特許第6362361号(P6362361)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362361
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20180712BHJP
   F04D 29/64 20060101ALI20180712BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   F04D29/58 Q
   F04D29/64 B
   F04D29/58 R
   F04D25/16
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-45135(P2014-45135)
(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2015-169132(P2015-169132A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
(72)【発明者】
【氏名】田中 悟
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−114546(JP,U)
【文献】 特開2003−293998(JP,A)
【文献】 実開昭56−013596(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
F04D 29/64
F04D 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形の風胴の外部に設けたモータ側の駆動側プーリと、当該風胴の内部に設けた羽根車側の従動側プーリとに巻掛けたベルトを介して、当該従動側プーリに回転動力を伝達し、前記駆動側プーリ、前記ベルト、及び前記従動側プーリとをカバーで覆った送風機において、
前記カバーに仕切り板を設けて、このカバーの吸気口より導入した外気を、前記羽根車のボス部に導き、前記従動側プーリから、前記駆動側プーリに到らしめた後、当該カバーの排気口より排気可能とする構成とし、
前記羽根車のボス部には、前記外気の通過を許す領域を形成し、この領域に、当該羽根車と同期するファンを設け、当該ボス部を、前記外気が通過可能とする構成とした送風機。
【請求項2】
前記仕切り板を、前記カバーの鉛直方向に設け、かつ前記駆動側プーリを隠蔽するように設けるとともに、前記従動側プーリの直近まで設ける構成とした請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記仕切り板は、前記カバーの天井面より垂設して吸気通路と、排気通路とを形成し、この仕切り板の垂下端と、当該カバーの内底面との間に、連結通路を形成し、前記吸気通路と、前記排気通路とを連結する構成とした請求項1に記載の送風機。
【請求項4】
前記排気通路に、前記駆動側プーリと前記従動側プーリとを配置するとともに、この排気通路の上部には、外気に通ずる前記排気口を設け、また、前記吸気通路の上部には、外気に通ずる前記吸気口を設ける構成とした請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記吸気通路の吸気口の開口面積と、前記連結通路の開口面積を、略同じ、又は同じとする構成とした請求項3に記載の送風機。
【請求項6】
前記領域は、羽根車を支持する支持軸に設けたボス部の軸方向に形成した環状通路を備え、この環状通路は、前記吸気通路と、前記排気通路とに繋がる構成とした請求項3に記載の送風機。
【請求項7】
前記領域は、前記ボス部の軸方向に形成した環状通路を備え、この環状通路は、前記吸気通路と、前記排気通路とに繋がる構成とするとともに、この環状通路には、部屋を形成し、この部屋に羽根車と同期するファンを設ける構成とした請求項3〜請求項6の何れか一項に記載の送風機。
【請求項8】
前記部屋は、遮蔽板で閉塞されている構成とした請求項7に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場における高温送風、又は自然現象で発生する汚染空気、作業用の汚染空気等の有害空気を排出する工事現場、汚染区域また災害防止地域に設置されるダクト用の送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の送風機(軸流送風機、ダクト等)のガードの内部空冷(冷却)に関する文献で、例えば、ケーシング(筐体)の内部から外部に設けたカバー内に、上方より下方に向かって内装した、モータ及び駆動側プーリと、駆動側プーリにベルトを介して連繋した従動側プーリとを設け、このケーシングに内装した羽根車とでなる送風機(軸流送風機、ダクト等)において、このカバー内部に外気を導入し、この内部空冷を図り、ガードに内装した、主として、駆動側プーリ、ベルト、並びに従動側プーリを空冷(冷却ファンとの併用による空冷)する発明がある。例えば、特開2007−232102号公報(文献1とする)と、特開2003−293998号公報(文献2とする)とがある。
【0003】
