(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362462
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】熱交換器用の熱膨張低減閉鎖棒
(51)【国際特許分類】
F28D 9/02 20060101AFI20180712BHJP
F28F 3/10 20060101ALI20180712BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F3/10
F28F21/08 A
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-147254(P2014-147254)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-36617(P2015-36617A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】13/963,435
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ゼイガー
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド イー.アーミー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ カン
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ジェイ.マッコルガン
(72)【発明者】
【氏名】ナイジェル パーマー
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−139660(JP,U)
【文献】
特開昭48−068447(JP,A)
【文献】
特開2005−111527(JP,A)
【文献】
特開平06−142976(JP,A)
【文献】
特開2002−151878(JP,A)
【文献】
実開昭62−125884(JP,U)
【文献】
特開昭60−228657(JP,A)
【文献】
特開平05−172486(JP,A)
【文献】
国際公開第01/081849(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/02
F28F 3/10
F28F 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温源から高温流を受容し、かつ低温源から低温流を受容するように構成されるプレートフィン熱交換器であって、
複数の流れ通路を間に画定するように平行に配置される複数のプレートと、
前記高温流の進入に対して前記複数の流れ通路のうちの第1の組を密閉して、それにより前記高温流を前記複数の流れ通路のうちの第2の組の中に導くように、前記複数のプレートの第1の側面に配置される、第1の組の閉鎖棒と、を備え、
前記第1の組の閉鎖棒の各々の閉鎖棒が、
第1の熱膨張係数を有する第1の材料で形成される内側コアと、
前記内側コアの周りに配置される外側クラッディングであって、第2の熱膨張係数を有する第2の材料で形成され、前記第1の熱膨張係数が前記第2の熱膨張係数未満である外側クラッディングと、を備え、
前記第1の組の閉鎖棒の各々の閉鎖棒の前記外側クラッディングの厚さが、前記それぞれの閉鎖棒の前記内側コアの厚さに等しい、プレートフィン熱交換器。
【請求項2】
前記低温流の進入に対して前記複数の流れ通路のうちの前記第2の組を密閉して、それにより前記低温流を前記複数の流れ通路のうちの前記第1の組の中に導くように、前記複数のプレートの第2の側面に配置される、第2の組の閉鎖棒を更に備える、請求項1に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項3】
前記第2の組の閉鎖棒の各々の閉鎖棒が、
前記第1の熱膨張係数を有する前記第1の材料で形成される内側コアと、
