【実施例】
【0071】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0072】
なお、酵素の(R)−アミノ酸酸化活性と(R)−アミン酸化活性は、以下のように測定した。
【0073】
試験例1: 酵素の(R)−アミノ酸酸化活性と(R)−アミン酸化活性の測定
(1) (R)−アミノ酸酸化活性の測定用試薬の調製
表1の配合に従って調製した。
【0074】
【表1】
(2) (R)−アミン酸化活性の測定用試薬の調製
表2の配合に従って調製した。
【0075】
【表2】
(3) (R)−アミノ酸酸化活性と(R)−アミン酸化活性の測定条件
(R)−アミノ酸酸化活性と(R)−アミン酸化活性は、基質の酸化で生成される過酸化水素量を、表1または表2の発色液を用いた比色法で求めた。具体的には、1cm石英セル中、酵素液に対して10倍容量の各測定用試薬を加えて総量を1mLとし、30℃で1時間反応させ、マイクロプレートリーダーで505nmの吸光度を測定した。ブランクでは、基質の代わりに蒸留水を添加した。得られた吸光度変化より、下記計算式に基づいて各酸化活性を算出した。尚、本試験例における1Uは、(R)−フェニルアラニンまたは(R)−α−メチルベンジルアミンを基質とし、1分間に1μmolのH
2O
2を生成する酵素量とした。
【0076】
(4) (R)−アミノ酸酸化活性と(R)−アミン酸化活性の計算式
活性値(U/ml)={ΔAbs505/min(ΔAbs505sample−ΔAbs505blank)×1(ml)×希釈倍率}/{4.66×1.0(cm)×0.1(ml)}
1(ml):全液量
4.66:ミリモル吸光係数
1.0cm:セルの光路長
0.1(ml):酵素サンプル液量
(5) 比活性の測定
単位液量あたりの酵素含量を、Bradford法プロテインアッセイキット(Biorad社製)を用いて測定した。上記活性測定法により単位液量あたりの活性値を測定し、単位液量あたりの活性値を単位液量あたりの酵素含量で割ることで、(R)−アミノ酸酸化活性と(R)−アミン酸化活性に関する比活性を求めた。
【0077】
実施例1: 本発明に係る変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼの調製
(1) ブタ腎臓由来(R)−アミノ酸オキシダーゼ遺伝子の調製
アッセンブルPCRによりブタ腎臓由来(R)−アミノ酸オキシダーゼ遺伝子を作製した。用いたプライマー(配列番号3〜35)を表3に示す。
【0078】
【表3】
アッセンブルPCR反応液の組成は、水35μL、10× Ex Taq buffer 5μL、2mM dNTP 5μL、表3で示したプライマーの100pmol/μL混合液2μL、およびEx Taq 5unitとした。PCR反応の条件は、(i)96℃で20秒間、(ii)50℃で30秒間、(iii)55℃で1.5分間、および(ii)から(iii)までを35サイクルとした。
【0079】
上記PCR産物を用い、大腸菌を形質転換した。ライゲーション反応の組成は、PCR産物5μL、pT7 Blue T−Vecter(Novagen)1μL、ライゲーションミックス(タカラバイオ社製)6μLとし、16℃で30分間反応させた。大腸菌(E.coli JM109)のコンピテントセル100μLに、12μLのライゲーション反応液を加え、ヒートショック法で形質転換した。80μg/mLのアンピシリンを含むLB培地(1.0%ポリペプトン,0.5%イースト抽出物,1.0%NaCl)に生育したコロニーを数株選抜してプラスミド抽出し、0.7%アガロース電気泳動により、インサートの有無の確認を行った。
【0080】
別途、ブタ腎臓(由来R)−アミノ酸オキシダーゼ遺伝子配列のシーケンシングを行った。具体的には、遺伝子の両方の鎖についてシーケンシングを行うためユニバーサルプライマーT7プロモータープライマーとU−19merプライマーを用い、シーケンス反応を行った。反応液組成は、1.6μLの上記いずれかのプライマー、1.6μLの鋳型DNA、1μLのBigDyeプレミックスソリューション、1.6μLの5× BigDye シーケンシングバッファーと2.8μLの滅菌水の混合物とし、全量を10μLに調整した。PCR反応の条件は、(i)96℃で2分間、(ii)96℃で10秒間、(iii)50℃で5秒間、(iv)60℃で4分間、(v)(ii)〜(iv)を25回、および(vi)72℃で5分間とした。