特許第6362545号(P6362545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362545
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】パワー半導体装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20180712BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01L29/78 652L
   H01L29/78 652G
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 655C
   H01L29/78 658F
   H01L29/78 658A
   H01L29/78 657D
   H01L29/78 653A
   H01L29/91 F
   H01L29/91 A
   H01L29/86 301P
   H01L21/28 301S
   H01L21/28 B
   H01L21/265 602C
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-560315(P2014-560315)
(86)(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公表番号】特表2015-513218(P2015-513218A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2013054169
(87)【国際公開番号】WO2013131821
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】12158043.5
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508346767
【氏名又は名称】アーベーベー・テクノロジー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラヒモ,ムナフ
(72)【発明者】
【氏名】コルバーシェ,チアラ
(72)【発明者】
【氏名】ボベッキィ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】大谷 洋一
【審査官】 早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−085050(JP,A)
【文献】 特開2011−014806(JP,A)
【文献】 米国特許第05236865(US,A)
【文献】 特表2011−507299(JP,A)
【文献】 特開2009−010365(JP,A)
【文献】 特開2011−124455(JP,A)
【文献】 特開2008−226993(JP,A)
【文献】 特開2014−146757(JP,A)
【文献】 特開2014−123589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/739
H01L 21/331
H01L 29/861−29/885
H01L 21/329
H01L 29/40−29/51
H01L 21/28−21/288
H01L 21/263−21/268
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体装置を製造するための方法であって、
第1の導電型のウェハ(1)を設けるステップを備え、ウェハは、第1の主側(11)および前記第1の主側(11)とは反対の第2の主側(15)を有し、補正していないドーピング濃度を有するウェハの一部はドリフト層(10)を形成し、さらに
前記第2の主側(15)に、前記第1の導電型の層(2′)を形成するための前記第1の導電型のドーパント、および第2の導電型の層(2)を形成するための、前記第1の導電型とは異なる前記第2の導電型のドーパントのうち少なくとも1つを適用するステップと、
その後、前記第2の主側(15)上にチタン堆積層(3)を堆積するステップと、
前記チタン堆積層(3)を1200℃よりも高い温度でレーザアニールして、これにより、同時に、前記チタン堆積層(3)と前記ウェハ(1)との間の界面に金属間化合物層(35)が形成され、かつ前記少なくとも1つのドーパントが前記ウェハ(1)の中に拡散されるステップとを備え、そのような温度を適用することにより、前記チタン堆積層(3)は光吸収物として働くため、前記チタン堆積層(3)よりも下にある前記ウェハ(1)中の上昇した温度が達成され、さらに、
記第2の主側(15)上に第1の金属電極層(4)を作製するステップを備える、方法。