前記内側コアの周りに配置される外側クラッディングであって、前記第2の熱膨張係数を有する前記第2の材料で形成される外側クラッディングと、を備える、請求項2に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項4】
前記複数の流れ通路のうちの前記第1の組および前記複数の流れ通路のうちの前記第2の組が、前記複数の流れ通路のうちの交番する組を含む、請求項2に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項5】
前記複数のプレートの各々の間、かつ、前記複数の画定された流れ通路の各々の内部に配設される複数の熱伝達構造体を更に備え、前記複数の熱伝達構造体の各々が、前記のそれぞれの流れ通路の流れ方向に方位付けされる、請求項2に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項6】
前記複数の熱伝達構造体の各々が、前記第2の材料の波形の薄板で形成される複数の熱伝達フィンを備える、請求項5に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項7】
前記複数のプレートの前記第1の側面が、前記複数のプレートの前記第2の側面に対して直角である、請求項2に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項8】
前記第1の材料がチタンを含む、請求項1に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項9】
前記第2の材料がアルミニウムを含む、請求項1に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項10】
前記第1の組の閉鎖棒の各々の閉鎖棒の前記内側コアの最大幅が、前記それぞれの閉鎖棒の幅の半分より大きい、請求項1に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項11】
前記第1の組の閉鎖棒の各々の閉鎖棒の前記内側コアが、前記内側コアの最大幅から、前記内側コアの第1および第2の端部のうちの少なくとも一方に向かって先細りになる、請求項1に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項12】
前記第1の組の閉鎖棒の各々の閉鎖棒の長さが、前記それぞれの閉鎖棒の前記内側コアの長さより大きい、請求項1に記載のプレートフィン熱交換器。
【請求項13】
前記複数のプレートを取り囲む外側筐体を更に備え、前記筐体が、前記第2の材料で形成される、請求項1に記載のプレートフィン熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器、特に、プレートフィン熱交換器用の閉鎖棒に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、2つの流体間で熱を伝達するためにしばしば用いられる。例えば、航空機環境制御システムにおいては、熱交換器は、比較的熱い熱気源(例えば、ガスタービンエンジンからの抽気)と比較的冷たい冷気源(例えば、ラム空気)との間で熱を伝達するために用いられ得る。プレートフィン熱交換器としばしば呼ばれる一部の熱交換器は、空気通路を間に画定するために層を成して配置される複数の熱交換薄板を有するプレートフィンコアを含む。閉鎖棒は、コアの熱気入口側面および冷気入口側面の交番する入口を密閉する。したがって、熱気および冷気は、交番する通路を介して方向付けられて、コアの内部に熱気および冷気の交番する層を形成する。熱は、層を分離する熱伝達薄板を介して熱気と冷気との間で伝達される。加えて、層同士間での熱伝達を容易化するには、通路の各々が、通路内で流れの方向に方位付けされる、しばしば波形の材料(例えば、アルミニウム)で形成される熱伝達フィンを含めてもよい。熱伝達フィンは、乱流と、気流に曝される表面積とを増大させ、それにより層同士間での熱伝達を増進させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、コア内部での熱伝達を更に容易化するために、プレートフィン熱交換器の部品は、比較的高い熱伝達率を有する、アルミニウムなどの材料から形成される。