(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2次元画像を撮像可能なカメラユニットを有する情報処理端末に取り付けられ、書類上の任意に指定された所定領域の光学像をスキャン対象の原稿像として前記カメラユニットに導く情報処理端末用のスキャナユニットであって、
前記情報処理端末が固定される本体ケースと、
前記所定領域に対して照明光を照射する照明手段と、
前記所定領域において反射される前記照明光の反射光を前記カメラユニットに導光して前記原稿像を前記カメラユニットに導く導光手段と、
前記カメラユニットと光軸の向きを揃えて、前記カメラユニットと前記導光手段との間に設けられ、前記カメラユニットのピント位置を補正する補正レンズと、
前記補正レンズを光軸と直交する方向に移動させるレンズ移動手段と、
前記情報処理端末と通信可能に接続され、前記情報処理端末からの制御信号に従って前記スキャナユニットの動作を制御する制御回路と、
を備え、
前記情報処理端末は、
前記制御回路を介して前記レンズ移動手段を駆動し、前記カメラユニットのピント位置が前記所定領域上に位置するように前記補正レンズの位置を調整するレンズ位置調整手段と、
前記原稿像を前記カメラユニットによって撮像してスキャン画像として取り込む画像取込手段と、
を備える
ことを特徴とする情報処理端末用のスキャナユニット。
前記補正レンズは、凸面の入射面と、凸面、平面又は凹面の出射面が形成された1枚の両面非球面レンズであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスキャナユニット。
前記補正レンズは、前記所定領域側から前記カメラユニット側に向かって光軸を揃えて近接して並ぶ第1〜第3のレンズからなり、第1のレンズは凸面の入射面と凸面の出射面とを備え、第2のレンズは凸面の入射面と凹面の出射面とを備え、第3のレンズは凸面の入射面と凹面の出射面とを備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスキャナユニット。
前記補正レンズは、ポリメチルメタクリレート又はポリカーボネートによって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスキャナユニット。
前記情報処理端末は、前記情報処理端末が前記本体ケースに取り付けられたときに、外側を向くように配置され、前記カメラユニットによって撮像された画像を表示可能な表示手段を備え、
前記画像取込手段は、前記スキャン画像を前記表示手段に逐次表示する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のスキャナユニット。
2次元画像を撮像可能なカメラユニットを有する情報処理端末と、前記情報処理端末に取り付けられ、書類上の任意に指定された所定領域の光学像をスキャン対象の原稿像として前記カメラユニットに導くスキャナユニットと、を備え、前記原稿像を前記カメラユニットによって撮像し、スキャン画像として取り込むイメージスキャナ装置であって、
前記スキャナユニットは、
前記情報処理端末が固定される本体ケースと、
前記所定領域に対して照明光を照射する照明手段と、
前記所定領域において反射される前記照明光の反射光を前記カメラユニットに導光して前記原稿像を前記カメラユニットに導く導光手段と、
前記カメラユニットと光軸の向きを揃えて、前記カメラユニットと前記導光手段との間に設けられ、前記カメラユニットのピント位置を補正する補正レンズと、
前記補正レンズを光軸と直交する方向に移動させるレンズ移動手段と、
前記情報処理端末と通信可能に接続され、前記情報処理端末からの制御信号に従って前記スキャナユニットの動作を制御する制御回路と、
を備え、
前記情報処理端末は、
前記制御回路を介して前記レンズ移動手段を駆動し、前記カメラユニットのピント位置が前記所定領域上に位置するように前記補正レンズの位置を調整するレンズ位置調整手段と、
前記原稿像を前記カメラユニットによって撮像してスキャン画像として取り込む画像取込手段と、
を備える
ことを特徴とするイメージスキャナ装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
図1〜
図3は、本発明の一実施形態に係るイメージスキャナユニットの概略構成を説明する図であり、
図1は平面図、
図2は底面図、
図3は
図1のA−A断面図である。本実施形態のイメージスキャナユニット200は、デジタルカメラ(カメラユニット)を搭載したスマートフォンやタブレット端末等、いわゆる携帯型の情報処理端末100が取り付けられ、書類上の文字や図形等を読み取る(つまり、イメージスキャナとして機能する)装置である。
図1〜
図3においては、図面を見やすくするために、イメージスキャナユニット200に取り付けられる情報処理端末100の各構成を破線で示し、またイメージスキャナユニット200の一部の構成(例えば、アクチュエータ205等)を模式的に示している。なお、本実施形態の情報処理端末100は、一般的なスマートフォンであり、表面にLCD(Liquid Crystal Display)110を備え、裏面にカメラユニット120を備えるものとして説明する。
