【文献】
John Huang et al.,Tri-Band Frequency Selective Surface with Circular Ring Elements,IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION,米国,IEEE,1994年 2月,VOL.42, No.2,p.166-175
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、人工衛星に搭載するアンテナに、ホーンアンテナからなる一次放射器と放物曲面状の反射板とを対向させたパラボラアンテナが用いられている。パラボラアンテナは、一般に宇宙に打ち上げる際に反射板を折り畳み、打ち上げ後に反射板を展開して使用するため、反射板を展開する構造は複雑であり、動作時の信頼性が低い問題がある。
【0003】
そこで、放物曲面状の反射板に代えて平板状の反射板を用いたリフレクトアレーアンテナが開発されている。このようなリフレクトアレーアンテナは、平板状の反射板を用いるため構造が簡単になり、コストの削減及び信頼性の向上を図ることができる。
【0004】
リフレクトアレーアンテナの反射板は、誘電体板と、誘電体板の裏面に設けた金属板と、誘電体板の表面に配列された複数個の共振素子とで構成されている。一次放射器が放射した球面波面を有する電磁波は、反射板によって所定の方向に反射される。反射波には、共振素子によって反射された電磁波の成分(以下「反射成分」と記す)と、誘電体板の内部を透過して金属板によって反射された電磁波の成分(以下「透過成分」と記す)とが含まれている。
【0005】
反射成分と透過成分とからなる反射波の位相(以下「反射位相」と記す)は、共振素子の形状及び大きさ、共振素子間の間隔、並びに誘電体板の比誘電率及び肉厚により決定される。リフレクトアレーアンテナの反射板は、誘電体基板上の位置に応じて異なる形状及び大きさの共振素子を配置することで、各位置における反射位相が所望の値となるように制御し、入射した球面波を平面波に変換して反射するものである。
【0006】
ここで、従来のリフレクトアレーアンテナは、互いに隣接する共振素子の中心部間の間隔(以下「配置間隔」と記す)dが以下の式(1)を満たすように共振素子を配列している(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
本発明のリフレクトアレーアンテナは、
比誘電率εrの値が1よりも大きい誘電体板と、誘電体板の裏面に設けた金属板及び誘電体板の表面に配列された複数個の共振素子
とにより構成された平板状の反射板と、共振素子に対向して配置され、反射板に電磁波を放射する一次放射器と、を具備し、
電磁波の周波数帯域内で最も高い周波数における電磁波の自由空間波長λと、電磁波の反射板への
入射角が最大値である入射角θと、誘電体板の比誘電率εrとにより、共振素子の配置間隔dが以下の数式
を満たすように共振素子を配列したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図13及び
図14に、従来のリフレクトアレーアンテナの一例を示す。誘電体板22cの裏面に金属板21cが設けられており、誘電体板22cの表面に複数個の共振素子23cが配列されている。金属板21c、誘電体板22c及び共振素子23cにより、反射板2cが構成されている。共振素子23cと対向して、反射板2cに電磁波を放射する一次放射器1cが配置されている。一次放射器1c及び反射板2cにより、リフレクトアレーアンテナ103が構成されている。
【0010】
リフレクトアレーアンテナ103は、12ギガヘルツ(GHz)帯で用いられる開口径が45センチメートル(cm)のアンテナである。個々の共振素子23cはリング形状であり、誘電体板22c上の配置位置に応じて異なる直径を有し、所望の反射位相となるようにしている。通常、電磁波の波長λは25ミリメートル(mm)であり、一次放射器1cから放射されて反射板2cに入射する電磁波の入射角θの最大値が60°であることから、共振素子23cの配置間隔dは式(1)を満たすように13mmとしている。
【0011】
従来のリフレクトアレーアンテナ103と、同等の開口径を有するパラボラアンテナとの性能を比較したところ、パラボラアンテナの開口能率は75%程度であるのに対し、従来のリフレクトアレーアンテナ103の開口能率は30%程度であった。
【0012】
従来のリフレクトアレーアンテナ103の開口能率が低下している原因は、以下のように説明することができる。すなわち、従来のリフレクトアレーアンテナ103は、配置間隔dが式(1)を満たすように共振素子23cを配列することで、反射成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を防いでいる。しかしながら、配置間隔dが式(1)を満たしていても、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生は防ぐことができない場合がある。この場合、アンテナの開口能率が低下し、サイドローブレベルが高くなる課題があった。
