(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362275
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】屋根開口部の開閉装置
(51)【国際特許分類】
E04B 7/16 20060101AFI20180712BHJP
E04B 1/32 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
E04B7/16 A
E04B1/32 102J
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-250355(P2015-250355)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-115372(P2017-115372A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】391060524
【氏名又は名称】有限会社手島通商
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(72)【発明者】
【氏名】手島 浩光
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−082131(JP,A)
【文献】
実開平04−021616(JP,U)
【文献】
実開昭57−174609(JP,U)
【文献】
米国特許第03552072(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/16
E04B 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物に形成された屋根開口部の開口端に沿って配置したガイドレールに、複数枚の重ねた状態のパネルの端部を走行可能に嵌装させて前記各パネルを前記屋根開口部に架設するとともに、前記重ねた各パネルを前記ガイドレールに沿ってスライドさせて展開、収束させることで前記屋根開口部を開閉可能とした屋根開口部の開閉装置であって、
前記重ねた各パネルの内で上下方向に接するパネル間にそれらのパネル同士を上下方向に連結させる連結構造を有し、当該連結構造が連結状態のまま少なくとも一方のパネルが前記ガイドレールに沿って所定の距離だけスライド可能であり、
前記上下方向に接するパネルをスライド可能に上下方向に連結する連結構造が、前記上下方向に接するパネルの対向位置にそれぞれ形成された一対の係止溝孔と前記各係止溝孔間に嵌挿される連結具とからなり、前記一対の係止溝孔は連結する上下のパネルの対向面側に開口した幅狭溝孔と当該幅狭溝孔に厚み方向に連設される前記幅狭溝孔よりも幅広の幅広溝孔とからなる二段溝孔で上側が断面T字形で下側が断面逆T字形であるとともに前記パネルのスライド方向に延びる長溝孔に形成され、また前記連結具は軸部とその両端に頭部を有する断面I字形で、前記連結具の軸部が前記上下に接するパネルの対向面間において連通している前記一対の係止溝孔の各幅狭溝孔に移動可能に嵌挿されるとともに軸部の両端の頭部が前記一対の係止溝孔の各幅広溝孔に移動可能に嵌挿されることにより前記上下方向に接するパネルが相互に所定の距離だけスライド可能な状態で連結されることを特徴とする屋根開口部の開閉装置。
【請求項2】
建造物に形成された屋根開口部の開口端に沿って配置したガイドレールに、複数枚の重ねた状態のパネルの端部を走行可能に嵌装させて前記各パネルを前記屋根開口部に架設するとともに、前記重ねた各パネルを前記ガイドレールに沿ってスライドさせて展開、収束させることで前記屋根開口部を開閉可能とした屋根開口部の開閉装置であって、
前記重ねた各パネルの内で上下方向に接するパネル間にそれらのパネル同士を上下方向に連結させる連結構造を有し、当該連結構造が連結状態のまま少なくとも一方のパネルが前記ガイドレールに沿って所定の距離だけスライド可能であり、
