(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362365
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部を運転する方法並びに方法を実施する作業部
(51)【国際特許分類】
B65H 67/08 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
B65H67/08 B
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-45954(P2014-45954)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2014-172760(P2014-172760A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】10 2013 004 053.1
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513209338
【氏名又は名称】ザウラー ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Saurer Germany GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート コーレン
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート ムント
【審査官】
佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−042449(JP,A)
【文献】
特開2012−144372(JP,A)
【文献】
特開平05−236800(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0038206(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/00−67/08
B65H 54/00−55/04
B65H 61/00−63/08
D01H 1/00−17/02
B65G 43/00−43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部を運転する方法であって、該作業部は、前記綾巻きパッケージを巻成する巻取り装置と、個別モータによって駆動可能なサクションノズルとを備えて構成されており、該サクションノズルは、巻取り中断後に前記綾巻きパッケージの表面に巻き上げられた糸を受容するために、糸端部受容位置に位置決めされ、該糸端部受容位置において、前記サクションノズルの開口は、前記綾巻きパッケージの表面に対して所定の間隔を有していて、前記サクションノズルは、センサによって検出された旋回位置を起点として、該サクションノズルの個別駆動装置を用いて旋回させられ、該個別駆動装置の予め求められた増分数の検出後に、前記糸端部受容位置において停止させられる、方法において、
前記サクションノズル(24)の旋回路(21)の調整を、次のことによって、すなわち、
前記サクションノズル(24)のサクションヘッド(24′)を、該サクションノズル(24)の個別駆動装置(15)を用いて最初に少なくとも1回、正確な位置が既知の規定された基準点(38;39;49)に接触させ、次いで前記サクションノズル(24)を、センサによって検出された前記旋回位置まで戻し旋回させ、この際に必要とされた増分数を求め、
この際に求めた増分数を、基準値と見なされる、予め同様に求めた増分数と比較し、
この比較によって修正値を生ぜしめ、該修正値を、前記糸端部受容位置における前記サクションノズル(24)の後続の位置決め時に、考慮する
ことによって行うことを特徴とする、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部を運転する方法。
【請求項2】
前記サクションノズル(24)の前記旋回路(21)の調整を、前記サクションノズル(24)の糸端部受容試行を予め設定可能な数行った後で、その都度行うか、又は予め設定可能な時間をおいて、その都度行うか、又は予め設定可能な数の前記綾巻きパッケージ(5)の製造後に、その都度行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記サクションノズル(24)の前記旋回路(21)の調整を、必要に応じて行う、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記増分を、前記サクションノズル(24)の前記個別駆動装置(15)の領域に配置された増分カウンタを用いて求める、請求項1記載の方法。
【請求項5】
個別駆動装置としてステップモータ(15)を使用し、基準点とセンサによって検出された該ステップモータ(15)のポジションとの間において必要な切換えステップを求めるために、前記ステップモータ(15)を最初に、センサによって検出された前記ポジションを起点として、そのために予期される切換えステップ数よりも多くの切換えステップ数で、基準点に向かって運転させ、この際に前記サクションノズル(24)の前記サクションヘッド(34)を前記基準点(38;39;49)に向かって移動させ、該基準点(38;39;49)において前記ステップモータ(15)を停止させ、