しかしながら、熱気が閉鎖棒(例えば、熱気入口のところの閉鎖棒)の上を通過するにつれて、入口のところでの熱気と、アルミニウムの比較的高い熱伝達率とが組み合わされて、閉鎖棒の急速な物理的膨張を引き起こしかねない。したがって、熱交換器の角がコアの全体的な膨張を抑止するため、閉鎖棒のこのような急速な膨張は、結果として、コアの部品に物理的な損傷(例えば、熱伝達フィンの破砕)を惹起しかねない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一例では、プレートフィン熱交換器は、高温源から高温流を受容し、かつ低温源から低温流を受容するように構成される。プレートフィン熱交換器は、複数の流れ通路を間に画定するように平行に配置された複数のプレートを含む。プレートフィン熱交換器は、高温流の進入に対して複数の流れ通路のうちの第1の組を密閉し、それにより高温流を複数の流れ通路のうちの第2の組の中に導くように複数のプレートの第1の側面に配置される第1の組の閉鎖棒を更に含む。閉鎖棒の集合のうちの各々のそれぞれの閉鎖棒は、第1の熱膨張係数を有する第1の材料で形成される内側コアと、内側コアの周りに配置される外側クラッディングとを含む。外側クラッディングは、第2の熱膨張係数を有する第2の材料で形成される。第1の熱膨張係数は、第2の熱膨張係数未満である。
【0005】
別の例では、プレートフィン熱交換器用の閉鎖棒は、閉鎖棒の第1の端部から閉鎖棒の第2の端部まで延在する閉鎖棒の主軸を画定する第1の長さと、閉鎖棒の第1の副面から閉鎖棒の第2の副面まで延在する閉鎖棒の第1の短軸を画定する第1の幅と、閉鎖棒の第1の主要面から閉鎖棒の第2の主要面まで延在する閉鎖棒の第2の短軸を画定する第1の厚さと、を含む。閉鎖棒は、第1の熱膨張係数を有する第1の材料で形成される内側コアを更に含む。内側コアは、閉鎖棒の第1の端部に近接する内側コアの第1の端部から閉鎖棒の第2の端部に近接する内側コアの第2の端部まで延在する、閉鎖棒の第1の長さ未満の第2の長さを有する。閉鎖棒は、第2の熱膨張係数を有する第2の材料から形成され、かつ、閉鎖棒の主軸を中心として内側コアを囲むように内側コアの周りに配置される外側クラッディングを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1のプレートフィン熱交換器のコアの一部分の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の技法によれば、プレートフィン熱交換器用の閉鎖棒は、後出のコアの周りに配置されるクラッディング(例えば、アルミニウム)より低い熱膨張係数を有する材料(例えば、チタン)から形成される内側コアを含む。内側コアは、閉鎖棒の全体的な熱膨張係数を下げる。この外側クラッディングは、閉鎖棒を、同様の材料で形成され得る熱交換器の他の部品(例えば、熱交換器筐体)に比べて容易に取り付ける(たとえば、溶接する)ことを可能とすることができる。したがって、本明細書に開示する閉鎖棒は、閉鎖棒の急速な熱膨張に起因する、コアの熱伝達フィンなどのプレートフィンコアの部品に対する、結果として発生するストレスおよび物理的損傷を防止する助けとなることが可能である。このように、開示の閉鎖棒は、プレートフィン熱交換器の部品の信頼性および寿命を増加させることが可能である。
【0008】
図1は、本開示の1つ以上の態様によるプレートフィン熱交換器10の略図である。図示するように、プレートフィン熱交換器10は、熱気入口12、熱気入口マニホールド13、熱気出口14、熱気出口マニホールド15、およびプレートフィンコア16を含む。プレートフィンコア16は、熱伝達プレート18、冷気閉鎖棒20、および熱気閉鎖棒22を含む。図示するように、プレートフィンコア16は、熱気フィン19および冷気フィン21などの、熱伝達プレート18の間に配設された複数の熱伝達構造体を更に含むことがある。
【0009】
熱伝達プレート18は、平行に配置されて、これらの間に複数の流れ通路を画定する。図示するように、熱伝達プレート18は、平行な層を成して配置される概して矩形のプレートであって、これらの層同士間の隙間を介して流れ通路(例えば、空気流通路)を画定することが可能である。