前記上下方向に接するパネルをスライド可能に上下方向に連結する連結構造が、前記上下方向に接するパネルの対向位置にそれぞれ形成された係止溝孔および係止通孔と、前記係止溝孔と係止通孔間に嵌挿される連結具とからなり、前記係止溝孔は連結する上下のパネルの対向面側に開口した幅狭溝孔と当該幅狭溝孔に厚み方向に連設される前記幅狭溝孔よりも幅広の幅広溝孔とからなる断面T字形の二段溝孔であるとともに前記パネルのスライド方向に延びる長溝孔に形成され、前記係止通孔はもう一方のパネルの対向面側に開口した小孔部と当該小孔部に厚み方向に連設される前記小孔部よりも幅広の大孔部からなる二段通孔に形成され、また前記連結具は軸部とその両端に頭部を有する断面I字形で、前記連結具の軸部が前記上下に接するパネルの対向面間において連通している前記係止溝孔の幅狭溝孔と前記係止通孔の小孔部に嵌挿されるとともに軸部の一端に形成した頭部が前記係止溝孔の幅広溝孔に嵌挿され軸部のもう一端に形成した頭部が前記係止通孔の大孔部に嵌挿されることにより前記上下方向に接するパネルが所定の距離だけスライド可能な状態で連結されることを特徴とする屋根開口部の開閉装置。
【請求項3】
前記各パネルの内で少なくとも1枚のパネルに前記ガイドレールに沿って移動させるための駆動装置が備えられていることを特徴とする請求項1または2記載の屋根開口部の開閉装置。
【請求項4】
前記パネルの上面または下面における前記パネルのスライド方向の外周辺のうち少なくとも一方に、下方または上方に向けて立設したブラシ部材が備えられていることを特徴とする請求項1,2または3記載の屋根開口部の開閉装置。
【請求項5】
前記パネルの上面または下面に、当該上面または下面から一部が露出するように保護ローラーが設けられていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の屋根開口部の開閉装置。
【請求項6】
前記パネルがその一部を薄く形成した軽量化部分が形成されていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の屋根開口部の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば季節、天候、日中と夜間、スポーツ競技と公演などのように環境或いは使用目的などに応じて開閉可能とした屋根開口部の開閉装置、殊に、競技場とイベント会場などを兼ねる大型の建造物の屋根に形成された開口部を開閉する場合に適した屋根開口部の開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、陸上競技場、野球場、屋内イベント会場などの大型の建造物において、季節、天候、使用目的などに応じて屋根に形成した開口部を開閉する開閉装置を備えたものが知られており、その開閉装置として例えば、特公平4−54028号公報(特許文献1)などに提示されているような折りたたみ式の開閉装置或いは特開平8−53956号公報(特許文献2)に提示されているような巻き込み式の開閉装置などが知られている。
【0003】
ところが、前記従来の大型建造物に用いられる開閉装置は、広大な開口部を開閉することから幅広の開閉部材が必要であり、このような幅広の開閉部材を折り畳み、または巻き取るには開閉部材の素材として例えば布のような軽量なものを使用せざるを得ず耐久性や風雨などに対する耐候性、特に日中における遮蔽性が劣るなどの問題がある。
【0004】
また、巻き取った開閉部材を屋根に形成した開口端部に保持させておくスペースが必要であるとともに屋内に前記スペースを配置する場合には美観が優れず、保守や修理も容易でないという問題もある。
【0005】
そこで、競技場のような大型の屋根開口部開閉にも対応可能な開閉装置として例えば特開2004−3298号公報(特許文献3)、特開平5−302393号公報(特許文献4)に提示されているように屋根開口部に複数のパネルを展開、収束するようにスライド可能に配置することにより屋根に形成した屋根開口部を開閉する開閉装置が提示されている。
【0006】
これらの開閉装置の内で、例えば特許文献4に記載の屋根開口部の開閉装置1aは、
図15に示したように、互いに重ねた複数枚のパネル2aの両端21a,21aを、屋根3aに形成した開口部4aの対向する開口端41a,41aに形成したガイドレール5a,5aに走行可能に嵌装してこれらのパネル2aをガイドレール5a,5aに沿ってスライドさせることで重ねたパネル2a・・ ・・2aを展開或いは収束させることにより前記屋根3aに形成した開口部4aを開閉するものである。
【0007】