次いで前記サクションノズル(24)を、このポジションから、センサによって検出された前記ポジションに戻し旋回させ、この際に前記ステップモータ(15)によって必要な、戻り路のための切換えステップを求め、これらの旋回過程を、起点から基準点に向かってその都度幾分減じられた切換えステップ数で旋回させて、起点から基準点に向かう方向と基準点から起点に向かう方向の両方向において前記ステップモータ(15)の切換えステップ数が同じになるまで、繰り返す、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記サクションノズル(24)の前記サクションヘッド(24′)が接触するところの基準点(38)として、パッケージフレーム(8)に保持されていてパッケージ駆動ローラ(9)に接触している綾巻きパッケージ(5)の表面(35)、もしくは前記パッケージフレーム(8)に保持されていてパッケージ駆動ローラ(9)に接触している、前記綾巻きパッケージ(5)の巻管の表面を使用する、請求項1、4又は5記載の方法。
【請求項7】
基準点(38)として使用される綾巻きパッケージ(5)は、130〜150mmの直径(d)を有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
基準点(39)として、前記サクションノズル(24)の前記旋回路(21)の領域において予め設定された位置(S)に位置決めされたグリッパ管(25)を使用するか、又は巻返し部ハウジング(2′)における進出可能なストッパを使用する、請求項1、4又は5記載の方法。
【請求項9】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部であって、前記綾巻きパッケージを巻成する巻取り装置と、個別モータによって駆動可能なサクションノズルであって、巻取り中断後に前記綾巻きパッケージの表面に巻き上げられた糸を受容するためのサクションノズルと、該サクションノズルの旋回位置を検出するセンサエレメントとを、備えている、請求項1記載の方法を実施する作業部において、
前記作業部(2)は、少なくとも1つの基準点(38;39;49)を有し、該基準点に、前記サクションノズル(24)のサクションヘッド(24′)が、該サクションノズル(24)のポジションを調整するために移動可能であり、前記作業部は制御装置を有し、該制御装置は、前記基準点への前記サクションノズルの移動を制御し、検出された旋回位置と基準点との間における増分を求め、求めた値を、基準値と見なされる、予め同様に求められた増分数と比較し、この際に確認された差異を、前記糸端部受容位置における前記サクションノズルの後続の位置決めのための、修正値を得るために使用するように設計されていることを特徴とする、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部。
【請求項10】
前記サクションノズルの前記個別駆動装置の領域において、該サクションノズルの旋回時に一緒に回転する部分に、隣接して配置された増分カウンタに対応する増分装置が取り付けられている、請求項9記載の作業部。
【請求項11】
前記個別駆動装置はステップモータであり、前記制御装置は、ステップモータの両回転方向におけるステップ数を監視するように、設計されている、請求項9記載の作業部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載した、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部を運転する方法、並びに請求項10に記載した、方法を実施する作業部に関する。
【背景技術】
【0002】
綾巻きパッケージを巻成する巻取り装置と、巻取り中断後に綾巻きパッケージの表面に巻き上げられた糸を受容するサクションノズルとを備えた、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部は、特に自動綾巻きワインダとの関連において、以前から公知であり、多くの特許明細書に詳しく記載されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載された作業部は、サクションノズルを有し、このサクションノズルは、糸切れ後又は糸クリアラによる規定の切断後に綾巻きパッケージの表面に巻き上げられた、いわゆる上糸を受容し、空気力式に作動する糸スプライシング装置に挿入することができ、次いでこの糸スプライシング装置において上糸は、グリッパ管によって準備された下糸と糸継ぎされる。
【0004】
2つの終端位置の間において移動可能なサクションノズルは、引張りばねによって引っ張られて、いわゆるカム板ユニットのカム板に接触しており、この場合カム板ユニット自体は、該当する作業部の中央駆動装置に接続されている。サクションノズルは、作業部駆動装置及び、該作業部駆動装置に関連したカム板ユニットの回転の相応な制御によって、糸端部受容位置に旋回させられることができ、この糸端部受容位置においてサクションノズルの開口は、パッケージフレームに保持された綾巻きパッケージの表面の領域において位置決めされている。サクションノズルは、この糸端部受容位置において、いわゆるサクションノズルストッパに接触し、このサクションノズルストッパを介して、サクションノズルの開口と、糸端部受容作業中に繰出し方向に回転する綾巻きパッケージの表面との間における最適な間隔を、調節することができる。
【0005】
この最適な間隔を、パッケージ形成過程の開始時、つまり小さな綾巻きパッケージにおいても、パッケージ形成過程の終了時における大きな綾巻きパッケージにおいても、確実に保証するために、サクションノズルストッパは、パッケージフレームに接続されたレバー機構を用いて、自動的に、つまりパッケージ直径に関連して、追従案内されるようになっている。
【0006】
