特許第6362482号(P6362482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362482
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20180712BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01L27/146 D
   H01L21/90 A
【請求項の数】13
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2014-174143(P2014-174143)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-51714(P2016-51714A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関川 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英則
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋太郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 卓也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正昭
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−278232(JP,A)
【文献】 特開2008−041984(JP,A)
【文献】 特開2008−199059(JP,A)
【文献】 特開2003−324189(JP,A)
【文献】 特開2011−204884(JP,A)
【文献】 特開2011−009311(JP,A)
【文献】 特開2005−311015(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/109044(WO,A1)
【文献】 特開2012−134545(JP,A)
【文献】 特開2006−093687(JP,A)
【文献】 特開2004−221527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205−21/3213
H01L 21/339
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 23/532
H01L 27/14 −27/148
H01L 27/30
H01L 29/762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記主表面上の第1の拡散防止膜と、
前記第1の拡散防止膜の前記半導体基板側に配置される銅を主成分とする第1の配線層と、前記第1の拡散防止膜の前記半導体基板側と反対側に配置される銅を主成分とする第2の配線層とを接続する接続部と、
前記第1の拡散防止膜を覆う層間絶縁膜とを備え、
前記第1の拡散防止膜は、平面視における一部の領域である半導体回路領域に形成された第1の開口領域と、平面視において前記第1の開口領域とは別の開口領域として形成された第2の開口領域とを含み、
前記第1および第2の開口領域は、前記接続部が前記第1の拡散防止膜を貫通するために形成される開口領域とは異なる領域に形成され、
前記第2の配線層は、前記半導体回路領域において前記層間絶縁膜内に形成された溝の内部を埋めるように形成されており、
前記第2の配線層と同一の層として前記第2の開口領域の真上に配置されるマーク配線層と、
前記マーク配線層の上面に接するように配置される第2の拡散防止膜とをさらに備える、半導体装置。
【請求項2】
前記層間絶縁膜は、第1の層間絶縁膜と、前記第1の層間絶縁膜の上面を覆うように積層される第2の層間絶縁膜とを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の開口領域の平面視における寸法の最小値よりも、前記第2の開口領域の平面視における寸法の最小値の方が大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記マーク配線層の厚みは、前記層間絶縁膜の厚みの1/3以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記マーク配線層の側壁の角度は、前記主表面に対して70°以上90°以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
平面視における前記マーク配線層の面積は、平面視における前記第2の開口領域の面積以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の開口領域は複数、互いに積層されるように形成され、
前記複数の第2の開口領域のそれぞれの真上に前記マーク配線層が配置される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板の主表面上に銅を主成分とする第1の配線層を形成する工程と、
前記第1の配線層上に、平面視における一部の領域である半導体回路領域における開口領域としての第1の開口領域と、平面視において前記第1の開口領域とは別の開口領域としての第2の開口領域とが形成された第1の拡散防止膜を形成する工程と、
前記第1の拡散防止膜を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上面を研磨し平坦にすることにより第1の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜上を覆うように第2の層間絶縁膜を形成することにより層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の層間絶縁膜内に形成された溝および孔の内部を埋めるように、前記半導体回路領域において、銅を主成分とする第2の配線層と、前記第1の配線層と前記第2の配線層とを接続する接続部とを形成する工程とを備え、
前記第1および第2の開口領域は、前記接続部が前記第1の拡散防止膜を貫通するために形成される開口領域とは異なる領域に形成され、
前記第2の配線層を形成する工程においては、前記第2の配線層と同一の層として前記第2の開口領域の真上にマーク配線層が形成され、
前記マーク配線層の上面に接するように第2の拡散防止膜を形成する工程をさらに備える、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の開口領域の平面視における寸法の最小値よりも、前記第2の開口領域の平面視における寸法の最小値の方が大きく形成される、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記マーク配線層の深さは、前記層間絶縁膜の厚みの1/3以上となるように形成される、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記マーク配線層の側壁の角度は、前記主表面に対して70°以上90°以下となるように形成される、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
平面視における前記マーク配線層の面積は、平面視における前記第2の開口領域の面積以上となるように形成される、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2の開口領域は複数、互いに積層されるように形成され、
前記複数の第2の開口領域のそれぞれの真上に前記マーク配線層が形成される、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に、光電変換素子を有する半導体装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(Large Scale Integrated circuit)と呼ばれる大規模半導体集積回路においては、近年の微細化および高速化に伴い、配線層を形成する材料として、従来用いられてきたアルミニウムより電気抵抗の低い銅が用いられ始めている。同様に、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子、およびこれを含む半導体撮像装置においても微細化および高速化が進んでいることに伴い、たとえば以下の特許文献1,2においては、銅製の配線を用いた固体撮像素子および半導体撮像装置が開示されている。
【0003】
銅製の配線を形成する場合には、一般的に、以下の特許文献3に示すように、層間絶縁膜に溝および孔が一体となった構成を形成し、その溝および孔の内部を銅の配線で埋めることにより、配線と、その配線の1層下側の配線と接続するための接続部とが一体となった構造を形成するいわゆるデュアルダマシン法が用いられる。
【0004】
また銅製の配線はその構成成分が層間絶縁膜中に拡散する不具合を来しやすいため、これを抑制する観点から、その上面に接するように拡散防止膜が形成される。ただし拡散防止膜は、上記のデュアルダマシン法により形成された接続部においては、その上層および下層の配線と電気的に接続する観点から、また固体撮像素子における受光素子が配置される画素領域の真上においては受光素子の受光性を高めるため配線が配置されないことから、一般的には除去されそこには開口領域が形成される。上記の接続部と、受光素子の真上の領域との双方において拡散防止膜が除去された構成は、たとえば以下の特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4551603号公報
【特許文献2】特許第5367459号公報
【特許文献3】特許第4832807号公報
【特許文献4】特開2008−199059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、たとえば受光素子などが形成される半導体回路領域内の一部領域、または半導体回路領域の外側の半導体ウェハを個々の半導体チップに分割するために用いられるスクライブライン領域に、拡散防止膜が除去されたパターンが形成される。この拡散防止膜が除去されたパターンであるモニタパターンは、上記のたとえば受光素子の真上において拡散防止膜が所望のように除去されているか、その除去された領域の膜厚および寸法などを確認する目的で用いられる。
【0007】
通常モニタパターンは、画素領域内の拡散防止膜の開口領域よりも寸法が大きく形成される。この場合、モニタパターンを覆うように形成される層間絶縁膜は、モニタパターンの真上において凹むように段差が形成される領域が広くなる。このため、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により層間絶縁膜の上面を研磨しても層間絶縁膜の上記の段差が除去しきれず、意図しない凹部が形成される場合がある。この場合、その層間絶縁膜内に形成された溝の内部を埋めるように銅の配線が形成される場合に、モニタパターンの真上の上記の意図しない凹部内にも銅の薄膜層が意図せず形成される。この意図せず形成された銅の薄膜層はたとえば剥がれによる銅の異物として作用したり、意図せず形成された銅の薄膜層上に拡散防止膜が形成されないようなモニタパターンの構造である場合においては、層間絶縁膜または半導体回路領域内に銅が拡散されて動作不具合の要因として作用したりする可能性がある。このように意図せず形成される銅の薄膜層は、半導体装置の特性に影響を及ぼすため、形成されないようにされるべきである。
【0008】
