(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、混色を抑制可能な画像表示装置、画像表示制御装置、及び画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の画像表示媒体の画像表示装置は、一対の基板と、前記一対の基板の間に封入され各々電圧印加により基板から剥離し、各々剥離を始める閾値電圧が異なる複数種類の粒子を含む複数の画素と、隣接する前記画素の前記閾値電圧が小さい方の前記粒子が一方の基板に移動終了後に、前記閾値電圧が大きい方の前記粒子の階調に応じた印加時間の電圧を印加する印加部と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記印加部は、前記閾値電圧が小さい方の前記粒子が基板から剥離し、前記閾値電圧が大きい方の前記粒子が基板から剥離しない大きさの電圧を前もって更に印加する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記印加部は、前記印加部により各々の前記粒子が移動する電圧を印加したときに、前記閾値電圧が大きい方の前記粒子が基板から剥離開始するまでに、前記閾値電圧が小さい方の前記粒子の移動が終了する大きさ又は時間の電圧をリセット時に更に印加する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、前記印加部は、前記粒子を基板から剥離させる大きさで、かつ階調に応じた印加時間の電圧を印加する第1ステップと、前記第1ステップで印加する電圧より小さく、基板から剥離した前記粒子を基板へ付着させる大きさの電圧を印加する第2ステップと、を有する駆動パルス
を印加する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記印加部は、各画素の前記第2ステップの電圧の印加タイミングを揃えた前記駆動パルスを印加する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明において、前記2種類の粒子は、大きい方の前記閾値電圧を前記一対の基板の間に印加したときに、前記閾値電圧が小さい方の前記粒子が基板から剥離して移動終了するまでの時間より、前記閾値電圧が大きい方の前記粒子が基板から剥離するまでの時間の方が長い特性を有する粒子である。
【0012】
請求項7に記載の画像表示制御装置は、一対の基板の間に封入され、前記一対の基板間に各々印加される電圧により基板から剥離し、各々剥離を始める閾値電圧が異なる複数種類の粒子を含む複数の画素のうち、隣接する前記画素の前記閾値電圧の小さい方の前記粒子が一方の基板に移動終了後に、前記閾値電圧が大きい方の前記粒子の階調に応じた印加時間の電圧を印加するように電圧を制御する制御部を備えている。
【0013】
請求項8に記載の画像表示プログラムは、コンピュータを、請求項1〜6の何れか1項に記載の画像表示装置の前記印加部として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、隣接する画素の閾値電圧が小さい方の粒子が一方の基板に移動終了する前に、閾値電圧が大きい方の粒子の階調に応じた印加時間の電圧を印加する場合と比較して、混色を抑制可能な画像表示装置を提供することができる、という効果がある。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、閾値電圧が小さい方の粒子が基板から剥離する大きさの電圧を前もって印加しない場合と比較して、より混色を抑制できる、という効果がある。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、閾値電圧が大きい方の粒子が移動開始するまでに、閾値電圧が小さい方の粒子の移動が終了する大きさ又は時間の電圧をリセット時に印加しない場合と比較して、閾値電圧の小さい方の粒子が移動終了するまでの時間を短くすることができる、という効果がある。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、第1ステップと第2ステップとを有する駆動パルスを用いない場合と比較して、電圧印加後の浮遊粒子を減少して安定した画像を表示することができる、という効果がある。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、各画素に第2ステップの電圧の印加タイミングが異なる場合と比較して、安価な装置にすることができる、という効果がある。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、閾値電圧が小さい方の粒子が基板から剥離して移動終了するまでの時間より、閾値電圧が大きい方の粒子が基板から剥離するまでの時間の方が長い特性を有する粒子を採用しない場合と比較して、混色を抑制することができる、という効果がある。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、隣接する画素の閾値電圧が小さい方の粒子が一方の基板に移動終了する前に、閾値電圧が大きい方の粒子の階調に応じた印加時間の電圧を印加する場合と比較して、混色を抑制可能な画像表示制御装置を提供することができる、とい
