(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二次電池の端子に電流の大きさが一定である直流である定電流が入力され、前記定電流が前記端子に入力される充電区間の間で、間欠的に前記定電流の大きさと同じ電流ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転することを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
前記電流発生器は、前記二次電池の端子に前記定電流を出力し、前記定電流の充電区間の間で、間欠的に前記定電流の大きさと同じ電流ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力し、
前記交流の電圧ピーク値は、前記定電流の充電区間での前記二次電池の端子に入力される定電流の電圧値の増加に比例して増加することを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
前記二次電池の端子に電圧の大きさが一定である直流である定電圧が入力され、前記定電圧が前記端子に入力される充電区間の間で、間欠的に前記定電圧の大きさと同じ電圧ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転することを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
前記電流発生器は、前記定電圧を出力し、前記定電圧の充電区間の間で、間欠的に前記定電圧の大きさと同じ電圧ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力し、
前記交流の電流ピーク値は、前記定電圧の充電区間での前記二次電池の端子に入力される定電圧の電流値の減少に比例して減少することを特徴とする請求項4に記載の充電装置。
前記交流を出力するステップは、前記定電流を出力するステップでの前記二次電池の端子に入力される定電流の電圧値の増加に比例して増加する電圧ピーク値を有する交流を出力することを特徴とする請求項10に記載の充電方法。
前記交流を出力するステップは、前記定電圧を出力するステップでの前記二次電池の端子に入力される定電圧の電流値の減少に比例して減少する電流ピーク値を有する交流を出力することを特徴とする請求項12に記載の充電方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、リチウム電池内のリチウムデンドライトの成長を抑制しながら、リチウム電池を充電できる装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、本発明の一側面による二次電池の充電装置は、二次電池の端子間の電圧を検出する電圧検出器、前記二次電池を充電するための電流を生成して、前記二次電池の端子に出力する電流発生器、及び前記電圧検出器によって検出された電圧の値に基づいて、前記電流発生器を制御する制御器を備え、前記二次電池の端子に前記端子間の電流の方向が一定である直流が入力され、前記直流が前記端子に入力される充電区間の間で、間欠的に前記端子間の電流方向が周期的に逆転する。
【0006】
前記電流発生器は、前記二次電池の端子に前記直流を出力し、前記直流の充電区間の間で、間欠的に前記端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力する。
【0007】
前記二次電池の端子に電流の大きさが一定である直流である定電流が入力され、前記定電流が前記端子に入力される充電区間の間で、間欠的に前記定電流の大きさと同じ電流ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転する。
【0008】
前記電流発生器は、前記二次電池の端子に前記定電流を出力し、前記定電流の充電区間の間で、間欠的に前記定電流の大きさと同じ電流ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力し、前記交流の電圧ピーク値は、前記定電流の充電区間での前記二次電池の端子に入力される定電流の電圧値の増加に比例して増加する。
【0009】
前記二次電池の端子に電圧の大きさが一定である直流である定電圧が入力され、前記定電圧が前記端子に入力される充電区間の間で、間欠的に前記定電圧の大きさと同じ電圧ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転する。