なお上記の特許文献1〜4のいずれにも、そもそも上記のモニタパターンについての開示がなされていないため、上記の課題を解決する手段についてもなんら記載されていない。
【0009】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施の形態に係る半導体装置は、半導体基板と、第1の拡散防止膜と、接続部と、層間絶縁膜とを備えている。接続部は、半導体基板の主表面上の第1の拡散防止膜から見て半導体基板側に配置される銅を主成分とする第1の配線層と、第1の拡散防止膜の半導体基板側と反対側に配置される銅を主成分とする第2の配線層とを接続する。層間絶縁膜は第1の拡散防止膜を覆う。第1の拡散防止膜は、平面視における一部の領域である半導体回路領域に形成された第1の開口領域と、平面視において第1の開口領域とは別の開口領域として形成された第2の開口領域とを含む。第1および第2の開口領域は、接続部が第1の拡散防止膜を貫通するために形成される開口領域とは異なる領域に形成されている。第2の配線層と同一の層として第2の開口領域の真上に配置されるマーク配線層と、マーク配線層の上面に接するように配置される第2の拡散防止膜とをさらに備える。
【0012】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、まず半導体基板の主表面上に銅を主成分とする第1の配線層が形成される。第1の配線層上に、平面視における一部の領域である半導体回路領域における開口領域としての第1の開口領域と、平面視において第1の開口領域とは別の開口領域としての第2の開口領域とが形成された第1の拡散防止膜が形成される。第1の拡散防止膜を覆うように絶縁膜が形成される。絶縁膜の上面を研磨し平坦にすることにより第1の層間絶縁膜が形成される。第1の層間絶縁膜上を覆うように第2の層間絶縁膜を形成することにより層間絶縁膜が形成される。第2の層間絶縁膜内に形成された溝および孔の内部を埋めるように、半導体回路領域において、銅を主成分とする第2の配線層と、第1の配線層と第2の配線層とを接続する接続部とが形成される。第1および第2の開口領域は、接続部が第1の拡散防止膜を貫通するために形成される開口領域とは異なる領域に形成される。第2の配線層を形成する工程においては、第2の配線層と同一の層として第2の開口領域の真上にマーク配線層が形成される。マーク配線層の上面に接するように第2の拡散防止膜がさらに形成される。
【発明の効果】
【0013】
一実施の形態によれば、マーク配線層およびその上面を覆う第2の拡散防止膜が形成されることにより、層間絶縁膜に意図せず銅の薄膜層が形成されそれが拡散する可能性が低減される。
【0014】
他の実施の形態によれば、第2の開口領域の寸法の最小値が第1の開口領域の寸法の最小値以下となるように小さくすることにより、第2の開口領域の真上の層間絶縁膜に意図しない凹部が形成される可能性が低減されるため、層間絶縁膜に意図せず銅の薄膜層が形成されそれが拡散する可能性が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係る半導体装置であってウェハの状態を示す概略断面図である。
図2図1の点線で囲まれた領域IIの概略拡大平面図である。
図3図2の点線で囲まれた領域IIIの概略拡大平面図である。
図4図2の点線で囲まれた領域IVの概略拡大平面図である。
図5図3および図4のV−V線に沿う部分を含む、実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す概略断面図である。
図6】実施の形態1におけるモニタパターンおよびマーク配線層の平面視において重なり合った態様を示す概略平面図(A)と、実施の形態におけるマーク配線層の寸法を示す概略断面図(B)とである。
図7】実施の形態1の画素領域における拡散防止膜の開口領域の概略平面図である。
図8】実施の形態1の画素領域における最下層の拡散防止膜の開口領域の形状および寸法を示す概略平面図である。
図9】実施の形態1の画素領域における最下層より1層上層の拡散防止膜の開口領域の形状および寸法を示す概略平面図である。
図10】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
図11】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
図12】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
図13】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
図14】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
図15】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
図16】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
図17】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第8工程を示す概略断面図である。
図18】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第9工程を示す概略断面図である。
図19】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第10工程を示す概略断面図である。
図20】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第11工程を示す概略断面図である。
図21】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第12工程を示す概略断面図である。
図22】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第13工程を示す概略断面図である。
図23】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第14工程を示す概略断面図である。
図24】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第15工程を示す概略断面図である。
図25】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第16工程を示す概略断面図である。
図26】比較例に係る半導体装置の構成を示す概略断面図である。
図27】比較例における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
図28】比較例における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
図29】比較例における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
図30】比較例における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
図31】比較例における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
図32】実施の形態1における図2が示す態様の変形例を示す概略拡大平面図である。
図33】実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す概略断面図である。
図34】実施の形態2においてマーク配線層が矩形状でありモニタパターンが矩形状以外である場合の両者の重なり合った平面態様の第1例(A)と、上記平面態様の第2例(B)と、上記平面態様の第3例(C)と、上記平面態様の第4例(D)と、上記平面態様の第5例(E)とである。
図35】実施の形態2においてマーク配線層が矩形状以外でありモニタパターンが矩形状である場合の両者の重なり合った平面態様の第1例(A)と、上記平面態様の第2例(B)と、上記平面態様の第3例(C)と、上記平面態様の第4例(D)と、上記平面態様の第5例(E)とである。
図36】実施の形態2においてマーク配線層とモニタパターンとがともに矩形状以外である場合の両者の重なり合った平面態様の第1例(A)と、上記平面態様の第2例(B)と、上記平面態様の第3例(C)と、上記平面態様の第4例(D)と、上記平面態様の第5例(E)とである。
図37】実施の形態2におけるマーク配線層およびモニタパターンの重なり合った平面態様の、図34図36とは異なる第1例(A)と、上記平面態様の第2例(B)とである。
図38】実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す概略断面図である。
図39】実施の形態4に係る半導体装置であってウェハの状態を示す概略断面図である。
図40図39の点線で囲まれた領域XLの概略拡大平面図である。
図41図40の点線で囲まれた領域XLIの概略拡大平面図である。
図42図41のXLII−XLII線に沿う部分を含む、実施の形態4に係る半導体装置の構成を示す概略断面図である。
図43】実施の形態4における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
図44】実施の形態4における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
図45】実施の形態4における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
図46】実施の形態4における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
図47】実施の形態4における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
図48】実施の形態4における半導体装置の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
図49】実施の形態4における半導体装置の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
図50】実施の形態4の原点マークの変形例を示す概略平面図である。
図51図50のLI−LI線に沿う部分における実施の形態4の原点マークの変形例を示す概略断面図である。
図52】実施の形態4における図40が示す態様の変形例を示す概略拡大平面図である。
図53】実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す概略断面図である。
図54】実施の形態5における原点と原点マークとの配置態様の第1の変形例を示す概略平面図である。
図55】実施の形態5における原点と原点マークとの配置態様の第2の変形例を示す概略平面図である。
図56】実施の形態5における原点と原点マークとの配置態様の第3の変形例を示す概略平面図である。
図57】実施の形態5における原点と原点マークとの配置態様の第4の変形例を示す概略平面図である。
図58】実施の形態2における原点マークのみの平面態様の第1例(A)と、上記平面態様の第2例(B)と、上記平面態様の第3例(C)と、上記平面態様の第4例(D)と、上記平面態様の第5例(E)とである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態としてウェハ状態の半導体装置について説明する。
【0017】
図1を参照して、半導体基板SUBをベースとする半導体ウェハSCWには、たとえば複数のイメージセンサ用のチップ領域IMCが形成されている。複数のチップ領域IMCの各々は矩形の平面形状を有し、行列状に配置されている。
