特許第6362497号(P6362497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362497
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/06 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   G01L19/06 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-196935(P2014-196935)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-70689(P2016-70689A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 倫久
(72)【発明者】
【氏名】向井 元桐
(72)【発明者】
【氏名】高月 修
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−20545(JP,A)
【文献】 実開平3−42540(JP,U)
【文献】 特開平5−332866(JP,A)
【文献】 特許第3987386(JP,B2)
【文献】 特許第5888843(JP,B2)
【文献】 特許第5934772(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0154794(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアフラムと、前記ダイアフラムとの間でオイルが封入された受圧空間が形成され前記受圧空間内に圧力検出素子が設けられたベースと、前記ダイアフラムを挟んで前記ベースと対向して設けられ且つ流体流入管と接続されており、前記ダイアフラムとの間に前記流体流入管を通じて圧力が導入される加圧空間が形成された受け部材と、を一体的に接合した圧力検出部を備え、前記圧力検出部に接続されるリードピンが前記ベースに設けられた貫通孔に対してハーメチックシール部により封止された圧力センサにおいて、
前記ダイアフラムと前記ベースとの間の受圧空間内に、前記ダイアフラムの変形を抑制する接触面を有する変形抑制部材がさらに配置されており、
前記ベースは、天壁と前記天壁の周囲に起立した鍔部とを備え、
前記変形抑制部材は、その外周部が前記鍔部の内面と摺動自在に接触する、
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記変形抑制部材は、少なくとも1つの貫通孔若しくは溝又はメッシュ状の部分を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関し、特に圧力検出素子を収容した受圧空間内に液体を封入した圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体圧力検出素子が収納された圧力検出室(受圧空間)内に液体(オイル)を封入し、この圧力検出室に外部から加えられた冷媒等の圧力を、当該液体を介して半導体圧力検出素子に伝えることで、この圧力検出素子から圧力に応じた電圧信号を出力する圧力センサが種々提案されている。
【0003】
このような圧力センサとして、例えば、ダイアフラムと、前記ダイアフラムとの間でオイルが封入された受圧空間が形成されており前記受圧空間内に半導体圧力検出素子が設けられているベースと、前記ダイアフラムを挟んで前記ベースと対向して設けられ且つ流体流入管と接続されており前記ダイアフラムとの間に前記流体流入管を通じて圧力が導入される圧力導入空間が形成されている流管接続部材と、前記ベースの背後より引き出され、前記半導体圧力検出素子のボンディングパッド(端子)とボンディングワイヤを介して接続されたリードピン及び該リードピンに接続されたリード線とを備える圧力センサにおいて、前記圧力検出部を収容する樹脂製のカバーを更に備え、前記カバー内が前記圧力検出部で区切られて形成され且つ前記リードピン及び前記リード線を収容する第1空間、及び前記圧力検出部の前記流管接続部材側と前記カバーとの間に形成される第2空間には樹脂(接着剤)が封入され、前記リードピンがガラスを用いたハーメチックシールにより前記ベースに取り付け、封止されているものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−68105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記圧力センサにおいては、ステンレススチール等で形成されたベースに貫通孔を設け、この中にリードピンを通し、ガラスによるハーメチックシールで封止する構成としている。