【0015】
図1〜
図3に示すように、本実施形態のイメージスキャナユニット200は、本体ケース201を備えている。本体ケース201の上面201aは、情報処理端末100が搭載される載置面となっており、本体ケース201の底面201dは、読み取り対象となる書類等と接触して当該書類上の文字や図形の情報を読み取る、いわゆる読み取り面を構成している。なお、本明細書においては、説明の便宜のため、以下イメージスキャナユニット200に取り付けられた情報処理端末100の長手方向をX方向といい、短手方向をY方向といい、厚さ方向をZ方向という。
【0016】
本体ケース201の上面201aのX方向両端部にはZ方向に突出する壁部201b及び201cが形成されており、上面201a、壁部201b、201cとで囲まれる空間内に情報処理端末100が収容される(取り付けられる)ようになっている。また、本体ケース201の上面201aの壁部201b側には、上面201aを貫通する貫通孔201aaが形成されており、貫通孔201aaの右側(壁部201c側)には情報処理端末100が取り付けられたか否かを検出するスイッチ206が露出している。
【0017】
情報処理端末100は、カメラユニット120が下向きとなるように(つまり、LCD110が上向きとなるように)イメージスキャナユニット200に取り付けられ(
図3)、イメージスキャナユニット200に取り付けられたとき、一端が壁部201cに固定された板バネ202によってX方向に付勢され、壁部201bに当て付けられて固定される。そして、本実施形態においては、情報処理端末100がイメージスキャナユニット200の上面201aに載置、固定されたとき、カメラユニット120が、貫通孔201aaを通してイメージスキャナユニット200の補正レンズ204と対向すると共に、情報処理端末100のケースによってスイッチ206が押下されるように構成されている。
【0018】
上述したように、イメージスキャナユニット200の底面201dは、書類上の文字や図形を読み取るための読み取り面を構成しており、開口部201dc、貫通孔201da、201dbが形成されている。開口部201dcは、読み取り対象となる書類上の文字や図形を光学像(原稿像)としてイメージスキャナユニット200内に取り込むための開口であり、開口部201dcには、読み取り対象となる書類と接触するコンタクトガラス218が嵌め込まれている。貫通孔201da、201dbは、それぞれ位置検出センサ220、222用の貫通孔である(詳細は後述)。
【0019】
イメージスキャナユニット200は、本体ケース201の内部(つまり、上面201aと底面201dとの間の空間)に、補正レンズ204と、アクチュエータ205と、スイッチ206と、LED(Light Emitting Diode)212、215と、反射ミラー213、214と、チャート216と、位置検出センサ220、222と、制御回路230とを備えている(
図3)。なお、
図3においては、図面を見やすくするために、各構成部品を接続するためのケーブル等を省略して示している。
【0020】
LED212は、読み取り対象となる書類を照明するための光源(第1の照明手段)である。LED212は、不図示のケーブルによって制御回路230と接続され、制御回路230の制御の下、所定の光量の白色照明光を出射する。LED212から出射された白色照明光は、コンタクトガラス218を通して出射され、コンタクトガラス218の外側(つまり、イメージスキャナユニット200の底面201d(以下、「スキャン面S」ともいう))に密着して配置された書類の所定位置を照射する。
【0021】
書類を照射する白色照明光は、書類の表面で反射され、その反射光は再びコンタクトガラス218を通して、イメージスキャナユニット200の本体ケース201内に戻される。そして、本体ケース201内に戻された反射光は、コンタクトガラス218の上方に配置された反射ミラー214の反射面に入射する。
【0022】
反射ミラー214は、長方形状の反射ミラーであり、反射面を下方に向け、長手方向がY方向に延び、短手方向がZ方向に対して45°の角度となるように配置されている。反射ミラー214の反射面に入射した光は、反射ミラー214によってカメラユニット120の光軸と直交する方向(つまり、X方向)に反射され、カメラユニット120の下方にZ方向に対して45°の角度で配置された反射ミラー213の反射面に入射する。
【0023】
反射ミラー213は、長方形状の反射ミラーであり、反射面を上方に向け、長手方向がY方向に延び、短手方向がZ方向に対して45°の角度となるように配置されている。反射ミラー213の反射面に入射した光は、反射ミラー213によってカメラユニット120の光軸と平行な方向(つまり、Z方向)に反射され、補正レンズ204を通して、カメラユニット120に入射する。
【0024】
このように本実施形態においては、書類の所定位置で反射された反射光を反射ミラー214、213によって反射することでカメラユニット120に導光している。なお、本明細書においては、書類の所定位置で反射された反射光をカメラユニット120に導光するための光路を光路AX(第1の光路)と称し、
図3中「AX」で示す。
【0025】
