特許第6362244号(P6362244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6362244衛生マスク用の包装フィルム、及び衛生マスクの包装体
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  • 特許6362244-衛生マスク用の包装フィルム、及び衛生マスクの包装体 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362244
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】衛生マスク用の包装フィルム、及び衛生マスクの包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/26 20060101AFI20180712BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20180712BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   B65D81/26 K
   B65D77/00 B
   B65D65/40 D
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-258248(P2013-258248)
(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公開番号】特開2015-113162(P2015-113162A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】303001483
【氏名又は名称】スタープラスチック工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591132210
【氏名又は名称】株式会社アラクス
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 誠人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】平原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】荒川 慎康
(72)【発明者】
【氏名】大口 正晃
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−158718(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3094931(JP,U)
【文献】 特開2006−095832(JP,A)
【文献】 特開2002−036448(JP,A)
【文献】 特開2015−093404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/18−81/30
B65D 65/40
B65D 77/00
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の基材と、該基材の一方の面に設けられたシーラント材とを備え、
前記基材は、ヘイズが20%以下であり、
前記シーラント材は、親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトを含有するゼオライト含有層を備え、ヘイズが60%以下であり、
前記疎水性ゼオライト中の結晶水の量が、疎水性ゼオライト1モル当たり50モル以下である、衛生マスク用の包装フィルム。
【請求項2】
前記ゼオライト含有層中、前記親水性ゼオライト/前記疎水性ゼオライトで表される質量比が0.5/9.5〜5/5である、請求項1に記載の衛生マスク用の包装フィルム。
【請求項3】
前記シーラント材は、前記基材側から順にラミネート層と前記ゼオライト含有層とヒートシール層とが配されている、請求項1又は2に記載の衛生マスク用の包装フィルム。
【請求項4】
前記親水性ゼオライト中の結晶水の量が、親水性ゼオライト1モル当たり200モル以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の衛生マスク用の包装フィルム。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の衛生マスク用の包装フィルムが用いられた容器に、衛生マスクが収容されてなる衛生マスクの包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生マスク用の包装フィルム、及び衛生マスクの包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、風邪やインフルエンザ等の感染予防のために、衛生マスクが用いられる。近年では、花粉やハウスダスト等のアレルゲン、PM2.5等の微小粒子状物質等の吸引を防除するために、衛生マスクが広く用いられるようになった。
しかし、ガーゼや不織布からなる衛生マスクは、衛生マスクと装着者の顔面とに隙間を生じやすい。このため、従来の衛生マスクは、その機能が低下したり、装着感が低下したりしやすかった。
