特許第6362493号(P6362493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362493
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】感知センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 5/02 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   G01N5/02 A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-191438(P2014-191438)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-61724(P2016-61724A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】特許業務法人弥生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】茎田 啓行
【審査官】 北川 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−145566(JP,A)
【文献】 特開2011−027716(JP,A)
【文献】 特開平09−145583(JP,A)
【文献】 特開2004−069686(JP,A)
【文献】 特開平03−188350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側に凹部が形成された配線基板と、
圧電片に、前記配線基板の導電路に電気的に接続された励振電極を設けて構成されると共に、一面側に試料液中の感知対象物を吸着する吸着膜が形成され、振動領域が前記凹部と対向するように前記凹部を塞いだ状態で前記配線基板に固定された圧電振動子と、
前記圧電振動子を含む配線基板の一面側の領域を覆うように設けられ、圧電振動子との間に試料液の注入口に連通する流路が形成される流路形成部材と
前記流路形成部材における配線基板とは反対側の面を押圧して、前記流路形成部材を配線基板に押圧する押圧部材と、
前記押圧部材が流路形成部材を押圧したときに、前記流路が押しつぶされることを避けるために、前記流路形成部材における流路とは反対側の部位と押圧部材との間に隙間が形成されるように構成されていることを特徴とする感知センサ。
【請求項2】
前記押圧部材が流路形成部材を押圧したときに、前記流路が押しつぶされることを避けるために、流路形成部材における流路とは反対側の面に押圧部材の押圧により形状が変化して押圧を緩衝する潰れ代を備えることを特徴とする請求項1記載の感知センサ。
【請求項3】
流路形成部材における配線基板側の面に設けられ、前記押圧部材が流路形成部材を押圧したときに、流路形成部材における前記圧電振動子を含む配線基板の一面側と接する面から突出するように設けられた潰れ代を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の感知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子の発振周波数に基づいて、試料液に含まれる感知対象物を感知するための感知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床分野において、例えば血糖値の自己モニタリングに代表されるPOCT(Point of core TEST)と呼ばれる簡便な方法が普及している。この方法の例として特許文献1にはQCM(Quartz Crystal Microbalance)を利用した感知センサが記載されており、配線基板上に水晶振動子を載置し、上側ケース及び下側ケースを互いに係合して上側ケースと水晶振動子との間に試料液の収容空間を形成する構造が開示されている。そしてQCMの高感度化技術として、差動計測を行うツインセンサがある。この技術は一枚の水晶上に二つの電極を流路に対して対称に形成し、試料液が電極に対して同時にかつ同様に流れるように構成して周囲の外来ノイズをキャンセルする。
【0003】