この封止の際にベースは溶融しないため、ハーメチックシール部のガラスとベースの金属とは一体化されることがない。このため、受圧空間内に高い圧力が加わったり、そしてこれが繰り返されたり、あるいは外気温度等の変化により圧力センサが高温状態の雰囲気と低温状態の雰囲気との双方に交互にさらされたり、あるいはまた圧力センサに強い衝撃が加わったりすると、ハーメチックシール部にクラックが生じたり、あるいはハーメチックシール部とベースとの間の界面に隙間が生じたり、場合によってはハーメチックシール部がベースから外れるという懸念があった。
ハーメチックシール部が破損すると、当該破損部から受圧空間内に封入されたオイルが漏洩し、この結果、圧力センサの動作時に圧力検知すべき冷媒等の流体の圧力がオイルを介することなくダイアフラムに直接加わり、当該ダイアフラムが破損するおそれもある。この場合には、圧力検出すべき冷媒等の液体が上記圧力センサを介して外部に漏洩してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ハーメチックシール部分からのオイル漏れが生じた場合であっても、ダイアフラムの破損を抑制することができる圧力センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明による圧力センサは、ダイアフラムと、前記ダイアフラムとの間でオイルが封入された受圧空間が形成され前記受圧空間内に圧力検出素子が設けられたベースと、前記ダイアフラムを挟んで前記ベースと対向して設けられ且つ流体流入管と接続されており、前記ダイアフラムとの間に前記流体流入管を通じて圧力が導入される加圧空間が形成された受け部材と、を一体的に接合した圧力検出部を備え、前記圧力検出部に接続されるリードピンが前記ベースに設けられた貫通孔に対してハーメチックシール部により封止され、前記ダイアフラムと前記ベースとの間の受圧空間内に、前記ダイアフラムの変形を抑制する接触面を有する変形抑制部材がさらに配置されており、前記ベースは、天壁と前記天壁の周囲に起立した鍔部とを備え、前記変形抑制部材は、その外周部が前記鍔部の内面と摺動自在に接触する
また、前記変形抑制部材は、少なくとも1つの貫通孔若しくは溝又はメッシュ状の部分を有してもよい。
【0008】
本発明による圧力センサの実施形態において、前記変形抑制部材は、その外周部が前記ベースと前記受け部材との間に挟まれて接合されるように構成される。
【0009】
本発明による圧力センサのさらに他の実施形態において、前記変形抑制部材は、その外周部が前記ベースの内面と直接接合されるように構成される。
このとき、前記変形抑制部材は、前記接触面を構成する板状部と前記板状部の外周に配置される脚部とにより構成されてもよい。
またこの場合、前記脚部に凹部を設け、前記凹部を前記ハーメチックシール部と対向するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明による圧力センサは、圧力検出部に変形抑制部材を設けたことにより、仮にハーメチックシール部からのオイル漏れが生じた場合であっても、ダイアフラムの破損を抑制することができる。
また、上記変形抑制部材の形状や構造を適宜選択することにより、簡単な工程で圧力検出部を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施例の圧力センサ100の概要を示す縦断面図である。
図2】本発明の第1の実施例に適用される変形抑制部材5の概要を示す平面図である。
図3】本発明の第2の実施例における圧力検出部210及びその近傍の構成部品を示す図であり、図3(A)は圧力検出部210の縦断面図、図3(B)は図3(A)のX−X線における断面図である。
図4】本発明の第2の実施例に適用される変形抑制部材50の概要を示す図であり、図4(A)は変形抑制部材50の平面図、図4(B)は図4(A)のY−Y線における断面図である。
図5】本発明の第3の実施例における圧力検出部310及びその近傍の構成部品の縦断面図である。
図6】本発明の第4の実施例における圧力検出部10及びその近傍の構成部品の縦断面図である。
図7】本発明の第1の実施例の圧力センサ100に適用される変形抑制部材5の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明による圧力センサの第1の実施例を示す縦断面図である。
図1に示すように、圧力センサ100は、内部に圧力検出素子41が設けられ流体流入管11が接続される圧力検出部110と、当該圧力検出部110を覆い圧力検出素子41に接続される基板45やリード線47を収容したコネクタ接続部120とを備えている。
【0013】
圧力検出部110は、ベース1と、当該ベース1に対向して配置された受け部材2と、ベース1と受け部材2との間に挟まれたダイアフラム3と、ベース1とダイアフラム3との間にさらに挟み込まれた変形抑制部材5と、を備えている。
受け部材2は、中心部に流体流入管11が接続される流管接続部材としての役割を担っている。ベース1とダイアフラム3との間には、オイルが封入される受圧空間31が形成されており、図1に示すように、受圧空間31に変形抑制部材5がダイアフラム3と対向するように設けられ、この状態でダイアフラム3及び変形抑制部材5がベース1及び受け部材2に挟持され取り付けられている。