【0010】
前記電流発生器は、前記定電圧を出力し、前記定電圧の充電区間の間で、間欠的に前記定電圧の大きさと同じ電圧ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力し、前記交流の電流ピーク値は、前記定電圧の充電区間での前記二次電池の端子に入力される定電圧の電流値の減少に比例して減少する。
【0011】
前記交流の周波数は、前記交流の特性と前記交流の周波数との対応関係によって決定される。
【0012】
前記充電装置は、前記二次電池の温度を検出する温度検出器をさらに備え、前記交流の電流ピーク値、電圧ピーク値、及び周波数のうち少なくとも一つは、前記温度検出器によって検出された温度値によって調整される。
【0013】
前記二次電池には、負荷が連結されており、前記電流発生器は、前記二次電池の端子に前記直流を出力し、前記充電区間の間で、間欠的に前記直流の出力を中断することによって、前記二次電池から前記負荷に電流を流す。
【0014】
本発明の一側面による二次電池の充電方法は、二次電池の端子に、前記端子間の電流の方向が一定である直流を出力するステップ、前記直流の出力を中断し、前記二次電池の端子に前記端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力するステップ、及び前記交流の出力を中断し、前記二次電池の端子に、前記端子間の電流の方向が一定である直流を出力するステップを含む。
【0015】
前記直流を出力するステップは、前記二次電池の端子に電流の大きさが一定である直流である定電流を出力し、前記交流を出力するステップは、前記定電流の出力を中断し、前記定電流の大きさと同じ電流ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力する。
【0016】
前記交流を出力するステップは、前記定電流を出力するステップでの前記二次電池の端子に入力される定電流の電圧値の増加に比例して増加する電圧ピーク値を有する交流を出力する。
【0017】
前記直流を出力するステップは、前記二次電池の端子に、電圧の大きさが一定である直流である定電圧を出力し、前記交流を出力するステップは、前記定電圧の出力を中断し、前記定電圧の大きさと同じ電圧ピークの範囲内で、前記端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力する。
【0018】
前記交流を出力するステップは、前記定電圧を出力するステップでの前記二次電池の端子に入力される定電圧の電流値の減少に比例して減少する電流ピーク値を有する交流を出力する。
【発明の効果】
【0019】
本実施形態によれば、リチウム電池の負極上でのリチウムデンドライトの成長を抑制しながら、リチウム電池を充電する。特に、本願の実施形態は、従来の急速充電方式、例えば、CC−CV充電方式に適用されるため、リチウム電池の負極上でのリチウムデンドライトの成長を抑制しながら、リチウム電池を急速に充電する。リチウム電池の反復的な充放電過程でリチウムデンドライトが成長するが、このようなリチウムデンドライトの成長によって引き起こされるリチウム電池内部の短絡の発生を除去するか、または遅延させる。その結果、リチウムメタルが負極素材として採用されたリチウム電池の商用化の時期を繰り上げる。さらに、リチウムメタル以外に、黒鉛(Graphite)が負極素材として採用されたリチウム電池にも、本願の実施形態を適用する場合に、上述の効果と類似した効果が現れる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下では、直流(Direct Current)を“DC”と簡略に称し、交流(Alternating Current)を“AC”と簡略に称する。一般的に、二次電池(Rechargeable Battery)は、負荷で要求する電力に対応するために、複数の単位セルが直列または並列に連結されたパック(Pack)状に製造される。以下では、一つの単位セル及び複数のセルが連結されたパックをいずれも包括して、簡略に二次電池と称する。公知の二次電池としては、リチウム(Lithium)電池、ニッケル−カドミウム(Nickel−Cadmium)電池、ニッケル−水素(Nickel−Hydrogen)電池、鉛蓄電池(Lead Storage Battery)がある。以下で、二次電池をリチウム電池に限定して説明するが、本発明の実施形態は、リチウム電池以外に、他の種類の二次電池にも適用される。
【0022】