【0018】
半導体ウェハSCWにおいては、複数のチップ領域IMCの間に、スクライブライン領域SLRが形成されている。半導体ウェハSCWがスクライブライン領域SLRでダイシングされることにより、半導体ウェハSCWは複数個の半導体チップに分割される。
【0019】
次に図2図4を用いて、分割された半導体チップの構成、およびその中の各領域の構成について簡単に説明する。
【0020】
図2を参照して、複数のチップ領域IMCのそれぞれとして切断された半導体チップは、画素領域と、ダミー画素領域と、黒基準領域と、ロジック回路領域と、スクライブライン領域SLRと、モニタパターン領域とを有している。画素領域は、光電変換素子としてのたとえばフォトダイオード、およびフォトダイオードと外部との間で信号を入出力するためのトランジスタ(選択トランジスタ、増幅トランジスタなど)が形成される領域である。ダミー画素領域は、画素領域と同様のフォトダイオードが形成される場合もあるが、フォトダイオードが配置されない場合もあり、画素領域のフォトダイオードに照射される光が画素領域外のたとえばロジック回路領域に回り込んでロジック回路領域に形成される回路などに影響を及ぼすことを抑制するために、たとえば画素領域を取り囲むように設けられた領域である。
【0021】
黒基準領域は、ダミー画素領域の特に中央部に形成された領域である。黒基準領域は、画素領域と同様のフォトダイオードが形成されているが、その真上が遮光膜で覆われることによりそのフォトダイオードに光が入射しない態様とされた領域である。これにより黒基準領域は、フォトダイオードに光が入射されないときに出力される信号の基準値を出力することができる。
【0022】
ロジック回路領域は、画素領域から出力された信号をアナログ処理またはデジタル処理するためのトランジスタ、容量素子、抵抗素子などから構成された信号処理回路で構成されている。
【0023】
スクライブライン領域SLRは上記のように半導体ウェハSCWから個々のチップ領域IMCを含む半導体チップに切断するための領域である。スクライブライン領域SLRは半導体ウェハSCWのダイシングにより切断または除去されてもよいが、図2に示すように部分的に残存する場合もある。スクライブライン領域SLRにはモニタパターン領域が形成されるため、これも図2に示すように切断後の半導体チップに残存する場合がある。
【0024】
モニタパターン領域は、半導体ウェハSCWに形成されるフォトダイオードおよびロジック回路などの半導体素子の製造工程において形成される薄膜の膜厚、または薄膜に対して部分的に形成される開口の寸法などを確認する目的で形成される。図2においては、モニタパターン領域がスクライブライン領域SLR内に形成される例が示されている。
【0025】
図2においては画素領域の外側に黒基準領域を含むダミー画素領域が、ダミー画素領域の外側にロジック回路領域が、ロジック回路領域の外側にスクライブライン領域が配置されるが、各領域の配置される態様はこれに限られない。
【0026】
図3を参照して、画素領域には光電変換素子としてのフォトダイオードPDが複数、互いに間隔をあけてたとえば行列状に配置されている。フォトダイオードPDの上側には拡散防止膜ADL1、および配線層M1,M2が形成されている。なお後述するように実際にはフォトダイオードPDの上側には配線層M3,M4および層間絶縁膜などが形成されるが、ここではそれらの図示が省略されている。
【0027】
配線層M1は図3の上下方向に延びるように配置されており、配線層M2は配線層M1に交差(たとえば直交)するように、図3の左右方向に延びるように配置されている。配線層M1,M2ともに、フォトダイオードPDの真上すなわちフォトダイオードPDと平面視において重なる領域を避けてそれ以外の領域に配置されている。このように配線層M1,M2がフォトダイオードPDの真上を避けて配置されることにより、フォトダイオードPDに入射しようとする光が配線層M1,M2に遮られることが抑制された構造となっている。
【0028】
上記により、複数並ぶフォトダイオードPDのうち互いに隣り合う1対のフォトダイオードPDに挟まれた領域に配線層M1,M2が配置されている。図3においては上記挟まれた領域ごとに、互いに間隔をあけて2本の配線層M1,M2が配置されているが、このような態様になっていなくてもよい。
【0029】
フォトダイオードPDおよび配線層M1,M2が複数並ぶそれぞれの個々の領域(単位画素)の周期であるピッチaは、たとえば図の縦方向および横方向ともに10μm以下であることが好ましいがこれに限られない。
【0030】
図4を参照して、モニタパターン領域には、後に詳述する銅などの金属材料の拡散を防止するための拡散防止膜ADL1が形成されるが、この拡散防止膜ADL1の一部が除去されることにより形成された開口領域としてのモニタパターンMPが形成されている。モニタパターンMPは、たとえば矩形状を有していて、一例ではその横方向の寸法bが50μm、縦方向の寸法cが70μmとなっているが、これに限られない。また図4においてもモニタパターン領域に配置されるその他の構成要素の図示が省略されている。
【0031】
次に図5図9を用いて、本実施の形態におけるウェハ状態およびチップ状態の双方の、画素領域、ロジック回路領域およびモニタパターン領域の構成について詳細に説明する。
【0032】
図5を参照して、本実施の形態の半導体装置としてのイメージセンサは、たとえばシリコンからなるp型の半導体基板SUBに形成されている。画素領域、ロジック回路領域およびモニタパターン領域のそれぞれは、半導体基板SUBの主表面S1に形成されたシリコン酸化膜としての分離絶縁膜SIにより互いに平面視において分離されている。
【0033】
画素領域におけるp型ウェル領域PWL内の半導体基板SUBの主表面S1には図示されないn型不純物領域が形成されており、たとえばこれとp型ウェル領域PWLとによりpn接合が形成されている。このpn接合がフォトダイオードPDとして形成されている。フォトダイオードPDはこのようなn型不純物領域とp型ウェル領域PWLとにより形成されている。さらに、画素領域内には実際にはフォトダイオードPD、転送用ゲート電極およびフローティングディフュージョン領域からなる転送用トランジスタのみならず、選択トランジスタおよび増幅トランジスタなどが形成されている。しかし図5ではフォトダイオードPDの構成の図示が省略されており、また転送用ゲート電極および選択トランジスタなどの図示が省略されている。
【0034】
ロジック回路領域におけるp型ウェル領域PWLには、画素領域から出力された信号をアナログ処理またはデジタル処理するための信号処理回路を構成する、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、容量素子、抵抗素子を含んでいる。しかし図5ではMOSトランジスタのみが図示されており、容量素子、抵抗素子などは図示が省略されている。
【0035】
このMOSトランジスタは、1対のn型のソース領域SRおよびn型のドレイン領域DRと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極GEとを有している。n型のソース/ドレイン領域SR,DRの各々は、互いに間隔をあけて半導体基板SUBの主表面S1に形成されている。1対のn型のソース/ドレイン領域SR,DRの各々は、たとえば高濃度領域としてのn型不純物領域と低濃度領域であるLDD(Lightly Doped Drain)としてのn型不純物領域とを有している。
【0036】
1対のn型のソース/ドレイン領域SR,DRに挟まれる半導体基板SUBの主表面S1の上にはゲート絶縁膜GIを挟んでゲート電極GEが形成されている。ゲート電極GEの側壁には、反射防止膜の残渣として、酸化膜と窒化膜とからなる側壁絶縁膜SWが形成されている。
【0037】
MOSトランジスタのゲート電極GEの材質はたとえば不純物がドープされた多結晶シリコンからなっていてもよく、またたとえば窒化チタンなどの金属からなっていてもよい。
【0038】
画素領域、ロジック回路領域およびモニタパターン領域の各々において、半導体基板SUBの主表面S1上には、上記の素子(フォトダイオードPDおよびMOSトランジスタ)上を覆うように層間絶縁膜II1が形成されている。層間絶縁膜II1は、層間絶縁膜II1aと層間絶縁膜II1bとがこの順に積層された構成を有している。
【0039】
ロジック回路領域および画素領域においては、層間絶縁膜II1aを図の上下方向に貫通するようにコンタクト領域C1が形成されている。コンタクト領域C1は、層間絶縁膜II1a内を図の上下方向に貫通するように形成されたコンタクトホール内を充填するように形成されており、コンタクトホールの内壁を覆い金属材料の拡散を防止するためのバリアメタルBRL1と、バリアメタルBRL1の表面を覆いかつコンタクトホール内を充填するコンタクトCT1とにより形成されている。なお図5の画素領域にはコンタクト領域C1が図示されないが、画素領域にも図5の示す断面以外の領域に、ロジック回路領域のコンタクト領域C1と同様の態様を有するコンタクト領域C1が形成されている。後述するコンタクト領域C2〜C4についても同様である。
【0040】
またロジック回路領域および画素領域においては、層間絶縁膜II1bを図の上下方向に貫通するように配線層M1が形成されている。配線層M1は層間絶縁膜II1b内を図の上下方向に貫通するように形成された溝内を充填するように形成されており、平面視においては図3に示すように一の方向に延びる長尺形状を有している。配線層M1は、溝の内壁を覆うバリアメタルBRL2と、バリアメタルBRL2の表面を覆いかつ溝内を充填する金属膜ML1とにより形成されている。なおロジック回路領域における配線層M1と画素領域における配線層M1とはその形状が異なるが、これは両領域間で配線層M1の延びる方向が異なることを示している。ただし両領域間で配線層M1は同じ方向に延びてもよい。
【0041】
配線層M1は、コンタクト領域C1を通じて、ロジック回路領域のMOSトランジスタのソース領域SRまたはドレイン領域DRに電気的に接続されている。なお図5では図示が省略されているが、画素領域内の、転送トランジスタのゲート電極、フローティングディフュージョン領域、フォトダイオードPDと外部との間で信号を入出力するためのトランジスタ(選択トランジスタ、増幅トランジスタなど)にも配線層M1が接続されている。
【0042】
層間絶縁膜II1b上には、拡散防止膜ADL1(第1の拡散防止膜)が形成されている。拡散防止膜ADL1は配線層M1の上面を覆うように形成されているが、配線層M1の上面以外の領域の一部にも拡散防止膜ADL1が形成されている。
【0043】
ただし上記のように、画素領域のフォトダイオードPDの真上においては配線層M1が配置されないことに伴い、フォトダイオードPDの真上においては拡散防止膜ADL1が除去されており、拡散防止膜ADL1の開口領域CV1(第1の開口領域)が形成されている。
【0044】
またフォトダイオードおよびMOSトランジスタなどが形成される半導体回路領域を除く領域であるスクライブライン領域の一部としてのモニタパターン領域においては、その一部に拡散防止膜ADL1が除去された開口領域として、図4に示すモニタパターンMP(第2の開口領域)が形成されている。
【0045】
画素領域、ロジック回路領域およびモニタパターン領域の各々において、拡散防止膜ADL1上を覆うように層間絶縁膜II1上には層間絶縁膜II2が形成されている。層間絶縁膜II2は、層間絶縁膜II2a(第1の層間絶縁膜)と層間絶縁膜II2b(第2の層間絶縁膜)とがこの順に積層された構成を有している。
【0046】