なお、詳細は後述するが、本実施形態の反射ミラー214は、その一端部にY方向に延びる回転軸を備えており、反射ミラー214に近接して配置されたアクチュエータ217によって、回転軸を中心に回動可能に構成されている。そして、後述するイニシャライズ処理が実行されたとき、反射ミラー214は回転軸を中心に反時計回りに回動し、
図3中点線で示す退避位置(第2の位置)まで移動する。つまり、換言すると、本実施形態の反射ミラー214は、書類の所定位置で反射された反射光を反射ミラー213に向けて反射する所定の位置(第1の位置)と、退避位置との間で移動可能に構成されている。そして、反射ミラー214が退避位置に位置したとき、チャート216の光学像をカメラユニット120に導光するための光路BX(第2の光路)が形成されるようになっている。
【0026】
カメラユニット120は、一般に、無限遠にまでピントを結ぶように構成された撮像レンズ121と、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子122とで構成され、撮像レンズ121を通って入射した光は、撮像素子122表面の撮像面で結像するように構成されている。補正レンズ204は、撮像レンズ121のピント位置を無限遠からスキャン面Sに補正するためのレンズである。つまり、本実施形態においては、スキャン面Sに配置された書類にカメラユニット120のピントが合うように構成されており、スキャン面Sに配置された書類上の文字や図形等をカメラユニット120で撮像できるようになっている。
【0027】
図4は、本実施形態の補正レンズ204の具体的な構成を説明する光路図である。なお、
図4においては、説明の便宜のため、スキャン面Sの位置、撮像レンズ121の位置、撮像素子122の位置をそれぞれ直線で示し、撮像素子122の画面中心部及び周辺部に結像する光の光路を示している。
【0028】
図4に示すように、本実施形態の補正レンズ204は、スキャン面S側に凸面の入射面を備え、カメラユニット120側に平面の出射面を備えた1枚の両面非球面レンズであり、ポリメチルメタクリレート又はポリカーボネート等の光学樹脂材料あるいは光学ガラス材料によって形成されている。このように、本実施形態においては、補正レンズ204を1枚の非球面レンズで構成することにより、製造コストを抑えている。なお、補正レンズ204の出射面は、平面に限られるものではなく、凹面又は凸面で構成することもできる。
【0029】
補正レンズ204の周囲には、X方向に並ぶ2個のアクチュエータ205とY方向に並ぶ2個のアクチュエータ205(
図3において不図示)が配置されており、補正レンズ204をX方向及びY方向に移動可能に支持している。アクチュエータ205は、不図示のケーブルによって制御回路230と接続され、後述するイニシャライズ処理において、補正レンズ204を適正な位置に移動させる。
【0030】
位置検出センサ220、222は、いわゆる光学式マウスで用いられる位置検出センサであり、それぞれ貫通孔201da、201dbを塞ぐように本体ケース201の底部に配置されている。位置検出センサ220、222は、それぞれレーザ光源(不図示)、イメージセンサ(不図示)及び制御IC(不図示)を内蔵している。位置検出センサ220、222は、それぞれ貫通孔201da、201dbを通して、位置検出センサ220、222と対向する位置の書類をレーザ光で照明し、その部分の状態をイメージセンサによって模様パターンとして読み取る。そして、制御ICは、読み取った模様パターンを逐次保持し、その後の動きに対して、特定の模様パターンがどのように移動していくかを算出することにより本体ケース201のX軸方向及びY軸方向の移動量を算出し、さらに移動量から本体ケース201の位置情報を求める(つまり、本体ケース201の位置を検出する)。本体ケース201の位置情報は、制御回路230内のCPU232(
図5)を介して情報処理端末100に送信される(詳細は後述)。
【0031】
制御回路230は、イメージスキャナユニット200内の各構成部品と不図示のケーブル等によって接続され、各構成部品の動作を制御する回路である。本実施形態の情報処理端末100には、予めイメージスキャナユニット200を制御するための専用のアプリケーションソフト(以下、「スキャナ用アプリ」という)がインストールされており、イメージスキャナユニット200の制御回路230と通信可能に構成されている。そして、ユーザが、書類上の所定領域(文字情報等の読み取りを行いたい領域)に情報処理端末100が搭載されたイメージスキャナユニット200を置いて所定領域内で移動させると、所定領域内の複数の位置の静止イメージがカメラユニット120によって取得され、その位置情報(つまり、イメージスキャナユニット200から送信された位置情報)と共に情報処理端末100に記憶される。そして、所定領域内の静止イメージの取得が終了すると、情報処理端末100に記憶された複数の静止イメージがその位置情報に基づいて繋ぎ合わされ、全体のイメージデータが形成されるようになっている。つまり、本実施形態の情報処理端末100とイメージスキャナユニット200は、一種のイメージスキャナ装置を構成している。
【0032】
