特許第6362387号(P6362387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6362387-アルミニウム合金板 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362387
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】アルミニウム合金板
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/00 20060101AFI20180712BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20180712BHJP
   C22F 1/04 20060101ALN20180712BHJP
【FI】
   C22C21/00 J
   !C22F1/00 623
   !C22F1/00 640A
   !C22F1/00 651A
   !C22F1/00 682
   !C22F1/00 683
   !C22F1/00 691B
   !C22F1/00 691C
   !C22F1/00 694B
   !C22F1/04 Z
   !C22F1/00 685Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-79540(P2014-79540)
(22)【出願日】2014年4月8日
(65)【公開番号】特開2015-199988(P2015-199988A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年3月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年10月9日に発行された、第125回秋期大会講演概要、第213〜214頁に開示した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次
(74)【代理人】
【識別番号】100131255
【弁理士】
【氏名又は名称】阪田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100125324
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 太一
(72)【発明者】
【氏名】小路 知浩
(72)【発明者】
【氏名】小山 高弘
【審査官】 河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−127961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 1/00 − 49/14
C22F 1/00 − 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延及び冷間圧延を行い得られるアルミニウム合金板であり、
0.06質量%以上のTi、0.1〜1.0質量%のSi及び0.1〜0.7質量%のFeを含有し、残部アルミニウム及び不可避不純物からなり、
Ti含有量(Y)が0.06質量%以上であり、
EPMAにより、アルミニウム合金板の圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行な断面のTi濃度を測定し、板厚方向のTi濃度分布を求めたときのTi濃度ピークのピーク間隔(X)が11.0μm以下であり、
下記式(1)及び(2):
(1)Y≧−0.026X+0.16
(2)Y≦−0.005X+0.21
(式中、Xは、EPMAにより、アルミニウム合金板の圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行な断面のTi濃度を測定し、板厚方向のTi濃度分布を求めたときのTi濃度ピークのピーク間隔(μm)であり、Yは、アルミニウム合金板中のTi含有量(質量%)である。)
のいずれも満たすこと、
を特徴とするアルミニウム合金板。
【請求項2】
更に、0.05〜1.5質量%のMn及び0.05〜0.6質量%のCuのうちのいずれか1種又は2種を含有することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金板。
【請求項3】
更に、0.05〜5.0質量%のMgを含有することを特徴とする請求項1又は2いずれか記載のアルミニウム合金板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器などに用いられるアルミニウム合金板であり、耐孔食性に優れるアルミニウム合金板に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器などに用いられるアルミニウム合金板は、種々の腐食環境に曝される。そして、熱交換器では、孔食による貫通が生じると、内部の冷却水や冷媒が漏れ出し、製品として大きなダメージを受ける。そのため、孔食などによる深さ方向の腐食が大きな問題となる。
【0003】
