【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。
図1乃至
図4に示すように本発明に係る樹脂成形品取出し機1は、樹脂成形機3の固定側プラテン5の上面に固定され、該樹脂成形機3の操作側又は反操作側に設定された樹脂成形品の集積箇所に樹脂成形品を取り出す。
【0014】
樹脂成形機3は、公知の構造で、固定側プラテン5及び該固定側プラテン5に対して所定の間隔をおいて設けられた可動側プラテン7に横架されたタイバー9に可動盤11がタイバー9の軸線方向へ摺動するように支持される。該可動盤11には、油圧シリンダ、電動モータに連結された送りねじ等の型締め手段13に連結され、該型締め手段13の作動により可動盤11が固定側プラテン5側へ移動した際に、該可動盤11に設けられた可動金型16を固定側プラテン5に設けられた固定金型15に型締めさせる。そして固定側プラテン5側に設けられた射出手段17は、型締めされた可動金型16及び固定金型15のキャビィティ内に溶融した合成樹脂を射出して樹脂成形品を成形する。
【0015】
上記樹脂成形品取出し機1の第1フレーム19は、樹脂成形機3の中心軸線と直交する方向(以下、左右方向とも称する。)へ延出し、該第1フレーム19には、第1走行体21がその長手方向へ移動可能に支持される。第1走行体21には、上記左右方向と直交する方向(以下、前後方向とも称する。)へ延出する第2フレーム23が設けられ、該第2フレーム23には、第2走行体25がその長手方向へ移動可能に支持される。
【0016】
第2フレーム23には、上記左右方向及び前後方向と直交する上下方向に延出する上下フレーム27が昇降可能に支持され、該上下フレーム27の下部には、可動金型16内に保持された樹脂成形品を保持して樹脂成形品集積箇所に取り出するチャック29が、必要に応じて該チャック29を反転して姿勢制御する姿勢制御部材(図示せず)を介して設けられる。
【0017】
該チャック29は、例えばチャック板29aに負圧発生回路(図示せず)に接続された複数の吸着パッドや複数対のエアーシリンダ等の保持部材29bが樹脂成形品の各製品に対応して設けられ、これら保持部材29bにより樹脂成形品を保持して樹脂成形機3から取り出す。
【0018】
なお、上記第1及び第2走行体21・25と上下フレーム27は、例えば数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ26、28、30に連結され、一部が第1及び第2走行体21・25と上下フレーム27にそれぞれ設けられたナット(図示せず)に噛合わされる送りねじから構成される送りねじ往復移動手段、一方が電動モータに連結された一対の回転体に掛渡され、一部が第1及び第2走行体21・25と上下フレーム27にそれぞれ固定されるベルトから構成されるベルト往復移動手段等によりそれぞれの方向へ往復移動される。
【0019】
上記樹脂成形品取出し機1における開放位置側の樹脂成形品集積箇所には、樹脂成形品集積装置31が配置される。該樹脂成形品集積装置31の本体フレーム37は、上端が第1フレーム19の開放側端部より下方に位置する高さで、その下部には、樹脂成形機3の中心軸線と平行する軸線を有したガイド部材39が設けられ、該ガイド部材39には、第1可動体41が軸線と一致する方向へ移動可能に支持される。
【0020】
該第1可動体41には、上下フレーム43の基端部が固定され、該上下フレーム43には、上下方向に軸線を有したガイド部材45が設けられる。該ガイド部材45には、第2可動体47が昇降可能に支持される。
【0021】
これら第1及び第2可動体41、47は、上記した第1及び第2走行体21・25と上下フレーム27の移動手段と同様の移動手段がそれぞれ設けられ、その数値制御可能なサーボモータ等の電動モータに符号42、48を付して示す。そして第1及び第2可動体41、47は、電動モータ42、48の駆動に伴って対応する方向へ往復移動される。
【0022】
上記第2可動体47には、例えば後述するパレット49より一回り大きく、周囲を囲む大きさで四角枠状の支持フレーム51が設けられ、該支持フレーム51における対向辺には、ガイドロッド53が摺動可能にそれぞれ軸支される。支持フレーム51の内側に位置する各ガイドロッド53の端部には、パレット49の側縁に係止可能な係止部材55が設けられ、
【0023】
各係止部材55には、支持フレーム51の対向辺に設けられたエアーシリンダ、電磁ソレノイド等の作動部材57が連結される。各係止部材55は、各作動部材57の作動に伴って互いに近づく方向へ移動してパレット49の側縁に係止すると共に遠ざかる方向へ移動してパレット49側縁に対する係止を解除する。
【0024】
樹脂成形品集積装置31の搬入側(図示の例では、射出手段17側)には、例えばベルトコンベヤー、ローラコンベヤ、キャタピラーコンベヤー等で、前後方向の搬送路を有した搬入手段59が設けられる。該搬入手段59は、樹脂成形機3から取り出された樹脂成形品を収容して集積する空のパレット49を樹脂成形品集積装置31へ順次搬入させる。