このような構成のイメージスキャナ装置によって、高精細なイメージデータを得るためには、スキャン面S上の書類の光学像(原稿像)を撮像素子122の撮像面上に正確に投影することが極めて重要である。しかしながら、本実施形態の構成においては、情報処理端末100とイメージスキャナユニット200とが別体で構成されているため、機械的な取り付け誤差が発生し、単に情報処理端末100をイメージスキャナユニット200に取り付けただけでは、カメラユニット120の撮像レンズ121の光軸とイメージスキャナユニット200の補正レンズ204の光軸は一致せず、スキャン面S上の書類の原稿像を撮像素子122の撮像面上に正確に投影することができない。そこで、本実施形態においては、後述するイニシャライズ処理において、補正レンズ204を適正な位置に移動させ、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とが正確に一致するように調整することで、かかる問題を解決している。
【0033】
チャート216(
図3)は、いわゆるMTF測定用のチャートであり、所定の線幅を有する白黒のラインパターンが縦方向及び横方向(Z方向及びY方向)にそれぞれ繰り返し並んだ格子状のチャートである。チャート216は、本体ケース201の側壁部内面に接着等で固定されている。なお、チャート216の表面の位置は、スキャン面Sと光学的に等価な位置となっている。また、LED215はチャート216を照明するための白色光を出射する光源である。
【0034】
上述したように、本実施形態の反射ミラー214は、書類の所定位置で反射された反射光を反射ミラー213に向けて反射する所定の位置と、退避位置との間で移動可能に構成されており、後述するイニシャライズ処理が実行されると、反射ミラー214は回転軸を中心に反時計回りに回動し、退避位置に移動する。そして、LED215によってチャート216が照明され、チャート216の像(以下、「チャート像」という)が光路BXによってカメラユニット120に導かれ撮像される。カメラユニット120によって撮像されたチャート像は情報処理端末100に周期的に取り込まれ、情報処理端末100によってMTF(Modulation Transfer Function)が求められる。そして、チャート像のMTFが最大となるように(つまり、チャート像のコントラストが最大となるように)補正レンズ204の位置が調整される。このように、チャート像のコントラストが最大となるように補正レンズ204の位置が調整されると、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とが正確に一致する(詳細は後述)。
【0035】
次に、情報処理端末100の制御回路130の構成と、イメージスキャナユニット200の制御回路230の構成について説明する。
図5は、制御回路130と制御回路230の構成を説明するブロック図である。
【0036】
図5に示すように、制御回路130は、CPU(Central Processing Unit)132、ROM(Read-Only Memory)134、RAM(Random Access Memory)136、カメラ制御回路138、LCD駆動回路140、通信回路142等を備え、情報処理端末100内の各電気部品の動作を制御する回路である。制御回路130の各構成部品は、バスを介して互いに接続されており、バスを介して各種データが送受信される。
【0037】
CPU132は、各種プログラムを実行する、いわゆるマイクロプロセッサであり、情報処理端末100の各機能を統括的に制御する。ROM134は、いわゆる不揮発性メモリであり、CPU132によって実行されるプログラムやカメラユニット120によって撮像された静止イメージデータが記憶される。なお、本実施形態においては、イメージスキャナユニット200を制御するためのスキャナ用アプリが予めインストールされてROM134に記憶されている。RAM136は、CPU132が各種プログラムを実行するときに用いられるワーキングメモリである。カメラ制御回路138は、カメラユニット120の動作を制御するための回路であり、CPU132によってスキャナ用アプリが実行されると、CPU132の指示に従って、カメラユニット120を駆動して、原稿像の静止イメージデータ、又はチャート像の静止イメージデータを取得し、ROM134に格納する。LCD駆動回路140は、LCD110の動作を制御するための回路であり、CPU132によってスキャナ用アプリが実行されると、CPU132の指示に従って、LCD110を駆動して、現在カメラユニット120によって撮像されている画像(原稿像)を表示する。通信回路142は、イメージスキャナユニット200の制御回路230の通信回路238と双方向に通信するための回路であり、本実施形態においては、通信回路238とBluetooth(登録商標)の通信によって結ばれている。
【0038】
制御回路230は、CPU232、ROM234、RAM236、通信回路238、アクチュエータ駆動回路240、LED駆動回路242、センサ回路244等を備え、イメージスキャナユニット200内の各電気部品の動作を制御する回路である。制御回路230の各構成部品は、バスを介して互いに接続されており、バスを介して各種データが送受信される。なお、本実施形態の制御回路230は、制御回路130から通信回路238に入力される各種コマンドに従って動作するように構成されている。
