【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、請求項1の特徴を有する顕微鏡方法、および請求項12の特徴を有する光学顕微鏡によって達成される。
【0017】
本発明による顕微鏡方法および本発明による光学顕微鏡の有利な変形形態は、従属請求項の主題であり、以下の説明でさらに説明される。
【0018】
上述のタイプの顕微鏡方法では、本発明によれば、異なる標本記録の高さ測定範囲が互いに重複するような高さで標本記録が記録されること、2つのそれぞれの標本記録で、それについてどちらの標本記録でも高さ情報を得ることのできる共通の横方向領域が識別されること、および異なる標本記録の高さ情報間のリンクが、少なくとも1つの共通の横方向領域に関する異なる標本記録の高さ情報に基づいて求められることが実現される。
【0019】
上述のタイプの光学顕微鏡では、電子制御および評価手段が、本発明に従って、異なる標本記録の高さ測定範囲が互いに重複するような高さで標本記録を記録し、2つのそれぞれの標本記録で、それについてどちらの標本記録でも高さ情報が得られる共通の横方向領域を識別し、すなわち、それについてどちらの標本記録でも高さ情報を得ることのできる少なくとも1つの共通の横方向領域を識別し、したがってその横方向領域の高さも高さ測定範囲内にあり、少なくとも1つの共通の横方向領域に関する異なる標本記録の高さ情報に基づいて、異なる標本記録の高さ情報間のリンクを求めるように適合される。好ましくは、これらのステップを制御および評価手段によって自動的に実施することができる。
【0020】
本発明の基本的概念は、2つのそれぞれの標本記録で、それについてどちらの標本記録でも高さ情報を得ることのできる共通の横方向領域を識別することにより、および共通の横方向領域のこの高さ情報を介して、2つの標本記録のうちの一方のみで、それについて高さ情報を得ることのできる残りの横方向領域の高さ情報の関係を求めることにより、異なる標本記録の高さ情報が全体イメージについて一緒にされる点で見ることができる。
【0021】
本発明のこの概念が以下で詳細に説明される。
【0022】
各標本記録を評価することによって高さ情報を得ることができる。しかし、高さ情報は、標本記録内の異なる横方向領域の高さ関係を示す相対的表示のみを構成する。ある標本記録の高さ情報と、別の標本記録の高さ情報との間の関係は、当初は未知である。
【0023】
従来、この目的で精密調整手段が使用され、2つの標本記録の間で標本が変位した高さ距離が検出される。
【0024】
このことは本発明によれば不要である。本発明の本質的概念は、標本記録自体からの情報によって異なる標本記録の高さ情報間のリンクを求めることに見ることができる。したがって、異なる標本記録間の標本の高さ調節を計算することができるように標本記録が評価される。
【0025】
これについて、2つのそれぞれの標本記録内に、どの測定値、すなわちどの高さ情報が標本領域の同じ高さを特徴付けるかをそれから求めることのできる情報が含まれなければならない。これを達成するために、ある標本記録から次の標本記録までの、標本と照射および検出光路との間の相対的変位が、所望のどんなレベルにもないことがある。その代わりに、相対的変位が、厳密に、2つのそれぞれの標本記録の高さ測定範囲が互いに重複するような高さで標本記録が実施されるようなサイズである。これは、標本の少なくとも1つの一致する横方向領域を2つのそれぞれの標本記録で検査することができるために必要である。この横方向領域の高さを基準高さとして使用することができる。したがって、高さ情報が、どちらの標本記録でも、同一の横方向領域について求められる。2つの標本記録の高さ情報は同じ高さの標本領域を表し、そのことは、同一の絶対高さ値をそれらの割り当てることができることを意味する。標本記録の残りの高さ情報は、この基準または絶対高さ値に対する相対的情報を構成する。したがって、残りの高さ情報を絶対高さ値に変換することもできる。したがって、2つの標本記録の高さ情報間のリンクが生成される。
【0026】
その高さ測定範囲が上述の標本記録のうちの1つの高さ測定範囲と重複するような高さで、任意選択の第3の標本記録が記録される。次いで、共通の横方向領域が、これらの2つの標本記録で求められ、前記共通の横方向領域の高さが、第3の標本記録の残りの高さ情報に関するサポートまたは基準値として使用される。
