(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
補強詰め合わせ体が筒状の補強部と補強部に包まれた内側風船部と補強部を包む外側風船部とを備えた構造として準備され、第1上部搬入装置が搬入風船部と搬入風船部に連結されたエアーホース部と搬入風船部に連結された挿入用具部と搬入風船部に連結された吊り上げ用具部とを備えた構造として準備され、第2上部搬入装置が搬入風船部と搬入風船部に連結されたエアーホース部と搬入風船部に連結された挿入用具部と搬入風船部に連結された吊り上げ用具部とを備えた構造として準備され、先ず、作業孔部を設ける工程では作業孔部が中空筒状構造物の側壁部に設けられて第1上部搬入装置を設置する工程に進み、第1上部搬入装置を設置する工程では第1上部搬入装置の挿入用具部により第1上部搬入装置の搬入風船部とエアーホース部と吊り上げ用具部とが中空筒状構造物の外部から上記作業孔部を経由して中空筒状構造物の内側空洞部の頭部の側に挿入されて予め設定された設置位置に到達したら上記挿入用具部による挿入を停止しかつ当該設置位置に到達した第1上部搬入装置の搬入風船部が作業孔部から中空筒状構造物の外部に出た第1上部搬入装置のエアーホース部より供給された圧縮空気により膨張して中空筒状構造物の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張って上記予め設定された設置位置に設置されて補強詰め合わせ体を挿入する工程に進み、補強詰め合わせ体を挿入する工程では第1上部搬入装置の吊り上げ用具部と補強部に接着剤を含浸した状態の補強詰め合わせ体とが互いに連結されかつ当該吊り上げ用具部の中空筒状構造物より外部に出た一端部により上記連結された補強詰め合わせ体が作業孔部から中空筒状構造物の内側空洞部の頭部の側に引き上げられて補強部を貼り付ける工程に進み、次に、補強部を貼り付ける工程では上記引き上げと共に又は上記引き上げ後に補強詰め合わせ体の外側風船部が補強詰め合わせ体から剥ぎ取られて作業孔部から中空筒状構造物より外部に回収して補強詰め合わせ体の補強部を露出した状態での内側風船部が空筒状構造物の外部より作業孔部を経由して内側風船部に供給された圧縮空気により膨張して補強部を押し広げて中空筒状構造物の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張って中空筒状構造物の内側空洞部を囲む内壁面に接着剤で固定して第2上部搬入装置を設置する工程に進み、第2上部搬入装置を設置する工程では第2上部搬入装置の挿入用具部により搬入風船部とエアーホース部と吊り上げ用具部とが中空筒状構造物の外部から上記作業孔部を経由して中空筒状構造物の内側空洞部の頭部の側に挿入されて予め設定された設置位置に到達したら上記挿入用具部による挿入を停止しかつ当該設置位置に到達した第2上部搬入装置の搬入風船部が作業孔部から中空筒状構造物の外部に出た第2上部搬入装置のエアーホース部より供給された圧縮空気により膨張して中空筒状構造物の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張って上記予め設定された設置位置に設置されて硬化材パイプ部を挿入する工程に進み、硬化材パイプ部を挿入する工程では硬化材パイプ部に連結された第2上部搬入装置の吊り上げ用具部の中空筒状構造物より外部に出た一端部により上記硬化材パイプ部が作業孔部から補強部及び内側風船部を経由して内側風船部の内側空洞部の頭部の側に引き上げられて硬化材を打設する工程に進み、硬化材を打設する工程では液状硬化材が中空筒状構造物の外部から作業孔部を経由して内側風船部の内側空洞部に打設されることを特徴とする中空筒状構造物補強工法。
作業孔部を設ける工程と第1上部搬入装置を設置する工程との間に接着剤を注入する工程を設け、この接着剤を注入する工程では中空筒状構造物の外部の地上の現場において接着剤が補強詰め合わせ体の外側風船部の内側空洞部に注入されて補強部に含浸されることを特徴とする請求項1記載の中空筒状構造物補強工法。