【0025】
また、樹脂成形品集積装置31の搬出側(図示の例では、型締め手段13側)には、例えばベルトコンベヤー、ローラコンベヤ、キャタピラーコンベヤー等で、前後方向の搬送路を有した搬出手段61が設けられる。該搬出手段61は、取り出された樹脂成形品が各収容区画内に集積されたパレット49を樹脂成形品集積装置31から順次搬出させる。
【0026】
なお、上記パレット49は、縦及び横幅と高さが所定の長さ(高さ)で、内部に複数の収容区画49aが形成される。従って、各収容区画49aの縦及び横幅は、パレット49の縦及び横幅に対応して設定さる。
【0027】
上記樹脂成形品取出し機1のチャック47に保持された樹脂成形品を樹脂成形品集積装置31におけるパレット49の各収容区画49a内へ集積するための集積位置データは、後述するように樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置31、パレット49等を製作する際に作成されるCADデータ(寸法データ)に基づいて設定される。
【0028】
図5に示すように、樹脂成形品取出し機1における制御手段62のCPU63は、プログラムデータ記憶手段65、作業データ記憶手段67を備え、プログラム記憶手段65には、樹脂成形品取出し機1による樹脂成形品53の取出し動作及び樹脂成形品の集積動作を実行するプログラムデータ、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形品集積装置31、パレット49及び樹脂成形品のCADデータを組み合わせて樹脂成品集積システムのシステムCADデータを作成するシステム化プログラムデータ等の各種プログラムデータが記憶されている。
【0029】
上記作業データ記憶手段67には、成形機CADデータ記憶領域69、取出し機CADデータ記憶領域71、集積装置CADデータ記憶領域73、パレットCADデータ記憶領域75、樹脂成品の集積システムCADデータ記憶領域77、チャック47の移動位置データ記憶領域79、樹脂成形品集積装置31の設置位置データ記憶領域81及びパレット49の集積位置データ記憶領域83等を備えている。
【0030】
なお、
図5中の符号84は、バッファ領域で、該バッファ領域84には、後述する表示部材93に表示される各種CADデータや、CADデータ画像中においてポインタ93aにより指定された位置の三次元データを記憶したりする。
【0031】
成形機CADデータ記憶領域69には、樹脂成形機3を製作する際に作製されるCADデータが記憶され、このCADデータは、樹脂成形機1における固定側プラテン5の高さ、固定金型15に対する可動金型16の型開幅、固定側プラテン5及び可動盤11に対する各金型15の取付け位置、タイバー9の取付け位置及び相互間隔等のチャック29の各移動位置を演算するのに必要な寸法データを含む。
【0032】
即ち、上記CADデータは、例えば樹脂成形機3の中心軸線面、固定側プラテン5における可動金型16の相対面及び樹脂成形機3の底面を左右方向、前後方向及び上下方向の基準とし、これらの交点からの間隔、距離(長さ)等の寸法データを抽出可能にする。
【0033】
取出し機CADデータ記憶領域71には、樹脂成形品取出し機1を製作する際に作製されるCADデータが記憶され、このCADデータは、樹脂成形品取出し機1における固定側プラテン5に対する第1フレーム19の高さ、第1及び第2フレーム19、23の長手方向長さ、上下フレーム27の長手方向長さ、第1及び第2フレーム19、23の基端から第1及び第2走行体21、25の移動原点に至る間隔等のチャック29の各移動位置を演算するのに必要な寸法データを含む。
【0034】
即ち、上記CADデータは、例えば樹脂成形品取出し機1を固定側プラテン5の上面に固定する際の第1フレーム19の底面を上下高さの基準面とすると共に第1フレーム19の長手方向中心線を左右方向の基準面及び第1フレーム19の開放位置と反対側の端面を前後方向の基準面とし、これらの交点からの間隔、距離(長さ)等の寸法データを抽出可能にする。
【0035】
集積装置CADデータ記憶領域73には、樹脂成形品集積装置31を製作する際に作製されるCADデータが記憶され、このCADデータは、樹脂成形品集積装置31における本体フレーム37の前後方向及び左右方向の長さ、第1可動体41の移動可能幅、上下フレーム43の高さ、第2可動体47の昇降幅、第2可動体47に対する支持フレーム51の取り付け幅、支持フレーム51の各長さ等の寸法データを含む。
【0036】