図1A及び
図1Bは、リチウム−空気電池の充放電の原理を示した図面である。代表的なリチウム電池としては、リチウム−イオン(Lithium−Ion)電池、リチウム−イオンポリマー(Lithium−Ion Polymer)電池、リチウム−空気(Lithium−air)電池が挙げられる。このようなリチウム電池の大部分は、負極(Cathode)の材料としてリチウムメタルを使用する。例えば、リチウム−空気電池の負極の素材は、リチウムメタルである。
【0023】
図1A及び
図1Bを参照すれば、リチウム電池の電解質内のリチウムイオン(Li
+)は、充電中には正極(Anode)から負極(Cathode)に移動し、放電中には、負極から正極に移動する。リチウム電池の充電によって、リチウム電池の負極にリチウムイオンが堆積(Deposit)される時に、負極の表面に均等に堆積されず、不規則に堆積される。これにより、リチウム電池の負極上に樹枝状のリチウムデンドライト(Twig−like Lithium Dendrite)が形成される。このようなリチウムデンドライトは、充放電の反復によって次第に成長するが、結局、正極に達し、リチウム電池の内部短絡が発生し、その結果、リチウム電池が発火することもある。
【0024】
リチウム電池の電解質内のリチウムイオンの拡散(Diffusion)によって、リチウムデンドライトの成長が抑制される。リチウム電池の充電中に、正極から負極に移動するリチウムイオンの方向を逆転(Reverse)させることによって、負極から正極にリチウムイオンが移動し、再び正極から負極にリチウムイオンが移動するように、リチウムイオンの移動方向を逆転させれば、リチウム電池の電解質内のリチウムイオンの分布は、拡散される。特に、このような動作を短時間内に数回反復することによって、リチウム電池の電解質内のリチウムイオンの分布は、さらに拡散される。以下、このような点に着眼して考案された充電装置を記述する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態によるリチウム電池2の充電装置1の構成図である。
図2を参照すれば、リチウム電池2の充電装置1は、ユーザインタフェース11、電圧検出器12、電流検出器13、温度検出器14、電流発生器15、及び制御器16で構成される。
図2に示されたハードウェア要素は、一例に過ぎない。例えば、リチウム電池2の充電装置1は、ユーザインタフェース11のようなハードウェア要素を含んでいない形態に設計されてもよく、宅内電源から出力される交流を、ハードウェア要素を駆動するための直流に変換するAC/DCコンバータのようなハードウェア要素をさらに含む形態に設計されてもよい。
【0026】
ユーザインタフェース11は、制御器16から出力された信号が表すリチウム電池2の充電情報をユーザに表示するか、またはユーザからリチウム電池2の充電に必要な情報を入力される。電圧検出器12は、リチウム電池2の端子間の電圧を検出する。電流検出器13は、リチウム電池2の端子間に流れる電流を検出する。温度検出器14は、リチウム電池2の温度を検出する。電流発生器15は、リチウム電池2を充電するための電流を生成して、リチウム電池2の端子に出力する。制御器16は、電圧検出器12によって検出された電圧に基づいて、電流発生器15を制御する。また、制御器16は、電圧検出器12によって検出された電圧以外に、電流検出器13に検出された電流の値、温度検出器14によって検出された温度の値に基づいて、電流発生器15を制御する。
【0027】
図3A及び
図3Bは、従来技術及び本発明の一実施形態によるリチウム電池2の充電電流の波形を示した図面である。
図3Aに示したように、従来には、リチウム電池2の端子に、この端子間の電流の方向が一定である直流、すなわち、リチウム電池2の負極から正極に一方向に流れる直流が入力されることによって、リチウム電池2の充電が進められる。
図3Bに示したように、
図2に示された充電装置では、リチウム電池2を充電させると同時に、リチウム電池2のリチウムデンドライトの成長を抑制するために、リチウム電池2の端子に、この端子間の電流の方向が一定である直流が入力されることによって、リチウム電池2が充電され、このように、直流が入力される充電区間の間で、間欠的にこの端子間の電流方向が周期的に逆転する。リチウム電池2の端子間の電流方向が周期的に逆転する区間が長い場合に、リチウム電池2の充電が遅れるため、この区間を、直流が入力される充電区間に比べて、非常に短く設計する。
【0028】
