(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、さらに、患者の通信端末から送信された前記患者の医療情報を受信した受信時間と、前記患者の通信端末から送信された前記患者の前記医療費情報を受信した受信時間と、の差が予め定められた時間内である場合に、前記記録部に前記医療情報を記録する請求項1または2に記載の情報管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、実施形態を例示して説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
まず、第1実施形態の情報管理装置1について、
図1〜3を用いて構成、作用効果の順に説明する。
【0018】
(全体構成)
図1に示すように、情報管理装置1は、記録部の一例としての記憶装置3と、他の記録部の一例としての記憶装置4と、登録部の一例としての記憶装置5と、記憶装置3〜5のそれぞれと通信ケーブルを介して接続され、記憶装置3〜5のそれぞれの情報の流れを制御する制御部6と、を備えている。
【0019】
また、制御部6は、通信網7(WAN:Wide Area Network)に接続されており、通信網7を介して複数の通信端末8に接続されている。
【0020】
ここで、通信端末8とは、患者、各種医療機関などが保有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの機器であって、通信網7を介して情報の送受信ができる機器のことである。
【0021】
(記録部)
記録部の一例としての記憶装置3は、カルテ、投薬記録、治療記録、レントゲン写真、人間ドッグでの検査結果、セカンドオピニオンなどの医療情報を、患者毎に記録(記憶)する装置である。そして、記憶装置3に記録された医療情報は、記憶装置3に医療情報を記録した本人のみが利用できる。ここで、利用とは、記憶装置3への医療情報の記録(記憶、書込み、削除)および読込み(参照、画面表示)のことをいう。
【0022】
具体的には、
図2に示すように、記憶装置3は、複数の領域(記憶領域、メモリ領域)に分割されている。1つの領域は、1人の患者のみが割り当てられ、当該1人の患者のみが利用できる。つまり、患者aは領域11(領域A)、患者bは領域12(領域B)、患者cは領域13(領域C)を利用していると仮定すると、患者aは領域11のみを利用でき、他の領域は利用できない。同様に、患者bは領域12のみを利用できるが、他の領域は利用できず、患者cは領域13のみを利用できるが、他の領域は利用できない。
【0023】
なお、記憶装置3への医療情報の記録は、患者の医療情報を作成した医療機関が当該患者の同意などを得た上で行うこともできる。この場合は、当該患者の意思表示(同意、指示)により記憶装置3に当該患者の医療情報が記録されるため、当該患者本人による記録と見なすことができる。
【0024】
また、同様に、記憶装置3からの医療情報の読込みは、患者が治療などを受けている医療機関が当該患者の同意などを得た上で行うこともできる。この場合は、当該患者の意思表示(同意、指示)により記憶装置3から当該患者の医療情報が読込まれるため、当該患者自身による読込みと見なすことができる。
【0025】
医療機関に対する患者の意思表示(医療機関が患者の同意などを得る手段)は、具体的には、医療機関の通信端末8において患者自らがID(identification)とパスワードを入力する、患者が所有するスマートフォンまたは携帯電話などの通信端末8を用いて医療機関の通信端末8に同意データを送信する、などの手段により行う。
【0026】
(他の記録部)
他の記録部の一例としての記憶装置4は、記憶装置3に記録された医療情報を患者毎に複写して記録(記憶)する装置である。具体的には、患者aが記憶装置3の領域11を利用し、患者bが記憶装置3の領域12を利用している場合、患者aは、自らの意思表示により、記憶装置3の領域11に記録されている患者aの医療情報の全部または一部を記憶装置4に複写(記録)できる。また、同様に、患者bは、自らの意思表示により、記憶装置3の領域12に記録されている患者bの医療情報の全部または一部を記憶装置4に複写できる。
【0027】
つまり、記憶装置3に記憶されている患者の医療情報は、患者本人(自ら)の意思のみに基づいて記憶装置4に複写できる。言うまでも無いが、前記の場合、患者aは、記憶装置3の領域12に記録されている患者bの医療情報を記憶装置4に複写できない。同様に、患者bは、記憶装置3の領域11に記録されている患者aの医療情報を記憶装置4に複写できない。
【0028】