こうした問題に対し、例えば、ポリウレタンフォームを用いたマスクが提案されている(特許文献1)。特許文献1の発明によれば、マスク本体(口及びその近傍を覆う部分)をポリウレタンフォームで構成することで、装着者の口及びその近傍にフィットして、隙間が生じるのを回避し、機能の向上及び装着感の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−136754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ポリウレタンフォームを用いた衛生マスクは、伸縮性を有するために装着者の顔面にフィットするものの、以下のような問題があった。
(1)ポリウレタンフォームの原料であるポリエーテルポリオールは、熱にさらされるとホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド化合物を生成する。このため、ポリウレタンフォームの加工中に生じたアルデヒド化合物が衛生マスク中に残存し、このアルデヒド化合物が装着者に対し不快な臭気を感じさせる。
(2)ポリウレタンフォームの製造時に触媒としてアミン化合物を用いる場合があり、このアミン化合物が衛生マスクに残存し、装着者に対し不快な臭気を感じさせる。
(3)衛生マスクは、樹脂製の袋等の容器に収容されて流通又は保管されることが多いが、この間にポリウレタンフォームが経時的に加水分解される。ポリウレタンフォームは、加水分解されるとアルデヒド化合物を生成する。アルデヒド化合物が生成されると、ポリウレタンフォームが黄変する。
アルデヒド化合物やアミン化合物は、ppmオーダー又はppbオーダーという極微量で衛生マスクに残存しても、この衛生マスクの装着者に不快な臭気を与える。
加えて、ポリウレタンフォームの黄変が経時的に進むと、衛生マスクの品質が低下する。
さらに、衛生マスクの容器には、内容物である衛生マスクを視認できることが求められる。
そこで、本発明は、内容物を良好に視認でき、かつ材質としてポリウレタンフォームが用いられた衛生マスクであっても、不快な臭気を低減し、経時的な品質低下を防止できる衛生マスク用の包装フィルムを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の衛生マスク用の包装フィルムは、プラスチック製の基材と、該基材の一方の面に設けられたシーラント材とを備え、前記基材は、ヘイズが20%以下であり、前記シーラント材は、親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトを含有するゼオライト含有層を備え、ヘイズが60%以下であることを特徴とする。
前記ゼオライト含有層中、前記親水性ゼオライト/前記疎水性ゼオライトで表される質量比が0.5/9.5〜5/5であることが好ましい。また、前記シーラント材は、前記基材側から順にラミネート層と前記ゼオライト含有層とヒートシール層とが配されていることが好ましい。
【0006】
本発明の衛生マスクの包装体は、本発明の前記の衛生マスク用の包装フィルムが用いられた容器に、衛生マスクが収容されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の衛生マスク用の包装フィルムによれば、内容物を良好に視認でき、かつ材質としてポリウレタンフォームが用いられた衛生マスクであっても、不快な臭気を低減し、経時的な品質低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかる包装フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(衛生マスク用の包装フィルム)
本発明の衛生マスク用の包装フィルム(以下、単に包装フィルムという)は、基材と、基材の一方の面に設けられたシーラント材とを備え、シーラント材は、親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトを含有するゼオライト含有層を備える。以下、本発明の包装フィルムについて、実施形態を挙げて説明する。
【0010】
本発明の一実施形態にかかる包装フィルムについて、図面を参照して説明する。図1の包装フィルム1は、基材10と、シーラント材20とがこの順で積層されたものである。即ち、包装フィルム1は、基材10と、基材10の一方の面に設けられたシーラント材20とを備える。
【0011】
包装フィルム1の厚さは、特に限定されないが、例えば、40〜100μmが好ましく、50〜90μmがより好ましい。上記下限値未満では、包装フィルム1の強度が低下するおそれがあり、上記上限値超では、包装フィルム1の柔軟性が低下して取り扱いが煩雑になるおそれがある。
【0012】
包装フィルム1のヘイズは、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。上記上限値以下であれば、内容物をより良好に視認できる。
なお、ヘイズは、JIS K7105(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に記載の方法に基づいて求められる値である。
【0013】
