特許第6362247号(P6362247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362247
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ヘアセット用器具
(51)【国際特許分類】
   A45D 8/00 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   A45D8/00 F
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-6239(P2014-6239)
(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公開番号】特開2015-134038(P2015-134038A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2017年1月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100098109
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】栗田 圭子
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2969435(JP,B2)
【文献】 登録実用新案第3133322(JP,U)
【文献】 特許第4616328(JP,B2)
【文献】 実開平6−66501(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3156568(JP,U)
【文献】 実開平5−68404(JP,U)
【文献】 特開2002−17176(JP,A)
【文献】 実公昭51−13940(JP,Y2)
【文献】 実公昭12−8250(JP,Y1)
【文献】 特開2011−234761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 8/00
A45D 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
協働して頭髪の毛束を挟み付ける一対の挟み付け部を有し、該挟み付け部は、閉じる方向に付勢された状態で支軸により開閉回転可能に結合され、且つその閉じられた挟み付け部を開くための摘みを有するヘアクリップ状機構を有しているヘアセット用器具であって、前記一対の挟み付け部はそれぞれ外向きに凸の湾曲した板状に形成され、各挟み付け部の端部には多数の凹凸部が交互に形成され、挟み付け部を閉じたときに、双方の挟み付け部の凹凸部の凹凸がそれぞれ噛み合うように、両凹凸部は半ピッチずらして形成され、
摘みは挟み付け部と別体に形成され、それぞれの摘みは、回転軸線を中心に回転可能にそれぞれの挟み付け部に取り付けられ、摘みは、摘みが挟み付け部の外面に接触又は近接した非作用位置から作用位置である所定の角度の位置までの限られた範囲で回転し、挟み付け部で毛束を挟み付けると共に、摘みが非作用位置又は作用位置のいずれにあるときも、挟み付け部及び摘みの上から毛束を巻き付けて使用可能にするものであり、
双方の挟み付け部の外面には、挟み付け部に巻き付けた頭髪を係止するための面ファスナーがそれぞれ貼着されていることを特徴とするヘアセット用器具。
【請求項2】
毛束を挟み付けるときに閉じられた一対の挟み付け部で構成される形状は、円錐台形、楕円錐台形又は円筒形である請求項1記載のヘアセット用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般女性等が使用するヘアセット用器具であって、特に、頭頂部や後頭部に、頭髪を束ねて巻いたお団子ヘアを作るための土台となる器具に関する。
【背景技術】
【0002】
