特許第6362489号(P6362489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362489
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】バックアップ材挿入用治具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/62 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   E06B3/62 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-184258(P2014-184258)
(22)【出願日】2014年9月10日
(65)【公開番号】特開2016-56602(P2016-56602A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】村井 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】村井 健太郎
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−52086(JP,U)
【文献】 実開平3−48050(JP,U)
【文献】 特開平10−140819(JP,A)
【文献】 米国特許第5211506(US,A)
【文献】 米国特許第4341007(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/62
E06B 7/22
E04F 21/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状部材に形成された凹部に面材が挿入された状態において、前記面材の端面に対向する底部分とともに前記凹部を形成し、かつ前記面材の表面若しくは裏面に対向する見付け面構成部分と、前記面材との間にバックアップ材を挿入するために用いられる治具であって、
略直方状の形態を成す基部と、
前記基部の少なくとも1つの側面に一体的に形成され、かつ少なくとも一部が前記面材と前記見付け面構成部分との間に進入可能な略直方状の進入部と
を備え、
前記進入部は、上面、下面、前面及び後面の各作用面が、前記見付け面構成部分における前記底部分から最も離隔した端縁部からの前記バックアップ材の挿入深さに相当する所定距離だけ前記基部の対応する面よりも外方に離隔しており、前記作用面のうち第1の作用面の一端部における第2の作用面と連続する第1縁端部、並びに前記第1の作用面の他端部における第3の作用面と連続する第2縁端部は、各作用面が互いに直交して連続するよう直角状を成して形成されていることを特徴とするバックアップ材挿入用治具。
【請求項2】
前記進入部は、前記第1の作用面に対向する第4の作用面の一端部における前記第2の作用面と連続する第3縁端部、並びに前記第4の作用面の他端部における前記第3の作用面と連続する第4縁端部は、湾曲状を成して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバックアップ材挿入用治具。
【請求項3】
前記基部は、上面、下面、前面及び後面の各面のうち前記第4の作用面に対応する第1の対応面の一端部における前記第2の作用面に対応する第2の対応面と連続する第1対応縁端部、並びに前記第1の対応面の他端部における前記第3の作用面に対応する第3の対応面と連続する第2対応縁端部が湾曲状を成して形成されており、
前記第3縁端部と前記第1対応縁端部との離間距離、並びに前記第4縁端部と前記第2対応縁端部との離間距離が、前記第4の作用面と前記第1の対応面との離間距離と等しいことを特徴とする請求項2に記載のバックアップ材挿入用治具。
【請求項4】
前記進入部は、前記基部の対向する2つの側面にそれぞれ一体的に形成されており、互いの左右幅が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のバックアップ材挿入用治具。
【請求項5】