【0013】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を抑制することで、開口能率を向上し、かつサイドローブを低減したリフレクトアレーアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のリフレクトアレーアンテナは、誘電体板の裏面に設けた金属板及び誘電体板の表面に配列された複数個の共振素子を有する平板状の反射板と、共振素子に対向して配置され、反射板に電磁波を放射する一次放射器と、を具備し、電磁波の自由空間波長λと、電磁波の反射板への入射角θと、誘電体板の比誘電率εrとにより、共振素子の配置間隔dが以下の数式
を満たすように共振素子を配列したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のリフレクトアレーアンテナは、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を抑制することで、開口能率を向上し、かつサイドローブを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナの要部を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナの要部を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナの動作を示す説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナの動作を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナによる12GHz帯用の開口径45cmのアンテナの要部の一例を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナによる12GHz帯用の開口径45cmのアンテナの要部の一例を示す側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナと、従来のリフレクトアレーアンテナと、パラボラアンテナとの方位角に対する振幅の関係を示す特性図である。
【
図8】本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナと、従来のリフレクトアレーアンテナと、パラボラアンテナとの周波数に対する開口能率の関係を示す特性図である。
【
図9】本発明の実施の形態2のリフレクトアレーアンテナの要部を示す正面図である。
【
図10】本発明の実施の形態2のリフレクトアレーアンテナの要部を示す側面図である。
【
図11】本発明の実施の形態3のリフレクトアレーアンテナの要部を示す正面図である。
【
図12】本発明の実施の形態3のリフレクトアレーアンテナの要部を示す側面図である。
【
図13】従来のリフレクトアレーアンテナによる12GHz帯用の開口径45cmのアンテナの要部の一例を示す正面図である。
【
図14】従来のリフレクトアレーアンテナによる12GHz帯用の開口径45cmのアンテナの要部の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
図1及び
図2を参照して、本発明の実施の形態1のリフレクトアレーアンテナについて説明する。
図中、22は誘電体板である。誘電体板22は、比誘電率の値が1よりも大きい円盤状の誘電体により構成されている。誘電体板22の裏面の略全面に亘って、金属板21が設けられている。誘電体板22の表面には、複数個のリング形状の共振素子23が設けられている。
【0018】
共振素子23は、誘電体板22上の第1方向(図中X方向)に沿って等間隔に配列されており、かつ第1方向と直交する第2方向(図中Y方向)に沿って等間隔に配列されている。第1方向及び第2方向に沿って互いに隣接する共振素子23の中心部間の間隔(配置間隔)dが以下の式(2)を満たすように、共振素子23が配列されている。
【0019】
式(2)において、λは使用する電磁波の周波数帯域内で最も高い周波数における自由空間波長を表し、εrは誘電体板22を構成する誘電体の比誘電率を表し、θは一次放射器1から放射されて反射板2に入射する電磁波の入射角の最大値を表している。
【0020】
なお、配置間隔dは、第1方向及び第2方向に沿う互いに隣接する共振素子23の各々の半径の和よりも大きい値に設定されており、複数の共振素子23が重ならないようになっている。
【0021】
共振素子23の大きさは、誘電体板22上の配置位置に応じて異なっている。このような金属板21、誘電体板22及び共振素子23により、平板状の反射板2が構成されている。
【0022】
共振素子23に対向して、一次放射器1が配置されている。一次放射器1は、例えばホーンアンテナで構成されており、反射板2に電磁波を放射するものである。一次放射器1及び反射板2により、リフレクトアレーアンテナ100が構成されている。
【0023】
次に、
図3及び
図4を参照して、リフレクトアレーアンテナ100の動作について、送信アンテナの動作を中心に説明する。
図3及び