このような開閉装置1aは、上下方向に重ねた例えば軽金属や合成樹脂により形成される薄板状の複数のパネル2a・・ ・・2aを展開、収束させて屋根開口部4aを開閉するものであり、前述の屋根開口部全体を覆う1つの広大な開閉部材を折り畳み或いは巻き取って開閉する方式のような開閉部材全体を一体として開閉させるような摩擦抵抗がなく、円滑な開閉が可能であって大型の駆動装置も不要である。
【0008】
ところが、前記従来のパネル2aを用いた屋根開口部の開閉装置は、各パネル2aがそれ自身で屋根開口部の開口端に架設した状態で屋根の形状を保持する構造であり、また、風などの影響を避けるためもあって、パネル自身の強度を必要とし、特に大型の建造物において広大な屋根開口部に設置するにはパネルの厚みを増す、補強部材を付加するなどの強度を増すための手段が必要であり、パネルの加工の手間、重量の増加、価格上昇、更には、屋根開口部に大きな荷重が掛かることによる補強の必要性があり、加えて、パネルの重量増加により駆動力の大きな駆動装置が必要となるなどの問題が生じる。
【0009】
尚、
図16に示したように複数のパネル2aを互いに開閉方向に順次連結する開閉装置が例えば特開平7−286485号公報(特許文献5)に提示されているが、互いに上下方向に重なり合うパネル2a同士を上下方向に連結するものでなく、各パネル2aはそれぞれ個別に設置された補強手段を要するものであり、パネル2aを展開したときに全体として荷重強度を増すものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平4−54028号公報
【特許文献2】特開平8−53956号公報
【特許文献3】特開2004−3298号公報
【特許文献4】特開平5−302393号公報
【特許文献5】特開平7−286485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は広範囲な開口部を有する建造物の屋根に採用可能で、簡易な構造で、軽量であることから最小限の動力でかつ円滑で静かに安定した方法で開閉可能であるばかりか展開した場合にも強風にも耐えて安全な屋根開口部の開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するためになされた本発明である屋根開口部の開閉装置は、建造物に形成された屋根開口部の開口端に沿って配置したガイドレールに、複数枚の重ねた状態のパネルの端部を走行可能に嵌装させて前記各パネルを前記屋根開口部に架設するとともに、前記重ねた各パネルを前記ガイドレールに沿ってスライドさせて展開、収束させることで前記屋根開口部を開閉可能とした屋根開口部の開閉装置であって、前記重ねた各パネルの内で上下方向に接するパネル間にそれらのパネル同士を上下方向に連結させる連結構造を有し、当該連結構造が連結状態のまま少なくとも一方のパネルが前記ガイドレールに沿って所定の距離だけスライド可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、屋根開口部を開口する手段として上下方向に重ねた複数のパネルを展開ならびに収束状態を含めて常時上下方向に連結させた状態にしておくことにより開閉操作を容易に行えるとともに重ねた各パネルを一体化して全体として十分な強度を発揮することができ、各パネルの厚みを減して軽量化を図ることにより大きな駆動力を必要とせず、殊に、展開した場合を含めて各パネルが一体化して落下物や強風などにも対処することができ、きわめて安全でもある。
【0014】
本発明において、前記上下方向に接するパネルをスライド可能に上下方向に連結する連結構造が、前記上下方向に接するパネルの対向位置にそれぞれ形成された一対の係止溝孔と前記各係止溝孔間に嵌挿される連結具とからなり、前記一対の係止溝孔は連結する上下のパネルの対向面側に開口した幅狭溝孔と当該幅狭溝孔に厚み方向に連設される前記幅狭溝孔よりも幅広の幅広溝孔とからなる二段溝孔で上側が断面T字形で下側が断面逆T字形であるとともに前記パネルのスライド方向に延びる長溝孔に形成され、また前記連結具は軸部とその両端に頭部を有する断面I字形で、前記連結具の軸部が前記上下に接するパネルの対向面間において連通している前記一対の係止溝孔の各幅狭溝孔に移動可能に嵌挿されるとともに軸部の両端の頭部が前記一対の係止溝孔の各幅広溝孔に移動可能に嵌挿されることにより前記上下方向に接するパネルが相互に所定の距離だけスライド可能な状態で連結される構成とすることにより、本発明を容易且つ確実に実施することが可能であるとともに殊にパネルを薄く形成することが可能である。