PCR産物に1μLの0.125M EDTAと35μLのエタノールを加え、室温で15分間放置した後、遠心分離(15,000rpm,8分間,4℃)により沈殿させた。上清を廃棄した後、70%エタノールを添加して撹拌後、再度遠心分離した。その後、20μLのHi Di Formamideを加え、100℃で5分間加熱した後に、氷水で急冷したものにつき、Applied Biosystems 3500 Genetic Analyzerで塩基配列の解読をした。得られたシーケンスデータの解析はGenetyxで行い、それぞれのプライマーで増幅した断片を連結した。解読されたブタ腎臓由来(R)−アミノ酸オキシダーゼ遺伝子配列に対応するアミノ酸配列を配列番号1に示す。
【0081】
次に、ブタ腎臓由来(R)−アミノ酸オキシダーゼ遺伝子を増幅した。具体的には、上記クローニングで得られたプラスミドを鋳型DNAとし、PCRを行った。PCR反応液の組成は、水35μL、10× Ex Taq buffer 5μL、2mM dNTP 5μL、100pmol/μL プライマー5(5’−tttgaattctaaggaggactagctcatgcgtgtggtggtgatt−3’,配列番号36)1μL、100pmol/μLプライマー6(5’−aataagctttcagaggtgggatggtggcat−3’,配列番号37)1μL、鋳型DNA100ngおよびEx Taq 5unitとした。プライマー5およびプライマー6には、それぞれBamHIおよびHindIIIの制限酵素サイトを設けた。PCR反応の条件は、(i)98℃で5分間、(ii)96℃で20秒間、(iii)50℃で30秒間、(iv)55℃で1.5分間、および(ii)〜(iv)までを28サイクルとした。
【0082】
得られたブタ腎臓由来(R)−アミノ酸オキシダーゼ遺伝子を用い、大腸菌を形質転換した。即ち、上記PCR反応で得られたPCR産物5μLに、1μL BamHIと1μL HindIIIを加え、37℃で1時間インキュベートし、制限酵素処理を行った。ライゲーション反応は、5μLのDNA、1μLのpUC18(増幅遺伝子と同様の制限酵素処理を行ったもの)、6μLのライゲーションMixとし、16℃で3時間インキュベートしプラスミドpDAOを作製した。得られたプラスミドpDAOを、ヒートショック法により大腸菌に導入した。
【0083】
上記形質転換大腸菌で(R)−アミノ酸オキシダーゼ遺伝子を発現させ、その活性を測定した。80μg/mLのアンピシリンと1mMのIPTGを含む5mLのLB培地(1.0%ポリペプトン,0.5%イースト抽出物,1.0%NaCl,pH7.0)に形質転換大腸菌を植菌し、37℃で24時間培養した。遠心分離(15,000rpm,5分間,4℃)により集菌し、0.1% 2−メルカプトエタノールを含む10mMリン酸カリウムバッファーで洗浄した後、1mLの同バッファーに懸濁した。得られた菌体液を15分間超音波処理し、遠心分離(15,000rpm,15分間,4℃)で得られた上清を無細胞抽出液とした。上記試験例1の活性測定法により、(R)−アミノ酸酸化活性と(R)−アミン酸化活性を測定した。
【0084】
(2) ブタ腎臓由来(R)−アミノ酸オキシダーゼの基質特異性の改変
ブタ腎臓由来の野生型(R)−アミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列(配列番号1)の228番目のチロシンおよび283番目のアルギニンに注目し、それぞれのアミノ酸残基に飽和変異を導入した。具体的には、Quikchange Multi site−directed mutagenesis kit(アジレント・テクノロジー社製)を用い、上記実施例1(1)で調製したプラスミドpDAOを鋳型とし、以下のプライマー(配列番号38〜41)を用いてPCRを行った。
【0085】
5’-agaggcatctacaactctccannnatcattccagggctgc-3’
5’-gcagccctggaatgatnnntggagagttgtagatgcctct-3’
5’-tgaatatactggcttcnnnccagtacgccccca-3’
5’-tgggggcgtactggnnngaagccagtatattca-3’
