構造物に許容できる外観をもたらすような方法で、これらの微少物質を添加する。好適な方法としては、スプレーコーティング、ロールコーティング、及び他のコーティング技術が挙げられる。
【0097】
I.他の発泡体加工の検討
本明細書に記載される成形プロセスに従って生成された構造物は、場合によっては、構造物の外面に向かって大きな細孔を形成することがある。そのような構造物には、上面と下面がある。大きな細孔は、構造物の一側面のみにあり、金型が使用されたときは、構造物が金型と接触する部分のみにあり得る。米国特許出願第12/361,634号が参照により本明細書に組み込まれ、前記特許にはそのような構造物が記載され、並びに適切な金型の使用により発泡体に導入することができる任意の物理的特徴も記載されている。
【0098】
IV.製造方法−繊維状基材
構造物が繊維ウェブの形態であるとき、その構造物は:
(a)加工混合物を調製する工程であって、1種又は複数種のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーと、1つ又は複数の界面活性剤と、約60重量%以下の水と、を含み、前記加工混合物は、70℃において約5,000センチポアズ〜約150,000センチポアズの粘度を有する、工程と、
(b)繊維を形成するために、前記加工混合物の液膜に対して向けた第一の加圧ガス流を含む流体フィルムフィブリル化プロセスにより、加工混合物を繊維にフィブリル化する工程と、
(c)第二の加圧ガス流により、前記加工混合物の繊維を少なくとも部分的に乾燥させる工程と、
(d)前記部分的に乾燥された繊維を面上に堆積させ、部分的に乾燥された繊維ウェブ構造物のウェブを形成する工程、と、
(e)前記部分的に乾燥された繊維ウェブ構造物を、所望の最終含水率まで乾燥する工程と、を含むプロセスにより調製することができる。
【0099】
任意選択的に、構造物に表面常在コーティングを適用することができる。前記表面常在コーティングは、表面常在コーティングの節で後に説明するように、ウェブ形成前に繊維がコレクターへ飛んでいる際に、又はウェブ乾燥後のいずれかにおいて、繊維の表面上に適用されてもよい。
【0100】
A.加工混合物の調製
加工混合物は、一般に、水、界面活性剤、任意選択の可塑剤及び他の任意成分の存在下で、加熱し次に冷却することで、ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーを溶解することにより調製される。これは、任意の好適な加熱バッチ式撹拌システムにより、又は単軸型若しくは二軸型押出のいずれかを備える任意の好適な連続システムによって、又は高剪断若しくは静的混合のいずれかと共に熱変換器を使用して達成され得る。任意のプロセスでは、成分の任意の組み合わせのプレミックス部分による段階的加工を含み、ポリマーは、水、界面活性剤、可塑剤、及び他の任意成分の存在下で、最終的に溶解することが想定できる。
【0101】
本発明のプレミックスは、繊維形成前のプレミックスの重量基準で、少なくとも約40%の固形分を含み、1つの実施形態では少なくとも約42%、1つの実施形態では少なくとも約44%、別の実施形態では少なくとも約46%、そして別の実施形態では少なくとも約50%の固形分を含み、約5,000センチポアズ〜約150,000センチポアズの粘度を有し、1つの実施形態では約10,000センチポアズ〜約125,000センチポアズ、別の実施形態では約15,000センチポアズ〜約100,000センチポアズ、別の実施形態では約20,000センチポアズ〜約75,000センチポアズ、そして更に別の実施形態では約25,000センチポアズ〜約60,000センチポアズの粘度を有する。
【0102】
固形分含有量の重量%は、水及び低沸点のアルコール等の明らかに揮発性の物質を除外した、全ての固体、半固体、及び液体の構成成分の総加工混合物の重量を基準にした重量百分率の合計である。プレミックスの粘度値は、CPE−41コーンを備えるBrookfield RVDV−1 Prime Viscometerを使用して、1.0s−1のずり速度にて、300秒間測定される。
【0103】
B.加工混合物からの繊維形成
繊維は、溶融ブロープロセス、スパンボンドプロセス、ボンデッドカーデッドウェブプロセス、溶融フィブリル化及び電界紡糸、並びにこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない多数のプロセスにより形成され得る。繊維の作製方法は、単一工程のフィブリル化プロセスを含んでもよい。熱可塑性ポリマーに使用される典型的な単一工程フィブリル化プロセスは、溶融ブロー、溶融フィルムフィブリル化、スパンボンド、典型的な紡糸/延伸プロセスおける溶融紡糸、及びこれらの組み合わせを含む。1つの実施形態では、繊維は、2014年4月22日に出願された米国特許仮出願第61/982469号に記載されるプロセスに従って形成され得る。1つの実施形態では、繊維は、Glenn Jr.,et al.によって2011年6月30日に出願された米国特許出願第13/173,639号に記載されるプロセスに従って形成され得る。
【0104】
スパンボンドされている繊維とは、米国特許第3,692,618号、同第3,802,817号、同第3,338,992号、同第3,341,394号、同第3,502,763号、同第3,502,538号、及び同第3,542,615号に記載されているように、複数個の、微細で、通常は円形毛管の紡糸口金から、溶融した熱可塑性材料をフィラメントとして押し出し、次いで、押し出されたフィラメントの直径を急激に縮小させることによって形成される、小直径の繊維を指す。
【0105】
溶融ブローされている繊維は、溶融熱可塑性材料を溶融糸又はフィラメントとして、複数個の、微細で、通常は円形のダイ毛管を通して収束する高速ガス流中に押し出すことにより形成される繊維を意味し、この収束する高速ガス流は、溶融熱可塑性材料のフィラメントを微細化して、おそらく超極細繊維の直径にそれらの直径を縮小させる。その後、溶融ブローされている繊維は、高速ガス流により運ばれ、収集面上に堆積され、無作為に分散した溶融ブロー繊維のウェブを形成する。そのようなプロセスは、米国特許第3,849,241号に開示されている。
【0106】
微細繊維を生成するための方法は、更に溶融フィブリル化、及び電界紡糸法を含む。溶融フィブリル化は、1種又は複数種のポリマーを溶融し、多くの可能な構成に押し出し(例えば、共押し出し、均質又は二成分フィルム若しくはフィラメント)、次にフィブリル化するか又はフィラメントに繊維化すると定義される、繊維作製の一般的な種類である。溶融ブローは、そのような特定の方法の1つである(本明細書に記載される)。溶融フィルムフィブリル化は、サブミクロン繊維を生成するために使用され得る別の方法である。溶融フィルムは溶融物から生成され、次に流体を使用して溶融フィルムから繊維を形成する。この方法の例として、Torobin et al.に付与された米国特許第6,315,806号、同第5,183,670号、及び同第4,536,361号、並びにReneker et al.に付与され、University of Akronに譲渡された米国特許第6,382,526号、同第6,520,425号、及び同第6,695,992号を含む。Torobinによるプロセスは、1つの共軸環状ノズル又はその配列を使用し、流体フィルムを形成し、流体フィルムはこの環状フィルム内を流れる高速空気流によってフィブリル化される。他の溶融フィルムフィブリル化方法及びシステムは、Johnson,et al.に付与された米国特許第7,666,343号及び同第7,931,457号、Krause et al.に付与された米国特許第7,628,941号、並びにKrause,et al.に付与された米国特許第7,722,347号に記載されており、均一かつ狭い繊維分布を提供し、例えば、未繊維化ポリマー溶融物(一般的に「ショット」と称される)、フライ、及びダスト等の、繊維の欠陥を低減又は最小化する。これらの方法及びシステムは、更に吸収衛生物品用の均一不織ウェブをもたらす。
【0107】
電界紡糸は、通例、サブミクロン繊維の生産に普通に用いられる方法である。この方法では、典型的には、ポリマーを、溶媒に溶解し、一端を封止され他端にはネックダウン部分に小開口を有するチャンバ内に入れる。次に、ポリマー溶液と、チャンバの開口端付近のコレクターとの間に高電圧電位を印加する。本プロセスの生産速度は非常に遅く、典型的には繊維は少量生産される。サブミクロン繊維を生産するための他の紡糸技術は、溶媒を利用する溶液紡糸又はフラッシュ紡糸である。
【0108】
電界紡糸法で作製されるサブミクロン直径繊維と、溶融フィブリル化で作製されるサブマイクロメートル直径繊維との間には、即ち、化学組成の間に差異が存在する。電界紡糸サブミクロン繊維は、一般に、溶融フィブリル化で作製される繊維より、低分子量の可溶性ポリマーから作製される。商業的に実現可能な電界紡糸法は、Jirsak et al.に付与された米国特許第7,585,437号、Chu et al.に付与された米国特許第6,713,011号、Reneker et al.に付与された米国特許公開第2008/0237934号、Parkに付与された米国特許公開第2008/0277836号及び同第2008/0241297号、並びにPetras et al.に付与された米国特許公開第2009/0148547号に記載されている。
【0109】