一方、受け部材2とダイアフラム3との間には圧力導入空間としての加圧空間12が形成されており、加圧空間12には流体流入管11が連通している。そして加圧空間12には当該流体流入管11を通じて圧力検出すべき流体(冷凍サイクルの冷媒等)が導入される。ここで、ベース1、受け部材2、ダイアフラム3、変形抑制部材5は、例えばステンレススチール等の金属製とすることが好ましい。またダイアフラム3は、加圧空間12側の検知すべき流体圧を受圧空間31側へ伝搬する機能を有するため、薄肉であることが望ましい。
【0014】
ベース1は周縁に鍔部1aを備える蓋状に形成されており、圧力検出素子41は蓋の天壁1bの内面に取り付けられている。受け部材2は、周囲が立上り平坦な鍔部2aとされた皿状に形成されている。受け部材2の中心部には開口2bが形成されており、開口2bに流体流入管11がロウ付けされて固定されている。
ベース1と受け部材2との間に挟まれるダイアフラム3と変形抑制部材5とは、それらの外周縁部がベース1の鍔部1aと受け部材2の鍔部2aとの間に挟み込まれている。そして、これら4つの部材は、それらの外周縁部分において例えばレーザー溶接等の溶接部4によって同時に周溶接されており、圧力検出部110として一体的に連結・固定されている。
【0015】
ベース1の天壁1bの内面に取り付けられる圧力検出素子41は、例えばピエゾ素子とすることができる。ピエゾ素子は、強誘電体の一種であって圧電素子とも呼ばれ、振動や圧力などの力が加わると電圧が発生し、逆に電圧が加えられると伸縮する特性を有する素子である。
圧力検出素子41のボンディングパッド(端子:図示せず)は、ベース1に形成されている貫通孔42を通して延びるリードピン43とボンディングワイヤ48により電気的に接続され、またこのリードピン43は基板45に接続されている。ベース1の貫通孔42は、ガラスを用いたハーメチックシール部44によってオイル漏れがないように封止されている。
コネクタ46は基板45に取り付けられており、ボンディングワイヤ48、リードピン43、基板45、コネクタ46及びリード線47を介して、外部から圧力検出素子41に対して電力の供給が行われ、また圧力検出素子41から出力される圧力信号が外部へと取り出される。
【0016】
リードピン43とリード線47とは、それらの引き出し方向に対して交差する方向にオフセットしている。そこで、リードピン43とリード線47の接続は、基板45を介して行われている。こうした基板45による接続をすることで、リード線47を当該圧力センサ100の中心軸に引き出すことができる。即ち、圧力センサ100の設置角度を問わず、圧力センサ100の取扱いを容易にすることができる。
【0017】
コネクタ接続部120は、ベース1に対してその外側から嵌合していて受け部材2の側方を覆うように圧力検出部110を収容するカバー60を備えている。このカバー60は、また基板45及びコネクタ46を覆うコネクタケースとしての役割を有する。
また、カバー60は、例えばPPEのような合成樹脂製の部材であり、コネクタ46を覆う側の端部(上端部)は、リード線47を取り囲むように縮径されて小径端部61となっている。一方、圧力検出部110を収容する端部側は、内径を大きくして且つ筒状スカート状に延びる大径端部63が形成されている。
カバー60の内壁に設けられた段差部に圧力検出部110の外周部が当接された後、カバー60の両端開口部(小径端部61側の開口端A及び大径端部63側の開口端B)より樹脂がそれぞれ充填及び固化され、これによりカバー60の内部に圧力検出部110が固着され、同時にカバー60の両端側A、Bが封止される。これらのことにより、圧力検出部110を防水構造とすることができる。
【0018】
上述のように、受圧空間31内にダイアフラム3の過大な変形を抑制する変形抑制部材5が設けられているが、変形抑制部材5は、ダイアフラム3が過剰に変形して破断する前に接触することにより、ダイアフラム3の破損を防ぐことができる位置に配置される。
このような構成により、本発明の圧力センサ100は、仮に、圧力検出部110の受圧空間31を封止するハーメチックシール部44からオイル漏れが生じて当該受圧空間31のオイルが不足しても、変形抑制部材5がダイアフラム3の過剰な変形を抑制することにより、ダイアフラム3が破損することを防ぐことができる。
【0019】
図2は、本発明の第1の実施例の圧力センサ100に適用される変形抑制部材5の平面図である。
図1及び図2に示すように、変形抑制部材5は板状部(板状部材)51からなり、当該板状部51の中央部に1又は複数の貫通孔52が形成されている。これら1又は複数の貫通孔52は、受圧空間31に配置されたときに変形抑制部材5でさらに仕切られる2つの空間(変形抑制部材5を境としてダイアフラム3側の空間及び圧力検出素子41側の空間)を連通することにより、ダイアフラム3から付加される受圧空間31の内部のオイルへの圧力を圧力検出素子41に伝達する機能を有する。