感知センサにおいては、感知対象物と水晶振動子表面との接触率を向上させるために流路の高さを狭小化する要請があり、特許文献2には流路の高さを2mmに設定する構造が記載されている。しかし嵌合するカバーの形状のばらつきにより、流路形成部材を押圧したときに流路が潰れてしまう場合や水晶振動子が欠損する虞がある。またシートの凹部を狭小にしたうえで、嵌合するカバーからの圧力を低下させる手法も考えられるが、試料液がセンサ外に漏れだす虞がある。
【0004】
特許文献3には、開口部及び開口部を取り巻く溝が形成された下部ケース上に圧電振動子を配置し、上部ケースに試料液注入口及び前記溝に対応する突起を形成し、下部ケースの溝と上部ケースの突起とを嵌合させて圧電センサを構成する手法が開示されている。しかし当該文献には圧電振動子上における試料液の流路の高さに関する言及はなく、解決する課題が本発明とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−145566号公報
【特許文献2】特開2011−27716号公報
【特許文献3】特開平9−145583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものでありその目的は、試料液の供給空間の高さを低くして感知対象物の測定感度を向上させることができる感知センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の感知センサは、一面側に凹部が形成された配線基板と、
圧電片に、前記配線基板の導電路に電気的に接続された励振電極を設けて構成されると共に、一面側に試料液中の感知対象物を吸着する吸着膜が形成され、振動領域が前記凹部と対向するように前記凹部を塞いだ状態で前記配線基板に固定された圧電振動子と、
前記圧電振動子を含む配線基板の一面側の領域を覆うように設けられ、圧電振動子との間に試料液の注入口に連通する流路が形成される流路形成部材と
前記流路形成部材における配線基板とは反対側の面を押圧して、前記流路形成部材を配線基板に押圧する押圧部材と、
前記押圧部材が流路形成部材を押圧したときに、前記流路が押しつぶされることを避けるために、前記流路形成部材における流路とは反対側の部位と押圧部材との間に隙間が形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明の感知センサは、前記押圧部材が流路形成部材を押圧したときに、前記流路が押しつぶされることを避けるために、流路形成部材における流路とは反対側の面に押圧部材の押圧により形状が変化して押圧を緩衝する潰れ代を備えていてもよく、流路形成部材における配線基板側の面に設けられ、前記押圧部材が流路形成部材を押圧したときに、流路形成部材における前記圧電振動子を含む配線基板の一面側と接する面から突出するように設けられた潰れ代を備えることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の感知センサは、励振電極に感知対象物を吸着する吸着膜が設けられた水晶振動子の一面側に、押圧部材により流路形成部材を押圧して、水晶振動子の一面側を一端側から他端側に向かう流路を形成しており、流路形成部材における流路の反対側の面に流路と対向する位置、あるいは押圧部材において、流路形成部材における流路の反対側の面に流路と対向する位置の少なくとも一方に凹部を設けている。そのため押圧部材に歪みがある場合にも、流路形成部材を押圧したときに流路の変形が抑制される。従って試料液が流路を安定して流れるようになり測定感度が上がる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る感知装置及び感知センサの斜視図である。
図2】感知センサの分解斜視図である。
図3】感知センサの各部の上面側を示した分解斜視図である。
図4】感知センサの一部の下面側を示した分解斜視図である。
図5】流路形成部材の上面側、下面側の平面図及び縦断面図である。
図6】前記感知センサの縦断側面図である。
図7】前記感知センサの流路を拡大した縦断側面図である。
図8】従来の感知センサにおける流路を説明する説明図である。
図9】本発明の実施の形態に係る感知センサの流路を説明する説明図である。
図10】従来の感知センサにおける流路を説明する説明図である。
図11】本発明の実施の形態に係る感知センサの流路を説明する説明図である。