お団子ヘアを作ることができるヘアセット用器具は、特許文献1に記載されているように既に提案されている。このヘアセット用器具は、合成樹脂発泡材による弾性筒状体であって、その弾性筒状体の一端面から他端面まで切割りを設けた構成である。そして、その使用方法は、まず、手で頭髪を束ね、その根元に頭髪用輪ゴムを巻いて毛束を作る。次に、弾性筒状体の切割りを弾性拡開して、その広がった切割りから毛束を筒孔に挿通させる。次いで、筒孔に挿通されている毛束と、その周囲の挿通されていない頭髪をまとめて束ね、弾性筒状体を土台としてそれらの毛束と頭髪とを筒状体に巻き付けてピンで留め、お団子ヘアを作るのである。ここで、弾性筒状体は合成樹脂発泡材で一体成形されていて、使用時に一定の形態を保持できなければならないから、一定の弾性的強度を有していなければならない。したがって、切割りを弾性拡開したとしても、弾性筒状体は弾性的強度の関係で可撓性が低く、切割りを大きく拡げることはできないし、無理して大きく拡げようとすれば弾性筒状体が破損する虞もある。しかも、その作業は頭頂部又は後頭部において、一方の手の指先で切割りを拡開させながら、他方の手で毛束を掴みつつ行うので手間がかかるのである。仮に、両手を使って切割りを拡開した場合は、毛束の根元は頭髪用輪ゴムで束ねられているが、手で毛束を掴んでいないので、根元から毛先に行くに従って頭髪は自然に広がってしまい、広がった頭髪を狭い切割りから筒孔に挿通させることは困難であり手間がかかるのである。このように、従来のお団子ヘアを作るためのヘアセット用器具は、お団子ヘアを作る前提としての、まとめた毛束を弾性筒状体の筒孔に挿通する作業に非常に手間がかかるのである。
【0003】
また、特許文献2に記載された大径ヘアカーラーは、筒状体に形成され切割りを有しているが、毛束を筒孔に通すものではなく、特許文献1の弾性筒状体と異なり、筒孔の端部から出ている頭髪を筒状体の外面に巻き付けるものではない。すなわち、特許文献1の弾性筒状体は頭部に対して垂直にセットして、その筒状体の周囲に頭髪を巻き付け、頭頂部又は後頭部にお団子ヘアを作るものであるのに対して、特許文献2の大径ヘアカーラーは、頭部に対して横向きに沿わせて、そのヘアカーラーの周囲に頭髪を巻き付け、ドライヤーで頭髪に巻き癖を付けるためのものである。このように、特許文献2の大径ヘアカーラーはお団子ヘアを作るものでなく、特許文献1の弾性筒状体と使用目的が異なる物であるが、特許文献1の弾性筒状体と同じような構成であるために、お団子ヘアを作るための弾性筒状体の代わりとして使用できる可能性を有している。すなわち、大径ヘアカーラーを弾性筒状体と同じように使用して、頭頂部又は後頭部にお団子ヘアを作ることは可能であると言えるが、そうすると、特許文献1の弾性筒状体を使用する場合と同じ理由で、まとめた毛束を筒孔に挿通する作業に手間がかかるのである。また、お団子ヘアは毛束を二重から四重程度巻き付ける必要があるが、特許文献2の大径ヘアカーラーは、特許文献1の弾性筒状体に比べて径が非常に大きいので、毛束を二重に巻き付けることも困難である。したがって、毛束を何重にも巻き付けたお団子ヘアを作るためには、大径ヘアカーラーの径を十分に小さくしなければならない。そうすると、特許文献1の弾性筒状体と全く同じように、毛束を筒孔に挿通する作業に非常に手間がかかるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2742985号公報
【特許文献2】実開平6−66501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、頭頂部や後頭部に毛束を巻いたお団子ヘアを作るためのヘアセット用器具であって、お団子ヘアを作るために毛束をヘアセット用器具の挟み付け部に挟み付ける作業を、容易に行うことができるヘアセット用器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、協働して頭髪の毛束を挟み付ける一対の挟み付け部を有し、該挟み付け部は、閉じる方向に付勢された状態で支軸により開閉回転可能に結合され、且つその閉じられた挟み付け部を開くための摘みを有するヘアクリップ状機構を有しているヘアセット用器具であって、前記一対の挟み付け部はそれぞれ外向きに凸の湾曲した板状に形成され、各挟み付け部の端部には多数の凹凸部が交互に形成され、挟み付け部を閉じたときに、双方の挟み付け部の凹凸部の凹凸がそれぞれ噛み合うように、両凹凸部は半ピッチずらして形成され、摘みは挟み付け部と別体に形成され、それぞれの摘みは、回転軸線を中心に回転可能にそれぞれの挟み付け部に取り付けられ、摘みは、摘みが挟み付け部の外面に接触又は近接した非作用位置から作用位置である所定の角度の位置までの限られた範囲で回転し、挟み付け部で毛束を挟み付けると共に、摘みが非作用位置又は作用位置のいずれにあるときも、挟み付け部及び摘みの上から毛束を巻き付けて使用可能にするものであり、双方の挟み付け部の外面には、挟み付け部に巻き付けた頭髪を係止するための面ファスナーがそれぞれ貼着されている構成である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、毛束を挟み付けるときに閉じられた一対の挟み付け部で構成される形状が、円錐台形、楕円錐台形又は円筒形である構成である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、協働して頭髪の毛束を挟み付ける手段を備えた一対の挟み付け部を有する。