特許第6362481号(P6362481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362481
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】車両用幌装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/12 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   B60J7/12 E
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-173905(P2014-173905)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-47710(P2016-47710A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151760
【氏名又は名称】株式会社東洋シート
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 貴博
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−113951(JP,A)
【文献】 特開2009−173078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部に折畳み可能な幌フレームと、該幌フレームの外側を覆う幌布とを備え、前記幌フレームを車両前方へ展開した状態で車室上部を覆う車両用幌装置であって、
前記幌フレームは、当該幌フレームの展開方向における前端部を構成するフロントヘッドパネルと、該フロントヘッドパネルの車幅方向における両端縁部に取り付けられたフロントサイドフレームとを有し、
前記フロントヘッドパネルは、車外側に位置する金属製のアウターパネルと、車内側に位置する金属製のインナーパネルとを備え、これら両パネルが溶接により一体に接合された構造を有し、
前記フロントサイドフレームは、前記フロントヘッドパネル側に開放された凹部を有し、該凹部で前記フロントヘッドパネルとの間に中空部を形成しており、
前記アウターパネル及びインナーパネルは、前記フロントサイドフレームにおける前記凹部よりも車幅方向における外側の部分に締結具によって共締めされている
ことを特徴とする車両用幌装置。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用幌装置において、
前記締結具は、前記アウターパネルと前記インナーパネルと前記フロントサイドフレームとを車外側から締結し
前記フロントサイドフレームには、前記締結具が締結される締結孔が前記凹部内に貫通させて形成されている
ことを特徴とする車両用幌装置。
【請求項3】
請求項に記載された車両用幌装置において、
前記締結具は、ボルトであり、
前記アウターパネルにおける前記インナーパネルとの溶接箇所よりも車幅方向における内側には、前記インナーパネル側に凹んだ座繰りが設けられ、
前記座繰りの周囲における前記インナーパネルと前記アウターパネルとの間には、中空部が全周に亘って設けられており、
前記ボルトは、前記座繰りの底面に形成されたボルト挿通孔に挿通されて、前記座繰り内に頭部を収容した状態で、前記幌布により覆われて外部から隠蔽されている
ことを特徴とする車両用幌装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載された車両用幌装置において、
前記幌フレームを展開した状態で前記フロントヘッドパネルの上下方向及び左右方向における位置決めをする位置決め部材を備え、
前記位置決め部材と前記フロントサイドフレームとは、前記インナーパネルに締結具によって共締めされている
ことを特徴とする車両用幌装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載された車両用幌装置において、
前記アウターパネル及びインナーパネルは、車両前後方向に間隔をあけた複数個所で前記フロントサイドフレームに前記締結具によって共締めされている
ことを特徴とする車両用幌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンカーのルーフ部分を構成する折畳み式の車両用幌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用幌装置は、一般に、車体に対して展開及び格納が自在に構成された幌フレームと、この幌フレームの外側を覆う幌布とを備え、幌フレームを車体前方に展開した状態で車室上部を覆う一方、幌フレームを車体後部に格納した状態で車室上部を車外に開放するようになっている。