図12】前記感知装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態に係る感知センサを用いた感知装置について説明する。この感知装置は、マイクロ流体チップを利用し、例えば人間の鼻腔の拭い液から得られた試料液中のウイルスなどの抗原の有無を検出し、人間のウイルスの感染の有無を判定することができるように構成されている。図1の外観斜視図に示すように、感知装置は本体部12と、感知センサ2と、を備えている。感知センサ2は、本体部12に形成された差込口17に着脱自在に接続されている。本体部12の上面には、例えば液晶表示画面により構成される表示部16が設けられており、表示部16は例えば本体部12内に設けられた後述する発振回路の出力周波数あるいは、周波数の変化分等の測定結果もしくは、ウイルスの検出の有無等を表示する。
【0012】
続いて感知センサ2について説明する。図2図1に示した感知センサ2における上側カバー体21を外した状態を示す斜視図、図3図4は夫々感知センサ2の各部材の表側(上面側)及び一部の部材の裏側(下面側)を示した斜視図、図5は流路形成部材5の(a)上面側及び(b)下面側を示す平面図と(c)縦断面図とを示す。また図6は感知センサ2の縦断面図を示し、図7は流路57を拡大した図である。
感知センサ2は、図1に示すように上側カバー体21と下側ケース22とで構成される容器20を備えている。下側ケース22の上方には、長さ方向に延伸された形状の配線基板3が設けられ、配線基板3における長さ方向の一端側には前述の本体部12の差込口17に差し込まれる差込部31が形成されている。以下明細書中では、感知センサ2の差込部31側を後方、他端側を前方とする。
【0013】
配線基板3の前方側の位置には、貫通孔32が形成されており、配線基板3は貫通孔32が下側ケース22の底面によって塞がれると共に、下側ケース22の外側に差込部31が突出するように配置される。配線基板3の表面側には、長さ方向に伸びる3本の配線25〜27が設けられており、各配線25〜27の一端側は、差込部31において、夫々端子部252、262、272が形成されている。また各配線25〜27の他端側は貫通孔32の外縁にて、夫々端子部251、261及び271が形成されている。更に配線基板3における貫通孔32の更に前方には、配線基板3の水平位置を決めるための孔部58が幅方向に2か所並べて形成されている。
【0014】
続いて水晶振動子4について、説明する。水晶振動子4は、例えばATカットの円板状の水晶片41を備えており、水晶片41の表面側及び裏面には、例えばAu(金)により形成される2対の励振電極42A、43A及び42B、43Bが帯状に設けられている。上面側の励振電極42A、42Bは、共通化されてアースに接続される。一方の励振電極42Aの表面には、例えば抗原である感知対象物を吸着するための抗体からなる吸着膜46が形成されている。また他方の励振電極42Bの表面は吸着膜46が形成されずに剥き出しの状態となっている。
図3に示すように水晶振動子4は、裏面側の励振電極43A,43Bが配線基板3の貫通孔32に臨むように配置され、導電性接着剤により接着される。これにより水晶振動子4の裏面側の励振電極43A、43Bが夫々配線252、272と接続され、表面側の励振電極42A、42Bが配線262と接続される。
【0015】
図3に戻って、配線基板3の上面側には、流路形成部材5が設けられている。流路形成部材5は、例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)で構成された板状の部材で構成される。流路形成部材5の前方寄りの位置には、流路形成部材5の位置合わせをするための孔部58が、配線基板3に形成された孔部33と対応する位置に、流路形成部材5を厚さ方向に貫通するように設けられている。
【0016】
流路形成部材5の(a)上面側、(b)下面側及び(c)縦断面図を示す図5も参照して説明すると、流路形成部材5の下面側には、水晶振動子4が収まるように円形の凹部54が形成されている。また流路形成部材5の下面側には、配線基板3に形成された各配線25〜27が収まり、凹部54に夫々連通した溝253、263、273が形成されている。凹部54には、流路形成部材5が配線基板3側に押圧されたときに水晶振動子4の表面との間に試料液の流路57を区画形成する囲み部51が設けられている。この囲み部51は、感知センサ2の前後方向にその長さ方向が向くように、その外縁が小判型に形成された環状の突出部により構成されている。囲み部51は、凹部54から300μmの厚さに突出するように構成され、囲み部51の内側の領域は、凹部54と同じ高さの平面になっている。流路形成部材5には、流路57の後端と前端とに夫々開口し、厚さ方向に貫通する貫通孔52、53が穿設されている。流路57は、各貫通孔52、53の位置から、その幅が徐々に広がるように構成されている。