そこで、従来より、孔食を抑制するために、合金成分としてTiを添加する方法が知られている(特許文献1)。Tiは鋳造時の包晶反応により濃淡を生じて分布し、圧延により、この濃淡が層状に延ばされる。そして、層状に分布したTi濃淡に沿って電位差が生じるため、腐食が横広がりになり、深さ方向の孔食が抑制されるものと考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−227977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アルミニウム合金にTiを添加し、アルミニウム板材を製造しても、必ずしも、十分な孔食の抑制効果が得られるとは限らず、効果が得られないばかりか、時には著しい層状腐食が発生し、Tiを添加することで、かえって耐食性が悪くなる場合もあり、Tiの添加効果は不安定であった。
【0006】
従って、本発明の目的は、Tiを含有し、孔食の抑制効果に優れるアルミニウ合金板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、Tiの濃度とともに、その分布状況、特に、Tiの濃淡の間隔が、腐食の進行に著しい影響を及ぼし、Ti濃度及びTiの濃淡間隔が適正であることにより、孔食の抑制効果が発揮され、一方、Ti濃度及びTiの濃淡間隔が適正でないと、孔食の抑制効果が不十分であるか、あるいはかえって耐食性が悪くなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、熱間圧延及び冷間圧延を行い得られるアルミニウム合金板であり、
0.06質量%以上のTi、0.1〜1.0質量%のSi及び0.1〜0.7質量%のFeを含有し、残部アルミニウム及び不可避不純物からなり、
Ti含有量(Y)が0.06質量%以上であり、
EPMAにより、アルミニウム合金板の圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行な断面のTi濃度を測定し、板厚方向のTi濃度分布を求めたときのTi濃度ピークのピーク間隔(X)が11.0μm以下であり、
下記式(1)及び(2):
(1)Y≧−0.026X+0.16
(2)Y≦−0.005X+0.21
(式中、Xは、EPMAにより、アルミニウム合金板の圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行な断面のTi濃度を測定し、板厚方向のTi濃度分布を求めたときのTi濃度ピークのピーク間隔(μm)であり、Yは、アルミニウム合金板中のTi含有量(質量%)である。)
のいずれも満たすこと、
を特徴とするアルミニウム合金板を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、Tiを含有し、孔食の抑制効果に優れるアルミニウ合金板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】Ti元素の濃度分析がされる面を示す模式的な断面図である。
図2】EPMA分析により得られるTi濃度分布チャートの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のアルミニウム合金板は、熱間圧延及び冷間圧延を行い得られるアルミニウム合金板であり、
Tiを含有し、
Ti含有量(Y)が0.06質量%以上であり、
EPMAにより、アルミニウム合金板の圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行な断面のTi濃度を測定し、板厚方向のTi濃度分布を求めたときのTi濃度ピークのピーク間隔(X)が11.0μm以下であり、
下記式(1)及び(2):
(1)Y≧−0.026X+0.16
(2)Y≦−0.005X+0.21
(式中、Xは、EPMAにより、アルミニウム合金板の圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行な断面のTi濃度を測定し、板厚方向のTi濃度分布を求めたときのTi濃度ピークのピーク間隔(μm)であり、Yは、アルミニウム合金板中のTi含有量(質量%)である。)
のいずれも満たすこと、
を特徴とするアルミニウム合金板。
【0012】
本発明のアルミニウム合金板は、Tiを含有するアルミニウム合金板であり、熱間圧延及び冷間圧延を行い得られるアルミニウム合金板である。アルミニウム合金板の製造の際に添加されたTiは、鋳造時に包晶反応により島状に濃淡を生じ、そのTiの濃淡は、圧延加工によって引き伸ばされるので、熱間圧延及び冷間圧延を行い得られる、Tiを含有するアルミニウム合金板では、Tiが層状に分布している。
【0013】
本発明のアルミニウム合金板中のTi含有量(Y)は、0.06質量%以上である。アルミニウム合金板中の濃度が高いほど、Tiの濃淡の差が大きくなり、Tiの濃淡の差により電位差が大きくなるので、Ti含有量が多いほど、電位差が大きくなる。一方、アルミニウム合金板中のTi含有量が0.06質量%未満であると、Tiの濃淡の差による電位差が小さくなり過ぎるので、十分な孔食の抑制効果が得られない。また、アルミニウム合金板中のTi含有量が多くなると、粗大な化合物が生成して、圧延加工性が低くなるので、本発明のアルミニウム合金板中のTi含有量が0.21質量%以下であることが、圧延加工性が良好である点で、好ましい。
