(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362524
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/16 20060101AFI20180712BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20180712BHJP
H01L 21/8239 20060101ALI20180712BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20180712BHJP
H01L 43/02 20060101ALI20180712BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20180712BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
H01L25/16 A
H01L23/12 F
H01L27/105 447
H01L43/02 Z
H05K1/18 S
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
H05K3/46 Z
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-241928(P2014-241928)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-103596(P2016-103596A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100188226
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 俊達
(72)【発明者】
【氏名】森田 治彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忍
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 隆
【審査官】
加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−114164(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/100090(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/16
H01L 21/8239
H01L 23/12
H01L 27/105
H01L 43/02
H05K 1/18
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に搭載される複数のMRAMと、
前記基板に搭載されかつ前記MRAMが接続される少なくとも1つの半導体素子と、を備える半導体装置であって、
前記複数のMRAMは、前記半導体素子の周辺領域のうち前記半導体素子の平面形状における対角線の延長線と重ならない位置に配置されている。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記半導体素子と前記複数のMRAMとの全ては、前記基板の一方の面に配置されている。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置であって、
前記基板は、コア基板と、前記コア基板の表裏に積層されるそれぞれのビルドアップ層と、を有してなり、
前記半導体素子が搭載されている一方側の前記ビルドアップ層に形成される導体層の総体積が、他方側の前記ビルドアップ層に形成される導体層の総体積より大きい。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体装置であって、
前記基板は、コア基板と、前記コア基板の表裏に積層されるそれぞれのビルドアップ層と、を有してなり、
前記半導体素子の前記周辺領域においては、前記半導体素子が搭載されている一方側の前記ビルドアップ層に形成される導体層の総体積が、他方側の前記ビルドアップ層に形成される導体層の総体積より大きい。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の半導体装置であって、
前記一方側のビルドアップ層に形成される導体層が、前記他方側のビルドアップ層に形成される導体層より厚い。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか1の請求項に記載の半導体装置であって、
前記一方側のビルドアップ層に形成される導体層の導体占有面積が、前記他方側のビルドアップ層に形成される導体層の導体占有面積より大きい。
【請求項7】
請求項3乃至5の何れか1の請求項に記載の半導体装置であって、