図1の例でのように、熱伝達プレート18は、プレートフィンコア16の内部に配置して、熱気流通路24の集合および冷気流通路26の集合を画定することが可能である。熱伝達プレート18は、アルミニウム、銅、銀、金、または他の材料などの比較的高い熱伝達率を有する1つ以上の材料で形成し、それにより交番する層を介して気流同士間での効率的な熱伝達を容易化することが可能である。熱気フィン19および冷気フィン21は、以下に更に説明するように、それぞれ熱気流通路24および冷気流通路26の内部に配設して、それぞれの空気流通路の内部の流れの方向に方位付けることが可能である。
【0010】
プレートフィンコア16は、プレートフィンコア16の熱気入口側面28および熱気出口側面30に配設されるクラッディングされた冷気閉鎖棒(cladded cool air closure bars)20を含む。図示するように、複数の冷気閉鎖棒20(すなわち、冷気閉鎖棒20の集合)は、冷気流通路26の集合に物理的に近接近している熱気出口側面30に対して(例えば、溶接、ロウ付け、または他の取り付け技法によって)配置されて、熱気出口側面30での熱気の進入に対して冷気流通路26の集合を密閉する。熱気出口側面30に配置された冷気閉鎖棒20を含んでいるように図示されているとはいえ、プレートフィンコア16は、熱気出口側面30の反対側にある熱気入口側面28に配設される類似の冷気閉鎖棒20を含むことを理解すべきである。すなわち、冷気流通路26の各々は、プレートフィンコア16の熱気入口側面28および熱気出口側面30の双方での熱気の進入に対して、冷気閉鎖棒20の集合によって密閉される。このように、冷気閉鎖棒20は、熱気の進入に対して冷気流通路26(すなわち、プレートフィンコア16の交番する流れ通路の集合)を密閉して、熱気源から受容された熱気(例えば、ガスタービンエンジンからのエンジン抽気)を、熱気流通路24中に導くように構成される。
【0011】
プレートフィンコア16は、プレートフィンコア16の冷気入口側面32および冷気出口側面34に配設されるクラッディングされた熱気閉鎖棒22を更に含む。図示するように。熱気閉鎖棒22は、熱気流通路24の集合に物理的に近接近している冷気出口側面34に対して(例えば、溶接、ロウ付け、または他の取り付け技法によって)配置されて、冷気出口側面34での冷気の進入に対して熱気流通路24の集合を密閉する。冷気出口側面34に配置された熱気閉鎖棒22を含んでいるように図示されているとはいえ、プレートフィンコア16は、冷気出口側面34の反対側にある冷気入口側面32に配設される類似の熱気閉鎖棒22を含むことを理解すべきである。すなわち、熱気流通路24の各々は、プレートフィンコア16の冷気入口側面32および冷気出口側面34の双方での冷気の進入に対して、熱気閉鎖棒22の集合によって密閉される。このように、熱気閉鎖棒22は、冷気の進入に対して熱気流通路24(すなわち、プレートフィンコア16の交番する流れ通路の集合)を密閉して、冷気源から受容された冷気(例えば、ラム空気)を、冷気流通路26中に導くように構成される。
【0012】
一部の例では、
図1の例でのように、熱気入口側面28および熱気出口側面30の各々は、冷気入口側面32および冷気出口側面34に対して直角であってもよい。このような例では、プレートフィンコア16は、冷気流通路26によって画定される冷気流の方向に対して直角である熱気の流れ方向を画定する熱気流通路24を含む。他の例では、熱気入口側面28および熱気出口側面30は、冷気入口側面32および冷気出口側面34の双方に対して直角である必要はない。一般的に、プレートフィンコア16は、熱気および冷気が、熱気および冷気の交番する層を成してプレートフィンコア16中で方向付けられるような、熱気流通路および冷気流通路のいかなる構成をも含むことができる。
【0013】
本明細書に開示する技法に従って、冷気閉鎖棒20および/または熱気閉鎖棒22は、第1の熱伝達係数を有する第1の材料から成る内側コアと、この内側コアの周りに配置される外側クラッディングと、を含む。外側クラッディングは、第2の熱伝達係数を有する第2の材料で形成することが可能である。第1の熱伝達係数は、第2の熱伝達係数未満であってもよく、それにより閉鎖棒の全体的熱膨張特性を軽減することが可能である。