板状部51は、外周付近の鍔状領域と該鍔状領域の内側の傾斜領域と傾斜領域のさらに内側の平坦領域とにより、断面で凹面を形成する形状となっている(図1参照)。また、第1の実施例において、変形抑制部材5は、外周部分の鍔状領域がダイアフラム3とともにベース1及び受け部材2の間に挟まれて溶接されることにより一体化される。
ここで、図1及び図2においては、傾斜領域が1つの場合を示しているが、複数の傾斜領域を形成して上記凹面を形成してもよい。また、平坦領域は平面だけでなく曲面であってもよい。
本発明の圧力センサ100に適用される変形抑制部材5は、上記のような構成を備えることにより、ダイアフラム3が加圧空間12に導入される流体圧が負荷されて変形したときに、無負荷状態から所定の位置又は距離に配置される凹面に沿ってダイアフラム3が変形することとなり、過剰な変形を抑制して破断を防ぐことができる。
【0020】
次に図3及び図4を用いて、本発明の第2の実施例の圧力センサの概要を説明する。
ここで、図3は、第2の実施例における圧力検出部210を示す図であり、図3(A)は圧力検出部210の縦断面図、図3(B)は図3(A)のX−X線における断面図である。また図4は、第2の実施例に適用される変形抑制部材50の概要を示す図であり、図4(A)は変形抑制部材50の平面図、図4(B)は図4(A)のY−Y線における断面図である。
【0021】
図3及び図4に示すように、変形抑制部材50は、板状部(板状部材)501と当該板状部501の外周部に設けられた環状の脚部503とからなる。また、板状部501の中央部には1又は複数(この例では4つ)の貫通孔502が形成されており、脚部503のダイアフラム3とは反対側の端部には脚部503の一部を切り欠いた複数の切欠き部504が形成されている。要するに、環状の脚部503は、板状部501に固着される側の面は平坦であるが、板状部501に固着される側の面とは反対側の面は、凹凸形状とされている。
第2の実施例において、変形抑制部材50の脚部503はベース1の天壁1bに溶接又は接着によって取り付けられている。その際、変形抑制部材50は、切欠き部504がベース1に形成されたハーメチックシール部44と対向するように配置されることにより、脚部503がハーメチックシール部44と干渉しないようにされている。すなわち、切欠き部504を形成してこれをハーメチックシール部44と対向させることにより、ベース1の天壁1bの面積を大きくすることなく、変形抑制部材50を受圧空間内に配置・固着することが可能となっている。
また、変形抑制部材50の高さは、無負荷状態のダイアフラム3が加圧空間12に導入される流体圧により変形したときに、ダイアフラム3が破断せずに板状部501が接触し得る位置となるように設定されている。
ここで、図3及び図4に示すように、第2の実施例では、板状部501と脚部503とは別部材を組立一体化したものとして例示しているが、単一の部材を曲げ加工して板状部501及び脚部503として形成してもよい。また、板状部501と脚部503とは同一の材料であっても異なる材料であってもよい。特に脚部503を樹脂等の材料で形成してベース1に接着する構造とすれば、金属等の材料で形成した場合に比べて変形抑制部材50ひいては圧力センサ全体の軽量化を図ることができる。
この圧力検出部210と、図1に示されたような基板45、コネクタ46、リード線47、樹脂製のカバー60等を用いて圧力センサが構成される。また後述の圧力検出部310、410についても同様である。
【0022】
第2の実施例によれば、変形抑制部材50の直径を小型化することが可能となる。また、変形抑制部材5をベース1の天壁1bに直接取り付ける構造となるため、圧力検出部210を組み立てる際に変形抑制部材50をベース1と受け部材2との間に挟み込んで位置決めする必要がなく、周溶接の施工を簡略化できる。
なお、板状部501の中央部には1又は複数の貫通孔502が設けられるものとして説明したが、切欠き部504を介して変形抑制部材50の内外の空間を連通することができるので、貫通孔502は省略してもよい。
また、脚部503をハーメチックシール部44の外側に配置するようにすれば、貫通孔502のみを形成し、切欠き部504は省略することもできる。
【0023】
図5は、本発明の第3の実施例における圧力検出部310及びその近傍の構成部品の縦断面図である。
図5に示すように、変形抑制部材60は、例えばステンレススチールにより板状に形成され、その外周付近の鍔状領域と該鍔状領域の内側の傾斜領域と傾斜領域のさらに内側の平坦領域とにより、断面で凹面を形成する形状となっている。上記平坦領域には、図2に示されたような1又は複数の貫通孔が形成されている。一方、圧力検出部310のベース1xには鍔部1aの中間部に環状の段差部1cが形成されており、当該段差部1cに上記変形抑制部材60の鍔状領域が当接され、例えば溶接等で接合されている。