なお、記憶装置3に記録された自己の医療情報の記憶装置4への複写は、後述するように、患者の意思表示に基づいて、制御部6が行う。また、当該患者の意思表示は、後述するように、登録部5への登録により行う。
【0029】
また、患者は、記憶装置4に対し記憶装置3に記録された自己の医療情報を複写する前に、記憶装置3に記録された複数の自己の医療情報の中から複写対象にする自己の医療情報を選択(設定)することができる(複写の設定)。また、記憶装置3の医療情報を記憶装置4に複写する場合の条件などが設定される。これらについては、後述する。
【0030】
また、記憶装置4への記憶装置3の医療情報の複写の設定は、患者の医療情報を過去に作成した医療機関が、当該医療機関の通信端末8を用いて、当該患者の同意などを得た上で行うことができる。この場合は、当該患者の意思表示(同意、指示)により、記憶装置3に記録された医療情報が記憶装置4に複写されるため、当該患者本人による複写と見なすことができる。
【0031】
また、記憶装置4への記憶装置3の医療情報の複写の設定は、患者の医療情報を新たに作成した医療機関が、当該医療機関の通信端末8を用いて、当該患者の同意などを得た上で、記憶装置3への記録と共にすることもできる。この場合は、患者の意思表示(同意、指示)により、記憶装置3への新たな医療情報の記録と、記憶装置4への当該新たな医療情報の複写が共に行われるため、当該患者本人による記録および複写と見なすことができる。
【0032】
前記した医療機関に対する患者の意思表示(医療機関が患者の同意などを得る手段)は、具体的には、医療機関の通信端末8において患者自らがIDとパスワードを入力する、患者が所有するスマートフォンまたは携帯電話などの通信端末8を用いて医療機関の通信端末8に同意データを送信する、などの手段により行う。
【0033】
(登録部)
登録部の一例としての記憶装置5は、記憶装置3に自己の医療情報を記録している患者の内、自己の医療情報を他の患者に提供する(自己の医療情報を他の患者の利用に供する)患者を登録患者として記録(登録)する装置のことである。
【0034】
記憶装置5について、
図1および2を用いて具体的に説明する。すなわち、患者aが記憶装置3の領域11を利用し、患者bが記憶装置3の領域12を利用している場合であって、患者aが自己の医療情報を他の患者に提供することを希望し、患者bが自己の医療情報を他の患者に提供することを希望していないと仮定する。
【0035】
この場合は、患者aは記憶装置5に記録され、患者bは記憶装置5に記録されない。換言すると、患者aは登録患者であり、患者bは登録患者ではない。なお、記憶装置5に記録される患者の情報は、患者の氏名、電話番号、患者番号など、患者を特定できる情報であれば、情報の種類を問わない。患者aを記憶装置5に記録する手続きについては、後述する。
【0036】
なお、後述するが、登録患者は、他の登録患者の医療情報が提供されるという利益を獲得する。このため、登録部に記録される患者(登録患者)は、自己の治療記録、投薬記録などの医療情報を他の患者の治療に役立てることのみを目的とした(前記利益を求めない)献身的な患者(以下、「献身的患者」と称す。)と、前記利益を獲得することを目的とした準献身的な患者(以下、「準献身的患者」と称す。)のいずれかに該当する。
【0037】
(制御部)
制御部6は、記憶装置3、4および5の情報の流れなどを制御する装置である。つまり、制御部6は、記録装置3に記録された医療情報の内、登録患者の医療情報の全部または一部を、記憶装置4に複写する機能を有する。
【0038】
制御部6は、
図3に示すように、コンピュータ18を含んで構成されている。コンピュータ18は、CPU(Central Processing Unit)18A、ROM(Read Only Memory)18B、RAM(Random Access Memory)18C、不揮発性メモリ18D、入出力インタフェース(I/O)18Eなどがバス18Fを介して接続されている。
【0039】
CPU18Aは、制御部6の全体の動作を司るものである。ROM18Bは、制御部6の動作を制御する制御プログラム、記憶装置3〜5を動作させるための各種パラメータ(条件)等を予め記憶する記憶手段として機能するものである。RAM18Cは、各種プログラムの実行時のワークエリア、医療情報の一時的な記憶等として用いられるものである。不揮発性メモリ18Dは、制御部6の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶するものである。
【0040】