【0027】
同様の手順が続き、恐らくはすべてのさらなる標本記録が実施される。
【0028】
本発明の好ましい変形形態によれば、リンクが以下のように実現される。各標本記録について、横方向領域のうちの1つの高さ情報が、この標本記録に関する基準点として求められる。あるいは、原理上は任意の基準点が、複数の横方向領域の高さ情報から導出される。次いで、異なる横方向領域に関する標本記録で得られる高さ情報が、この標本記録の基準点に対する相対的高さとして表される。2つの標本記録に共通の横方向領域のうちの少なくとも1つについて、2つの標本記録内のこの横方向領域について求められた2つの相対的高さ間の差が求められる。次いで、求められた差を用いて高さオフセットが求められる。この高さオフセットは、差と等しくてよい。複数の共通の横方向領域についてそれぞれの差が求められる場合、高さオフセットをこの差の平均値として固定することができる。2つの標本記録の高さ情報をリンクするために、最終的に、これらの標本記録のうちの1つの相対的高さが、高さオフセットだけ修正される。したがって、それによって、2つの標本記録の得られる相対的高さは、同一の基準点を指す。
【0029】
好ましくは、高さ情報が、それについて測定精度がその最高となる横方向領域からの基準点として選択される。例えば、高さ情報が、関連する横方向領域に関する光強度の単調関数によって求められる場合、最高の測定精度は、横方向領域に関する光強度の信号対雑音比が最大となるものである。
【0030】
原理上は、高さ測定範囲にわたる高さ情報を含むことを条件として、すなわち、標本記録内の一定の高さ範囲内で標本表面の異なる高さを互いに離したまま保つことができることを条件として、任意の所望の方式で標本記録を実施することができる。
【0031】
単一または複数の標本イメージによって標本記録を形成することができる。好ましくは、標本記録を構成する2つの標本イメージが記録される。以下でより詳細に説明するように、これらの2つの標本イメージを記録するのに、高さ調節は不要である。したがって、より広い高さ測定範囲を標本記録によってカバーすることができる。
【0032】
高さ測定範囲は、例えば1μmでよい。標本がより大きい高さの差を有する場合、この1μm高さ測定範囲を越える標本の横方向領域について、定量的高さ情報を得ることができず、または非常に不正確な定量的高さ情報が得られるだけである。
【0033】
検出すべき標本光は、標本から再び伝播する照射光、具体的には反射または散乱照射光でよい。しかし、標本光は、照射光による励起によって生成されるルミネッセント光、すなわち蛍光または燐光でもよい。
【0034】
使用される光源装置は、照射光、例えば可視光、赤外線光、または紫外線光を標本に放射することを条件として、原理上は任意の設計でよい。光源装置は、1つまたは複数の光源ユニット、例えばレーザまたはLEDを備えることができる。好ましくは、複数の光スポットからなる光スポットパターンが、光源装置で標本上に生成される。これについて、複数の光源を対応するパターンで並べて配置することができる。あるいは、光源が、光スポットパターンがそれを通じて生成されるマスクを照射することができる。マスクは、例えばピンホールまたはミラーによって形成することができる。電子的に調節可能なマイクロミラーアレイ(DMD:デジタルミラー装置)をミラーとして使用することもできる。例えば切替え可能な液晶領域に基づくことのできる、他の電子的に活動化される光変調器を使用することができる。格子をマスクとして使用することもできる。この格子は、横方向および/または光の伝播方向に調節可能でよい。このようにして、照射することのできる異なる横方向領域の数が増加する。さらに、光スポットパターンがシャープに結像される高さ平面を変更することができる。格子は、1つまたは2つの格子定数を有する周期的構造を有することができる。あるいは、格子は不規則な構造を有することもでき、それによって寸法の光スポットが同時に生成される。
【0035】
さらに、光源装置または光結像手段は、スキャナを有することもでき、照射光ビームが異なる横方向領域を次々に照射し、したがって光スポットパターンを生成する。
【0036】
光スポットは、互いに間隔を置いて配置される横方向領域を同時に照射する。このようにして、標本の複数の横方向領域を単一の標本記録で検査することができる。少なくとも1つの横方向領域が、異なる標本記録の高さ情報をリンクするための基準として常に使用されるので、標本記録で複数の横方向領域を検査することが引き続き必須となる。