このような自動的に追従案内される機械式のサクションノズルストッパは、実地において原則的に有効であることが示されているが、しかしながらなお幾つかの欠点を有している。
【0007】
これら公知の装置では、例えば、綾巻きパッケージの表面に対するサクションノズルの開口の間隔の修正を行うことが望ましいと思われる障害が、糸端部受容時に発生した場合に、まず幾つかの比較的面倒な調節作業が必要である。
【0008】
すなわち、これらの装置では、サクションノズルストッパの位置のその都度の変更は、操作員による時間の掛かる手作業を要する。従って実地においては、サクションノズルストッパの新たな調整はしばしば延期され、このことは、糸端部受容時におけるエラー試行が増えることに基づいて、多くの場合、該当する繊維機械の作業効率を劣化させることになる。
【0009】
自動綾巻きワインダとの関連においてさらに、作業部のサクションノズルを、好ましくはステップモータを用いて、それぞれ個別モータにより駆動することが公知である。
【0010】
例えば特許文献2に開示された自動綾巻きワインダの作業部では、グリッパ管、サクションノズル及び糸スプライシング装置はそれぞれ個別モータによって駆動される。この場合所属の駆動装置はそれぞれ、電子装置を介して作業部制御装置に接続されており、この作業部制御装置は、装置の必要に応じた運転のために働く。
【0011】
しかしながら特許文献2には、どのようにして例えば糸端部受容時に、サクションノズルの開口が常に、繰出し方向に回転する綾巻きパッケージの表面に対して予め設定可能な最適な間隔において位置決めされていることを、保証することができるのかに関する記載がない。
【0012】
特許文献3に記載された、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部を運転する方法では、個別モータによって駆動されるサクションノズルが、糸切れ又はコントロールされたクリアラ切断後に綾巻きパッケージの表面に巻き上げられた糸を受容するために、その都度正確に、予め設定された糸端部受容位置に旋回させられる。この場合サクションノズルは、内方旋回時に、センサによって検出可能な明確なポジションを起点として、その都度予め設定可能な切換えステップ数を実施する駆動装置によって、糸端部受容位置に旋回させられ、この糸端部受容位置において、サクションノズルの開口は、綾巻きパッケージの表面に対して、正確に規定された最適な間隔を有する。
【0013】
好ましくはステップモータとして形成されたサクションノズル駆動装置のステップ数は、パッケージ形成過程の経過中に合わせられ、直径増大に起因する、綾巻きパッケージの表面の各位置変化を考慮する。すなわち、綾巻きパッケージのその都度存在する直径に関連して、サクションノズルの開口は、その都度様々に異なった糸端部受容位置において位置決めされる。
【0014】
特許文献3に記載された方法は、実地において極めて良好な評価を受けており、つまり、この公知の方法を使用する作業部では、少なくとも、比較的長い時間又は比較的多数の糸端部受容試行に対して、成功した糸端部受容試行の数が極めて多い。
【0015】
しかしながらこの公知の方法においても、成功する糸端部受容試行の割合は時間の経過と共に低下する。なぜならば、例えばサクションノズルの開口が予め設定された糸端部受容位置に位置決めされている場合、操作員によってまったく又はほとんど認識することができない偏差が発生しているからである。すなわち、実地においては通常、該当する繊維機械の効率が、糸端部受容時におけるエラー試行の増加に基づいて既に低下している場合に初めて、サクションノズルの開口の準最適な糸端部受容位置が、認識されるからである。
【0016】
この場合、サクションノズル間隔の他に、糸捕捉率の低下に対する種々様々な他の原因、例えば吸込み負圧の変化、パッケージ形成、種々様々なパラフィン処理、糸張力の変化等の原因が存在することを、考慮しなくてはならない。従って、糸捕捉率に基づいてだけサクションノズルの位置決めを変化させることは、具体的な事例において誤った方法であることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】DE10150590A1
【特許文献2】EP0717001B1
【特許文献3】DE102006026548A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ゆえに本発明の課題は、従来技術における欠点を排除して、綾巻きパッケージの表面に巻き上げられた糸の糸端部受容時に、糸端部受容のために該当するサクションノズルの開口が常に正確に、予め設定可能な糸端部受容位置に位置決めされていることを、比較的簡単に保証することができる、方法もしくは該方法を実施する作業部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この課題は、本発明によれば請求項1記載の方法、もしくは請求項9記載の作業部によって解決される。
【0020】
本発明による方法の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0021】
前記課題を解決するために本発明による方法では、サクションノズルの旋回路の調整を、次のことによって、すなわち、サクションノズルのサクションヘッドを、該サクションノズルの個別駆動装置を用いて最初に少なくとも1回、正確な位置が既知の規定された基準点に接触させ、次いで前記サクションノズルを、センサによって検出されたポジション、つまり旋回位置まで戻し旋回させ、この際に必要とされた増分数を求め、この際に求めた増分数を、基準値と見なされる、予め同様に求めた増分数と比較し、この比較によって修正値を生ぜしめ、該修正値を、糸端部受容位置におけるサクションノズルの後続の位置決め時に、考慮することによって行うようにした。