ロジック回路領域および画素領域においては、層間絶縁膜II2aを図の上下方向に貫通するコンタクト領域C2と、層間絶縁膜II2bを図の上下方向に貫通する配線層M2とが形成されている。具体的には、コンタクト領域C2は層間絶縁膜II2aおよび拡散防止膜ADL1を図の上下方向に貫通するように形成されたコンタクトホール内を充填するように形成されており、バリアメタルBRL2とコンタクトCT2とにより形成されている。また配線層M2は層間絶縁膜II2b内を図の上下方向に貫通するように形成された溝内を充填するように形成されており、配線層M1と同様に、バリアメタルBRL2と金属膜ML2とにより形成されている。
【0047】
配線層M2とコンタクト領域C2とは一体として形成されている。すなわち金属膜ML2とコンタクトCT2とは一体として形成されており、かつ配線層M2のバリアメタルBRL2とコンタクト領域C2のバリアメタルBRL2とも一体として形成されている。
【0048】
一体となった配線層M2およびコンタクト領域C2は、コンタクト領域C2の下側の端部において拡散防止膜ADL1を貫通することにより、その下方の配線層M1と電気的に接続されている。このようにして、配線層M2はコンタクト領域C2を通じて配線層M1と電気的に接続されている。言い換えればコンタクト領域C2(接続部)は、拡散防止膜ADL1の半導体基板SUB側(下側)に配置される配線層M1(第1の配線層)と、拡散防止膜ADL1の半導体基板SUB側と反対側(上側)に配置される配線層M2(第2の配線層)とを電気的に接続している。
【0049】
以上のように、ロジック回路領域および画素領域(半導体回路領域)の拡散防止膜ADL1には、画素領域におけるコンタクト領域C2が貫通して配線層M1と接続するための開口と、フォトダイオードPDの真上の開口領域CV1との2種類の開口領域が形成されているといえる。しかしここではフォトダイオードPDの真上の開口領域CV1のみを第1の開口領域としての開口領域CV1と定義し、コンタクト領域C2が貫通するための拡散防止膜ADL1の開口は開口領域CV1に含めないものとする。またコンタクト領域C2が貫通するための拡散防止膜ADL1の開口は、第2の開口領域としてのモニタパターンMP2にも含めないものとする。
【0050】
また図3に示すように、実際にはたとえば画素領域における配線層M1と配線層M2とは平面視において互いに交差する方向に延びることが一般的であるが、図5においては図を単純化し理解しやすくする観点から、後述する配線層M3,M4を含む全ての配線層M1〜M4が同一の方向に延びるように示されている。
【0051】
一方、モニタパターン領域においては、マーク配線層MCが形成されている。マーク配線層MCは配線層M2と同一の層として、層間絶縁膜II2b内を図の上下方向に貫通するように形成された溝の内部を埋めるように形成されており、配線層M2と同様に、バリアメタルBRL2と金属膜ML2とにより形成されている。ただしマーク配線層MCは、層間絶縁膜II2bを図の上下方向に貫通していなくてもよく、たとえばその最下部が層間絶縁膜II2b内(層間絶縁膜II2bの最下部よりも上方)に形成されてもよい。マーク配線層MCはモニタパターンMPの真上に、すなわちモニタパターンMPと平面視において重なるように、配置されている。
【0052】
配線層M2およびマーク配線層MCの上面を覆うように、層間絶縁膜II2b上には拡散防止膜ADL2が形成されている。拡散防止膜ADL2はロジック回路領域および画素領域においては、基本的に平面視において拡散防止膜ADL1と同じ領域に(拡散防止膜ADL1の真上に)配置されており、それ以外の領域において開口を有している。このためフォトダイオードPDの真上においては拡散防止膜ADL2が除去されており、開口領域CV2が形成されている。したがって開口領域CV2は開口領域CV1の少なくとも一部と重なるように形成されている。
【0053】
またモニタパターン領域においては、特にマーク配線層MCの上面に接するように拡散防止膜ADL2(第2の拡散防止膜)が配置されている。ここではマーク配線層MCの上面の全体に接するように拡散防止膜ADL2が配置されていることが好ましい。マーク配線層MCとその上面に接する拡散防止膜ADL2とにより、マーク配線層領域MCFが構成されている。
【0054】
画素領域、ロジック回路領域およびモニタパターン領域の各々において、拡散防止膜ADL2上を覆うように層間絶縁膜II2上には層間絶縁膜II3が形成されている。層間絶縁膜II3は、層間絶縁膜II3aと層間絶縁膜II3bとがこの順に積層された構成を有している。
【0055】
ロジック回路領域および画素領域においては、層間絶縁膜II3aおよび拡散防止膜ADL2を図の上下方向に貫通するコンタクト領域C3と、層間絶縁膜II3bを図の上下方向に貫通する配線層M3(第2の配線層)とが一体となるように形成されている。具体的には、上記と同様に、コンタクト領域C3はバリアメタルBRL2とコンタクトCT3とにより形成されており、配線層M3はバリアメタルBRL2と金属膜ML3とにより形成されている。コンタクト領域C3のバリアメタルBRL2と配線層M3のバリアメタルBRL2とは一体となっており、かつコンタクトCT3と金属膜ML3とも一体となっている。
【0056】
一体となった配線層M3およびコンタクト領域C3は、コンタクト領域C3の下側の端部において拡散防止膜ADL2を貫通することにより、その下方の配線層M2と電気的に接続されている。このようにして、配線層M3はコンタクト領域C3を通じて配線層M2と電気的に接続されている。
【0057】
図5のモニタパターン領域においては配線層M3と同一の層は形成されていないが、これが部分的に、または全体に形成されていてもよい。また図5のモニタパターン領域においては配線層M2と同一の層としてマーク配線層MCが形成されるが、マーク配線層MCは少なくともモニタパターンMPの上側(半導体基板SUBと反対側)に形成されればよいためこれに限らず、たとえば配線層M2と同一の層の代わりに配線層M3、または後述する配線層M4と同一の層としてマーク配線層MCが形成されてもよい。さらに、モニタパターンMPは図5においては拡散防止膜ADL1に形成されているがこれに限らず任意であり、たとえば拡散防止膜ADL2に形成されても拡散防止膜ADL3に形成されてもよい。
【0058】
さらに以上と基本的に同様であるため詳細な説明を省略するが、配線層M3の上面を覆うように、層間絶縁膜II3b上には拡散防止膜ADL3が形成されている。特にフォトダイオードPDの真上においては拡散防止膜ADL3が除去された開口領域CV3が(開口領域CV1,CV2の少なくとも一部と重なるように)形成されている。
【0059】
図5のモニタパターン領域においてはその全体に拡散防止膜ADL3が形成されているが、これは一例であり、たとえばその一部のみに拡散防止膜ADL3が形成されてもよいし、拡散防止膜ADL3がまったく形成されなくてもよい。ただし仮に上記のように仮に配線層M3と同一の層としてマーク配線層MCが形成される場合は、その上面に接するように拡散防止膜ADL3が形成される。
【0060】
画素領域、ロジック回路領域およびモニタパターン領域の各々において、拡散防止膜ADL3上を覆うように層間絶縁膜II3上には層間絶縁膜II4が形成されている。層間絶縁膜II4は、層間絶縁膜II4aと層間絶縁膜II4bとがこの順に積層された構成を有している。そしてロジック回路領域および画素領域においては、当該層間絶縁膜II4を貫通するコンタクト領域C4と配線層M4とが一体として形成されている。コンタクト領域C4はバリアメタルBRL2とコンタクトCT4とにより形成されており、配線層M4はバリアメタルBRL2と金属膜ML4とにより形成されている。コンタクト領域C4のバリアメタルBRL2と配線層M4のバリアメタルBRL2とは一体となっており、かつコンタクトCT4と金属膜ML4とも一体となっている。コンタクト領域C4は拡散防止膜ADL3を貫通しており、かつ配線層M4と配線層M3とを電気的に接続している。
【0061】
図5のモニタパターン領域においては配線層M4と同一の層は形成されていないが、これが部分的に、または全体に形成されていてもよい。
【0062】
さらに以上と基本的に同様であるため詳細な説明を省略するが、配線層M4の上面を覆うように、層間絶縁膜II4b上には拡散防止膜ADL4が形成されている。特にフォトダイオードPDの真上においては拡散防止膜ADL4が除去された開口領域CV4が(開口領域CV1,CV2,CV3の少なくとも一部と重なるように)形成されている。図5においては画素領域の開口領域CV1〜CV4をまとめて開口領域CVとしている。
【0063】
図5のモニタパターン領域においてはその全体に拡散防止膜ADL4が形成されているが、これは一例であり、たとえばその一部のみに拡散防止膜ADL4が形成されてもよいし、拡散防止膜ADL4がまったく形成されなくてもよい。ただし仮に上記のように仮に配線層M4と同一の層としてマーク配線層MCが形成される場合は、その上面に接するように拡散防止膜ADL4が形成される。
【0064】
画素領域、ロジック回路領域およびモニタパターン領域の各々において、拡散防止膜ADL4上を覆うように層間絶縁膜II4上には層間絶縁膜II5が形成されている。層間絶縁膜II5は、層間絶縁膜II5aと層間絶縁膜II5bとがこの順に積層された構成を有している。ロジック回路領域においては層間絶縁膜II5a上に配線層M5が形成され、これはロジック回路領域のMOSトランジスタなどと外部との電気信号の入出力を行なうために配置される配線層である。
【0065】
図示されないが、層間絶縁膜II5上には、たとえばシリコン酸化膜からなる平坦化膜が形成されてもよい。特に画素領域における層間絶縁膜II5(または上記の平坦化膜)の上にはカラーフィルタCFが形成され、カラーフィルタCFの上には受光レンズLNSが形成される。したがって本実施の形態の半導体装置は、受光レンズLNSからカラーフィルタCFを介してフォトダイオードPDに入射する光を光電変換することにより、フォトダイオードPDにおいて電気信号を発生させる固体撮像素子を含んでいる。
【0066】
以上の図5、および図4の平面図におけるモニタパターン領域の態様は、図1のダイシングされる前のウェハ状態におけるモニタパターン領域の全体を示したものである。図2のようにダイシングされた後の半導体チップのモニタパターン領域は、当該チップの縁部に形成されておりその一部が切断により除去されているため、図4および図5に示す態様の一部のみが残存している(たとえば図4の構成が2分割されたものが図2のチップ領域IMCの左右両端部に形成される)。
【0067】
図6(A)を参照して、本実施の形態においては、図中実線で示すマーク配線層MCは、図中点線で示すモニタパターン領域のモニタパターンMPとほぼ完全一致するように重なるような形状(ほぼ同一の形状および寸法)を有しており、たとえばほぼ正方形の平面形状を有している。このようにマーク配線層MCは平面視においてその真下のモニタパターンMPの全体と完全に重なるように配置されることが好ましい。
【0068】
また図6(B)を参照して、マーク配線層MCの厚みhは、これが形成される層間絶縁膜II2の厚みの1/3以上であることが好ましい。言い換えればマーク配線層MCの厚みhは、図5および図6(B)を参照して、これと同一の層として並ぶ配線層M2とコンタクト領域C2とのセットの、図5の上下方向における寸法(厚み)の1/3以上であることが好ましい。
【0069】
さらに図6(B)を参照して、マーク配線層MCの側壁の角度αは、半導体基板SUBの主表面S1の方向(図5の左右方向)に対して70°以上90°以下であることが好ましい。ここでは特にマーク配線層MCの側壁のうち外側を向く面が、側壁の最下部においてその外側(マーク配線層MCの外側)に延びる主表面に平行な面S2に対してなす角度αが70°以上90°以下であることが好ましい。