【0003】
幌フレームは、その前端部を構成するトップフレームと、このトップフレームの車幅方向における両端部から車両前後方向に延びる一対のサイドフレームと、このサイドフレームを構成するフロントサイドフレーム及びリヤサイドフレームの折曲げ動作を制御するコントロールリンクと、一対のサイドフレームの後側で車幅方向に延びる複数の幌骨などで構成されている。
【0004】
幌フレームのうちトップフレームは、ダイカストで構成する他に、2枚の金属製パネルをスポット溶接により互いに接合してなるフロントヘッドパネルで構成することが知られている(例えば、特許文献1の図4及び図6参照)。それによれば、幌フレームの軽量化を図ることができると共に、このフロントヘッドパネルに固定される幌布を同パネルの面形状に沿わせて保持し、幌布を見栄え良く張ることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−156086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の車両用幌装置では、フロントヘッドパネルが2枚の金属製パネルをスポット溶接のみで一体化した構成であるので、車両衝突時などに、その衝撃でフロントヘッドパネルを構成する金属製パネルの溶接部分が破壊されると、車外側の金属製パネルが剥離し、フロントヘッドパネルが破損してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両衝突時などの衝撃によるフロントヘッドパネルの破損を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、フロントヘッドパネルを構成するアウターパネルとインナーパネルとを、溶接による接合に加え、締結具によってフロントサイドフレームに共締めするようにした。
【0009】
具体的には、本発明は、車両後部に折畳み可能な幌フレームと、その幌フレームの外側を覆う幌布とを備え、幌フレームを車両前方へ展開した状態で車室上部を覆う車両用幌装置を対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、第1の発明は、幌フレームが、当該幌フレームの展開方向における前端部を構成するフロントヘッドパネルと、このフロントヘッドパネルの車幅方向における両端縁部に取り付けられたフロントサイドフレームとを有する構成となっている。フロントヘッドパネルは、車外側に位置する金属製のアウターパネルと、車内側に位置する金属製のインナーパネルとを備え、これら両パネルが溶接により一体に接合された構造を有する。フロントサイドフレームは、フロントヘッドパネル側に開放された凹部を有し、その凹部でフロントヘッドパネルとの間に中空部を形成している。そして、第1の発明は、フロントヘッドパネルを構成するアウターパネル及びインナーパネルが、フロントサイドフレームにおける前記凹部よりも車幅方向における外側の部分に締結具によって共締めされていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の車両用幌装置において、上記締結具が、フロントヘッドパネルを構成するアウターパネル及びインナーパネルとフロントサイドフレームとを車外側から締結している構造を有する。そして、第2の発明は、フロントサイドフレームに、締結具が締結される締結孔が凹部内に貫通させて形成されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明の車両用幌装置において、締結具がボルトである構成を有する。アウターパネルにおけるインナーパネルとの溶接箇所よりも車幅方向における内側には、インナーパネル側に凹んだ座繰りが設けられている。座繰りの周囲におけるインナーパネルとアウターパネルとの間には、中空部が全周に亘って設けられている。そして、第3の発明は、ボルトが、座繰りの底面に形成されたボルト挿通孔に挿通されて、座繰り内に頭部を収容した状態で、幌布により覆われて外部から隠蔽されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1〜3の発明のいずれか1つの車両用幌装置において、幌フレームを展開した状態でフロントヘッドパネルの上下方向及び左右方向における位置決めをする位置決め部材を備える構成とされている。