補強詰め合わせ体が筒状の補強部に包まれた内側風船部と筒状の補強部に包まれた下側風船部及び補強部を包む外側風船部を備えた構造として準備され、補強詰め合わせ体を挿入する工程と補強部を貼り付ける工程との間に下側風船部を固定する工程と補強部を緊張する工程を設け、下側風船部を固定する工程では圧縮空気が中空筒状構造物の内側空洞部の底部の側に配置された下側風船部に供給され、下側風船部が膨張して補強部の底部の側を押し広げて中空筒状構造物の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張って補強部を緊張する工程に進み、補強部を緊張する工程では中空筒状構造物の外部において第1上部搬入装置の吊り上げ用具部が中空筒状構造物より外部の側に更に出るように引かれて補強部及び内側風船部が頭部の側と底部の側とに緊張して上記吊り上げ用具部による引き上げの停止位置が保持されて補強部を貼り付ける工程に進むことを特徴とする請求項1記載の中空筒状構造物補強工法。
補強詰め合わせ体が筒状の補強部と補強部に包まれた内側風船部とを備えかつ外側風船部の設けられていない構造として準備され、補強部を貼り付ける工程では作業孔部から中空筒状構造物の内側空洞部を囲む内壁面に接着剤を予め塗布するか又は上記引き上げと共に又は上記引き上げ後に補強部に接着剤を塗布した状態の補強詰め合わせ体の内側風船部を空筒状構造物の外部より作業孔部を経由して内側風船部に供給された圧縮空気により膨張して補強部を押し広げて中空筒状構造物の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張って中空筒状構造物の内側空洞部を囲む内壁面に接着剤で固定して第2上部搬入装置を設置する工程に進むことを特徴とする請求項1記載の中空筒状構造物補強工法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至4を参照し、発明を実施するための形態に係る中空筒状構造物1を補強する工法について説明する。
図1乃至4は、中空筒状構造物1の内側空洞部に入った物も実線で図示した模式図になっている。
図1乃至4に示した発明を実施するための形態に係る中空筒状構造物1を補強する工法は、
図1のA図に示した作業孔部2を設ける工程、
図1のB図に示した中空筒状構造物1を調査する工程、
図1のC図に示した接着剤を注入する工程、
図1のD図に示した第1上部搬入装置21を設置する工程、
図2のA図に示した補強詰め合わせ体11の頭部の側を挿入する工程、
図2のB図に示した外側風船部15の頭部の側を回収する工程、
図2のC図に示した補強詰め合わせ体11の底部の側を挿入する工程、
図2のD図に示した外側風船部15の底部の側を回収する工程、
図3のA図に示した下側風船部14を固定する工程、
図3のB図に示した補強部12を緊張する工程、
図3のC図に示した補強部12を貼り付ける工程、
図3のD図に示した第2上部搬入装置31を設置する工程、
図4のA図に示した硬化材パイプ部41を挿入する工程、
図4のB図に示した作業孔部2を閉塞する工程、
図4のC図に示した硬化材を打設する工程を備える。
【0012】
図1のA図に示した作業孔部2を設ける工程では、作業孔部2が中空筒状構造物1の側壁部に設けられる。作業孔部2は、中空筒状構造物1の側壁部に中空筒状構造物1の内外に貫通するように形成される。作業孔部2は、中空筒状構造物1の設置された現場3での作業がしやすい高さに、中空筒状構造物1の外部からコアドリル等の穴あけ工具4で形成される。
【0013】
図1のB図に示した中空筒状構造物1を調査する工程では、中空筒状構造物1の内側空洞部の現状が調査される。現場3において、例えば、調査用機器5のカメラ部6が中空筒状構造物1の外部から作業孔部2を経由して中空筒状構造物1の内側空洞部に入れられる。調査用機器5のカメラ部6に電線7で接続された表示部8が現場3に置かれ、カメラ部6及び表示部8が監視動作を開始すると、カメラ部6で撮影した中空筒状構造物1の内側空洞部の現状が表示部8に画像として表示される。カメラ部6が作業孔部2から内側空洞部の頭部の側だけではなく、作業孔部2から内側空洞部の底部の側にも移動され、内側空洞部の全体の状態が調査される。そして、調査用機器5が内側空洞部から作業孔部2を経由して中空筒状構造物1より外部に除去された後、例えば、中空筒状構造物1の内側空洞部の底部に雨水等の水の存在が確認された場合は上記水を中空筒状構造物1より外部の現場3に排水し、又、中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面が汚れている場合は内壁面を洗浄する。
図1のB図に示した工程は省略可能である。
【0014】