【0022】
このような本発明による方法には、特に、この方法によって、糸捕捉過程時におけるパッケージ表面に対するサクションノズル開口の間隔の不都合な変化という結果を伴う、サクションノズル駆動装置とサクションノズルヘッドとの間における機械的な変位に基づく、糸端部捕捉率の低下を、防止することができるという利点がある。
【0023】
請求項2〜4に記載したように、サクションノズルの旋回路の調整は、特定のサイクル内で自動的に導入することができる。
【0024】
請求項2記載の好適な態様では、サクションノズルの旋回路の調整を、サクションノズルの糸端部受容試行を予め設定可能な数行った後で、その都度行う。
【0025】
請求項3記載の別の好適な態様では、サクションノズルの旋回路の調整を、予め設定可能な時間をおいて、その都度行う。
【0026】
しかしながらまたさらに、請求項4記載のように、サクションノズルの旋回路の調整を、予め設定可能な数の綾巻きパッケージの製造後に、その都度行うことも好適である。
【0027】
上に述べた3つの態様は、実地において好適であることが証明されており、この場合請求項2記載の態様は、サクションノズルに対する実際の負荷を最も強く考慮しており、ゆえに極めて好適であると思われる。
【0028】
請求項5記載の態様では、糸端部捕捉率の低下時に、つまり必要な場合に、本発明による調整過程を実施するようになっており、これによって、原因がサクションノズルの変位にあるということを排除することができる。糸端部捕捉率が調整後にもなお十分でない場合に初めて、該当作業部は、糸端部捕捉率の低下に対して問題となる可能性のある他の原因について検査される。
【0029】
このように必要な場合にだけ調整を行うことが可能である場合でも、糸端部捕捉率を低下させないためには、規則的に調整することが好ましい。
【0030】
公知のように、綾巻きパッケージの直径はパッケージ形成過程中に常に変化するので、もちろん継続的にも糸端部受容位置を相応に適合させ、この糸端部受容位置の様々に異なったポジションを例えば曲線として記憶する必要がある。すなわち、サクションノズルの旋回路の調整時には、事実上、この曲線に沿って糸端部受容位置の移動が、最後の求められた修正値を考慮しながら行われる。
【0031】
請求項6記載の態様では、正確な位置決めもしくは調整を保証するために、サクションノズルの個別駆動装置の領域に配置された増分カウンタを用いて、基準点、センサによって検出されたポジションと糸端部受容位置との間における増分をカウントする。そのために個別駆動装置に関しては、何ら制限はない。
【0032】
択一的に請求項7記載の態様では、個別駆動装置としてステップモータを使用し、基準点とセンサによって検出された該ステップモータのポジションとの間において必要な切換えステップ(これは最終的に同様に増分を意味する)を求めるために、ステップモータを最初に、センサによって検出されたポジションを起点として、そのために予期される切換えステップ数よりも多くの切換えステップ数で、基準点に向かって運転させる。サクションノズルのサクションヘッドが基準点に達すると、ステップモータはステップを消滅させる。次いでサクションノズルを、このポジションから、センサによって検出されたポジションに戻し旋回させ、この際にステップモータによって必要な、戻り路のための切換えステップを求める。基準点に向かうステップ数を後続の旋回過程において、該旋回過程が両方向において同じになるまで、短縮させる。
【0033】
上に述べた方法との関連におけるステップモータの使用は、増分を求めるために、そのために設けられたセンサ機構を省くことを可能にする。それというのは、ステップモータの制御時におけるステップを、自動的に利用できるからである。
【0034】
請求項8記載の好適な態様では、サクションヘッドのサクションヘッドが接触するところの基準点として、パッケージフレームに保持されていてパッケージ駆動ローラに接触している綾巻きパッケージの表面、もしくはパッケージフレームに保持されていてパッケージ駆動ローラに接触している、綾巻きパッケージの巻管の表面を使用する。
【0035】
基準点として使用される綾巻きパッケージが、130mm〜150mmの直径を有する(請求項9)と、サクションノズルの旋回路の調整時に、最高の状態が得られることが判明している。
【0036】
綾巻きパッケージ又は綾巻きパッケージ巻管を基準点として利用することには、追加的な特殊なストッパを省くことができるという利点を有するのみならず、綾巻きパッケージ又は綾巻きパッケージ巻管を保持するパッケージフレームの公知の安定した構成に基づいて、基準点が不都合な移動もしくはずれに対して十分に守られている、ということも確実に保証されている。
【0037】
すなわち、サクションノズルの旋回路の調整のためには、それぞれ、パッケージフレームにおける130mm〜150mmの直径を有する綾巻きパッケージを使用するか、又はパッケージフレームが保持されている綾巻きパッケージが130mm〜150mmの直径を有する場合に、調整を行う。両方の場合において綾巻きパッケージの表面は、サクションノズルの開口が接触できる公知の基準点を形成する。
【0038】
択一的に、請求項10記載の態様では、基準点として、サクションノズルの旋回路の領域において予め設定可能な位置に位置決めされたグリッパ管を使用する。そのために、グリッパ管の調整ポジションを検出するセンサを使用することができる。
【0039】