即ち、上記CADデータは、例えば樹脂成形品集積装置31における本体フレーム37の底面を上下高さの基準面とすると共に本体フレーム37の長手方向中心線を前後方向の基準面及び本体フレーム37における搬入側端面を左右方向の基準面とし、これらの交点から支持フレーム51の昇降幅、前後方向の移動幅、第2可動体47から支持フレーム51の各端に至る幅等の寸法データを抽出可能にする。
【0037】
パレットCADデータ記憶領域75には、パレット49を製作する際に作成されるCADデータが記憶され、このCADデータは、パレット49の縦及び横の幅、パレット49の内部に設けられる各収容区画49aの縦及び横幅等の寸法データを含む。
【0038】
即ち、上記CADデータは、例えばパレット49の左右方向及び前後方向の幅、内部に設けられる収容区画の左右方向及び前後方向の幅等の寸法データを抽出可能にする。
【0039】
集積システムCADデータ記憶領域77には、成形機CADデータ記憶領域69、取出し機CADデータ記憶領域71、集積装置CADデータ記憶領域73、パレットCADデータ記憶領域75に記憶されたそれぞれのCADデータを、後述する設置位置データ記憶領域81に記憶された樹脂成形品1に対する樹脂成形品集積装置31の設定位置データに基づいて組み合わせて作成される樹脂成形品取出し機1及び樹脂成形品集積装置31から構成される樹脂成品集積システムのCADデータが記憶される。
【0040】
このCADデータは、樹脂成形機3から樹脂成形品を取り出す際に必要なチャック29の移動原点から待機位置に至る距離、待機位置(または移動原点)から下降位置に至る距離、下降位置(または移動原点)から前進位置に至る距離、前進位置(または移動原点)から後退位置(下降位置)に至る距離、後退位置(または移動原点)から上昇位置(待機位置)に至る距離、上昇位置(または移動原点)から開放位置に至る距離、開放位置から樹脂成形品集積装置31の支持フレーム51に保持されたパレット49の各収容区画49aに至る距離、支持フレーム51に保持されたパレット49の高さ等の寸法データを含む。
【0041】
移動位置データ記憶領域79には、樹脂成形機3から樹脂成形品を取り出す際にチャック29を待機位置、下降位置、前進位置、後退位置(下降位置)、上昇位置(待機位置)及び開放位置等のそれぞれへ移動するための移動位置データが記憶される。この移動位置データは、集積システムCADデータ記憶領域77に記憶された樹脂成品集積システムのCADデータから抽出される。
【0042】
設置位置データ記憶領域81には、樹脂成形品取出し機1に対する樹脂成形品集積装置31の設置位置に関する位置データ、詳しくは樹脂成形機3の中心軸線から操作側又は反操作側の設置位置に至る左右方向距離、固定プラテン5における可動金型16の相対面から設置位置に至る前後方向距離及び設置床面の高さに関するデータが記憶される。該設置位置データに付いては、他の位置データと異なり、作業者が第1フレーム19の固定部を中心に左右方向及び前後方向に対する距離を直接、数値入力したり、チャック29を樹脂成形品集積装置31へ移動して教示入力したりして設定される。
【0043】
集積位置データ記憶領域83には、樹脂成形機3から取り出された樹脂成形品を樹脂成形品集積装置31の支持フレーム51に保持されたパレット49の各収容区画49a内に収容する際に開放位置を起点とする前後方向、左右方向、上下方向に対するチャック29の集積位置データが記憶される。この集積位置データは集積システムCADデータ記憶領域77に記憶された樹脂成品集積システムのCADデータから抽出される。
【0044】
上記したそれぞれのCADデータとしては、二次元座標データ、三次元座標データのいずれかで、三次元座標データの場合には、縮尺及び斜眼が一致するデータに設定する。
【0045】
チャック29の移動原点は、チャック板29aの中心が固定金型15寄りで、第1フレーム19の
図1に示す左端側に位置し、かつ上下フレーム27が上昇限位置へ移動した三次元位置データとして移動位置データ記憶領域79に記憶される。また、上記前進位置における左右方向及び上下方向の位置は、上記した下降位置における左右方向及び上下方向の位置と一致した位置に設定される。
【0046】
チャック29の待機位置を設定するのに必要な移動位置データとしては、チャック29の移動原点から樹脂成形機3の中心軸線に至る左右方向の距離、型開した可動金型16の固定金型15寄り上方に至る前後方向の距離及び可動金型16側の上方で、上方に位置するタイバー9や安全扉に対して非干渉になる高さ等に基づいて演算された三次元位置データである。(
図16参照)
【0047】
チャック29の下降位置を設定するのに必要な移動位置データは、上記待機位置または移動原点からチャック29の各保持部材29bが可動金型16のキャビィティ内に保持された樹脂成形品の製品部に相対する高さに至る距離、上記待機位置の左右方向位置及び前後方向位置に基づいて演算された三次元位置データである。(
図17参照)
【0048】