【請求項2】
厚みが5〜200nmの間、特に10〜50nmの間である前記チタン堆積層(3)を堆積することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドーパントを打込むまたは堆積することによって前記少なくとも1つのドーパントを適用することを特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
予めドープされた非晶質シリコンをドーパントとして堆積することによって前記少なくとも1つのドーパントを適用することを特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属電極層(4)を焼結することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
記第1の金属電極層(4)を作製する前に前記金属間化合物層(35)および前記チタン堆積層(3)を除去するステップを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
記第1の金属電極層(4)を作製する前に前記チタン堆積層(3)を除去し、前記金属間化合物層(35)を維持することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ウェハ(1)としてシリコンまたは広バンドギャップのウェハを設けることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ウェハ(1)を設ける前に前記ウェハ(1)の中にバッファ層(13)を導入し、バッファ層(13)は前記ドリフト層(10)と前記第2の主側(15)との間に導入され、バッファ層(13)は前記ドリフト層(10)よりもドーピング濃度が高いことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
1300℃よりも高い温度で前記チタン堆積層(3)をレーザアニールすることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
IGBT、特に逆導通IGBT、またはダイオードを前記パワー半導体装置として製造することを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明はパワーエレクトロニクスの分野に関し、より特定的にはパワー半導体装置を製造するための方法およびそのようなパワー半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明を実施するためのモード
4層構造を有する先行技術のパンチスルー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)は、コレクタ側のコレクタ電極と、コレクタ側とは反対にあるエミッタ側のエミッタ電極とを備える。(n−)ドープされたドリフト層がエミッタ電極とコレクタ電極との間に位置する。エミッタ側には、nドープされたソース領域を取囲むpドープされたベース層が配置される。これらのソース領域とベース層とはエミッタ電極と電気的に接している。絶縁層によってすべての他の層から電気的に絶縁されるゲート電極もエミッタ側に配置される(プレーナゲートまたはトレンチゲート)。
【0003】
nドープされたバッファ層は、ベース層とコレクタ電極との間に、コレクタ側にある。装置の動作の間、バッファ層の中で電界が止められる。バッファ層の上に、コレクタ電極に向けて、pドープされたコレクタ層が配置される。
【0004】
そのような装置は、以前はバッファ層のエピタキシャル成長によって製造されていた。
そのような装置は、非パンチスルー(NPT)装置にさらに進化し、この中にはバッファ層が存在せず、pコレクタ層が(n−)ドープされたドリフト層にすぐ隣接している。そのような装置は、スイッチング能力およびそのようなチップの電流共有という点でいくつかの利点を与え、高電流モジュールにおいてIGBTを用いるのを可能にした。
【0005】
それにも係わらず、そのような装置は、NPT概念におけるドリフト層内で電界を止める必要性により、厚みのあるウェハ設計を必要とする。したがって、そのようなNPT装置はより高い静的および動的損失を被る。
【0006】
IGBTの電気的性質を向上させるため、ソフトパンチスルー(SPT)装置が導入された。これは、より薄いがより濃くドープされたバッファ層を有し、その結果、NPT装置よりも薄い装置となっているが、以前のPT装置からわかっている欠点がない。そのような装置は損失という点で改良を与えた。それにも係わらず、SPT概念は、ウェハが薄い場合には複雑なプロセスを必要とし、これは、コレクタおよびバッファ層を含む裏側層を形成するための低電圧IGBTの場合は特に当てはまる。