前記半導体素子の前記周辺領域においては、前記一方側のビルドアップ層に形成される導体層の導体占有面積が、前記他方側のビルドアップ層に形成される導体層の導体占有面積より大きい。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1の請求項に記載の半導体装置であって、
前記MRAMは、インターポーザ基板を介して前記基板に搭載されている。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置であって、
前記インターポーザ基板は、コア基板と、前記コア基板の表裏にそれぞれ積層されかつ厚さが前記コア基板の厚さより薄いビルドアップ層とを有してなる。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置であって、
前記インターポーザ基板の前記コア基板の熱膨張係数は1〜5ppm/℃であり、
前記インターポーザ基板の前記ビルドアップ層に形成される層間絶縁層の熱膨張係数は1〜25ppm/℃である。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1の請求項に記載の半導体装置であって、
複数の前記MRAMは、前記基板の平面形状における対角線と重ならない位置に配置されている。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1の請求項に記載の半導体装置であって、
前記半導体素子と前記基板とを半田接続する半田の融点は、前記MRAMと前記基板とを半田接続する半田の融点よりも高い。
【請求項13】
基板と、前記基板に搭載される複数のMRAMと、前記基板に搭載されかつ前記MRAMが接続される少なくとも1つの半導体素子と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記複数のMRAMは、前記半導体素子の周辺領域のうち前記半導体素子の平面形状における対角線の延長線と重ならない位置に配置する。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法であって、
スルーホール導体を有するコア基板を形成することと、
前記コア基板の表裏にそれぞれビルドアップ層を形成することと、
前記半導体素子が搭載される一方側の前記ビルドアップ層に形成される導体層の総体積を、他方側の前記ビルドアップ層に形成される導体層の総体積より大きくすることと、を行う。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記一方側のビルドアップ層と前記他方側のビルドアップ層とにそれぞれ形成される絶縁層に無電解めっき層をそれぞれ積層することと、
めっき液に前記コア基板を浸漬して、前記一方側のビルドアップ層の前記無電解めっき層に通電する電流を、前記他方側のビルドアップ層の前記無電解めっき層に通電する電流より大きくして、それぞれの無電解めっき層の上に電解めっき層を積層することとを行う。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記一方側のビルドアップ層に形成される導体層の導体占有面積を、前記他方側のビルドアップ層に形成される導体層の導体占有面積より大きくする。
【請求項17】
請求項13乃至16の何れか1の請求項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記MRAMを、インターポーザ基板を介して前記基板に搭載する。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法であって、
熱膨張係数が1〜5ppm/℃であるコア基板の表裏に、熱膨張係数が1〜25ppm/℃である層間絶縁層を含むビルドアップ層を積層して前記インターポーザ基板を製造する。
【請求項19】
請求項13乃至18の何れか1の請求項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体素子を前記基板に半田実装した後に、前記MRAMを前記基板に半田実装する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に半導体素子と半導体メモリとが搭載されている半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM等の揮発性の半導体メモリに代わる不揮発性の半導体メモリとして、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)の開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−023062号公報(段落[0002]、段落[0005]、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、MRAMは、DRAMでは問題にならなかった磁気歪みの悪影響を受けることが考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、MRAMにおける磁気歪みによる悪影響を抑えることが可能な半導体装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る半導体装置は、基板と、基板に搭載される少なくとも1つの半導体素子と、基板に搭載されかつ半導体素子に接続される複数のMRAMと、を備える半導体装置であって、複数のMRAMは、半導体素子の周辺領域のうち半導体素子の平面形状における対角線の延長線と重ならない位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の平面図
