特許第6362487号(P6362487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6362487ガラス用プライマー組成物、および接着部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362487
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ガラス用プライマー組成物、および接着部材
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/07 20060101AFI20180712BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20180712BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20180712BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20180712BHJP
   C03C 17/25 20060101ALI20180712BHJP
   C03C 17/30 20060101ALI20180712BHJP
   C03C 17/32 20060101ALN20180712BHJP
【FI】
   C09D183/07
   C09D4/02
   C09D5/00 D
   B32B17/10
   C03C17/25 A
   C03C17/30 A
   !C03C17/32 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-182627(P2014-182627)
(22)【出願日】2014年9月8日
(65)【公開番号】特開2016-56257(P2016-56257A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正太郎
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−174410(JP,A)
【文献】 特開2011−140187(JP,A)
【文献】 特開平08−262430(JP,A)
【文献】 特開昭64−006036(JP,A)
【文献】 特開2000−239644(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/013630(WO,A1)
【文献】 特開2002−080784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
B32B 1/00−43/00
C03C 17/00−17/44
C08G 77/00−77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスと(メタ)アクリル樹脂膜の間に塗布され、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートを加水分解縮合して得られる加水分解縮合体(A)と、水(B)と、親水性有機溶剤(C)とを配合して成るガラス用プライマー組成物であって、前記加水分解縮合体(A)100重量部に対し、前記水(B)0.5〜20重量部、前記親水性有機溶剤(C)1〜2000重量部、および硬化触媒(D)0.1〜10重量部を配合して成るガラス用プライマー組成物。
【請求項2】
ガラスと(メタ)アクリル樹脂膜の間に塗布され、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートとメチルトリアルコキシシランを加水分解縮合して得られる加水分解縮合体(A2)と、水(B)と、親水性有機溶剤(C)とを配合して成るガラス用プライマー組成物であって、前記3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの前記加水分解縮合体(A2)における割合が10モル%以上であり、前記加水分解縮合体(A2)100重量部に対し、前記水(B)0.5〜20重量部、前記親水性有機溶剤(C)1〜2000重量部、および硬化触媒(D)0.1〜10重量部を配合して成るガラス用プライマー組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガラス用プライマー組成物と、ガラスとからなる接着部材であって、
前記ガラス表面に塗布された前記ガラス用プライマー組成物は、加熱により硬化被膜が形成される接着部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプライマー組成物に関するものであり、特にガラスに(メタ)アクリル樹脂膜を積層、密着させ、ガラス表面を安定化する際に、ガラスと(メタ)アクリル樹脂膜の間に塗布されるプライマー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスは表面の安定化を目的として、シランカップリング剤やポリシラザンを用いたコーティング法や蒸着法によりシリカ膜を形成する表面改質法が汎用されている(例えば、特許文献1,2を参照)。しかし、コーティング法では欠陥のないシリカ膜を得るため、膜厚をおよそ3μm以上にする必要があり、塗布と硬化を数回は繰り返す必要があり、煩雑であるだけでなく欠陥の有無を確認する必要があった。また、蒸着法では蒸着装置など大きな設備を必要とし、容易に導入することが難しい。そこで、簡単でしかも大きな設備を必要としない表面安定化法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−532318号公報