【0017】
流路形成部材5の上面側における各貫通孔52、53の周囲には、各貫通孔52、53を囲み、断面がかまぼこ型の環状の潰れ代81、82が形成されている。潰れ代81、82は、流路形成部材5において、上側カバー体21における流路形成部材5を押圧する面と相対する面から0.05mm突出して形成されており、流路形成部材5が上側カバー体21から受ける押圧が緩衝される。また図5に示すように流路形成部材5における囲み部51の下面には、囲み部51下面における内縁に沿って、断面がかまぼこ型の環状の潰れ代83が上側カバー体21と下側ケース体22とを互いに係止して流路形成部材5を配線基板3に押圧したときに、囲み部51において水晶振動子4と相対する面から0.05mm突出して形成されており、流路形成部材5の水晶振動子4への押圧が緩衝される。更に流路形成部材5の上面側における貫通孔52、53の間には、流路57と対向するように深さ500μmの略矩形の凹部84が形成されている。
【0018】
流路形成部材5の孔部58は、配線基板3に設けられた孔部33と揃うように配置される。この時囲み部51が水晶振動子4の上面に配置され、励振電極が42A,42Bが流路57の中心に並んで収まり、流路57の下面側が水晶振動子4により塞がれる。この囲み部51と水晶振動子4とに囲まれた領域は、底面が水晶振動子4により構成され、天上面と底面が平行に伸びる深さ300μmの流路57を形成する。
【0019】
また図3に示すように前記貫通孔52、53には、夫々多孔質の部材で構成された入口側毛細管部材55と出口側毛細管部材56が着脱自在に設けられている。
入口側毛細管部材55は、例えば円柱状の部材であり、例えばポリビニルアルコール(PVA)などの化学繊維束により構成されている。入口側毛細管部材55は、貫通孔52を塞ぐように配置され、その上端が後述する上側カバー体21に形成されたインジェクト口23に露出し、下端が流路57内に進入するように設けられている。出口側毛細管部材56も同様にポリビニルアルコール(PVA)などの化学繊維束により構成され、上方に伸びた後、屈曲して水平に伸びるL字型に形成される。出口側毛細管部材56は、貫通孔53を塞ぎ、その下端が流路57内に進入するように配置されている。更に出口側毛細管部材56の下端は、後方側から前方側に向かって傾斜している。
【0020】
出口側毛細管部材56の他端側は、例えば親水性のガラス管で構成される廃液流路59の一端側に接続されている。廃液流路59の他端側には、例えば廃液流路59から流出する液体を吸引する毛細管シート71と、毛細管シート71で吸引された液体を吸収する吸収部材72から構成される廃液吸収部7が接続されており、廃液吸収部7の外側には、吸収部材72からの液漏れを防ぐためのケース体73が設けられている。なお図中75は廃液流路59を支持する支持部材である。
【0021】
押圧部材に相当する上側カバー体21は、差込部31を除いた配線基板3、流路形成部材5及び廃液吸収部7を上方側から覆うように設けられる。上側カバー体21の上面側にはすり鉢状に傾斜したインジェクト口23が形成されている。上側カバーの裏面側には、流路形成部材5を配線基板3に押圧するための押圧部90が設けられている。押圧部90は、例えば略箱形に構成され、上側カバー体21を下側ケース体22に嵌合して互いに係止した時に、その下面にて流路形成部材5の上面全体を垂直下方に押圧する。押圧部90には、貫通孔52に対応する位置にインジェクト口23に貫通する貫通孔91が設けられている。また貫通孔53に対応する位置から前方側に向かって、廃液流路59及び出口側毛細管部材56の設置領域を確保するための切欠き92が形成されている。また押圧部90には、流路形成部材5及び配線基板3に夫々設けられた孔部58、33に挿入され、流路形成部材5及び配線基板3の位置決めをするための固定柱93が設けられている。また上側カバー体21には、内側に爪58が形成されており、下側ケース体22の対応するように形成された溝部59に爪58が係合されることにより、上側カバー体21と下側ケース体22との係止構造が構成される。
【0022】