そして、第4の発明は、位置決め部材とフロントサイドフレームとが、インナーパネルに締結具によって共締めされていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つの車両用幌装置において、フロントヘッドパネルを構成するアウターパネル及びインナーパネルが、車両前後方向に間隔をあけた複数個所でフロントサイドフレームに締結具によって共締めされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、フロントヘッドパネルを構成するアウターパネルとインナーパネルとを、溶接による接合に加え、締結具によってフロントサイドフレームに共締めするようにしたので、車両の衝突時などに、その衝撃でアウターパネルとインナーパネルとの溶接部分が破壊され難くすることができるし、その溶接部分が破壊されたとしてもこれら両パネルの接合状態を締結具で保持することができる。したがって、車両衝突時などの衝撃でフロントヘッドパネルが破損するのを防止できる。
【0016】
第2の発明によれば、フロントヘッドパネルを構成するアウターパネルとインナーパネルとフロントサイドフレームとの共締め構造を実現し易く、且つこれらフロントヘッドパネルとフロントサイドフレームとを車内側から締結具で共締めする場合に比べて、レイアウトスペース的にも有利である。
【0017】
第3の発明によれば、フロントヘッドパネルとフロントサイドフレームとを締結するボルトを幌布で覆って外部から隠蔽するようにしたから、当該ボルトが外観視で見えない。また、ボルトの頭部をフロントヘッドフレームに設けた座繰りに収容するようにしたので、フロントヘッドフレームの外側にあるボルトの頭部の形状が当該ボルトを隠蔽する幌布に反映されるのを防止できる。これらによって、車両用幌装置の見栄えを良くでき、ひいてはその車両用幌装置を備える車両の意匠性を向上させることができる。
【0018】
第4の発明によれば、車両衝突時に、車体側の構造との干渉で位置決め部材に車両前方から加わった衝撃がフロントヘッドパネルのうち位置決め部材の取付け部分だけでなく、フロントサイドフレームを介してフロントヘッドパネルの他の部分やフロントサイドフレームに連結される構成部位にも分散されるので、フロントヘッドパネルが破損するのを防止できる。
【0019】
第5の発明によれば、フロントヘッドパネルを構成するアウターパネル及びインナーパネルとフロントサイドフレームとを1つの締結具で共締めする場合に比べて、車両衝突時などの衝撃によるフロントヘッドパネルの破損をより良好に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両用幌装置を備えた車両の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る車両用幌装置の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る車両用幌装置の幌フレームの分解斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る車両用幌装置の幌フレームのうち片方のフロントサイドフレームとフロントヘッドパネルのうちそのフロントサイドフレームの取付け部分とを示す分解斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る車両用幌装置の前端部の車幅方向における片側のフロントサイドフレーム周りの構造を車内側から示す部分斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る車両用幌装置の前端部を車体に連結させた幌フレームの展開状態での当該前端部の車幅方向における片側のフロントサイドフレーム周りの構造を車内側から示す部分斜視図である。
図7図7は、図6のVII−VII線における車両用幌装置と車体との連結部分の断面図である。
図8図8は、図6のVIII−VIII線における車両用幌装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下の実施形態では、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて左右方向における左側を「左」、右側を「右」、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。そして、車両用幌装置についてこれら上下左右の方向を示すときには、後述する展延状態での方向を示すものとする。