チャック29の前進位置を設定するのに必要な移動位置データは、下降位置または原点位置からチャック29の各保持部材29bが可動金型16のパーティング面に対して突出しピンの突出幅分を隔てて近接する前後方向の位置、上記待機位置の左右方向位置及び上記下降位置の高さ位置に基づいて演算された三次元位置データである。(
図18参照)
【0049】
チャック29を開放位置へ移動するのに必要な移動位置データとしては、チャック29が待機位置(上昇位置)または原点位置から樹脂成形機3外の操作側又は反操作側に至る左右方向位置、チャック29が上記待機位置(上昇位置)の前後方向位置から固定金型15寄りに至る距離及び待機位置の上下方向位置に基づいて演算された三次元位置データである。(
図19参照)
【0050】
なお、チャック29の各移動位置に関しては、上記待機位置、下降位置、前進位置、可動金型16内からチャック29に保持された樹脂成形品を抜き出す後退位置、チャック29がタイバー9より上方へ移動した上方位置、開放位置をそれぞれ設定する必要があるが、説明の便宜上、後退位置に付いては下降位置に、上方位置に付いては待機位置に一致するものとして説明する。
【0051】
また、開放位置と樹脂成形品集積装置31の設置位置の関係は、樹脂成形機3における操作側又は反操作側における樹脂成形品集積装置31の設置位置が決定されれば、該樹脂成形品集積装置31の設置位置に対応して開放位置が設定されることになる。
【0052】
上記CPU63には、駆動制御手段85が接続され、該駆動制御手段85には、第1乃至第3電動モータ26、28、30がそれぞれ接続される。該駆動制御手段85は、移動位置データ記憶領域79から読み出された移動位置データに基づいて対応する電動モータ26、28、30を駆動制御してチャック29をそれぞれの位置へ移動させる。
【0053】
なお、上記第1乃至第3電動モータ26、28、30には、ロータリーエンコーダ等の位置検知器(図示せず)がそれぞれ設けられ、駆動制御手段85は、第1乃至第3電動モータ26、28、30を駆動した際にそれぞれの位置検知器から出力される検知信号に基づいて第1乃至第3電動モータ26、28、30をそれぞれ閉ループ制御するように構成される。
【0054】
上記CPU63には、チャック駆動制御手段87が接続され、該チャック駆動制御手段87には、チャック29の各保持部材29bを作動する負圧路を開閉する電磁バルブ、電磁ソレノイド等の作動部材(図示せず)が接続される。そしてチャック駆動制御手段87は、チャック29が型開した金型15間の前進位置へ移動した際に各保持部材29bを作動して樹脂成形品の製品部を保持可能にする一方、開放位置へ移動したチャック29が樹脂成形品集積装置31におけるパレット49の収容区画49aに位置した際に各作動部材の作動を停止してチャック29に保持された樹脂成形品の保持を解除する。
【0055】
なお、上記制御手段62には、樹脂成形機3から型開完了信号、突出し開始信号、突出し完了信号、型閉信号等や樹脂成形品取出し機1に設けられた各種の検知器からの検知信号が入出力手段89を介して入力される。また、制御手段62は、樹脂成形品を保持したチャック29が樹脂成形機3のタイバー9または安全扉の上方へ抜け出した際に樹脂成形機3へ取出し完了信号を出力する。
【0056】
CPU63には、表示制御手段91が接続され、該表示制御手段91には、LCD等の表示部材93が接続される。該表示部材93は、表示された各種のスイッチ、ボタン、キー(カーソルキー、スクロールキー等を含む。いずれも図示せず。)等の押下またはタッチペンによる操作が可能なタッチパネルとして構成される。
【0057】
そして表示制御手段91は、表示部材93に成形機CADデータ記憶領域69、取出し機CADデータ記憶領域71、集積装置CADデータ記憶領域73、パレットCADデータ記憶領域75等にそれぞれ記憶されたCADデータを表示したり、システム化プログラムデータに基づいてこれらのCADデータを組み合わせて作成されて集積システムCADデータ記憶領域77に記憶された樹脂成形品集積システムのシステムCADデータを表示したりする。
【0058】
また、表示部材93には、ポインタ93aが表示され、該ポインタ93aは、カーソルキーにより移動操作される。該ポインタ93aは、各CADデータを組み合わせて樹脂成形品集積システムのシステムCADデータを生成する際に、樹脂成形品集積装置31に支持されたパレット49の各収容区画49aに対するチャック29の三次元移動位置(集積位置)を指定したり、作成された樹脂成形システムのシステムCADデータに基づいてチャック47の原点位置、待機位置、下降位置、前進位置、ゲート切断位置、開放位置等の三次元位置を指定したりする。
【0059】