また、装置の一部に設けられた軸のボス部を空冷することに関する文献で、例えば、ボス部の軸方向に開設した通路と、この通路に冷却用の空気を送る冷却ファンと、を構成し、この空気で、ハブ部(軸受と軸、ベアリング等)を冷却する発明がある。例えば、特開2009−257337号公報(文献3とする)と、特開2003−293977号公報(文献4とする)と、特開2013−185472号公報(文献5とする)とがある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−232102号公報
【特許文献2】特開2003−293998号公報
【特許文献3】特開2009−257337号公報
【特許文献4】特開2003−293977号公報
【特許文献5】特開2013−185472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記文献1、2においては、外気を、ベルトカバー上方より、下方に向かって、導入する構造であり、従動側(ファン側)のプーリ、ベルトの下側を冷却すること、並びに熱気をスムーズに排気すること、等に関しては、十分とは考えられない。
【0006】
また、前記文献3〜5においては、軸の周辺に、外気(空冷)通路を形成するが、この外気通路のスペースを、大きく形成する構造であり、採用範囲が狭められる虞れがあること、必ずしも、空冷効果が期待できないこと、等の改良点が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記文献1〜文献5の課題を、解決するために、請求項1〜を提供する。
【0009】
請求項の送風機は、筒形の風胴の外部に設けたモータ側の駆動側プーリと、風胴の内部に設けた羽根車側の従動側プーリとに巻掛けたベルトを介して、従動側プーリに回転動力を伝達し、駆動側プーリ、ベルト、及び従動側プーリとをカバーで覆った送風機において、
カバーに仕切り板を設けて、カバーの吸気口より導入した外気を、羽根車のボス部に導き、従動側プーリから、駆動側プーリに到らしめた後、カバーの排気口より排気可能とする構成とし、
羽根車のボス部には、外気の通過を許す領域を形成し、領域に、羽根車と同期するファンを設け、ボス部を、外気が通過可能とする構成である。
【0010】
請求項の送風機は、仕切り板を、カバーの鉛直方向に設け、かつ駆動側プーリを隠蔽するように設けるとともに、従動側プーリの直近まで設ける構成である。
【0011】
請求項の送風機は、仕切り板は、カバーの天井面より垂設して吸気通路と、排気通路とを形成し、仕切り板の垂下端と、カバーの内底面との間に、連結通路を形成し、吸気通路と、排気通路とを連結する構成である。
【0012】
請求項の送風機は、排気通路に、駆動側プーリと従動側プーリとを配置するとともに、排気通路の上部には、外気に通ずる排気口を設け、また、吸気通路の上部には、外気に通ずる吸気口を設ける構成である。
【0013】
請求項の送風機は、前記吸気通路の吸気口の開口面積と、前記連結通路の開口面積を、略同じ、又は同じとする構成である。
【0014】
請求項の送風機は、領域は、羽根車を支持する支持軸に設けたボス部の軸方向に形成した環状通路を備え、環状通路は、吸気通路と、排気通路とに繋がる構成である。
【0015】
請求項7の送風機は、領域は、ボス部の軸方向に形成した環状通路を備え、環状通路は、吸気通路と、排気通路とに繋がる構成とするとともに、環状通路には、部屋を形成し、部屋に羽根車と同期するファンを設ける構成である。
【0016】
請求項の送風機は、部屋は、遮蔽板で閉塞されている構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、請求項1と、請求項2〜と、を提案することで、文献1、2にはない構成、即ち、吸気口から、カバーに導入した外気を、羽根車のボス部に、直接、導き、従動側プーリから、駆動側プーリに到らしめた後、当該カバーの排気口より排気可能とする構成である。外気で、少なくとも、従動・駆動側プーリと、ベルト、並びにボス部と、軸、ベアリングを、空冷する。
【0018】
また本発明は、請求項1と、請求項2〜と、を提案することで、文献3〜5にはない構成、即ち、羽根車のボス部に、直接、外気が通過する領域(環状通路)を形成する構成である。外気で、従動・駆動側プーリとベルト、並びにボス部と軸、ベアリングを、効率的に空冷する。さらに、この領域(部屋)に、冷却用のファンを設置する構成であり、ボス部と軸等の空冷効果を拡充する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施例の正面図
図2】本発明の第1実施例のカバーの正面側を欠截した断面図
図3図1の左側視した断面図
図4】本発明の第2実施例のカバーの正面側を欠截した断面図
図5】本発明の第2実施例のボス部の一例の正面視した断面図
図6】本発明の第3実施例のボス部の一例の左側視した拡大断面図
図7】本発明の第3実施例のカバーの正面側を欠截した断面図
図8】本発明の第3実施例のボス部の他の一例の正面視した断面図
図9】本発明の第3実施例のボス部の他の一例の左側視した拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい、各実施例を説明する。
【0021】