【0037】
横方向領域は、横方向である、具体的には高さ方向に対して垂直である標本の領域と理解することができる。それによって高さ方向は、光学顕微鏡の対物レンズから標本への光軸の方向であると理解することができる。
【0038】
複数の標本記録から計算される全体イメージは、標本の複数の横方向領域の2つの横方向の座標および高さ方向の座標を含む。したがって、全体イメージを3Dイメージと理解することができる。
【0039】
異なる標本記録の高さ情報間のリンクは一般に、異なる標本記録の高さ情報が共通の基準に対して表現される点で理解することができる。実際に、標本記録は当初、他のそれぞれの基準点に関する高さ情報を与え、これらの異なる基準点がどのように互いに関係するかは当初は未知である。
【0040】
好ましくは、1つの同一の高さ値が、これらの2つの標本記録をリンクするために2つの標本記録に共通の横方向領域のそれぞれに割り当てられる。2つの標本記録はそれぞれ、2つの標本記録の一方だけで得ることのできる残りの横方向領域に関する高さ情報を含む。この高さ情報の、共通の横方向領域の高さ情報に対する関係は、標本記録から既知である。したがってこのとき、残りの横方向領域の高さ情報を上述の高さ値に対して表現することができる。
【0041】
共通の横方向領域は、互いに少なくとも重複する標本の横方向領域であると理解すべきである。好ましくは、それらは同心であり、同一の形状を有する。横方向領域は、光スポットによってそれぞれ照射される標本表面によって画定することができる。この場合、光スポットのサイズは、光の伝播方向で変動する可能性があり、そのことは、標本表面上に生成される光スポットが、2つの異なる標本記録についてサイズが異なる可能性があることを意味する。それによって、共通の横方向領域は同心であり、同一の形状であるが、異なるサイズを有する。
【0042】
2つの標本記録の高さ情報をリンクするために、共通の横方向領域に関する異なる標本記録の高さ情報間の差を計算し、これらの2つの標本記録の一方の高さ情報を高さオフセットだけ変位することにより、これらの標本記録の高さ測定範囲間の高さオフセットも計算することができる。例えば、第1の標本記録は、横方向領域が任意の基準点に対して高さ0.3μmを有することを示すことができる。別の標本記録は、同じ横方向領域が別の任意の基準点に対して0.8μmを有することを示すことができる。このとき、これらの標本記録間の高さオフセットが、差0.8μm−0.3μm=0.5μmとして求められる。このとき、2つの標本記録の一方のすべての高さ情報が0.5μmだけ変位される。それによって、2つの標本記録の高さ情報が、同一の基準点に対して表現される。
【0043】
各標本記録について、その高さがそれぞれの高さ測定範囲内にある横方向領域を、有用に決定し、選択することができる。これらの選択された横方向領域の高さ情報だけが、全体イメージを計算するのに使用される。それに関する測定値が記録される横方向領域が高さ測定範囲内にあるかどうかを、例えばこの測定値が指定の信号品質を満たすかどうか、具体的にはしきい値よりも大きいかどうかを判定することによって判定することができる。
【0044】
したがって、十分であるのが高さ測定範囲内にある標本の横方向領域の高さだけである信号品質により、高さ測定範囲を制限することができる。具体的には、指定のしきい値を超える信号対雑音比によって十分な信号品質を定義することができる。
【0045】
複数の共通の横方向領域が2つの標本記録で識別されるケースでは、好ましくは、すべての共通の横方向領域の高さ情報が、2つの標本記録の一方だけで得ることのできる残りの横方向領域の高さ情報のリンクを求めるのに使用される。これによってより高い精度のリンクを達成することができる。
【0046】
共通の横方向領域のそれぞれについて、2つの標本記録の高さ測定範囲間の差を計算することができ、それによってこれらの差は、測定精度の結果として、無視できる異なる値を有することができる。したがって、この差から平均値を形成することができる。この平均値は、観測下の2つの標本記録の高さ測定範囲間の高さオフセットとして使用される。
【0047】