CPU63には、集積装置駆動制御手段95が接続され、該集積装置駆動制御手段95は、搬入手段59の駆動によりパレット49がパレット取出し位置へ搬入された際に出力される検知器(図示せず)からの検知信号により電動モータ42を駆動制御して上下フレーム43をパレット取出し位置へ移動した後に電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を下降して内側にパレット49を囲むように位置させた後、作動部材57を作動して係止部材55を互いに近づく方向へ移動してパレット49に対向する側縁に係止して保持させる。
【0060】
また、集積装置駆動制御手段95は、上記動作により支持フレーム51にパレット49が保持されると、電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を樹脂成形品の開放位置に対応する所定の高さ位置まで上昇させると共に電動モータ42を駆動制御して支持フレーム51を搬出手段61側へ移動して樹脂成形品の開放位置に移動させる。
【0061】
更に、集積装置駆動制御手段95は、上記動作によりパレット49の各収容区画49a内に樹脂成形品が集積されると、電動モータ42を駆動して支持フレーム51を搬出手段61の上方へ移動した後に電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を搬出手段61へ移載させる。
【0062】
また更に、集積装置駆動制御手段95は、上記動作後、作動部材57を復動してパレット49の側縁に対する係止部材55の係止を解除した後に電動モータ48を復動制御して支持フレーム51をパレット49の側縁から離脱させる。
【0063】
なお、上記説明は、樹脂成形品取出し機1の制御手段62により樹脂成形品集積装置31を駆動制御する構成としたが、上記制御手段62とは別の樹脂成形品集積装置31の制御手段(図示せず)により各電動モータ42、48を駆動制御して集積動作を実行してもよい。
【0064】
また、支持フレーム51の下降位置、上昇位置、上下フレーム43の各移動位置には、検知器(図示せず)がそれぞれ設けられ、これら支持フレーム51、上下フレーム43の移動に伴って出力される検知信号により対応する電動モータ42、48を駆動制御する。
【0065】
次に、樹脂成形品取出し機1による樹脂成形品の集積作用を説明する。なお、樹脂成形品取出し機1によるチャック29の移動動作に付いては、説明の便宜上、チャック29を待機位置、下降位置、前進位置、下降位置(後退位置)、待機位置(上昇位置)、開放位置の順に移動して樹脂成形品を取り出す基本的な動作として説明する。
【0066】
先ず、樹脂成形品取出し機1による樹脂成形品の取出し作用及び集積作用を
図6に従って説明すると、樹脂成形品取出し機1のチャック29は、移動位置データ記憶領域79から読み出された待機位置の移動位置データに基づいて電動モータ26、28、30を駆動制御して樹脂成形品取出し機1において予め設定された移動原点に対し、樹脂成形機3における中心軸線に一致する左右方向位置、可動金型16のパーティング面に近づく前後方向位置及びタイバー9より上方の上方位置の待機位置に待機している。
【0067】
なお、待機位置に付いては、上記した位置に限定されるものではなく、樹脂成形機3や樹脂成形品取出し機1の取出し形態に応じて任意に設定される。
【0068】
一方、樹脂成形品集積装置31にあっては、電動モータ42を駆動制御して上下フレーム43を搬入手段59のパレット取出し位置へ移動した後に電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を、パレット49の対向する側縁側に係止部材55が位置するように下降した後、作動部材57を作動して係止部材55を互いに近づく方向へ移動してパレット49に対向する側縁に係止して保持させる。(
図7参照)
【0069】
上記動作後、電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を樹脂成形品の開放位置に対応する所定の高さ位置まで上昇させると共に電動モータ42を駆動制御して支持フレーム51を、本体フレーム37における左右方向のほぼ中間部に移動して待機させる。
【0070】
上記待機状態にて樹脂成形動作が終了すると、型締め部材13を復動して固定金型15から可動金型16を型開し、型開動作の完了により樹脂成形機3から型開完了信号が制御手段62に入力されると、移動位置データ記憶領域79から読み出された下降位置の移動位置データに基づいて第3電動モータ30を駆動制御して上下フレーム27を下降してチャック29を型開した金型15間で可動金型16のパーティング面に相対する下降位置へ移動する。
【0071】
上記動作後、移動位置データ記憶領域79から読み出された前進位置の移動位置データに基づいて第2電動モータ28を駆動制御して第2走行体25を、チャック29が型開した可動金型16のパーティング面に近接する前進位置へ移動する。上記動作と並行して又は動作後に樹脂成形機3は、突出し部材を作動して可動金型16内の樹脂成形品を相対するチャック29側へ突き出し、該チャック29に樹脂成形品を保持させる。