【0070】
ところで図5に示すように、第2の開口領域としての拡散防止膜ADL1のモニタパターンMPの、主表面S1に沿う方向の寸法x2は、基本的に第1の開口領域としての拡散防止膜ADL1の開口領域CV1の、主表面S1に沿う方向の寸法x1より大きくなっている。次に図7図9を用いてこのことについて詳しく説明する。
【0071】
図7を参照して、基本的に開口領域CVを構成する各開口領域CV1〜CV4は、いずれもフォトダイオードPDの真上に形成されるためこれらは平面視において互いにほぼ完全に一致するように重なることが好ましい。しかしたとえば配線層M1とその上層である配線層M2とは延びる方向も延びる場所も厳密には異なるため、配線層M1の配置場所に依存して形成される拡散防止膜ADL1の開口領域CV1と、配線層M2の配置場所に依存して形成される拡散防止膜ADL2の開口領域CV2とは少なくとも部分的に重なるが、開口領域CV1と開口領域CV2との寸法は互いに等しくない場合がある。
【0072】
図8図9を参照して、たとえば拡散防止膜ADL1に形成される開口領域CV1が横方向の寸法H1、縦方向の寸法V1の矩形状(H1<V1)であり、たとえば拡散防止膜ADL2に形成される開口領域CV2が横方向の寸法H2、縦方向の寸法V2の矩形状(H2>V2)であるとする。
【0073】
本実施の形態においては、仮に図5に示すようにモニタパターンMPが拡散防止膜ADL1に形成される場合には、開口領域CV1の平面視における寸法の最小値であるH1よりも、モニタパターンMPを構成するたとえば矩形状の寸法の最小値の方が大きい。また仮にモニタパターンMPが拡散防止膜ADL2に形成される場合には、開口領域CV2の平面視における寸法の最小値であるV2よりも、モニタパターンMPを構成するたとえば矩形状の寸法の最小値の方が大きい。
【0074】
このように、本実施の形態においては、図8に示すようなフォトダイオードPDの真上に形成される拡散防止膜ADL1の第1の開口領域CV1の平面視における寸法の最小値H1よりも、拡散防止膜ADL1に形成されるモニタパターンMPの平面視における寸法の最小値の方が大きい。ここで図8における開口領域CV1の寸法の最小値H1は横方向であるが、モニタパターンMPの上記H1よりも大きい寸法の方向は不問であり、平面視において横方向であっても縦方向であっても斜め方向であってもよい。
【0075】
同様に、仮に拡散防止膜ADL2にモニタパターンMPが形成される場合には、図9の開口領域CV2の寸法の最小値V2よりも、モニタパターンMPの平面視における寸法の最小値の方が大きくなっている。この場合もモニタパターンMPの上記V2よりも大きい寸法の方向は不問であり、平面視において横方向であっても縦方向であっても斜め方向であってもよい。
【0076】
以上のようなモニタパターンMPと第1の開口領域CV1との大小関係を有する場合に本実施の形態を適用することにより、下記の作用効果を奏することができる。
【0077】
次に図5に示す、本実施の形態の半導体装置の製造方法について図10図25を用いて説明する。
【0078】
図10を参照して、まずシリコンやゲルマニウムなど、使用時に照射する光の波長に応じて異なる半導体材料からなる半導体基板SUBが準備される。半導体基板SUBの主表面S1にはp型ウェル領域PWLが、たとえば通常のイオン注入技術により形成される。またロジック回路領域と画素領域との境界部、画素領域において互いに隣り合う1対のフォトダイオードに挟まれる領域などには分離絶縁膜SIが形成される。分離絶縁膜SIは、ロジック回路領域、画素領域およびモニタパターン領域などの間を電気的に分離するものである。
【0079】
次に、たとえば画素領域およびモニタパターン領域の主表面S1上にフォトレジスト(感光体)が塗布された状態で、ロジック回路領域の所望の場所に、ゲート絶縁膜GIおよびゲート電極GEが形成される。また通常の写真製版技術およびイオン注入技術を用いて、ゲート電極GEの左右両側における半導体基板SUBの主表面S1にソース領域SRおよびドレイン領域DRが形成される。またゲート電極GEおよびゲート絶縁膜GIの側壁にはたとえばシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜からなる側壁絶縁膜SWが形成される。
【0080】
図11を参照して、次に、画素領域のフォトレジストが除去された状態で、画素領域のp型ウェル領域PWLの内部に、通常の写真製版技術およびイオン注入技術を用いてn型不純物領域が形成される。これにより、p型ウェル領域PWLとn型不純物領域とよりなるフォトダイオードPDが形成される。
【0081】
次に、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜II1aが形成される。層間絶縁膜II1aは炭素を含んでいてもよい。その後、当該層間絶縁膜II1aがCMP法と呼ばれる化学機械的研磨法により上面が平坦となるように研磨される。次に通常の写真製版技術およびエッチング技術により、ソース領域SRおよびドレイン領域DRに達するように層間絶縁膜II1aにコンタクトホールCHが形成される。
【0082】
次に、コンタクトホールCHの内壁を覆うように、層間絶縁膜II1a上にバリアメタルBRL1がたとえば通常のスパッタリング法により形成される。バリアメタルBRL1は、たとえばチタンまたは窒化チタンの層が1層以上含まれる単層または複層により形成されることが好ましい。
【0083】
次に、コンタクトホールCHの内部にたとえばタングステンの薄膜としてのコンタクトCT1が充填される。この処理においてはたとえばCVD法が用いられ、層間絶縁膜II1a上にもタングステンを主成分とする薄膜が形成される。層間絶縁膜II1a上のバリアメタルBRL1およびコンタクトCT1はCMPにより除去される。以上により、バリアメタルBRL1とコンタクトCT1とからなるコンタクト領域C1が形成される。
【0084】
図12を参照して、層間絶縁膜II1a上にCVD法によりシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜II1bが形成される。層間絶縁膜II1bの表面がCMP法により研磨され、層間絶縁膜II1aと併せて層間絶縁膜II1が形成された後、通常の写真製版技術により、配線層M1を形成しようとする領域と平面視において重なる領域に開口を有するフォトレジストPHRのパターンが形成される。フォトレジストPHRの開口は、コンタクト領域C1の真上の領域を含むように形成されることが好ましい。
【0085】
図13を参照して、図12のフォトレジストPHRのパターンを用いた通常のエッチング技術により、層間絶縁膜II1bを貫通してその真下のコンタクト領域C1に達するように、たとえば紙面奥行き方向など所望の方向に延びる溝THが形成される。次に、溝THの内壁を覆うように、層間絶縁膜II1b上にバリアメタルBRL2がたとえば通常のスパッタリング法により形成される。なおバリアメタルBRL2は、たとえばタンタル、チタン、窒化タンタルまたは窒化チタンからなる群から選択されるいずれかにより形成されることが好ましい。
【0086】
図14を参照して、溝THの内部に、CVD法またはめっき法を用いて、たとえば銅を主成分とする金属膜ML1が充填される。
【0087】
図15を参照して、CMP法により層間絶縁膜II1b上の金属膜ML1およびバリアメタルBRL2が除去される。以上により半導体基板SUBの主表面S1上には、銅を主成分とする配線層M1(第1の配線層)が形成される。
【0088】
図16を参照して、配線層M1の上面を覆うように、層間絶縁膜II1b上に拡散防止膜ADL1が形成される。拡散防止膜ADL1は主にシリコン窒化物、シリコン炭化物、シリコン、窒素、炭素からなる化合物であり、たとえばCVD法により形成されることが好ましい。また拡散防止膜ADL1は上記の材質からなる単層膜であってもよいが、複数の薄膜が積層された積層膜であってもよく、たとえばシリコン窒化物からなる膜とTEOS膜とが積層された構成であってもよい。この場合、TEOS膜はシリコン窒化物からなる膜のエッチング加工のために形成される。
【0089】
次に、通常の写真製版技術により、フォトレジストPHRのパターンが形成される。フォトレジストPHRのパターンは、たとえば画素領域においては、フォトダイオードPDと平面視において重なる領域の少なくとも一部を含むように開口が形成され、たとえばモニタパターン領域においては、モニタパターンMPを形成しようとする領域と平面視において重なる領域に開口を有するように形成される。
【0090】
図17を参照して、図12のフォトレジストPHRのパターンを用いた通常のエッチング技術により、フォトダイオードPDの真上に第1の開口領域としての開口領域CV1が形成され、かつモニタパターン領域において第2の開口領域としてのモニタパターンMPが形成された拡散防止膜ADL1(第1の拡散絶縁膜)が形成される。ここでは開口領域CV1の平面視における寸法の最小値よりも、モニタパターンMPの平面視における寸法の最小値の方が大きくなるように形成される。
【0091】
図18を参照して、上記と同様の方法により、拡散防止膜ADL1を覆うように、上記と同様の材質の層間絶縁膜II2a(絶縁膜)が形成される。
【0092】
図19を参照して、層間絶縁膜II2aの上面がたとえばCMP法により研磨され、上面が平坦な層間絶縁膜II2a(第1の層間絶縁膜)となる。
【0093】
図20を参照して、平坦になった層間絶縁膜II2a上を覆うように、上記と同様の方法により、上記と同様の材質の層間絶縁膜II2bが形成される。層間絶縁膜II2bの上面が研磨され、層間絶縁膜II2aと併せて層間絶縁膜II2として形成される。
【0094】
図21を参照して、通常の写真製版技術およびエッチング技術により、層間絶縁膜II2のコンタクト領域C2を形成しようとする領域にコンタクトホールCH(孔)が形成される。コンタクトホールII2は、拡散防止膜ADL1の上面に達するように形成される。
【0095】
図22を参照して、通常の写真製版技術により、たとえば半導体回路領域における配線層M1を形成しようとする領域およびモニタパターン領域におけるマーク配線層MCを形成しようとする領域と平面視において重なる領域に開口を有するフォトレジストPHRのパターンが形成される。フォトレジストPHRの開口は、コンタクトホールCHの真上の領域を含むように形成されることが好ましい。またコンタクトホールCHの底壁もフォトレジストPHRのパターンで覆われる。
【0096】
図23を参照して、図22のフォトレジストPHRのパターンを用いた通常のエッチング技術により、層間絶縁膜II2bを貫通してその真下のコンタクトホールCHに達するように、たとえば紙面奥行き方向など所望の方向に延びる溝THが形成される。これにより、特に半導体回路領域(ロジック回路領域および画素領域)においては、コンタクトホールCHと溝THとは一体となる。
【0097】
またモニタパターン領域においてはモニタパターンMPの真上に、マーク配線層MCを形成するための溝THが形成される。本実施の形態においてはモニタパターンMPと平面的にほぼ完全に重なるように、モニタパターンMPと同じ形状および大きさの溝THが形成される。次に、図22のフォトレジストPHRのパターンが除去された後、コンタクトホールCHの底壁に露出した拡散防止膜ADL1がエッチングにより除去される。このとき形成される拡散防止膜ADL1の開口部分は、上記の第1および第2の開口領域には含まれない。
【0098】
次に、必要に応じてアルゴンを用いたスパッタエッチング、水素雰囲気中での熱処理、またはウェットエッチングがなされることにより、コンタクトホールCHの底壁に露出した下層配線である金属膜ML1としての銅を主成分とする薄膜の表面が清浄化される。