【特許文献2】特開2011−228511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決し、十分な耐水性を発揮し得るガラス用プライマー組成物、および接着部材を提供することにあり、より具体的には強固に接着したガラスと(メタ)アクリル樹脂との複合材料を製造するために有用なガラス用プライマー組成物、および接着部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明のガラス用プライマー組成物は、ガラスと(メタ)アクリル樹脂膜の間に塗布され、メチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートから成る加水分解縮合体(A)と、水(B)と、親水性有機溶剤(C)とを配合して成ることを特徴とする。
【0006】
また、本発明のガラス用プライマー組成物は、さらに、加水分解縮合体(A)を構成する3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの割合が10モル%以上であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のガラス用プライマー組成物は、さらに、加水分解縮合体(A)100重量部に対し、水(B)0.5〜20重量部、親水性有機溶剤(C)1〜2000重量部、および硬化触媒(D)0.1〜10重量部を配合して成ることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のガラス用プライマー組成物は、さらに、ガラス表面に対する接触角が40度以下であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の接着部材は、ガラス用プライマー組成物とガラスとからなり、ガラス表面に塗布されたガラス用プライマー組成物は、加熱により硬化被膜が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプライマー組成物でガラスを処理することにより、環境試験(耐水性、耐塩水性、耐水性塗料性)で良好な性能を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ガラスは安価で透明性であることから光学材として精密光学機器や電子機器産業などで広く利用が進んでいるが、水や水性塗料に浸漬するとガラスに含有される金属類が溶出し重量が変化するなど、環境によっては不安定であることが知られている。本発明は、この耐水性を確保するために、ガラス表面に(メタ)アクリル樹脂をコーティングし、長期にわたり耐水性を維持できるガラス・(メタ)アクリル樹脂積層材料の製造に用いられるプライマー組成物に関するものである。
【0012】
メチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートからなる加水分解縮合体(A)はガラスと(メタ)アクリル樹脂膜の間に層を形成し、ガラスと(メタ)アクリル樹脂膜とからなる複合材料の耐水性を大きく向上するのに寄与する。
【0013】
該加水分解縮合体(A)を構成する3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの割合が10モル%以上である時、より耐温水性、耐塩水性、接着性が向上するため好ましい。
水(B)は通常の飲料水、工業用水でよいが、25℃における電導度が500μs/cm以下のイオン交換水であるとき、接着強度が向上する傾向にあり好ましい。
【0014】
水(B)はメチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートからなる加水分解縮合体(A)100重量部に対して0.5〜20重量部配合される。0.5重量部未満の場合には、ガラスに対する濡れ性が不足し、均一に塗布することができない場合がある。20重量部を超えて使用する場合にはガラスとプライマー組成物との間に水がいつまでも残存し、耐水性がむしろ悪化する傾向にある。水(B)は好ましくは1〜10重量部使用する。このとき、接着性、耐水性が一段と優れるものとなる。
【0015】
親水性有機溶剤(C)としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等、水と任意の割合で混合できるものを指す。該化合物はプライマー組成物の表面張力を下げ、ガラスに対する濡れ性を向上し、ガラス表面にプライマー組成物層が均一に形成されるのを推進する。
【0016】
親水性有機溶剤(C)はメチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートとからなる加水分解縮合体(A)100重量部に対して1〜2000重量部使用する。1重量部未満ではプライマー組成物の表面張力を十分に下げることができず、ガラスへの濡れ性が悪くなり接着力が低下する傾向にある。2000重量部を超えて使用する場合にはプライマー組成物塗布時に排出溶剤量が多くなり、作業環境上好ましくない。また、プライマー組成物を乾燥、硬化した後にも溶剤が残りやすく接着強度が低下する場合がある。