【0039】
CPU232は、イメージスキャナユニット200が起動したときに、所定のプログラム(ファームウェア)を実行する、いわゆるマイクロプロセッサであり、制御回路130から通信回路238に入力される各種コマンドに従ってイメージスキャナユニット200の各機能を統括的に制御する。ROM234は、CPU232が実行するプログラムが記憶されたメモリであり、イメージスキャナユニット200を制御するためのプログラム(以下、「スキャナ用プログラム」という)が予め記憶されている。RAM236は、CPU232がスキャナ用プログラムを実行するとき(つまり、イメージスキャナユニット200が起動しているとき)に用いられるワーキングメモリである。通信回路238は、情報処理端末100の制御回路130の通信回路142と双方向に通信するための回路であり、本実施形態においては、通信回路142とBluetooth(登録商標)の通信を行う。アクチュエータ駆動回路240は、アクチュエータ205及びアクチュエータ217の動作を制御するための回路であり、CPU132によって後述のイニシャライズ処理が実行されると、CPU232の指示に従って、アクチュエータ205とアクチュエータ217を駆動する。LED駆動回路242は、LED212及びLED215の動作を制御するための回路であり、CPU232の指示に従って、LED212又はLED215を駆動して、スキャン面Sに配置された書類の所定領域又はチャート216のいずれかを照明する。センサ回路244は、位置検出センサ220、222及びスイッチ206から入力される信号を処理するための回路であり、CPU232の指示に従って、位置検出センサ220、222によって検出された位置情報、及びスイッチ206のステータス信号を出力する。
【0040】
上述のように、本実施形態においては、通信回路142と通信回路238との通信によって情報処理端末100の制御回路130とイメージスキャナユニット200の制御回路230とが接続され、情報処理端末100とイメージスキャナユニット200が連携して動作するように構成されている。
【0041】
次に、情報処理端末100で実行されるスキャナ用アプリの各処理を説明しながら、情報処理端末100とイメージスキャナユニット200の動作について説明する。
【0042】
図6は、情報処理端末100のCPU132で実行されるスキャナ用アプリのフローチャートである。また、
図7は、スキャナ用アプリのイニシャライズ処理ルーチンを説明するフローチャートである。
【0043】
図6に示すように、情報処理端末100及びイメージスキャナユニット200の電源がオンされ、スキャナ用アプリ及びスキャナ用プログラムが実行されると、CPU132は、ステップS1を実行する。
【0044】
ステップS1では、CPU132は、通信回路142を制御して通信回路238と通信し、
図7のステップS10〜S32で示されるイニシャライズ処理ルーチンを実行する。
【0045】
ステップS10では、CPU132は、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、CPU232に接続されているセンサ回路244によって、スイッチ206の押下が検出されているか否か(つまり、情報処理端末100がイメージスキャナユニット200に装着されているか否か)を検出する。そして、スイッチ206の押下が検出されていない場合(S10:NO)、未だ情報処理端末100がイメージスキャナユニット200に装着されていないと判断して、情報処理端末100がイメージスキャナユニット200に装着されるまでステップS10を繰り返し実行し、スイッチ206の押下が検出されると(S10:YES)、処理はステップS12に進む。
【0046】
ステップS12では、CPU132は、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、アクチュエータ駆動回路240を制御し、反射ミラー214を退避位置に移動させる(つまり、反時計回りに回動させる)。反射ミラー214が退避位置まで移動すると、チャート216の像が光路BXによってカメラユニット120に導かれる。次いで、処理はステップS14に進む。
【0047】
ステップS14では、CPU132は、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、LED駆動回路242を制御し、LED215を点灯させる。LED215が点灯するとチャート216が照明され、撮像素子122の撮像面上にチャート像が得られる。次いで、処理はステップS16に進む。
【0048】
ステップS16では、CPU132は、カメラユニット120を制御し、チャート像の撮像を行う。そして、撮像されたチャート像は、静止イメージデータとしてROM134に記憶される。次いで、処理はステップS18に進む。
【0049】
ステップS18では、CPU132は、ステップS16で記憶されたチャート像について縦方向及び横方向のMTFを求め、ステップS20に進む。なお、本実施形態においては、反射ミラー213によってチャート像が90°回転するため、本明細書においては、以下、縦方向のMTFをX方向のMTFと呼び、横方向のMTFをY方向のMTFと呼ぶ。