一対の挟み付け部であるから、特許文献1と異なり挟み付け部が一体に形成されていないので、挟み付け部を開くときに挟み付け部の弾性を利用して開くものでない。このため、両挟み付け部を大きく開くことができるから、毛束を挟み付け部に挟み付ける作業を、容易に行うことができる。
【0009】
また、一対の挟み付け部が、閉じる方向に付勢された状態で開閉回転可能に結合され、且つその閉じられた挟み付け部を開くための摘みを有している。この構成が、ヘアクリップ状機構である。したがって、両挟み付け部を大きく開くことが可能であり、毛束を両挟み付け部の間に容易に挿し入れることができる。また、両挟み付け部が閉じる方向に付勢されているので、一方の手でヘアセット用器具の摘みを持って両挟み付け部を開き、他方の手で毛束を持って、開かれた両挟み付け部の間に差し入れ、次いで摘みに加えている力を抜けば自動的に挟み付け部が閉じるので、作業を容易に行うことができる。
【0010】
また、摘みが、挟み付け部と別体に形成され、それぞれの摘みは、挟み付け部を開くための作用位置と、作用位置にある摘みによる嵩張りを低減する非作用位置とを取ることができるように、それぞれの挟み付け部に可動に結合されている。摘みが、挟み付け部を開くための作用位置にあるときは、挟み付け部から突出するので、突出した分だけ嵩張ってしまうのである。そこで、不使用時には、挟み付け部による嵩張りを低減する非作用位置に置くことができる構成とすることにより、化粧用具入れ等に保管するときに嵩張らないという効果を奏する。
【0011】
さらに、摘みが挟み付け部と別体に形成され、それぞれの摘みは、回転軸線を中心に回転可能にそれぞれの挟み付け部に取り付けられ、摘みの回転範囲は、摘みが挟み付け部の外面に接触又は近接した非作用位置から作用位置である所定の角度の位置までの限られた範囲である。摘みの回転範囲が限定されない場合は、回転させた摘み同士が衝突したりして摘みが梃子の作用をなさないから、摘みによって挟み付け部を開くことができない。そこで、摘みの回転範囲を限定することにより、摘みに加えた力を挟み付け部に伝えて挟み付け部を確実に開くことができるのである。
【0012】
請求項2記載の発明は、毛束を挟み付けるときに閉じられた一対の挟み付け部で構成される形状が、円錐台形、楕円錐台形又は円筒形である。円錐台又は楕円錐台は、共に、大径の端面と小径の端面を有している。そこで、毛束を挟み付けるときに、挟み付け部の小径の端面が毛束の根元側に、大径の端面が毛束の毛先側に位置するようにして毛束を挟み付けると、挟み付け部は根元側から毛先側に行くに従って徐々に太くなり、挟み付け部の外面は徐々に広がることになる。これにより、挟み付け部の外面に毛束を巻き付けたときに、徐々に広がる挟み付け部の外面が、毛束方向と垂直の方向に広がろうとする頭髪を押さえるので、頭髪が挟み付け部の大径の端部からはみ出ることがなく、頭髪の巻き崩れを防ぐことができる。仮に、一対の挟み付け部で構成される形状が円筒形であるときは、その挟み付け部の外面に巻き付けられた毛束が、毛束方向と垂直の方向に広がって、その一部が挟み付け部の端部からはみ出し、巻き崩れを生じる虞があるのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】摘みを開いた状態の斜視図である。
図2】大径の端面側から見た正面図である。
図3】摘みを閉じた状態の斜視図である。
図4】摘みを閉じた状態の側面図である。
図5】本発明のヘアセット用器具を頭髪の毛束に取り付けるときの状態図である。