【0099】
図24を参照して、溝THおよびコンタクトホールCHの内壁を覆うように、層間絶縁膜II2b上にバリアメタルBRLがたとえば通常のスパッタリング法により形成される。次に溝THおよびコンタクトホールCHの内部に、たとえば銅を主成分とする薄膜が充填される。これにより、溝THの内部における薄膜は銅を主成分とする金属膜ML2として、コンタクトホールCHの内部における薄膜はコンタクトCT2として、それぞれ形成される。上記の銅を主成分とする薄膜によりコンタクトCT2と金属膜ML2とは一体として形成されるが、このとき最初にシールド膜となる薄膜を形成し、その後当該シールド膜にめっきされるようにめっき法により溝THおよびコンタクトホールCHの内部を埋め得る厚みの銅を主成分とする膜が形成される。
【0100】
またモニタパターン領域においては、上記の半導体回路領域における金属膜ML2などの形成と同時に、溝THの内部を埋めるように、薄膜すなわちバリアメタルBRL2と金属膜ML2が形成される。
【0101】
その後、CMP法により層間絶縁膜II2b上の金属膜ML2およびバリアメタルBRL2が除去される。以上により半導体回路領域においては、銅を主成分とする金属膜ML2とバリアメタルBRL2とからなる配線層M2(第2の配線層)と、配線層M1と配線層M2とを接続するコンタクト領域C2(接続部)とが一体として形成される。またモニタパターン領域においては、配線層M2と同一の層としてのマーク配線層MCが、モニタパターンMPの真上に形成される。なおマーク配線層MCの図6(B)に示す寸法hおよび角度αは上記の大きさとすることにより、下記の作用効果を奏することができる。
【0102】
以上のように、配線層M2などの形成においては、溝THとコンタクトホールCHとを形成しこれらの内部を金属膜で埋めることにより配線層と接続部とを一体として形成するデュアルダマシン法が用いられることが好ましい。
【0103】
図25を参照して、配線層M2の上面を覆うように、層間絶縁膜II2b上に拡散防止膜ADL2が形成される。拡散防止膜ADL2の形成方法、構成および材質は拡散防止膜ADL1と同様である。この拡散防止膜ADL2は、たとえば画素領域においては、フォトダイオードPDと平面視において重なる領域の少なくとも一部を含むように開口領域CV2が形成される。
【0104】
拡散防止膜ADL2は、モニタパターン領域においては、少なくともマーク配線層MCの上面に接するように形成されることにより、マーク配線層MCと拡散防止膜ADL2とを含むマーク配線層領域MCFが形成される。ここではマーク配線層MCの上面の全体に接するように拡散防止膜ADL2が形成されることが好ましい。
【0105】
以降においては以上と基本的に同様の処理が繰り返されることにより図5に示す半導体装置としてのイメージセンサが形成されるため、詳細な説明は省略する。
【0106】
次に図26図31の比較例を参照しながら、本実施の形態の作用効果を説明する。
図26を参照して、比較例の半導体装置としてのイメージセンサは、基本的に本実施の形態の半導体装置としてのイメージセンサと同様の構成を有しているが、モニタパターン領域の構成において若干の差異がある。具体的には、本実施の形態においてマーク配線層MCが形成される層間絶縁膜II2bにはマーク配線層MCが形成されておらず、当該領域には余剰形成層EXTが形成されている。余剰形成層EXTはマーク配線層MCと同様に、金属膜ML2およびバリアメタルBRL2により形成されている。
【0107】
余剰形成層EXTは、層間絶縁膜II2bの上側の表面に形成された凹部DP内に形成されている。この凹部DPは、拡散防止膜ADL1の開口領域であるモニタパターンMPを覆うように形成された層間絶縁膜II2a,II2bの上側の表面に段差として形成されたものである。
【0108】
具体的には、図27を参照して、比較例の半導体装置の製造方法において、ここでは本実施の形態の図18の工程と同様に層間絶縁膜II2aが形成される。このとき、モニタパターンMPの真上の層間絶縁膜II2aは拡散防止膜ADL1が配置されない分だけ最上面が低くなるように段差としての凹部DPが形成される。図27に示す凹部DPの形状はあくまで一例であり、採用される工程に応じてその形状は変化する。
【0109】
図28を参照して、ここでは図19の工程と同様に層間絶縁膜II2aの上面が研磨除去されるが、凹部DPの段差の形成される面積が大きければこれがすべて除去しきれない場合がある。図29を参照して、凹部DPが残った状態でその上に図20の工程と同様に層間絶縁膜II2bが形成されれば、層間絶縁膜II2bの上面にも凹部DPが形成される。
【0110】
図30を参照して、図21図23の工程と同様にバリアメタルBRL2および金属膜ML2が形成されることにより配線層M2などが形成されるが、このとき層間絶縁膜II2bの上面には凹部DPが形成されているため、その表面を図24の工程と同様にCMPなどにより研磨した後にも凹部DP内には配線層M2を構成する金属膜ML2などと同時に形成された金属膜ML2などが残存する。これにより凹部DP内に余剰形成層EXTが形成される。
【0111】
図31を参照して、図25の工程と同様に配線層M2の上面を覆う拡散防止膜ADL2が形成される。しかしモニタパターン領域の余剰形成層EXTは本来形成されるべきでないものであるため、この真上には拡散防止膜ADL2が形成されない。
【0112】
この場合、図31の工程の後にさらに層間絶縁膜II3などが形成されれば、拡散防止膜ADL2により保護されない余剰形成層EXTが凹部DPから剥がれることにより半導体装置内にて異物として残存し、半導体装置の動作不具合および歩留り低下を来す可能性がある。また余剰形成層EXTの金属膜ML2を構成するたとえば銅は非常に拡散しやすいため、これが外部に拡散し、半導体装置の内部にて意図せぬ領域に短絡を発生させるなどの不具合を起こす可能性がある。
【0113】
このような問題は、以下の理由により発生する。モニタパターンMPの中でも、たとえば画素領域の拡散防止膜ADL1の開口領域の縁部の近くにおいて拡散防止膜ADL1の膜厚を測定するための膜厚モニタは、図4に示す寸法bおよび寸法cが大きく、平面視における面積が非常に大きい。このため、平面積の大きなモニタパターンMPを覆う層間絶縁膜の上面をCMP法によりその許容される最大限の厚み分だけ研磨したとしても、たとえば図19に示すモニタパターンMPの真上の層間絶縁膜II2aの上面DSは、実際には層間絶縁膜II2aの上面のうち上面DS以外の領域に比べて、拡散防止膜ADL1の開口による段差の分だけ下方に凹んだ段差が残存してしまう。
【0114】
なお、画素領域においてフォトダイオードPDの真上に形成される拡散防止膜ADL1の第1の開口領域などによっては、その上層の層間絶縁膜II2aの上面などに形成される段差はCMP法により研磨されることで除去され平坦な表面を形成することができる。そのため層間絶縁膜II2a上に形成される層間絶縁膜II2bにも段差が形成されず、上記のモニタパターンMP上のような不具合は起こりにくい。これは上記のモニタパターンMPに比べてフォトダイオードPDの真上に形成される第1の開口領域は平面視における面積が小さいため、その上の層間絶縁膜II2aに段差が形成されたとしても研磨によりこれを除去することが可能であるためである。
【0115】
層間絶縁膜II2が第1の層間絶縁膜II2aと第2の層間絶縁膜II2bとの2層構造を有することにより、第1の層間絶縁膜II2aを形成した後にいったんその表面を研磨し、その上に層間絶縁膜II2bを形成することができる。このため特に画素領域などの半導体回路領域において、層間絶縁膜II2bの平坦性を高めることができる。また層間絶縁膜II2bと同一の層として溝THおよび配線層M2が形成され、層間絶縁膜II2aと同一の層としてコンタクトホールCHおよびコンタクト領域C2が形成されることにより、デュアルダマシン法による配線層およびコンタクト領域を容易に形成することができる。
【0116】
以上のようなモニタパターンMP上の層間絶縁膜II2における余剰形成層EXTの形成を抑制する観点で、本実施の形態においては余剰形成層EXTが形成され得る領域、すなわちモニタパターンMPと平面視において重なる真上の領域にあらかじめマーク配線層MCが形成され、さらにその上面を覆うように拡散防止膜ADL2が形成される。このようにすれば、モニタパターンMPの寸法がたとえフォトダイオードPDの真上の第1の開口領域の寸法より大きくても、モニタパターンMPの上方のマーク配線層MCの存在により、余剰形成層EXTによる金属材料の拡散等が発生する可能性を低減することができる。またマーク配線層MCの上面は拡散防止膜ADL2に覆われるため、銅の残渣物が外部に拡散して半導体装置の動作不具合および歩留り低下を招く可能性を低減することができる。したがって層間絶縁膜内に形成された溝の内部を埋めるように金属膜を形成するデュアルダマシン法などを用いる場合において、意図せず余剰形成層EXTが形成される可能性を排除し、形成される半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0117】
図8および図9を参照して、拡散防止膜ADL1に形成されたモニタパターンMPの平面視における寸法の最小値が半導体回路領域における拡散防止膜ADL1の開口領域の平面視における寸法の最小値よりも大きくなれば、凹部DPおよび余剰形成層EXTが形成されやすくなる。このため第1の開口領域の平面視における寸法の最小値よりも、第2の開口領域の平面視における寸法の最小値の方が大きい場合に本実施の形態が適用されることがより好ましい。
【0118】
以上においては、モニタパターンMPをスクライブライン領域に配置している場合の例を説明している。しかし図32を参照して、半導体回路領域内であるたとえばロジック回路領域内にモニタパターンMPが形成されてもよい。この場合においてもモニタパターンMPがスクライブライン領域に形成された場合と同様の効果を得ることができる。さらに図示されないが、半導体回路領域内の画素領域内の、第1の開口領域CV1が形成される領域以外の領域に、第1の開口領域CV1とは別の第2の開口領域としてモニタパターンMPが形成されてもよい。
【0119】
なお図32のように半導体回路領域内にモニタパターンMPが形成される場合には、上記の場合と異なり、ダイシングによりモニタパターンMPは切断されないため、図1に示すウェハ状態、および図32に示す分割後の半導体チップの状態の双方において、図4および図5以降の各図のモニタパターン領域が示す全体が残存する態様となる。
【0120】
(実施の形態2)
図33を参照して、本実施の形態の半導体装置としてのイメージセンサは、基本的に図5に示す実施の形態1の半導体装置としてのイメージセンサと同様の構成を有している。なお本実施の形態においても、各図が示す態様は基本的にダイシング前のウェハ状態における態様である。
【0121】
しかし本実施の形態においては、平面視におけるマーク配線層MCの面積が、平面視におけるモニタパターンMPの面積よりも大きくなっている。マーク配線層MCは、モニタパターンMPと平面視において重なる領域の全体を含むように(すなわちマーク配線層MCはモニタパターンMPの全体と平面視において重なるように)配置されている。この点において本実施の形態は、図6(A)に示す実施の形態1の、モニタパターンMPとマーク配線層MCとの平面視における大きさおよび形状が同じであり両者がその全体において重なる構成を有する実施の形態1と異なっている。
【0122】