前記進入部は、前記第4の作用面を含む部分の一部を切り欠いて形成された窪部を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のバックアップ材挿入用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ材挿入用治具に関し、より詳細には、枠状部材に形成された凹部に面材が挿入された状態において、該面材の端面に対向する底部分とともに凹部を形成し、かつ面材の表面若しくは裏面に対向する見付け面構成部分と、面材との間にバックアップ材を挿入するために用いられる治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建具における障子等では、上框、下框及び左右一対の縦框を四周框組みして構成された框体に、該框体に形成された矩形開口を閉塞するよう例えば複層ガラス等の面材が保持されている。このような面材の保持は、各框と面材との間にシーリング材を充填させて行われるのが一般的であるが、かかるシーリング材の充填に先立って、各框と面材との間には、各框と面材との間を埋めてシーリング材の受けとなるバックアップ材が挿入されている。このバックアップ材は、框と面材とシーリング材との3面接着を回避しつつ、シーリング材の充填幅や充填深さの調整等を目的として挿入されるもので、クッション性、耐水性、耐薬品性に優れた発泡ポリエチレン等の軟質独立発泡体が主に用いられている。
【0003】
このようなバックアップ材を各框と面材との間に挿入させる治具として、周端面に段部が形成され、かつ自身の中心軸回りに回転可能となるよう把手に支持されたローラーを備えたものが提案されている。
【0004】
このような治具は、面材と各框との間にバックアップ材を押し込んだ後に、ローラーの周端部の一部が面材と框との間に進入されて該ローラーが回転することでバックアップ材を各框と面材との間に挿入させてシーリング材の充填幅等を確保するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−52086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述したような治具では、ローラーを回転させてバックアップ材を挿入させるものであるため、次のような問題があった。すなわち、框体は各框を四周框組みして構成されるものであるため、入隅部分では框同士が直交しているのが一般的である。そして、ローラーは円板形状を成しているので、かかる入隅部分においては、ローラーの周端部が框の見込み面に当接して隙間を生じさせてしまい、バックアップ材の挿入を良好に行うことができなかった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、バックアップ材の挿入を良好に行うことができるバックアップ材挿入用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るバックアップ材挿入用治具は、枠状部材に形成された凹部に面材が挿入された状態において、前記面材の端面に対向する底部分とともに前記凹部を形成し、かつ前記面材の表面若しくは裏面に対向する見付け面構成部分と、前記面材との間にバックアップ材を挿入するために用いられる治具であって、略直方状の形態を成す基部と、前記基部の少なくとも1つの側面に一体的に形成され、かつ少なくとも一部が前記面材と前記見付け面構成部分との間に進入可能な略直方状の進入部とを備え、前記進入部は、上面、下面、前面及び後面の各作用面が、前記見付け面構成部分における前記底部分から最も離隔した端縁部からの前記バックアップ材の挿入深さに相当する所定距離だけ前記基部の対応する面よりも外方に離隔しており、前記作用面のうち第1の作用面の一端部における第2の作用面と連続する第1縁端部、並びに前記第1の作用面の他端部における第3の作用面と連続する第2縁端部は、各作用面が互いに直交して連続するよう直角状を成して形成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、進入部の上面、下面、前面及び後面の各作用面が、枠状部材の見付け面構成部分における底部分から最も離隔した端縁部からのバックアップ材の挿入深さに相当する所定距離だけ基部の対応する面よりも外方に離隔しているので、見付け面構成部分の上記端縁部に基部を載置させた状態で面材と見付け面構成部分との間に進入部の一部を進入させてバックアップ材挿入用治具をスライド移動させることにより、バックアップ材を所望の挿入深さの位置に挿入させることができる。しかも、進入部の第1縁端部及び第2縁端部が直角状を成して形成されているので、これら第1縁端部及び第2縁端部のいずれか一方を入隅部分に進入させることで、かかる入隅部分におけるバックアップ材も所望の挿入深さの位置に挿入させることができる。更に、基部と進入部とは一体的に形成されているので、部品点数を最小とすることができ、治具を安価なものとすることができる。
【0010】
また本発明は、上記バックアップ材挿入用治具において、前記進入部は、前記第1の作用面に対向する第4の作用面の一端部における前記第2の作用面と連続する第3縁端部、並びに前記第4の作用面の他端部における前記第3の作用面と連続する第4縁端部は、湾曲状を成して形成されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、進入部の第3縁端部及び第4縁端部が湾曲状を成して形成されているので、第4の作用面をバックアップ材に接するようスライド移動させる場合に、第3縁端部及び第4縁端部がバックアップ材を傷つけてしまう虞れがない。