【0072】
上記動作後、移動位置データ記憶領域79から読み出された後退位置(下降位置)の移動位置データに基づいて第2電動モータ28を逆転駆動制御してチャック29を、樹脂成形品が可動金型16内から抜き出される上記下降位置(後退位置)へ戻した後、移動位置データ記憶領域79から読み出された上昇位置(待機位置)の移動位置データに基づいて第3電動モータ30を逆転制御して上下フレーム27を上昇してチャック29を金型15間から離脱させて待機位置に戻す。
【0073】
上記動作後、移動位置データ記憶領域79から読み出された開放位置の移動位置データに基づいて第1電動モータ26を駆動制御して第1走行体21を、待機位置に戻ったチャック29が樹脂成形機3外の操作側又は反操作側に設定された開放位置へ移動した後、移動位置データ記憶領域79から読み出された集積開始位置の移動位置データに基づいて第1乃至第3電動モータ26、28、30の内、必要な電動モータを駆動制御して第1走行体21を左右方向、第2走行体25を前進方向、上下フレーム27を下降してチャック47を集積開始位置へ移動する。
【0074】
そして集積位置データ記憶領域83から読み出された1番目の集積位置データに基づいて第1乃至第3電動モータ26、28、30の内、必要な電動モータを駆動制御して集積位置に移動待機しているパレット49における第1番目の収容区画49aに相対させ、該状態にて保持部材29bによる樹脂成形品の保持を解除し、樹脂成形品を収容区画49a内へ集積させる。
【0075】
次の集積時においては、集積位置データ記憶領域83から読み出された2番目以降の集積位置データに基づいて第1乃至第3電動モータ26、28、30の内、必要な電動モータを駆動制御して第1走行体21を左右方向、第2走行体25を前進方向、上下フレーム27を下降してチャック47をパレット49における2番目以降の各収容区画49aに相対させた後に保持部材29bによる樹脂成形品の保持を解除して樹脂成形品を各収容区画49a内へ順次集積させる。
【0076】
なお、パレット49の各収容区画49aに対する樹脂成形品の収容作用に付いては、上記したように開放位置にてチャック29を左右方向、前後方向及び上下方向へそれぞれ移動して対応する収容区画49aに相対させる他に、例えば支持フレーム51に保持されたパレット49における第1列目の収容区画49aをパレット取出し位置へ移動し、該状態にてチャック29を左右方向及び上下方向へ移動制御して第1列目の各収容区画49a内に樹脂成形品を収容した後に、電動モータ42を駆動制御してパレット49における第2列目以降の各収容区画49aをパレット取出し位置へ順次、移動して列ごとに樹脂成形品を収容してもよい。
【0077】
上記作用によりパレット49の各収容区画49a内に樹脂成形品が収容された集積されると、電動モータ42を駆動制御して支持フレーム51を搬出手段61側へ移動した後に電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を下降してパレット49を搬出手段61上に移載し、該状態にて作動部材57を復動してパレット49の側縁に対する係止部材55の係止を解除させる。
【0078】
そして上記状態にて電動モータ48を駆動制御して支持フレーム51を上昇させると共に電動モータ420を駆動制御して搬入手段59側へ移動して次位のからのパレット49を保持可能にさせると共に搬出手段61を駆動して各収容区画49a内に樹脂成形品が収容されて集積されたパレット49を搬出させる。(
図8参照)
【0079】
次に、樹脂成形品を集積する際におけるチャック29の集積位置データの設定作用に付いて説明する。
先ず、樹脂成形品集積装置31を含む樹脂成形品取出しシステムのCADデータの生成に付いて説明すると、表示部材93に表示されたモード切換ボタン(図示せず)を押下(タッチ)操作してシステムCADデータ生成モードに切換え、表示部材93に成形機CADデータ記憶領域69、取出し機CADデータ記憶領域71、集積装置CADデータ記憶領域73、パレットCADデータ記憶領域75にそれぞれ記憶された各CADデータ画像を分割表示する。(
図9参照)
【0080】
次に、
図10に示すように表示部材93に表示されたカーソルキー等によりポインタ93aを移動操作して分割表示されたCADデータ画像中から樹脂成形機3のCADデータ画像を選択すると、
図11に示すように該樹脂成形機3のCADデータ画像を表示部材93の中央部に大きく表示させる。
【0081】
なお、表示部材93に表示されるCADデータ画像としては、三次元画像、二次元画像に切換可能に表示される。
【0082】
この状態にて表示された樹脂成形機3のCADデータ画像(三次元画像、二次元画像)に対してカーソルキー等によりポインタ93aを移動操作して固定側プラテン5上面における樹脂成形品取出し機1の固定位置を指定すると、固定位置に関する三次元位置データが読み込まれる。