図1のC図に示した接着剤を注入する工程では、現場3で補強詰め合わせ体11に接着剤を注入する。接着剤としては、エポキシ系、ポリエステル系等が適用可能である。補強詰め合わせ体11は、長尺な筒状の補強部12、補強部12に包まれた長尺な内側風船部13、補強部12に包まれた短尺な下側風船部14、補強部12を包む長尺な外側風船部15を備える。補強部12は、高強度繊維製の織布又は不織布から袋状に構成されていても良いが筒状に構成されていれば適用可能である。補強部12を構成する高強度繊維としては、アラミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維、ポリエチレン繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が適用可能である。
【0015】
内側風船部13及び下側風船部14外側風船部15は、合成樹脂又はゴム製の気密性能及び防水性能を有する。内側風船部13及び下側風船部14並びに外側風船部15を構成する合成樹脂としては、ウレタン、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合)、ポリエチレン、ポリプロピレン等が適用可能である。内側風船部13及び下側風船部14並びに外側風船部15の各々の気密性能は、内側風船部13及び下側風船部14並びに外側風船部15の各々の内部に注入された空気が永久に漏れ出ないことではなく永年にわたり漏れ出にくい性能を有することを意味する。内側風船部13及び下側風船部14並びに外側風船部15の各々の防水性能は、内側風船部13及び下側風船部14並びに外側風船部15の各々の内部に注入された液状硬化材の成分が永久に漏れ出ないことではなく永年にわたり漏れ出にくい性能を有すること意味する。
【0016】
補強詰め合わせ体11としては、外側風船部15が設けられていない構造も適用可能である。外側風船部15が設けられていない構造の場合は、
図1のC図に示した接着剤を注入する工程、
図2のB図に示した外側風船部15を回収する工程乃至
図2のD図に示した外側風船部15を回収する工程が省かれ、
図2のA図に示した補強詰め合わせ体11を挿入する工程が段落0021に記載されたように変更される。又、下側風船部14が設けられていない構造でも適用可能である。下側風船部14が設けられていない構造の場合は、
図3のA図に示した下側風船部14を固定する工程、
図3のB図に示した補強部12を緊張する工程が省かれる。
【0017】
図1のC図に示した接着剤を注入する工程では、現場3に置かれた接着剤注入機器16の接着剤供給部が外側風船部15に設けられた注入バルブ部17に接続され、接着剤注入機器16が接着剤の供給動作を開始すると、接着剤が接着剤注入機器16から注入バルブ部17を経由して外側風船部15の内側空洞部に注入されて筒状の補強部12に含浸される。尚、この
図1のC図に示した接着剤を注入する工程は、
図1のA図に示した作業孔部2を設ける工程よりも前の時点で行うことも、又は、
図1のA図に示した作業孔部2を設ける工程及び
図1のB図に示した中空筒状構造物1を調査する工程に並行して行うことも適用可能である。
【0018】
図1のC図に示した工程に代替し、
図1のD図に示した工程と
図2のA図に示した工程との間に接着剤を塗布する工程を行うことも可能である。このように
図1のD図に示した工程と
図2のA図に示した工程との間に接着剤を塗布する工程を採用した場合は、
図1のD図に示した工程の後、第1上部搬入装置21の吊り上げ用具部26の中空筒状構造物1より外部に出ている部分が現場3に置かれた接着剤供給機器の接着剤供給部に接続された接着剤ホース部に設けられた吹付け具に連結され、吊り上げ用具部26の中空筒状構造物1より外部に出ている部分が中空筒状構造物1より外部の側に更に出るように引かれて、接着剤ホース部の吹付け具が中空筒状構造物1の内側空洞部を上下方向に移動すると共に接着剤供給機器が接着剤の供給動作を開始し、接着剤が接着剤供給機器から接着剤ホース部を経由して接着剤ホース部の吹付け具から中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に吹き付けられる。
【0019】