I/O18Eには、制御部6に関する操作を行うための操作ボタン等(キーボードやマウス等)を含んで構成された操作部20、制御部6に関する表示を行う液晶ディスプレイ等で構成された表示部22、通信網7および記憶装置3〜5等が接続されている。I/O18Eと記憶装置3〜5とは、前記したように通信ケーブルを介して接続されている。
【0041】
患者は、記憶装置3に記録された自己の複数の医療情報の内、記憶装置4に複写する医療情報を予め(事前に)指定することができる。具体的には、患者は、通信端末8を使用して、記憶装置3に記録された自己の個々の医療情報に対し、記憶装置4への複写可否の情報を付加情報として付することができる。
【0042】
例えば、患者aが、記憶装置3の自己の領域11に記録された患者aの医療情報であるカルテα、カルテβおよびカルテγの内、カルテαを記憶装置4に複写可とし、カルテβおよびカルテγを記憶装置4に複写不可とする情報をそれぞれのカルテに付加情報として付したとする。この場合、患者aが記憶装置5に登録患者として記録(登録)されると、制御部6は、記憶装置3の領域11に記録されたカルテαを記憶装置4に複写する。なお、制御部6は、記憶装置3の領域11に記録されたカルテβおよびカルテγを記憶装置4に複写しない。
【0043】
また、制御部6は、登録患者に対して、記憶装置4に記録された医療情報を提供する。換言すると、登録患者は、制御部6により、記憶装置4に記録された医療情報の読込み(参照、画面表示)が可能になる。なお、登録患者は、記憶装置4に記録された医療情報に対してコメントの追記など、新たな情報の追加はできない。
【0044】
また、制御部6は、予め定められた登録条件を満たす患者を記憶装置5に記録する制御を行うことが望ましい。なぜなら、記憶装置3に100件以上の医療情報を記録している患者であっても、記憶装置4への複写を指定した(許した)件数が1件の場合、自己の医療情報を提供し合う登録患者間の公平を失することになるからである。
【0045】
そこで、登録条件としては、記憶装置4に複写する医療情報が予め定められた件数(例えば、30件)以上設定されていることが望ましい。換言すると、制御部6は、記憶装置3に記録された自己の医療情報の内、予め定められた件数(例えば、30件)以上の医療情報について、記憶装置4への複写を指定する付加情報を事前に付している患者を記憶装置5に記録するのが望ましい。登録条件は、制御部6のROM18Bに記憶される(
図3参照)。
【0046】
ただ、登録条件を付する(要求する)のは、準献身的患者のみであって、献身的患者は対象外にすることが望ましい。なぜなら、献身的患者は、自己の医療情報を他の患者の治療に役立てることのみを目的としており、他の登録患者の医療情報の提供を欲していないため、自己の医療情報を提供し合う登録患者間の公平を失するという問題が生じないからである。
【0047】
つまり、制御部6は、患者を記憶装置5に記録するに際し、患者からの申請(患者から送信された情報)に基づいて、まず、患者が献身的患者か、準献身的患者かを判断する。そして、献身的患者の場合は、無条件に記憶装置5に当該患者を登録する。準献身的患者の場合は、前記した登録条件を充足する場合のみ、記憶装置5に当該患者を登録する。
【0048】
このように、制御部6は、記憶装置3に自己の医療情報が記録されている患者からの申請により、当該患者を登録患者として記憶装置5に記録する。その際、制御部6は、当該患者本人の希望に応じて登録条件を付するのが望ましい。
制御部6による記憶装置5への患者の記録について、以下に具体的に説明する。
【0049】
まず、登録患者になることを希望する患者aからの求め(患者aの通信端末8による制御部6への接続)により、制御部6は、患者aの通信端末8に申請画面を表示する。申請画面には、他の登録患者の医療情報の提供を「希望する」、「希望しない」のチェックボックスが設けられている。患者aが「希望する」のチェックボックスにチェックを入れた場合、患者aは準献身的患者であることが判明する。また、患者aが「希望しない」のチェックボックスにチェックを入れた場合、患者aは献身的患者であることが判明する。
【0050】
次に、患者aが献身的患者に分類された場合、患者aは、記憶装置3に記録された患者aの医療情報の内、記憶装置4への複写を許す医療情報を少なくとも1件選択した場合、登録患者として記憶装置5に記録される。
【0051】
また、患者aが準献身的患者に分類された場合、患者aは、記憶装置3に記録された患者aの医療情報の内、記憶装置4への複写を許す医療情報として予め定められた件数(例えば、30件)以上選択した場合に、登録患者として記憶装置5に登録される。
【0052】