一実施形態では、溶融フィルムフィブリル化プロセスの形態が使用される。一般に、このプロセスは、熱可塑性高分子溶融物を準備し、加圧ガス流を使用して高分子溶融物上に衝突させて、多数の微細繊維を形成する工程を含む。好適な溶融フィルムフィブリル化法は、−例えば、Torobinに付与された米国特許第4,536,361号、同第6,315,806号、及び同第5,183,670号;Renekerに付与された米国特許第6,382,526号、同第6,520,425号、及び同第6,695,992号;Johnson et al.に付与された米国特許第7,666,343号;Krause et al.に付与された米国特許第7,628,941号、及びKrause et al.に付与され、2009年12月3日に公開された米国特許公開第2009/0295020号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。溶融フィルムフィブリル化方法は、異なる加工条件を使用してもよい。Torobinの方法及びRenekerの方法は、より詳細には、ポリマー溶融物を環状カラム内に供給する工程と、ガス噴流空間が形成されている環状カラムの出口においてフィルムを形成する工程と、を含む。次いで、ガスカラムがポリマーフィルムの内側周囲上に圧力を付与する。ポリマー溶融フィルムがガス噴流空間を退出する際、フィルムは、中心ガスの膨張によりばらばらに吹き飛ばされて、ナノ繊維を含む多数の小繊維となる。
【0110】
上に参照として含まれる溶融フィルムフィブリル化方法には、熱可塑性のポリマー溶融物の使用が記載されているが、フィルムフィブリル化方法が加工混合物流体の繊維作製のために使用され得ることは驚くべきことであり、直感的にはわからない。詳細には、使用時、流体フィルムフィブリル化プロセスは、閉じ込められたガス通路内を流れる加圧ガス流を含み、前記通路は、収束している上流壁面と発散している下流壁面とを含み、前記通路内に加工混合物流体が導入されて、押し出された加工混合物流体フィルムを加熱壁面上に提供し、前記壁面はガス通路内を流れるガス流により衝突され、これにより加工混合物流体フィルムが効率的に繊維へとフィブリル化される。「収束している」は、ガス流の方向に断面積が減少することを意味し;「発散している」は、ガス流の方向に断面積が増加することを意味する。一実施形態では、ガス通路は、ガスが供給端から入り込む第1の上流区分と、移行領域と、ガスが出口端に流れる第2の下流区分とを含み、移行領域は第1の区分を第2の区分に流体的に接続し、ガス通路は第2の区分の出口端で終結する。特定の実施形態では、ガス通路の第1の区分は、供給端から移行領域まで単調に減少する断面積を有し、ガス通路の第2の区分は、移行領域から第2の区分の出口端まで単調に増加する断面積を有する。流れている少なくとも1つの加工混合物流体の流れは、少なくとも1つの制限通路を通して送られ、前記通路は、対向する加熱壁の少なくとも一方における少なくとも1つの開口部内で終結する。加工混合物流体は、ガス通路内に導入されるまで、移動中に十分加熱されて流動性とされ、かつ流動性に保たれる。加工混合物流体の流れのそれぞれは、各開口部からフィルムの形態で押し出される。各押し出し加工混合物流体フィルムはガス流と合流し、加工混合物流体フィルムがフィブリル化されて繊維が形成され、この繊維は、ガス通路の第2の区分の出口端から退出する。本明細書の目的において、「単調に減少する断面積」は、上流ノズル区分の上部入口端から下部端まで「狭義単調減少する断面積」を意味し、「単調に増加する断面積」は、ノズルの下流区分の上部端から出口端まで「狭義単調増加する断面積」を意味する。
【0111】
特定の実施形態では、押し出された加工混合物流体フィルムのそれぞれを、ガス通路の第2の区分内でガス流と合流させる。加工混合物流体をノズルシステムの第2の区分内の加熱された収束支持壁上に導入することは、高品質の繊維及び結果として得られるウェブの生成を特に促進することが見出された。更なる実施形態では、押し出された加工混合物流体フィルムを第2の、下流区分内のガスと合流させて最高品質の繊維及びウェブを生成する位置は、ガスのタイプ、角度及び移行部を含むノズル形状、並びにガスの圧力に依存し、低いガス圧条件の場合等は、第2の区分の上部半分内に位置してもよく、高いガス圧条件の場合等は、第2の区分の下部の下流半分内に位置してもよい。特定の実施形態では、1つのみの加工混合物流体フィルムが、少なくとも1つの加熱壁上に形成し、ガス圧は約69kPa(10psi)を超え、そこから加工混合物フィルムが押し出される各加工混合物通路開口部は、移行領域と第2の区分の出口端との間の、第2の区分の第2の下流半分内に位置している。第2の区分の下流の第2の半分は、最適のガス速度領域を提供することができ、ここで流体フィルムフィブリル化が非常に効率的に達成され、より高品質の繊維性製品が得られることが見出されている。
【0112】
本開示の目的において、加圧ガス用及び加工混合物流体用の隣接する通路は、一緒にして「ノズル」又は「ノズルシステム」と称されるであろう。ノズルは、矩形スロット構成若しくは円形の丸形構成若しくは細長い楕円構成、又は1つ以上の加圧ガス流により衝突される1つ以上の加工混合物流体フィルム(1種又は複数)の形成を可能とする任意の構成の隣接する通路を有してもよい。特に、矩形スロット構成の場合、1つ以上の加圧ガス流は、隣接する矩形スロット通路を通って流れ、矩形壁表面を形成している加工混合物流体フィルム上に衝突し、加工混合物繊維を形成し得る。そのような矩形スロット構成において、1つ以上の加工混合物流体の隣接する通路は、円形の丸形、又は細長い楕円、又は矩形スロット、又は任意の他の形状であってもよい。
【0113】
本明細書に記載されるウェブを作製するために、様々なプロセス及びプロセスの組み合わせを使用することができる。Sodemann et al.による米国特許第7,326,663号に開示されているように、繊維バーストを、単一ライン上の2つの別個のビーム上にて、本明細書に記載する流体フィルムフィブリル化と組み合わせてもよい。例えば、異なる強度及び直径を有する繊維を生成して、特性の所望の組み合わせを提供する等、繊維バーストの様々な態様を流体フィルムフィブリル化に組み込むことができる。あるいは、流体フィルムフィブリル化の態様を他のフィブリル化プロセスに含ませて、流体フィルムフィブリル化を用いて繊維を形成することにより、処理量を増大させてもよい。例えば、本明細書に記載した流体フィルムフィブリル化プロセスを、繊維の下方延伸を補助するためのラバールノズル(Laval nozzle)を含むように改変してもよい。下方延伸は、繊維の更なる微細化を補助し得る。
【0114】
本明細書に記載した繊維は、一般にサブミクロン繊維を生じる他の紡糸方法により生産されることもできる。そのような方法には、電界紡糸、電気ブロー及びフラッシュ紡糸が挙げられる。一般に、電界紡糸は、静電気力を使用して、帯電液体高分子配合物を供給源からコレクターへ延伸する。静電場を使用して、液体配合物を供給源からコレクターへと加速し、コレクター上で繊維が収集される。本明細書に記載した繊維を作製するための電界紡糸方法の好適な非限定的な例は、Jirsak et al.に付与された米国特許第7,585,437号、Chu et al.に付与された米国特許第6,713,011号、Reneker et alに付与された米国特許公開第2008/0237934号、Parkに付与された米国特許公開第2008/0277836号及び同第2008/0241297号、Petras et alに付与された米国特許公開第2009/0148547号、並びにKarles,et alに付与された米国特許公開第2006/0264130号に記載されている。
【0115】
電気ブロー方法は、高分子溶液を紡糸ノズルに供給し、ポリマー溶液がノズルを退出するときに、圧縮ガスを使用してポリマー溶液を推進ガス流中に封入する一方で、ノズルに高電圧を印加する工程と、得られたナノ繊維ウェブを、接地した吸引コレクター上で収集する工程とを含む。電気ブロー方法の好適な非限定的な例としては、Armantrout et alに付与された米国特許第7,582,247号、Bryner et alに付与された米国特許第7,585,451号、Kim et alに付与された米国特許第7,618,579号、Hovanecに付与された米国特許公開第2006/0097431号、Armantrout et alに付与された米国特許公開第2006/0012084号、及びChu et al.に付与された米国特許公開第2005/0073075号が挙げられ、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
本明細書に記載される繊維を作製する別のプロセスは、フラッシュ紡糸であり、Blades及びWhiteに付与された米国特許第3,081,519号に記載されている(非限定的な例)。フラッシュ紡糸プロセスでは、溶媒の沸点を超える温度を有し、かつ少なくとも自生の圧力にある高分子溶液を、より低い温度かつ実質的により低い圧力の媒質中に押し出す。この時点で起こる突然の沸騰は、微小細胞構造又はフィブリル化網状組織のいずれかの形成をもたらす。圧力変化が非常に激しく、又はより薄い溶液が使用されたとき、フィブリル化材料が形成される傾向にある。これらの環境下では、押出物内の気化液体は気泡を形成し、境界壁を打ち破り、そして押出品を冷却し、押出物から固体ポリマーを形成させる。得られた多繊維性ストランドは、フィルム−フィブリルと称される、本質的に長手方向に伸長され、相互接続し、無作為な長さを有する多数の繊維性要素からなる3次元の一体的網状構造として特徴付けられる内部微細構造又は形態を有する。これらのフィルム−フィブリルは、典型的には、4マイクロメートル未満の厚さの薄いリボンの形態を有する。フラッシュ紡糸プロセスの他の好適な非限定的な例としては、Shin et alに付与された米国特許第5,977,237号及び同第5,250,237号、Bryner et alに付与された米国特許第5,788,993号、Schweigerに付与された米国特許第6,638,470号、D’Amico et alに付与された米国特許第4,260,565号、並びにArmantrout et alに付与された米国特許第7,118,698号が挙げられ、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