【0014】
プレートフィン熱交換器10を動作させる例として、ガスタービンエンジンからのエンジン抽気などの熱気が、熱気源から熱気入口12を介してプレートフィン熱交換器10によって受容される。熱気入口12を介して受容された熱気は、熱気入口マニホールド13によってプレートフィンコア16の熱気入口側面28に向けて方向付けられる。プレートフィンコア16の熱気入口側面28に配置される冷気閉鎖棒20は、熱気の進入から冷気流通路26を密閉し、それにより熱気を熱気流通路24(すなわち、プレートフィンコア16の空気通路の交番する集合)の中に導く。したがって、熱気は、熱気流経路36に沿ったプレートフィンコア16の熱気流通路24を通って流れる。熱気出口側面30から出る熱気は、熱気出口マニホールド15によって収集されて、熱気出口14を介して方向付けられる。航空機から蓄積されたラム空気などの冷気は、冷気源から冷気入口(図示せず)を介してプレートフィン熱交換器10によって受容される。冷気は、例えば、冷気マニホールドによってプレートフィンコア16の冷気入口側面32に向けて方向付けられる。熱気閉鎖棒22は、冷気の進入から熱気流通路24を密閉し、それにより冷気を冷気流通路26(すなわち、熱気流通路24の集合に対して補完的なプレートフィンコア16の通路の交番する集合)の中に導く。したがって、冷気は、冷気流経路38に沿ってプレートフィンコア16の冷気流通路26を通って流れて、冷気出口側面34でのプレートフィンコア16から出る。
【0015】
動作に際して、熱は、層を分離する熱伝達プレート18を介して、熱気流通路24と冷気流通路26との交番する集合同士間で伝達される。熱気流通路24の内部に配設された熱気フィン19と、冷気流通路26の内部に配設された冷気流フィン21とは、層同士間での熱伝達を向上させる。冷気閉鎖棒20および/または熱気閉鎖棒22は、以下に更に説明するように、コアの周りに配置された外側クラッディングを形成する材料(例えば、アルミニウム)より低い熱膨張係数を有する材料(たとえば、チタン)で形成される内部コアを含む。したがって、内部コアは、冷気閉鎖棒20および/または熱気閉鎖棒22の全体的な熱膨張特性を下げ、それにより冷気閉鎖棒20および/または熱気閉鎖棒22の物理的熱膨張の速度および/または量を減少させる。このように、冷気閉鎖棒20および/または熱気閉鎖棒22は、プレートフィン熱交換器10の部品に対する物理的ストレスおよび/または冷気閉鎖棒20および/または熱気閉鎖棒22の急速な膨張に起因し得る部品に対する損傷(例えば、熱伝達プレート18同士間に配設される熱伝達フィンの破砕)を軽減することが可能である。
【0016】
図2は、
図1のプレートフィンコア16の一部分の分解図である。
図2に示すように、プレートフィンコア16は、熱伝達プレート18、冷気閉鎖棒20、および熱気閉鎖棒22を含む。更に図示するように、プレートフィンコア16は、熱伝達プレート18同士間に配設された熱気流フィン19および冷気流フィン21を含むことが可能である。熱伝達プレート18は、平行に配置されて、その間に、熱気流通路24および冷気流通路26などの複数の空気通路を画定する。冷気閉鎖棒20は、プレートフィンコア16の熱気入口側面および熱気出口側面での冷気流通路26に隣接して取り付けられて(例えば、溶接、ロウ付け、および類似の仕方)、熱気の進入から冷気流通路26を密閉し、それにより熱気流通路24を通って熱気源から受容された熱気を導くように構成される。熱気閉鎖棒22は、プレートフィンコア16の冷気入口側面および冷気出口側面での熱気流通路24に隣接して(例えば、溶接、ロウ付け、および類似の仕方で)取り付けられて、冷気の進入から熱気流通路24を密閉し、それにより冷気流通路26を通って冷気源から受容された冷気を導くように構成される。
図2の実例は1つの冷気閉鎖棒20および1つの熱気閉鎖棒22を含むが、プレートフィンコア16は、複数のこのような冷気閉鎖棒20および熱気閉鎖棒22を含むことが可能であることを理解すべきである。例えば、