【0014】
本発明のアルミニウム合金板では、EPMAにより、アルミニウム合金板の圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行な断面のTi濃度を測定し、板厚方向のTi濃度分布を求めたときのTi濃度ピークのピーク間隔(X)が11.0μm以下である。Ti濃度ピークのピーク間隔(X)とは、圧延加工によって引き伸ばされた層状に分布するTiの濃化部の間隔である。
【0015】
本発明において、EPMA(Electron Probe Micro Analyser)によりTi元素の濃度分析がされる面、つまり、EPMAの分析対象は、図1に示すように、アルミニウム合金板を、圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行に切ったときの断面である。図1は、アルミニウム合金板の模式的な断面図である。図1中、符号1で示す面が圧延面であり、符号2で示す方向が圧延方向である。そして、圧延面1に対し垂直且つ圧延方向2に平行に切ったときの断面が、EPMAの分析対象となるアルミニウム合金板の断面6になる。
【0016】
EPMA分析による分析方法であるが、断面6を、板厚方向(図1中、符号7で示す方向、つまり、圧延面1に対し垂直方向)に、ビーム径1μmで線分析する。EPMA分析の分析条件は、加速電圧15kV、試料電流0.015μA、ビーム径1μm、分析ピッチ1μmである。そして、線分析により得られる板厚方向のTi濃度分布から、Ti濃度ピークのピーク間隔(X)を求める。Ti濃度ピークのピーク間隔(X)について、図2を参照して説明する。図2は、アルミニウム合金板の断面をEPMAにより板厚方向に線分析して得られるTi濃度分布チャートの模式図である。図2中、Ti濃度分布チャート11には、複数のTi濃度のピーク12(12a、12b、12c、12d・・・)が現れる。そして、濃度分布チャート中のピークのうち、隣り合う2つのピークのピークトップの存在位置間の距離を求める。例えば、図2では、隣り合うピークが12aと12bであり、それぞれのピークトップが13aと13bであり、それぞれのピークトップの存在位置が15aと15bである。このときの15aと15b間の長さを、隣り合う2つのピークのピークトップの存在位置間の距離14aとして求める。同様にして、隣り合う2つのピーク12bと12cについて、隣り合う2つのピークのピークトップの存在位置間の距離14bを求める、また、隣り合う2つのピーク12cと12dについて、隣り合う2つのピークのピークトップの存在位置間の距離14cを求める、とのように、Ti濃度分布チャートから、異なる2つのピークの組み合わせについて、隣り合う2つのピークのピークトップの存在位置間の距離を求める。そして、任意に隣り合う2つのピークの組み合わせを5つ以上選択し、それぞれの組み合わせについて、隣り合う2つのピークのピークトップの存在位置間の距離を求めて、それらを平均し、平均値をTi濃度ピークのピーク間隔(X)とする。同様の線分析をEPMAの分析対象となるアルミニウム合金板の断面3箇所以上で行って、Ti濃度ピークのピーク間隔(X)を求め、それらの値を平均する。
【0017】
本発明のアルミニウム合金板中のTi濃度ピークのピーク間隔(X)は11.0μm以下である。Ti濃度ピークのピーク間隔(X)が大きいほど、Ti濃淡に沿った層状腐食が起こり易くなるが、Ti濃度のピーク間隔(X)が11.0μmを超えると組織が不均一になり、部分的に層状腐食と孔食が併発する。また、アルミニウム合金板中のTi濃度ピークのピーク間隔(X)を小さくためには、圧延加工での加工度を上げる必要があるので、Ti濃度のピーク間隔(X)が小さくなるほど、圧延加工の加工コストが高くなる。そのため、Ti濃度ピークのピーク間隔(X)は、0.8μm以上であることが、圧延加工の加工コストが高くなり過ぎない点で、好ましい。
【0018】
そして、本発明のアルミニウム合金板は、Ti濃度ピークのピーク間隔(X)とTi含有量(Y)との関係が、下記式(1)及び(2):
(1)Y≧−0.026X+0.16
(2)Y≦−0.005X+0.21
(式中、Xは、EPMAにより、アルミニウム合金板の圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行な断面のTi濃度を測定し、板厚方向のTi濃度分布を求めたときのTi濃度ピークのピーク間隔(μm)であり、Yは、アルミニウム合金板中のTi含有量(質量%)である。)