【0022】
図1は、この実施形態に係る車両用幌装置11を備えた車両Vの斜視図である。車両Vは、所謂ソフトトップ式のコンバーチブル車であって、図1に示すように、車両外形を構成する車体V1の車室上部から後側にかけての部分に開口部1を有する。そして、この車両Vは、車両用幌装置11でその開口部1を開放したり覆ったりできるようになっている。
【0023】
図2は、車両用幌装置11を左後側から見た斜視図である。図3は、車両用幌装置11を構成する幌フレーム13の分解斜視図である。なお、図3では、幌フレーム13を構成するサイドフレーム62について右側のサイドフレーム62のみ全ての構成を示し、左側のサイドフレーム62については右側のサイドフレーム62と同じ構成なので、一部構成を省略して図示している。
【0024】
車両用幌装置11は、車両前後方向において手動で引出し及び引戻し自在に車両後部に取り付けられており、車両前方に引き出した展延状態で車体V1の開口部1を上方から覆う一方、車両後方に引き戻した格納状態で車体V1の開口部1を上方に開放する。この車両用幌装置11は、図2及び図3に示すように、車両後部に折畳み可能な幌フレーム13と、その幌フレーム13の外側を覆う幌布15とを備え、幌フレーム13を前方へ展開することで上記展延状態とされ、また幌フレーム13を折り畳むことで上記格納状態とされる。
【0025】
幌布15は、可撓性の布材からなり、図示しないが、幌フレーム13に対し複数個所でビス留めされることで取り付けられている。この幌布15のうち車室後側で後方に臨む部分には、略矩形状の開口部16が設けられている。幌布15には、この開口部16を塞ぐリヤウインドパネルW1が車室内側から取り付けられている。
【0026】
幌フレーム13は、図3に示すように、当該幌フレーム13の展開方向における前端部を構成するフロントヘッドパネル17と、このフロントヘッドパネル17の車幅方向における両端部に固定される共に同パネル17から後方へ延びる折曲げ可能な左右一対のサイドフレーム62と、このサイドフレーム62を構成するフロントサイドフレーム29及びリヤサイドフレーム65の折曲げ動作を制御するコントロールリンク67と、一対のサイドフレーム62の後側で車幅方向に延びる第1幌骨68及び第2幌骨69とを備えている。
【0027】
フロントヘッドパネル17の車幅方向における中央部の前端寄りの下側部分には、ラッチ71が取り付けられている。車体V1のうち車室前側に設けられたフロントガラスW2を保持する鉄製のフロントガラスフレーム3の上枠部3aには、このラッチ71と着脱自在に係合する図示しないストライカが取り付けられている。これらラッチ71とストライカとは、協働して幌装置11を展延状態で車体V1に固定するロック機構を構成している。
【0028】
また、フロントガラスフレーム3の上枠部3aには、このロック機構により幌装置11を車体V1に固定した状態で、フロントヘッドパネル17の前端部、具体的にはこれに巻き掛けられた幌布15と当接するゴム製のウェザストリップ4が、車幅方向における全体に亘って取り付けられている(図7参照)。
【0029】
フロントヘッドパネル17は、車外側に位置するアルミニウム製のアウターパネル17aと、車内側に位置するアルミニウム製のインナーパネル17bとを備え、これら両パネル17a,17bの外周縁部同士がスポット溶接により一体に接合された構造を有する。スポット溶接は、図2に×印で示すように、アウターパネル17aとインナーパネル17bとの外周縁部に対し、全周に亘って所定の間隔(例えば100mm程度)をあけて施されている。
【0030】
アウターパネル17aの車幅方向における両端部には、円形のボルト挿通孔19が2つずつ車両前後方向に間隔をあけてそれぞれ形成されている。アウターパネル17aのうちこれら各ボルト挿通孔19の周囲には、インナーパネル17b側に浅く凹んだ座繰り20が形成されている。すなわち、各ボルト挿通孔19は、この座繰り20の底面に形成されている。
【0031】
他方、インナーパネル17bの車幅方向における両端部にも、アウターパネル17aの各ボルト挿通孔19に対応する部分に、円形のボルト挿通孔21が形成されている。さらに、インナーパネル17bのうち前側の各ボルト挿通孔21よりも車幅方向における内側に位置する部分には、各々円形のピン挿通孔23及びボルト挿通孔25と、矩形状の貫通孔27とが車両前側から後側に向かって順に一列に形成されている。
【0032】