なお、記憶装置4への複写を許す医療情報は、記憶装置3に記録された自己の医療情報に対して、患者aの通信端末で設定できる。また、制御部6は、登録患者が登録条件を事後的に満たさなくなった場合、当該登録患者を記憶装置5から削除する(登録を抹消する)。具体的には、献身的患者として記憶装置5に記録された登録患者が、その後、準献身的患者に変更された場合であって、記憶装置3に記録された自己の医療情報の内、記憶装置4への複写を許す医療情報の数が予め定められた件数(例えば、30件)よりも少ない場合である。
【0053】
前記した登録条件の説明では、予め定められた件数を30件と設定したものを示したが、これに限定するものではない。予め定められた件数は、制御部6の操作部20および表示部22を用いて任意に設定してROM18Bに記憶でき、登録患者間の公平を失することがない範囲の数字であれば、20件であっても50件であっても良い。
【0054】
〔作用効果〕
第1実施形態の情報管理装置1は、原則的には、患者本人が各種医療機関から得た自己の医療情報を集中管理して利用できる。つまり、患者本人のみが自己の医療情報を情報管理装置1の記憶装置3に記録でき、かつ、患者本人のみが情報管理装置1の記憶装置3に記録した自己の医療情報を読込むことができる。換言すると、他の患者および各種医療機関を含む第三者への自己の医療情報の提供(開示)を望まない患者(自己の医療情報を秘匿したい患者)は、このような原則的な利用のみを継続することができる。
【0055】
その一方で、原則的な利用をする患者の中には、他の患者の治療に役立てる目的で、他の患者への自己の医療情報の提供を望む患者が存在する。第1実施形態の情報管理装置1は、このような患者を登録患者として記憶装置5に記録(登録)し、原則的な利用のみならず、献身的な利用も可能にする。
【0056】
また、第1実施形態の情報管理装置1は、登録患者に対して、他の登録患者の医療情報を提供するという利益を与える。つまり、登録患者は、他の登録患者の医療情報を、自己の病気の治療方針の検討などで利用することができる。
【0057】
別の見方をすれば、第1実施形態の情報管理装置1は、登録患者に対し前記した利益を与えるため、本来的な利用のみを行う患者に対して、登録患者になること(自己の医療情報を他の患者の利用に供すること)を促す効果があるとも言える。登録患者が増えれば、登録患者が自己の治療のための検討で使える医療情報が増えるため、登録患者の治療精度の向上、治癒率の向上、投薬量の減少及び医療費低減に繋がると考えられる。
なお、情報管理装置1は、登録患者が自己の意思表示により、前記した利益を放棄することができるようにしても良い(前記した献身的患者)。
【0058】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の情報管理装置101について、以下に説明する。
なお、説明を分かりやすくするため、第1実施形態と同じ構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
第2実施形態の情報管理装置101と、第1実施形態の情報管理装置1の主な相違点は、次の3つである。
すなわち、1つ目の相違点は、各種医療機関も登録医療機関として記憶装置5に記録(登録)できることである。
2つ目の相違点は、登録医療機関は、記憶装置4に記録された医療情報などに基づいて作成した医療機関情報を、記憶装置4に記録できることである。
3つ目の相違点は、制御部6は、登録医療機関に対して記憶装置4に記録された医療情報の提供を可能にすると共に、登録患者に対し、記憶装置4に記録された医療機関情報の提供も可能にすることである。
【0060】
ここで、各種医療機関は、病院、薬局、製薬会社、医療技術の研究機関などの医療関係の業務を行う機関のみならず、フィットネスクラブ、針治療院、足つぼマッサージなどの健康を促進する機関も含まれる。
【0061】
これら各種医療機関は、情報管理装置101の記憶装置4に記録(複写)された医療情報の利用を希望する場合、各種医療機関が所有する通信端末8により情報管理装置1に対して登録の申請をする。具体的には、登録を希望する各種医療機関は、各種医療機関が所有する通信端末8により通信網7を介して情報管理装置101の制御部6に接続し、登録申請の画面を表示させる。そして、通信端末8に表示された登録申請の画面で入力が必要な事項について入力し、通信網7を介して当該情報(必要事項)を情報管理装置101の制御部6に送信する。情報管理装置101の制御部6は、送信された当該情報が予め定められた条件を充足する場合、各種医療機関を情報管理装置101の記憶装置5に記録(登録)されることを許す。そうすると、登録が許された各種医療機関は、記憶装置5に登録医療機関として記録される。
【0062】