図1に示すように、プレートフィンコア16は、プレートフィンコア16の熱気入口側面(例えば、
図1の熱気入口側面28)と、熱気出口側面(例えば、
図1の熱気出口側面30)との双方の交番する空気流通路に配設される複数の冷気閉鎖棒20を含むことが可能である。同様に、プレートフィンコア16は、プレートフィンコア16の冷気入口側面(例えば、
図1の冷気入口側面32)と、冷気出口側面(例えば、
図1の冷気出口側面34)との双方の交番する流れ通路に配設される複数の熱気閉鎖棒22を含むことが可能である。
【0017】
図示するように、熱気流フィン19および冷気流フィン21は各々が、波形の薄板材料で形成して、それぞれの空気流通路の内部での流れ方向に方向付けることが可能である。例えば、熱気流フィン19は、波形状中の折り畳みが熱気流通路24を通る熱気流の方向に方位付けられるように、熱気流通路24の内部で方位付けることが可能である。冷気流フィン21は、波形状中の折り畳みが冷気流通路26を通る冷気流の方向に方位付けられるように、冷気流通路26の内部で方位付けることが可能である。
【0018】
以下に更に説明するように、冷気閉鎖棒20および/または熱気閉鎖棒22は、後出の内側コアの周りに配置されるクラッディング(例えば、アルミニウム)を形成する材料より低い熱膨張係数を有する第1の材料(例えば、チタン)で形成される内部コアを含むことが可能である。内部コアは、熱気流に曝されるとき、冷気閉鎖棒20および/または熱気閉鎖棒22の熱膨張(例えば、体積膨張および/または線膨張)の速度および/または量を減少させ、それにより閉鎖棒のこのような膨張に起因するプレートフィンコア16の部品に対するストレスおよび/または損傷(例えば、熱気流フィン19および/または冷気流フィン21の破砕)を軽減することが可能である。
【0019】
図3は、本開示の1つ以上の態様によるプレートフィン熱交換器用の閉鎖棒の側面図である。
図3に示すように、閉鎖棒44は、内側コア46および外側クラッディング48を含む。内側コア46は、第1の熱膨張係数を有する第1の材料から形成することが可能である。内部コアの第1の材料の例は、チタン、ニッケル、プラチナ、または他の材料を含むことが可能である。外側クラッディング48は、内部コア46の第1の材料とは異なる第2の熱膨張係数を有する第2の材料で形成することが可能である。外側クラッディング第2の材料の例は、アルミニウム、ステンレス鋼、または他の材料を含むことが可能である。第2の材料は、第2の熱膨張係数を有することが可能である。内部コア46の第1の熱膨張係数は、外側クラッディング48の第2の熱膨張係数未満でであってもよい。ある例では、外側クラッディング48を形成する第2の材料は、プレートフィンコアの筐体を形成する材料と同じであってもよい。一部の例では、外側クラッディング48を形成する第2の材料は、プレートフィンコアの筐体を形成する材料の融点のしきい値温度範囲内である融点(例えば、摂氏10度、摂氏20度、摂氏50度、または他のしきい値量)を有し、それにより溶接、ロウ付け、または他のこのような技法によって閉鎖棒44の取り付けを可能とする材料であってもよい。一般に、内側コア46は、外側クラッディング48を形成する材料より低い熱膨張係数を有するいずれかの材料で形成してもよい。このように、内側コア46は、閉鎖棒44の全体的な熱膨張特性を下げ、それにより閉鎖棒44が熱流に曝されたときに閉鎖棒44の体積的および/または線的な物理的熱膨張を軽減することが可能である。
【0020】
図3に示すように、閉鎖棒44は、第1の閉鎖棒端部52から第2の閉鎖棒端部54に延長し、かつ閉鎖棒44の主軸(すなわち、最長を有する軸)を画定する閉鎖棒長さ50を有する。内側コア46は、第1の閉鎖棒端部52に近接する第1の内側コア端部58から第2の閉鎖棒端部54に最も近い第2の内側コア端部60まで延在する内側コア長さ56を有する。図示するように、内側コア長さ56は、閉鎖棒長さ50未満であってもよいので、外側クラッディング48は、内側コア46の周りに配置されて、第1の閉鎖棒端部52から第2の閉鎖棒端部54まで、内部コア46を囲む。
【0021】
一部の例では、内側コア46は、最大幅から第1の内側コア端部58および第2の内側コア端部60のうちの少なくとも一方に向かって先細りになることがある。例えば、