この場合、このようなグリッパ管はその極めて頑丈な構造に基づいて特に機械的なずれもしくは移動に対して極めて鈍感である、という事実が利用される。すなわちグリッパ管によって、サクションノズルの旋回路において安定した障害物が位置決めされ、この障害物は、上方旋回するサクションノズルの開口のために、不動に予め設定された基準点を形成する。
【0040】
請求項11記載の別の択一的な態様では、基準点として、巻返し部ハウジングにおける進出可能なストッパを使用する。
【0041】
請求項12には、本発明による方法を実施する作業部が記載されており、この作業部は、綾巻きパッケージを巻成する巻取り装置と、個別モータによって駆動可能なサクションノズルであって、巻取り中断後に綾巻きパッケージの表面に巻き上げられた糸を受容するためのサクションノズルと、該サクションノズルの旋回位置を検出するセンサエレメントとを、備えており、作業部はさらに基準点を有し、該基準点に、サクションノズルのサクションヘッドが、該サクションノズルのポジションを調整するために移動可能であり、作業部は制御装置を有し、該制御装置は、基準点へのサクションノズルの移動を制御し、検出された旋回位置と基準点との間における増分を求め、求めた値を、基準値と見なされる、予め同様に求められた増分数と比較し、この際に確認された差異を、糸端部受容位置におけるサクションノズルの後続の位置決めのための、修正値を得るために使用するように設計されている。
【0042】
センサエレメントからの正確な位置ひいては角距離が既知の基準点を用いて、サクションノズルを基準点におけるその接触位置から、センサエレメントによって予め設定された休止位置もしくは中間旋回位置に戻し旋回させるために、ステップモータとして形成されたサクションノズル駆動装置がどれだけの切換えステップ数を実施する必要があるのかを、ひいては、最適な糸端部受容位置に達するまでにどれだけの切換えステップ数が必要であるのかを、比較的簡単に特定することできる。
【0043】
旋回可能に支持されたサクションノズルは、その駆動装置の領域にそのために例えば永久磁石挿入体のようなセンサエレメントを備えて構成されており、これらのセンサエレメントは、サクションノズルと共に旋回し、例えば巻返し部ハウジングに不動に配置されたセンサと通信する。逆の配置形態も可能である。
【0044】
択一的に、ステップ数を検出するために、一緒に回転する増分装置及び増分カウンタ(請求項13)又は、切換えステップが自動的に検出されるステップモータ(請求項14)を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明による方法が使用される、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部を示す側面図であって、サクションノズルの開口が巻返し過程中断後に糸端部受容位置に位置決めされている状態を示す側面図である。
【
図2】サクションヘッドが第1の基準点に接触している状態であって、基準点として、パッケージフレームに保持された綾巻きパッケージの表面が使用されている態様を示す概略図である。
【
図3】サクションノズルが第2の基準点に接触している状態であって、この第2の基準点が、予め設定された位置に位置決めされたグリッパ管によって形成される態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳説する。
【0047】
図1の作業部は、その主要な部材に関して、例えばDE102006026548A1に基づいて公知で、この出願明細書において既に詳しく記載されている作業部に相当する。
【0048】
図1には、綾巻きパッケージを形成する繊維機械1、図示の実施形態では自動綾巻きワインダ(Kreuzspulautomat)の作業部2が示されている。
【0049】
このような繊維機械は通常、その両端部箇所(図示せず)の間に、多数の同様な作業部2を有している。
【0050】
しばしば巻返し部とも呼ばれるこれらの作業部2においては、通常予めリング精紡機において製造された、比較的僅かな糸材料を有する紡績コップ3が、大体積の綾巻きパッケージ5に巻き返される。
【0051】
このような自動綾巻きワインダ1は、しばしば、紡績コップ・巻管搬送システム6として形成された補給装置(Logistikeinrichtung)を有しており、この紡績コップ・巻管搬送システム6においては搬送皿11において紡績コップ3もしくは繰出し済みの空管が循環する。
【0052】
この紡績コップ・巻管搬送システム6のうち、
図1には単に、紡績コップ供給区間17、可逆駆動可能な貯え区間18、作業部2に通じる横方向搬送区間19及び巻管戻し区間20が示されているだけである。
【0053】
供給された紡績コップ3はそれぞれ、横方向搬送区間19の領域に位置する繰出し部ASにおいて、大体積の綾巻きパッケージ5に巻き返される。
【0054】
そのために個々の作業部2は、自体公知であるがゆえにここでは一部だけしか略示されていないように、作業部2の整然とした運転を可能にする種々様々な装置を有している。
【0055】
これらの装置は、通常のように、それぞれ制御ラインを介して、作業部固有の計算機31に接続されており、この計算機31自体は、機械バス33を介して、自動綾巻きワインダ1の中央制御ユニット32に接続されている。
【0056】
図1からさらに分かるように、各作業部2は、特に、旋回可能に支持されたサクションノズル24と、同様に旋回可能に支持されたグリッパ管25とを有している。サクションノズル24は、旋回軸線23を中心にして制限された範囲で回転可能に支持され、