図1のD図に示した第1上部搬入装置21を設置する工程では、第1上部搬入装置21が中空筒状構造物1の内側空洞部に設置される。第1上部搬入装置21は、搬入風船部22、搬入風船部22に接続されたエアーホース部23、搬入風船部22に連結された棒状の挿入用具部24、搬入風船部22に設けられた連結部25と、連結部25に巻き掛けられたロープ等の吊り上げ用具部26を備える。現場3において、搬入風船部22及び連結部25が中空筒状構造物1の外部から作業孔部2を経由して中空筒状構造物1の内側空洞部の頭部の側に入れられ、エアーホース部23と吊り上げ用具部26及び挿入用具部24の各々の一部が作業孔部2から中空筒状構造物1の内側空洞部に入れられ、エアーホース部23と吊り上げ用具部26及び挿入用具部24の各々の残部が現場3の側に出された状態になる。そして、挿入用具部24の内側空洞部に入った部分が内側空洞部の頭部の側に進入するように、挿入用具部24が内側空洞部に挿入される。
【0020】
そして、挿入された搬入風船部22及び連結部25が中空筒状構造物1の内側空洞部の頭部の側の予め設定された設置位置に到達したら、上記挿入用具部24による進入が停止され、当該挿入用具部24による進入の停止位置が保持される。その状態において、現場3に置かれた圧縮空気供給機器27の空気供給部がエアーホース部23の中空筒状構造物1より外部に出ている部分に接続され、圧縮空気供給機器27が圧縮空気の供給動作を開始すると、圧縮空気が圧縮空気供給機器27からエアーホース部23を経由して搬入風船部22に供給され、搬入風船部22が膨張して中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張る。これにより、搬入風船部22が上記設置位置に固定される。その後、エアーホース部23及び挿入用具部24が現場3の側に引き寄せられて搬入風船部22から引き抜かれて作業孔部2を経由して現場3に回収される。上記エアーホース部23が搬入風船部22から引き抜かれた場合、搬入風船部22に設けられたエアーバルブ部の閉じる動作により搬入風船部22から圧縮空気が抜けることなく搬入風船部22の膨張による固定が確保される。
【0021】
図1のC図と
図1のD図との作業は、互いに並行に行われても、個別に順々に行われても適用可能である。
図1のC図と
図1のD図との作業が個別に順々に行われ場合において、
図1のD図の作業が
図1のC図の作業よりも先に行われても良い。
【0022】
図2のA図に示した補強詰め合わせ体11の頭部の側を挿入する工程では、接着剤の注入された補強詰め合わせ体11が中空筒状構造物1の内側空洞部に挿入される。具体的には、第1上部搬入装置21の吊り上げ用具部26の中空筒状構造物1より外部に出ている部分が補強詰め合わせ体11の一端部に連結され、吊り上げ用具部26の中空筒状構造物1より外部に出ている部分が中空筒状構造物1より外部の側に更に出るように引かれる。これにより、補強詰め合わせ体11が作業孔部2から中空筒状構造物1の内側空洞部の頭部の側に引き上げられる。
図1のD図に示した工程と
図2のA図に示した工程との間に接着剤を塗布する工程を採用した場合は、
図2のA図に示した補強詰め合わせ体11の頭部の側を挿入する工程に使用される補強詰め合わせ体11は接着剤が注入されていない状態である。又、外側風船部15が設けられていない構造の補強詰め合わせ体11を用いた場合の
図2のA図と
図2のC図とに示した補強詰め合わせ体11を挿入する工程に使用される補強詰め合わせ体11は接着剤が注入されていない状態であり、
図2のA図と
図2のC図とに示した補強詰め合わせ体11を挿入する工程では、補強詰め合わせ体11が作業孔部2から中空筒状構造物1の内側空洞部の頭部の側に引き上げられる際に、接着剤が補強詰め合わせ体11の補強部12に塗布される。
【0023】
図2のB図に示した外側風船部15の頭部の側を回収する工程では、
図2のA図で挿入された補強詰め合わせ体11が中空筒状構造物1の内側空洞部の予め設定された設置位置に到達したら、上記吊り上げ用具部26による引き上げが停止され、当該吊り上げ用具部26による引き上げの停止位置が保持される。その状態では、補強詰め合わせ体11の他端部は作業孔部2から中空筒状構造物1の外部に出ている。次に、補強詰め合わせ体11の外側風船部15の頭部の側が補強詰め合わせ体11から剥ぎ取られて作業孔部2から中空筒状構造物1より外部に回収され、補強詰め合わせ体11の補強部12が露出した状態で中空筒状構造物1の内側空洞部に配置され、外側風船部15の中空筒状構造物1より外部に出ている底部の側は未回収のまま補強詰め合わせ体11に残存する。
【0024】
尚、
図2のB図に示した外側風船部15の頭部の側を回収する工程は、
図2のA図に示した補強詰め合わせ体11の頭部の側を挿入する工程の後に限定されるものではなく、