第3の実施例において、変形抑制部材60の平坦領域は、無負荷状態のダイアフラム3が加圧空間12に導入される流体圧が負荷されて変形したときにダイアフラム3が破損せずに当該平坦領域が接触し得る位置となるように設定されている。
第3の実施例によれば、変形抑制部材60をベース1xの段差部1cに予め接合してからベース1xと受け部材2とダイアフラム3とを溶接することができるため、圧力検出部310を組み立てる際に変形抑制部材60をベース1xと受け部材2との間に挟んで位置決めする必要がなく、周溶接の施工を簡略化できる。
また、変形抑制部材60の鍔状領域をベース1xの段差部1cに接合する際に位置決めする手間が省けるため、圧力検出部310の組立作業全体を簡略化できる。
【0024】
図6は、本発明の第4の実施例における圧力検出部410及びその近傍の構成部品の縦断面図である。
図6に示すように、変形抑制部材70は、板状部(板状部材)と当該板状部の外周部に設けられた脚部71とからなり、全体として皿形状とされている。また図示されていないが、板状部の中央部には図2に示されたような1又は複数の貫通孔が形成されている。
第4の実施例において、変形抑制部材70の脚部71は、その端部の外径がベース1の鍔部1aの内径とほぼ同一となるように形成されており、当該脚部の端部はベース1とは接合(固着)されていない。すなわち、変形抑制部材5は、圧力検出部110の受圧空間31内の鍔部1aと摺動自在に接触して図6の上下方向(圧力検出部410の中心軸方向)に自由に移動できるように構成されている。また、脚部71の高さは無負荷状態のダイアフラム3が加圧空間12に導入される流体圧が負荷されて変形したときにダイアフラム3が破断せずに板状部が接触し得る位置となるように設定されている。
第4の実施例によれば、変形抑制部材70をベース1に接合して固定する必要がないため、圧力検出部410の組立工程を簡略化することが可能となる。
【0025】
図7(a)〜(c)は、本発明の第1の実施例の圧力センサ100に適用される変形抑制部材5の変形例を示す平面図である。
図2においては、変形抑制部材5に形成される貫通孔52が、板状部51の平坦領域の中央部に4つの円形の貫通孔として形成されているものを例示したが、例えば図7(a)に示すように、4つの貫通孔52aの形状を長円又は楕円として放射状に配置してもよい。また、図7(b)又は図7(c)に示すように、小径の貫通孔52bを5つ又はそれ以上の数で配置したり、大径の貫通孔52cを中央部に形成してもよい。
なお、図7(a)〜(c)に示す貫通孔52a〜52cはあくまでも例示であり、上記したとおり、本発明に適用される変形抑制部材5が、ダイアフラム3の過剰な変形を抑制するとともに受圧空間31で圧力検出素子41への圧力の伝達を行うという機能を果たすことができるものであれば、貫通孔52の形状、サイズ、数及び配置については任意のものを採用することができる。
また、図3図6に示された実施例においても同様に、貫通孔の形状、個数等は、適宜変更することが可能である。
【0026】
本発明の圧力センサは、以上説明したような構造を備えているが、本発明の特許請求の範囲に記載された構成を備える限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、変形抑制部材には、受圧空間31に配置されたときに当該変形抑制部材で仕切られる2つの空間を連通するために、貫通孔52、52a〜52c、502が設けられるものとして説明したが、本発明は特にこの態様のみに限定されることなく、板状の変形抑制部材の外周部から帯状の切込みを入れ、この切込みを介して、受圧空間31のダイアフラム3側の空間及び圧力検出素子41側の空間を連通させるようにしても良い。
さらに、変形抑制部材の一部に格子状の開口や金網状(以下、「メッシュ状」という)の部分を設けても良く、さらにまた変形抑制部材全体がメッシュ状であっても良い。
また、カバーは、段差のある多段形状に形成されていてもよく、また全体をテーパ状に傾斜させることも可能である。一方、ベースや受け部材の具体的な形状についても、圧力検出部としての機能を損なわず、またカバーとの固定強度を損なわない限り、形状等について種々の変形が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0027】
1、1x ベース
1a 鍔部
1b 天壁
1c 段差部
2 受け部材(流管接続部材)
2a 鍔部
3 ダイアフラム
4 溶接部
5、50、60、70 変形抑制部材
11 流体流入管
12 加圧空間
31 受圧空間
41 圧力検出素子
42 貫通孔
43 リードピン
44 ハーメチックシール部
45 基板
46 コネクタ
47 リード線
51 板状部
52、52a〜52c、502 貫通孔
53 脚部
60 カバー
61 小径端部
63 大径端部
100 圧力センサ
110、210、310、410 圧力検出部
120 コネクタ接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7