制御部6は、登録医療機関に対し、記憶装置4に記録された全ての医療情報を提供する。このため、登録医療機関は、記憶装置4に記録された全ての医療情報と、自ら保有する研究結果などの医療情報と、一般に公開されている医療情報などに基づいて、研究、分析などができる。そして、登録医療機関は、その結果得られた知見、成果などの新しい医療情報を、医療機関情報として情報管理装置101の記憶装置4に記録できる。
【0063】
第2実施形態の情報管理装置101によれば、登録患者は、各種医療機関が作成した医療機関情報の提供を受けることできる。換言すると、第2実施形態の情報管理装置101によれば、自らの病気の治療の参考にするため、多くの医療情報を欲する患者(準献身的患者)は、自らの意思で自己の医療情報を提供しようとする。このため、患者に対し、自己の医療情報を他の患者を含む第三者に提供することを促すことができる。
【0064】
ここで、制御部6は、登録患者を複数のランクにランク分けし、当該ランクに応じて医療機関情報を提供しても良い。例えば、記憶装置4に複写した自己の医療情報の数によって3ランク(ランク1〜3)に分ける。具体的には、例えば、記憶装置4に複写した自己の医療情報の数が100件以上をランク1、60件以上をランク2、30件以上をランク3とする。
【0065】
この場合において、制御部6は、ランク1の登録患者に対し最新の医療機関情報を含む全ての医療機関情報を提供し、ランク2の登録患者に対し半年より前の全ての医療機関情報を提供し、ランク3の登録患者に対し1年より前の全ての医療機関情報を提供するなどである。
【0066】
多くの医療情報の利用を希望する患者は、最新情報の利用を望むと考えられるため、上記のような登録患者のランク分けによっても、患者に対し、自己の医療情報を他の患者の利用に供することを促すことができる。
【0067】
なお、前記したランク分けの説明では、3ランクに設定したものを示したが、これに限定するものではない。また、ランク分けの効果は、前記した効果以外でも良い。例えば、記憶装置4への自己の医療情報の複写件数に比例して読込むことができる医療機関情報が多くなるなどである。
【0068】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の情報管理装置201について、以下に説明する。なお、説明を分かりやすくするため、第1実施形態と同じ構成は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
第3実施形態の情報管理装置201と、第1実施形態の情報管理装置1または第2実施形態の情報管理装置101との主な相違点は、患者が通信端末8から自己の医療情報を記憶装置3に記録するに当たり、制御部6が条件を付す点である。
【0070】
以下、当該条件を中心に情報管理装置201について説明する。
情報管理装置201の制御部6は、患者の通信端末8から送信された当該患者の医療情報と、当該患者が当該医療情報を得るに当たり医療機関に支払った医療費に関する医療費情報と、を受信する。
ここで、医療費情報とは、医療機関が患者に発行した領収書、請求書などの医療費および医療機関名が記載された情報をいう。
【0071】
患者は、医療機関から紙の領収書または請求書を受け取る場合が多いと考えられる。この場合、患者は、当該紙を写真に撮るまたはスキャナで読取るなどの画像情報にし、当該画像情報を情報管理装置201に送信することになる。当該画像情報を受信した情報管理装置201の制御部6は、患者から送信された画像情報(医療費情報)をテキスト変換する。同様に、患者が当該医療費を支払って得た医療情報が紙に記載されていた場合、制御部6は、患者から送信された画像情報(医療情報)をテキスト変換する。
【0072】
そして、公知の情報比較手段により、テキスト変換された医療費情報と、テキスト変換された医療情報とを比較し、両方で一致する(共通する)情報を一致情報として抽出する。この抽出した一致情報の中に医療機関名が1つだけ存在していた場合、制御部6は、患者が送信した医療情報を記録部3に記録する。
【0073】
かかる構成により、記憶装置3に記録される医療情報が悪意の患者による偽の医療情報で汚染されることを抑制できる。つまり、患者を装う者(偽の患者)が捏造した医療情報(偽の医療情報)が記憶装置3に記録されることを抑制できる。
【0074】
なお、前記した抽出した一致情報の中から医療機関名を抽出する際、医療機関名のみならず他の情報(例えば、日付)も抽出するのが望ましい。つまり、制御部6は、一致情報の中に医療機関名が1つだけ存在し、かつ、一致情報として日付が1つだけ存在していた場合に限り、患者が送信した医療情報を記録部3に記録するのが望ましい。ここに記載した医療機関名および日付は、一例であって、一致情報から抽出する情報は複数であればそれ以外の情報でも良い。なぜなら、より高い確度で、記憶装置3に記録される医療情報が悪意の患者による偽の医療情報で汚染されることを抑制できるからである。