図4は、幌フレーム13のうち右側のフロントサイドフレーム29とフロントヘッドパネル17のうちそのフロントサイドフレーム29の取付け部分とを示す分解斜視図である。フロントヘッドパネル17の車幅方向における両端縁部には、図3及び図4に示すように、鋳型を用い高圧をかける鍛造方法により作製されたアルミニウム製のダイカストからなるフロントサイドフレーム29がそれぞれ取り付けられている。
【0033】
このフロントサイドフレーム29は、フロントヘッドパネル17の対応する端縁部に沿って延びるL字状の部材であって、フロントヘッドパネル17側に解放される凹部30をほぼ全長に亘って板状壁部31a〜31e,33,35,37,39で囲んで構成し、この凹部30で同パネル17との間に中空をなす肉抜きされた形状を有する。そのことで、フロントサイドフレーム29の軽量化が図られている。
【0034】
具体的には、フロントサイドフレーム29は、車両前後方向に延びる縦フレーム部31と、この縦フレーム部31の前端部分から車幅方向における内側に延びる横フレーム部32とで構成されている。縦フレーム部31は、フロントヘッドパネル17の前後方向における長さと同程度の長さに形成されている。他方、横フレーム部32は、縦フレーム部31よりも短く、例えば縦フレーム部31の3分の1程度の長さに形成されている。
【0035】
縦フレーム部31は、凹部30の底面をなす長板状の下側壁部31aと、この下側壁部31aの車幅方向における内側の端縁からフロントヘッドパネル17側に突出した内側壁部31bと、下側壁部31aの車幅方向における外側の端縁からフロントヘッドパネル17側に突出した外側壁部31cと、これら下側壁部31a、内側壁部31b及び外側壁部31cの前端同士を一体に連結する前側壁部31dと、下側壁部31a、内側壁部31b及び外側壁部31cの後端同士を一体に連結する後側壁部31eとを有する。
【0036】
縦フレーム部31の外側壁部31cは、車幅方向における外側に向かって上傾する傾斜壁で形成されている。この外側壁部31cの突出端部には、略円柱状の一対のボス部53が車両前後方向に間隔をあけて一体に突設されている。これら各ボス部53の突出面は、車幅方向における外側に向かって下傾する傾斜面53aを形成している。そして、各ボス部53には、この傾斜面53aに対し略垂直なボルト締結孔53bが凹部30内にまで貫通させて形成されている。そして、この外側壁部31cのうち各ボス部53の下側部分には、車幅方向における内側に凹む凹陥部56が形成されている。そのことで、ボス部53の形成部分の肉厚を薄くして同部分にヒケ巣が生じるのを防止している。
【0037】
さらに、外側壁部31cの突出端部のうちこれら一対のボス部53の間には、被係合片57が上方に突出させて設けられている。この被係合片54は、フロントヘッドパネル17の車内側の面に設けられた図示しない係合爪を引っ掛ける係止孔57aを有する。また、縦フレーム部31の内側壁部31bの突出端縁のうち前側端部には、それよりも後側の部分に比べてフロントヘッドパネル17とは反対側に位置する、つまり下側壁部31aからの突出長さを一段下げた段下げ部31fが形成されている。
【0038】
横フレーム部32は、この段下げ部31fから車幅方向における内側に延びて凹部30の底面をなす矩形板状の下側壁部33と、この下側壁部33の車幅方向における内側端縁からフロントヘッドパネル17側に突出した内側壁部35と、下側壁部33の前側端縁から同パネル17側に突出した前側壁部37と、下側壁部33の後側端縁から同パネル17側に突出した後側壁部39とで構成されていて、縦フレーム部31の凹部30に比べて底上げされた浅い凹部30を構成している。この横フレーム部32の前側壁部37は、縦フレーム部31の前側壁部31dと連続しこれと一体に形成されている。
【0039】
さらに、この横フレーム部32のうち内側壁部35の突出端縁には、板状の取付片41が、その板面をフロントヘッドパネル17に対向させた状態で、車幅方向における内側に突出させて一体に設けられている。この取付片41の突出端部は、当該取付片41の基端側の部分よりも厚く形成された厚肉部41aを構成している。この厚肉部41aには、各々円形のピン挿通孔41b及びボルト挿通孔41cが、フロントヘッドパネル17を構成するインナーパネル17bのピン挿通孔23及びボルト挿通孔25にそれぞれ対応するように車両前側から後側に向かって順に形成されている。
【0040】