【0012】
また本発明は、上記バックアップ材挿入用治具において、前記基部は、上面、下面、前面及び後面の各面のうち前記第4の作用面に対応する第1の対応面の一端部における前記第2の作用面に対応する第2の対応面と連続する第1対応縁端部、並びに前記第1の対応面の他端部における前記第3の作用面に対応する第3の対応面と連続する第2対応縁端部が湾曲状を成して形成されており、前記第3縁端部と前記第1対応縁端部との離間距離、並びに前記第4縁端部と前記第2対応縁端部との離間距離が、前記第4の作用面と前記第1の対応面との離間距離と等しいことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、基部の第1対応縁端部及び第2対応縁端部が湾曲状を成しており、かつ第3縁端部と第1対応縁端部との離間距離、並びに第4縁端部と第2対応縁端部との離間距離が、第4の作用面と第1の対応面との離間距離と等しいので、基部の第1対応縁端部若しくは第2対応縁端部を枠状部材の見付け面構成部分の端縁部に接した状態で回動させることによってバックアップ材を所望の挿入深さの位置に挿入させることができる。
【0014】
また本発明は、上記バックアップ材挿入用治具において、前記進入部は、前記基部の対向する2つの側面にそれぞれ一体的に形成されており、互いの左右幅が異なることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、互いに左右幅が異なる進入部を有しているので、枠状部材の見付け面構成部分と面材との離間距離に応じて最適な進入部を択一的に選択して用いることができる。
【0016】
また本発明は、上記バックアップ材挿入用治具において、前記進入部は、前記第4の作用面を含む部分の一部を切り欠いて形成された窪部を備えたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、窪部が第4の作用面を含む部分の一部を切り欠いて形成されているので、第4の作用面をバックアップ材に接するようにして用いる場合に、該窪部に手指を引っかける等してバックアップ材挿入用治具を容易にスライド移動等させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、枠状部材の見付け面構成部分における底部分から最も離隔した端縁部に基部を載置させた状態で面材と見付け面構成部分との間に進入部の一部を進入させてバックアップ材挿入用治具をスライド移動させることによりバックアップ材を所望の挿入深さの位置に挿入させることができ、しかも、第1縁端部及び第2縁端部のいずれか一方を入隅部分に進入させることでかかる入隅部分におけるバックアップ材も所望の挿入深さの位置に挿入させることができるので、バックアップ材の挿入を良好に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態であるバックアップ材挿入用治具の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態であるバックアップ材挿入用治具の右側面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態であるバックアップ材挿入用治具の正面図である。
図4図4は、図1図3にバックアップ材挿入用治具の適用例を示す説明図である。
図5図5は、図1図3にバックアップ材挿入用治具の適用例を示す説明図である。
図6図6は、図1図3にバックアップ材挿入用治具の適用例を示す説明図である。
図7図7は、図1図3にバックアップ材挿入用治具の適用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るバックアップ材挿入用治具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1図3は、それぞれ本発明の実施の形態であるバックアップ材挿入用治具を示すものであり、図1は斜視図であり、図2は右側面図であり、図3は正面図である。ここで例示するバックアップ材挿入用治具は、例えば樹脂材や木材等の非金属材料から構成されるもので、基部10と、右側進入部20と、左側進入部30とを備えて構成されている。
【0022】