う効果がある。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、隣接する画素の閾値電圧が小さい方の粒子が一方の基板に移動終了する前に、閾値電圧が大きい方の粒子の階調に応じた印加時間の電圧を印加する場合と比較して、混色を抑制可能な画像表示プログラムを提供することができる、という効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。作用や機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。また、説明を簡易化するために、適宜1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0024】
図1(A)は、本実施形態に係わる画像表示装置を概略的に示している。この画像表示装置50は、画像表示媒体10と、画像表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。駆動装置20は、画像表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に電圧を印加する電圧印加部30と、画像表示媒体10に表示させる画像の画像情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。
【0025】
画像表示媒体10は、画像表示面とされる、透光性を有する表示基板1と、非表示面とされる背面基板2と、が間隙を持って対向して配置される一対の基板を有する。
【0026】
これらの基板1、2間を予め定められた間隔に保持すると共に、該基板間を複数のセルに区画する間隙部材5が設けられている。
【0027】
上記セルとは、背面側電極4が設けられた背面基板2と、表示側電極3が設けられた表示基板1と、間隙部材5と、によって囲まれた領域を示している。なお、1つのセルは複数の画素を含む。また、本実施の形態では、間隙部材5を有する例を説明するが、基板間の間隙を保持できる構成であれば間隙部材5を省略した構成としてもよい。
【0028】
セル中には、例えば絶縁性液体で構成された分散媒6と、分散媒6中に分散された第1泳動粒子11と、第2泳動粒子12とがそれぞれ粒子群として封入されている。第1泳動粒子11と第2泳動粒子12は、それぞれ異なる色に着色されると共に、異なる帯電特性を有しており、一対の電極3、4間に印加する電圧を制御することにより、泳動粒子11、12が基板間を泳動する。また、泳動粒子11、12は、基板から離脱を始める閾値電圧をそれぞれ有し、基板間に閾値電圧が印加された場合に、極性に応じて基板から剥離し
て泳動する。
【0029】
第1泳動粒子11と第2泳動粒子12は、互いに異なる色に着色されており、また、基板に付着した状態を維持するための付着力が互いに異なり、基板間の電界によって基板に付着した状態から基板を離脱するために必要な電圧が互いに異なる。すなわち、一対の電極3、4間に印加する電圧を制御することにより、第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12がそれぞれ単独で泳動する特性を有している。より具体的には、電圧を印加して発生させた電界によって、粒子が基板を離脱する向きの力が付着力の大きさ以上になると粒子が基板を離脱して他方の基板に向かう。この、電界によって発生する力が付着力と釣り合って粒子が移動し始める電圧を閾値電圧という。本実施形態において、第1泳動粒子11と第2泳動粒子12を移動させ、画像を表示させた後に電圧の印加を停止した後も、ファンデルワールス力や鏡像力、静電引力等によって粒子は基板に付着したままとなり、画像表示は維持される。粒子の付着力を制御するには、これらの鏡像力や静電引力、ファンデルワールス力等を調整すればよく、その手段としては、例えば粒子の帯電量、粒径、電荷密度、誘電率、表面形状、表面エネルギー、分散剤の組成や密度等をそれぞれ適切に調整することが挙げられる。なお、第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12の他に白色に着色された白色粒子を粒子群として含むようにしてもよい。この場合、白色粒子は、第1泳動粒子11、第2泳動粒子12よりも帯電量が少なく、第1泳動粒子11、第2泳動粒子12が何れか一方の電極側まで移動する電圧が電極間に印加されても、何れの電極側まで移動しない浮遊粒子としてもよい。或いは、分散媒に着色剤を混合することで、泳動粒子の色とは異なる白色を表示させる構成としてもよい。
【0030】