上記構成のフロントサイドフレーム29は、被取付片57の係止孔57aにフロントヘッドパネル17の係合爪を引っ掛けて留め、各ボス部53のボルト締結孔53bをフロントヘッドパネル17のアウターパネル17a及びインナーパネル17bのボルト挿通孔19,21に対応させた状態で、これら両パネル17a,17bのボルト挿通孔19,21に車外側から挿通させた締結具であるボルト55を対応するボス部53のボルト締結孔53bにねじ込むことで、フロントヘッドパネル17に取り付けられている。すなわち、フロントヘッドパネル17を構成するアウターパネル17a及びインナーパネル17bは、フロントサイドフレーム29にボルト55により共締めされている。
【0041】
このようにアウターパネル17a及びインナーパネル7bとフロントサイドフレーム29とを車外側からボルト55で共締めする構造は、構造が簡素であるし幌装置11の組立て作業性の観点からも実現し易く、且つこれらアウターパネル17a及びインナーパネル7bとフロントサイドフレーム29とを車内側からボルトで共締めする場合に比べて、レイアウトスペース的にも有利である。
【0042】
また、アウターパネル17a及びインナーパネル17bとフロントサイドフレーム29とを共締めする全てのボルト55は、その頭部が座繰り20に収容されており(図8参照)、且つ図2に示すように幌布15で覆われて外部から隠蔽されている。これによれば、ボルト55は外観視で見えず、しかもボルト55の頭部の形状が幌布15に反映されるのを防止できるので、車両用幌装置11の見栄えを良くし、ひいては車両Vの意匠性を向上させることができる。
【0043】
図5は、車両用幌装置11の前端部の右側のフロントサイドフレーム29周りの構造を車内側から示す部分斜視図である。図6は、幌フレーム13の展開状態での車両用幌装置11の前端部の車幅方向における右側のフロントサイドフレーム29周りの構造を車内側から示す部分斜視図である。図7は、図6のVII−VII線における車両用幌装置11と車体V1との連結部分の断面図である。図8は、図6のVIII−VIII線における車両用幌装置11の断面図である。
【0044】
フロントヘッドパネル17の車内側には、図5図8に示すように、フロントサイドフレーム29の厚肉部41aを挟んで位置決め部材43が取り付けられている。フロントガラスフレーム3の上枠部3aには、この位置決め部材43が挿入される凹部7を有する鉄製の保持部材5が、凹部7開口を車両後方に向けた状態でボルト9の締結により取り付けられている(図6及び図7参照)。位置決め部材43は、この保持部材5の凹部7に後方から挿入されることで、幌装置11の展延状態での上下方向及び左右方向における位置決めをするウェッジメールと呼ばれる部品である。
【0045】
この位置決め部材43は、図5及び図7に示すように、プレス加工によって鉄板を折曲げ成形してなる板状の本体部45と、この本体部45の挿入方向における前側端部を含む外側を覆う樹脂製の被覆部47とで構成されている。位置決め部材43の本体部45のうち中央部分から後側にかけての部分には、各々円形のピン固定孔45i及びボルト挿通孔45jが挿入方向における前側から後側に向かって順に形成されている。また、この本体部45のうち挿入方向における後側の端部には、これらピン固定孔45i及びボルト挿通孔45jが形成された部分に対して垂直に折り曲げられた折曲げ片45eが設けられている。
【0046】
位置決め部材43の被覆部47は、アウトサート成形により上記本体部45と一体に成形されていて、当該本体部45のうちピン固定孔45i及びボルト挿通孔45jが形成された部分と折曲げ片45eとを除く部分を覆っている。位置決め部材43の本体部45のうちピン固定孔45iの周囲には、スタッドピン49の頭部が当該ピン固定孔45iに上記折曲げ片45eの折曲げ方向とは反対側から同ピン49を挿入した状態で溶接されている。すなわち、スタッドピン49は、ピン固定孔45iから折曲げ片45eと同じ方向に突出している。
【0047】
フロントヘッドパネル17を構成するインナーパネル17bのうちこの位置決め部材43の取付け部分におけるアウターパネル17a側の面には、位置決め部材43の取付けに用いる固定部材42が溶着されている。固定部材42は、各々円形のピン挿通孔42b及びボルト挿通孔42cが形成された鉄製の板部材42aと、この板部材42aのうちボルト挿通孔42cの周囲に溶接されたウェルドナット42dとで構成されている。この板部材42aのピン挿通孔42bは、フロントヘッドパネル17を構成するインナーパネル17bのピン挿通孔23に対応し、この板部材42aのボルト挿通孔42cは、そのインナーパネル17bのボルト挿通孔25に対応している。
【0048】