図1図3において、1は筒形(両端に、環状鍔片を備えた筒形状等の形状であるが、この筒形形状に限定されない)の風胴で、この風胴1は、例えば、工事現場、汚染区域また災害防止地域に設置されるダクト(図示せず)間に設けられる。風胴1には、角柱状のカバー2が垂設されており、このカバー2の上方2aが風胴1外にあり、下方が風胴1の略中心に到る構造である。カバー2の正面側2−1の上方2aには吸気口3を備え、また背面側2−2の上方2aには排気口5を備える。そして、このカバー2には仕切り板6を垂設することで、吸気通路Aと排気通路Bを形成するとともに、この吸気通路Aと排気通路Bとを繋ぐ連結通路Cを形成する。この連結通路Cは、仕切り板6の垂下端6aと、カバー2の下方2bの内底面との隙間である。この連結通路C(隙間)の開口面積と、吸気通路Aの開口面積とを、同じか、又は略同じとし、外気(冷気)のスムーズな吸込と、カバー2内の流れを確保できる構造とする。そして、この連結通路Cで、外気を、吸気通路Aから排気通路Bに導く構造である。尚、仕切り板6は、駆動側プーリ11を遮蔽する。即ち、吸込口3より導入した外気から遮蔽するとともに、吸気通路Aに導く構造である。
【0022】
このカバー2内の排気通路Bには、排出口5が設けられており、この排気通路Bにおいて、温風となった空気(熱気)を外部に排出する。
【0023】
カバー2の上方aで排気通路Bには、風胴1の外周面1a(外周上面)に配置した駆動用モータ10の出力軸10aに固止した駆動側プーリ11を設ける。また、カバー2の下方bで排気通路Bには、風胴1の内部1bに架設した羽根車12の軸12aに固止した従動側プーリ13を設ける。尚、軸12aは、カバー2の下方2bの外側に設けた軸受けのボス部15で支持される。16は駆動側プーリ11と従動側プーリ13に懸架したベルトで、カバー2の排気通路Bに位置する。また、図中17はベアリング、18は羽根車12のハブ、19は吸気口3に配備した、出力軸10aに設けた外気吸込み用ファンを、それぞれ示す。
【0024】
このボス部15には、第2実施例と第3実施例に示した外気の通過を許す領域20を備えている。第2実施例における領域20は、軸方向に設けた帯状の複数の吸気孔20a(孔の寸法、形状等は限定されない)と、この吸気孔20aに繋がる帯状の複数の排気孔20bと、この吸気孔20aと排気孔20bを繋ぐ、部屋21と、この部屋21を塞ぐ遮蔽板22とで形成する。尚、部屋21はボス部15に内装する構造も可能である。この領域20には、連結通路Cを流れてきた外気の一部が、迂回するように流れる。この外気は、吸気孔20aから入り、軸12aを冷却しながら、部屋21に到り、Uターンし、排気孔20bを流れた後に、排気通路Bに到ることで、ボス部15を空冷する構造である。吸気孔20aと排気孔20bとで、目皿模様を形成するとともに、吸気孔20aを軸12aに近接し、かつ排気孔20bを軸12より離間する構造とすることで、例えば、より空冷効果を図ることも可能である。図中23は軸12aに設けたファンで、部屋21内に設けられる。このファン23を利用して、外気を、吸気孔20aに導き、かつ排気孔20bに送る構造である。また、第3実施例では、領域20は、吸気孔20aと排気孔20bとを、ボス部15に隣接して併設する構造であり、その他は、第2実施例に準ずる。この第3実施例では、吸気孔20aと排気孔20bとで、目皿模様とし、第2実施例に比し、更なる空冷効果の向上が期待できる。
【0025】
続いて、外気の流れと、この外気を利用した空冷を説明する。第1実施例では、ファン19の吸引力により、吸引口3より吸気通路Aに導かれた後、仕切り板6に沿って垂下していき、連結通路C(カバー2の下方2b)に到る。その後、連結通路Cより排気通路Bに到る。その際に、最初に、従動側プーリ13を空冷し、続いて、外気が、カバー2の背面側2−2に沿って上昇し、ベルト16を下側から上側に向かって空冷する。この外気は、幾分、昇温するが空冷効果は、持続しており、最終的には、排気通路Bの上側(カバー2の上方2a)に到り、駆動側プーリ11を空冷しつつ、排気口5に到り、そのまま外部に排気される。また、第2実施例では、吸気通路Aから連結通路Cに導かれることは、第1実施例と同じである。その後、外気は、部屋21のファン23の吸引力により、ボス部15に設けた吸気孔20aから、部屋21を経由して、排気孔20bに到る。即ち、ボス部15の領域20を流れ、このボス部15と軸12aとベアリング17、並びにハブ18等を空冷する。そして、排気孔20bを経由して、排気通路Bに到る。その後、外気の流れは、第1実施例に準ずる。また、第3実施例では、吸気通路Aから連結通路Cに導かれることは、第1実施例と同じである。その後、外気は、部屋21のファン23の吸引力により、ボス部15に設けた吸気孔20aから、部屋21を経由して、隣接する排気孔20bに到る。即ち、ボス部15の領域20を流れ、このボス部15と軸12aとベアリング17、並びにハブ18等を、効率的に空冷する。そして、排気孔20bを経由して、排気通路Bに到る。その後、外気の流れは、第1実施例に準ずる。
【0026】
前述した各実施例の構造は、本発明の好ましい一例の説明である。従って、本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0027】
1 風胴
1a 外周面
1b 内部
2 カバー
2a 上方
2b 下方
2−1 正面側
2−2 背面側
3 吸気口
5 排気口
6 仕切り板
6a 垂下端
10 モータ
10a 出力軸
11 駆動側プーリ
12 羽根車
12a 軸
13 従動側プーリ
15 ボス部
16 ベルト
17 ベアリング
18 ハブ
19 ファン
20 領域
20a 吸気孔
20b 排気孔
21 部屋
22 遮蔽板
23 ファン
A 吸気通路
B 排気通路
C 連結通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9