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、画像表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に印加する電圧を表示させる色に応じて制御することにより、第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12を泳動させ、それぞれの帯電極性に応じて表示基板1、背面基板2の何れか一方に引き付ける。
【0031】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ電気的に接続されている。また、電圧印加部30は、制御部40に信号授受されるように接続されている。
【0032】
図1(B)は、本実施の形態に係る画像表示装置50の制御部40の構成を示すブロック図である。
【0033】
制御部40は、
図1(B)に示すように、例えばコンピュータ40として構成される。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、RAM(Random Access Memory)40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続されている。I/O40Eには電圧印加部30が接続されている。この場合、各色の表示に必要な電圧の印加を電圧印加部30に指示する処理をコンピュータ40に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ40Dに書き込んでおき、これをCPU40Aが読み込んで実行させる。なお、プログラムは、CD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。
【0034】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部40の制御に応じた電圧を表示側電極3及び背面側電極4に印加する。電圧印加部30は、アクティブマトリクス方式を適用してもよいし、パッシブマトリクス方式を適用するようにしてもよい。或いは、セグメント方式を適用するようにしてもよい。
【0035】
ところで、上述のように構成された画像表示装置50では、粒子が基板から剥離を始める閾値電圧以上の電圧を印加し、その電圧の印加時間で2種類の粒子の移動を制御して階
調表示することが可能である。以下、帯電極性が同じ2種類の粒子で説明をするが、帯電極性が異なっても効果に変わりは無い。閾値電圧の異なる2種類の粒子は、まず閾値の大きい粒子に対応した階調信号により、閾値電圧の大きい粒子の階調を画素ごとに決めて移動させる。その後、閾値電圧の小さい粒子に対応した階調信号により、閾値電圧の小さい粒子の階調を画素ごとに決めて移動させる。この際に、閾値電圧の大きい粒子の階調を決める電圧印加により、閾値電圧の小さい粒子は付着力が小さいため、閾値電圧の大きい粒子より先に一方の基板から移動開始し、他方の基板へ到達する。閾値電圧の大きい粒子も他方の基板へ移動開始するが、階調により移動する粒子量を電圧の印加時間の長さで調整する。移動する粒子量の多い場合は長い時間電圧を印加し、移動する粒子量が少ない場合は短い時間電圧を印加する。なお、閾値電圧の大きい粒子を移動させず、閾値電圧の小さい粒子のみを移動させる場合は、閾値電圧の小さい粒子を先に全て移動させ(ここで、全て移動とは、階調の変化が視認できない程度に移動、或いは混色が視認できない程度に移動を含む)、閾値電圧の大きい粒子が移動開始する前に電圧印加を終了し、その後に閾値電圧の小さい粒子の階調に応じた電圧のみを印加して閾値電圧の小さい粒子を移動させる。また、閾値電圧の大きい粒子も、閾値電圧の小さい粒子も共に移動させない場合は、電圧を印加しない。
【0036】
しかしながら、隣接する画素において閾値電圧が小さい方の泳動粒子が一方の基板に移動が終了する前に、閾値電圧が大きい方の泳動粒子の階調に応じた印加時間の電圧を印加すると、混色(所謂クロストーク)が発生する。
【0037】
例えば、第1泳動粒子11の方が、第2泳動粒子12より小さい閾値電圧で移動する場合、第1泳動粒子11が一方の基板から剥離して他方の基板に移動終了するまでに時間を要する。ここで、第1泳動粒子11の移動が終了する前に隣接画素において第2泳動粒子12を移動させる電圧が印加されることにより、移動終了する前の第1泳動粒子11が隣接画素に印加された電圧の影響を受けることにより混色が発生する。
【0038】
さらに具体的には、第1泳動粒子11の閾値電圧を|Vt1|とし第2泳動粒子12の閾値電圧を|Vt2|(|Vt1|<|Vt2|)とし、|Vt2|より大きな電圧|V2|を印加した場合に
図2(A)のような特性を有するものとする。
図2(A)の反射率は表示基板側から測定した値を示し、表示基板側に配置される粒子が多いと小さい値となり、表示基板側に配置される粒子量が少ないと大きい値となる。反射率を測定することで、粒子の移動量を測定することが可能となる。