<基材>
基材10は、プラスチック製の単層フィルム又は積層フィルム(即ち、樹脂フィルム)である。包装フィルム1は、基材10を備えることで、この包装フィルム1を用いた容器内に水分が侵入するのを抑制できる。
樹脂フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)等のポリオレフィン、二軸延伸ポリアミド等のポリアミド(PA)等、及びこれらの積層体が挙げられる。中でも、水蒸気バリア性に優れることから、PET、ポリオレフィン、PAの単体又はこれらの積層体が好ましく、二軸延伸PET、OPPの単体又はこれらの積層体がより好ましい。水蒸気バリア性を有する基材10を用いることで、衛生フィルムを収容した容器内に、水分が侵入するのをより抑制して、ポリウレタンフォームの加水分解を抑制する等、衛生用マスクの変性をより良好に抑制できる。
この基材10は、その表面や層間に印刷が施されていてもよい。
【0014】
基材10の厚さは、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5〜60μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。上記下限値未満では、包装フィルム1の強度が低下するおそれがあり、上記上限値超では、包装フィルム1の柔軟性が損なわれ、取り扱いが煩雑になるおそれがある。
基材10のヘイズは、20%以下であり、10%以下が好ましい。上記上限値以下であり、かつシーラント材20のヘイズが60%以下であれば、包装フィルム1のヘイズを小さくして、内容物をより良好に視認できる。
【0015】
<シーラント材>
シーラント材20は、ゼオライト含有層24を備える。本実施形態において、シーラント材20は、基材10側から順にラミネート層22と、ゼオライト含有層24と、ヒートシール層26とが配された積層体である。
【0016】
シーラント材20のヘイズは、60%以下であり、50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。上記上限値以下であり、かつ基材10のヘイズが20%以下であれば、包装フィルム1のヘイズを小さくして、内容物をより良好に視認できる。
シーラント材20のヘイズの下限値は、特に限定されないが、ゼオライト含有層24を備えるため、実質的に20%以上である。
シーラント材20のヘイズは、ラミネート層22、ゼオライト含有層24、ヒートシール層26の厚さや材質、後述するゼオライト含有量や平均粒子径によって調節される。
【0017】
シーラント材20の厚さは、特に限定されないが、30〜100μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。上記下限値以上であれば、ヒートシール性を高められ、上記上限値以下であれば、ヘイズを60%以下に調節しやすく、包装フィルム1の柔軟性をより高められる。
【0018】
ラミネート層22は、主にシーラント材20と基材10との接着性を高める役割を有する。
ラミネート層22を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状LDPE(LLDPE)、MDPE、HDPE、PP等のポリオレフィン、EVOH、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、アイオノマー等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0019】
ラミネート層22の厚さは、5〜50μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。上記下限値未満では、基材10に対するシーラント材20の接着強度が低下するおそれがあり、上記上限値超では、包装フィルム1が厚くなりすぎて、柔軟性が損なわれるおそれがある。
【0020】
ゼオライト含有層24は、ゼオライトを含有する樹脂フィルムである。
ゼオライト含有層24を構成する樹脂としては、ラミネート層22を構成する樹脂と同様のものが挙げられる。
【0021】
ゼオライト含有層24に含まれるゼオライトは、親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトである。ゼオライト含有層24は、親水性ゼオライトと疎水性ゼオライトとを併有することで、衛生マスクから生じた臭気物質を吸着し、衛生マスクの変性を防止できる。これは、疎水性ゼオライトがアルデヒド化合物やアミン化合物等の臭気成分を吸着し、親水性ゼオライトが吸湿してポリウレタンフォームの加水分解を抑制して黄変を防止する等、衛生用マスクの変性を抑制できるためである。
【0022】
親水性ゼオライトは、SiO/Alで表されるモル比(以下、SiO/Al比ということがある)が5未満のものである。親水性ゼオライトのSiO/Al比は、1〜4.9が好ましく、1〜3がより好ましい。上記下限値は、ゼオライトにおける理論上のSiO/Al比の最低値である。上記上限値以下であれば、吸湿効果を発揮して、衛生マスクの変性を良好に抑制できる。
【0023】