特定の実施形態では、加工混合物は、流体フィルムフィブリル化、溶融フィブリル化、電界紡糸、電界ブロー、フラッシュ紡糸、又はそれらの組み合わせの群から選択される方法を使用して、サブミクロン繊維(直径約1マイクロメートル未満)又はマイクロファイバー(直径約1マイクロメートル〜約10マイクロメートルの範囲)に紡糸されてもよい。
【0118】
流体フィルムフィブリル化、繊維バースト、電界紡糸、又は電気ブロー方法等の上述の方法により、約1マイクロメートル未満の平均直径を有する相当数の溶解性繊維、又はサブミクロン繊維が生成される。1つの実施形態では、構造物を含む物品は、全溶解性繊維の少なくとも25%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有し、1つの実施形態では全溶解性繊維の少なくとも35%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有し、別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも50%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有し、そして更に別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも75%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有してもよい。しかしながら、本明細書に記載される方法により生成される特定の構造物に関して、その方法が、例えば、約150マイクロメートル未満の平均直径を有し、1つの実施形態では約100マイクロメートル未満、別の実施形態では約10マイクロメートル未満、そして更に別の実施形態では約1マイクロメートル未満の平均直径を有し、100%未満の相対標準偏差、あるいは80%未満、あるいは60%未満、あるいは例えば10%〜50%の範囲などの50%未満の相対標準偏差を有する、相当数の溶解性繊維を生成するように最適化されていることが所望され得る。本開示で以前言及したように、相当な数とは、全溶解性繊維の少なくとも10%、一実施形態では全溶解性繊維の少なくとも25%、別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも50%、更なる別の実施形態では全溶解性繊維の少なくとも75%を意味する。
【0119】
C.繊維ウェブ構造物の形成
部分的に乾燥した、又は所望の含水率まで乾燥した、加工混合物の繊維をコレクター上に置いてウェブを形成する。コレクターは、典型的にはベルトコンベア又はドラムである。コレクターは多孔質であり得て、真空を適用して、繊維をコレクター上に置く補助となるように吸引力を提供することができる。通常、ダイとコレクターの距離(die-to-collector distance)(DCD)と呼ばれる、オリフィスからコレクター距離までの距離は、所望のウェブ特性のために最適化され得る。ウェブ内で使用されるDCDを2つ以上使用すること、又は生産中にDCDを変更すること、又は異なるDCDを有する異なるビームを有することが所望され得る。DCDを変更することにより異なる均一性を有するウェブを形成することが所望され得る。繊維がコレクター上に堆積される前に十分に乾燥していないようなDCDの場合は、湿った又は十分に乾燥していない繊維は、癒着して、望ましくなくかつ欠陥を生じ得る小塊又は束を形成することがある。あるいは、n構造物に関して、一部の又は全ての繊維を、完全に又は部分的に癒着させる、例えば、構造的一体性を有することが所望される場合があるDCDが大きく、また繊維が十分に乾燥するものである場合、繊維は互いに絡んだり又は貼り付いたりするが、癒着せずに束又はロープを形成する場合があり、この束又はロープは望ましくない可能性がある。したがって、所望の構造物に応じて、DCDは、望ましい均一性及び十分な乾燥性を有する繊維ウェブを形成するように設定することができる。あるいは、構造物において所望の含水率を得るように、望ましい均一性のウェブを更に乾燥してもよい。
【0120】
加えて、ダイとコレクターの距離をコレクター下の真空と共に変更して、ウェブの所望の密度を得てもよい。一般に、より短いDCD及び/又はより高い真空度では、より長いDCDと比較して、より密度の高いウェブがもたらされる。より短いDCD及び/又はより高い真空度では、繊維は、繊維化流体噴流及び/又は真空吸引によって、きつく集合するよう「強制」される傾向がある一方、より長いDCD及び/又はより低い真空度では、繊維はふわふわした状態に留まり、それ故、より低い密度を有する。したがって、所望の構造物密度に応じて、均一性、乾燥性、及び密度のために、DCD及び/又は真空度を最適化することが所望され得る。
【0121】
加工混合物の繊維ウェブは、(i)テフロン、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ゴム、LDPE、ガラス等を含む非干渉性及び非粘着性の表面を備える特別に設計をされた金型に繊維ウェブを堆積し、(ii)薄型トレイに入れた乾燥デンプン細粒に刻印されたキャビティの中か、さもなければデンプン鋳型成形技術として既知のキャビティの中に繊維ウェブを堆積し、(iii)テフロン、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ゴム、LDPE、ガラス等の、任意の非干渉性及び非粘着性材料を含む連続ベルト又はスクリーン上に繊維ウェブを堆積し、後に押印され、切断され、エンボス加工されるか又はロール状に保存され得ることを含むが、これらに限定されない、所望の形状又は形状(複数)に形成され得る。
【0122】
D.加工混合物の繊維ウェブの任意選択の乾燥
部分的に乾燥して形成された、加工混合物の繊維ウェブの任意選択の乾燥は、(a)対流式又は通気式乾燥を使用する多段式インライン乾燥機、(b)過熱蒸気乾燥機、(c)制御された温度及び圧力又は大気条件を有する部屋を含む乾燥室(1つ又は複数)、(d)制御された温度及び任意選択的に湿度を有する非対流式又は対流式のオーブンを含むオーブン、(e)トラック/トレイ乾燥機、衝突オーブン、(f)回転オーブン/乾燥機、(g)直列焙煎機、(h)急速高伝熱オーブン及び乾燥機、(i)二重プレナム焙煎機、及び(j)コンベヤ乾燥機、を含むが、これらに限定されない、任意選択の好適な手段により達成され得る。
【0123】
上述の4つの加工工程の任意の工程中に、又は乾燥プロセス後でさえも、任意選択成分を付与してもよい。任意選択の乾燥のプロセス後に構造物内に一部の残存する残留水が存在し得るが、典型的には約10重量%以下であることが理解されよう。
【0124】
E.活性剤を含む表面常在コーティングの任意の調製
活性剤を含む表面常在コーティングの調製は、任意の好適な、機械的手段、化学的手段、又は本明細書に記載した任意選択の材料若しくは流体からのコーティングを含む活性剤(1種又は複数)を含有する微粒子組成物を生成するための手段を含む。
【0125】
場合により、表面常在コーティングは、活性剤(1種又は複数)を含む放水性マトリクス複合体を含んでもよい。一実施形態では、活性剤(1種又は複数)を含む放水性マトリクス複合体は、噴霧乾燥によって調製され、その場合、活性剤が、溶解したマトリクス材料を含む水性組成物内で大きな剪断力(任意の乳化剤と共に)の下で分散又は乳化され、微粉に噴霧乾燥される。任意選択の乳化剤として、アラビアガム、特別に改質されたデンプン、又は噴霧乾燥技法で教示される他の界面活性剤(Flavor Encapsulation,edited by Sara J.Risch and Gary A.Reineccius,pages 9,45〜54(1988),これは参照として本明細書に組み込まれる、を参照されたい)を挙げることができる。活性剤(1種又は複数)を含む放水性マトリクス複合体を製造する他の既知の方法として、流動床凝集、押出、冷却/結晶化方法、及び界面重合を促進するための相間移動触媒の使用を挙げることができるが、これらに限定されない。あるいは、活性剤(1種又は複数)は、様々な機械的混合手段(噴霧乾燥、櫂型ミキサ、粉砕、ミリング等)によって、事前に作製された放水性マトリクス材料中に吸着若しくは吸収させ、又は前記マトリクス材料と組み合わせることができる。一実施形態では、ペレット又は顆粒又は他の固体ベースの形態の放水性マトリクス材料(残留溶剤と可塑剤を含む供給元から供給されるような任意のわずかな不純物を含む)を、活性剤がある状態で、例えば、グラインダ又はハンマミル等の様々な機械的手段によって微粉末に粉砕又はミリングしてもよい。
【0126】