図2のA図に示した補強詰め合わせ体11の頭部の側を挿入する工程と並行に行うことも適用可能である。又、
図1のD図に示した工程と
図2のA図に示した工程との間に接着剤を塗布する工程を採用した場合は、
図2のB図に示した外側風船部15の頭部の側を回収する工程を
図2のA図に示した補強詰め合わせ体11の頭部の側を挿入する工程時に行うことも可能である。
図2のB図に示した外側風船部15の頭部の側を回収する工程を
図2のA図に示した補強詰め合わせ体11の頭部の側を挿入する工程時に行う場合は、補強詰め合わせ体11が作業孔部2から内側空洞部の頭部の側に引き上げられる際に、外側風船部15の頭部の側が補強詰め合わせ体11から剥ぎ取られて作業孔部2から中空筒状構造物1の外部に回収される。
【0025】
図2のC図に示した補強詰め合わせ体11の底部の側を挿入する工程では、補強詰め合わせ体11の底部の側が中空筒状構造物1の外部から作業孔部2を経由して内側空洞部の底部の側に挿入される。これにより、補強詰め合わせ体11が
図2のB図で引き上げの停止位置の保持された吊り上げ用具部26により中空筒状構造物1の内側空洞部に吊り下げられる。
【0026】
図2のD図に示した外側風船部15の底部の側を回収する工程では、補強詰め合わせ体11の外側風船部15の底部の側が補強詰め合わせ体11から剥ぎ取られて作業孔部2から中空筒状構造物1の外部に回収され、補強詰め合わせ体11の補強部12が露出した状態で中空筒状構造物1の内側空洞部に配置される。上記回収時には、下側風船部14に接続されたエアーホース部28は内側空洞部から作業孔部2を経由して中空筒状構造物1より外部に出された状態を確保される(
図3のA図参照)。尚、
図2のD図に示した外側風船部15の底部の側を回収する工程は、
図2のC図に示した補強詰め合わせ体11の底部の側を挿入する工程の後に限定されるものではなく、
図2のC図に示した補強詰め合わせ体11の底部の側を挿入する工程と並行に行うことも適用可能である。
【0027】
図3のA図に示した下側風船部14を固定する工程では、現場3に置かれた圧縮空気供給機器27の空気供給部がエアーホース部28の中空筒状構造物1より外部に出ている部分に接続され、圧縮空気供給機器27が圧縮空気の供給動作を開始すると、圧縮空気が圧縮空気供給機器27からエアーホース部28を経由して下側風船部14に供給され、下側風船部14が膨張して補強部12の底部の側を押し広げて中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張る。
【0028】
上記により、補強部12の底部の側が下側風船部14と中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面との間に挟まれ、下側風船部14が内側空洞部の底部の側に固定される。その後、
図3のA図に示したエアーホース部28が現場3の側に引き寄せられるのに伴い下側風船部14から引き抜かれて作業孔部2を経由して中空筒状構造物1より外部に回収される。エアーホース部28が下側風船部14から引き抜かれた場合、下側風船部14のエアーホース部28の接続部に設けられた図外のエアーバルブ部の閉じる動作により下側風船部14から圧縮空気が抜けることなく下側風船部14の膨張による固定が確保される。
【0029】
図3のB図に示した補強部12を緊張する工程では、吊り上げ用具部26の中空筒状構造物1より外部に出ている部分が中空筒状構造物1より外部の側に更に出るように引かれ、補強部12及び内側風船部13が頭部の側と底部の側とに緊張し、吊り上げ用具部26による引き上げの停止位置が保持される。又、補強詰め合わせ体11の内側風船部13に設けられたエアーバルブ部29(
図3のC図参照)が補強部12を貫通し、この補強部12を貫通したエアーバルブ部が作業孔部2に配置されている。
【0030】
図3のC図に示した補強部12を貼り付ける工程では、現場3に置かれた圧縮空気供給機器27の空気供給部が中空筒状構造物1の作業孔部2に配置されたエアーバルブ部29に接続され、圧縮空気供給機器27が圧縮空気の供給動作を開始すると、圧縮空気が圧縮空気供給機器27からエアーバルブ部29を経由して内側風船部13に供給され、内側風船部13が膨張して補強部12を全体的に押し広げて中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張る。これにより、補強部12が内側風船部13と中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面との間に挟まれて接着剤により中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に接着される。