【0015】
また、前記上下方向に接するパネルをスライド可能に上下方向に連結する連結構造を、前記上下方向に接するパネルの対向位置にそれぞれ形成された係止溝孔および係止通孔と、前記係止溝孔と係止通孔間に嵌挿される連結具とからなり、前記係止溝孔は連結する上下のパネルの対向面側に開口した幅狭溝孔と当該幅狭溝孔に厚み方向に連設される前記幅狭溝孔よりも幅広の幅広溝孔とからなる断面T字形の二段溝孔であるとともに前記パネルのスライド方向に延びる長溝孔に形成され、前記係止通孔はもう一方のパネルの対向面側に開口した小孔部と当該小孔部に厚み方向に連設される前記小孔部よりも幅広の大孔部からなる二段通孔に形成され、また前記連結具は軸部とその両端に頭部を有する断面I字形で、前記連結具の軸部が前記上下に接するパネルの対向面間において連通している前記係止溝孔の幅狭溝孔と前記係止通孔の小孔部に嵌挿されるとともに軸部の一端に形成した頭部が前記係止溝孔の幅広溝孔に嵌挿され軸部のもう一端に形成した頭部が前記係止通孔の大孔部に嵌挿されることにより前記上下方向に接するパネルが所定の距離だけスライド可能な状態で連結される構成とすることにより更にパネルの強度を増すことならびに加工を簡単にすることも可能である。
【0016】
更にまた、本発明において、前記パネルの上面または下面における前記パネルのスライド方向の外周辺のうち少なくとも一方に、下方または上方に向けて立設したブラシ部材が備えられている構成とすることにより、パネル間に形成される隙間からの雨水、塵埃、風などの屋内への進入を阻止することができる。
【0017】
加えて、本発明において、前記パネルの前記ガイドレールに嵌装される端面に下面から一部が露出するように設けられた保護ローラーを備えることにより各パネルをより軽快に少ない駆動力でガイドレールに沿ってスライドさせることができる。
【0018】
また、本発明において、前記パネルの一部を薄く形成して軽量化部分を有する場合には、更に軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のパネルを展開、収束した際に上下方向に連結して一体化することが可能であり、全体としての強度が増して個々のパネルを薄く全体として軽量化を図ることにより広範な屋根開口部にも適用でき、強風や落下物などにも対処できるばかりか独立したパネルの落下による損害も生じないので安全であり、簡易な構造で、最小限の動力でかつ円滑で静かに、安定した方法で伸縮開閉して使用可能な建物の開閉式屋根を提供できる。また、駆動装置の設置を考慮することにより、開口部の範囲ならびに開口位置を任意に選択することも可能である。更に、パネルおよび連結具のいずれかの部品が破損した際に容易に修復することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を使用した競技場の好ましい実施の形態を示す屋根開口部を開放した状態を示す平面図。
【
図3】
図1に示した競技場の屋根開口部を閉成した状態を示す平面図。
【
図6】
図1に示した実施の形態におけるパネル端部のガイドレールへの嵌挿部分を示す拡大部分斜視図。
【
図7】
図1に示した実施の形態における対向するパネルを連結する連結構造を示す説明図。
【
図8】
図1に示した実施の形態における重ねたパネルに形成される係止溝孔部分を示す拡大断面部分図。
【
図10】(a)は
図1に示した実施の形態における重ねたパネルの断面部分図であり(b)は比較例を示す。
【
図11】
図1に示した実施の形態におけるパネルの駆動手段を示す説明図。
【
図12】
図1に示した実施の形態におけるパネルの駆動手段を示す異なる説明図。
【
図13】本発明の異なる実施の形態を示す部分拡大断面図。
【
図14】本発明の更に異なる実施の形態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1乃至
図12は本発明を例えば競技場、各種イベントなどの多目的に使用可能な大型の建造物1について実施した場合の実施の形態を示すものであり、建造物1の屋根11に形成された屋根開口部12の中央から両端に開閉する一対の開閉装置2Aおよび2Bにより構成されるが、これらの開閉装置2Aおよび2Bは同一構成で互いに開閉方向に対向させて配置されるものであり、ここでは主として一方の開閉装置2Aに基づいて以下に詳細に説明する。