のいずれもを満たしている。Ti含有量が高く、Ti濃度ピークのピーク間隔が広いほど、腐食の層状化作用が強くなる。アルミニウム合金の孔食は、局所的なClの濃縮及び酸性化により狭い範囲で深さ方向に急速に進行するが、アルミニウム合金に適切な腐食の層状化作用が付与されると、孔食が深さ方向に急速に進行することが抑制され、貫通腐食に対する寿命が大幅に増大する。しかし、腐食の層状化作用が強すぎると、剥離するような腐食が急速に起こり、結果として、腐食量自体が増大することにより、深さ方向の腐食の進行も早まり、貫通腐食に対する寿命が短くなる。このようなことから、Ti濃度ピークのピーク間隔(X)とTi含有量(Y)とを適切にする必要がある、すなわち、本発明のアルミニウム合金板では、Ti濃度ピークのピーク間隔(X)とTi含有量(Y)との関係が、上記式(1)及び(2)のいずれもを満たす必要がある。そして、アルミニウム合金板のTi濃度ピークのピーク間隔(X)とTi含有量(Y)との関係が、上記式(1)及び(2)のいずれもを満たすことにより、孔食の抑制効果に優れる。
【0019】
本発明のアルミニウム合金板は、Tiを必須の成分として含有するが、Ti以外にも、合金成分を含有することができる。
【0020】
本発明のアルミニウム合金板は、Si及びFeを含有してもよい。本発明のアルミニウム合金板が、Si及びFeを含有する場合、Siの含有量は、好ましくは0.05〜1.0質量%であり、Feの含有量は、好ましくは0.1〜0.7質量%である。Si含有量が上記範囲を超えると、耐食性が低くなり易く、また、Fe含有量が上記範囲を超えると、耐食性が低くなり易い。
【0021】
本発明のアルミニウム合金板は、Mn及びCuのうちのいずれか1種又は2種を含有してもよい。本発明のアルミニウム合金板が、Mnを含有する場合、Mnの含有量は、好ましくは0.05〜1.5質量%である。Mn含有量が上記範囲を超えると、粗大化合物を形成し、健全な板材の製造が困難となり易い。また、本発明のアルミニウム合金板が、Cuを含有する場合、Cuの含有量は、好ましくは0.05〜0.6質量%である。Cu含有量が上記範囲を超えると、カソード反応が増大し、耐腐食性が低くなり易い。
【0022】
本発明のアルミニウム合金板は、Mgを含有してもよい。本発明のアルミニウム合金板が、Mgを含有する場合、Mgの含有量は、好ましくは0.05〜5.0質量%である。Mg含有量が上記範囲を超えると、変形抵抗が増大し、薄板圧延が困難となり易い。
【0023】
本発明のアルミニウム合金板は、常法に従って、溶解及び鋳造され、所定の合金成分が所定の含有量で含有されているスラブを、熱間圧延及び冷間圧延することにより得られるアルミニウム合金板である。熱間圧延の温度は、通常、300〜600℃であり、熱間圧延の回数は適宜選択され、また、冷間圧延の回数は適宜選択される。また、熱間圧延及び冷間圧延以外に、焼鈍熱処理や引張矯正等の加工又は処理が必要に応じて、適宜される。
【0024】
本発明のアルミニウム合金板のTi含有量の調節であるが、溶解及び鋳造の際に、Ti元素の添加量を調整することにより、アルミニウム合金板中のTi含有量を調節することができる。また、本発明のアルミニウム合金板のTi濃度ピークのピーク間隔(X)であるが、例えば、圧延に供されるスラブの厚さ、圧延回数、圧延により得られるアルミニウム合金板の厚さを、選択することにより、アルミニウム合金板のTi濃度ピークのピーク間隔(X)を調節することができ、また、圧延されたアルミニウム合金を複数重ね合わせ、重ね合わせたものを圧延するという方法でも、アルミニウム合金板のTi濃度ピークのピーク間隔(X)を調節することもできる。なお、上記は、本発明のアルミニウム合金板の製造例であり、本発明のアルミニウム合金板は、これらの製造方法により製造されたものに、限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
(実施例及び比較例)
連続鋳造により、表1に示す化学成分の含有量の鋳塊を鋳造した。次いで、得られた鋳塊を、500〜580℃で10時間均質化処理を行った後、表1に示す厚さの圧延用スラブを作製した。次いで、表1に示す製品厚さまで、得られたスラブを熱間圧延及び冷間圧延し、次いで、400℃で2時間焼鈍加熱して、アルミニウム合金板を得た。
次いで、得られたアルミニウム合金板について、断面のEPMA分析及び耐食性評価を行った。その結果を表1に示す。
【0026】
(EPMA分析)
アルミニウム合金板を、圧延面に対し垂直且つ圧延方向に平行に切断し、その断面を研磨して、試験サンプルを作製した。次いで、EPMAにより、試験サンプルの研磨された断面について、板厚方向にTi濃度の線分析を行った。このときのEPMAの線分析条件を、加速電圧15kV、試料電流0.015μA、ビーム径1μm、分析ピッチ1μmとした。
次いで、得られた線分析結果から、任意に隣り合うピークの組み合わせを5つ選択し、5つ組み合わせそれぞれについてピーク間隔を測定し、それらの平均値を、Ti濃度ピークのピーク間隔(X)として求めた。同様の線分析を試験サンプルの研磨された断面の3箇所以上で行って、Ti濃度ピークのピーク間隔(X)を求め、それらの値を平均した。
【0027】
(CASSによる耐食性評価)
アルミニウム合金板を、50mm×70mmに切断し、試験サンプルを作製し、JIS Z2371に示されるCASS試験を、200時間行った。試験後の試験サンプルの外観から、腐食形態を観察し、また、断面観察により腐食深さを測定した。
【0028】
【表1-1】

【表1-2】

図1
図2