【実施例】
【0024】
つぎに本発明の実施例による印字装置における印字用紙の装填位置合わせ構造および装填位置合わせ方法について、印字装置としてラベルプリンター1に応用した構成を例に取って
図1ないし
図5にもとづき説明する。
図1は、ラベルプリンター1の正面図であって、ラベルプリンター1は、中央本体ユニット2(装置本体)を有し、中央本体ユニット2の一方の側面(正面)側に位置して印字部3を設けている。
【0025】
中央本体ユニット2には、当該ラベルプリンター1をたとえばラベル貼付け機(図示せず)に取り付けるための取付け部4を設けている。
この取付け部4は、任意の構成を選択することができるが、図示の例では、たとえば、中央本体ユニット2の周縁部にこれを設けており、さらに具体的には、中央本体ユニット2の周縁部に形成した複数個(たとえば、5個)の取付け孔(上方中央取付け孔4A、上方左端取付け孔4B、上方右端取付け孔4C、下方左端取付け孔4D、下方右端取付け孔4E)である。
【0026】
印字部3は、印字用紙(たとえば、ラベル連続体5)に印字を行う。
印字部3は、ラベル連続体5の導入口6から排出口7までの間の移送路8においてラベル連続体5に所定の情報を印字可能である。
ラベル連続体5は、とくに
図1において、その断面図を拡大して示すように、帯状の台紙9と、台紙9の上に仮着した複数枚のラベル片10と、を有し、台紙9の裏面側にあらかじめ位置検出用マーク(図示せず)を印刷してある。
【0027】
印字部3は、移送路8の上流側(
図1中、左側)から、幅規制用シャフト11と、上下一対の補助移送駆動ローラー12および補助移送従動ローラー13と、位置検出用センサー14と、移送方向一対のガイドローラー15と、台紙引っ張りローラー16およびローレットローラー17と、プラテンローラー18と、サーマルヘッド19と、剥離板20(プレート部材)と、熱転写インクリボン21のリボン供給軸22およびリボン巻取り軸23と、を有する。
補助移送従動ローラー13および位置検出用センサー14を移送路8に対して、またサーマルヘッド19をプラテンローラー18に対して開放してラベル連続体5を移送路8に沿って装填可能である(
図2を参照)。
【0028】
幅規制用シャフト11には、とくに
図1中奥側(ラベル連続体5の移送方向左側)の第1の幅規制固定用壁部24と、
図1中手前側(ラベル連続体5の移送方向右側)の幅規制可動リング25と、を設けてあり、第1の幅規制固定用壁部24および幅規制可動リング25、さらにはプラテンローラー18のやや上流側の第2の幅規制固定用壁部26により、ラベル連続体5の左右両縁部を規制して移送路8に沿ってラベル連続体5の移送姿勢を適正に規制可能としている。
なお、ラベル連続体5を移送路に装填セットする作業自体には、後述する剥離板20の円形状の凹部40(装填位置合わせ用目印、
図2)も利用する。
【0029】
一対の補助移送駆動ローラー12および補助移送従動ローラー13は、プラテンローラー18と同期して、プラテンローラー18およびサーマルヘッド19によるラベル連続体5の正逆方向(下流側への正移送方向、および上流側への逆移送方向)の移送の補助を行う。
【0030】
位置検出用センサー14は、ラベル連続体5の台紙9の裏面側の上記位置検出用マーク(図示せず)を検出して、ラベル連続体5のプラテンローラー18ないしサーマルヘッド19との相対位置関係を検出可能とする。
【0031】
台紙引っ張りローラー16およびローレットローラー17は、剥離板20の部分で転向されたラベル連続体5の台紙9を後方(上流側、
図1中、左方向)に送り、台紙ガイドローラー27を経て、当該ラベルプリンター1とは別構成の台紙巻取り軸(図示せず)に巻き取り可能とする。
【0032】
プラテンローラー18は、サーマルヘッド19との間にラベル連続体5および熱転写インクリボン21を、押圧スプリング28による所定印字圧で挟持し、さらにサーマルヘッド19への印字データ供給とともにプラテンローラー18の回転駆動により、ラベル連続体5(ラベル片10)上に所定情報を印字する。