【
図2】
図1のA−A切断面における半導体装置の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を
図1〜10に基づいて説明する。本実施形態の半導体装置10は、例えば、サーバー、ノートパソコン、車載器、携帯電話、スマートフォン等用のマザーボードとして使用されるもので、基板30に、本発明の「半導体素子」に相当するMPU(Micro−processing unit)50、MRAM55、その他の各種電子部品60を搭載してなる。
【0009】
図1に示すように、本実施形態の半導体装置10では、基板30の表側の面であるF面30Fに1つのMPU50が配置されている。MRAM55は、MPU50の周囲に4つ配置されている。これらMRAM55とMPU50とは、後述するビア導体23D及び第1導体層22(
図2参照)等を介して電気的に接続されている。なお、MRAM55の平面形状は、MPU50の平面形状よりも小さくなっている。
【0010】
図2には、MPU50及びMRAM55が配置された部分で切断された半導体装置10の断面構造が拡大して示されている。同図に示すように、半導体装置10における基板30は、コア基板11の表裏の両面にビルドアップ層20,20を有する構造になっている。コア基板11は、絶縁性部材で構成されている。コア基板11の表側の面であるF面11Fと、コア基板11の裏側の面であるS面11Sとには、導体回路層12がそれぞれ形成されている。また、コア基板11には、複数の導電用貫通孔14が形成されている。各導電用貫通孔14内にはめっきが充填されて複数のスルーホール導電導体15がそれぞれ形成され、それらスルーホール導電導体15によってF面11Fの導体回路層12とS面11Sの導体回路層12との間が接続されている。
【0011】
コア基板11のF面11F側のビルドアップ層20も、S面11S側のビルドアップ層20も共に、コア基板11側から順番に、第1絶縁樹脂層21、第1導体層22、第2絶縁樹脂層23、第2導体層24を積層してなり、第2導体層24上には、ソルダーレジスト層25が積層されている。
【0012】
第1絶縁樹脂層21及び第2絶縁樹脂層23には、それぞれ複数のビアホール21H,23Hが形成されている。これらビアホール21H,23H内にめっきが充填されて複数のビア導体21D,23Dが形成されている。そして、第1絶縁樹脂層21のビア導体21Dによって、導体回路層12と第1導体層22との間が接続され、第2絶縁樹脂層23のビア導体23Dによって、第1導体層22と第2導体層24との間が接続されている。
【0013】
コア基板11のF面11F側の第1導体層22は、S面11S側の第1導体層22よりも厚くなっている。これにより、基板30のうちのコア基板11のF面11F側の導体層の総体積がS面11S側の導体層の総体積よりも大きくなっている。
【0014】
ソルダーレジスト層25には、複数のパッド用孔が形成され、第2導体層24の一部がパッド用孔内に位置してパッド26になっている。同図に示すように、基板30のF面30F側の複数のパッド26上には半田バンプ27がそれぞれ形成されていて、MPU50及びMRAM55は、これら半田バンプ27群に半田付けされている。
【0015】
また、MPU50が基板30に直接実装されているのに対し、MRAM55は、基板30にインターポーザ基板53を介して実装されている(以降、MRAM55とインターポーザ基板53とを合わせたものを、「MRAM複合体56」という)。
図3に示すように、インターポーザ基板53は、MRAM55と略同じ平面形状をなし、基板30と同様に、コア基板53Cの表裏の面にビルドアップ層53Bを備えてなる。また、コア基板53Cはビルドアップ層53Bよりも厚くなっている。
【0016】
なお、インターポーザ基板53のコア基板53C及びビルドアップ層53Bの絶縁樹脂層は、熱膨張係数が低い程好ましく、例えば、コア基板53Cの熱膨張係数は1〜5ppm/℃であり、ビルドアップ層53Bの絶縁樹脂層の熱膨張係数は1〜25ppm/℃である。また、ビルドアップ層53Bの導体層は、薄い程好ましい。
【0017】
また、インターポーザ基板53のF面53F側のパッド53Pには、半田バンプ54が形成されている。この半田バンプ54は、基板30に形成される半田バンプ27よりも小さく、また、融点が高くなっている。この半田バンプ54群にMRAM55が半田付けされてMRAM複合体56が構成されている。
【0018】
そして、