【0017】
また、さらに、本発明においてはプライマー組成物の硬化を促進するためにアルミニウム系触媒やスズ系触媒を用いることができる。該アルミニウム系触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムイソプロピレートビス(オレイルアセトアセテート)等が挙げられる。該スズ触媒としては、例えば、ジブチルスズジアセテート、ビス(アセトキシジブチルスズ)オキサイド、ビス(ラウロキシジブチルスズ)オキサイド、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズビスマレイン酸モノブチルエステル、ジオクチルビスマレイン酸モノブチルエステル等が挙げられる。
【0018】
上記触媒の使用量としては、上記加水分解縮合体(A)の質量に対して、1000ppm〜10%であることが好ましい。即ち、加水分解縮合体(A)100重量部に対して硬化触媒(D)0.1〜10重量部である。より好ましい上限値は5%である。
【0019】
本発明のプライマー組成物はガラス表面に対する接触角が40度以下であることが必要である。接触角が40度を超える場合には、プライマー組成物をガラスに塗布した際、ハジキが生じ均一な被膜を形成することができない場合がある。ガラスに対する接触角は30度以下であることがより好ましく、20度以下であることが更に好ましい。このとき接着強度、耐水性がより向上する。
プライマー組成物のガラスに対する接触角は接触角計(協和界面化学(株)製接触角計”FACECA−D型”)により、常法に従って測定する。
【0020】
基材(例えばソーダガラスやホウケイ酸ガラス)の保護(温水浸漬などでのアルカリ金属の溶出を防止する)のために、プライマー組成物は(メタ)アクリル樹脂膜を塗布する前工程で使用されるのが好ましい。すなわち、基材表面にプライマー組成物を塗布した後、(メタ)アクリル樹脂膜を塗布することが望ましい。
【0021】
プライマー組成物はメチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートからなる加水分解縮合体(A)、水(B)、親水性有機溶剤(C)を均一に混合できればどのような手段でも製造できる。すなわち、撹拌装置の付いた容器に上記加水分解縮合体(A)、水(B)、親水性有機溶剤(C)を仕込み、均一になるまで撹拌、混合すればよい。プライマー組成物をガラス表面に塗布し、加熱することによってガラス表面に硬化被膜を形成する。基材(ガラス)と、基材の表面に塗布されるプライマー組成物とにより接着部材が構成される。
【0022】
また、(メタ)アクリル樹脂の接着強度を向上させる意味でプライマー組成物を(メタ)アクリル樹脂に混合使用することも可能である。このとき、プライマー組成物と(メタ)アクリル樹脂との間に良好ななじみ性が生じ、接着強度、基材の保護機能が向上する。
【0023】
実施例
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における重量部および%は質量基準である。
【0024】
製造例1 3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの加水分解縮合体の製造
3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート49.67重量部を2−プロパノール60重量部に溶解した。ここに、0.1mol/L塩酸10.80重量部を添加して、40℃で1時間攪拌し、さらに75℃で1時間攪拌を行った後、濃縮して3−(トリメトキシシリル)プロピルトリメトキシシランの加水分解縮合体を得た。
【0025】
製造例2 メチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(モル比1:1)からなる加水分解縮合体の製造
メチルトリメトキシシラン13.62重量部と3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート24.84重量部を2−プロパノール60重量部に溶解した。ここに、0.1mol/L塩酸10.80重量部を添加して、40℃で45分間攪拌し、さらに70℃で45分間攪拌を行った後、濃縮してメチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(モル比1:1)からなる加水分解縮合体を得た。即ち、加水分解縮合体を構成する3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの割合が50モル%である。
【0026】
製造例3 メチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(モル比9:1)からなる加水分解縮合体の製造
メチルトリメトキシシラン24.52重量部と3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート4.91重量部を2−プロパノール60重量部に溶解した。ここに、0.1mol/L塩酸10.80重量部を添加して、40℃で45分間攪拌し、さらに70℃で45分間攪拌を行った後、濃縮してメチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(モル比9:1)からなる加水分解縮合体を得た。即ち、加水分解縮合体を構成する3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの割合が10モル%である。