図4においては、動作原理をわかりやすく説明するために、面積が無限に大きい反射板2を用いて、形状及び大きさが同一の共振素子23が配置間隔dで無限に配列されているものとする。また、一次放射器1から反射板2に、無限に大きい一様振幅分布の平面波が入射するものとする。
【0024】
まず、一次放射器1が放射した入射波Aが、反射板2に入射角θで入射する。これにより、共振素子23に電流が誘起され、入射波Aのうち一部の成分(反射成分)Bの電磁波が共振素子23により反射角θで反射され、反射波Dの一部となる。一方、残余の成分(透過成分)C1の電磁波は透過角θtで誘電体板22の内部を透過して、裏面側の金属板21にて反射される。反射された透過成分C1の電磁波は、誘電体板22の内部を透過して再び共振素子23に入射する。透過成分C1の電磁波により共振素子23に電流が誘起され、透過成分C1の一部の成分C3の電磁波が再び金属板21に向けて反射され、残余の成分C2の電磁波は反射波Dの一部となる。以下、同様の動作を繰り返すことで、入射波Aに含まれていた略全ての電磁波の成分が反射波Dとなる。
【0025】
反射波Dの反射位相は、共振素子23の大きさ及び形状、配置間隔d、並びに誘電体板22の比誘電率εr及び肉厚に応じて決定される。実際のリフレクトアレーアンテナ100では、誘電体板22上の位置に応じて形状及び大きさが異なる共振素子23を配置することで、各位置における反射位相が所望の値となるように制御し、入射した球面波を平面波に変換して反射するようになっている。
【0026】
このとき、透過成分の電磁波によって、グレーティングローブが発生する場合がある。すなわち、
図4に示す如く、入射波Aのうち一部の透過成分E1の電磁波が透過角θtと異なる透過角で誘電体板22の内部を透過して、金属板21にて反射される。反射された透過成分E1の電磁波は、誘電体板22の内部を透過して再び共振素子23に入射する。透過成分E1の電磁波により共振素子23に電流が誘起され、透過成分E1の一部の成分E3の電磁波が再び金属板21に向けて反射され、残余の成分E2の電磁波は散乱波Fの一部となる。以下、同様の動作を繰り返すことで、透過成分E1に含まれていた略全ての電磁波の成分が散乱波Fとなる。散乱波Fは反射波Dと異なる方向に反射する不要放射波であり、グレーティングローブを形成する。
【0027】
しかしながら、このリフレクトアレーアンテナ100の共振素子23は、上記式(2)の条件を満たす配置間隔dで配置されている。この式(2)は、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を防ぐ配置間隔dの条件を示す以下の式(3)に、いわゆる「スネルの法則」による入射波Aの入射角θと透過成分C1の透過角θtとの関係を示す以下の式(4)を代入して得られたものである。
【0028】
この結果、実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100の配置間隔dの式(2)は式(3)を内在しているので、かかる共振素子23の配置によれば、
図4に示す散乱波Fの発生を防ぐことができる。すなわち、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を抑制して、開口能率を向上し、サイドローブを低減することができる。
【0029】
また、誘電体板22は、比誘電率εrの値が1よりも大きい誘電体により構成されているので、上記式(2)を満たす配置間隔dは、反射成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を防ぐ条件を示す以下の式(5)を同時に満たしていることになる。
【0030】
したがって、反射成分の電磁波によるグレーティングローブの発生と透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生との両方を抑制して、開口能率をさらに向上し、サイドローブをさらに低減することができる。
【0031】
なお、リフレクトアレーアンテナ100は、いわゆる「可逆定理」により受信アンテナと送信アンテナとで同等の電磁気的特性を有している。このため、受信アンテナの動作については図示及び説明を省略する。
【0032】
次に、リフレクトアレーアンテナ100の効果について説明する。
図5及び
図6に、実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100により構成した、12GHz帯で用いられる開口径が45cmのアンテナの一例を示す。電磁波の波長λが25mmであり、一次放射器1から放射されて反射板2に入射する電磁波の入射角θの最大値が60°であり、誘電体板22を構成する誘電体の比誘電率εrが2.65であるため、配置間隔dは式(2)を満たすように9.5mmに設定している。
【0033】
図7は、アンテナの方位角(Azimuth)に対する電磁波の振幅(Amplitude)を示す特性図である。特性線Iは、
図5及び
図6に示す実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100の特性を示している。特性線IIは、比較対象として、リフレクトアレーアンテナ100と同等の開口径を有するパラボラアンテナの特性を示している。