図3に示すように、内側コア46は、テーパー長さ62に沿ってある点まで先細りになり得る。他の例では、内側コア46が、最大幅から非ゼロ最小幅まで先細りになり得る。最大幅から第1の内側コア端部58および第2の内側コア端部60のうちの少なくとも一方に向かうテーパーは、閉鎖棒44の熱膨張特性の遷移を平滑化する助けとなることが可能であるので、内側コア46によって提供される閉鎖棒44の軽減された熱膨張特定は、閉鎖棒44の内部で唐突に変化することはない。
【0022】
図4は、
図3の断面A−Aに沿った断面図である。
図4に示すように、閉鎖棒44は、内側コア46および外側クラッディング48を含む。閉鎖棒44は、第1の閉鎖棒副面66から第2の閉鎖棒副面68(すなわち、閉鎖棒44の主要面の面積より小さい面積を有する副面)まで延長し、かつ閉鎖棒44の第1の短軸(すなわち、閉鎖棒44の軸の最大長より短い軸)を画定する閉鎖棒幅64を有する。閉鎖棒44は、第1の閉鎖棒主要面72から第2の閉鎖棒主要面74まで延長し、かつ閉鎖棒の第2の短軸を画定する厚さ70を有する。内側コア46は、第1の内側コア短軸78から第2に内側コア短軸80まで延在する内側コア幅76を有する。
【0023】
図4の図示する例のように、一部の例では、内側コア幅76は閉鎖棒幅64の半分より大きくなり得るため、内側コア46は、閉鎖棒44の半分より大きい幅および/または体積を形成する。他の例では、内側コア幅76が、閉鎖棒幅64の半分未満であり得る。ある例では、
図4に示すように、内側コア46の厚さは、第1の閉鎖棒主要面72から第2の閉鎖棒主要面74まで延長し得るため、内側コア46の厚さは、閉鎖棒44の厚さ70と同じ(例えば、等しい)。このように、外側クラッディング48は、閉鎖棒44の主軸(すなわち、閉鎖棒44の長さに沿って)内側46を囲むが、閉鎖棒44の主要面の周りで内側コア46を囲まないように内側コア46の周りに配置することが可能である。他の例では、外側クラッディング48は、内側コア46の面の各々の周りで内側コア46を囲み、それにより外側クラッディング48(図示せず)の内部に内側コア46を取り囲むように内側コア46の周りに配置することが可能である。
【0024】
次は、本開示の実施形態の非排他的な説明である。
【0025】
プレートフィン熱交換器は、高温源から高温流を受容し、かつ低温源から低温流を受容するように構成される。プレートフィン熱交換器は、間に複数の流れ通路を画定するように平行に配置される複数のプレートを含む。プレートフィン熱交換器は、高温流の進入に対して複数の流れ通路のうちの第1の組を密閉し、それにより複数の流れ通路のうちの第2の組の中に高温流を導くために、複数のプレートの第1の側面に配置される第1の組の閉鎖棒を更に含む。第1の組の閉鎖棒の各々のそれぞれの閉鎖棒は、第1の熱膨張係数を有する第1の材料で形成される内側コアと、内側コアの周りに配置される外側クラッディングとを含む。外側クラッディングは、第2の熱膨張係数を有する第2の材料で形成される。第1の熱膨張係数は、第2の熱膨張係数未満である。
【0026】
先行する段落のプレートフィン熱交換器はオプションとして、追加的におよび/または代替的に、次の特徴部、構成、および/または更なる部品のうちのいずれか1つ以上を含むことが可能である。
【0027】
プレートフィン熱交換器は、低温流の進入に対して複数の流れ通路のうちの第2の組を密閉し、それにより複数の流れ通路のうちの第1の組の中に低温流を導くように、複数のプレートの第2の側面に配置される第2の組の閉鎖棒を更に含み得る。
【0028】
第2の組の閉鎖棒の各々のそれぞれの閉鎖棒は、第1の熱膨張係数を有する第1の材料で形成される内側コアと、内側コアの周りに配置される外側クラッディングであって、第2の熱膨張係数を有する第2の材料で形成される外側クラッディングと、を備え得る。
【0029】
複数の流れ通路のうちの第1の組と、複数の流れ通路のうちの第2の組とは、複数の流れ通路の交番する組を備え得る。
【0030】