【0033】
なお、リボン供給軸22からの熱転写インクリボン21は、第1のリボンガイドローラー29を経て、プラテンローラー18およびサーマルヘッド19の間に供給され、第2のリボンガイドローラー30を経てリボン巻取り軸23に巻き取られる。
【0034】
図2は、印字部3において、補助移送駆動ローラー12、位置検出用センサー14およびサーマルヘッド19部分を開放した状態を示す斜視図である。
図2に示すように、補助移送従動ローラー13は、位置検出用センサー14の一方の発光部あるいは受光部とともに、センサーブロック31にこれを取り付けてあり、センサーブロック31を中央本体ユニット2に対して上方回動し、移送路8上方を開放可能としてある。
さらに、プラテンローラー18に対するサーマルヘッド19の開放とともに、移送路8内にラベル連続体5を装填可能としている。すなわち、開閉レバー32を図中時計方向に回動操作することによりプラテンローラー18とサーマルヘッド19との間を離間させることができ、その間にラベル連続体5および熱転写インクリボン21を装填挟持可能である。
開閉レバー32を反時計方向に回動操作するとともに、その先端部をレバー係合ピン33に係合することにより、
図1に示す印字態勢にセットすることができる。
【0035】
またセンサーブロック31は、その先端部に形成した一対の係合爪34を一対の係合溝35にそれぞれ係合することにより、ラベル連続体5を補助移送駆動ローラー12および補助移送従動ローラー13さらに位置検出用センサー14の部分に装填可能である。
【0036】
剥離板20(プレート部材)は、サーマルヘッド19およびプラテンローラー18より下流側(すなわち、印字部3において最下流側)に位置しており、その先端部においてラベル連続体5の台紙9のみを転向させることにより台紙9からラベル片10を剥離して、ラベルプリンター1外に排出発行することができる。発行されたラベル片10は、たとえばラベル貼付け機により被貼付け物(ともに図示せず)に貼り付けられる。
【0037】
なお、とくに
図1に示すように、中央本体ユニット2の上部に位置して、電源スイッチ36、各種の操作キーを備えた操作部37、および液晶ディスプレイなどによる表示部38を設けてある。
【0038】
図3は、ラベルプリンター1の移送路8におけるラベル連続体5(印字用紙)の装填位置合わせ構造39の平面図である。
装填位置合わせ構造39は、ラベル連続体5の移送路8に沿って設けた、上述の最上流側に位置する第1の幅規制固定用壁部24および下流側(ただしプラテンローラー18より上流側)に位置する第2の幅規制固定用壁部26と、印字部3の最下流側に位置している剥離板20(プレート部材)と、を有する。
【0039】
第1の幅規制固定用壁部24および第2の幅規制固定用壁部26は、ラベル連続体5の幅方向における一方の用紙端縁部5Aを規制可能である。
【0040】
剥離板20は、ラベル連続体5の幅方向にわたっており、とくに
図3にその要部を拡大して示すように、剥離板20には、幅規制固定用壁部(第1の幅規制固定用壁部24、第2の幅規制固定用壁部26)に沿った状態にラベル連続体5をセットするための円形状の凹部40(装填位置合わせ用目印)を視認可能、かつ十分な位置合わせ正確性を確保可能な大きさで設けている。
【0041】
具体的には、円形状の凹部40は、ラベル連続体5の幅方向における一方の用紙端縁部5Aを、たとえばその中心に合わせることにより、第1の幅規制固定用壁部24および第2の幅規制固定用壁部26に沿ってラベル連続体5をその移送方向に直交する姿勢に装填位置合わせすることができるように位置している。
【0042】