図6】本発明のヘアセット用器具の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ヘアセット用器具1は、湾曲した板状に形成された一対の挟み付け部2,3を有する。図3に示すように、双方の挟み付け部2,3には、それらの外面から突出した軸受部4,5,6,7が形成されており、それらの軸受部に支軸8が挿通されている。これにより、双方の挟み付け部2,3は支軸8を中心に回転可能に結合されている。また、双方の挟み付け部2,3を常時、閉じる方向に付勢するためのトーションばね9が、支軸8に設けられている。トーションばね9の両ばね端が、挟み付け部2,3を閉じる方向に付勢している。閉じられた挟み付け部2,3は、図3及び図4から明らかなように、楕円錐台形をなしている。また、図1に示すように、挟み付け部2,3の表面には、弾性を有する合成繊維製のフック状の素材から成る多数のフック部35,36を有する面ファスナー20,21が貼着されている。なお、フック部35,36の詳細な形状については省略してある。
【0015】
双方の挟み付け部2,3にはそれぞれ摘み10,11が取り付けられている。図3に示すように、摘み10の基部12は段差をつけて幅狭に形成され、その基部12が軸受部4,5の間に取り付けられる。摘み10の基部12の両側面13,14には、それぞれジャーナル軸15(他方は図示せず。)が形成され、軸受部4,5にジャーナル結合されている。これにより、摘み10は、ジャーナル軸15を中心に回転可能である。他方の摘み11の基部16の両側面17,18にもジャーナル軸19(他方は図示せず。)が形成され、軸受部6,7にジャーナル結合されている。これにより、摘み11も、ジャーナル軸19を中心に回転可能である。
【0016】
摘み10,11はそれぞれ湾曲した板状に形成され、図3に示すように、摘み10,11を閉じたときに、摘み10,11の内面が、面ファスナー20,21を含む挟み付け部2,3の外面にほぼ全面的に当接する。これは、摘み10,11の湾曲の曲率と、挟み付け部2,3の湾曲の曲率とがほぼ等しくなるように形成されているためである。ヘアセット用器具1の不使用時に、摘み10,11を閉じることにより、摘み10,11によるヘアセット用器具1の嵩張りを低減することができ、化粧用具入れ等に保管するときに嵩張らない。
【0017】
前述したように、摘み10の基部12は段差をつけて幅狭に形成され、その基部12が軸受部4,5の間に取り付けられている。基部12が段差をつけて幅狭に形成されることにより、図3に示すように、ストッパー面22,23が形成される。これにより、摘み10を開いていくと、ストッパー面22,23が軸受部4,5の上面に突き当たるので、摘み10はジャーナル軸15を中心にそれ以上回転することができない。すなわち、図1に示す位置まで摘み10を開くと、その位置で摘み10の回転は規制される。他方の摘み11も同様に、図1に示す位置で回転は規制される。これにより、回転が規制された双方の摘み10,11をさらに回転方向に押圧すると、摘み10,11は梃子として作用し、挟み付け部2,3を支軸8を中心に回転させ、トーションばね9の付勢力に抗して挟み付け部2,3を開かせる。
【0018】
摘み10の端縁24は直線状をなし、そこに4つの凹部25が形成されている。他方の摘み11も同様である。凹部25は、摘み10,11を開いたヘアセット用器具1に巻き付けた頭髪が、摘み10の端縁24上で毛束の幅方向に散ることを防止し、頭髪をしっかりまとめて綺麗なお団子ヘアを作るためのものであり、他方の摘み11も同様である。すなわち、お団子ヘアを作るときに、頭髪を挟み付け部2,3に巻き付けるのであるが、その場合、摘み10,11を閉じて行うこともできるし、開いて行うこともできる。摘み10,11を開いて頭髪を巻き付けるときは、頭髪が摘み10,11の端縁24の上にも巻き付けられるが、その端縁24が一直線状であるときは、頭髪が端縁24上を滑って幅方向に散る虞がある。そこで、凹部25を形成することにより凹部25に頭髪が入り込むので、頭髪が散ることを防止し、頭髪をしっかりまとめて綺麗なお団子ヘアを作ることができるのである。さらに、凹部25は指掛りとなり滑り止めとして作用する。また、挟み付け部2,3の内面には、それぞれ多数の突起26,27が形成されている。この突起26,27が、挟み付けた毛束の中に差し込まれることにより、毛束を巻き付けたヘアセット用器具1が毛束の方向に滑ることを防止することができる。さらに、図3に示すように、挟み付け部2の端部には多数の凹凸部28が交互に形成され、他方の挟み付け部3の端部にも多数の凹凸部29が形成されている。そして、挟み付け部2,3を閉じたときに、双方の挟み付け部2,3の凹凸部28,29の凹凸が噛み合うように、凹凸部28と凹凸部29は半ピッチずらして形成されている。これにより、挟み付け部2,3の端部の接触部は波状の曲線となるから、挟み付け部2,3の端部の隙間から、挟み付けた頭髪が抜け出ることを防止することができる。すなわち、挟み付け部2,3の端部が直線状であるときは、その直線の接触部の一部に隙間が生じることがあり、頭髪が抜け出す虞があるのである。