位置決め部材43は、折曲げ片45をフロントヘッドパネル17を構成するインナーパネル17bの貫通孔27に挿入し、且つスタッドピン49をフロントサイドフレーム29の厚肉部41aのピン挿通孔41b及びフロントヘッドパネル17を構成するインナーパネル17bのピン挿通孔23に挿入した状態で、当該位置決め部材43のボルト挿通孔45j、フロントサイドフレーム29の厚肉部41aのボルト挿通孔41c及びフロントヘッドパネル17を構成するインナーパネル17bのボルト挿通孔25を通したボルト51を、固定部材42のウェルドナット42dにねじ込むことで、フロントサイドフレーム29の厚肉部41aと共にフロントヘッドパネル17に取り付けられている。
【0049】
すなわち、フロントサイドフレーム29の厚肉部41a及び位置決め部材43は、フロントヘッドパネル17のインナーパネル17bに共締めされている。そのことで、車両衝突時に、保持部材5との干渉で位置決め部材43に車両前方から加わった衝撃がフロントヘッドパネル17のうち位置決め部材43の取付け部分だけでなく、フロントサイドフレーム29を介してフロントヘッドパネル17の他の部分や後述するリヤサイドフレーム65にも分散されるので、フロントヘッドパネル17が破損するのを防止できる。
【0050】
また、フロントサイドフレーム29を構成する縦フレーム部31の下側壁部31aの後側部分には、上方に凹む連結用凹部63が車両後方に開放させて形成されている。この連結用凹部63には、車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム65の前端部が、フロントサイドフレーム29の後側部分に対し連結ピン64によって回転自在に連結された状態で収容されている。このリヤサイドフレーム65は、前後方向における中程から後方に向かって下方に湾曲した形状を有する。
【0051】
リヤサイドフレーム65のうちフロントサイドフレーム29の連結側とは反対側の端部は、車体V1に取り付けられるブラケット70に連結ピン72で回転自在に連結されている。各サイドフレーム62は、これらフロントサイドフレーム29とリヤサイドフレーム65との相対的な回転を以て折曲げ動作が可能になっている。
【0052】
コントロールリンク67は、管体を湾曲状に屈曲成形してなる部材である。このコントロールリンク67の一端部は、フロントサイドフレーム29の後端部の車幅方向における内側部分に連結ピン73で回転自在に連結されている。また、コントロールリンク67の他端部は、ブラケット70に設けられたリンクバー74に図示しない連結ピンで回転自在に連結されている。
【0053】
第1幌骨68は、管体を略コ字状に屈曲成形してなる部材である。第1幌骨68は、左右両側のブラケット70を連結している。この第1幌骨68の一端部は、左側のブラケット70に図示しない連結ピンで回転自在に連結されている。また、第1幌骨68の他端部は、右側のブラケット70に連結ピン76で回転自在に連結されている。そのことで、第1幌骨68は、車両前後方向に傾動自在とされている。
【0054】
第2幌骨69も、管体を略コ字状に屈曲成形してなる部材である。第2幌骨69は、第1幌骨68の両端部寄りの部位を連結している。この第2幌骨69の一端部は、第1幌骨68の車幅方向における左側の展延状態で上下方向に延びる部分の下側部分に図示しない連結ピンで回転自在に連結されている。また、第2幌骨69の他端部は、第1幌骨68の車幅方向における右側の展延状態で上下方向に延びる部分の下側部分に図示しない連結ピンで回転自在に連結されている。そのことで、第2幌骨69も、車両前後方向に傾動可能とされている。
【0055】
そして、この第2幌骨69は、図示しないが、車体V1との間に配置されたバンドによって上方への位置規制、つまり展開方向への位置規制が行われると共に、アシストスプリングを介して第1幌骨68と弾性的に連結されている。
【0056】
また、フロントサイドフレーム29を構成する縦フレーム部31の外側壁部31cには、帯状の布材58とステンレス製のレール部材59とが図示しないビスにより車幅方向における外側から共締めされている。布材58の幅方向における一方の端縁部は、幌布15の車幅方向における端縁部に縫い付けられ、その幌布15の端縁部と共に玉縁60に覆われている。
【0057】
レール部材59は、フロントサイドフレーム29への締結部分を有する長板状の締結面部59aと、この締結面部59aの長手方向に沿う両端縁から互いに対向するように突出する一対の挟持片59bとを備えている。このレール部材59の両挟持片59bには、サイドウインドガラスW3をシールするウェザストリップ61が挟持されている。これら布材58及びレール部材59は、リヤサイドフレーム65の車幅方向における外側にも同様に略全体に亘って設けられている。