【0007】
そのような方法は、たとえば、DE19829614A1から公知である。これは、エピタキシ法を用いる必要なく比較的薄い半導体素子を作製できるようにする、PTの種類に基づくソフトパンチスルー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)180素子(図1c)のための作製方法を記載する。この目的のため、電気的に必要であるよりも厚みが大きなバッファ層13が薄くドープされたウェハに導入され、次に(ベース層5、ソース領域6、その導電層75および絶縁層72、74を有するゲート電極7′のような)半導体素子のエミッタ側の表面(第1の主側11)上の層を実現するためのプロセスステップが行なわれる。その後、バッファ層の厚みは、第2の主側15上で、削るまたは磨くことによって電気的に必要な大きさに低減される(図1a中の点線)。このように、比較的厚いウェハに対してエミッタ側のプロセスステップを行なって、これにより壊れるというおそれを低減することができる。それにも係わらず、ウェハのその後の薄膜化により、所望の小さな厚みを有する半導体素子を作ることができる。完成した半導体素子の最小厚みは、その開始材料について達成可能な最小厚みによってもはや限られることはない。その後、コレクタ層2(図1b)を形成するためにpドーパントが打込まれ、拡散され、次に第2の主側15上に第1の電極層4が作製される(図1c)。
【0008】
US6,482,681B1には、別のパンチスルー(PT)絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が記載される。装置は、(n−)ドープされたウェハを用いることによって作られ、その上で、カソード側とも呼ばれるエミッタ側上に層を製造するためのすべてのプロセスを終える。すなわち、エミッタ側上のすべての接合部および金属被覆(metallization)が作られる。その後、ウェハは薄膜化され、n+ドープされたバッファ層を形成するために、アノード側とも呼ばれるウェハのコレクタ側に水素イオンが打込まれる。次に、コレクタ層を形成するためにpドーパントが打込まれる。次に、ウェハは300〜400℃でアニールされて、エミッタ側上の構造に損傷を与えることなく水素イオンを活性化させる。このように、バッファ層は、ブロッキングの場合は、コレクタ層に達する前に急激に電界を減速し、こうして当該コレクタ層から電界を遠ざけるように働く。というのも、電界がコレクタ層に達すると、半導体素子が破壊される可能性があるからである。
【0009】
装置を薄膜化した後、p型コレクタ層を形成するためにpドーパントが打込まれ、レーザアニールによって活性化され、その後に複数回の金属堆積が行なわれ、最終的に、400℃よりも低い焼結プロセスが従来の炉の中でなされてアノードを活性化し、コレクタ電極への良好なコンタクトを形成する。このプロセスは、p型アノードコレクタ活性化の良好な制御を達成するための限定的なものである。しかしながら、400℃よりも低い温度にコレクタ側プロセスを制限することにより、良好なSi/金属コンタクトを形成するようにアノード(またはカソード)活性化レベルを制御できることも強く制限される。それだけでなく、多数の限定的なプロセスオプションについては、改良された静的および動的性能の装置最適化が必要である。
【0010】
打込みの後に(たとえば、1J/cm2を上回る)高エネルギレーザアニールを利用することにより、より高い活性化レベルが可能である。しかしながら、これはSiウェハ表面に対してしか影響を有することがなく、金属コンタクトを改良しない。なぜなら、後のステップで金属被覆がなされるからである。別個のステップとして金属被覆処理および焼結が依然として必要である。
【0011】
薄いウェハ処理に基づいて高速回復ダイオードを設計する際に同様の課題に遭遇する。すべてのこれらの事例では、pコレクタ層の作製に、最適化されたレーザアニール技術の使用が不可避である。
【0012】
US2008/0076238A1にはIGBTの作製のための方法が記載され、そこでは、ウェハ上にリンイオンが打込まれてレーザアニールされ、バッファ層を作製する。その後、ホウ素イオンが打込まれてレーザアニールされ、コレクタ層を作製する。次に、コレクタ層の上にニッケル膜が塗布され、その後レーザアニールされる。すべてのレーザアニールステップは別個に行なわれる。
【0013】
EP0330122A1は、IGBTであって、600℃よりも低い温度でアニールされるp打込みコレクタ層を有し、その上に白金層が後にスパッタリングされ、次に450〜470℃に加熱されてPt−Si化合物層を形成する、IGBTを記載する。その後、チタン層、ニッケル層、および銀層から多層コレクタ電極が作られる。
【発明の概要】
【0014】
発明の開示