【0083】
次に、カーソルキー等によりポインタ93aを移動操作して分割表示された樹脂成形品取出し機1のCADデータ画像を選択すると、表示部材93の中央部に大きく表示される画像が樹脂成形品取出し機1のCADデータ画像に切換えられる。
【0084】
そして表示された樹脂成形品取出し機1のCADデータにおける固定側プラテン5上面に対する固定位置に関する三次元位置データが読み込まれる。該動作後に表示された組み合わせキー(図示せず)の操作により組み合わせモードに切換えられると、上記固定側プラテン5上面の指定箇所に対して樹脂成形品取出し機1の各固定箇所が一致するように組み合わされたCADデータを作成し、組み合わされた樹脂成形機3及び樹脂成形品取出し機1のCADデータを表示部材93の中央部に大きく表示させる。(
図12参照)
【0085】
次に、組み合わせモードを解除した後に分割表示された樹脂成形品集積装置31のCADデータ画像を選択すると、表示部材93の中央部に樹脂成形品集積装置31のCAD画像が大きく表示される。この状態で表示された樹脂成形品集積装置31のCADデータ画像(三次元画像、二次元画像)に対してカーソルキー等によりポインタ93aを移動操作して上方へ移動した支持フレーム51に保持されたパレット49における第1番目の収容区画49aに対応する箇所を指定し、該集積位置に関する三次元位置データを読み込む。
【0086】
次に、組み合わせキー(図示せず)の操作により組み合わせモードに切換えられると、樹脂成形機3及び樹脂成形品取出し機1のCADデータに対し、予め設置位置データ記憶領域81に記憶された樹脂成形機3に対する樹脂成形品集積装置31の設置位置データに基づいて樹脂成形品集積装置31のCAD画像データを組み合わせたCADデータを作成して表示部材93の中央部に大きく表示させる。(
図13参照)
【0087】
なお、上記設置位置データ記憶領域81に記憶される樹脂成形品集積装置31の設置位置データは、CADデータを組み合わせる作業に先立って、例えば樹脂成形機3の中心軸線から操作側又は反操作側における設置位置に至る左右方向の間隔及び固定プラテン5の可動金型16の相対面から設置位置に至る前後方向の間隔を数値入力または教示入力して設定される。また、上記した左右方向の間隔は、上記中心軸線から第1フレーム19の開放位置側端部に至る間隔より、また前後方向の間隔は、金型相互の型開幅より、それぞれ短い間隔に設定され、上記より長い間隔が設定される場合には、エラー処理(入力禁止、報知)される。
【0088】
上記状態にてシステムCADデータ登録キーが操作されると、集積システムCADデータ記憶領域77に樹脂成形機3、樹脂成形品取出し機及び樹脂成形品集積装置31が組み合わされた集積システムのCADデータを記憶する。
【0089】
上記した作用により生成された樹脂成形機3、樹脂成形品取出し機及び樹脂成形品集積装置31が組み合わされた集積システムのCADデータに基づいてチャックの各移動位置を設定するには、移動位置設定キーが操作されると、表示部材93に集積システムCADデータ記憶領域77から読み出された樹脂成形機3、樹脂成形品取出し機及び樹脂成形品集積装置31が組み合わされた集積システムCADデータ画像を表示する。
【0090】
この状態にて表示されたCADデータ画像(三次元画像、二次元画像)に対してカーソルキー等によりポインタ93aを移動操作してチャック29の各移動位置としての待機位置、下降位置、前進位置、後退位置(下降位置)、上昇位置(待機位置)、開放位置、開放位置から例えば樹脂成形品集積装置31の支持フレーム51に保持されたパレット49の中心に至る集積開始位置をそれぞれ指定すると、集積システムのCADデータから各位置の三次元位置データを演算して移動位置データ記憶領域79に記憶する。
【0091】
即ち、待機位置設定モードが選択された後にカーソルキー等によりポインタ95aを移動操作して表示部材93に表示された集積システムのシステムCADデータ画像(三次元画像、二次元画像)に基づいて待機位置を指定すると、読み取った待機位置の三次元位置データと移動原点の三次元位置データを比較して移動原点から待機位置に至る左右方向、前後方向及び上下方向の距離を演算し、演算結果を待機位置の移動位置データとして移動位置データ記憶領域79における待機位置の記憶領域に記憶して設定する。(
図16参照)
【0092】
同様に下降位置、前進位置、開放位置、集積開始位置に付いては、表示部材93に表示されたシステムCADデータ画像(三次元画像、二次元画像)に基づいて下降位置、前進位置、開放位置、集積開始位置をそれぞれ指定すると、読み取った下降位置、前進位置、開放位置、集積開始位置の三次元位置データと上記直前の移動位置(または移動原点)の三次元位置データを比較して直前の移動位置(または移動原点)から下降位置、前進位置、開放位置、集積開始位置に至る左右方向、前後方向及び上下方向の距離を演算し、演算結果を下降位置、前進位置、開放位置、集積開始位置の移動位置データとして移動位置データ記憶領域79における下降位置、前進位置、開放位置、集積開始位置の記憶領域に記憶して設定する。(