図1に示すように、ステップモータとして形成された個別駆動装置15を有し、この個別駆動装置15は、制御ライン36を介して、作業部固有の計算機31に接続されている。サクションノズル24はさらに糸センサ41を有し、この糸センサ41を用いて、サクションノズル24の糸端部を受容する試み(以下、糸端部受容試行と呼ぶ)が成功したのか否かを検査することができる。
【0057】
図1及び
図2に示した実施形態によれば、さらに、サクションノズル24の駆動装置の領域に、例えばホールセンサとして形成されていて位置固定に設置されたセンサ40が配置されており、このセンサ40は、サクションノズル24の特定の旋回位置において、センサエレメント43もしくはセンサエレメント44(
図2)と共働する。
【0058】
好ましくは永久磁石挿入体であるセンサエレメント43,44は、これらのセンサエレメント43,44がサクションノズル24と一緒に旋回するように、該サクションノズル24に固定されている。センサ40及び旋回可能に支持されたセンサエレメント43,44を用いて、センサノズル24の、該センサノズル24の旋回軸線23の領域に配置された駆動部分が、特定の旋回位置に位置決めされているか否かを確認することができる。
【0059】
例えばセンサ40がセンサエレメント43に反応すると、このことは、サクションノズル24が休止位置Rにあることを意味する。相応に、センサエレメント44にセンサ40が反応した場合には、これは、サクションノズル24が中間旋回位置Zに位置決めされていることを示し、この中間旋回位置Zは、センサによって検出された旋回位置として、ひいては調整のための出発点として働く。
【0060】
図1にさらに示されかつ一般的に知られているように、自動綾巻きワインダ1の作業部2は通常、それぞれ巻取り装置4、糸スプライシング装置26、糸テンショナとも呼ばれる糸テンショニング装置(Fadenspannvorrichtung)30、糸切断装置27、糸クリアラ28、糸張力センサ29及び下糸センサ22を有している。
【0061】
巻取り装置4は、旋回軸線12を中心にして可動に支持されたパッケージフレーム8を有し、このパッケージフレーム8は、回転可能な巻管受容皿(図示せず)を備えたパッケージフレームアームを備えていて、両パッケージフレームアームの間において綾巻きパッケージ5の巻管を確実に固定することができる。
【0062】
図示の実施形態では、パッケージフレーム8に自由回転可能に保持された綾巻きパッケージ5の表面35は、巻返しプロセス中、パッケージ駆動ローラ9に接触しており、このパッケージ駆動ローラ9により摩擦結合によって連行される。巻返しプロセス中に、紡績コップ3から綾巻きパッケージ5に延びる糸16は、さらに、糸綾振り装置10によって、綾巻きパッケージ5の両端部の間において綾振りされる。糸綾振り装置10は、例えばフィンガ状に形成されていて、電動機である個別駆動装置14によって駆動される糸ガイド13を有している。
【0063】
このような糸綾振り装置10は、繊維機械工業において以前から知られており、例えばDE19858548A1に詳しく記載されている。
【0064】
さらに、巻取り装置4の後ろには綾巻きパッケージ搬送装置7が配置されており、この綾巻きパッケージ搬送装置7を介して綾巻きパッケージ5はその完成後に搬出される。
【0065】
図1にさらに示すように、サクションノズル24は、好ましくはステップモータとして形成された個別駆動装置15を用いて、休止位置Rから糸端部受容位置FAに旋回することができる。この糸端部受容位置において、サクションノズル24の開口34は、綾巻きパッケージ5の表面35に対して、規定された最適な間隔a、例えば5mmの間隔aをおいて位置している。綾巻きパッケージ5は、この時点において繰出し方向37に回転させられる。
【0066】
導入部において既に述べたように、巻返し運転中にかなりの負荷を受けるこのような作業部2では、時間の経過と共に、特に特別強い負荷を受ける部材において、本来の調整からずれもしくは偏差が生じることを、常に確実に回避することができない。すなわち、作業部2の最適な運転との関連において、特定の時間経過後に又は多数の巻返し工程の後で、強い負荷を受けた部材の取付け位置が検査され、場合によっては新たに調節もしくは調整されると、極めて好適である。
【0067】
巻返し中断後に、綾巻きパッケージ5の表面35に巻き上げられた上糸の糸端部を受容し、かつ糸スプライシング装置26に運ぶサクションノズル24では、例えば次のようなおそれがある。すなわちこの場合、糸端部受容試行において重要な間隔a、つまりサクションノズル24の開口34と綾巻きパッケージ5の表面35との間における間隔を規定する間隔aが、幾分変化してしまい、これによって、通常、糸端部受容の際におけるエラー試行が増えてしまう。
【0068】
可能な限り既に最初から、このようにして生じるエラー試行の発生を回避するために、以下において詳説する本発明による方法が使用される。
【0069】
本発明による方法を使用すると、サクションノズルの開口と綾巻きパッケージの表面との間の最適な間隔が変化したことは、通常既に、低下する糸端部捕捉率がまださほどの影響を及ぼさない段階において検出される。
【0070】
しかしながらこれに関連して考慮すべきことは、低下する捕捉率は、サクションノズルの誤った糸端部受容位置とは別の原因をも有することがあるということであり、この場合他の原因としては、例えば、負圧変化、パッケージ形成、糸張力等が挙げられる。しかしながら本発明によればこの原因が排除されると、糸捕捉率の低下時に、目的に合わせて、他の原因を取り除くことができる。
【0071】
図1との関連において
図2に示した方法:
例えばロット交換時に、本来の巻返しプロセスの開始前に、最初に少なくとも1回の調節運転が実施され、この調節運転時に、サクションノズル24は、受け取ることができる必要なデータが存在していない場合に、このロットのために最適な糸端部受容位置FAにおいて位置決めされる。すなわち最初に、好ましくは130mm〜150mmの直径dを有する綾巻きパッケージ5が形成される。この綾巻きパッケージ5は、調整パッケージとして利用され、パッケージフレームに装着される。次いでサクションノズル24がその駆動装置15を用いて、例えば、センサによって検出された休止位置R(この休止位置Rでは旋回可能に支持されたセンサエレメント43がセンサ40に向かい合って位置している)から、又はセンサによって検出された中間旋回位置(この中間旋回位置では、同様に旋回可能に支持されたセンサエレメント44がセンサ40に向かい合って位置している)から、さらに上方に向かって旋回させられ、この際にサクションノズル24のサクションヘッド24′は、旋回路21を少なくとも部分的に移動し、好ましくは機械式のスペーサ手段(図示せず)の使用下で、サクションノズル24の開口34が
図1に示すように、糸捕捉のために最適な間隔aを、調整パッケージ又は他の綾巻きパッケージ5の表面35に対して有するように、位置決めされる。この作業ステップでは、サクションノズル24を中間旋回位置から糸端部受容位置FAに旋回させるために、個別駆動装置15が必要とする切換えステップが求められる。そしてステップモータ5の求められた切換えステップの数は、作業ポイントのための基準値と認められ、この基準値は作業部計算機31において記憶される。
【0072】
次いでサクションノズル24は、ステップモータ15として形成された個別駆動装置によって、上方に向かって旋回させられ、この旋回運動は、サクションノズル24のサクションヘッド24′が基準点38;39に接触するまで行われ、この基準点38;39の正確な位置は、休止位置R又は中間位置Zと同様に既知である。ステップモータのステップ数は、そのためにまず初め、既知のポジションに基づいて見込まれるステップ数よりも大きく選択される。基準点38として、パッケージフレーム8に保持されていてパッケージ駆動ローラ9に接触している綾巻きパッケージ5を使用すると、サクションヘッド24′は上方旋回時に、サクションノズル24の開口34の領域において綾巻きパッケージ5の表面35で停止させられる。ステップモータ15はその後でステップを失う。次いでサクションノズル24は、その休止位置R又は中間位置Zに戻り旋回させられ、この際に、ステップモータ15によって必要な、センサによって検出された位置に達するまでの切換えステップの数が検出される。
【0073】
次いで、上に述べた調整移動(Kontrolllauf)が繰り返され、つまりサクションノズル24は、新たに、しかしながら予め幾分減じられた切換えステップ数で上方に向かって旋回させられ、次に戻り旋回させられる。この場合サクションノズル24の上方旋回時及びサクションノズル24の戻り旋回時に、それぞれ、ステップモータ15の必要な切換えステップがカウントされる。調整移動は、それぞれ、上方旋回時における切換えステップ数を相応に適合させながら、サクションノズル24の上方旋回時におけるステップモータ15の切換えステップ数が、サクションノズル24の下方旋回時における駆動装置15の切換えステップ数に相当するまで、繰り返される。これは、サクションノズル24の開口34がステップ損失なしに綾巻きパッケージ5の表面35に到達するための指標である。
【0074】
このようにして求められた調整値は、調整目標値である。
【0075】
後で、つまりロットがある程度の時間進行して、特定数の切換えが実施された後、又は予め設定された数の綾巻きパッケージが完成した後で、サクションノズル24によってさらなる調整移動が実施され、これらの調整移動時にそれぞれステップ数のための調整値が求められ、この調整値は、サクションノズル24の現在の調節状態に関する情報もしくは判断(Aussage)を可能にする。すなわち、サクション開口34と綾巻きパッケージ5の表面35との間の最適な間隔を得るために、駆動装置がサクションヘッド24′の実際の角度位置に対して何度移動したかが求められる。
【0076】
この調整実測値と最初に求められた調整目標値とを照合することによって、修正値が得られ、この修正値は、センサによって検出されたポジション、ここでは中間旋回位置Zと糸端部受容位置FAとの間における、サクションノズル24の旋回路の次いで行われる調整時に、使用される。最も簡単な場合には、このステップ数は三数法において求められる。
【0077】
もちろん、綾巻きパッケージの直径がパッケージ形成過程中に常に変化することを、考慮する必要がある。従ってもちろん、サクションノズル24の実際の糸端部受容位置FAは、例えば予め設定されたカーブ、すなわちいずれにせよ常に監視される直径変化から幾何学的に生じるカーブに沿って、連続的に変化もしくは移動されねばならない。すなわち、1つの調整後に、瞬間直径に適合された最適化された糸端部受容位置であって、サクションノズル開口が綾巻きパッケージ5の表面35に対して間隔aを有するロット開始時における糸端部受容位置に相当するステップ数には、修正値を掛ける必要がある。
【0078】
すなわち、サクションノズルの旋回路の調整時には、事実上、このカーブに沿った糸端部受容位置の移動は、最後に求められた修正値を考慮しながら行われる。
【0079】
完全を期すためにこれに関連して述べておくと、センサ40及び旋回可能に支持されたセンサエレメント44は、サクションノズル24を中間旋回位置Zから糸端部受容位置FAに移動させるために、サクションノズル24の個別駆動装置15が実施する必要のある切換えステップ数が、可能な限り僅かであるように、しかしながら、満管の綾巻きパッケージにおいてもなお中間旋回位置と糸端部受容位置との間における旋回路を残すために、十分であるように、配置されていると好適である。