【0023】
本実施の形態である開閉装置2Aは、長さ方向の断面において中央部分が上方に向けて湾曲した長尺の複数枚のパネル3・・ ・・3を重ねた状態で、各パネル3を長さ方向の両側における端部31,31に備えたガイドローラー32,32を、屋根開口部12の互いに対向する長さ方向に延びる開口端13,13に沿ってそれぞれ配置した一対のガイドレール4,4に走行可能に嵌着させた状態で屋根開口部12に架設されている。
【0024】
ガイドレール4,4に沿ってスライド可能に装着されている重ね合わせた各パネル3は、最も上方に位置するパネル3から最も下方に位置するパネル3へ向けて順次長さが短くなるように形成されていて、収納時に最も上方に位置するパネル3の長さ方向の両側における端部31,31が下方のパネル3の長さ方向の両側における端部31,31から突出しないような構成になっているため、ガイドレール4,4も各パネル用の溝条41・・ ・・41を並列させるだけで複雑な加工を必要としないでよく、パネル3自体の重量も抑えられる利点がある。
【0025】
本実施の形態では、各パネルは例えばポリカーボネートや軽合金などの薄手の板状素材により長さ方向の端面が山形に湾曲した形状を呈していることから薄くても全体として強度を発揮させることができ、また、降雨も端部に流下して溜まることなく、強風も抵抗なく通過させてしまう。
【0026】
尚、各パネル3を予め湾曲加工しておくことも可能であるが、例えば本実施の形態のように適宜の可撓性質と弾性を有するポリカーボネートのような素材を採用する場合には湾曲加工していない前記開口端13,13間の距離よりも長尺で平板状のパネル3を屈曲させながらその両端部31,31を内側に押圧しながら湾曲させてガイドレール4,4に嵌挿させることで事前にパネル3を湾曲加工しておく必要がなく、この方法により湾曲させた場合にはパネル3の表面に常時テンションが掛かっているので強度が増大する。
【0027】
更に詳細に説明すると、前記重ねられたパネル3・・ ・・3は、前記各パネル3をガイドレール4,4に沿ってそれぞれ個別に走行させることで展開、収束させて前記屋根開口部12を開閉可能とするものであって、前記パネル3の両端部31,31に備えられているガイドローラー32,32を建造物1の屋根開口部12に固定されたガイドレール4,4に形成されている前記パネルの数だけ並設させた複数の溝条41・・ ・・41に嵌装させてそれぞれ個別に円滑に走行する構成である。
【0028】
また、本実施の形態は、前記各パネル3は上下方向に互いに隣接するパネル3同士を少なくとも長さ方向の端部において常時対向面である上面33と下面34とを対向させた状態で前記ガイドレール4に沿って互いに所定の距離だけスライド可能に連結する連結構造7を備えている。
【0029】
殊に、本実施の形態における前記上下方向に接するパネル3,3をスライド可能に上下方向に連結する連結構造7が、上下方向に接するパネル3,3の対向位置にそれぞれ形成された一対の係止溝孔6,6と前記各係止溝孔6,6間に嵌挿される連結具8とから構成される。
【0030】
そして、前記一対の係止溝孔6,6は連結する上下のパネル3,3の対向面側に開口した幅狭溝孔61と当該幅狭溝孔61に厚み方向に連設される前記幅狭溝孔61よりも幅広の幅広溝孔62とからなる二段溝孔で上側のパネル3の下面34に幅狭溝孔61が開口した係止溝孔6が断面T字形で下側に位置するパネル3の上面33に幅狭溝孔61が開口した係止溝孔6が断面逆T字形であるとともにパネル3,3のスライド方向に延びる長溝孔に形成される。
【0031】
また、連結具8は前記幅狭溝孔61に嵌挿可能な径を有する円柱状でこの軸部81とその両端に前記幅広溝部62に嵌挿可能な円板状を呈する頭部82,82を有する断面I字形で、連結具8の軸部81が上下に接するパネル3,3の対向面間において連通している一対の係止溝孔6,6の各幅狭溝孔61,61に移動可能に嵌挿されるとともに軸部81の両端の頭部82,82が前記一対の係止溝孔6,6の各幅広溝孔62,62に移動可能に嵌挿されることにより上下方向に接するパネル3,3が相互に所定の距離だけスライド可能な状態で連結される。