【0031】
図3のD図に示した第2上部搬入装置31を設置する工程では、第2上部搬入装置31が中空筒状構造物1の内側空洞部に設置される。第2上部搬入装置31は、搬入風船部32、搬入風船部32に接続されエアーホース部33、搬入風船部32に連結された棒状の挿入用具部34、搬入風船部32に設けられた連結部35、連結部35に巻き掛けられたロープ等の吊り上げ用具部36を備える。現場3において、搬入風船部32及び連結部35が中空筒状構造物1の外部から作業孔部2を経由して中空筒状構造物1の内側空洞部の頭部の側に入れられ、エアーホース部33と挿入用具部34及び吊り上げ用具部36それぞれの一部が中空筒状構造物1の作業孔部2から中空筒状構造物1の内側空洞部に入れられ、エアーホース部33と挿入用具部34及び吊り上げ用具部36それぞれの残部が現場3の側に出された状態になる。そして、挿入用具部34の内側空洞部に入った部分が中空筒状構造物1の内側空洞部の頭部の側に進入するように、挿入用具部34が中空筒状構造物1の内側空洞部に挿入される。
【0032】
その後、搬入風船部32及び連結部35が中空筒状構造物1の内側空洞部の頭部の側の予め設定された設置位置に到達したら、上記挿入用具部34による進入が停止され、当該挿入用具部34による進入の停止位置が保持される。その状態において、現場3に置かれた圧縮空気供給機器27の空気供給部がエアーホース部33の中空筒状構造物1より外部に出た部分に接続され、圧縮空気供給機器27が圧縮空気の供給動作を開始すると、圧縮空気が圧縮空気供給機器27からエアーホース部33を経由して搬入風船部32に供給され、搬入風船部32が膨張して中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に突っ張る。
【0033】
上記により、内側風船部13の頭部の側及び補強部12の頭部の側が搬入風船部32と中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面との間に挟まれ、搬入風船部32が上記設置位置に固定される。その後、エアーホース部33及び挿入用具部34が現場3の側に引き寄せられて搬入風船部32から引き抜かれて作業孔部2を経由して現場3に回収される。上記エアーホース部33が搬入風船部32から引き抜かれた場合、搬入風船部32のエアーホース部33の接続部に設けられた図外のエアーバルブ部の閉じる動作により搬入風船部32から圧縮空気が抜けることなく搬入風船部32の膨張による固定が確保される。
【0034】
図4のA図に示した硬化材パイプ部41を挿入する工程では、硬化材パイプ部41及びエアー抜きホース部42が中空筒状構造物1の内側空洞部に挿入される。第2上部搬入装置31の吊り上げ用具部36の中空筒状構造物1より外部に出た部分が硬化材パイプ部41の一端部及びエアー抜きホース部42の一端部に連結され、吊り上げ用具部36の中空筒状構造物1より外部に出た部分が中空筒状構造物1より外部の側に更に出るように引かれる。
【0035】
上記により、硬化材パイプ部41及びエアー抜きホース部42が作業孔部2から補強部12及び内側風船部13の各々に形成された図外の貫通孔部を経由して内側風船部13の内側空洞部の頭部の側に引き上げられて内側風船部13の内側空洞部に吊り下げられる。硬化材パイプ部41は、硬化材パイプ部41の側壁部に貫通孔部43が複数個設けられ、液状硬化材が中空筒状構造物1より外部から注入される時、液状硬化材が貫通孔部43から流出して内側風船部13の内側空洞部に下部から埋まる構造になっているので、内側風船部13が液状硬化材の内側風船部13の内側空洞部に注入される際の落下による衝撃で破損されない利点がある。上記吊り下げられた硬化材パイプ部41の下端部は下側風船部14の側に配置され、吊り下げられた硬化材パイプ部41の中空筒状構造物1の作業孔部2に対応する部分には中間接続部が設けられた構造になっている。上記吊り下げられたエアー抜きホース部42の下端部は、中空筒状構造物1の作業孔部2の近傍に配置される。
【0036】