物品が微粒子コーティングを有する場合、粒径は活性剤の潜在的な反応性表面積に直接的な効果を有するため、水による希釈時に活性剤がどのくらい速く意図される利益を供給するかに対してかなりの効果を有することが既知である。この意味で、粒経の小さい活性剤は、効果が瞬時に発揮されて持続時間が短い傾向があるのに対して、粒経の大きい活性剤は効果がゆっくり発揮されて持続時間が長い傾向がある。1つの実施形態では、表面常在コーティングは、約1μm〜約200μmの粒径を有し得て、別の実施形態では約2μm〜約100μm、そして更に別の実施形態では約3μm〜約50μmの粒径を有し得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、粉砕プロセスにて、例えば商標名DRY−FLO(登録商標)PCでAkzo Nobelから入手可能なオクテニルコハク酸デンプンアルミニウム等の不活性充填剤を、粉末の流れ特性を改善しかつ粉末の製作又は取り扱い中の粒子間の固着又は凝集を減らすのに十分なレベルで含めると有用である。本明細書に記載される、他の任意選択の賦形剤又は化粧品用活性剤を、粉末調製プロセス、例えば、粉砕、ミリング、ブレンド、噴霧乾燥等の間に又は後に組み込むことができる。結果として得られる粉末はまた、他の不活性粉末、不活性材料又は他の粉末活性複合体のいずれかとブレンドしてもよく、かつ本明細書に記載される吸水性粉末を含めてもよい。
【0128】
一実施形態において、活性剤は、本明細書で定義されているような非吸湿性溶媒、無水油及び/又はワックスで、表面がコーティングされていてもよい。これは、(i)水感受性粉末を、非吸湿性溶媒、無水油、及び/又はワックスでコーティングする工程と、(ii)コーティングを適用する前に、間に、又は後に、既知の機械的手段により、活性剤微粒子の粒径を所定のサイズ又は選択されたサイズ分布に低減する工程と、(iii)結果として得られるコーティングされた微粒子と、微粒子形態の他の任意選択の成分とをブレンドする工程と、を含んでもよい。この代わりに、表面常在コーティング組成物の活性剤に加えて、非吸湿性溶媒、無水油及び/又はワックスのコーティングを同時に他の任意成分に塗布し、後で上記の手順に従って微粉化してもよい。
【0129】
コーティングが流体として基材に適用される場合(噴霧、ゲル、又はクリームコーティングによる等)、流体は基材上に適用される前に調製されてもよく、又は流体成分は、例えば流体の別個の構成成分を基材上に噴霧する2つ以上の噴霧供給蒸気により、別々に基材上に適用されてもよい。
【0130】
F.活性剤を含む表面常在コーティングと構造物との任意選択の組み合わせ
活性剤を含む表面常在コーティングを物品に適用して、そのコーティングが物品の一部を形成するように、任意の好適な適用方法を使用することができる。例えば、構造物は、粉末の適用前に前記構造物の表面を特定の含水率まで乾燥させることにより粘着性の表面を有して、構造物に対する、活性剤を含む表面常在コーティングの付着を容易にすることができる。1つの実施形態では、構造物は、約0.1重量%〜約25重量%の含水率まで乾燥され、1つの実施形態では約3%〜約25%、別の実施形態では約5%〜約20%、そして更に別の実施形態では約7%〜約15%の含水率まで乾燥される。あるいは、前もって乾燥した構造物の表面を、粉末の適用前に、平衡が達成されるまでの特定の時間中、制御された湿度環境内で所望レベルの大気水分を可逆的に吸収させることができる。1つの実施形態では、湿度環境は約20%〜約85%の相対湿度に制御され、別の実施形態では、約30%〜約75%の相対湿度に、そして更に別の実施形態では約40%〜約60%の相対湿度に制御される。
【0131】
別の実施形態では、構造物は、粉末を収容している袋、トレイ、ベルト、若しくはドラム内に入れられるか、又は別の方法で粉末に曝され、粉末を適用し分散させるために、バッチ方式又は連続生産方式のいずれかで、撹拌され、回転され、ブラシ掛けされ、振動され、又は揺すられる。他の粉末適用方法として、粉ふるい器、静電コーティング、摩擦帯電、流動床、粉末コーティングガン、コロナガン、タンブラー、静電流動床、静電磁気ブラシ、及び/又は粉末スプレーブースを挙げることができる。活性剤を含む表面常在コーティングは、構造物の外面の一部分又は全域に適用することができ、装飾し、化粧し、ロゴ形成し、デザインする等の方法で適用することができる。
【0132】
活性剤を含む表面常在コーティングは、繊維が形成されているとき、繊維に直接適用されてもよい。表面常在コーティングは、部分的に乾燥した、又は望ましくは乾燥した繊維の表面上に付着し及び/又は埋め込まれてもよい。表面常在コーティングを繊維に適用する好適な非限定的な例としては、Chhabra及びIseleに付与された米国特許第7,291,300号及び同第7,267,789号、並びにRiddellに付与された米国特許第6,494,974号及び同第6,319,342号が挙げられ、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
コーティングが流体で基材に適用される場合、もしも流体中に水が存在する場合、その水は基材が水に対する望ましくない溶解を起こすほど十分ではないことが好ましい。好ましい実施形態では、吸着した薄いコーティングとして適用される活性剤(1種又は複数)は、無水の又は実質的に無水の油である。基材を溶解させない、有機溶媒等の他の非水溶媒を使用してもよい。任意の好適な適用方法を使用することにより、物品に液体形態の活性剤(1種又は複数)を適用して、その結果、物品の固体/空気境界面の少なくとも一部分に吸着されている表面常在コーティングを薄い膜として形成することができる。例えば、これは、噴霧、展着、滴下、プリント、異なる物品間若しくは同一物品の異なる部分の間でのサンドイッチ、積み重ね、注入、ロールオン又は浸漬で行うことができる。活性剤(1種又は複数)は、物品の外面の一部分又は全域に適用することができ、装飾し、化粧し、ロゴ形成し、デザインする等の方法で適用することができる。
【0134】
所望の繊維構造を得るために、本明細書に記載される方法を組み合わせてもよい。1つの実施形態では、本明細書に記載される構造物が所望の性能を有するように、本明細書に記載される1つ又は複数の方法から生産された溶解性繊維を、均質に又は層状に混合してもよい。本明細書に記載した異なる方法は、実質的に若しくは別様に異なる活性物質を有する溶解性繊維を生成するように最適化され、又は特定の界面活性剤、伸長レオロジー調整剤、可塑剤、ポリマー構造剤水溶性ポリマー、若しくは他の任意選択の若しくは必要な成分を使用して最適化されてもよい。また代替的に、異なる方法は、異なる溶解速度及び/又は異なる直径を有する溶解性繊維を生成するように最適化されてもよい。特定の実施形態では、流体フィルムフィブリル化方法により生成されたサブミクロン溶解性繊維を、繊維バースト又は電界紡糸又は電気ブロー方法により生成された溶解性繊維と共に均質に又は層状に混合してもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の方法により、又は同一の方法でさえも、それにより生成された溶解性繊維ウェブ構造物は、相当に又は僅かに異なる繊維直径分布、組成物、表面常在コーティング、溶解速度、又はそれらの組み合わせを有する繊維の混合物を有してもよい。かなり異なる繊維直径分布を有する繊維の混合物を用いた1つの実施形態の場合では、異なる繊維直径分布からの繊維の平均直径は、約0,1マイクロメートル〜約150マイクロメートルの範囲であってもよい。
【0135】
1つ又は複数の方法により生成された繊維の均質混合物は、特定の実施形態の構造物に対する溶解速度の緩慢化又は高速化等、例えば、活性物質の制御された放出又は徐放性の放出に関する最適化における性能面での利点を有し得る。1つ又は複数の方法により生成された繊維の積み重ねは、構造物の使用中の溶解速度の変化における性能面の利点を有し得て、例えば、組成物の特定の活性物質又は成分は、界面活性剤及び調節剤、又は洗浄剤及び漂白剤、又は洗浄剤及び軟化剤等の徐放性放出等のように、構造物の使用中の異なるときに送達される必要があり得る。本明細書に記載した方法により生成された溶解性繊維を混合することの他の利点は、特定の構造物に特有のものであり得る。
【0136】
繊維の均質混合は、異なる方法を同時に使用した、異なるノズル、若しくはブロック、若しくはノズルのビーム、例えば二次元(平面)及び/若しくは三次元で千鳥構成に配置されたノズルの使用、又は単にコレクター上に堆積された繊維と様々な角度で入る溶解性繊維の流れの使用等を介して、繊維ウェブ構造物の形成中に達成され得る。流体フィルムフィブリル化プロセスを採用する、複数の繊維生成ノズルの配列を使用する繊維の均質混合の例は、Torobinにより米国特許第6,183,670号、及び同第6,315,806号において提供される。繊維の積み重ねは、互いに隣接して、又は機械方向(ベルトコンベアが移動する方向)に沿って特定の距離だけ離間されて互いに追従して連続的に配置された異なる方法のノズル、例えば、機械方向に沿ってインラインで配置された別個のブロック又はビーム内のノズル等、繊維ウェブ構造物の形成中に達成され得る。あるいは、異なる方法により生成された溶解性繊維ウェブ構造物は、所望の含水率にまで乾燥させる前又は乾燥させた後、他のウェブ構造上に積み重ねすることにより、オフラインで数回に分けて組み合わされてもよい。層として組み合わされる際、1つ以上の方法により生成された1つ以上の溶解性繊維ウェブ構造物は、溶解性繊維ウェブの異なる層内に実質的に異なる繊維を有してもよい。繊維における相違は、相当に又は僅かに異なる直径分布、組成物、表面常在コーティング、溶解速度、多孔度、又はこれらの組み合わせであってもよい。例えば、異なる層内の相当に異なる繊維直径分布は、約0.1マイクロメートル〜約150マイクロメートルの範囲の平均直径を有してもよい。
【0137】