【0050】
ステップS20では、CPU132は、ステップS18で得られたチャート像のX方向のMTFが所定値以上であるか否かを判断する。チャート像のX方向のMTFが所定値以上である場合(S20:YES)、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とがX方向において略一致していると判断して、ステップS24に進む。一方、チャート像のX方向のMTFが所定値よりも小さい場合(S20:NO)、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とがX方向においてずれていると判断して、ステップS22に進む。
【0051】
ステップS22では、CPU132は、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、アクチュエータ駆動回路240を制御し、アクチュエータ205を介して補正レンズ204をX方向に所定量移動させる。次いで、処理はステップS16に戻り、ステップS20において、チャート像のX方向のMTFが所定値以上であると判断されるまで(つまり、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とがX方向において略一致するまで)、ステップS16〜22の処理が繰り返し実行される。なお、本実施形態においては、ステップS16〜22によって、チャート像のX方向のMTFが所定値以上となるように補正レンズ204をX方向に移動させる構成としているが、別の実施形態としては、チャート像のX方向のMTFが最大となるように補正レンズ204をX方向に移動させる構成としてもよい。
【0052】
ステップS24では、CPU132は、ステップS18で得られたチャート像のY方向のMTFが所定値以上であるか否かを判断する。チャート像のY方向のMTFが所定値以上である場合(S24:YES)、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とがY方向において略一致していると判断して、ステップS30に進む。一方、チャート像のY方向のMTFが所定値よりも小さい場合(S24:NO)、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とがY方向においてずれていると判断して、ステップS26に進む。
【0053】
ステップS26では、CPU132は、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、アクチュエータ駆動回路240を制御し、アクチュエータ205を介して補正レンズ204をY方向に所定量移動させる。次いで、処理はステップS28に進む。
【0054】
ステップS28では、CPU132は、カメラユニット120を制御し、チャート像の撮像を行う。そして、撮像されたチャート像は、静止イメージデータとしてROM134に記憶される。次いで、処理はステップS24に戻り、ステップS24において、チャート像のY方向のMTFが所定値以上であると判断されるまで(つまり、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とがY方向において略一致するまで)、ステップS24〜28の処理が繰り返し実行される。なお、本実施形態においては、ステップS24〜28によって、チャート像のY方向のMTFが所定値以上となるように補正レンズ204をY方向に移動させる構成としているが、別の実施形態としては、チャート像のY方向のMTFが最大となるように補正レンズ204をY方向に移動させる構成としてもよい。
【0055】
ステップS30では、CPU132は、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、LED駆動回路242を制御し、LED215を消灯させ(つまり、チャート216の照明をオフし)、ステップS32に進む。
【0056】
ステップS32では、CPU132は、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、アクチュエータ駆動回路240を制御し、反射ミラー214を所定の位置に移動させ(つまり、時計回りに回動させ)、本ルーチンが終了する。なお、反射ミラー214が所定の位置まで移動すると、原稿像が光路AXによってカメラユニット120に導かれる。
【0057】
以上のように、ステップS10〜S32で示されるイニシャライズ処理ルーチンが実行されると、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とが略一致することとなる。そして、イニシャライズ処理ルーチンが終了すると、処理は、ステップS2(
図6)に進む。
【0058】
ステップS2では、CPU132は、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、LED駆動回路242を制御し、LED212を消灯させると共に、カメラユニット120を制御し、原稿像の撮像を開始する。次いで、処理はステップS3に進む。