リチウム電池2の負極から正極に電流が流れれば、リチウム電池2は、充電され、リチウム電池2の正極から負極に電流が流れれば、リチウム電池2が放電される。
図3Bで、リチウム電池2の端子間の電流方向が周期的に逆転する区間では、リチウム電池2が充電される時の電流の流れと、リチウム電池2が放電される時の電流の流れとが周期的に反復される。このような電流の流れは、電流発生器15が制御器16の制御によってリチウム電池2の端子に直流を出力し、リチウム電池2の端子に直流が入力される充電区間の間で、間欠的にこの端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力することによって具現される。すなわち、電流発生器15は、制御器16の制御によって直流を出力し、この直流による充電区間の間で、間欠的に交流を出力することによって、充電区間の間で、間欠的に端子間の電流方向が周期的に逆転する。電流発生器15によって生成される交流の波形は、
図3Bに示したような正弦波(Sine Wave)でもあり、三角波(Triangular Wave)または矩形波(Square Wave)でもある。
リチウム電池2の充電は、外部からの電気エネルギーがリチウム電池2に保存される過程である一方、リチウム電池2の放電は、リチウム電池2に保存された電気エネルギーが外部に放出される過程である。したがって、電流発生器15がリチウム電池2に交流を出力するというのは、電流発生器15から出力された交流の電流方向によって、リチウム電池2の充電過程及び放電過程を強制的に早く反復させることを意味する。一方、
図3Bで、リチウム電池2の放電に当たる電流が流れる区間、すなわち、
図3Bに示された波形で、電流値が0未満である波形を有する区間では、リチウム電池2に保存された電気エネルギーが外部に放出されるため、充電装置1を保護するために、電流発生器15または他のハードウェア要素で、このように放出されたエネルギーを消耗できる素子が設けられる。このような素子の代表的な例としては、抵抗が挙げられる。
【0029】
一方、
図2に示したように、リチウム電池2には、負荷3が連結されている。負荷3及びリチウム電池2は、常に連結された状態であってよく、ユーザによって選択的に連結されてもよい。前者は、携帯電話、電気自動車のように、リチウム電池2及び充電装置1がある装置に内蔵されたケースに当たり、後者は、充電装置1がある装置から分離して存在するケースに当たる。前述したように、リチウム電池2の端子間の電流方向が周期的に逆転する区間では、リチウム電池2が充電される時の電流の流れと、リチウム電池2が放電される時の電流の流れとが周期的に反復される。ここで、リチウム電池2が放電される時の電流の流れは、リチウム電池2から負荷3に電流を流すことによって具現される。
【0030】
電流発生器15は、制御器16の制御によってリチウム電池2の端子に直流を出力し、直流が出力される充電区間の間で、間欠的に直流の出力を中断することによって、リチウム電池2から負荷3に電流を流す。リチウム電池2から負荷3に流れる電流の量が充分でなければ、電流発生器15は、制御器16の制御によってリチウム電池2から放出されねばならない電流の目標量と、リチウム電池2から負荷3に流れる電流の量との差に当たる大きさの電流値を有する交流をリチウム電池2に出力する。リチウム電池2と負荷3とを連結する電力線に、電流検出器を追加的に挿入し、この電流検出器によって検出された電流の値から、リチウム電池2から負荷3に流れる電流の量が十分であるか否かが決定される。
【0031】
電流発生器15は、このように直流と交流が混合された波形を有する充電電流を生成するために、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータの組み合わせで具現される。制御器16は、電流発生器15のDC/DCコンバータを制御することによって、電流発生器15がリチウム電池2の充電に適した直流を生成させ、電流発生器15のDC/ACコンバータを制御することによって、リチウム電池の電解質内のリチウムイオンの拡散に適した交流を生成させる。制御器16は、充電プログラムが保存された少なくとも一つのROM(Read Only Memory)、データを一時的に保存する少なくとも一つのRAM(Random Access Memory)、ROMに保存された充電プログラムをRAMのデータ保存機能を利用して実行する少なくとも一つのプロセッサ(Processor)で具現される。制御器16は、電圧検出器12、電流検出器13、温度検出器14から出力された信号がアナログ信号である場合に、このアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータをさらに備える。