【0019】
次に、ヘアセット用器具1の使用方法について説明する。ヘアセット用器具1を用いてお団子ヘア30を作るときは、図5に示すように、まず、頭髪を束ね、その根元に頭髪用輪ゴム31を巻いて毛束32を作る。次いで、挟み付け部2,3の小径の端面33が毛束の根元側に、大径の端面34が毛束32の毛先側に位置するようにしてから、作用位置に開いた摘み10,11を一方の手の指先で摘んで挟み付け部2,3を大きく開き、他方の手で毛束32をつかんで支え、その毛束32の根元を挟み付け部2,3で挟み付ける。次いで、摘み10,11を開いたままの状態で、図6に示すように毛束32を挟み付け部2,3及び開いた摘み10,11の上から巻き付ける。最後に、ヘアピンなどで毛束32の先端部を留めてお団子ヘア30を作る作業が完了する。摘み10,11が開いているので、お団子ヘア30のボリュームをアップさせることができる。また、作用位置にある摘み10,11を閉じてから毛束32を巻き付けてお団子ヘア30を作ることもできる。この場合は、摘み10,11を閉じることにより、ヘアセット用器具1の嵩張りが低減されるので、お団子ヘア30のボリュームもやや小さくなる。また、毛束の長さが長めのときは、摘み10,11を閉じて、お団子ヘアが大きくなり過ぎないようにすることもできる。なお、毛束32を作るときに頭髪用輪ゴム31を用いずに、頭髪を手でまとめながら挟み付け部2,3で頭髪を挟み付けてもよい。
【0020】
次に、本実施態様のサイズについて説明する。図4に示したヘアセット用器具1の横方向の長さ、すなわち全長は約30mmである。また、図2で示す挟み付け部2,3の大径の楕円形端面の長軸の長さは約39mmであり、短軸の長さは約32mmである。また、反対側の小径の楕円形端面の長軸の長さは約30mmであり、短軸の長さは23mmである。サイズは以上の通りであるが、本発明がこれらの数値に限定されないことは勿論である。
【0021】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、摘み10,11の表面にも面ファスナーを貼着してもよい。また、面ファスナー20,21は、挟み付け部2,3の一方にのみ設けるものであってもよい。毛束を挟み付けるときに閉じられた一対の挟み付け部2,3で構成される形状は、円錐台形又は楕円錐台形以外でもよく、例えば円筒形などでもよいことは勿論である。また、ヘアセット用器具1の色彩については、髪の色に合わせて使用できるように、例えば黒色や茶色に着色したものも用意される。これによりヘアセット用器具1を目立たなくすることができる。また、本実施形態の面ファスナー20,21のフック部35,36の高さは比較的低く形成されているが、図2で見て、挟み付け部2,3の最も外側の縁部からやや突出する程度の高さとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
一対の挟み付け部の少なくとも一方の挟み付け部の外面に、頭髪が係止可能な頭髪係止部を設けることにより、お団子ヘアを作るために毛束をその挟み付け部に挟み付ける作業と毛束を巻き付ける作業とを、容易に行うことができるヘアセット用器具を提供することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ヘアセット用器具、 2 挟み付け部、 3 挟み付け部、 4 軸受部、 5 軸受部、 6 軸受部、 7 軸受部、 8 支軸、 9 トーションばね、 10 摘み、 11 摘み、 12 基部、 13 側面、 14 側面、 15 ジャーナル軸、 16 基部、 17 側面、 18 側面、 19 ジャーナル軸、 20 面ファスナー、 21 面ファスナー、 22 ストッパー面、 23 ストッパー面、 24 端縁、 25 凹部、 26 突起、 27 突起、 28 凹凸部、 29 凹凸部、 30 お団子ヘア、 31 頭髪用ゴム、 32 毛束、 33 小径の端面、 34 大径の端面、 35 フック部、 36 フック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6