構造物は、1つ又は複数の他の種類のウェブ構造物及び/又は構造物と組み合わされた(例えば、積層、積み重ね、サンドイッチ、埋め込み等)1つ又は複数の溶解性繊維ウェブ構造物を含んでもよい。組み合わせてもよい構造物の好適な非限定的な例として、Ribble et al.に付与された米国特許公開第2004/0048759号、Malkan et al.に付与された米国特許第6,106,849号、Cooper et al.に付与された米国特許公開第2007/0225388号、Kearney et al.に付与された米国特許第5,457,895号、Glenn et al.に付与された米国特許公開第2009/0232873号、Di Luccio et al.に付与された米国特許第7,196,026号及びPCT出願第WO2001/47567号、Simon et al.に付与されたPCT出願第WO2007/093558号、Auburn−Sonneville et al.に付与された米国特許出願公開第2008/0035174号、同第2008/0269095号、同第2007/0128256号、及び同第2007/0134304号、Simonに付与された米国特許出願公開第2006/0159730号、並びにRhimに付与された米国特許第5,342,335号及び同第5,445,785号が挙げられる。
【0138】
V.使用方法
本明細書に記載した組成物は、ヘア、毛包、皮膚、歯、口腔、布地及び硬質表面の洗浄及び/又は処理に使用してもよい。これらの消費者基材を処理する方法は、a)有効量の構造物を手に取る工程と、b)構造物を水で湿らせ、固体を溶解する工程と、c)標的消費者基材を洗浄又は処理するために、溶解した材料を消費者基材に適用する工程と、d)希釈トリートメント組成物を消費者の基材からすすぎ落とす工程と、を含み得る。これらの工程は、所望のクレンジング及び又はトリートメント効果を達成するために必要に応じて何度でも繰り返すことができる。あるいは、構造物は、単位用量の方式で機械(洗濯機又は食器洗浄機等)に挿入することができ、機械は溶解、処置及びすすぎの工程を実行できる。
【0139】
更なる別の実施形態によれば、ヘア、毛包、皮膚、歯、口腔、布地及び硬質表面に利益を提供する方法を提供し、前記方法は、第1の実施形態による組成物を、調整を必要とする、これらの標的消費者の基材に適用する工程を含む。
【0140】
本明細書には、ヘア、毛包、皮膚、歯、口腔、布地及び硬質表面の状態を調整するための方法を開示し、前記方法は、本明細書に記載した1つ以上の組成物を、調整を必要とする、これらの標的消費者の基材に適用する工程を含む。
【0141】
適用される組成物の量、適用頻度及び使用期間は、適用目的、所与の組成物の構成成分レベル及び所望の調整レベルに応じて大きく異なる。例えば、組成物を全身又は全頭髪のトリートメントに適用する場合、有効量は、概して約0.5グラム〜約10グラム、一実施形態では約1.0グラム〜約5グラム、別の実施形態では約1.5グラム〜約3グラムの範囲である。
【0142】
VI.製品タイプ及び商品
構造物を利用する製品実施形態の非限定的な例として、ハンドクレンジング基材、歯の清掃又は処理基材、口腔基材、毛髪用シャンプー又は他の毛髪用トリートメント基材、身体用クレンジング基材、シェービング剤調製基材、布地ケア基材(例えば、柔軟剤を含む)、食器洗浄基材、ペットケア基材、医薬用又は他のスキンケア活性物質を含むパーソナルケア基材、保湿用基材、日焼け止め用基材、習慣的な皮膚有益剤用基材(例えば、ビタミン−含有基材、αヒドロキシ酸−含有基材等)、脱臭用基材、香料−含有基材、等が挙げられる。
【0143】
本明細書に記載した1種又は複数種の構造物を含む商品と、構造物を溶解し、溶解した混合物をヘア、毛包、皮膚、歯、口腔、布地及び硬質表面に適用し、洗浄効果、標的消費者の基材に対する利益、急速に起泡する発泡体、急速にすすげる発泡体、綺麗にすすげる発泡体、及びそれらの組み合わせをもたらすように消費者に指示する情報伝達とを開示する。情報伝達は、構造物を含有する包装容器又は構造物自体に直接的又は間接的に添付されている印刷物であってもよい。あるいは、情報伝達は、製造物品に関連する電子メッセージ又は通信メッセージであってもよい。あるいは、情報伝達は、製造物品の少なくとも1つの可能な使用、機能、際立った特徴、及び/又は特性を記載してもよい。
【0144】
VII.試験方法
A.最大力までの距離方法
Texture Exponent 32ソフトウェアと共にTA−57R円筒型プローブを用いて、質感分析器で破壊方法によって測定する。この方法のために、構造物は、4〜7mmの厚さを有し、少なくとも7mmの直径を有する円形に切り取るか、又は全体の厚さ及び直径がこの範囲内になるように、慎重に切り取るか若しくは積み重ねなければならない。多孔質固形物試料を、試料の上の所定の位置に添着された上蓋を備えるシリンダーの上端に、上蓋の上端に装着された4本のネジで慎重に取り付ける。シリンダー及びその蓋の中心には、プローブが試料を通過し引き伸ばすことを可能にする穴がある。試料を、毎秒1mmの予備試験速度で、毎秒2mmの試験速度で、及び毎秒3mmの事後試験速度で、総距離30mmにわたり測定する。最大力までの距離を記録する。
【0145】
B.手による溶解方法
およそ43mm×43mm×4〜6mmの寸法の1つの構造物を、ニトリルグローブを着用して手のひらに乗せる。約30℃〜約35℃の水道水7.5cm3を、シリンジによって生成物に迅速に加える。溶解するまで1度に2ストロークで、円運動を用いて手のひらを互いに擦り合わせる(30ストロークまで)。手による溶解値は、完全に溶解させるのに要するストローク回数として、又は最大の30ストロークとして報告する。
【0146】
C.泡立ち特性:起泡容量
構造物は、以下に記載する泡立ち特性を提供する。起泡容量評価法は、0.098gの人工液体皮脂[10〜22%のオリーブオイル、18〜20%のココナツオイル、18〜20%のオレイン酸、5〜9%のラノリン、5〜9%のスクアレン、3〜6%のパルミチン酸、3〜6%のパラフィンオイル、3〜6%のドデカン、1〜4%のステアリン酸、1〜4%のコレステロール、1〜4%のココナツ脂肪酸、18〜20%のコレス−24]で処置した、0.59g/cm(15g/10インチ)のフラットな東洋人の真新しい毛髪スイッチで実施される。その毛髪スイッチを、9〜11グレイン、37.77℃(100°F)の水でシャワーノズルにて20秒間にわたって5.7L/分(1.5ガロン/分)ですすぐ。液体コントロール製品の試験のために、0.75cm3の液体製品を毛髪スイッチの中心に適用し、次に毛髪スイッチの毛髪下部を、毛髪の上にある製品を円運動で10回こすりつけ、次に前後に40ストローク動かす(合計80ストローク)。泡立ち速度を、80ストローク中に最初の泡が明らかに発生したときのストローク回数として記録する。内径3.5cmで、総容量が70mL、110mL、又は140mLのいずれかを有するメスシリンダーに、発生した泡の総量に応じて、操作者のグローブからの泡を移す(ガラス専門店によって標準サイズメスシリンダーの高さを修正)。毛髪からの泡は、毛髪スイッチを強く握り締めて下方向に1ストローク動かすことによって集め、そしてまたシリンダー内に入れる。総起泡容量をミリリットル単位で記録する。1試験試料毎に3回実施し、3回の値の平均を算出する。構造物の試験をする際に、必要であればはさみを補助として用いて、0.20+/−0.01グラムの製品を秤量し、毛髪スイッチに適用し、次にシリンジによって更に2cm3の水を製品に添加する。次に、10秒の待機時間の後、液体製品に関して記載したような起泡技術を用いる。
【0147】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に非起泡性の」及び「非起泡性の」は、泡の量が0mL〜20mLであることを意味して使用される。
【0148】
D.連続気泡発泡体−気泡壁の厚さ/細孔径
連続気泡発泡体構造物に関して、構造物は気泡壁の厚さを有する。本明細書に記載されるように、マイクロコンピュータ断層撮影システム(μCT80,SN 06071200,Scanco Medical AG)によるスキャン画像より、気泡壁の厚さを算出する。Scanco Medical’s Bone Trabecular Morphometry評価を使用して、骨梁厚さの測定に関して定義された方法に基づいて、気泡壁の厚さを決定する。
【0149】
気泡壁の厚さ及び間隔は、BoneJプラグインを有するImageJプログラムを用いて骨梁厚さ及び骨梁間隔として計算される。ImageJは、National Institutes of Healthで開発された公有のJavaベースの画像処理プログラムであり、http://rsb.info.nih.gov/ij.でタウンロードして入手できる。BoneJの開発に関する情報は、以下の論文:Doube M,Klosowski MM,Arganda−Carreras I,Cordelieres F,Dougherty RP,Jackson J,Schmid B,Hutchinson JR,Shefelbine SJ.(2010)BoneJ:free and extensible bone image analysis in ImageJ.Bone 47:1076〜9.doi:10.1016/j.bone.2010.08.023.に見出すことができる。
【0150】