【0032】
これまで発表されたリチウム電池の急速充電方式としては、定電流−定電圧(Constant Current−Constant Voltage)充電方式、ブースト(Boost)充電方式、定電力−定電圧(Constant Power−Constant Voltage)充電方式、多段階定電流−定電圧(Multistage Constant Current−Constant Voltage)充電方式がある。以下では、このような急速充電方式のうち、最も広く使われる定電流−定電圧充電方式に、前述した充電方式を適用した実施形態を説明する。しかし、前述した充電方式は、定電流−定電圧充電方式以外に、他の急速充電方式にも適用される。定電流−定電圧充電方式は、簡略にCC−CV充電方式とも称される。
【0033】
図4A及び
図4Bは、従来技術及び本発明の一実施形態によるリチウム電池2の定電流充電区間での充電電流の波形を示した図面である。
図4Aに示したように、従来には、リチウム電池2の端子に定電流の大きさI
chの約10分の1に当たる電流が入力されるプレチャージ(Precharge)が実行され、プレチャージが完了した後に、リチウム電池2の端子間の電圧が4.2Vに達するまで、電流の大きさがI
chで一定した直流である定電流が入力され続ける。プレチャージは、一般的に、リチウム電池2が2.9V以下に放電された場合に実施される。定電流の大きさI
chは、リチウム電池2の容量によって決定される。
【0034】
図4Bに示したように、
図2に示された充電装置では、リチウム電池2を充電させると同時に、リチウム電池2のリチウムデンドライトの成長を抑制するために、リチウム電池2の端子に電流の大きさがI
chで一定した直流である定電流が入力されることによって、リチウム電池2が充電され、このように、定電流が入力される充電区間の間で、間欠的に定電流の大きさと同じ電流ピーク(Peak)の範囲内で、この端子間の電流方向が周期的に逆転する。このような電流の流れは、電流発生器15が制御器16の制御によってリチウム電池2の端子に直流を出力し、リチウム電池2の端子に直流が入力される充電区間の間で、間欠的に定電流の大きさと同じ電流ピークの範囲内で、この端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力することによって具現される。
【0035】
図5A及び
図5Bは、従来技術及び本発明の一実施形態によるリチウム電池2の定電圧充電区間での充電電流の波形を示した図面である。
図5Aに示したように、従来には、リチウム電池2の端子間の電圧が4.2Vに達すれば、定電流充電は終了し、リチウム電池2の端子に電圧の大きさが4.2Vで一定した直流である定電圧が入力される。
図4Aに示したように、定電圧充電区間で、充電電流の大きさは、リチウム電池2の端子間の電圧が上昇するほど減少する。充電電流の電流値が所定の臨界値、例えば、定電流充電区間での定電流I
chの約10分の1まで減少すれば、リチウム電池2の充電は、終了する。
【0036】
図5Bに示したように、
図2に示された充電装置では、リチウム電池2を充電させると同時に、リチウム電池2のリチウムデンドライトの成長を抑制するために、リチウム電池2の端子に電圧の大きさが4.2Vで一定した直流である定電圧が入力されることによって、リチウム電池2が充電され、このように、定
電圧が入力される充電区間の間で、間欠的に定電圧の大きさと同じ電圧ピークの範囲内で、この端子間の電流方向が周期的に逆転する。このような電流の流れは、電流発生器15が制御器16の制御によってリチウム電池2の端子に直流を出力し、リチウム電池2の端子に直流が入力される充電区間の間で、間欠的に定電圧の大きさと同じ電圧ピークの範囲内で、この端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力することによって具現される。
【0037】
前述したように、定電流充電区間で交流の電流の大きさを制限することによって、定電流充電方式で定義された電流の値を外れた過電流(Overcurrent)をリチウム電池2に入力させない。