【0059】
ステップS3では、CPU132は、LCD駆動回路140を制御し、ステップS2で撮像された原稿像(つまり、カメラユニット120でキャプチャされた画像)を繰り返しLCD110に表示する。ついで、処理はステップS4に進む。
【0060】
ステップS4では、CPU132は、LCD110に表示される不図示のスキャンスタートボタンが押下されるのを待つ(S4:NO)。ユーザは、LCD110を見ながら、スキャン画像として取り込みたい書類上の所定領域の文字や図形がLCD110に表示されるまで、情報処理端末100及びイメージスキャナユニット200を移動させる。そして、ユーザによってスキャンスタートボタンが押下されると(S4:YES)、処理はステップS5に進む。
【0061】
ステップS5では、CPU132は、カメラユニット120を制御して原稿像を撮像し、静止イメージ(つまり、カメラユニット120でキャプチャされた画像)としてROM134に記憶する。また、CPU132は、原稿像の撮像と並行して、通信回路142、通信回路238を介してCPU232と通信し、位置検出センサ220、222によって検出された位置情報を取得し、原稿像が撮像されたときの位置情報を静止イメージに関連付けてROM134に記憶する。次いで、処理はステップS6に進む。
【0062】
ステップS6では、CPU132は、LCD110に表示される不図示のスキャン停止ボタンが押下されているか否かを判断する。スキャン停止ボタンが押下されていない場合(S6:NO)、処理はステップS5に戻り、スキャン停止ボタンが押下されるまでステップS5が繰り返し実行される。ステップS5が繰り返し実行されることにより、原稿像が所定の周期(例えば、60Hz)で撮像されるように構成されており、ユーザが、LCD110を見ながら、情報処理端末100及びイメージスキャナユニット200を移動させると、移動させた範囲(つまり、スキャン画像として取り込みたい書類上の所定領域)の静止イメージが取得される。本ステップにおいて、スキャン停止ボタンが押下されていると判断された場合(S6:YES)、処理はステップS7に進む。
【0063】
ステップS7では、CPU132は、ステップS5で記憶された複数の静止イメージ(キャプチャ画像)を各静止イメージに関連付けられた位置情報に基づいて繋ぎ合わせ、1つのスキャンイメージデータを生成する。次いで、処理はステップS8に進む。
【0064】
ステップS8では、CPU132は、LCD駆動回路140を制御し、ステップS7で生成されたスキャンイメージデータをLCD110に表示し、本プログラム(スキャナ用アプリ)を終了する。
【0065】
以上のように、ステップS1〜S8で示される処理が実行されると、ユーザが、情報処理端末100及びイメージスキャナユニット200を移動させた範囲のスキャンイメージデータが生成されて表示される。なお、本実施形態によって得られるスキャンイメージデータは、上述のイニシャライズ処理ルーチンによって、撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とが略一致した状態で得られた静止イメージから生成されたものであるため、解像度が極めて高いものとなる。
【0066】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば、本実施形態においては、本体ケース201の上面201a、壁部201b、201cとで囲まれる空間内に情報処理端末100が収容されるものとして説明したが、本体ケース201の上面201aに固定されればよく、このような構成に限定されるものではない。例えば、情報処理端末100を本体ケース201の上面201aにスライドさせることにより取り付ける構成とすることができる。
【0067】
また、本実施形態においては、アクチュエータ205によって補正レンズ204をX方向及びY方向に移動させる構成を示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータ205をZ方向に追加し、補正レンズ204をZ方向にも移動可能に構成することができる。この場合、イニシャライズ処理ルーチンにおいて、チャート像のMTFが最大となるように補正レンズ204をZ方向に移動させると、ピント調整を行うことができるため、補正レンズ204がさらに最適な位置に調整され、より高解像度の画像を得ることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態のチャート216は、所定の線幅を有する白黒のラインパターンが縦方向及び横方向(Z方向及びY方向)にそれぞれ繰り返し並んだ格子状のチャートであるものとして説明したが、MTFを測定できるものであれば、他の構成のチャートを適用することが可能である。
【0069】
また、本実施形態においては、読み取り対象となる書類を照明するための光源としてLED212を用いたが、この構成に限定されるものではない。例えば、一般的なスマートフォンは、カメラユニット用の光源として照明用LEDを備えているため、LED212に代えて、この照明用LEDを用いる構成としてもよい。この場合、イメージスキャナユニット200は、照明用LEDからの光を導光するライトガイド(光ファイバ束)を備え、これによって読み取り対象となる書類を照明する。