感知センサ2における上側カバー体21により流路形成部材5を配線基板3に押圧した時の流路57について説明する。なお水晶振動子4の厚さに対して、励振電極42A,B、43A,B及び各配線25〜27は極めて薄いため、図6図11においては、水晶振動子4を一枚の平板として示している。図6図7に示したように各部品を下側ケース体22の内部に配置した後、上側カバー体21を下側ケース体22に対して被せ、上側カバー体21の爪58が下側ケース体側面の溝部59に嵌合するまで上側カバー体21を下側ケース体22に押圧する。この時流路形成部材5は、図6図7に示すように上側カバー体21の内部の押圧部90により上面が押されて、配線基板3に対して押圧される。
【0023】
流路形成部材5における供給流路50の上方の部分を天井部分100とすると、上側カバー体21に歪み生じている場合、例えば押圧部90の中央部付近が低くなっている場合に、流路形成部材5の上面側に凹部84を設けていない場合には、天井部分100における中央部が強く押圧される。そのため天井部分100が押圧部90の形状に合わせて湾曲し、この例では天井部分100の中央部分が押し下げられるように湾曲するため、図8に示すように流路57が潰れてしまう虞がある。本発明の実施の形態に係る流路形成部材5のように、流路形成部材5の上面に流路57と対向するように凹部84を設けた場合には、押圧部90が平面でない場合にも、凹部84部分が押圧部90に接しないため、天井部分100は、押圧部90の形状に沿って湾曲せず、流路57の天上面は水晶振動子4と平行な姿勢を保つことができる。従って図9に示すように流路57の潰れを抑制できる。
【0024】
また例えば押圧部90の前方側が後方側に比べて低くなっている場合に、上面側に潰れ代81、82を設けていない流路形成部材5を押圧して固定すると、図10に示すように、流路57の天井部分100において、前方側が後方側よりも押圧される力が強くなるため、供給流路50における天井部分100の前方側が押し下げられ、流路57が塞がれてしまう場合がある。流路形成部材5の上面側における貫通孔52、53の周囲に潰れ代81、82を設けた場合には、図11に示すように、流路形成部材5の上面側における前方側の貫通孔53の周囲に形成した潰れ代82が潰れるため、流路57の天井部分100の前方側の押し下げが抑制される。従って、供給流路57の天上面と水晶振動子4とが平行な姿勢となり、流路57の潰れが抑制される。
【0025】
続いて流路形成部材5の下面側に設けた潰れ代83について説明する。図10に示すように潰れ代83を設けていない場合に、流路形成部材5の上面において、前方側が強く押圧され、後方側の押圧が弱い場合には、囲み部51の前方側が歪んだり、後方側の囲み部51と水晶振動子4との間に隙間が生じる虞がある。流路形成部材5の下面側に潰れ代83を設けることにより、前方側の押圧が強い場合には、潰れ代83が潰れることにより、囲み部51の歪みを抑制すると共に、囲み部51の後方側と水晶振動子4との間の密着性を高めることができる。
【0026】
続いて感知センサ2を用いた感知装置の全体構成について説明する。上記の感知センサ2の差込部31が、本体部12に差し込まれると、差込部31に形成された端子部252、262、272が本体部12に、これらの端子部252、262、272と対応するように形成された図示しない接続端子部に電気的に接続されて、感知装置を構成する。図12に示すように本体部12には、例えばコルピッツ回路で構成された第1の発振回路63及び第2の発振回路64が設けられており、第1の発振回路63は水晶振動子4における励振電極42Aと励振電極43Aとに挟まれた領域である第1の振動領域61を、第2の発振回路64は励振電極42Bと励振電極43Bとに挟まれた領域である第2の振動領域62を夫々発振させるように構成されている。また端子262は発振時にアース電位となるように接続される。この表面側における第1の振動領域61と、第2の振動領域62との表面は測定領域に相当する。
【0027】
第1及び第2の発振回路63、64の出力側は、スイッチ部65と接続され、スイッチ部65の後段にはデータ処理部66が設けられる。データ処理部66は、入力信号である周波数信号のディジタル処理を行い、第1の発振回路63により出力される発振周波数「F1」の時系列データと、第2の発振回路64により出力される発振周波数「F2」の時系列データと、を取得する。
【0028】