【0075】
また、制御部6は、上記条件に対し、患者の通信端末から送信された当該患者の医療情報の受信時間と、当該患者が当該医療情報を得るに当たり医療機関に支払った医療費に関する医療費情報の受信時間の差が予め定められた時間内である場合に限り、患者の通信端末から送信された当該患者の医療情報を記憶装置3に記録するという他の条件を付しても良い。
【0076】
具体的には、上記他の条件は、制御部6による医療情報の受信時間と、医療費情報の受信時間と、の差を予め定められた時間(例えば15分)以内にすることである。このような他の条件を付すことにより、悪意の患者が医療情報または医療費情報を捏造する時間を確保することが困難になる。つまり、記憶装置3に記録される医療情報が悪意の患者による偽の医療情報で汚染されることを抑制できる。
【0077】
なお、前記した予め定められた時間は、制御部6の操作部20および表示部22を用いて任意に設定してROM18Bに記憶できる。前記した予め定められた時間は、悪意の患者が医療情報及び医療被情報の少なくとも一方の捏造が困難になる時間であれば、20分であっても10分であっても良い。
【0078】
また、前記した他の条件は、情報管理装置201が管理する医療情報の汚染を抑制できるという効果があるものの、患者の大部分を占める善意の患者による情報管理装置201の利便性を悪化させるという負の側面がある。そこで、情報管理装置201の制御部6は、医療情報を記憶装置3に記録した回数に応じて、患者毎に、前記した他の条件における予め定められた時間を増加または消滅させるのが望ましい。
【0079】
具体的には、上記他の条件を下記のように緩和する。すなわち、医療情報を記憶装置3に記録した回数(以下、「記録回数」と称す。)が5回以下の患者は、制御部6による医療情報の受信時間と、医療費情報の受信時間と、の差(以下、「時間差」と称す。)を15分以内にする。記録回数が6回以上10回以下の患者は、時間差を60分以内にする。記録回数が11回以上20回以下の患者は、時間差を120分以内にする。記録回数が予め定められた回数(21回以上)の患者は、時間差を無くすなどである。
【0080】
また、上記他の条件を下記のように緩和しても良い。すなわち、医療情報を記憶装置3に記録した件数(以下、「記録件数」と称す。)が10件以下の患者は、時間差を15分以内にする。記録件数が11件以上50件以下の患者は、時間差を60分以内にする。記録回数が51件以上100件以下の患者は、時間差を120分以内にする。記録件数が予め定められた件数(101件以上)の患者は、時間差を無くすなどである。
【0081】
なお、前記した記録回数および記録件数は、制御部6の操作部20および表示部22を用いて任意に設定してROM18Bに記憶できる。前記した記録回数および記録件数と、当該記録件数および記録回数を達成した場合の効果は、情報管理装置の利用者である患者が善意の患者であることの確度が高くなるほど前記した負の側面が緩和または無くなるように設定されていれば良い。
【0082】
前記した実施形態は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0083】
例えば、前記した実施形態においては、記憶装置3〜5のそれぞれが通信ケーブルを介して制御部6に接続された情報管理装置を示したが、これに限るものではない。例えば、記憶装置3〜5は、
図4に示すように、それぞれがサーバとしての機能を備え、それぞれが通信網7を介して制御部6と接続されていてもよい。
【0084】
また、前記した実施形態においては、記録部、他の記録部及び登録部がそれぞれ1台ずつの記憶装置3〜5で構成された情報管理装置を示したが、これに限るものではない。記録部、他の記録部及び登録部は、1台の記憶装置で構成され、当該記憶装置のメモリ領域が大きく3つに分割することにより構成されていても良い。この場合、当該記憶装置における記録部の部分のメモリ領域は、
図2に示したように、さらに複数のメモリ領域(領域A、B、C・・・)に分割される。
情報管理装置1は、医療情報を患者毎に記録し、患者本人が自己の医療情報を利用できる記録部3と、記録部3の医療情報を患者毎に複写できる他の記録部4と、患者の内、自己の医療情報を他の患者に提供する患者を登録患者として記録する登録部5と、登録患者の記録部3の医療情報を、他の記録部4に複写すると共に、登録患者に対し他の記録部4の医療情報を提供する制御部6と、を備えた。