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、パワー半導体装置を製造するための、先行技術の方法よりも改良されたプロセス能力およびより良好な装置性能を有する、電極へのウェハのより良好なコンタクトを設ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、発明のパワー半導体装置を製造するための方法によって達成され、当該方法は、
−第1の主側および第1の主側とは反対の第2の主側を有する第1の導電型のウェハを設けることと、
−第1の導電型とは異なる第2の導電型または第1の導電型のドーパントを第2の主側に適用して、それぞれ第1または第2の導電型の層を形成することと、
−その後、第2の主側にチタン堆積層を堆積することとを備え、チタンの融点は1660℃、すなわちシリコン(1410℃)よりも高く、さらに
−チタン堆積層をアニールし、これにより、同時に、チタン堆積層とウェハとの間の界面に金属間化合物層が形成され、かつウェハの中にドーパントが拡散されることと、
−第2の側の上に第1の金属電極層を作製することとを備える。
【0017】
発明は例示的に、厚みが大きくても200μmである薄いウェハに適用可能である。というのも、それらは、低電圧IGBT(2000Vまでの電圧)または低電圧ダイオード(これも2000Vまで)に用いられるからである。先行技術のSPT IGBTおよびダイオードと比較して、発明の製造方法によってプロセス能力を向上させることができ、装置性能も向上させることができる。
【0018】
発明の方法を用いることにより、(pドーパントとしてのホウ素もしくはアルミニウム、またはnドーパントとしてのリンもしくはヒ素のような)コレクタドーパントの活性化を大きく改良することができ、これは、薄いウェハ、および例示的には200mm以上の直径のような径の大きなウェハを処理する際に特に重要である。
【0019】
チタンからなる金属堆積層は融点が高い。というのも、レーザパルスの持続時間およびエネルギに依存して、ウェハ表面に高温が生じる可能性があるからである。短くても高エネルギのレーザパルスは、1000℃を優に超える温度を生じる。例示的に、>1J/cm2のエネルギを有するレーザパルスが用いられる。たとえば、非常に短く(たとえば200ns)かつ高エネルギ(2J/cm2)のレーザパルスは、1300℃を超える表面温度を生じることができる。したがって、融点が1660℃の、およびしたがってレーザが生じるたとえば1200℃を超えるまたは1300℃すら超える温度よりも高いチタンが用いられる。チタンは、第1または第2の導電型の層を形成するための第1または第2の導電型のドーパントを適用した後に薄い層として適用され、その後アニールされる。チタンは、このステップでは光吸収物として働く。結果的に得られる効果は、チタン堆積層よりも下のウェハ材料(たとえばシリコン)の上昇した温度であり、これはドーパントのより高い活性化に繋がる。なぜなら、同じエネルギ密度のレーザ光線に対して、チタン堆積層によってより多くのエネルギが吸収されるからである。チタンの熱伝導率は小さく(21.9W・m-1・K-1)、そのため大きな熱の広がりはなく、下にあるウェハ材料(たとえばシリコン)のためにより多くの熱を利用する。ドーパントの活性化とともにケイ化チタンが作製される。これは接触抵抗を改良するので、金属電極層の一部としてチタン堆積層を維持するのに有利であり得る。
【0020】
主な利点は、融点が1600℃よりも高いチタン堆積層がウェハ表面よりもはるかに多くレーザ光線(熱)を吸収することによる。したがって、ドーパントのより良好な活性化が達成される、および/または図11に示されるようにより低いレーザエネルギを適用することができる。
【0021】
チタンは、Siウェハとの良好な接触ケイ化物層を設けることができる。これらの層も、コレクタ側に交互のpおよびn領域を備える逆導通IGBTまたは電界電荷抽出(FCE)概念のダイオードのための必要に応じて、裏側構造に加えて用いることができる。
【0022】
第1または第2の導電型の層を形成するためのドーパントの打込みのステップを含む発明の方法の場合、打込みステップおよび金属堆積ステップは2つの異なる器具の中で行なわれる。ドーパントを適用する方法として堆積を用いる場合、金属堆積層を同じ機構の中で作製可能である。
【0023】
レーザアニールステップは、金属堆積層がウェハ表面(pまたはn型層)上に堆積された後に行なわれる。したがって、(プロセス能力およびレーザアニール後の表面損傷からより良好な)より低いレーザエネルギで良好な活性化レベルが達成され、(金属間化合物層および/または焼結ステップにより)良好なコンタクトが形成される。図11は、先行技術のレーザアニールと比較した、先行技術の焼結によって達成されるドーピング濃度と、レーザアニールステップ前に発明のTi堆積層を加えることによる改良とを示す。ドーピング濃度は、先行技術のレーザアニールについては、約5*1016cm-3から1*1018cm-3に、発明のレーザアニールおよびTi堆積層を有するウェハについては、さらに8*1019cm-3に上昇する。