【0058】
−実施形態の効果−
この実施形態に係る車両用幌装置11によると、フロントヘッドパネル17を構成するアウターパネル17aとインナーパネル17bとが、スポット溶接による接合に加え、ボルト55によって各フロントサイドフレーム29に複数箇所で共締めされているので、車両Vの衝突時などに、その衝撃でアウターパネル17aとインナーパネル17bとの溶接部分が破壊され難くすることができるし、その溶接部分が破壊されたとしてもこれら両パネル17a,17bの接合状態をボルト55で保持することができる。したがって、車両衝突時などの衝撃でフロントヘッドパネル17が破損するのを防止できる。
【0059】
なお、上記実施形態では、フロントヘッドパネル17を構成するアウターパネル17a及びインナーパネル17bをフロントサイドフレーム29に共締めする箇所を2箇所設けた構成を例に挙げて説明したが、これに限らず、これらアウターパネル17a及びインナーパネル17bとフロントサイドフレーム29との共締め箇所は、3箇所以上設けられていてもよく、また1箇所だけでも構わない。
【0060】
また、上記実施形態では、フロントヘッドパネル17を構成するアウターパネル17a及びインナーパネル17bをフロントサイドフレーム29に車外側から共締めする構成を例に挙げて説明したが、これに限らず、これらアウターパネル17a及びインナーパネル17bは、フロントサイドフレーム29に車内側からボルト55で共締めされていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、フロントヘッドパネル17を構成するアウターパネル17a及びインナーパネル17bをフロントサイドフレーム29に共締めする締結具としてボルト55を用いた構成を例に挙げて説明したが、これに限らず、これらアウターパネル17a及びインナーパネル17bをフロントサイドフレーム29に共締めする締結具には、その他、リベットなどの公知の締結具を用いることも可能である。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲に限定されない。上記各実施形態が例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せに、さらに色々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲に属することは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は、オープンカーのルーフ部分を構成する折畳み式の車両用幌装置について有用であり、特に、車両衝突時などの衝撃によるフロントヘッドパネルの破損を防止することが要望される車両用幌装置に適している。
【符号の説明】
【0064】
V…車両、W1…リヤウインドパネル、W2…フロントガラス、
W3…サイドウインドガラス、1…開口部,3…フロントガラスフレーム、
3a…上枠部、5…保持部材、7…凹部、9…ボルト、11…車両用幌装置、
13…幌フレーム、15…幌布、16…開口部、17…フロントヘッドパネル、
17a…アウターパネル、17b…インナーパネル、19…ボルト挿通孔、
20…座繰り、21…ボルト挿通孔、23…ピン挿通孔、25…ボルト挿通孔、
27…貫通孔、29…フロントサイドフレーム、30…凹部、31…縦フレーム部、
32…横フレーム部、31a…下側壁部、31b…内側壁部、31c…外側壁部、
31d…前側壁部、31e…後側壁部、33…下側壁部、35…内側壁部、
37…前側壁部、39…後側壁部、41…取付片、41a…厚肉部、
41b…ピン挿通孔、41c…ボルト挿通孔、42…固定部材、42a…板部材、
42b…ピン挿通孔、42c…ボルト挿通孔、42d…ウェルドナット、
43…位置決め部材、45…本体部、45i…ピン固定孔、45j…ボルト挿通孔、
45e…折曲げ片、47…被覆部、55…ボルト、58…布材、59…レール部材、
59a…締結面部、59b…挟持片、60…玉縁、61…ウェザストリップ、
62…サイドフレーム、63…連結用凹部、65…リヤサイドフレーム、
64…連結ピン、67…コントロールリンク、68…第1幌骨、69…第2幌骨、
71…ラッチ、72…連結ピン、73…連結ピン、74…リンクバー
図1
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図8