得られたPCR産物を用いて、ヒートショック法により大腸菌JM109を形質転換した。96穴プレートを用い、0.5mM IPTGと80μg/mlアンピシリンを含むLB培地で37℃、24時間培養後、遠心分離によって集菌した。回収された大腸菌を、50mM KPB(pH8)で懸濁し、超音波破砕により無細胞抽出液を調製した。
【0086】
上記無細胞抽出液につき、上記試験例1に従って、(R)−アミン酸化活性を測定した。また、上記で得られた変異体酵素遺伝子を鋳型とし、228番目のチロシンに対して同様の方法で飽和変異を行い、(R)−アミン酸化活性を測定した。結果を、ブタ腎臓由来(R)−アミノ酸オキシダーゼ(野生型)を用いて(R)−フェニルアラニン((D)−フェニルアラニン)を酸化した場合の比活性0.11U/mgを100%とした場合の相対活性として
図1に示す。なお、
図1において、黒塗りのカラムは(R)−α−メチルベンジルアミンを基質とした場合ではなく、(R)−フェニルアラニンを基質とした場合の結果である。野生型の(R)−アミノ酸オキシダーゼを用いて(R)−α−メチルベンジルアミンを酸化した場合には、反応の進行は認められず、比活性はほとんど0であった。
【0087】
図1のとおり、283番目のアルギニンがグリシン、アラニンまたは
システインに置換された変異体酵素において、(R)−α−メチルベンジルアミンの酸化活性が確認された。また、283番目のアルギニンがグリシン、アラニンまたは
システインに置換された変異体酵素のいずれにおいても、228番目のチロシンがロイシンに置換した変異体酵素において(R)−α−メチルベンジルアミンの酸化活性の向上が見られた。特に283番目のアルギニンがグリシンで且つ228番目のチロシンがロイシンに置換した変異型酵素(配列番号2)が、野生型酵素と比較しても優れた(R)−アミン酸化活性を示した。
【0088】
実施例2: ブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼの精製
上記実施例1で得られた283番目のアルギニンがグリシンで且つ228番目のチロシンがロイシンに置換された変異型酵素(配列番号2)を精製した。なお、以下、精製に用いたリン酸カリウムバッファー(KPB)は、0.1% 2−メルカプトエタノールを含むものとする。
【0089】
(1) 無細胞抽出液の調製
5mLの80mMアンピシリンを含むLB培地で、283番目のアルギニンがグリシンで且つ228番目のチロシンがロイシンに置換された変異型酵素をコードする遺伝子により形質転換された大腸菌を、200rpm、37℃で24時間前培養した。前培養液を、80mMアンピシリンと1mM IPTGを含むLB培地500mLに植菌し(全量5L)、2Lバッフルを用いて、300rpm、37℃で1日振とう培養した。大型遠心機を用い、8,000rpm、4℃で5分間遠心分離することにより集菌し、10mM KPB(pH8.0)で洗浄した後、培地5L分の菌体を、80mLの10mM KPBに懸濁した。80mLの菌体液を15分間超音波処理し、8,000rpm、4℃で15分間遠心分離することにより得られた上清を無細胞抽出液とした。
【0090】
(2) 硫安分画
上記無細胞抽出液を氷中にてスターラーで撹拌しながら硫酸アンモニウムを20%飽和になるように添加し、30分間攪伴した後、大型遠心機を用いて8,000rpm、4℃で15分間遠心分離することにより上清を得た。得られた上清液に硫安アンモニウムを35%飽和になるように添加し、上記と同条件で遠心分離し、沈殿を得た。得られた沈殿に10mlの10mM KPB(pH8.0)を加えて懸濁し、5Lの同緩衝液(×2回)で1晩透析した。
【0091】
(3) 陰イオン交換カラムクロマトグラフィ
10mM KPBにより平衡化したDEAE−トヨパール樹脂100mlをカラムに充填し、透析した酵素液を吸着させた。100mLの10mM KPBでカラムを洗浄した後、10mM KPB 100mlおよび50mM NaClを含む10mM KPB 100mlを用いて、グラジエントによりNaCl濃度を徐々に上げ、酵素を溶出させた。フラクションコレクターを用いて、20mlずつ試験管にフラクションを採取し、活性が認められたフラクションを集め、10mM KPBにより1晩透析した。
【0092】
(4) 疎水性カラムクロマトグラフィ