以上をまとめると、本実施の形態のモニタパターン領域のマーク配線層MCの平面視における面積は、モニタパターンMPの平面視における面積以上である(ように形成される)。ただし本実施の形態においても、マーク配線層MCは平面視においてその真下のモニタパターンMPの全体と完全に重なるように配置されることが好ましい。この場合においても実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0123】
このため本実施の形態においては、マーク配線層MCとモニタパターンMPとの形状が異なっていてもよい。図34(A)〜(E)を参照して、たとえばこれらの図が示すように、図中実線で示すマーク配線層MCがたとえば正方形のような矩形の平面形状を有しており、その内部に完全に収まるように、図中点線で示す矩形状以外の平面形状を有するモニタパターンMPが形成されていてもよい。モニタパターンMPは、図34(A)においては矩形の角部が丸くなった平面形状、図34(B)においては十字形状、図34(C),(D),(E)においてはいずれも矩形状の角部のうち1つまたは2つが斜め方向に切り落とされた平面形状を有している。
【0124】
また本実施の形態においても、各モニタパターンMPの寸法の最小値dは、これが形成される拡散防止膜の、フォトダイオードPDの真上の第1の開口領域の寸法の最小値よりも大きい(ように形成される)。
【0125】
その他、図35(A)〜(E)を参照して、たとえばこれらの図が示すように、図中実線で示すマーク配線層MCが矩形状以外の平面形状を有しており、その内部に完全に収まるように、図中点線で示すほぼ正方形の平面形状を有するモニタパターンMPが形成されていてもよい。マーク配線層MCは、図35(A)においては矩形状の角部が丸くなった平面形状、図35(B)においては十字形状、図35(C),(D),(E)においてはいずれも矩形状の角部のうち1つまたは2つが斜め方向に切り落とされた平面形状を有している。
【0126】
また図36(A)〜(E)を参照して、たとえばこれらの図が示すように、図中実線で示すマーク配線層MC、図中点線で示すモニタパターンMPともに正方形状以外の平面形状を有していてもよい。両者は図36(A)においては矩形の角部が丸くなった平面形状、図36(B)においては十字形状、図36(C),(D),(E)においてはいずれも矩形状の角部のうち1つまたは2つが斜め方向に切り落とされた平面形状を有している。
【0127】
また図37(A),(B)を参照して、たとえばこれらの図が示すように、図中実線で示すマーク配線層MCと平面的に重なるように、図中点線で示すモニタパターンMPが複数、互いに間隔をあけて配置されてもよい。図37(A)においてはマーク配線層MC、モニタパターンMPともに矩形状であり、図37(B)においてはマーク配線層MCが十字形状、モニタパターンMPが矩形状を有している。
【0128】
(実施の形態3)
図38を参照して、本実施の形態の半導体装置としてのイメージセンサは、基本的に図5に示す実施の形態1の半導体装置としてのイメージセンサと同様の構成を有している。しかし本実施の形態においては、モニタパターンMPが拡散防止膜ADL1に加えて拡散防止膜ADL3にも形成されている。
【0129】
拡散防止膜ADL1のモニタパターンMPの真上には金属膜ML2およびバリアメタルBRL2からなるマーク配線層MCが配置され、マーク配線層MCの上面に接するように配置される拡散防止膜ADL2と併せてマーク配線層領域MCFが配置されている。同様に、拡散防止膜ADL3にもフォトダイオードPDの真上に形成された開口領域CV3(第1の開口領域)とは別の第2の開口領域としてのモニタパターンMPが、たとえばスクライブライン領域内のモニタパターン領域に形成されている。
【0130】
拡散防止膜ADL3に形成されたモニタパターンMPの真上には金属膜ML4およびバリアメタルBRL2からなるマーク配線層MCが配置され、マーク配線層MCの上面に接するように配置される拡散防止膜ADL4と併せてマーク配線層領域MCFが配置されている。
【0131】
このように本実施の形態においては、モニタパターン領域における拡散防止膜の第2の開口領域であるモニタパターンMPが複数、互いに積層されるように(積層される図38の上下方向に並ぶように)形成されている。複数の互いに積層されたモニタパターンMPのそれぞれの真上にマーク配線層MCが形成されている。
【0132】
すなわち本実施の形態においては、積層される図38の上下方向に並ぶように(複数の拡散防止膜のそれぞれに)複数のモニタパターンMPが形成され、かつ複数のマーク配線層MCが形成される。
【0133】
なお図38においては複数のモニタパターンMP同士が平面視において完全に重なる位置に配置されており、かつ複数のマーク配線層MC同士も平面視において完全に重なるように配置されている。このようにこれらが平面視において完全に重なる位置に配置されていてもよいが、これらは必ずしも平面視において重なるように配置されなくてもよい。すなわち複数のモニタパターンMPのそれぞれの平面形状および大きさが異なっていてもよく、同様に複数のマーク配線層MCのそれぞれの平面形状および大きさが異なっていてもよい。
【0134】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0135】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
たとえばモニタパターンMPの形成によりその上層の層間絶縁膜に凹部DP(図27〜31参照)が残存することが避けられない場合には、その上層にさらにモニタパターンMPを形成する場合には意図的に下側のモニタパターンMPが形成される位置とは平面的に異なる位置に形成する必要が生じる。しかし本実施の形態においては、拡散防止膜ADL1に形成されたモニタパターンMPの直上のマーク配線層MCにより、層間絶縁膜II2の最上面の平坦性が確保される。このため、層間絶縁膜II2の上方にさらにモニタパターンMPを形成する場合においても、その下側のモニタパターンMPが形成される位置を避けるように設計する必要がなく、設計の自由度を高めることができる。したがって平面視において完全に重なる(ほぼまったく同じ)場所に複数のモニタパターンMP、およびマーク配線層MCを形成することができる。
【0136】
(実施の形態4)
まず、本実施の形態としてウェハ状態の半導体装置について説明する。
【0137】
図39および図40を参照して、本実施の形態としてのウェハ状態および分割された半導体チップの構成は、基本的に図1および図2と同様であるが、スクライブライン領域SLR内にはモニタパターン領域の代わりに原点マーク領域が形成されている。原点マークとは、ここでは半導体装置を形成する各工程にて形成されるパターン間の位置合わせを正確に行なう場合などのように、全工程において一貫して同じ位置の基準(原点)を確認するために用いられるマークを意味するものとする。またこのパターンは、製造工程中に半導体ウェハの原点位置を確認するためのマークを形成する領域として形成される場合もある。
【0138】
したがって原点マークは、最初の工程において下層に形成された後、各工程において上方から視認可能とすべく、各工程において特に遮光性の強い銅などの金属膜(配線層M1などを構成する金属膜ML1など)に覆われないことが要求される。
【0139】
そこで図41および図42を参照して、本実施の形態においては、原点マークが示す位置の原点OCの上方が金属膜ML1〜ML4(配線層M1〜M4)で覆われないように構成されている。
【0140】
図41および図42においては、原点マーク領域において、配線層M1,M2のいずれも配置されないことに伴い、拡散防止膜ADL1,ADL2のそれぞれに第2の開口領域としてそれぞれ原点マークOMが形成されている。
【0141】
原点マークOMは、図41および図42の原点マーク領域の左右方向、および図41の上下方向のそれぞれに関して3つずつ、互いに間隔をあけて合計5つが、巨視的に十字状を構成するように配置されている。それぞれの原点マークOMはたとえば平面視において矩形状(ほぼ正方形状)を有している。
【0142】
原点マーク領域は半導体回路領域以外の領域であるが、図42においては層間絶縁膜II1〜II4のいずれにおいても、画素領域に形成される配線層M1〜M4と同様の態様を有する配線層M1〜M4が形成されている。また図42の原点マーク領域においては配線層M1〜M4がすべて平面視において同一の位置に(互いに重なるように)配置されている。拡散防止膜ADL1〜ADL4についても同様に、すべて平面視において同一の位置に(互いに重なるように)配置されている。たとえば図42に示す配線層M1〜M4の配列はあくまで一例であり、これに限られない。特に原点OCを含む原点マークOM以外と平面視において重なる領域以外の原点マーク領域における配線層M1〜M4の配置は任意である。
【0143】
また図42においては原点マーク領域の拡散防止膜ADL3,ADL4はその全体に形成されているがこの形成態様も任意であり、たとえば拡散防止膜ADL3,ADL4にも部分的に(たとえば拡散防止膜ADL1,ADL2の原点マークOMの真上に)原点マークOMとしての開口領域が形成されていてもよい。あるいは拡散防止膜ADL3,ADL4は原点マーク領域にはまったく形成されなくてもよい。さらにはたとえば拡散防止膜ADL1〜ADL4のいずれかのみに第2の開口領域としての原点マークが形成されていてもよい。
【0144】
本実施の形態においては、図42に示すように、第2の開口領域としての拡散防止膜ADL1,ADL2の原点マークOMの、主表面S1に沿う方向の寸法x2が、基本的に第1の開口領域としての拡散防止膜ADL1の開口領域CV1の、主表面S1に沿う方向の寸法x1と同じであるか、それより小さくなっている。より具体的には、原点マークOMの、主表面S1に沿う方向の(平面視における)寸法の最小値が、画素領域におけるフォトダイオードPDの真上に形成される拡散防止膜ADL1の第1の開口領域CV1の平面視における寸法の最小値H1,V2(図8図9参照)と同じであるか、それよりも小さくなっている。この点において、上記寸法x2(モニタパターン)が寸法x1より大きくなっている実施の形態1〜3と異なっている。
【0145】
また上記のように、本実施の形態の原点マークOMは、全工程において視認性を確保するために、その真上には実施の形態1〜3のようなマーク配線層MCは配置されていない。この点において、本実施の形態は実施の形態1〜3と異なっている。
【0146】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0147】
以上の図42、および図41の平面図におけるモニタパターン領域の態様は、図39のダイシングされる前のウェハ状態におけるモニタパターン領域の全体を示したものである。図40のようにダイシングされた後の半導体チップのモニタパターン領域は、当該チップの縁部に形成されておりその一部が切断により除去されているため、図41および図42に示す態様の一部のみが残存している(たとえば原点OCが半導体チップの角部に相当する位置に配置され、図41の構成が4分割されたものが図40のチップ領域IMCの4隅に形成される)。
【0148】
次に図42に示す、本実施の形態の半導体装置の製造方法について図43図49を用いて説明する。
【0149】
図43を参照して、基本的に実施の形態1の図10図16と同様の処理がなされる。ただしここでは原点マーク領域において画素領域と同様に配線層M1が形成される点が実施の形態1と異なっている。その配線層M1の上面を覆うように層間絶縁膜II1b上に拡散防止膜ADL1が形成され、通常の写真製版技術により、フォトレジストPHRのパターンが形成される。フォトレジストPHRのパターンは、たとえば画素領域においては、フォトダイオードPDと平面視において重なる領域の少なくとも一部を含むように開口が形成され、たとえば原点マーク領域においては、原点マークOMを形成しようとする領域と平面視において重なる領域に開口を有するように形成される。