BoneJは、骨梁解析で一般的に使用される計算を支援するためのImageJ用のオープンソース/フリーソフトウェアプラグインである。Scanco μCT50から得られる画像は、0.002mmに等しい画素サイズを有する。これらの画像は、データ取扱いをより容易にするために、0.004mmサイズの画素にサブサンプリングされ、プログラムAviso Standard v6.3.1を使用して一連のバイナリ形式の画像(スライス)として作成される。いったんバイナリ形式の画像が作られると、それらは一連の2DのTIFF画像としてエクスポートされる。画像は次いで、「Import Image Sequence」機能を使用してImageJにローディングされる。それらは次いで、BoneJの「厚さ」測定のオプションを使用して解析される。得られるデータは、ピクセルの単位を有し、各データに0.004を乗算することによってミリメートルに変換される。
【0151】
孔径は、加重半径を使用して測定されることができる。加重半径は、mCTの三次元データから計算される。mCTは、高さ方向の2つの二次元画像の積み重ねとして扱われ得る。スライス間の気泡直径の変化の予測は、次の工程を使用して行われる。空隙から調合材料(formula material)を分離する適切な閾値を使用することにより、各画像(つまり、スライス)がバイナリ形式の画像に変換される。各スライスは、3.8マイクロメートルである。構造物は明色前景画素(値は1)に割り当てられ、ボイドスペースは暗色背景画素(値は0)である。各バイナリスライスについて、ユークリッド距離変換が計算される。ユークリッド距離変換では、最も近い前景画素への距離に基づいて各暗色ピクセルに新しい値が割り当てられる。MATLABなど大部分の画像処理パッケージは、標準画像処理法としてユークリッド距離変換を提供する。このアルゴリズムは、非常に迅速に実行するように設計され得る。空洞気泡直径の代わりとして、割り当てられたユークリッド距離の平均に3を掛けた値が使用され、高さに対してプロットされる(この値は、加重半径である)。次いでこの加重半径に2を掛けて、細孔径に至る。この方法については、以下の論文:Maurer,Calvin,Rensheng Qi,and Vijay Raghavan,「A Linear Time Algorithm for Computing Exact Euclidean Distance Transforms of Binary Images in Arbitrary Dimensions」、IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Vol.25,No.2,February 2003,pp.265〜270に記載されている。
【0152】
E.比表面積
ガス吸着技法により、比表面積を測定する。表面積は、分子規模の固体試料の露出した表面の測定である。BET(Brunauer,Emmet,and Teller)理論は、表面積を決定するために使用される最も普及しているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理吸着及び毛管凝縮を使用して、ガス吸着等温線を測定する。本技術は、以下の工程に要約される:試料を試料管中に入れ、試料表面の汚染物を除去するために、真空下か又はガス流下で加熱する。試料重量は、脱ガスされた試料及び試料管の混合重量から空の試料管重量を差し引いて得られる。試料管を次に分析ポートに置き、分析を開始する。分析プロセスの第一工程は、試料管を真空引きすることであり、次に液体窒素温度でヘリウムガスを使用して、試料管内の自由空間体積を測定することである。次に試料に2回目の真空引きを行い、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザーが特定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。次に、クリプトンガス吸着を備えるASAP 2420を使用して試料を分析し得る。Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)によりこれらの測定を実行することを推奨する。本技術に関する更なる情報は、Micromeretics Analytical Services ウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com.)で入手できるか、又はClyde Orr及びPaul Webb による「Analytical Methods in Fine particle Technology」として出版されている。
【0153】
F.厚さ
構造物の厚さは、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer Model Number IDS−1012E(Mitutoyo Corporation,965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504)等のマイクロメータ又は測厚器を使用して得られる。マイクロメータは、重さ約32グラムの1インチ直径プラテンを有し、約621Pa(0.09psi)(6.32g/cm2)の印加圧力で厚さを測定する。
【0154】
構造物の厚さは、プラテンを上昇させ、プラテン直下のスタンド上に一片の試料基材を置き、注意深くプラテンを下げて試料基材に接触させ、プラテンを離し、数値表示上の試料基材の厚さをミリメートルの単位で測定することにより測定される。試料基材は、平らではない、より剛性が高い基材の場合を除いて、厚さをできるだけ低い表面圧力において測定するのを確実にするために、試料基材をプラテンの全端部まで十分に伸ばさなければならない。完全には平らでない、より剛性が高い基材に対しては、基材の平らな部分に当たるプラテンの一部のみを使用して、基材の平らな端部を測定する。
【0155】
G.坪量
構造物の坪量は、構成要素の面積当たりの構造物構成要素の重量(グラム/m2)として算出される。面積は、多孔質固形物の外側エッジに直角の平坦表面上の投影面積として計算される。したがって、平らな物体に対しては、面積は試料の外側周囲内に取り囲まれている面積に基づいて計算される。球形の物体に対しては、面積は、したがって平均直径に基づいて、3.14×(直径/2)2として計算される。円筒形の物体に対しては、面積は、したがって平均直径及び平均高さに基づいて、直径×高さとして計算される。不規則な形状の三次元物体に対しては、面積は、最大の外側寸法を有する面に対して、その面と垂直に位置する平担表面上に投影された面に基づいて計算される。このことは、物体の外側寸法を1枚のグラフ用紙に鉛筆で注意深くトレーシングし、次に正方形を近似的に計数し、その正方形の既知の面積を乗算することによるか、又はスケールを含むトレーシングした領域(コントラストのために陰影がつけられている)の写真を撮り、画像分析技術を用いることにより、その面積を算定することによって達成できる。
【0156】
H.乾燥密度
構造物の乾燥密度は、式:密度計算値=多孔質固体の坪量/(多孔質固体の厚さ×1,000)により決定される。溶解性の多孔質固体の坪量及び厚さは、本明細書に記載される方法に従って決定される。
【0157】
走査型電子顕微鏡(SEM)撮像:
清潔なカミソリ刃を用いて、スポンジから代表断片を切り取り、標準クライオ−SEM台上に切断面を上にして乗せる。炭素テープ及び銀塗料で試料を台に固定する。Gatan Alto 2500クライオステージを装着したHitachi S−4700 FE−SEMを使用して、試料を撮像する。顕微鏡での撮像前に、試料を−95℃に冷却する。試料を白金で軽くコーティングして、荷電を低減する。2kV、20uAの引出電圧で、下部二次電子検出器を使用して超高解像度モードで代表画像を収集する。長作動距離を使用して、試料全体が1つのフレームにて撮像されるようにする。
【0158】
I.連続気泡発泡体構造物−星形体積及び構造モデル指数
連続気泡発泡体構造物に対して、星形体積及び構造モデル指数によって、気泡相互接続性結合性を測定するために、直径およそ4cm及び高さ3〜7mmのディスク状試料を、マイクロコンピュータ断層撮影システム(μCT80,SN 06071200,Scanco Medical AG)を使用して走査される。各試料を、円筒管の底に平らに置いた状態で撮像する。画像取得パラメータは、45kVp,177μA,有効視野51.2mm,積分時間刻み800ms,1000投影である。スライスの数は、試料の高さをカバーするように調節する。再構成されたデータセットはそれぞれ2048×2048ピクセルの画像の積み重ねからなり、25μmの等方性解像度を有する。データ解析のために、表面領域を避け、十分に試料内部であるように対象体積を選択する。典型的な対象体積は、1028×772×98ボクセルである。
【0159】
構造モデル指数(SMI)を、スキャンコ・メディカル(Scanco Medical)の骨梁形態計測評価を使用して、閾値17で測定する。この指数を用いて、骨梁の構造的外観を定量化する(T.Hildebrand,P.Ruegsegger.Quantification of bone microarchitecture with the structure model index.Comp Meth Biomech Biomed Eng 1997;1:15〜23を参照されたい)。三角表面は極く僅かに正常方向に拡張され、かつ新しい骨表面及び体積が計算される。これにより、骨表面の微分係数(dBS/dr)を決定することができる。次に、SMIを以下の式で表される。
【0160】
【数1】
【0161】
SMIは、モデルタイプに対する構造物の凸性に関連する。理想的な(平らな)平板は、SMI値0を有し(平板の拡張に伴い表面変化なし)、一方、理想的な円筒形棒は、SMI値3を有する(棒の拡張に伴い表面が線形増加)。丸い球体は、SMI値4を有する。凹形構造は負のdBS/drを与え、結果として負のSMI値となる。対象体積端部の人為境界は計算に含まれず、したがって削除されている。