図1に示すように、MRAM複合体56は、基板30のF面30FのうちMPU50の4側辺の各中央部付近にそれぞれ1つずつ実装されている。つまり、MRAM複合体56は、基板30のF面30FのうちMPU50の対角線Lの延長線と重ならない位置に配置されている。また、MRAM複合体56の実装位置は、基板30の対角線とも重ならない位置となっている。なお、MPU50と同心をなしかつMPU50の相似形状の領域で、内部に4つのMRAM複合体56を含む領域が本発明の周辺領域Sに相当する。
【0019】
次に、本実施形態の半導体装置10の製造方法について説明する。まず、基板30は、以下のようにして製造される。
【0020】
(1)
図4(A)に示すように、コア基板11としてエポキシ樹脂又はBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂とガラスクロスなどの補強材からなる絶縁性基材11Kの表裏の両面に、銅箔11Cがラミネートされているものが用意される。
【0021】
(2)
図4(B)に示すように、コア基板11にF面11F側から例えばCO2レーザが照射されて導電用貫通孔14を形成するためのテーパー孔14Aが穿孔される。
【0022】
(3)
図4(C)に示すように、コア基板11のS面11Sのうち前述したF面11F側のテーパー孔14Aの真裏となる位置にCO2レーザが照射されてテーパー孔14Aが穿孔され、それらテーパー孔14A,14Aから導電用貫通孔14が形成される。
【0023】
(4)無電解めっき処理が行われ、銅箔11C上と導電用貫通孔14の内面に無電解めっき膜(図示せず)が形成される。
【0024】
(5)
図4(D)に示すように、銅箔11C上の無電解めっき膜上に、所定パターンのめっきレジスト33が形成される。
【0025】
(6)電解めっき処理が行われ、
図5(A)に示すように、電解めっきが導電用貫通孔14内に充填されてスルーホール導電導体15が形成されると共に、銅箔11C上の無電解めっき膜(図示せず)のうちめっきレジスト33から露出している部分に電解めっき膜34が形成される。
【0026】
(7)めっきレジスト33が剥離されると共に、めっきレジスト33の下方の無電解めっき膜(図示せず)及び銅箔11Cが除去され、
図5(B)に示すように、残された電解めっき膜34、無電解めっき膜及び銅箔11Cにより、コア基板11のF面11F上に導体回路層12が形成されると共に、コア基板11のS面11S上に導体回路層12が形成される。そして、F面11Fの導体回路層12とS面11Sの導体回路層12とがスルーホール導電導体15によって接続された状態になる。
【0027】
(8)
図6(A)に示すように、コア基板11のF面11F上の導体回路層12上に、第1絶縁樹脂層21としてのプリプレグ(心材を樹脂含浸してなるBステージの樹脂シート)と銅箔37が積層されてから、加熱プレスされる。その際、コア基板11のF面11Fの導体回路層12,12同士の間がプリプレグにて埋められる。
【0028】
(9)
図6(B)に示すように、コア基板11のS面11S上の導体回路層12上に第1絶縁樹脂層21としてのプリプレグと銅箔37が積層されてから、加熱プレスされる。その際、コア基板11のS面11Sの導体回路層12,12同士の間がプリプレグにて埋められる。
【0029】
なお、第1絶縁樹脂層21としてプリプレグの代わりに心材を含まない樹脂フィルムを用いてもよい。その場合は、銅箔を積層することなく、樹脂フィルムの表面に、直接、セミアディティブ法で導体回路層を形成することができる。
【0030】
(10)
図7(A)に示すように、上記したプリプレグによって形成されたコア基板11の表裏の両側の第1絶縁樹脂層21,21にCO2レーザが照射されて、複数のビアホール21Hが形成される。それら複数のビアホール21Hは、導体回路層12上に配置される。
【0031】
(11)無電解めっき処理が行われ、第1絶縁樹脂層21,21上と、ビアホール21H,21H内とに無電解めっき膜(図示せず)が形成される。
【0032】
(12)
図7(B)に示すように、銅箔37上の無電解めっき膜上に、所定パターンのめっきレジスト40が形成される。
【0033】
(13)電解めっき処理が行われ、
図7(C)に示すように、めっきがビアホール21H,21H内に充填されてビア導体21D,21Dが形成され、さらには、第1絶縁樹脂層21,21上の無電解めっき膜(図示せず)のうちめっきレジスト40から露出している部分に電解めっき膜39,39が形成される。
【0034】
このとき、電解銅めっき液に浸漬されるコア基板11のうちF面11F側の無電解めっき膜に通電される電流がS面11S側の無電解めっき膜に通電される電流よりも大きくなっている。これにより、F面11F側の電解めっき膜39がS面11S側の電解めっき膜39よりも厚くなる。
【0035】
(14)めっきレジスト40が剥離されると共に、めっきレジスト40の下方の無電解めっき膜(図示せず)及び銅箔37が除去され、
図8(A)に示すように、残された電解めっき膜39、無電解めっき膜及び銅箔37により、コア基板11の表裏の各第1絶縁樹脂層21上に第1導体層22が形成される。そして、コア基板11の表裏の各第1導体層22の一部と導体回路層12とがビア導体21Dによって接続される。
【0036】
(15)上記した(8)〜(14)と同様の処理により、