第1の幅規制固定用壁部24が設けられている幅規制用シャフト11には、ラベル連続体5の幅方向に移動調整可能であるとともに、ラベル連続体5の幅方向における他の用紙端縁部5Bを規制可能な前記幅規制可動リング25を設けている。
【0043】
こうした構成の装填位置合わせ構造39においては、ラベル連続体5の移送路8において設けた第1の幅規制固定用壁部24および第2の幅規制固定用壁部26に当接するようにラベル連続体5の一方の用紙端縁部5Aを沿わせるとともに、剥離板20に設けた円形状の凹部40の中心にラベル連続体5の一方の用紙端縁部5Aを合わせて、第1の幅規制固定用壁部24および第2の幅規制固定用壁部26に沿った状態にラベル連続体5をセットする。
【0044】
さらに、幅規制用シャフト11において、幅規制可動リング25をラベル連続体5の幅方向に移動調整することにより、ラベル連続体5の幅方向における他の用紙端縁部5Bを規制し、ラベル連続体5の左右両側の端縁部5A、5Bを移送路8内に適正に位置させた状態で装填し、移送路8内での移送にともなうラベル連続体5の蛇行を確実に防止することができる。
【0045】
剥離板20に形成した凹部40は、その加工が容易であるとともに、円形状であるため、この部分に応力が集中することがなく、剥離板20を細幅状のプレート部材として構成しても、所定の機械的強度を確保可能である。
【0046】
また、最上流側の第1の幅規制固定用壁部24と最下流側の剥離板20の円形状の凹部40との間で、移送路8内で最長の長さにわたってラベル連続体5を位置合わせしているので、より正確かつ容易にラベル連続体5の位置合わせを行うことができる。
しかも、円形状の凹部40は、印字部3におけるプラテンローラー18およびサーマルヘッド19など他の機構ないし部品に遮られることなく、作業者が視認可能であり、装填位置合わせ作業を容易に実行可能である。
【0047】
なお本発明においては、プレート部材(たとえば剥離板20)に設ける装填位置合わせ用目印は、凹部40の代わりに凸部を形成したり、目盛りの形成や色付けの構成、その他、任意の形態ないし構成を採用可能である。
たとえば、
図4は、装填位置合わせ用目印の変形例を示す要部拡大断面図であって、
図4(1)は、剥離板20に円形状の貫通孔41を視認可能に貫通して形成した状態を示し、
図4(2)は、剥離板20の表裏面にそれぞれ円形状の凹部40を視認可能に形成した状態を示している。
【0048】
こうした構成の円形状の貫通孔41および円形状の凹部40を剥離板20に形成した場合であっても、剥離板20の表面および裏面のいずれに印字用紙を装填位置合わせする際にも、当該貫通孔41および凹部40を目印にすることができる。
すなわち、ラベルプリンター1(印字装置)全体を中央本体ユニット2において、ラベル貼付け機に対して任意の姿勢で取り付けた場合にも、対応が可能である。
【0049】
たとえば
図5は、コンベア42上を搬送される被貼付け物43の底面にラベル片10を貼り付けるラベル貼付け機44の概略側面図であって、ラベルプリンター1の姿勢を倒置して用いる場合に、
図4(1)のような円形状の貫通孔41、あるいは
図4(2)のような円形状の凹部40の位置を剥離板20の裏側から視認可能で、ラベル連続体5を装填位置合わせすることができる。
ラベルプリンター1により印字済みのラベル片10を、ラベル貼付け機44の貼付けローラー45あるいは貼付け吸盤46により、被貼付け物43の底面に貼り付けることができる。
【0050】
さらに本発明においては、印字用紙として、台紙9付きのラベル連続体5以外にも、台紙なしラベル、あるいは糊面を持たないタグ用紙などを選択することもできる。台紙なしラベルを装填する際には、プレート部材を剥離板として使用することなく、その表面に剥離性処理(非粘着処理)を施す。
かくして、台紙なしラベルやタグなど剥離板20の部分で転向する必要がない印字用紙であっても、円形状の凹部40あるいは貫通孔41の部分で印字用紙の一方の端縁部を位置合わせすることができる。