【0032】
本実施の形態では、連結構造7を前述のように連結具8の装着などの容易さを考慮して係止溝孔6として幅広溝孔62,62を上面33または下面34に開口したことにより、連結具8の軸部81と少なくとも一方の頭部82とを分離し、或いは軸部81を分離可能としておくことで連結具8を簡単且つ確実に重ねたパネル3,3の係止溝孔6,6間に嵌挿させることができる。
【0033】
尚、本実施の形態は連結構造として対向するパネル3,3間に連通する係止溝孔6,6を形成しているので例えば降雨が連通する係止溝孔6,6を通してパネル3,3を通過してしまうとの心配もあるが、本実施の形態では係止溝孔6はパネル3における長さ方向の端部31である屈曲部に形成してあることから雨水が通過し難いとともにパネル3の全体としては一部であって全体的な雨漏りを生じるものでなく、更に、必要であれば係止溝孔6,6の深さを連結具8の頭部82の高さよりも深く調節して形成される隙間に蓋材(図示せず)を嵌装させてもよい。
【0034】
前記構成を有する開閉装置2Aは、重ねたパネル3・・ ・・3をガイドレール4,4に沿って走行させた際に、前記連結具8が上下に接するパネル3,3をその上面33および下面34に開口している長溝状の係止溝孔6,6間に架設された連結具8が相互にスライドしてガイドレール4,4に沿って走行させた際にどのスライド位置においても上下方向に接するパネル3,3同士が上下方向に連結して一体化した状態にあり、安定した状態での開閉が可能であるばかりか殊に展開した状態で各パネル3・・ ・・3を一体化して強靱な開閉部材としての機能を発揮させることができ、全体としての強度が増して個々のパネルを薄く全体として軽量化を図ることにより広範な屋根開口部にも適用でき、強風や落下物などにも対処できるばかりか独立したパネルの落下による損害も生じないので安全であり、簡易な構造で、最小限の動力でかつ円滑で静かに、安定した方法で伸縮開閉して使用可能な建物の開閉式屋根を提供できる。また、駆動装置の設置を考慮することにより、開口部の範囲ならびに開口位置を任意に選択することも可能である。
【0035】
特に、本実施の形態では上下方向に重ねたパネル3,3を常に上下方向に連結した構成としたことから、パネルを軽量化しても剛性を保つことができ、例えば図示するようにパネルの上面33に肉薄部36を形成することも可能であり、更にパネルの下面34にも同様に肉薄部36を形成しても良いことは言うまでもない。
【0036】
尚、本実施の形態では、前記連結構造7を長尺の各パネル3の両端部31,31である走行位置付近に配置したことにより、少ない連結構造7を設置することで互いに重なるパネル3,3同士を上下方向に確実に連結した状態で且つ支障なくガイドレール4,4に沿って円滑に走行可能にすることができるが、本発明は互いに重ねたパネル3,3の対向面に配置する連結構造7の数および設置箇所について限定されるものではなく、パネル3の材質、大きさ、形状など、更には設置の経費や労力などを考慮してパネル3,3の接合面の最適な位置に最適な数の連結構造7を設置すればよい。
【0037】
また、本実施の形態では、
図10(a)に示すように、重ね合わせたパネル3・・ ・・3における対向するパネル3,3の上面33に開口して形成され係止溝孔6と下面34に形成される係止溝孔6とをパネル3の長尺方向に交互にずらして2段に形成している。従って、
図10(b)に示したように、パネル3の重なり方向について同位置に配置する場合のようにパネル3の上面33に形成される係止溝孔6と下面34に形成される係止溝孔6を厚み方向同一位置に重ねて形成する場合に比べてパネル3の厚みを1/2にして軽量にすることができる。
【0038】
以上のように本実施の形態では前記パネル3の係止溝孔6の配置位置を交互にすることで厚みを係止溝孔6の高さ程度にすることにしたが、更に、前述のように、係止溝孔6として幅広溝孔62を蟻溝構造とせずに上面33または下面34に露出させたので係止溝孔6,6間に連結具8を簡単に嵌挿することが可能であり、また修理や交換もきわめて容易である。
【0039】
また、
図11および
図12は本実施の形態における重ねたパネル3・・ ・・3を収束、展開させる駆動手段の一例を示すものであり、互いに重ねたパネル3・・ ・・3のうち例えば最も上方に配置されたパネル3の幅方向の両端辺部分に前記