図8(B)に示すように、コア基板11の表裏の各第1導体層22上に第2絶縁樹脂層23と第2導体層24とが形成されて、各第2導体層24の一部と第1導体層22とがビア導体23Dによって接続された状態になる。なお、本実施形態では、第2導体層24を形成する際の電解めっき処理において、F面11F側の無電解めっき膜に通電される電流とS面11S側の無電解めっき膜に通電される電流とを同じとすることで、F面11F側の第2導体層24とS面11S側の第2導体層24とが同じ厚さになっている。
【0037】
(16)
図8(C)に示すように、コア基板11の表裏の各第2導体層24上にソルダーレジスト層25,25が積層される。
【0038】
(17)
図9(A)に示すように、コア基板11の表裏のソルダーレジスト層25,25の所定箇所にテーパー状のパッド用孔が形成され、コア基板11の表裏の各第2導体層24のうちパッド用孔から露出した部分がパッド26になる。
【0039】
(18)パッド26上に、ニッケル層、パラジウム層、金層の順に積層されて
図9(B)に示した金属膜41が形成される。以上で基板30が完成する。なお、パッド26上に形成される金属膜は、Ni/Au膜、Sn膜、又はOSP(Organic Solderability Preservative)膜でも良い。
【0040】
次に、以下のようにして、基板30にMPU50及びMRAM55が実装される。
(1)MPU50とMRAM複合体56とが用意される。MRAM複合体56は、基板30と同様の方法により製造されるインターポーザ基板53のF面53FにMRAM55が半田付けされることで予め製造される。
【0041】
(2)基板30の有するパッド26上に、半田バンプ27が形成される。
【0042】
(3)基板30の半田バンプ27群上にMPU50とMRAM複合体56とが配置される。
【0043】
(4)基板30が炉内で加熱され(以下、適宜「リフロー」という)、その後、冷却される。以上で半導体装置10が完成する。
【0044】
ところで、基板30のリフロー及び冷却を行うと、
図10に示す概念図のように、基板30のうちのMPU50の周辺領域SがMPU50を中心に隆起する丘陵形状に反ってしまうことが起こり得る。
【0045】
この基板30の反りは以下のように生じるものだと考えられる。即ち、基板30に含まれる導体が、基板30の加熱により熱膨張し、基板30の冷却により収縮する。このとき、基板30のF面30F側の導体の収縮がF面30Fに実装されたMPU50により阻害されるため、S面30S側の導体の収縮量がF面30F側の導体の収縮量よりも大きくなる。この導体の収縮量の差により、基板30のうちのMPU50の周辺領域SがF面30F側に向かって突出した丘陵形状となると考えられる。
【0046】
また、リフロー及び冷却後の基板30においては、
図10に示すように、MPU50の各辺の側方の領域が比較的なだらかとなるのに対し、MPU50の対角線Lの延長線上が比較的大きく反ると考えられる。
【0047】
ここで、仮にMRAM55をMPU50の対角線Lの延長線上に配置すると、基板30の反りによりMRAM55が変形してMRAM55内で磁気歪みが発生し、MRAM55が磁気歪みによる悪影響を受けるという不具合が生じることが考えられる。これに対して、本実施形態の半導体装置10では、MRAM55が、MPU50の周辺領域SのうちMPU50の対角線Lの延長線と重ならない位置に配置されているので、MRAM55が基板30の反りの影響を受けることを抑制することができ、MRAM55における磁気歪みによる悪影響を抑えることができる。
【0048】
また、本実施形態では、上述したように、基板30のF面30F側の導体層の総体積が、S面30S側の導体層の総体積よりも大きくなっているため、F面30F側の導体の収縮量をS面30S側の導体の収縮量に近づけることができ、基板30が丘陵形状に反ることを緩和することができる。これによっても、MRAM55が基板30の反りの影響を受けることを抑制することができ、MRAM55における磁気歪みによる悪影響を抑えることができる。また、F面30F側の導体層の総体積とS面30S側の導体層の総体積とが第1導体層22の厚さにより調整されているので、回路パターンの変更を行わなくてもよい。
【0049】
さらに、MRAM55が基板30にインターポーザ基板53を介して実装されているので、MRAM55が基板30の反りの影響を受けることをより抑制することができる。また、インターポーザ基板53がビルドアップ層53Bよりも厚いコア基板53Cを有しているため、MRAM55の変形をより抑制することができる。なお、インターポーザ基板53のコア基板53C及びビルドアップ層53Bの絶縁樹脂層の熱膨張係数を低くするほど、インターポーザ基板53の剛性が高くなり、MRAM55が基板30の反りの影響を受けることを抑制することができる。また、インターポーザ基板53のビルドアップ層53Bの導体層を薄くするほど、インターポーザ基板53の膨張、収縮を防ぐことができてインターポーザ基板53の剛性が高くなり、MRAM55が基板30の反りの影響を受けることを抑制することができる。
【0050】