基部10は、略直方状の形態を成すものであり、前後方向が長手方向となる部位である。この基部10の上面11における前面13と連続する上前方縁端部15a、並びに上面11における後面14と連続する上後方縁端部15bは、各面が互いに直交して連続するよう直角状を成して形成されている。また、この基部10において、下面(第1の対応面)12における前面(第2の対応面)13と連続する下前方縁端部(第1対応縁端部)15c、並びに下面12における後面(第3の対応面)14と連続する下後方縁端部(第2対応縁端部)15dは、湾曲状を成して形成されている。
【0023】
右側進入部20は、基部10の右側面を覆う態様で該基部10に一体的に設けられている。この右側進入部20は、略直方状の形態を成しており、前後寸法及び上下寸法は、基部10よりも大きいものである。より詳細に説明すると、右側進入部20の上面(第1の作用面)21は、基部10の上面11よりも距離L1だけ上方に離隔しており、右側進入部20の下面(第4の作用面)22は、基部10の下面12よりも距離L1だけ下方に離隔している。また、右側進入部20の前面(第2の作用面)23は、基部10の前面13よりも距離L1だけ前方に離隔しており、右側進入部20の後面(第3の作用面)24は、基部10の後面14よりも距離L1だけ後方に離隔している。このように、右側進入部20は、上面21、下面22、前面23及び後面24が基部10の対応する面11〜14よりも所定距離L1だけ外方に離隔している。
【0024】
ここで距離L1は、詳細は後述するが、適用対象となる障子において、該障子を構成する框52(図4参照)の見付け面構成部分522(図4参照)の端縁部523a,523b(図4参照)からのバックアップ材60(図4参照)の挿入深さに相当する大きさである。また、右側進入部20の左右幅は、適用対象となる障子における框52の見付け面構成部分522と、該障子を構成する面材51(図4参照)との間に進入可能な大きさであり、例えば5mm程度である。
【0025】
そして、この右側進入部20の上面21における前面23と連続する右側上前方縁端部(第1縁端部)25a、並びに上面21における後面24と連続する右側上後方縁端部(第2縁端部)25bは、各面が互いに直交して連続するよう直角状を成して形成されている。また、この右側進入部20において、下面22における前面23と連続する右側下前方縁端部(第3縁端部)25c、並びに下面22における後面24と連続する右側下後方縁端部(第4縁端部)25dは、湾曲状を成して形成されている。
【0026】
この右側下前方縁端部25cは、基部10の下前方縁端部15cと同心円の円弧状をなす関係にあり、互いの離間距離がL1である。また、右側下後方縁端部25dは、基部10の下後方縁端部15dと同心円の円弧状をなす関係にあり、互いの離間距離がL1である。
【0027】
また、上記右側進入部20においては、基部10よりも上方に突出する部分の中央領域の一部を切り欠いて右側窪部26が形成されている。この右側窪部26は、底部が基部10の上面11と同一平面上を構成しており、前部が前方に向かうに連れて漸次上方に延在する湾曲面を構成しており、更に後部が後方に向かうに連れて漸次上方に延在する湾曲面を構成している。
【0028】
左側進入部30は、基部10の左側面を覆う態様で該基部10に一体的に設けられている。この左側進入部30は、略直方状の形態を成しており、前後寸法及び上下寸法は、基部10よりも大きく、右側進入部20と同じ大きさのものである。より詳細に説明すると、左側進入部30の上面(第1の作用面)31は、基部10の上面11よりも距離L1だけ上方に離隔しており、左側進入部30の下面(第4の作用面)32は、基部10の下面12よりも距離L1だけ下方に離隔している。また、左側進入部30の前面(第2の作用面)33は、基部10の前面13よりも距離L1だけ前方に離隔しており、左側進入部30の後面(第3の作用面)34は、基部10の後面14よりも距離L1だけ後方に離隔している。このように左側進入部30は、上面31、下面32、前面33及び後面34が基部10の対応する面11〜14よりも所定距離L1だけ外方に離隔している。
【0029】
上記左側進入部30の左右幅は、適用対象となる障子における框52の見付け面構成部分522と、該障子を構成する面材51との間に進入可能な大きさであり、右側進入部20の左右幅よりも大きいもので、例えば7〜10mm程度である。
【0030】
そして、この左側進入部30の上面31における前面33と連続する左側上前方縁端部(第1縁端部)35a、並びに上面31における後面34と連続する左側上後方縁端部(第2縁端部)35bは、各面が互いに直交して連続するよう直角状を成して形成されている。また、この左側進入部30において、下面32における前面33と連続する左側下前方縁端部(第3縁端部)35c、並びに下面32における後面34と連続する左側下後方縁端部(第4縁端部)35dは、湾曲状を成して形成されている。
【0031】