図2(A)の実線は電圧−V2を印加したときの第1泳動粒子11の剥離開始を示し、点線は第1泳動粒子11の移動終了を示す。点線は、粒子の速度と基板間の距離から背面基板側の配置された粒子量を計算して表しているが、背面側の基板を透明として反射率を測定した値とも一致する。また、
図2(A)の一点鎖線は第2泳動粒子12の剥離開始を示す。
図2(A)の例では、第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12は共に正極の帯電特性を有し、表示側電極3を共通電極としてグランドとし、背面側電極4を電極A〜Cとして電圧を印加するものとする。
【0039】
ここで、例えば、各々隣接する電極A〜Cへ印加する電圧を
図2(B)に示すように印加するものとする。なお、リセットを予め行って表示基板1側に第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12を移動させておく。この場合、各々の画素では、はじめに−V2の電圧が印加されることにより、
図2(C)の状態から
図2(D)に示すように、第1泳動粒子11が表示基板1側から背面基板2側へ移動を開始する。そして、
図2(B)の時間t1では、
図2(E)に示すように、第1泳動粒子11が基板から剥離して移動している途中となる、その後、電極A、Cの電圧の印加を終了すると、
図2(B)の時間t2で、
図2(F)に示すように、第1泳動粒子11の背面基板2側への移動が終了となる。しかしながら、第1泳動粒子11の移動終了の前に第2泳動粒子12も移動を開始してしまう。さらには、電極Bでは、階調に応じた第2泳動粒子12を移動させるための電圧が印加され続
ける。これにより電極Bの背面基板2側に第2泳動粒子12を移動させる際に、電極A、Cの表示基板1側から剥離した第2泳動粒子12が
図2(F)の矢印で示すように移動してしまい混色が発生した状態で、
図2(G)に示すように、第2泳動粒子12の移動を終了する。
【0040】
そこで、本実施の形態では、制御部40が電圧印加部30を制御することにより、隣接する画素の閾値電圧の小さい方の第1泳動粒子11が一方の基板に移動終了後に、閾値電圧が大きい方の第2泳動粒子12の階調に応じた印加時間の電圧を印加するようになっている。
【0041】
例えば、大きい方の閾値電圧を基板間に印加したときに、閾値電圧が小さい方の第1泳動粒子11が基板から剥離して移動終了するまでの時間より、閾値電圧が大きい方の第2泳動粒子12が基板から剥離するまでの時間の方が長い特性を有する粒子を採用することで、第1泳動粒子11が一方の基板から剥離して移動終了した後に、第2泳動粒子12の剥離が開始可能な粒子を選択する。これにより、隣接する画素の閾値電圧の小さい方の第1泳動粒子11が一方の基板に移動終了後に、閾値電圧が大きい方の第2泳動粒子12の階調に応じた印加時間の電圧を印加することが可能となる。
【0042】
ここで、本発明の実施の形態に係る画像表示装置50の制御部40による電圧印加部30の具体的な制御例について説明する。
図3は、本実施の形態に係る画像表示装置50の制御部40による電圧印加部30の制御例を説明するための図である。
【0043】
第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12は、
図3(A)に示すような特性の粒子が選択されている。第1泳動粒子11の閾値電圧を|V1|とし第2泳動粒子12の閾値電圧を|V2|とする。なお、
図2と同様に、
図3(A)の実線は電圧−V2を印加したときの第1泳動粒子11は剥離開始を示し、点線は第1泳動粒子11の移動終了を示す。また、
図3(A)の一点鎖線は第2泳動粒子12の剥離開始を示す。
図3(A)の例では、第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12は共に正極の帯電特性を有し、表示側電極3を共通電極としてグランドとし、背面側電極4を電極A〜Bとして電圧を印加するものとする。2種類の粒子は、共に負極の帯電特性であっても、互いに帯電極性が異なっても同様の効果を有する。
【0044】
本実施の形態では、
図3(A)に示すように、第1泳動粒子11と第2泳動粒子の閾値電圧の差が十分に大きいものが選択されている。なお、閾値電圧の差が十分に大きいとは、第2泳動粒子12の閾値電圧に相当する電圧−V2を印加したときに、第1泳動粒子11が基板を剥離してから移動終了するまでの時間より、第2泳動粒子12が基板から剥離開始するまでの時間が長くなっていることを示す。
【0045】
ここで、制御部40が電圧印加部30を制御して、各々隣接する電極A〜Cへ印加する電圧を
図3(B)に示すように印加するものとする。なお、リセットを予め行って表示基板1側に第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12を移動させておく。この場合、各々の画素では、はじめに−V2の電圧が印加されることにより、