20%硫酸アンモニウムを含む10mM KPBにより平衡化したButyl−トヨパール樹脂10mlをカラムに充填し、20%硫酸アンモニウムを含む酵素液を吸着させた。50mLの硫酸アンモニウムを含む10mM KPBでカラムを洗浄した後、50mlの20%硫酸アンモニウムを含む10mM KPBおよび10mM KPBを用いて、グラジエントにより硫酸アンモニウム濃度を徐々に下げ、酵素を溶出させた。活性が認められたフラクションを集め、10mM KPBにより1晩透析した。各精製段階における酵素量や(R)−アミン酸化活性などを表4に示す。
【0093】
【表4】
(5) SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によるブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼの精製度の確認
泳動ゲルとして、36%アクリルアミド5.25ml、0.68Mトリス−HCl緩衝液(pH8.8)8.25mL、1%SDS 1.58mL、10%TEMED 187μL、2%APS 562μLの組成を有するゲル5μLに、36%ポリアクリルアミド0.5mL、0.179Mトリス−HCl(pH6.8)3.5mL、1%SDS 0.5mL、10%TEMED 125μL、2%APS 375μLの組成を有する濃縮ゲルを重層したものを用い、緩衝液(グリセロール200μL、1Mトリス−HCl(pH8.0)40μL、水360μL、2−メルカプトエタノール200μLおよび10%SDS 200μL)と等量混合した精製酵素サンプル10μLを、ランニング緩衝液(トリス3.0g、グリシン14.1gおよびSDS10g)中、20mAで電気泳動を行った。その後、タンパク染色液(CBB2.5g、メタノール500mL、酢酸50mLおよび水450mL)で1時間染色し、脱色液(メタノール:酢酸:水=3:1:6)でバンドが鮮明になるまで脱色した。分子量マーカーとして、phosphorylase(97,200)、bovine serum albumin (66,409)、Ovalbumin(44,287)、carbonic anhydrase(29,000)、soybean trypsin inhibitor(20,100)およびlysozyme(14,300)を含むもの(タカラバイオ株式会社)を用いた。得られたSDS−PAGEの写真を
図2に示す。
【0094】
実施例3: ブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼの基質特異性
上記試験例1の(R)−アミン酸化活性の測定条件において、基質化合物として、(R)−α−メチルベンジルアミンの代わりに種々のアミン類またはアミノ酸を用い、酵素活性を測定した。基質としてα−メチルベンジルアミンを用いた時の比活性と、各基質を用いた時の比活性とを比較し、α−メチルベンジルアミンに対する活性を100%としたときの他の基質に対する相対活性を求めた。結果を表5に示す。
【0095】
【表5】
表5に示すように、本発明に係る変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼは、野生型(R)−アミノ酸オキシダーゼの基質であるフェニルアラニンには全く活性を示さない。また、(S)−α−メチルベンジルアミン誘導体や、フェニル基上に置換基としてメトキシ基やメチル基が導入された(R)−α−メチルベンジルアミン、シクロヘキサン化合物、アキラル化合物に対する活性は低い。それに対して、(R)−α−メチルベンジルアミン誘導体に対しては、極めて高い酸化活性を示した。
【0096】
実施例4: ブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼの至適温度
上記試験例1に示した測定法を用いて、20℃から60℃まで5℃刻みに温度を変化させ、各温度における変異型(R)−アミン酸化活性を測定した。結果を
図3に示す。
【0097】
図3に示すとおり、本発明に係るブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼの至適温度は45℃であった。
【0098】
実施例5: ブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼの熱安定性