複数の共通の横方向領域の高さ情報を使用して高さ情報をリンクするとき、複数の共通の横方向領域に関する高さ情報を別々に重み付けすることを実現することができる。高さ情報の重み付けは、例えば関連する信号品質に応じて実現することができる。例えば、高さ情報が光強度から導出される場合、信号対雑音比、したがって信号品質は、光強度が強いほど良好となる。横方向領域の高さ情報がイメージシャープネスから求められる場合、信号品質は、それぞれの横方向領域の測定情報に関するイメージシャープネスが高いほど良好となる。
【0048】
複数の標本記録を生成するために、高さ走査を実施することができる。高さ走査の間、標本光がそれから検出器ユニット上に誘導される標本の高さ範囲が、各標本記録について調節される。この目的で、例えば標本の高さを調節することができる。照射および/または標本光の光路も標本に対して調節することができる。異なる光波長について異なる焦点を生成する色光学系を使用するとき、異なる波長の照射光の順次放射により、異なる標本記録も生成することができる。これはラムダ走査としても説明される。
【0049】
本発明の別の実施形態によれば、高さ情報を符号化する光結像手段が提供され、前記光結像手段は、光源の点が標本の横方向領域上に結像され、または標本の横方向領域が検出器ユニット上に結像される形または形状がそれぞれの横方向領域の高さに依存する点結像機能を有する。次いで、検出器ユニットで記録された標本記録で、複数の結像された横方向領域のそれぞれの形または形状が求められる。最後に、それぞれの横方向領域の高さ情報が形状から導出される。
【0050】
非点収差を有する光学素子によってそのような点結像機能を達成することができる。この目的で、具体的には、標本と検出器ユニットとの間の光路内に円筒形レンズを設けることができる。標本の点形または円形状横方向領域が、円筒形レンズによってひずみ、したがって検出器ユニット上のイメージの幅および長さが互いに異なる。それによって、このイメージの幅および長さは、標本の結像された横方向領域の高さに依存する。したがって、高さ情報をイメージの幅および長さから導出することができる。
【0051】
あるいは、光源装置と標本との間に円筒形レンズを配置することができ、それによって、点形または円形状光源がひずんだ形で標本上に結像され、実際の形状は、照射される横方向領域の高さに依存する。次いで、照射される領域の形状を検出器ユニットで測定することができ、それによって、前記検出器ユニットの前にさらなる円筒形レンズは不要となる。より一般的な用語では、これらの実施形態では、円筒形レンズの代わりに非点収差を有する所望の光学素子を使用することができる。
【0052】
光結像手段はまた、標本光の伝播方向、すなわち標本の高さ方向に依存する形で渦巻状に点を結像する点結像機能を有するいわゆる位相板を備えることができる。
【0053】
これらの実施形態によれば、各標本記録は厳密に1つの標本イメージを含むことができる。
【0054】
本発明の好ましい変形形態によれば、以下によって標本記録から高さ情報が得られる。
例えばナノプロフィロメトリなどで、この横方向領域に関する測定された光強度から横方向領域に関する高さ情報が導出される強度判定、および/または、この横方向領域に関する求められたイメージシャープネスから横方向領域に関する高さ情報が導出されるシャープネス判定。
【0055】
あるいは、光強度およびシャープネスと同様にそれぞれの横方向領域の高さに依存するコヒーレンスコントラストまたはコヒーレンスの程度を求めることもできる。さらに、高さ情報を得るために照射光の反射した光子の到来時間を検出することもできる。
【0056】
照射光と標本光の干渉を介して標本記録から高さ情報を求めることもできる。これについて、照射光が標本上に誘導され、標本から来る標本光が検出器ユニットの方向に誘導される。照射光の一部が、この部分が標本に達する前に基準経路上に分岐し、検出器ユニットで標本光と干渉する。干渉縞、または、一定のそれぞれの検出器領域の光強度は、標本の高さに依存し、そのことは、高さ情報を得ることができることを意味する。そのような標本記録も、限定された高さ測定範囲を有する。したがって、当初は既知の異なる高さにただ不正確に標本を変位させ、本発明による方式でそのように記録された高さ情報のリンクを計算することは良い着想である。
【0057】