図3(C)の状態から第1泳動粒子11が移動を開始して表示基板1側から背面基板2側へ移動する。そして、第1泳動粒子11の移動が終了する。続いて、電極Bでは、第2泳動粒子12の階調に応じた電圧印加が継続されて、
図3(E)に示すように、第2泳動粒子12の表示基板1側から背面基板2側への移動を開始する。そして、
図3(B)の時間txでは、
図3(F)に示すように、電極A、Cへの電圧印加を終了し、電極Bでは、第2泳動粒子12の階調に応じた電圧印加が継続されて、第2泳動粒子12が背面基板2側へ移動して、階調に応じた電圧印加時間を経過したところで電極Bの電圧印加を終了する。本実施の形態では、第1泳動粒子11の移動が終了してから、第2泳動粒子12の階調に応じた電圧の印加が行われの
で、混色が発生することなく、
図3(G)に示すように、第2泳動粒子12の階調に応じた移動を終了する。
【0046】
上記の実施の形態では、第2泳動粒子12の閾値電圧を印加したときに、第1泳動粒子11が一方の基板から剥離して移動終了後に、第2泳動粒子12の剥離を開始可能にする構成例として、大きい方の閾値電圧を基板間に印加したときに、閾値電圧が小さい方の第1泳動粒子11が基板から剥離して移動終了するまでの時間より、閾値電圧が大きい方の第2泳動粒子12が基板から剥離するまでの時間の方が長い特性を有する粒子を選択した例を説明したが、これに限るものではない。
【0047】
例えば、制御部40が電圧印加部30を制御して、閾値電圧の小さい方の第1泳動粒子11を先に移動させるパルス電圧を前もって印加するようにしてもよい。或いは、リセット時の電圧の大きさや印加時間により泳動粒子の剥離開始時間を制御するようにしてもよい。或いは、これらのうち少なくとも一方と、粒子の選択とを組み合わせるようにしてもよい。
【0048】
閾値電圧の小さい方の第1泳動粒子11を先に移動させるパルス電圧を前もって印加する例を
図4に示す。
【0049】
図4(A)に示すように、第1泳動粒子11の閾値電圧に相当する電圧−V1を各画素に前もって印加する。すなわち、第1泳動粒子のみが基板から剥離し、第2泳動粒子12が基板から剥離しない電圧を前もって印加する。
【0050】
これにより、
図4(B)に、電圧−V1を印加開始してから第1泳動粒子11が基板から剥離して終了するまでの時間より、電圧−V1を印加開始してから第2泳動粒子12が基板から剥離開始するまでの時間の方が長くなる。
【0051】
すなわち、リセットを予め行って表示基板1側に第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12を表示基板1側に移動させた状態(
図4(C)の状態)で、各画素に対して
図4(A)のように基板間に電圧を印加すると、各画素では、基板間に印加された電圧−V1によって第1泳動粒子11がのみが背面基板2側に移動して
図4(D)に示す状態となる。続いて、各画素に対して電圧−V2が基板間に印加され、第1泳動粒子11の背面基板2側への移動が終了する。このとき、
図4(E)に示すように第2泳動粒子12が表示基板1から背面基板2側へ移動を開始する。続いて、
図4(A)の時間txで電極A、Cの電圧の印加を停止して電極Bの電圧を印加を階調に応じて継続する。電極Bでは、階調に応じて電圧−V2の印加が継続され、
図4(F)に示すように、第2泳動粒子12が背面基板2側に移動して、階調に応じた時間が経過したところで、電圧の印加を停止して
図4(G)に示す状態となる。
【0052】
このように、閾値電圧の小さい方の第1粒子11を先に移動させるパルス電圧を前もって印加するようにしても、第1泳動粒子11が一方の基板から剥離して移動終了後に、第2泳動粒子12の剥離を開始するようになるので、混色が抑制される。
【0053】
一方、リセット時の電圧の大きさや印加時間により泳動粒子の剥離開始時間を制御する場合について説明する。例えば、第2泳動粒子12の閾値電圧を基板間に印加したときに、閾値電圧が大きい方の第2泳動粒子12が基板から剥離開始するまでに、閾値電圧が小さい方の第1泳動粒子11の移動が終了する大きさ又は時間の電圧をリセット時に印加する。リセット時の電圧印加時間TR(
図5(A)参照)が長い、或いはリセット時の電圧VR(
図5(A)参照)が大きいほど、リセットにより移動した粒子が基板面近傍に近く整列して配置される。そのため、粒子と基板間とに働く静電的付着力が揃い、静電的付着
力の分布が小さくなる。
【0054】
よって、リセット電圧を印加した後、粒子を反対側の基板方向へ移動のための電圧を基板間に印加した場合の基板から粒子が剥離を開始する時間は、リセット時間が長いほど、或いはリセット電圧が大きいほど大きくなる。その結果、