親水性ゼオライトを構成する塩は、特に限定されないが、Naイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン等が挙げられ、中でも、より良好に吸湿する観点から、Naイオン、Caイオンが好ましい。
親水性ゼオライト中の結晶水の量(結晶水量)は、親水性ゼオライト1モル当たり200モル以上が好ましい。上記下限値以上であれば、より優れた吸湿効果を発揮できる。
親水性ゼオライトとしては、例えば、モレキュラーシーブ(商品名、ユニオン昭和株式会社製)、ゼオラム(商品名、東ソー株式会社製)等が挙げられる。
【0024】
親水性ゼオライトの平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、5〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましく、10〜20μmが特に好ましい。上記下限値未満では、ゼオライト含有層24を設ける際に、親水性ゼオライトが二次凝集して粒子径が大きくなりやすく、この二次凝集した粒子がゼオライト含有層24を破損して、ゼオライト含有層24を設けた効果が低下するおそれがある。上記上限値超では、親水性ゼオライトの粒子径が大きすぎて、親水性ゼオライトがゼオライト含有層24を破損して、ゼオライト含有層24を設けた効果が低下するおそれがある。加えて、上記上限値超では、シーラント材20のヘイズが大きくなりやすい。
親水性ゼオライトの平均粒子径は、レーザー回折法により測定される体積標準のメジアン径である。
【0025】
疎水性ゼオライトは、SiO/Alで表されるモル比が5以上のものである。疎水性ゼオライトのSiO/Al比は、8以上が好ましく、40以上がより好ましく、80以上がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、臭気成分をより良好に吸着でき、SiO/Al比が大きいほど臭気成分を吸着する能力が高まる。
親水性ゼオライトのSiO/Al比と疎水性ゼオライトのSiO/Al比とは、5以上異なることが好ましく、40以上異なることがより好ましい。上記下限値以上であれば、より良好に臭気成分を吸着し、かつ衛生マスクの変性をより良好に抑制できる。
【0026】
疎水性ゼオライトを構成する塩は、親水性ゼオライトを構成する塩と同様である。
疎水性ゼオライト中の結晶水の量(結晶水量)は、疎水性ゼオライト1モル当たり50モル以下が好ましく、30モル以下がより好ましい。上記上限値以下であれば、より効果的に臭気成分を吸着できる。
疎水性ゼオライトとしては、例えば、疎水性モレキュラーシーブ(商品名、ユニオン昭和株式会社製)、ハイシリカゼオライト(商品名、東ソー株式会社製)等が挙げられる。
【0027】
疎水性ゼオライトの平均粒子径は、親水性ゼオライトの平均粒子径と同様である。
【0028】
ゼオライト含有層24中、親水性ゼオライトと疎水性ゼオライトとの合計量(ゼオライト含有量)は、10〜70質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。ゼオライト含有量が上記下限値以上であれば、臭気成分をより良好に吸着し、かつ衛生マスクの変性をより良好に抑制できる。ゼオライト含有量が上記上限値以下であれば、ゼオライト含有層を欠損なく形成しやすい。加えて、上記上限値以下であれば、シーラント材20のヘイズを60%以下に調節しやすい。
【0029】
親水性ゼオライト/疎水性ゼオライトで表される質量比(親水/疎水比ということがある)は、0.5/9.5〜5/5が好ましく、1/9〜4/6がより好ましく、1/9〜2/8がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、衛生マスクの変性をより良好に抑制できる。上記上限値以下であれば、臭気成分をより良好に吸着できる。
【0030】
ゼオライト含有層の厚さは、特に限定されないが、例えば、10〜50μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。上記下限値以上であれば、臭気成分をより良好に吸着でき、かつ衛生マスクの変性をより良好に抑制できる。上記上限値以下であれば、シーラント材20のヘイズを60%以下に調節しやすい。
【0031】
ヒートシール層26としては、従来公知の材質が挙げられ、例えば、ラミネート層22と同様のものが挙げられる。ヒートシール層26は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。
また、例えば、ヒートシール層26は、イージーピール性を有してもよい。イージーピール性を有するヒートシール層26としては、相分離をする凝集剥離タイプ及び被着体との界面で剥離する界面剥離タイプ等のいずれの剥離タイプでもよい。
【0032】
ヒートシール層26の厚さは、材質等を勘案して決定され、例えば、10〜60μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。上記下限値未満では、ヒートシール強度が低下するおそれがある。上記上限値超では、衛生マスクから生じた臭気成分をゼオライト含有層24が吸着するまでの時間が長くなる傾向にある。
【0033】
<包装フィルムの製造方法>
包装フィルム1は、従来公知の製造方法に準じて製造される。