本発明に係るブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼを、20℃から70℃までの各温度で30分間熱処理した後、上記試験例1に示した測定法を用いて(R)−アミン酸化活性を測定した。結果を
図4に示す。
【0099】
図4に示すとおり、本発明に係るブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼは、45℃の熱処理で86%の残存活性を示し、50℃の熱処理でも46%の残存活性を示した。かかる結果より、本発明に係るブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼは、熱に対して比較的安定であることが明らかとなった。
【0100】
実施例6: 本発明酵素による(RS)−α−メチルベンジルアミンからの(S)−α−メチルベンジルアミンの光学分割
【0101】
【化9】
上記実施例2にて精製した変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼを用いて、α−メチルベンジルアミンの光学分割を実施した。50mM KPB(pH8.0)、10mM (RS)−α−メチルベンジルアミン、および上記実施例2で得た本発明に係る変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼ1.5Uを含む反応液1mLを30℃でインキュベートした。反応開始から5,10,15,30,60,90および120分後に反応液試料を採取し、以下のHPLCにより分析した。
【0102】
分析条件カラム: CROWNPAK CR(+)(ダイセル社製)
移動相: 5%メタノールを含む60mM過塩素酸
流速: 0.8ml/min
検出波長: 200nm
カラム温度: 30℃
(R)−および(S)−α−メチルベンジルアミンの保持時間を下記に記す。
【0103】
(S)−α−メチルベンジルアミン: 11.6分
(R)−α−メチルベンジルアミン: 12.6分
結果を
図5に示す。
図5のとおり、本発明酵素により(R)−α−メチルベンジルアミン(
図5中「●」)は選択的に酸化されてメチルベンジルイミンに変換され、さらに水溶媒中、より安定なアセトフェノンに変換されて、反応開始から60分後にはほぼ0%になっている。それに対して、(S)−α−メチルベンジルアミンの濃度(
図5中「〇」)はほぼ5mMのまま維持されている。α−メチルベンジルアミンとメチルベンジルイミンおよびアセトフェノンとは異なる化合物であるので、カラムクロマトグラフィなどで容易に分離できる。かかる結果により、本発明酵素によって、(RS)−α−メチルベンジルアミンから(S)−α−メチルベンジルアミンが得られることが実証された。
【0104】
実施例7: ブタ腎臓由来変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼを用いたα−メチルベンジルアミンのデラセミ化法
【0105】
【化10】
上記実施例2にて精製した変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼを用いて、α−メチルベンジルアミンのデラセミ化法を実施した。50mM KPB(pH8.0)、5mM (RS)−α−メチルベンジルアミン、250mM水素化ホウ素ナトリウム、および上記実施例2で得た本発明に係る変異型(R)−アミノ酸オキシダーゼ3Uを含む反応液1mLを30℃でインキュベートした。反応開始から180分後まで適時反応液試料を採取し、上記実施例6で示した条件のHPLCにより分析した。結果を
図6に示す。
図6のとおり、本発明酵素により(R)−α−メチルベンジルアミンは選択的に酸化されてメチルベンジルイミンに変換され、その濃度(
図6中「●」)はほぼ0%になった。それに対して、ラセミ体(RS体)中の(S)−α−メチルベンジルアミンは反応せず、また、上記メチルベンジルイミンは還元剤の存在により再び(RS)−α−メチルベンジルアミンに還元されるので、その濃度(
図6中「〇」)は、当初のラセミ体の濃度である5mMに近付いていった。かかる結果により、本発明酵素と還元剤の併用によって、(RS)−α−メチルベンジルアミンから(S)−α−メチルベンジルアミンを効率的に得られることが実証された。