【0070】
また、本実施形態の反射ミラー214は、書類の所定位置で反射された反射光を反射ミラー213に向けて反射する所定の位置と、退避位置との間で移動する構成としたが、このような構成に限定されるものではない。
図8及び
図9は、本実施形態のイメージスキャナユニット200の変形例を示す図である。
【0071】
図8に示される本実施形態の変形例に係るイメージスキャナユニット200Aは、本実施形態の反射ミラー214をハーフミラー214Aに変更し、書類の所定位置で反射された反射光を反射ミラー213に向けて反射する所定の位置に固定して配置し、また、本実施形態のチャート216を所定のパターンの光を出射するチャート216Aに変更した点で、本実施形態のイメージスキャナユニット200の構成と異なる。具体的には、本変形例のチャート216Aは、内部に面発光LED光源(不図示)を備え、その前面に所定のパターンのスリット(例えば、Z方向及びY方向に延びる矩形状のスリット)を配置したものである。チャート216AのLED光源を点灯すると、LED光源から出射された光がスリットによって整形され、所定のパターンの光がハーフミラー214Aに向けて出射される。ハーフミラー214Aに入射した光は、ハーフミラー214Aを透過し、反射ミラー213によって反射され、カメラユニット120に入射する。このように、本変形例においては、チャート216AのLED光源の点灯することにより、チャート216Aの光学像をカメラユニット120に導光するための光路BX(第2の光路)が形成されるようになっており、チャート216AのLED光源の点灯/非点灯を制御することにより、光路BXの形成/非形成を制御できるようになっている。従って、本変形例のイニシャライズ処理ルーチンにおいては、チャート216AのLED光源を点灯した状態で、補正レンズ204の撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とが略一致するように補正レンズ204の位置が調整される。
【0072】
図9に示される本実施形態の変形例に係るイメージスキャナユニット200Bは、
図8に示される変形例の反射ミラー213をハーフミラー213Bに変更し、ハーフミラー214Aを反射ミラー214Bに変更し、さらにチャート216Bの配置をハーフミラー213Bの下方の位置(本体ケース201の底板内面上)に変更した点で、
図8の変形例のイメージスキャナユニット200Aの構成と異なる。具体的には、本変形例のチャート216Bは、チャート216Aと同様、内部に面発光LED光源(不図示)を備え、その前面に所定のパターンのスリット(例えば、X方向及びY方向に延びる矩形状のスリット)を配置したものである。チャート216BのLED光源を点灯すると、LED光源から出射された光がスリットによって整形され、所定のパターンの光がハーフミラー213Bに向けて出射される。ハーフミラー213Bに入射した光は、ハーフミラー213Bを透過し、カメラユニット120に入射する。このように、本変形例においては、チャート216BのLED光源の点灯することにより、チャート216Bの光学像をカメラユニット120に導光するための光路BX(第2の光路)が形成されるようになっており、チャート216BのLED光源の点灯/非点灯を制御することにより、光路BXの形成/非形成を制御できるようになっている。従って、本変形例のイニシャライズ処理ルーチンにおいては、チャート216BのLED光源を点灯した状態で、補正レンズ204の撮像レンズ121の光軸と補正レンズ204の光軸とが略一致するように補正レンズ204の位置が調整される。
【0073】
また、本実施形態の補正レンズ204は、1枚の非球面レンズで構成されるものとして説明したが、この構成に限定されるものではない。
図10は、本実施形態の補正レンズ204の変形例を示すものである。
図10に示すように、本変形例の補正レンズ204Aは、光軸を揃えて近接して配置された3枚のレンズ(第1レンズ204a、第2レンズ204b、第3レンズ204c)で構成されている点で本実施形態の補正レンズ204(
図4)と異なる。なお、
図10においては、
図4と同様、説明の便宜のため、スキャン面Sの位置、撮像レンズ121の位置、撮像素子122の位置をそれぞれ直線で示し、撮像素子122の画面中心部及び周辺部に結像する光の光路を示している。
【0074】
図10に示すように、本変形例の補正レンズ204Aは、スキャン面S側から順に第1レンズ204a、第2レンズ204b、第3レンズ204cを備えたテレセントリック光学系である。なお、第1レンズ204aは、凸面の入射面と凸面の出射面とを備え、第2レンズ204bは凸面の入射面と凹面の出射面とを備え、第3レンズ204cは凸面の入射面と凹面の出射面とを備えている。このように、補正レンズ204にテレセントリック光学系を採用すると、光束の中心である主光線がレンズの光軸と平行であるため、書類の皺などの影響により補正レンズ204Aとスキャン面Sとの間の距離が変化するような場合でも、像の倍率は変わらず像歪みの変化が小さい原稿像を得ることができる。