包装フィルム1の製造方法の一例について、以下に説明する。
本実施形態の包装フィルム1の製造方法は、基材10を得る工程(基材製造工程)と、シーラント材20を得る工程(シーラント材製造工程)と、基材10とシーラント材20とを積層する工程(積層工程)とを備える。
【0034】
基材製造工程で基材10を得る方法は、基材10の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
【0035】
シーラント材製造工程でシーラント材20を得る方法は、シーラント材20の材質や構成等に応じて、従来公知の方法から選択される。
シーラント材20を得る方法としては、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を用いた共押出法によって、ラミネート層22とゼオライト含有層24とヒートシール層26との積層体であるシーラント材20を得る方法が挙げられる。
【0036】
積層工程で基材10とシーラント材20とを積層する方法としては、例えば、基材10とシーラント材20とを重ね、これを押圧しつつ加熱する方法が挙げられる。この際、各材の間に接着剤を塗布してもよい。このように、シーラント材20に基材10を直接重ねることで、包装フィルム1全体のヘイズをシーラント材20のヘイズよりも小さくして、内容物を良好に視認できる。
【0037】
<包装体>
本実施形態の包装体は、本実施形態の包装フィルム1からなる容器に、衛生マスクが収容されたものである。
衛生マスクが収容される容器としては、例えば、包装フィルム1のヒートシール層26同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。袋の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋等が挙げられる。
また、例えば、容器としては、開口部を有する容器本体と、包装フィルム1からなる蓋体とを備え、容器本体の開口部周縁にヒートシール層26を当接し、包装フィルム1を容器本体にヒートシールした容器が挙げられる。
容器本体の材質としては、特に限定されず、例えば、PET、金属等、水蒸気バリア性に優れる材質が好ましい。
【0038】
本実施形態の包装フィルムによれば、親水性ゼオライトと疎水性ゼオライトとを含有するゼオライト含有層を備えるため、アルデヒド化合物及びアミン化合物等の臭気成分を吸着し、かつ吸湿できる。このため、不快な臭気を低減し、経時的な品質低下を防止できる。
加えて、プラスチック製の基材を有するため、容器内への水分の浸入を低減でき、衛生マスクの経時的な品質低下を防止できる。
さらに、基材及びシーラント材のヘイズが特定の範囲であるため、内容物を良好に視認できる。
【0039】
本実施形態の包装フィルムは、衛生マスクの中でも、特にポリウレタンフォームを用いた衛生マスクに好適である。
【0040】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、シーラント材がラミネート層を備えるが、本発明はこれに限定されず、ラミネート層を省略し、ゼオライト含有層がラミネート層を兼ねてもよい。ただし、基材とシーラント材との接着性をより高める観点からは、ラミネート層を備えることが好ましい。
【0041】
上述の実施形態では、ヒートシール層を備えるが、本発明はこれに限定されず、ヒートシール層を省略し、ゼオライト含有層がヒートシール層を兼ねてもよい。ただし、ヒートシール強度をより高める観点からは、ヒートシール層を備えることが好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(使用材料)
<基材>
・OPP:パイレン−OT(商品名)、厚さ=20μm、ヘイズ=1%、東洋紡株式会社製。
・PET:太閤ポリエステル(商品名)、厚さ=12μm、ヘイズ=3%、フタムラ化学株式会社製。
・艶消しPET:太閤ポリエステル(商品名)、厚さ=12μm、ヘイズ=55%、フタムラ化学株式会社製。
<シーラント材>
・PE:LLDPE、リックス(商品名)、東洋紡株式会社製。
<ゼオライト>
・親水性ゼオライトa:モレキュラーシーブ(商品名)、平均粒子径=20μm、Naイオン、SiO/Al比=1、結晶水量=216モル、ユニオン昭和株式会社製。
・親水性ゼオライトb:モレキュラーシーブ(商品名)、平均粒子径=30μm、Naイオン、SiO/Al比=1、結晶水量=216モル、ユニオン昭和株式会社製。
・親水性ゼオライトc:モレキュラーシーブ(商品名)、平均粒子径=50μm、Naイオン、SiO/Al比=1、結晶水量=216モル、ユニオン昭和株式会社製。
・疎水性ゼオライトa:疎水性モレキュラーシーブ(商品名)、平均粒子径=10μm、Naイオン、SiO/Al比=50、結晶水量=16モル、ユニオン昭和株式会社製。
<活性炭>
・活性炭:クラレコール(商品名)、平均粒子径=10μm、クラレケミカル株式会社製。
【0044】
(評価方法)
<官能試験1>
各例で得られた包装フィルムを用い、100mm×300mmの平袋を作製した。この平袋に、ポリウレタンフォームからなる衛生マスクを1枚入れ、平袋を密封してサンプルとした。サンプルを50℃、50%RHの環境下で8時間保管した後、サンプルを開封した。開封直後に、内容物のアミン臭及びアルデヒド臭のそれぞれについて、下記評価基準により判定した。