【0080】
サクションノズル24の旋回路の調整のための時点に達すると、例えば綾巻きパッケージ5の前記直径範囲における巻返し過程中断が、調整を実施するために導入される。
【0081】
特に、捕捉率の低下に基づいて、予め設定されたサイクル外における調整を実施することが示されると、その都度、綾巻きパッケージ5の瞬間直径に基づいて必要な、サクションノズル24のサクションヘッド24′の糸端部受容位置を基礎として使用することができる。しかしながら例えばロットの開始時に、作業ポイント、つまり綾巻きパッケージ5の表面35に対するサクション開口34の最適な間隔aと、表面35における基準点38との間におけるステップ数を、決定して記憶することが可能である。このステップ数は、綾巻きパッケージ直径及び所属の駆動装置からのサクションノズル24の移動もしくはずれとは無関係に等しいままである。このようにして、サクションノズル24の開口34は、巻返し運転の経過中にサクションノズル24の領域における移動もしくはずれが生じた場合でも、常に再び自動的に、綾巻きパッケージ5の表面35に対する正確な、つまり最適な間隔aにおいて、位置決めされることが、保証される。
【0082】
図1では、
図2とは異なり、センサ45と共働する増分装置を周囲に備えた円板42は示されていない。
図1の構造ではステップモータ15が使用され、このステップモータ15は、制御されたステップが基礎を形成するので追加的なセンサ装置を必要とせず、そのために上に述べた方法、つまり調整時における終端ポジションが逐次得られる上記方法をも使用することができる。これに対してセンサ45が増分カウンタとして、個別駆動装置15′に接続された円板42の角度ポジションを正確に特定するために働く。
【0083】
そのために、
図2に示した個別駆動装置15′はステップモータではなく、例えばEKモータであってよい。ここではセンサ45が増分をカウントするので、調整点を一回走行することしか必要でない。
【0084】
図3に示した方法:
図3に示した実施形態では、基準点39はグリッパ管25によって形成され、このグリッパ管25は、例えばセンサエレメント47と所属のセンサエレメント46とによって不動に予め設定された既知の位置Sにおいて位置決めされている。この実施形態では、サクションノズル24の調整運動の開始前に、最初グリッパ管25はその休止位置RSから旋回路48に沿って、不動に予め設定された上側の位置Sに移動させられる。この位置Sは、調整運動時には、サクションノズル24の開口34のための基準点39を形成する。すなわち、この調整運動時にサクションノズル24は個別駆動装置15によって、センサ40及びセンサエレメント43を用いて検出された休止位置RSから、サクションノズル25の当接位置に旋回させられ、この場合そのために必要な増分が、上に述べた方法のうちの1つによってカウントされる。
【0085】
次いでサクションノズル24は、
図2の実施形態との関連において上で述べたように、再び休止位置Rまで戻し旋回させられる。同様にグリッパ管25もその休止位置RSに戻る。
【0086】
図3において追加的に示した択一的な基準点49として、巻返し部2のハウジング2′において進出可能なストッパが働くことができ、このストッパは、サクションノズル24のサクションヘッド24′が調整のためにストッパに向かって移動することができるように配置されている。ここで言及しておくと、サクションヘッド24′は必ずしもその開口34は基準点のところまで移動する必要はなく、サクションヘッド24′の表面のうちの他の領域が基準点のところまで移動するようになっていてもよい。
【0087】
いずれにせよこの場合重要なことはつぎのことである。すなわちこの場合、調整のために常に、駆動装置に直に結合されたセンサエレメントの、センサによって検出されたポジションの間隔が、不動の基準点におけるサクションヘッド24′のストッパと比較され、これによって、駆動装置の領域における、センサによって検出された旋回路を、駆動装置とサクションヘッドとの間の途中における機械的な移動もしくはずれが消滅するように調整することができる。
【0088】
さらに、サクションヘッド24′に対して感知不能に移動する、サクションノズル24の他の部分が、相応に配置された基準点(これはこの場合もちろん綾巻きパッケージ5でなくてよい)に向かって走行させられるような構成もまた、本発明の枠内に含まれる。しかしながら、サクションヘッドに対する距離の増大に連れて、調整の精度は低下する。
【符号の説明】
【0089】
1 繊維機械、 2 作業部、 3 紡績コップ、 4 巻取り装置、 5 綾巻きパッケージ、 6 コップ・巻管搬送システム、 7 綾巻きパッケージ搬送装置、 8 パッケージフレーム、 9 パッケージ駆動ローラ、 10 糸綾振り装置、 11 搬送皿、 12 旋回軸線、 13 糸ガイド、 14 個別駆動装置、 15 個別駆動装置、 16 糸、 17 紡績コップ供給区間、 18 貯え区間、 19 横方向搬送区間、 20 巻管戻し区間、 21 旋回路、 22 下糸センサ、 23 旋回軸線、 24 サクションノズル、 24′ サクションヘッド、 25 グリッパ管、 26 糸スプライシング装置、 27 糸切断装置、 28 糸クリアラ、 29 糸張力センサ、 30 糸テンショニング装置、 31 計算機、 32 中央制御ユニット、 33 機械バス、 34 開口、 35 表面、 36 制御ライン、 37 繰出し方向、 38,39 基準点、 40 センサ、 41 糸センサ、 42 円板、 43,44 センサエレメント、 48 旋回路