図4のB図に示した作業孔部2を閉塞する工程では、2個の接続部を備えた閉塞器具44が中空筒状構造物1の外部から作業孔部2を経由して中空筒状構造物1の内側空洞部の側に設置され、内側風船部13に形成された上記図外の貫通孔部の周縁部と補強部12に形成された上記図外の貫通孔部の周縁部とが閉塞器具44と中空筒状構造物1の作業孔部2の周縁部との間に挟まれ、閉塞器具44が中空筒状構造物1の作業孔部2と内側風船部13に形成された上記図外の貫通孔部と補強部12に形成された上記図外の貫通孔部とを塞ぐ。上記閉塞器具44が中空筒状構造物1の内側空洞部の側に設置される時、硬化材パイプ部41の中間接続部45が閉塞器具44に設けられた上記一方の接続部に挿入されて中空筒状構造物1の作業孔部2から中空筒状構造物1より外部に出され、エアー抜きホース部42の下端部が閉塞器具44に設けられた上記他方の接続部に挿入されて中空筒状構造物1の作業孔部2から中空筒状構造物1より外部に出される。
【0037】
図4のC図に示した硬化材を打設する工程では、現場3に置かれた硬化材供給機器46の硬化材供給部が硬化材パイプ部41の中空筒状構造物1より外部に出された中間接続部に接続され、硬化材供給機器46が液状硬化材47の供給動作を開始すると、液状硬化材47が硬化材供給機器46から中間接続部を経由して硬化材パイプ部41に供給されて硬化材パイプ部41の貫通孔部から流出して内側風船部13の内側空洞部に下部から埋まる。内側風船部13の内側空洞部に埋められた液状硬化材47の上部の液面が上昇するのに伴い、内側風船部13の内側空洞部に存在する空気がエアー抜きホース部42を経由して中空筒状構造物1より外部に排出される。
【0038】
そして、硬化材供給機器46が液状硬化材47の予め算出された供給量を供給すると、硬化材供給機器46の供給動作が停止し、液状硬化材47の上部の液面が予め設定された高さに到達した状態になる。又、内側風船部13に注入された液状硬化材47の成分が内側風船部13から補強部12の側に漏れ出ないので、補強部12を中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に接着している接着剤が半渇きの状態でも液状硬化材47を内側風船部13の内側空洞部に注入することができ、工期が短縮できるうえ、液状硬化材47が中空筒状構造物1の亀裂部等から外部に漏れ出すことがない。上記内側風船部13の内側空洞部に打設された液状硬化材47は、内側風船部13及び補強部12を中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に押し付けた状態のまま液状硬化材47の成分による化学的作用により固まる。
【0039】
上記液状硬化材47の液面の高さは、通常は補強部12の上端部に近い位置とするが、中空筒状構造物1の種類によっては、液状硬化材47の注入量を減らし、液面高さを下げることができる。つまり、注入された液状硬化材47の液面よりも補強部12の上端部が高い場合、又は、注入された液状硬化材47の液面と補強部12の上端部とが同じ高さの場合等の態様がある。圧縮空気が内側風船部13に入ると、内側風船部13が膨張し、中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に液状硬化材47の液面や補強部12が押し付けられ、液状硬化材47の液面付近から補強部12の上端部までの範囲で、中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面と補強部12の接合を確実にすることができる。そのようなことから、液状硬化材47が必要量注入された後、
図3のD図に示した圧縮空気供給機器27の空気供給部が
図4のC図に示したエアー抜きホース部42に接続され、圧縮空気供給機器27から圧縮空気がエアー抜きホース部42を経由して内側風船部13に供給されて内側風船部13及び補強部12の各々の液状硬化材47の液面よりも上部に位置する部分を中空筒状構造物1の内側空洞部を囲む内壁面に押し付けた状態を維持して液状硬化材47の固まるのを待つことにより、補強部12が上記圧縮空気による再加圧で液状硬化材47に適切に貼り付けられるようにすることも考えられる。この場合、上記エアー抜きホース部42に代替し、
図1のD図に示した工程で中空筒状構造物1から現場3の側に引き抜かれたエアーホース部23又は図外の新しいエアーホース部を、
図4のA図に示した工程で硬化材パイプ部41及びエアー抜きホース部42と一緒に現場3から中空筒状構造物1の内側空洞部に入れて使用することも適用可能である。