本発明の感知装置では、スイッチ部65により、データ処理部66と第1の発振回路63とを接続するチャンネル1と、データ処理部66と第2の発振回路64とを接続するチャンネル2とを交互に切り替えた間欠発振を行うことにより、感知センサ2の2つの振動領域61、62間の干渉を避け、安定した周波数信号を取得できるようにしている。そしてこれらの周波数信号は、例えば時分割されて、データ処理部66に取り込まれる。データ処理部66では、周波数信号を例えばディジタル値として算出し、算出されたディジタル値の時分割データに基づいて、演算処理を行い、例えば、抗原の有無などの演算結果を表示部16に表示する。
【0029】
続いて感知センサ2を用いた感知装置の全体構成について説明する。上記の感知センサ2の差込部31が、本体部12に差し込まれると、差込部31に形成された端子部252、262、272が本体部12に、これらの端子部252、262、272と対応するように形成された図示しない接続端子部に電気的に接続されて、感知装置を構成する。図12に示すように本体部12には、例えばコルピッツ回路で構成された第1の発振回路63及び第2の発振回路64が設けられており、第1の発振回路63は水晶振動子4における励振電極42Aと励振電極43Aとに挟まれた領域である第1の振動領域61を、第2の発振回路64は励振電極42Bと励振電極43Bとに挟まれた領域である第2の振動領域62を夫々発振させるように構成されている。また端子262は発振時にアース電位となるように接続される。この表面側における第1の振動領域61と、第2の振動領域62との表面は測定領域に相当する。
【0030】
第1及び第2の発振回路63、64の出力側は、スイッチ部65と接続され、スイッチ部65の後段にはデータ処理部66が設けられる。データ処理部66は、入力信号である周波数信号のディジタル処理を行い、第1の発振回路63により出力される発振周波数「F1」の時系列データと、第2の発振回路64により出力される発振周波数「F2」の時系列データと、を取得する。
【0031】
本発明の感知装置では、スイッチ部65により、データ処理部66と第1の発振回路63とを接続するチャンネル1と、データ処理部66と第2の発振回路64とを接続するチャンネル2とを交互に切り替えた間欠発振を行うことにより、感知センサ2の2つの振動領域61、62間の干渉を避け、安定した周波数信号を取得できるようにしている。そしてこれらの周波数信号は、例えば時分割されて、データ処理部66に取り込まれる。データ処理部66では、周波数信号を例えばディジタル値として算出し、算出されたディジタル値の時分割データに基づいて、演算処理を行い、例えば、抗原の有無などの演算結果を表示部16に表示する。
【0032】
この感知装置による、試料液中の感知対象物の有無を判定方法について説明する。先ず感知センサを本体部12に接続し、図示しないインジェクタを用いて、インジェクト口23に例えば生理食塩水からなり、感知対象物を含まない薄め液を滴下する。液体は毛細管現象により入口側毛細管部材に吸収され、当該入口側毛細管部材55内を流通し、流路57に流れ込んで水晶振動子4の後方側の表面に供給される。
水晶振動子4を構成する水晶片41の表面は親水性であるため、供給流路50内を濡れ拡がり、供給流路50に広がった液体に続いて入口側毛細管部材55の液体は、表面張力により水晶片41の表面へ引きだされ、インジェクト口23から供給流路50へ連続して液体が流れていく。この時供給流路50の天上面と、水晶振動子4とは、平行になっている。また供給流路50の幅も後方側から放射状に広がったのち、中流域で一定の幅となり、その後出口側毛細管部材56に向けて徐々に狭くなるように構成されている。励振電極42A、42Bは、供給流路の中流部付近に並べて配置されているため、液体は励振電極42A、42Bの表面を一定の速度で、同時に流れることになる。
【0033】
そして水晶振動子4の表面の液体が出口側毛細管部材56に到達すると、液体は毛細管現象により出口側毛細管部材56に吸収され、当該出口側毛細管部材56内を流れて廃液流路59へ滲み出る。ここで毛細管現象に加えてサイホンの原理が働き、引き続き自動的に液受け部に供給された液体が水晶振動子4の表面を通過して廃液流路59へと排出される。
【0034】
廃液流路59内の液体は当該廃液流路58内を下流側に通流し、毛細管シート71に到達する。廃液流路59内の液体が毛細管シート71に到達すると、廃液流路を通流する液体の移動速度よりも大きい速度にて毛細管シート71側に液体が移動する。毛細管シート71に液体が接触すると、毛細管シート71内を毛細管現象により広がるように通流して行き、廃液流路59内にて液体が途切れる状態が形成される。