また、MRAM55が基板30の反りの影響を受けにくくなる方法の一つとして、MPU50を半田付けした後にMRAM複合体56を半田付けするというようにリフローを別々に行うことも考えられるが、本実施形態の半導体装置10では、上述したようにMRAM55が基板30の反りの影響を受けにくい位置に配置されるので、MPU50の半田付けとMRAM複合体56の半田付けとを1度のリフローで行うことができる。これにより、別々にリフローする場合よりも工程数を少なくすることができる。また、別々にリフローする場合、MPU50実装用の半田とMRAM複合体56実装用の半田とに融点の異なるものが使用される必要があるが、本実施形態では半田の種類を一種類にすることができるので、コストを削減することもできる。
【0051】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0052】
(1)上記実施形態では、MPU50とMRAM複合体56とが1度のリフローで半田付けされていたが、MPU50を載置してリフローした後にMRAM複合体56を載置してリフローする構成であってもよい。この場合、MPU50を半田付けした後の基板30の反りに合わせてMRAM55を実装することができるので、MRAM55が基板30の反りの影響を受けることをより抑制することができる。なお、この場合、MPU50実装用の半田の融点が、MRAM複合体56実装用の半田の融点よりも高くなっている。
【0053】
(2)上記実施形態では、基板30のF面30F側の導体層の総体積とS面30S側の導体層の総体積とを異ならせるために、F面30F側とS面30S側とで導体層の厚さを異ならせていたが、導体層の厚さを等しくし、残銅率(即ち、回路パターンの面積(本発明の「導体占有面積」に相当する)/総面積)を異ならせる構成であってもよい。また、導体層の厚さと残銅率との両方を異ならせる構成であってもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、コア基板11のF面11F側の導体層の総体積がS面11S側の導体層の総体積よりも大きくなっている部分が、基板30の全体であったが、基板30のうちのMPU50の周辺領域Sのみであってもよい。この場合、例えば、基板30のうちのMPU50の周辺領域Sにおいて、F面30F側の残銅率をS面30S側の残銅率よりも大きくすること等が考えられる。
【0055】
(4)上記実施形態では、基板30のF面30F側とS面30S側とにおいて厚さが異なる導体層が第1導体層22であったが、第2導体層24であってもよい。また、第1導体層22と第2導体層24との両方で厚さを異ならせてもよい。さらに、導体回路層12の厚さを異ならせてもよい。
【0056】
(5)上記実施形態では、インターポーザ基板53がコア基板53Cを有していたが、インターポーザ基板53はコアレス構造であってもよい。
【0057】
(6)上記実施形態では、MRAM55が基板30にインターポーザ基板53を介して実装されていたが、インターポーザ基板53を介さずに直接実装される構成であってもよい。
【0058】
(7)上記実施形態では、インターポーザ基板53とMRAM55とは基板30に実装される前に予め半田付けされていたが、インターポーザ基板53と基板30とが半田付けされるのと同時にインターポーザ基板53とMRAM55とが半田付けされる構成であってもよい。
【0059】
(8)上記実施形態では、インターポーザ基板53の平面形状がMRAM55の平面形状と略同一であったが、MRAM55の平面形状よりも大きくてもよい。
【0060】
(9)上記実施形態では、MRAM55が基板30の対角線と重ならない位置に配置されていたが、
図11に示すように、基板30の対角線上に配置されてもよい。
【0061】
(10)上記実施形態では、MPU50が基板30の中央からずれた位置に配置されていたが、
図12に示すように、基板30の中央に配置されてもよい。
【0062】
(11)上記実施形態では、MPU50とMRAM55とが基板30における同一の面に配置されていたが、例えば、MPU50がF面30Fに配置され、MRAM55がS面30Sに配置される構成であってもよい。このとき、
図13に示すように、MRAM55が基板30を挟んでMPU50と対向する位置に配置される構成であってもよい。
【0063】
(12)MPU50とMRAM55との平面形状は、正方形であってもよい。
【0064】
(13)上記実施形態では、MPU50と接続されるMRAM55の数が4つであったが、これ以外の数(例えば、
図14に示すように、8つ)であってもよい。
【0065】
(14)上記実施形態では、本発明の「半導体素子」がMPU50であったが、例えば、CPUやパワー半導体素子等であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 半導体装置
11 コア基板
21 第1絶縁樹脂層
22 第1導体層
23 第2絶縁樹脂層
24 第2導体層
27 半田バンプ
30 基板
53 インターポーザ基板
53B ビルドアップ層
53C コア基板
54 半田バンプ
50 MPU(半導体素子)
55 MRAM