【0034】
図7に示す如く、方位角が約−5°〜+5°の範囲内では、特性線Iと特性線IIの振幅は同等の値であり、メインローブが形成されている。方位角が−60°〜−5°の範囲、及び+5°〜+60°の範囲内では、特性線Iの振幅は特性線IIと同様に概ね−30デシベル(dB)以下になっている。特に、方位角が−20°〜−5°の範囲、及び+5°〜+20°の範囲内では、特性線Iの振幅が特性線IIよりも小さくなっており、サイドローブが低減されている。
【0035】
図8は、電磁波の周波数(Frequency)に対するアンテナの開口能率(Aperture Efficiency)を示す特性図である。四角形のプロットIは、
図5及び
図6に示す実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100の開口能率を示している。三角形のプロットIIは、比較対象として、
図13及び
図14に示す従来のリフレクトアレーアンテナ103の開口能率を示している。菱形のプロットIIIは、比較対象として、リフレクトアレーアンテナ100と同等の開口径を有するパラボラアンテナの開口能率を示している。
【0036】
図8に示す如く、パラボラアンテナの開口能率は、11.7GHz〜12.4GHzの周波数範囲に亘って75%〜80%程度である。一方、従来のリフレクトアレーアンテナ103の開口能率は、11.7GHz〜12.4GHzの周波数範囲に亘って25%〜30%程度である。これに対し、実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100の開口能率は、11.8GHz〜12.4GHzの広い周波数範囲に亘って60%を超えており、従来のリフレクトアレーアンテナ103よりも開口能率が30%以上上昇している。
【0037】
すなわち、実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100は、平板状の反射板2を用いることでコストの削減及び信頼性の向上を図ることができるというパラボラアンテナに対する優位性を保ちつつ、従来のリフレクトアレーアンテナ103よりも開口能率を上昇させてパラボラアンテナに近い開口能率を実現できている。
【0038】
なお、配置間隔dを9.5mmとしたリフレクトアレーアンテナ100は、電磁波の周波数が12.7GHzの場合、入射角θが59.1°以上のときには透過成分によるグレーティングローブが発生する。しかしながら、入射角θが59.1°以上となるのは、反射板2の端部の極めて狭い部分のみであるため、開口能率への影響が小さかったものと考えられる。
【0039】
以上のように、実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100は、配置間隔dが式(2)を満たすように共振素子23を配列している。これにより、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を抑制して、開口能率を向上し、サイドローブを低減することができる。
【0040】
また、誘電体板22は、比誘電率εrの値が1よりも大きい誘電体により構成されている。これにより、配置間隔dが式(2)を満たすことで同時に式(5)を満たしているので、反射成分の電磁波によるグレーティングローブの発生と透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生との両方を抑制して、開口能率をさらに向上し、サイドローブをさらに低減することができる。
【0041】
また、式(2)の自由空間波長λは、使用する電磁波の周波数帯域内で最も高い周波数における自由空間波長に設定されている。式(2)の入射角θは、一次放射器1から反射板2に入射する電磁波の入射角の最大値に設定されている。このため、使用する電磁波の周波数帯域の略全域に亘って、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を抑制することができる。また、一次放射器1から反射板2に入射する電磁波の略全体に亘って、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を抑制することができる。
【0042】
なお、一次放射器1に用いるアンテナは、ホーンアンテナに限定されるものではない。送信アンテナとして動作する場合には反射板2へ電磁波を放射し、また受信アンテナとして動作する場合には反射板2で反射された電磁波を受波するものであれば、如何なるアンテナであっても良い。
【0043】
また、個々の共振素子23の形状は、リング状に限定されるものはない。所望の反射位相などに応じて、円形状、四角形状、三角形状、プラス記号状又は矩形枠状の形状であっても良い。
【0044】
また、反射板2の形状は平板状であれば良く、円盤状に限定されるものではない。衛星への搭載条件及び一次放射器1に用いるアンテナの開口形状などに応じて、矩形板状又は多角形板状の反射板2を用いたものとしても良い。
【0045】
実施の形態2.