プレートフィン熱交換器は、複数のプレートの各々同士間に、かつ複数の画定された流れ通路の各々の内部に配設される複数の熱伝達構造体を更に含み得る。複数の熱伝達構造体の各々は、それぞれの流れ通路の流れ方向に方位付けられ得る。
【0031】
複数の熱伝達構造体の各々は、複数の熱伝達フィンを備え得る。
【0032】
複数の熱伝達フィンの各々は、第2の材料から成る波形の薄板で形成され得る。
【0033】
複数のプレートの第1の側面は、複数のプレートの第2の側面に対して直角であり得る。
【0035】
第2の材料はアルミニウムを含み得る。
【0036】
第1の組の閉鎖棒の各々のそれぞれの閉鎖棒の内側コアの最大幅は、それぞれの閉鎖棒の幅の半分より大きいことがあり得る。
【0037】
第1の組の閉鎖棒の各々のそれぞれの閉鎖棒の内側コアは、内側コアの最大幅から内側コアの第1および第2の端部のうちの少なくとも一方に向かって先細りになり得る。
【0038】
第1の組の閉鎖棒の各々のそれぞれの閉鎖棒の長さは、それぞれの閉鎖棒の内側コアの長さより大きいことがあり得る。
【0039】
第1の組の閉鎖棒の各々のそれぞれの外側クラッディングの厚さは、それぞれの閉鎖棒の内側コアの厚さに等しいことがあり得る。
【0040】
プレートフィン熱交換器は、複数のプレートを取り囲む外側筐体を更に含み得る。外側筐体は、第2の材料で形成され得る。
【0041】
プレートフィン熱交換器用の閉鎖棒は、閉鎖棒の第1の端部から閉鎖棒の第2の端部まで延在する閉鎖棒の主軸を画定する第1の長さと、閉鎖棒の第1の副面から閉鎖棒の第2の副面まで延在する閉鎖棒の第1の短軸を画定する第1の幅と、閉鎖棒の第1の主要面から閉鎖棒の第2の主要面まで延在する閉鎖棒の第2の短軸を画定する第1の厚さと、を含む。閉鎖棒は、第1の熱膨張係数を有する第1の材料で形成される内側コアを更に含む。内部コアは、閉鎖棒の第1の長さ未満の第2の長さを有し、閉鎖棒の第1の端部に近接する内側コアの第1の端部から閉鎖棒の第2の端部に近接する内側コアの第2の端部まで延在する。閉鎖棒は、第2の熱膨張係数を有する第2の材料から形成され、かつ、閉鎖棒の主軸を中心として内側コアを囲むように内側コアの周りに配置される外側クラッディングを更に含む。
【0042】
先行する段落のプレートフィン熱交換器用の閉鎖棒はオプションとして、追加的におよび/または代替的に、次の特徴部、構成、および/または更なる部品のうちのいずれか1つ以上を含むことが可能である。
【0043】
第1の材料はチタンを含み得る。第2の材料はアルミニウムを含み得る。
【0044】
内側コアは、閉鎖棒の第1の厚さに等しく、かつ閉鎖棒の第2の短軸に沿って閉鎖棒の第1の主要面から閉鎖棒の第2の主要面まで延在する第2の厚さを有し得る。
【0045】
閉鎖棒の第1の短軸に沿って延在する内側コアの最大幅は、閉鎖棒の第1の幅の半分より大きいことがあり得る。
【0046】
内側コアは、内側コアの最大幅から閉鎖棒の第1および第2の端部の各々に向かって先細りになり得る。
【0047】
本発明を例示の実施形態を参照して説明したが、様々な変更がなされ、かつこれらの要素の代わりに同等物が本発明の範囲から逸脱することなく導入され得ることが当業者には理解されるであろう。加えて、本発明の教示に対して、これの本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を適用するために、多くの修正がなされ得る。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に制限されることはなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に包含される全ての実施形態を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0048】
10…プレートフィン熱交換器
12…熱気入口
13…熱気入口マニホールド
14…熱気出口
15…熱気出口マニホールド
16…プレートフィンコア
18…熱伝達プレート
19…熱気フィン
20…冷気閉鎖棒
21…冷気フィン
22…熱気閉鎖棒
24…熱気流通路
26…冷気流通路
28…熱気入口側面
30…熱気出口側面
32…冷気入口側面
34…冷気出口側面
36…熱気流経路
38…冷気流経路