図1乃至
図4に示した建造物1の屋根開口部12に設置した例えば回転式の駆動装置9,9に巻回させた索条91,91の一端を止着させておき、互いに上下方向に重ねたパネル3・・ ・・3を収束または展開させることにより前記屋根開口部12を開閉するものであるが、開閉手段はこれに限るものでなく、例えば前記各パネル3をガイドレール4,4に沿って駆動装置によりそれぞれ個別に走行可能な手段など(図示せず)他の手段を用いることが可能であり、このような場合には、各パネル3を所望位置に移動させて屋根開口部12に所望の位置に所望の開口を形成することも可能である。
【0040】
また、本実施の形態では屋根開口部12を両側に設置した同一構成を有する一対の開閉装置2A,2Bを用いて前記屋根開口部12の中央部から開閉する構成としたため幅広の屋根開口部12であっても全体の半分の量のパネル3を重ねる構成の開閉装置を用いることで装置の小型化や重量の均一化を図ることができるが、いずれか一方を配置して全体を1つの開閉装置により開閉するもの、更には2以上の開閉装置を組み合わせたものも簡単に設置可能である(図示せず)。
【0041】
更に、本実施の形態において、上下方向に重ねられたパネル3,3の接合面の長辺のうち少なくとも一方に、下方に向けて立設したブラシ部材37を設置することで隣接するパネル3,3同士を密接させることなくパネル間に形成される隙間からの雨水、塵埃、風などの屋内への進入を阻止することが可能であり、重ねられたパネル3,3間にスライド方向に保護ローラー38などを配置してパネル3,3間のスライドを円滑にすることも可能である。
【0042】
図13は本発明の異なる実施の形態を示すものであり、全体の構成は前記実施の形態とほぼ同様であるが、上下方向に接するパネル3,3をスライド可能に上下方向に連結する連結構造7が、前記上下方向に接するパネル3,3の対向位置にそれぞれ形成された係止溝孔6および係止通孔5と、係止溝孔6と係止通孔5間に嵌挿される連結具8とからなり、係止溝孔6は連結する上下のパネル3,3の対向面側に開口した幅狭溝孔61と幅狭溝孔61に厚み方向に連設される幅狭溝孔61よりも幅広の幅広溝孔62とからなる断面T字形の二段溝孔であるとともにパネル3のスライド方向に延びる長溝孔に形成され、係止通孔5はもう一方のパネル3の対向面側に開口した小孔部51と当該小孔部51に厚み方向に連設される小孔部51よりも幅広の大孔部52からなる二段通孔に形成されている。
【0043】
また連結具8については前記
図1乃至
図12に示した実施の形態と同様に軸部81とその両端に頭部82,82を有する断面I字形で、連結具8の軸部81が上下に接するパネル3,3の対向面間において連通している係止溝孔6の幅狭溝孔61と係止通孔5の小孔部52に嵌挿されるとともに軸部81の一端に形成した頭部82が係止溝孔6の幅広溝孔62に嵌挿され軸部81のもう一端に形成した頭部82が前記係止通孔5の大孔部52に嵌挿されることにより前記上下方向に接するパネル3,3が所定の距離だけスライド可能な状態で連結されるものである。
【0044】
前記実施の形態では連結具8が対向するパネル3,3にそれぞれ形成された係止溝孔6間に嵌挿されているのでパネル3,3が相互にスライドするが、本実施の形態では連結具8が一方のパネル3に形成された係止溝孔6ともう一方のパネル3に形成された係止通孔5に嵌挿されるので一方のパネル3に対してもう一方のパネル3が固定された状態でスライドする点が異なる。
【0045】
更に、
図14は本発明の更に異なる実施の形態を示すものであり、前記実施の形態と異なりパネル3・・ ・・3が長方形ではなく三角形であり、頂点に配置した回転軸39を中心としてパネル3・・ ・・3が円形に展開、収束するので円形の屋根開口部12に適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 建造物、2A,2B 開閉装置、3 パネル、4 ガイドレール、5 係止通孔、6 係止溝孔、7 連通溝部、8 連結具、9 駆動装置、11 屋根、12 屋根開口部、13 開口端、31 端部、32 ガイドローラー、33 上面、34 下面、36 肉薄部、37 ブラシ部材、38 保護ローラー、39 回転軸、41 溝条、51 小孔部、52 大孔部、61 幅狭溝孔、62 幅広溝孔、81 軸部、82 頭部、91 索条