【0035】
こうして廃液流路59内にて液体が分断されると、毛細管シート71側の液体は、毛細管シート71に接触する吸収部材72に吸収されて貯留される。一方インジェクト口23に残存する液体は、毛細管現象とサイホンの原理とにより、廃液流路59に向けて流れようとするため、この液体の流れにより廃液流路59内に残存した液体は下流側に移動していき、再び毛細管シート71と接触する。このようにして廃液流路59内の液体の分断と、液体の通流とが繰り返され、液受け部内の液体がすべて通流したところで、廃液流路59内では液体が分断された状態で停止する。
【0036】
緩衝液の供給に説明を戻すと、インジェクト口23に滴下された緩衝液は、既述のように感知センサ2内を通流する。そして流路57を流れる緩衝液が、励振電極42A,42Bの表面に供給されると、これら励振電極42A,42Bは供給流路50の入り口側から出口側に向かってみて対称に形成されているため、等しく水圧の影響を受ける。これによって第1の振動領域61、第2の振動領域62の発振周波数が共に等しく低下する。
【0037】
続いて緩衝液と同量の試料液をインジェクト口23に供給する。これにより入口側毛細管部材55に吸収されている緩衝液に加わる圧力が高くなり、当該緩衝液は再び廃液流路59内を下流側に向かって流れ、試料液が入口側毛細管部材55に吸収される。吸収された試料液は、緩衝液と同様に入口側毛細管部材55から流路57に流入し、供給流路57内が緩衝液から試料液に置換される。
【0038】
この時にも、励振電極42A,42Bが流路57の入り口側から出口側に見て対称に形成されているためこれら励振電極42A,42Bは流路57内の液の入れ替わりによる圧力変化を均等に受け、当該圧力変化による第1の振動領域61、第2の振動領域62の発振周波数が互いに揃って変化する。試料液中に感知対象物が含まれる場合には、励振電極42A上の吸着膜46に当該感知対象物が吸着される。一方励振電極42B上には、感知対象物が吸着されない。このため吸着膜46への感知対象物の吸着量に応じて周波数が下降し、F1−F2が変化する。このようにF1−F2の変化に基づいて感知対象物の有無を判定することができる。また発振周波数の差分F1−F2の変化量と試料液中の感知対象物の濃度との関係式を予め取得しておき、当該関係式と測定により得られた発振周波数の差分との変化量とから、試料液中の感知対象物の濃度を求めてもよい。
【0039】
上述の実施の形態によれば、励振電極42A,42Bに感知対象物を吸着する吸着膜46が設けられた水晶振動子4の上面側に、上側カバー体21により流路形成部材5を上面側から押圧して、水晶振動子4の上面側を一端側から他端側に向かう流路57を形成しており、流路形成部材5における上面に流路57と対向するように凹部84を設けている。また流路形成部材5の上面における、貫通孔52、53の周囲に押圧により変形して押圧を緩衝する潰れ代81、82を設けている。そのため上側カバー体21に歪みや傾きがある場合にも、流路形成部材5を押圧したときに流路57の変形が抑制される。従って試料液が流路を安定して流れるようになり測定感度が上がる。
【0040】
さらに流路形成部材5における囲み部51の下面側に潰れ代83を設けることで、流路形成部材5の水晶振動子4との密着性がよくなる。
また本発明は、押圧部90における流路形成部材5の天井部分100と接する部位に凹部を設けてもよい。この場合にも、押圧部90により流路形成部材5を押圧したときに、天井部分100の押圧が抑制され、流路57が潰れないため同様の効果がある。
【0041】
また上述の例では、囲み部51は、水晶振動子4と接するように配置されているが、配線基板3に接するように設けられていてもよい。この場合には、潰れ代83は、上側カバー体21と下側ケース体22とを互いに係止して流路形成部材5を配線基板3に押圧したときに、囲み部51において配線基板3と接する面から0.05mm突出するように設ければよい。
【符号の説明】
【0042】
3 配線基板
32 凹部
4 水晶振動子
5 流路形成部材
21 上側カバー体
22 下側ケース体
57 流路
61 第1の振動領域
62 第2の振動領域
84 凹部
81〜83 潰れ代
図1
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図12