この左側下前方縁端部35cは、基部10の下前方縁端部15cと同心円の円弧状をなす関係にあり、互いの離間距離がL1である。また、左側下後方縁端部35dは、基部10の下後方縁端部15dと同心円の円弧状をなす関係にあり、互いの離間距離がL1である。
【0032】
また、上記左側進入部30においては、基部10よりも上方に突出する部分の中央領域の一部を切り欠いて左側窪部36が形成されている。この左側窪部36は、底部が基部10の上面11と同一平面上を構成しており、前部が前方に向かうに連れて漸次上方に延在する湾曲面を構成しており、更に後部が後方に向かうに連れて漸次上方に延在する湾曲面を構成している。
【0033】
次に、上述したような構成を有するバックアップ材挿入用治具の適用例について説明する。ここでは、建具における障子の製造過程を適用例として説明する。
【0034】
障子は、上框、下框及び左右一対の縦框を四周框組みして構成された框体に複層ガラス等の面材が保持されて構成される周知のものである。そして、そのような障子の製造過程において、図4に示すように、框体50により形成される矩形開口50aを閉塞するよう框体50に面材51が配置されると、框体50を構成する下框(枠状部材)52の凹部52aに、面材51が挿入される。
【0035】
下框52の凹部52aは、底部分521と見付け面構成部分522とにより形成されている。底部分521は、面材51の端面51aに対向する部分である。この底部分521の上面にセッティングブロック53を介して面材51が設置される。
【0036】
見付け面構成部分522は、2つ設けられており、第1見付け面構成部分522aと第2見付け面構成部分522bとを有している。第1見付け面構成部分522aは、底部分521における下框52の見込み方向の一端部に連続しており、面材51の表面51bに対向する部分である。この第1見付け面構成部分522aは、面材51の表面51b側における下框52の見付け面を構成している。第2見付け面構成部分522bは、底部分521における下框52の見込み方向の他端部に連続しており、面材51の裏面51cに対向する部分である。この第2見付け面構成部分522bは、面材51の裏面51c側における下框52の見付け面を構成している。
【0037】
このような見付け面構成部分522において、第1見付け面構成部分522aにおける底部分521から最も離隔した端縁部523aと、第2見付け面構成部分522bにおける底部分521から最も離隔した端縁部523bとは、面材51が介在した状態で互いに対向している。また、第1見付け面構成部分522aと面材51との間、並びに第2見付け面構成部分522bと面材51との間には隙間Sが形成されている。
【0038】
尚、図4では、下框52に面材51が設置される場合のみを示しているが、框体50の他の構成要素(上框、縦框)に面材51が設置される場合にも、各構成要素の凹部にセッティングブロックを介して面材51が挿入される。
【0039】
このようにして面材51が設置された下框52においては、見付け面構成部分522(第1見付け面構成部分522a及び第2見付け面構成部分522b)と面材51との間の隙間Sにシーリング材の充填に先立ってバックアップ材60を挿入させることとなる。
【0040】
このバックアップ材60の挿入については、面材51と下框52の見付け面構成部分522との隙間Sにバックアップ材60を進入させた後に、バックアップ材挿入用治具の左側進入部30の下部を該隙間Sに進入させた状態で基部10を第2見付け面構成部分522b(見付け面構成部分522)の端縁部523bに載置させる。
【0041】
そして、図5に示すように、バックアップ材挿入用治具を下框52の長手方向に沿ってスライド移動させることで、基部10の下面12と左側進入部30の下面32とは距離L1だけ離隔していることからバックアップ材60を第2見付け面構成部分522b(見付け面構成部分522)の端縁部523bよりも距離L1の分だけ挿入させることができ、下框52の第2見付け面構成部分522bの端縁部523bからの挿入深さを所望の大きさに確保することができる。これにより、シーリング材の充填深さ及び充填幅を十分に確保することができる。このとき、バックアップ材挿入用治具の左側下前方縁端部35c及び左側下後方縁端部35dは、湾曲状を成していることから、これら縁端部35c,35dでバックアップ材60を傷つけてしまう虞れがなく、バックアップ材挿入用治具を良好にスライド移動させることができる。しかも、左側進入部30には左側窪部36が形成されているので、かかる左側窪部36に手指を引っかけて容易にバックアップ材挿入用治具をスライド移動させることができる。
【0042】