【0150】
図44を参照して、図17の工程と同様の処理がなされ、拡散防止膜ADL1には開口領域CV1と原点マークOMとが形成される。ここでは原点マークOMの平面視における寸法の最小値が、開口領域CV1の平面視における寸法の最小値以下となるように形成される。
【0151】
図45を参照して、図18および図19と同様の処理がなされる。これにより、原点マーク領域における拡散防止膜ADL1の開口領域の(平面視における)寸法の最小値が、画素領域(半導体回路領域)における拡散防止膜ADL1の開口領域の(平面視における)寸法の最小値以下となるように、拡散防止膜ADL1の開口領域が形成される。
【0152】
図46を参照して、図20および図21と同様の処理がなされる。図47図49を参照して、図22図24と同様の処理がなされ、層間絶縁膜II2には配線層M2およびコンタクト領域C2が形成される。このとき原点マーク領域において、拡散防止膜ADL1に形成された原点マークOMの真上を配線層M2が覆うことのないように(すなわち原点マークOMの真上以外の領域に配線層M2が配置されるように)、配線層M2がパターニングされる。これ以降の各工程については実施の形態1と同様に説明を省略する。また上記で記載されなかった部分については基本的に実施の形態1で説明した手順と同様である。
【0153】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
上記のように本実施の形態においては、拡散防止膜ADL1に形成された開口領域としての原点マークOMの真上にマーク配線層MCを形成することができないため、たとえば図45の工程の後に形成される層間絶縁膜II2a、および図46の工程の後に形成される層間絶縁膜II2bの表面に凹部DPが形成されないことが要求される。
【0154】
そこで拡散防止膜ADL1に形成された開口領域としての原点マークOMの平面視における寸法の最小値を、画素領域においてフォトダイオードPDの真上に形成される拡散防止膜ADL1の第1の開口領域CV1の平面視における寸法の最小値と同じまたはそれよりも小さく(それ以下に)する。
【0155】
このようにすれば、画素領域においてフォトダイオードPDの真上に形成される第1の開口領域は面積が小さいためその上の層間絶縁膜II2aに段差が形成されたとしても研磨により除去可能となるのと同様に、原点マークOMの真上の層間絶縁膜II2aなどに形成される段差は研磨により除去しきれる程度の大きさおよび深さとなるため容易に除去される。したがって原点マークOMの真上にマーク配線層MCなどが形成されなくても、原点マークOMの真上に凹部DPおよび余剰形成層EXTが形成される可能性を低減することができる。このため2層の層間絶縁膜II2a,II2bを用いたデュアルダマシン法により、信頼性の高い配線層およびコンタクト領域を形成することができる。
【0156】
原点OCを含む原点マークOMの真上が配線層M1〜M4(と同一の層)に覆われなければ原点OCの視認性を確保することができる。したがって、本実施の形態における原点マークOMの平面形状は、図41に示す態様に限らず、たとえば図50および図51に示すような態様を有していてもよい。なお図50においては図51から配線層M1,拡散防止膜ADL1および原点マークOMのみが抽出されている。
【0157】
以上においては、原点マークOMをスクライブライン領域に配置している場合の例を説明している。しかし図52を参照して、半導体回路領域内であるたとえばロジック回路領域内に原点マークOMが形成されてもよい。この場合においてもモニタパターンMPがスクライブライン領域に形成された場合と同様の効果を得ることができる。さらに図示されないが、半導体回路領域内の画素領域内の、第1の開口領域CV1が形成される領域以外の領域に、第1の開口領域CV1とは別の第2の開口領域として原点マークOMが形成されてもよい。
【0158】
なお図52のように半導体回路領域内に原点マークOMが形成される場合には、上記の場合と異なり、ダイシングにより原点マークOMは切断されないため、図1に示すウェハ状態、および図52に示す分割後の半導体チップの状態の双方において、図41および図42以降の各図の原点マーク領域が示す全体が残存する態様となる。
【0159】
(実施の形態5)
実施の形態4において、以下の各態様が用いられてもよい。これらの場合においても、基本的に実施の形態4と同様の作用効果を奏することができる。なおここでも、各図が示す態様は基本的にダイシング前のウェハ状態における態様である。
【0160】
まず図53を参照して、本実施の形態の半導体装置としてのイメージセンサは、基本的に図42に示す実施の形態4の半導体装置としてのイメージセンサと同様の構成を有している。しかし本実施の形態においては、拡散防止膜ADL1に形成された原点OCを含む原点マークOMの真上に拡散防止膜ADL2が配置されており、その真下には配線層M2が配置されていない。この点において、原点マーク領域における拡散防止膜ADL1と拡散防止膜ADL2とが平面視において重なるように配置されている実施の形態4と異なっている。
【0161】
図54を参照して、原点マークOMは、たとえば矩形(ほぼ正方形)状の平面形状を有し互いに間隔をあけて行列状に配置される複数の拡散防止膜ADL1のパターンに挟まれた、拡散防止膜ADL1の開口領域として形成され、その原点マークOM内に原点OCが配置される構成であってもよい。
【0162】
また図55を参照して、拡散防止膜ADL1に複数(たとえば4つ)形成された開口領域としての原点マークOMのそれぞれは、一方向に向けて尖ったような平面形状を有しており、その尖った部分が原点OCの方向を向くように形成されていてもよい。この場合、原点OCは拡散防止膜ADL1に覆われた領域に配置されているものの、複数の原点マークOMの尖った部分の指す方向が交わる位置に原点OCが配置されると認識することができる。なおこのような構成を有する場合には原点OCの位置が必ずしも拡散防止膜ADL1の開口を有している必要はなく、拡散防止膜ADL1が形成される領域と重なるように銅を主成分とする金属膜が形成されてもよい。
【0163】
図56を参照して、これは図54の拡散防止膜ADL1と同様に矩形状の態様を有する複数の原点マークOMが、拡散防止膜ADL1の開口領域として行列状に配置されている。そしてこれらの原点マークOMに挟まれた部分の中心に原点OCが配置されている。この場合も図55と同様に、複数の原点マークOMの配置により原点OCの位置を特定することができるため、原点OC自身が拡散防止膜ADL1の開口領域に形成されていなくてもよい。
【0164】
また図57を参照して、拡散防止膜ADL1の開口領域としての原点マークOMが十字形状を有しており、その中心に原点OCが配置された構成であってもよい。
【0165】
その他、図58(A)〜(E)を参照して、図57に示すようなその中心に原点OCが配置されるような原点マークOMは、矩形状以外の平面形状を有していてもよい。原点マークOMは、図58(A)においては矩形状の角部が丸くなった平面形状、図58(B)においては十字形状、図58(C),(D),(E)においてはいずれも矩形状の角部のうち1つまたは2つが斜め方向に切り落とされた平面形状を有している。図58(B)の原点マークOMの形状は、図57の原点マークOMの形状にほぼ等しくなっている。
【0166】
上記のように原点マーク領域の(原点マークOMを構成する)拡散防止膜の開口領域の寸法の最小値が、半導体回路領域の拡散防止膜の開口領域の寸法の最小値以下であることが好ましい。したがってたとえば図58(B)のように十字形状の原点マークOMを形成すれば、原点マークOMをある程度大きく形成することによりその内部に原点OCが確実に収まるようにし、かつ原点マークOMの視認性を高めることができることに加え、原点マークOMの寸法の最小値eを小さくすることができる。
【0167】
たとえば図58(A),(C),(D),(E)はその寸法の最小値eはその形状の外枠の寸法として現れるのに対し、図58(B)においては寸法の最小値eはその形状の外枠ではなく十字形状を構成するそれぞれの細長い領域の細い幅として形成される。このため、その外枠の寸法は図58(A)〜(E)まですべてほぼ同じであるのに対し、寸法の最小値eは図58(B)において他の形状よりも著しく小さくすることができる。このことから、特に図58(B)に示すように十字形状の原点マークOMを形成することにより、実施の形態4に示す原点マークOMの真上における凹部DPおよび余剰形成層EXTの形成を抑制する効果がいっそう高められる。
【0168】
以上の実施の形態は、イメージセンサのフォトダイオードPDの真上に拡散防止膜の開口領域が形成される場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、たとえばイメージセンサを含まない半導体装置において、半導体回路領域の拡散防止膜に開口領域が形成される場合においても適用可能である。また以上の各実施の形態の技術的特徴同士が、技術的な矛盾のない程度に適宜組み合わせて用いられてもよい。
【0169】
その他、実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
(1) 半導体装置の製造方法は、まず半導体基板の主表面上に銅を主成分とする第1の配線層が形成される。第1の配線層上に、平面視における一部の領域である半導体回路領域における開口領域としての第1の開口領域と、平面視において第1の開口領域とは別の開口領域としての第2の開口領域とが形成された第1の拡散防止膜が形成される。第1の拡散防止膜を覆うように絶縁膜が形成される。絶縁膜の上面を研磨し平坦にすることにより第1の層間絶縁膜が形成される。第1の層間絶縁膜上を覆うように第2の層間絶縁膜を形成することにより層間絶縁膜が形成される。第2の層間絶縁膜内に形成された溝および孔の内部を埋めるように、半導体回路領域において、銅を主成分とする第2の配線層と、第1の配線層と第2の配線層とを接続する接続部とが形成される。第1および第2の開口領域は、接続部が第1の拡散防止膜を貫通するために形成される開口領域とは異なる領域に形成される。第2の開口領域の平面視における寸法の最小値は、第1の開口領域の平面視における寸法の最小値以下となるように形成される。
【0170】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0171】
ADL1,ADL2,ADL3,ADL4 拡散防止膜、BRL1,BRL2 バリアメタル、C1,C2,C3,C4 コンタクト領域、CF カラーフィルタ、CH コンタクトホール、CV,CV1,CV2,CV3,CV4 開口領域、CT1,CT2,CT3 コンタクト、DP 凹部、DR ドレイン領域、EXT 余剰形成層、GE ゲート電極、GI ゲート絶縁膜、II1,II1a,II1b,II2,II2a,II2b,II3,II3a,II3b,II4,II4a,II4b,II5,II5a,II5b 層間絶縁膜、IMC チップ領域、LNS 受光レンズ、M1,M2,M3,M4 配線層、MC マーク配線層、MCF マーク配線層領域、ML1,ML2,ML3,ML4 金属膜、MP モニタパターン、OC 原点、OM 原点マーク、PD フォトダイオード、PHR フォトレジスト、PWL p型ウェル領域、S1 主表面、SCW 半導体ウェハ、SI 分離絶縁膜、SLR スクライブライン領域、SR ソース領域、SW 側壁絶縁膜、TH 溝。
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