図9及び
図10を参照して、共振素子の配置が実施の形態1と異なるリフレクトアレーアンテナについて説明する。なお、
図1及び
図2に示す実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
誘電体板22の表面に、複数個のリング形状の共振素子23aが配列されている。共振素子23aは、誘電体板22上の第1方向(図中X方向)に沿って等間隔に配列されており、かつ第1方向と直交する第2方向(図中Y方向)に沿って等間隔に配列されている。
【0047】
ここで、共振素子23aの第1方向に沿う配置間隔dxと、第2方向に沿う配置間隔dyとが、互いに異なる間隔になっている。2つの配置間隔dx,dyのうち、より大きい方の配置間隔dxが実施の形態1と同様の式(2)を満たすように、共振素子23aが配列されている。このようにして、リフレクトアレーアンテナ101が構成されている。
【0048】
配置間隔dx,dyのうちより大きい方の配置間隔dxが式(2)を満たす場合、小さい方の配置間隔dyも同時に式(2)を満たしている。したがって、実施の形態2のリフレクトアレーアンテナ101は、実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100と同様に、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生を抑制して、開口能率を向上し、サイドローブを低減することができる。
【0049】
また、誘電体板22は、比誘電率εrの値が1よりも大きい誘電体により構成されている。これにより、配置間隔dx,dyの両方が式(2)を満たすのと同時に式(5)を満たしている。したがって、実施の形態1と同様に、反射成分の電磁波によるグレーティングローブの発生と透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生との両方を抑制して、開口能率をさらに向上し、サイドローブをさらに低減することができる。
【0050】
実施の形態3.
図11及び
図12を参照して、共振素子の配置が実施の形態1及び実施の形態2と異なるリフレクトアレーアンテナについて説明する。なお、
図1及び
図2に示す実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
誘電体板22の表面に、複数個のリング形状の共振素子23bが配列されている。複数個の共振素子23bは、互いに隣接する3つの共振素子23bが正三角形の頂点にそれぞれ位置づけられるように配置されている。
【0052】
共振素子23bの配置間隔dは、この正三角形の1辺の長さに対応している。共振素子23bは、配置間隔dが実施の形態1と同様の式(2)を満たすように配置されている。このようにして、リフレクトアレーアンテナ102が構成されている。
【0053】
実施の形態3のリフレクトアレーアンテナ102は、共振素子23bの配置間隔dが式(2)を満たしている。したがって、実施の形態1のリフレクトアレーアンテナ100と同様に、透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生をを抑制して、開口能率を向上し、サイドローブを低減することができる。
【0054】
また、誘電体板22は、比誘電率εrの値が1よりも大きい誘電体により構成されているので、配置間隔dが式(2)を満たすのと同時に式(5)を満たしている。したがって、実施の形態1と同様に、反射成分の電磁波によるグレーティングローブの発生と透過成分の電磁波によるグレーティングローブの発生との両方を抑制して、開口能率をさらに向上し、サイドローブをさらに低減することができる。
【0055】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。