図5Aに示したように、定電流充電区間では、定電流の電圧値が次第に増加する。これにより、定電流充電区間で挿入される交流の電圧ピーク値は、定電流充電区間でのリチウム電池2の端子に入力される定電流の電圧値の増加に比例して増加する。これは、制御器16が電圧検出器12によって検出された電圧をモニタリングし、このようにモニタリングされた電圧値の変化に基づいて、電流発生器15が電圧検出器12によって検出された電圧値の増加に比例して増加する電圧ピーク値を有する交流を生成するように、電流発生器15を制御することによって具現される。
【0038】
また、定電圧充電区間で交流の電圧の大きさを制限することによって、定電圧充電方式で定義された電圧の範囲を外れた過電圧(Overvoltage)をリチウム電池2に入力させない。
図4A及び
図5Aを参照すれば、定電圧充電区間(CV Charge)では、定電圧充電区間に対応する電流値が次第に減少する。これにより、定電圧充電区間で挿入される交流の電流ピーク値は、定電圧充電区間でのリチウム電池2の端子に入力される定電圧の電流値の減少に比例して減少する。これは、制御器16が電流検出器13によって検出された電流をモニタリングし、このようにモニタリングされた電流値の変化に基づいて、電流発生器15が電流検出器13によって検出された電流値の減少に比例して減少する電流ピーク値を有する交流を生成するように、電流発生器15を制御することによって具現される。
【0039】
前述したように、
図2に示された充電装置では、リチウム電池2を充電させると同時に、リチウム電池2のリチウムデンドライトの成長を抑制するために、電流発生器15は、制御器16の制御によってリチウム電池2の端子に直流を出力し、リチウム電池2の端子に直流が入力される充電区間の間で、間欠的にこの端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力する。リチウム電池2の電解質内のリチウムイオンの分布をさらに拡散させるためには、リチウム電池2の充電によって一定に移動するリチウムイオンが、電解質内で不規則に動くように誘導せねばならない。リチウム電池2の電解質内のリチウムイオンが不規則に動くように誘導するためには、交流の強度を大きくするよりは、交流の周波数を高くすることが望ましい。
【0040】
一方、
図2に示された充電装置1では、リチウム電池2に常に同じ特性の交流が入力されるのではなく、リチウム電池2の充電状態によって、それぞれ異なる特性の交流が入力される。このような交流の特性を無視し、交流の周波数を高めることで、リチウム電池2及び充電装置1を損傷させる恐れがある。例えば、高い電流ピーク値または高い電圧ピーク値を有する交流の周波数が高い場合に、リチウム電池2及び充電装置1は、過熱される。これを防止するために、リチウム電池2の端子に入力される交流の周波数は、交流の特性と交流の周波数との対応関係によって決定される。これを実現するために、異なる特性の交流ごとに、実験を通じてリチウム電池2のリチウムデンドライトの成長を抑制するための最適な周波数が決定され、交流の特性と交流の周波数との対応関係を表すデータが作成される。制御器16は、交流の特性と交流の周波数との対応関係を表すデータを参照して、電圧検出器12によって検出された電圧値及び電流検出器13によって検出された電流値から交流の周波数を決定し、電流発生器15が、このように決定された周波数を有する交流を生成するように、電流発生器15を制御する。
【0041】
リチウム電池2が過放電または過充電される場合に、リチウム電池2は、損傷される恐れがある。この場合に、リチウム電池2の温度は、上昇する。リチウム電池2の充電が開始された後で、最初にリチウム電池2の端子に入力される交流は、リチウム電池2の放電を誘発するため、リチウム電池2の過放電が発生する可能性がある。このようなリチウム電池2の過放電または過充電を防止するために、制御器16は、温度検出器14によって検出されたリチウム電池2の温度値によって、リチウム電池2の端子に入力される交流の電流ピーク値、電圧ピーク値、及び周波数のうち少なくとも一つを調整し、電流発生器15が、このように調整された電流ピーク値、電圧ピーク値、及び周波数を有する交流を生成するように、電流発生器15を制御する。
【0042】
前述したように、
図4A及び
図5Aには、従来のCC−CV充電方式が示されており、
図4B及び
図5Bには、リチウム電池2を充電させると同時に、リチウム電池2のリチウムデンドライトの成長を抑制するための新たな充電方式が示されている。
図4B及び
図5Bに示された充電方式で、リチウム電池2に交流が入力される区間は、リチウム電池2の充電に大きく寄与しない。リチウム電池2のリチウムデンドライトの成長を抑制しながら、リチウム電池2の充電をさらに早く完了するために、
図4A及び