また、上記バックアップ材挿入用治具においては、下前方縁端部15cと左側下前方縁端部35cとが同心円の円弧状をなす関係にあって互いの離間距離がL1であるので、図6に示すように、バックアップ材挿入用治具を基部10の下前方縁端部15cを第2見付け面構成部分522bの端縁部523bに接した状態で回動させながらバックアップ材60を隙間Sに挿入させても良い。この場合でも、バックアップ材60を第2見付け面構成部分522bの端縁部523bよりも距離L1の分だけ挿入させることができ、下框52の第2見付け面構成部分522の端縁部523bからの挿入深さを所望の大きさに確保することができる。
【0043】
更に、上記バックアップ材挿入用治具においては、左側上前方縁端部35a及び左側上後方縁端部35bが直角状を成していることから、図7に示すように、基部10の上面11を下框52の第2見付け面構成部分522bの端縁部523bに載置させて基部10の前面13を縦框54に当接させることで、左側上前方縁端部35aが下框52に進入させたバックアップ材60と、縦框54に進入させたバックアップ材61とが連結する入隅部分に進入してかかる部分を所定の距離L1の深さに挿入させることができる。
【0044】
尚、この適用例については、左側進入部30を隙間Sに進入させた場合について説明したが、右側進入部20を隙間Sに進入させた場合も同様の方法でバックアップ材60等を挿入させることができる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態であるバックアップ材挿入用治具によれば、基部10を下框52の見付け面構成部分522の端縁部523a,523bに載置させた状態でスライド移動、あるいは回動させることで見付け面構成部分522と面材51との隙間Sに進入させたバックアップ材60を所望の挿入深さの位置に挿入させることができる。しかも、直角状を成す縁端部35a,35bを用いて入隅部分も所望の挿入深さの位置に挿入させることができる。よって、バックアップ材60の挿入を良好に行うことができる。
【0046】
上記バックアップ材挿入用治具によれば、基部10、右側進入部20及び左側進入部30が一体的に形成されているので、部品点数を最小にすることができ、安価なものとすることができる。
【0047】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更行うことができる。
【0048】
上述した実施の形態では、バックアップ材挿入用治具が右側進入部20と左側進入部30とを有していたが、本発明においては、進入部は2つある必要はなく、1つであっても良い。
【0049】
上述した実施の形態では、バックアップ材挿入用治具における基部10、右側進入部20及び左側進入部30の各面11等は、平滑な面であったが、本発明においては、バックアップ材挿入用治具を構成する基部及び進入部の各面は、平滑である必要がなく、適宜溝等が設けられて微小な凹凸が形成されていても構わない。
【0050】
上述した実施の形態では、右側進入部20及び左側進入部30の右側下前方縁端部25c及び左側下前方縁端部35c、並びに右側下後方縁端部25d及び左側下後方縁端部35dは、それぞれ湾曲状を成して形成されていたが、本発明においては、これら縁端部には、傾斜面を有するものであっても良い。
【0051】
上述した実施の形態では、バックアップ材挿入用治具の適用例として障子を例示したが、本発明においては、障子に限られず、いわゆる嵌め殺し窓と称される建具であっても良い。この嵌め殺し窓を適用例とする場合、窓枠が枠状体となる。
【符号の説明】
【0052】
10 基部、11 上面、12 下面、13 前面、14 後面、15a 上前方縁端部、15b 上後方縁端部、15c 下前方縁端部、15d 下後方縁端部、20 右側進入部、21 上面(第1の作用面)、22 下面(第4の作用面)、23 前面(第2の作用面)、24 後面(第3の作用面)、25a 右側上前方縁端部(第1縁端部)、25b 右側上後方縁端部(第2縁端部)、25c 右側下前方縁端部(第3縁端部)、25d 右側下後方縁端部(第4縁端部)、26 右側窪部、30 左側進入部、31 上面(第1の作用面)、32 下面(第4の作用面)、33 前面(第2の作用面)、34 後面(第3の作用面)、35a 左側上前方縁端部(第1縁端部)、35b 左側上後方縁端部(第2縁端部)、35c 左側下前方縁端部(第3縁端部)、35d 左側下後方縁端部(第4縁端部)、36 左側窪部、50 框体、50a 矩形開口、51 面材、52 下框(枠状部材)、52a 凹部、521 底部分、522 見付け面構成部分、523a,523b 端縁部、53 セッティングブロック、60 バックアップ材、S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7