図5(B)に示すように、先に移動する閾値電圧の小さい第1泳動粒子11の剥離時間の分布も小さくなり、剥離開始から移動終了までの時間が小さくなり、次に移動する閾値電圧の大きい第2泳動粒子12が移動開始するまでに、閾値電圧の小さい第1泳動粒子11のほとんどが反対側の基板へ到達し、閾値電圧の大きい第2泳動粒子12の階調駆動により隣接電極間に電位差が生じても、混色により不慮の粒子移動の発生を抑えられる。粒子を片側の基板に揃えるリセット電圧印加後に、それぞれの粒子を階調に応じて移動させる電圧を印加するが、それぞれの電圧印加前に0V電位を印加する時間を有していてもよい。この場合は、電極間の電圧極性切り換えに伴い、電源の電流が一度に流れないため、省電力となる効果を有する。
【0055】
なお、上記実施の形態に係る画像表示装置50の電圧印加部30が電極間に印加する電圧は、上記で示した駆動パルス以外のものを適用するようにしてもよい。例えば、
図6(A)に示すように、2つのステップで電圧を印加する駆動パルスを適用するようにしてもよい。該駆動パルスは、泳動粒子を基板から剥離させる大きさかつ階調に応じた印加時間の電圧−V2を印加する第1ステップと、第1ステップで印加する電圧より小さく、剥離した泳動粒子を基板へ付着させる大きさの電圧−V1を印加する第2ステップとを組み合わせた駆動パルスとされている。
【0056】
例えば、
図6(A)のように、各電極A〜Cに2つのステップからなる駆動パルスを印加した場合、
図6(B)〜(E)に示すように粒子が移動する。すなわち、リセットを予め行って表示基板1側に第1泳動粒子11及び第2泳動粒子12を移動させた状態(
図6(B)の状態)で、各画素に対して
図6(A)のように基板間に第1ステップの電圧を印加すると、各画素では、基板間に印加された電圧−V2によって第1泳動粒子11が移動を開始して反対側の基板へ移動する。そして、
図6(A)の時間txでは、第1泳動粒子11の移動が終了して
図6(C)に示す状態となる。続いて、電極A、Cの電圧の印加を停止して、電極Bの電圧の印加を階調に応じて継続する。これにより、
図6(D)に示すように、電極Bに第2泳動粒子12が移動する。そして、各画素の電極A〜Cに第2ステップの電圧を印加することで、電極A、Cの電圧の印加を停止前に剥離し浮遊している第2泳動粒子12が背面基板2側へ付着して
図6(E)に示すように安定した状態となる。
【0057】
ところで、
図6(A)に示すように、2つのステップからなる駆動パルスを印加する場合には、例えば、
図6(A)の時間tx以降において、電極A、Cと、電極Bとで異なる電圧を印加する必要がある。同じタイミングで画素毎に異なる電圧を印加するためには複雑な制御、或いは高価な電源回路等が必要となる。
【0058】
そこで、各画素において同じタイミングで同じ大きさの電圧を印加するように電圧の印加タイミングを揃えるようにしてもよい。
【0059】
例えば、
図7(A)に示すように、階調の異なる電極間で閾値電圧の大きい方の粒子を基板から剥離させる閾値電圧以上の電圧(第1ステップの電圧)の印加時間が、階調値の異なる画素間で異なる場合、パルス終了後は一旦0電位とする。
図7(A)の例では、電極A、Cの電位を一旦0とする。そして、剥離した粒子を移動させる閾値電圧以下の電圧(第2ステップの電圧)は全ての画素の第1ステップの電圧の印加が終了した後に印加する。すなわち、第1ステップの電圧を印加して階調に応じた印加時間が経過したところで一旦電圧の印加を停止して、第2ステップの電圧の印加タイミングを各画素で揃える。これによって、各画素で同じタイミングで同じ大きさの電圧(又は0電位)が印加される。
【0060】
或いは、
図7(B)に示すように、第1ステップの電圧の印加を終了するタイミングを揃えるようにしてもよい。この場合には、
図7(B)のように、第1ステップの電圧印加の終了タイミングを揃えることにより、画素間で不要な粒子の移動が抑制されて混色が抑制される。
【0061】
なお、上記の実施の形態では、基板間に2種類の泳動粒子を封入した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、3種類以上の複数種類の泳動粒子を封入する場合に適用するようにしてもよい。この場合には、それぞれの閾値電圧を切替える際に、隣接する画素の閾値電圧が小さい方の泳動粒子が一方の基板に移動終了後に、閾値電圧が大きい方の泳動粒子の階調に応じた印加時間の電圧を印加するように制御部40が電圧印加部30を制御すればよい。また、帯電極性が異なる2種類、あるいは3種類の泳動粒子を封入してもよく、帯電極性の異なる粒子は、電界を印加した時の泳動方向が互いに異なるが、閾値電圧の小さい方の泳動粒子が反対側の基板に移動終了後に、閾値電圧が大きい粒子が先に泳動した閾値電圧の小さい粒子とは逆の方向に移動するように制御すればよい。
【0062】
また、上記の実施形態における制御部40による電圧印加部30の制御は、ハードウエアによって実現するようにしてもよいし、ソフトウエアのプログラムを実行することによって実現するようにしてもよい。また、当該プログラムは、各種記憶媒体に記憶して流通するようにしてもよい。