図5Aに示された従来のCC−CV充電方式と、
図4B及び
図5Bに示された充電方式とは、共に使われる。例えば、制御器16は、
図4A及び
図5Aに示された従来のCC−CV充電方式によってリチウム電池2が充電されるように、電流発生器15を制御することによって、リチウム電池2の充電を完了し、リチウム電池2の放電以後に、次のリチウム電池2の充電では、
図4B及び
図5Bに示された充電方式によってリチウム電池2が充電されるように、電流発生器15を制御することによって、リチウム電池2の充電を完了する。
図4A及び
図5Aに示された従来のCC−CV充電方式を数回行った以後に、
図4B及び
図5Bに示された充電方式を行うか否かは、ユーザインタフェース11を通じて入力されたユーザの指定値、またはリチウム電池2のエージング状態を考慮した実験データに基づいて決定される。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態によるリチウム電池2の充電方法を示すフローチャートである。
図6を参照すれば、本実施形態によるリチウム電池2の充電方法は、
図2に示された充電装置1で、時系列的に処理されるステップで構成される。したがって、以下省略された内容であるとしても、
図2に示された充電装置1について前述した内容は、後述するリチウム電池2の充電方法にも適用される。
【0044】
61ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子間の電圧値に基づいて、リチウム電池2の端子に、この端子間の電流の方向が一定である直流を出力する。前述したように、リチウム電池2の端子に出力される直流の電圧値及び電流値は、リチウム電池2の端子間の電圧値によって決定され、リチウム電池2の端子間の電流値またはリチウム電池2の温度値も、共に考慮して決定される。62ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子への直流出力を中断し、リチウム電池2の端子に、この端子間の電流の方向が周期的に逆転する交流を出力する。前述したように、リチウム電池2の端子に出力される交流の電圧ピーク値、電流ピーク値、及び周波数は、予め定義されてもよいが、リチウム電池2の端子間の電圧値、電流値、リチウム電池2の温度値を考慮して決定されてもよい。63ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子への交流出力を中断し、リチウム電池2の端子間の電圧値に基づいて、リチウム電池2の端子に、再び直流を出力する。
【0045】
64ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子間の電圧値と、リチウム電池2の端子に入力される充電電流の電流値とに基づいて、リチウム電池2の充電が完了したか否かを決定する。リチウム電池2の充電が完了したら、リチウム電池2の充電を終了し、そうでなければ、61ステップに戻る。リチウム電池2の電解質内のリチウムイオンの拡散効果は、若干の交流だけでも達成されるため、リチウム電池2の充電遅延の防止のために、62ステップでの交流充電区間の長さは、61ステップ及び63ステップでの直流充電区間の長さに比べて、非常に短く設定される。例えば、62ステップでの交流充電区間の長さは、61ステップ及び63ステップでの直流充電区間の長さの10分の1に設定される。
【0046】
一方、64ステップは、常に63ステップ以後にだけ行われるものではなく、リチウム電池2の充電中に常に行われる。例えば、リチウム電池2の充電中のいずれかの時点でも、リチウム電池2の電圧が所定の臨界値、例えば、4.2Vを超えたと検出されれば、直ぐリチウム電池2の充電が中断される。これは、主にリチウム電池2の内部のセルバランシング(Cell Balancing)の問題によって、リチウム電池2の充電が正常に行われない場合に発生する。
【0047】
図7は、
図6に示された充電方法が適用された新たなCC−CV充電方法を示すフローチャートである。
図7を参照すれば、本実施形態による新たなCC−CV充電方法は、
図2に示された充電装置1で、時系列的に処理されるステップで構成される。したがって、以下省略された内容であるとしても、
図2に示された充電装置1、及び
図6に示された充電方法について前述した内容は、後述する新たなCC−CV充電方法にも適用される。
【0048】