【0162】
Scanco Medical解析に加えて、星形体積測定が行われる。星形体積は、二相構造における空隙の「開放性」の尺度である。対象相(この場合、対象相は空隙又は空気である)内の均一に分散したランダムな一連の点を選択し、それらの各点からランダムな方向に線を延ばすことができる。それらの線が最前面相に触れるまで延ばす。次に、これらの各線の長さを記録する。ランダムな点を、各方向(x/y/z)に10点抽出サンプルを有し、各点で10のランダムな角度を選択する。線が対象ROIの境界まで延びる場合は、その線は排除される(実際に最前面相と交差する線のみ受け入れる)。最終式は、Star Volume In Bone Research A Histomorphometric Analysis Of Trabecular Bone Structure Using Vertical Sections;Vesterby,A.;Anat Rec.;1993 Feb;235(2):325〜334と題する研究に基づく、
【0163】
【数2】
式中、「dist」は個々の距離であり、Nは検討される線の数である。
【0164】
J.連続気泡発泡体構造物−連続気泡含有率
連続気泡発泡体構造物に対して、ガス比重びん法(gas pycnometry)によって連続気泡含有百分率を測定する。ガス比重びん法は、体積を正確に測定するために、ガス置換方法を使用する一般的な分析技法である。置換媒体として、ヘリウム又は窒素等の不活性ガスを使用する。構造物の試料を、既知の体積の計器コンパートメント内に密閉し、適切な不活性ガスを入れ、次に別の正確な内部体積に膨張させる。拡張前と拡張後の圧力を測定し、試料構造物体積を計算するために使用する。この体積を試料構造物重量に分割すると、ガス置換密度が分かる。
【0165】
K.繊維構造−繊維直径
繊維構造に関して、ウェブ試料中の溶解性繊維の直径を、走査型電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡及び画像解析ソフトウェアを使用することにより決定する。測定用に繊維が好適に拡大されるように、200〜10,000倍の倍率を選択する。SEMを使用するときに、電子ビームにおける繊維の帯電及び電気振動を避けるために、試料は金又はパラジウム化合物でスパッタされる。SEM又は光学顕微鏡で撮られた画像(又はモニター画面上)から、繊維直径を決定するためのマニュアル手順を使用する。マウス及びカーソルツールを使用して、ランダムに選択された繊維の端部を探しだし、次にその幅にわたり(すなわち、その点において繊維方向に対して垂直な)繊維の他端部まで測定する。目盛付き及び較正される画像解析ツールにより、マイクロメートル(μm)で実際に読取るためのスケーリングが提供される。このようにしてSEM又は光学顕微鏡を使用して、ウェブ試料全域で数個の繊維をランダムに選択する。ウェブ(又は製品内部のウェブ)から少なくとも2つの標本を切り取り、この方式で試験を行う。そのような測定を総計で少なくとも100回行い、次に全データを統計的分析のために記録する。記録されたデータを使用して、繊維直径の平均値(平均)、繊維直径の標準偏差及び繊維直径の中央値を計算する。別の有用な統計は、特定の上限未満である繊維の個体数の総数の算出である。この統計値を決定するために、繊維直径の結果のうち何個が上限未満であるかを計数するためにソフトウェアをプログラムし、その計算(データ総数で除算し、100%を乗算する)を、例えば、直径1マイクロメートル未満百分率又は−サブミクロン百分率等の、上限未満百分率としてパーセントで報告する。個々の円形繊維の直径測定値(マイクロメートル単位)をdiと示す。
【0166】
繊維が非円形横断面を有する場合は、繊維直径の測定値は、繊維の断面積を繊維の断面の周長(中空の繊維の場合は外側周長)で除算したものの4倍である水力直径として決定し、かつ水力直径と等しいとする。数平均直径、あるいは平均直径は、dnumとして算出される。
【0167】
【数3】
【0168】
VII.非限定的な例
A.繊維構造物の非限定的な例
本発明に基づく繊維は、小規模装置10を使用して生成され、その装置の略図を図1及び2に示す。バッチ操作に好適な加圧型タンク12を、繊維形成組成物14、例えば布地ケア組成物として及び/又は食器洗浄用組成物として有用な繊維を作製するのに好適な繊維形成組成物で満たす。
【0169】
ポンプ16(例えば、Zenith(登録商標)、PEPII型ポンプで、1回転当たり5.0立方センチメートルの容量(cc/rev)を有し、Parker Hannifin Corporation,Zenith Pumps division,of Sanford,N.C.,USA製造)を使用して、繊維形成組成物14をダイ18までポンプ注入する。ダイ18までの繊維形成組成物の材料流入量を、ポンプ16の毎分回転数(rpm)を調整することにより制御する。パイプ20は、繊維形成組成物14をタンク12からポンプ16までそしてダイ18の中へ輸送(矢印で示す)するために、タンク12、ポンプ16、及びダイ18に連結されている。ダイ18は、図2に示されるように、約1.524ミリメートル(約0.060インチ)のピッチPだけ互いに離間された円形押出ノズル22の2つ以上の列を有する。ノズル22は、約0.305ミリメートル(約0.012インチ)の個々の内径、及び約0.813ミリメートル(約0.032インチ)の個々の外径を有する。各個々のノズル22は、細径化空気を各個々のノズル22に供給するために、環状かつ末広がりのオリフィス24によって囲まれている。ノズル22を介して押し出される繊維形成組成物14は、一般に、ノズル22を囲んでいるオリフィス24を介して供給される円筒形の加湿気流に取り囲まれかつ細径化され、繊維26を生成する。細径化空気は、供給源からの圧縮空気を電気抵抗加熱器、例えば、Emerson Electric(Pittsburgh,Pa.,USA)のChromalox部門により製造された加熱器によって加熱することにより供給される。電気的に加熱され、サーモスタット制御される配送管内で、適切な量の水蒸気を細径化空気に加え、加熱空気を飽和又はほぼ飽和状態にさせる。凝縮水は、電気的に加熱されサーモスタット制御される分離器中で除去される。電気抵抗加熱器(図示せず)により約149℃(約300°F)〜約315℃(約600°F)の温度を有し、乾燥ノズル(図示せず)を介して供給され、紡糸される繊維26の一般の配向に対して約90°の角度に放出される乾燥空気流により、繊維26を乾燥させる。
【0170】
繊維は収集装置上に収集され、ベルト又は布地上に繊維を収集した結果として形成される不織ウェブへの、例えばランダムではない繰り返しパターンの入った相互交絡繊維の繊維構造物(不織ウェブ)を形成する。
【0171】
上述の繊維構造物を作製するプロセスは、2014年4月22日に出願された米国特許仮出願第61/982469号により一般的に明示されている。
【実施例】
【0172】
実施例1:低加水分解のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーを有する溶解性の多孔質固体クレンザー(繊維構造物)
以下の表1に、すぐ上に記載の繊維構造物作製プロセスによって本発明の繊維及び/又は繊維構造物(不織ウェブ)を作製するための、本発明のプレミックス(繊維形成組成物)の非限定的な例を記述する。その繊維構造物は、例えばシャンプーとしての使用に好適な、優れた利益を提供するのに好適である。
【0173】
【表1】
1 PVA403、Mw30,000、78〜82%加水分解され、Kuraray America,Inc.から入手可能。
2 PVA420H、Mw75,000、78〜82%加水分解され、Kuraray America,Inc.から入手可能。
3 UCARE(商標)Polymer LR−400、Amerchol Corporation
(Plaquemine,Louisiana)から入手可能。
【0174】
適切な大きさの清潔な容器に、100〜150rpmで撹拌しながら蒸留水を入れる。次に、均質になるまで一定に撹拌しながら、カチオン性ポリマー(カチオン性セルロース)をゆっくり添加する。低加水分解のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマー樹脂粉末(PVA403及びPVA420H)を秤量し好適な容器内に入れ、目に見える塊が形成されるのを避ける一方で、撹拌を継続しながらへらを使って主混合物にゆっくり少しずつ添加する。泡形成を最小化するように、混合速度を調整する。次に、混合物を75℃まで2時間ゆっくり加熱し、その後ナトリウムラウレススルフェート及びラウリルヒドロキシスルタインを添加する。次に、混合物を45分間撹拌し続けながら、75℃まで加熱し、次に室温まで放冷し、プレミックスを形成させる。次に、このプレミックスを紡糸して繊維にし、その繊維から最終的に繊維構造物を作製する準備を整える。
【0175】
比較例A−以下の多孔質固体は、本発明に従っておらず、比較の目的のためにのみ含める。ビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマー樹脂粉末(PVA403及びPVA420H)の総量を、同一の総量の、重量平均分子量が高い(100,000)、高加水分解のポリビニルアルコールコポリマー樹脂粉末(Selvol(商標)Polyvinyl Alcohol 523(87〜89%加水分解された)Sekisui Specialty Chemicalsから入手可能)と入れ換えることを以外は、上述の表1のプレミックスから繊維及び繊維構造物を作製する。