【0027】
製造例4 メチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(モル比19:1)からなる加水分解縮合体の製造
メチルトリメトキシシラン25.88重量部と3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート2.48重量部を2−プロパノール60重量部に溶解した。ここに、0.1mol/L塩酸10.80重量部を添加して、40℃で45分間攪拌し、さらに70℃で45分間攪拌を行った後、濃縮してメチルトリメトキシシランと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(モル比19:1)からなる加水分解縮合体を得た。即ち、加水分解縮合体を構成する3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの割合が5モル%である。
【0028】
製造例5 メチルトリメトキシシランの加水分解縮合体の製造
メチルトリメトキシシラン27.24重量部を2−プロパノール60重量部に溶解した。ここに、0.1mol/L塩酸10.80重量部を添加して、40℃で45分間攪拌し、さらに70℃で45分間攪拌を行った後、濃縮してメチルトリメトキシシランの加水分解縮合体を得た。
【0029】
実施例1〜3、比較例1〜2
製造例1の加水分解縮合体100重量部を2−プロパノール900重量部に溶解後、さらに水10重量部とスズ系硬化触媒としてジブチルスズジアセテート5重量部を添加して、プライマーAを調製した。このプライマーのガラスに対する接触角は20度であった。
以下同様に、製造例2〜5の加水分解縮合体を用いて表1に示した化合物組成のプライマーB〜Eを調製した。
【0030】
【表1】
【0031】
以上のプライマーを使用し、試験を行った。試験項目、試験方法、結果の評価方法を次に示す。また、試験結果を表2に示す。
【0032】
ガラス接合部材:ピラニア溶液で洗浄した厚さ1.8mmのホウケイ酸ガラス板材(松浪硝子(株)社製、S1111スライドガラス)の片面に実施例1〜3で得られたプライマーA〜Cおよび比較例1〜2で得られた比較用のプライマーD〜Eを皮膜厚が0.2μmになるよう塗布、40℃で4時間、80℃で2時間、120℃で1時間、加熱硬化を行い作製した。
【0033】
(メタ)アクリル樹脂膜:多官能性アクリル樹脂モノマーとしてテトラエチレングリコールジメタクリレート100重量部、溶媒として2−プロパノール147重量部、紫外光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3重量部を混合し、メタクリル樹脂コーティング組成物を調製した。このコーティング組成物を膜厚10〜20μmになるように上記ガラス接合部材に塗布し、80℃で1分間乾燥後、紫外光(メタルハライドランプ出力80W/cm、積算光量1600mJ/cm2)を照射し硬化させた。これを試験片とした。
【0034】
耐水性:試験片を電導度が1.0μs/cmのイオン交換水(60℃)に240時間浸漬し、(メタ)アクリル樹脂膜の剥離が生じない場合を良好とし、剥離が発生する場合を不良とする。
耐塩水性:試験片を5%塩水(60℃)に240時間浸漬し、(メタ)アクリル樹脂膜の剥離が生じない場合を良好とし、剥離が発生する場合を不良とする。
【0035】
耐水性塗料性:試験片を水性塗料(例えば、水70%程度、有機溶剤20%程度、残りは顔料等)(60℃)に240時間浸漬し、(メタ)アクリル樹脂膜の剥離が生じない場合を良好とし、剥離が発生する場合を不良とする。
【0036】
【表2】
【0037】
本発明の実施例のプライマーA〜C、すなわち、加水分解縮合体の3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート含有率(加水分解縮合体を構成する3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの割合)が10モル%以上のプライマーを用いたガラスと(メタ)アクリル樹脂膜の接合材料では、耐水性、耐塩水性、耐水性塗料性が良好であった。
【0038】
これに対して、比較例のプライマーを用いた接合材料では、それぞれ問題点を有していた。すなわち、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの含有率が5モル%以下の比較例1、2では、得られた接合材料の(メタ)アクリル樹脂膜との接合強度が低く、剥離が発生し、耐水性、耐塩水性、耐水性塗料性に著しい低下がみられた。
【0039】
本発明のプライマー組成物でガラスを処理することにより、環境試験(耐水性、耐塩水性、耐水性塗料性)で良好な性能を発揮する。すなわち、本発明のプライマー組成物を使用することにより、従来の精密光学機器や電子機器産業などの分野だけでなく、水を主成分とする水性塗料に関わるディスプレイ材料や塗装及び印刷装置材料分野等で好適に用いることができる実用性に優れたガラス接合部材が得られる。