【0045】
≪評価基準≫
4点:強い臭気を感じる。
3点:やや強い臭気を感じる。
2点:弱い臭気を感じる。
1点:臭気をわずかに感じる。
0点:臭気を全く感じない。
【0046】
<官能試験2>
各例で得られた包装フィルムを用い、100mm×300mmの平袋を作製した。この平袋に、ポリウレタンフォームからなる衛生マスクを1枚入れ、平袋を密封してサンプルとした。サンプルを50℃、50%RHの環境下で1ヵ月間保管した後、内容物の臭気を<官能試験1>と同様に判定した。
【0047】
<ヘイズ>
各例で得られた包装フィルムのヘイズを測定した。ヘイズが60%以下のものを合格とした。
【0048】
(実施例1〜8)
表1〜2の構成に従い、各例の包装フィルムを製造した。シーラント材は、各層の構成原料が共押出機により成形されたものである。ラミネート層が基材と当接するように基材とシーラント材とを重ね、これを押圧(0.4MPa)しつつ加熱(55℃)して、各例の包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0049】
(比較例1)
プラスチック製の基材を設けない以外は、実施例1と同様にして、包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0050】
(比較例2)
ゼオライト含有層の厚さを5μmとし、ゼオライト含有量を60質量%とし、シーラント材のヘイズを70%とした以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0051】
(比較例3)
ゼオライト含有層の厚さを70μmとし、ゼオライト含有量を15質量%とし、シーラント材のヘイズを77%とした以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0052】
(比較例4)
ゼオライト含有層に配合するゼオライトを疎水性ゼオライトのみとした以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0053】
(比較例5)
ゼオライト含有層に配合する親水性ゼオライトの平均粒子径を50μmとし、シーラント材のヘイズを90%とした以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0054】
(比較例6)
基材を艶消しPETとした以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0055】
(比較例7)
ゼオライト含有層にゼオライトを配合しない以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0056】
(比較例8)
ゼオライト含有層に配合するゼオライトを親水性ゼオライトのみとし、ゼオライト含有量を15質量%とした以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0057】
(比較例9)
ゼオライトに代えて活性炭をゼオライト含有層に配合した以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを得た。得られた包装フィルムについて、官能試験1、官能試験2及びヘイズの測定を行い、その結果を表中に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表1〜2に示すように、本発明を適用した実施例1〜8は、官能試験1及び官能試験2が全て1点以下で、かつヘイズが60%以下であった。加えて、実施例1〜8は、官能試験2で1ヵ月保管した後においても、黄変が抑制されていた。
一方、基材を備えない比較例1は、官能試験2の結果が「3点」であった。
シーラント材のヘイズが60超である比較例2〜3、5は、包装フィルムのヘイズが60%超であった。
疎水性ゼオライトのみを含有する比較例4は、官能試験1におけるアルデヒド臭が「2点」、官能試験2の結果が「4点」であった。
親水性ゼオライトのみを含有する比較例8は、官能試験1が「2点」以上、官能試験2が「4点」であった。
基材のヘイズが55%である比較例6は、包装フィルムのヘイズが60%超であった。
親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトの双方を含有しない比較例7は、官能試験1におけるアミン臭が「4点」、官能試験2が「4点」であった。
ゼオライトに代えて活性炭を配合した比較例9は、官能試験1におけるアルデヒド臭が「4点」、官能試験2が「4点」であり、包装フィルムのヘイズが100%であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、内容物を良好に視認でき、かつ材質としてポリウレタンフォームが用いられた衛生マスクであっても、不快な臭気を低減し、経時的な品質低下を防止できることが判った。
【符号の説明】
【0061】
1 包装フィルム
10 基材
20 シーラント材
22 ラミネート層
24 ゼオライト含有層
26 ヒートシール層
図1