【0176】
適切な大きさの清潔な容器に、100〜150rpmで撹拌しながら蒸留水を入れる。次に、均質になるまで一定に撹拌しながら、カチオン性ポリマー(カチオン性セルロース)をゆっくり添加する。高重量平均分子量、高加水分解のポリビニルアルコール樹脂粉末(Selvol(商標)Polyvinyl Alcohol 523)を秤量し好適な容器内に入れ、目に見える塊が形成されるのを避ける一方で、撹拌を継続しながらへらを使って主混合物にゆっくり少しずつ添加する。泡形成を最小化するように、混合速度を調整する。次に、混合物を75℃まで2時間ゆっくり加熱し、その後ナトリウムラウレススルフェート及びラウリルヒドロキシスルタインを添加する。次に、45分間撹拌し続けながら、混合物を75℃まで加熱し、次に室温まで放冷し、プレミックスを形成させる。次に、このプレミックスを紡糸して繊維にし、その繊維から最終的に繊維基材を作製する準備を整える。
【0177】
性能比較−性能試験のために、繊維構造物試料(実施例1及び比較例A)をそれぞれはさみで1.25gの試料に切断し、小数点4桁の天秤上で個々のプラスチック秤量皿上に置く。25℃で346,000cpsの平均粘度を有するジメチコン(Momentive Performance Materials,Albany,New YorkからのCF330M)を、好適な小数点4桁の重量天秤上で小型の化粧用ブラシ塗布具を用いて表面にブラシをかけることにより、標的レベルの0.054グラムを各片に塗布する。標的重量を超過する場合は、小型の化粧用スポンジ塗布具によって、超過したジメチコンを即座に除去する。試料を袋内で一夜保存し、試験の前に、適用したシリコーンが試料内部に広がることを可能にする。ジメチコンのレベルを、結果として得られる試料のおよそ4.3重量%と推定する(試料1.25グラム当たり、ジメチコン0.054グラム)。
【0178】
試料を、本明細書に記載される手による溶解法に従って試験し、その溶解速度を決定する。以下の表2から、本発明の実施例1(低加水分解のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーを使用)では優秀な溶解を呈するが、一方、比較例A(高加水分解のポリビニルアルコールを使用)では優秀な溶解を示さないことがわかる。
【0179】
【表2】
【0180】
B.連続気泡発泡体の非限定的な例
実施例2及び3:低加水分解のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマーを有する溶解性の多孔質固体クレンザー(連続気泡発泡体)
以下の表3に、本発明の連続気泡発泡体構造物を作製するための、プレミックスの非限定的な例を明示する。比較的少量の水(約60重量%)/高固形分含有率の固体(約40%)を使用して、プレミックスを形成する。発泡体構造物は、例えばシャンプーとしての使用に好適な、美的効果を提供するのに好適である。
【0181】
【表3】
1 PVA420H、Mw75,000、78〜82%加水分解され、Kuraray America,Inc.から入手可能。
2 PVA 205、MW39,000、87〜89%加水分解され、Sekisui Specialty Chemicalsから入手可能。
3 Jaguar(登録商標)C500、Solvay−Rhodiaから供給される。
【0182】
表3のナトリウムラウレス−3スルフェート、ナトリウムラウレス−1スルフェート、ナトリウムラウリルアンホアセテートに対する重量%値は、最終組成物を基準として、すなわち、100%活性物質としたものであることに注意されたい。
【0183】
適切な大きさの清潔な容器に、100〜150rpmで撹拌しながら蒸留水を入れる。次に、均質になるまで一定に撹拌しながら、カチオン性ポリマー(カチオン性グア−)をゆっくり添加する。ポリビニルアルコール樹脂を秤量し好適な容器内に入れ、目に見える塊が形成されるのを避ける一方で、撹拌を継続しながらへらを使って主混合物にゆっくり少しずつ添加する。泡形成を最小化するように、混合速度を調整する。次に、混合物を75℃まで2時間ゆっくり加熱し、その後ナトリウムラウレススルフェート及びナトリウムラウリルアンホアセテートを添加する。次に、45分間撹拌し続けながら、混合物を75℃まで加熱し、次に室温まで放冷し、プレミックスを形成させる。
【0184】
発泡体を以下の表4に記載した上述の液体加工混合物から、Oakes連続通気装置によって調製し、以下の設定及び条件に従って、衝突オーブン内で乾燥させる。
【0185】
【表4】
【0186】
比較例B−以下の多孔質固体は、本発明に従っておらず、比較の目的のためにのみ含める。低加水分解(約84%未満のアルコール単位)のビニルアセテート−ビニルアルコールコポリマー樹脂粉末が含まれないこと以外は、上述の表3のプレミックスから発泡体を作製する。その代わりに、高重量平均分子量(Mw 100,000)、高加水分解(87〜89%加水分解された)のポリビニルアルコール樹脂粉末(Selvol(商標)Polyvinyl Alcohol 523(87〜89%加水分解された)Sekisui Specialty Chemicalsから入手可能)のみを9.5重量%使用する。
【0187】
適切な大きさの清潔な容器に、100〜150rpmで撹拌しながら蒸留水を入れる。次に、均質になるまで一定に撹拌しながら、カチオン性ポリマー(カチオン性グアル)をゆっくり添加する。高重量平均分子量、高加水分解のポリビニルアルコール樹脂粉末(Selvol(商標)Polyvinyl Alcohol 523)を秤量し好適な容器内に入れ、目に見える塊が形成されるのを避ける一方で、撹拌を継続しながらへらを使って主混合物にゆっくり少しずつ添加する。泡形成を最小化するように、混合速度を調整する。次に、混合物を75℃まで2時間ゆっくり加熱し、その後ナトリウムラウレススルフェート及びナトリウムラウリルアンホアセテートを添加する。次に、45分間撹拌し続けながら、混合物を75℃まで加熱し、次に室温まで放冷し、プレミックスを形成させる。次に、このプレミックスを、実施例2及び3に記載されるものと同じ手順に従って連続気泡発泡体に形成する。
【0188】
性能比較−性能試験のために、発泡体試料(実施例2及び3、並びに比較例B)をそれぞれはさみで1.25グラムの試料に切断し、小数点4桁の天秤上で個々のプラスチック秤量皿上に置く。25℃で346,000cpsの平均粘度を有するジメチコン(Momentive Performance Materials,Albany,New YorkからのCF330M)を、好適な小数点4桁の重量天秤上で小型の化粧用ブラシ式塗布具を用いて表面にブラシをかけることにより、標的レベルの0.054gを各片に塗布する。標的重量を超過する場合は、小型の化粧用スポンジ塗布具によって、超過したジメチコンを即座に除去する。試料を袋内で一夜保存し、試験の前に、適用したシリコーンが内部に広がることを可能にする。ジメチコンのレベルを、結果として得られる試料のおよそ4.3重量%と推定する(試料1.25g当たり、ジメチコン0.054g)。ジメチコンの適用後、50グラム重をパッド上に3分間置き、生産され販売された後にパッケージされた発泡体が遭遇するであろう、圧縮及び他の状態の影響をシミュレートする。
【0189】
試料を、本明細書に記載される手による溶解法に従って試験し、その溶解速度を決定する。以下の表5から、本発明の実施例2及び3では良好な溶解を呈するが、一方、比較例B(高加水分解のポリビニルアルコールのみを使用)では良好な溶解を示さないことがわかる。実施例3に関するデータはまた、有用な溶解性固体構造物を生成するための高固形百分率のプロセスにおいて、少なくとも1種の低加水分解のビニルアルコール−ビニルアセテートポリマーが同様に使用される限り、高加水分解のポリビニルアルコール(例えば、PVA 205)を使用することができることも実証する。
【0190】
【表5】
【0191】
本明細書に開示される任意の活性物質及び/又は組成物は、以下の米国特許出願に開示される構造物の中に及び/又は構造物と共に使用することができ、米国特許第61/229981号;米国特許第61/229986号;米国特許第61/229990号;米国特許第61/229996号;米国特許第61/230000号;及び米国特許第61/230004号に基づく優先権を主張する任意の刊行物を含むことに注意されたい。
【0192】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0193】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは特許出願を含む、本明細書に引用される文献は全て、明白に除外又は限定されている場合を除いて、本明細書中にその全容を援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の任意の参照文献との任意の組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する場合には、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
【0194】
本発明の特定の実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行い得ることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるこうした変更及び改変の全てを、添付の特許請求の範囲において網羅するものとする。
図1
図2