71ステップで、充電装置1は、リチウム電池2に対するプレチャージを行う。71ステップは、常に行われるものではなく、リチウム電池2の端子間の電圧が2.9V以上である場合であれば、省略される。72ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子間の電圧値に基づいて、リチウム電池2の端子に、電流の大きさがI
chで一定した直流である定電流を出力する。73ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子への定電流出力を中断し、リチウム電池2の端子に定電流の大きさと同じ電流ピークの範囲内で、この端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力する。また、充電装置1は、このような電流ピークの範囲内で、72ステップでのリチウム電池2の端子に入力される定電流の電圧値の増加に比例して増加する、電圧ピーク値を有する交流を出力する。
【0049】
74ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子への交流出力を中断し、リチウム電池2の端子間の電圧値に基づいて、リチウム電池2の端子に再び定電流を出力する。75ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子間の電圧値が4.2Vに達すれば、76ステップに進み、そうでなければ、72ステップに戻る。72ステップから74ステップまでは、定電流充電過程に当たり、後述する76ステップから78ステップまでは、定電圧充電過程に当たる。
【0050】
76ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子間の電圧値に基づいて、リチウム電池2の端子に、電圧の大きさが4.2Vで一定した直流である定電圧を出力する。77ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子への定電圧出力を中断し、リチウム電池2の端子に、定電圧の大きさと同じ電圧ピークの範囲内で、この端子間の電流方向が周期的に逆転する交流を出力する。また、充電装置1は、このような電圧ピークの範囲内で、72ステップでのリチウム電池2の端子に入力される定電圧の電流値の減少に比例して減少する、電流ピーク値を有する交流を出力する。
【0051】
78ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子への交流出力を中断し、リチウム電池2の端子間の電圧値に基づいて、リチウム電池2の端子に再び定電圧を出力する。79ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子に入力される充電電流の電流値に基づいて、リチウム電池2の充電が完了したか否かを決定する。例えば、79ステップで、充電装置1は、リチウム電池2の端子に入力される充電電流の電流値が、定電流充電区間での定電流の値I
chの約10分の1まで減少すれば、リチウム電池2の充電が完了したと決定する。リチウム電池2の充電が完了したら、リチウム電池2の充電を終了し、そうでなければ、76ステップに戻る。
【0052】
上述のような実施形態によれば、リチウム電池の負極上に、リチウムデンドライトの成長を抑制しながら、リチウム電池を充電する。特に、このような実施形態は、従来の急速充電方式、例えば、CC−CV充電方式に適用されるため、リチウム電池の負極上でのリチウムデンドライトの成長を抑制しながら、リチウム電池を急速に充電する。リチウム電池の反復的な充放電過程でリチウムデンドライトが成長するが、このようなリチウムデンドライトの成長によって引き起こされるリチウム電池内部の短絡の発生を除去するか、または遅延させる。その結果、リチウムメタルが負極素材として採用されたリチウム電池の商用化の時期を繰り上げる。さらに、リチウムメタル以外に、黒鉛(Graphite)が負極素材として採用されたリチウム電池にも、このような実施形態を適用する場合に、上述の効果と類似した効果が現れる。
【0053】
以上、本発明について、その望ましい実施形態を中心に説明した。当業者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で変形された形態で具現されるということが分かるであろう。したがって、上述の実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に現れており、それと同等な範囲内にあるすべての差異点は、本発明に含まれていると解釈されねばならないであろう。