図17乃至
図20参照)
【0093】
集積開始位置からパレット49の各収容区画49aに対する集積位置データを設定するには、集積位置設定キーが操作されると、表示部材93にパレット49のCADデータ画像を大きく表示した後に表示されたパレット49のCADデータ画像に対してカーソルキー等によりポインタ93aを移動操作して第1番目の収容区画49aを指定した後に登録キーが操作されると、表示されたCADデータに基づいて集積開始位置から第1番目の収容区画49aに至る左右方向及び前後方向の集積位置データを演算して集積位置データ記憶領域83における第1番目収容区画49aに対応する領域に記憶させる。
【0094】
同様に表示部材93に表示されたパレット49のCADデータ画像により第2番目以降の収容区画49aを順次指定することにより各集積位置データを演算して集積位置データ記憶領域83における対応する箇所に記憶させる。(
図14、
図15参照)
【0095】
なお、表示部材93に表示された分割表示された樹脂成形品取出し機1、樹脂成形機3、樹脂成形品集積装置31、パレット49のCADデータ画像中から対応する箇所への組み合わせ位置を指定する際や表示された集積システムのCADデータ画像からチャック29の各移動位置を指定する際、拡大キー(図示せず)の操作によりCADデータ画像を拡大表示するように制御してもよい。
【0096】
また、集積開始位置に付いては、支持フレーム51に保持されたパレット49の中心に対応する位置としたが、支持フレーム51に保持されたパレット49における第1番目の収容区画49aとしてもよい。この場合にあっては、パレット49の縦及び横の幅、設けられる収容区画49aの位置(列位置及び行位置)がパレット49のCADデータにより特定されるため、2番目以降の収容区画49aに付いての集積位置データは、第1番目の収容区画49a位置に対する左右方向及び前後方向の間隔から演算することができる。
【0097】
本実施例は、樹脂成形品取出し機1、樹脂成形機3、樹脂成形品集積装置31の各CADデータに基づいて作成された集積システムのシステムCADデータ画像(三次元画像、二次元画像)及びパレット49のCADデータに基づいて作成された集積位置データに基づいて樹脂成形品集積装置31に樹脂成形品を集積する際におけるチャック29の移動位置データ及び集積位置データを設定することができ、従来のように各移動位置データ及び集積位置データを直接数値入力する方法、チャック29をそれぞれの位置へ実際に移動して教示入力する方法に比べてチャック29の移動位置データ及び集積位置データの設定作業を簡易化し、樹脂成形品取出し作業を効率化することができる。
【0098】
上記説明は、樹脂成形品のみを取り出す樹脂成形品取出し機1に基づいて説明したが、第2フレーム23の固定側プラテン5側に第4走行体(図示せず)を第2走行体25とは独立して移動するように支持し、該第4走行体に、下部にスプル用チャック(図示せず)が設けられた上下フレームを昇降するように支持し、樹脂成形品と共に固定金型15内のスプルを取り出す構成の樹脂成形品取出し機としても実施することができる。
【0099】
上記説明において樹脂成形品取出し機1を、チャック29が左右方向、前後方向及び上下方向へ移動して樹脂成形品を取り出す三次元直交型構造として説明したが、樹脂成形機3の操作側又は反操作側に取り付けられ、チャック29を樹脂成形機3の側方から進入させて樹脂成形品を取り出す横走行型の樹脂成形品取出し機であっても本発明を実施することができる。
【0100】
上記説明において樹脂成形機3を、固定金型15に対して可動金型16を水平方向へ移動して樹脂成形する横型樹脂成形機により説明したが、固定金型に対して可動金型16を上下方向へ移動して樹脂成形する縦型樹脂成形機としても実施することができる。
【0101】
上記説明の樹脂成形品集積装置31においては、樹脂成形機3の中心軸線と平行に配置された搬入手段59及び搬出手段31により空のパレット49及び樹脂成形品が集積されたパレット49を上記中心軸線と一致する方向(前後方向)へ搬送して行う構成としたが、搬入手段59及び搬出手段31によるパレット49の搬送方向(搬入方向及び搬出方向)としては、これに限定されるものではなく、搬入手段59及び搬出手段31をその搬送方向が上記中心軸線と直交する左右方向となるよう並行配置した構成としてもよい。
【0102】
上記説明は、複数行及び列の収容区画49aを設けたパレット49内に樹脂成形品を集積する構成及び方法としたが、平底型のパレット内に樹脂成形品を段積み集積する構成及び方法としても実施可能である。