別の好ましい実施形態によれば、色共焦点標本検査または白色光干渉法が実施され、標本記録が生成され、標本記録から高さ情報を得ることができる。そのようなケースでは、照射光の焦点面は波長に依存する。したがって、共焦点構成で、異なる標本領域上に複数の光スポットを放射することができる。例えばピンホールディスクまたはデジタル振動板を使用することにより、厳密にこれらの照射された標本領域からの標本光のみが、検出器ユニットで測定される。色的に有効な光学素子により、異なる波長の光に対して異なる共焦点面が生成される。それぞれの照射された標本領域について標本光の強度を波長に応じて求めることができる。強度が最大となる波長を求めることにより、照射される横方向領域の高さと一致する複数の共焦点面のうちの共焦点面を求めることが可能となる。
【0058】
スペクトル的に広い範囲をカバーする白色光として照射光を放射することができる。この場合、検出器ユニットは波長分解式に測定する。あるいは、異なる波長範囲の照射光を次々に放射することもできる。このようにして、検出器ユニットの波長分解能は不要である。
【0059】
別の特に好ましい実施形態によれば、標本、光結像手段、または検出器ユニットを機械的に移動することなく、各標本記録について少なくとも2つの標本イメージをそれぞれ記録することができるように、光結像手段、光源装置、および検出器ユニットが設計される。2つの標本イメージの記録のために、光源装置および光結像手段で、少なくとも2つの光スポットパターンが、異なる標本または高さ平面に集束し、および/または、少なくとも2つの異なる標本面のイメージが生成され、光結像手段および検出器ユニットで別々に測定される。
【0060】
したがって、これらの実施形態によれば、少なくとも2つの標本イメージを記録するのに、空間的に等しい配置が使用される。これらのイメージの記録の間に、高さ方向の走査移動は実施されない。それによって速度の利点が達成される。さらに、機械的移動の不正確さが存在せず、光学構成要素の振動の効果が低減されるので、精度の改善が可能である。さらに、標本に依存する較正が不要である。これらの実施形態の構成を以下でより詳細に説明する。
【0061】
照射される標本領域または横方向領域のサイズは、この横方向領域に対する、光スポットが集束する高さ平面の高さに依存する。したがって、標本の表面プロファイルに応じて、異なるサイズの光スポットが、1つの高さ平面を有する標本表面上に生成される。
【0062】
比較的小さい照射される横方向領域のケースでは、高い標本光強度を有する、それに対応して小さい領域が、検出器ユニット上で照射される。一方、照射される横方向領域が大きいと、より低い標本光強度を有する、比較的大きい領域が、検出器ユニット上で照射される。
【0063】
このことから、照射される横方向領域が、光スポットパターンが集束する高さ平面の内部にあるか、それとも外部にあるかを判定することができる。それでも、高さ平面の外部にある横方向領域が、この高さ平面の上にあるか、それとも下にあるかを、標本特有の基準測定なしに単一の標本イメージから判定することはできない。このことは、第2の標本イメージを用いて可能となる。
【0064】
2つの標本イメージの記録のために、異なる高さ平面上に光スポットパターンを集束させることができる。それによって、2つの標本イメージを記録する検出器要素を同一の像平面内に配置して、どちらのイメージも記録することができる。第2の標本イメージのために照射される横方向領域が、第1の標本イメージのために照射される、対応する横方向領域よりも大きいか、それとも小さいかは、この横方向領域の高さが、第1の標本イメージのケースで光スポットパターンが集束する第1の高さ平面の上にあるか、それとも下にあるかに依存する。したがって、2つの標本イメージ内の同一の横方向領域について得られる測定情報の比較から、この横方向領域の高さが第1の高さ平面の上にあるか、それとも下にあるかを判定することができる。
【0065】
一方、異なる、等しくない横方向領域の測定情報を比較しなければならない場合、標本にわたって変動する反射率および/または光散乱の度合いが結果をゆがめることになる。
【0066】
あるいは、同一の光スポットパターンが2つの標本イメージの記録のための標本表面上に生成され、異なる高さ平面が検出器ユニット上に結像され、別々に測定される。したがって、検出器ユニットは少なくとも2つの標本イメージを記録し、検出器ユニットの検出器素子が配置される検出器平面が、第1の高さ平面と光学的に結合され、第2の高さ平面は、それらとは異なる。光スポットパターンが集束する高さ平面は、第1のまたは第2の高さ平面と同一でよく、またはそれらの両方と異なるものでよい。
【0067】
上記の代替形態も以下のように説明することができる。標本上の一定の高さ平面が、2つの空間的にオフセットした像平面上に結像される。したがって、2つの像平面が、それぞれ高さ平面と光学的に結合される。像平面は、検出ユニットの検出器平面とは異なり、別々に測定され、それによって2つの標本イメージが記録される。したがって、高さ平面が、異なるシャープネスで検出器平面上に結像される。2つの標本イメージ内の同一の横方向領域について得られた測定情報の比較から、この横方向領域の高さが第1の高さ平面の上にあるか、それとも下にあるかを判定することができる。
【0068】
前に格納された基準データによって定量的陳述が可能である。これらの基準データは、既知の高さプロファイルを用いた物体に対する先行する基準測定で求められていることがある。イメージシャープネスまたは光強度を比較することにより、検査される横方向領域の高さは2つの高さ平面からどれほどかを、基準データを通じて述べることが可能である。
【0069】
一般には、高さ平面は平坦な表面であるが、高さ平面は曲面、あるいは成形面でもよい。これは、例えば曲面イメージセンサの場合である。したがって、より一般には、高さ平面は、検出器ユニットの検出器表面に光学的に結合され、または標本上に高さ平面を結像すべき光源装置の光スポットパターンに光学的に結合される表面と理解することができる。
【0070】
好ましくは、光源装置は、異なる高さ平面上に光スポットパターンを集束させる第1および少なくとも第2の光源ユニットを備える。それによって第1の光源ユニットは、標本上の第1の高さ平面に光学的に結合される平面内に配置され、第2の光源ユニットは、標本上の第2の高さ平面に光学的に結合される平面内に配置される。したがって、空間的に固定された配置を使用して、異なる高さ平面内に光スポットパターンを生成することができる。
【0071】
単純な設計では、少なくとも2つの光源ユニットを次々に配置することができる。したがって、検出器ユニットの1つの同一の検出器領域、例えば同一のカメラセンサ要素をそれによって使用して、少なくとも2つの標本イメージを記録することができる。
【0072】
しかし、2つの光源ユニットの照射光を互いに区別することができる場合、少なくとも2つの標本イメージを同時に記録することもできる。
【0073】
具体的には、この目的で、光源装置および光結像手段で異なる像平面に集束される2つの光スポットパターンは、光特性が異なることがある。標本光は、その光特定に応じてビーム分割手段で異なる光路上に誘導され、光路のそれぞれで、標本イメージが検出器ユニットで測定される。例えば、光特性は、照射および標本光の偏光または波長でよい。したがって、ビーム分割手段は、偏光または光波長に応じて光を反射または透過する偏光ビームスプリッタおよび/または二色性素子を備えることができる。
【0074】
標本記録では、2つの標本イメージを記録することができ、光スポットパターンが1つの同一の高さ平面上に集束するが、異なる高さ平面が検出器ユニット上に集束する。
【0075】
これについて、標本と検出器ユニットとの間にビーム分割手段が存在することができ、ビーム分割手段で、標本光が、少なくとも2つの空間的に異なる検出光路に分割される。検出器ユニットは、異なる検出光路のそれぞれについて検出器領域を備える。それによって、異なる高さ平面が異なる検出器領域上に結像される。
【0076】
言い換えれば、照射される高さ平面のイメージが、標本光を用いて各検出光路でそれぞれの像平面に生成され、検出光路の異なる像平面が、それぞれの検出器領域に対する異なる平面で生成される。
【0077】
2つの検出器領域は、例えば異なるカメラで形成することができる。しかし、異なる検出器領域がジョイントカメラ、すなわち共有カメラチップの異なる部分であることが特に好ましい。
【0078】
好ましい実施形態によれば、ビーム分割手段が光回折素子によって形成され、2つの検出光路が、光回折素子の異なる次数の回折によって生成される。したがって、少数の構成要素を有し、したがって低コストである構造が、本明細書により、特に小さい光損失と共に可能となる。
【0079】
添付の略図を参照することにより、本発明の別の利点および特徴を以下で説明する。