【0024】
レーザアニールステップの後、小さなアニールステップを用いて、Ti、Ni、またはAgなどの最終的なはんだ付け金属を堆積することができる。同じ金属を、金属堆積層としておよび第1の金属電極層として用いてもよい。
【0025】
第1または第2の導電型の層を形成するための蒸着またはスパッタリングのような堆積によるドーパント適用の方法には、ドーパントの堆積および金属堆積層の堆積に単一の器具を用いることができる。
【0026】
発明の主題は、添付の図面を参照して、以下の本文により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】先行技術のパワー半導体装置を製造するための方法を示す図である。
図2】パワー半導体装置を製造するための発明の方法を示す図である。
図3図2のステップa)のための代替策を示す図である。
図4図2のステップb)の代替策を示す図である。
図5図2のステップd)の代替策の図である。
図6図2のステップd)の別の代替策の図である。
図7】発明のIGBTを示す図である。
図8】発明のIGBTを示す図である。
図9】発明のIGBTを示す図である。
図10】発明のダイオードを示す図である。
図11】先行技術の方法および発明の方法を用いて達成される、ウェハ中の深さに対するドーピング濃度を示すグラフの図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明を実施するためのモード
図中で用いる参照記号およびその意味は、参照記号の一覧に要約される。一般的に、同様のまたは同様に機能する部分には同じ参照記号が与えられる。記載の実施形態は、例として意味されるものであり、発明を限るものではない。
【0029】
発明の絶縁ゲートバイポーラトランジスタを製造するために、以下のステップを行なう。
【0030】
第1の主側11および第1の主側11とは反対の第2の主側15を有する、(n−)ドープされたウェハ1が設けられる。ウェハ1は、シリコンまたは広バンドギャップのウェハに基づいて作られ得る。完成した装置中のドーピング濃度を補正していないウェハのそのような部分がドリフト層10を形成する。例示的に、ウェハ1のドーピング濃度は一定して低い。その中には、(完成した装置中のドーピング濃度を補正していないウェハの一部がドリフト層10を形成する)ウェハの実質的に一定のドーピング濃度とは、ドーピング濃度がウェハ1(ドリフト層10)を通して実質的に均質であることを意味するが、たとえば用いられているウェハの製造プロセスによって、1〜5倍のオーダのウェハ1(ドリフト層10)内のドーピング濃度の変動がおそらく存在し得ることを排除するものではない。
【0031】
第2の主側15にnドーパントが適用され、ウェハ1中に拡散されて、バッファ層13を作製する。
【0032】
これに代えて、その上にバッファ層を作製することなく、(n−)ドープされたウェハ上に、以下のステップを直接に行なう。すなわち、バッファ層を作製するステップを省略して、非パンチスルー装置を製造する。この場合、第2の側15上に、(n−)ドープされたドリフト層10のすぐ隣に以下に記載するようなコレクタ層2、2′が作製される。
【0033】
その後、第1の主側11上に層を作製するために、以下のステップを行なう。ベース層5を形成するために、第1の主側11にpドーパントが適用され、ウェハ1の中に拡散される。
【0034】
次に、ソース領域6の作製のためのn型ドーパントが第1の主側11に打込まれて、アニールされる。
【0035】
その後、ウェハは例示的に第2の主側15で薄膜化され、装置がバッファ層を備える場合はバッファ層の尾部を残す、またはドリフト層の厚みを電気的に所望される厚みに低減する。
【0036】
これらのステップは、ウェハの第1の主側11およびバッファ層13上への層の作製のための一例としてのみ意図される。(たとえば、先に記載されたものよりも後の段階で第1の主側11上に層の一部を作製することなどの任意の他の順序が発明によってカバーされる。たとえば、第1および第2の金属電極層4、8が同時に作製されてもよい。
【0037】
以下に開示される発明の方法は、ウェハを設けることによって始まる。ウェハは、第1の主側11と、第1の主側11とは反対の第2の主側15とを有し、ウェハは、第2の主側15の上に(後にバッファ層を形成する)nドープされた層を有する(図2a)。これに代えて、発明の方法は、図3に示されるように、第2の主側15上に異なってドープされる層を全く有しない、(n−)ドープされるウェハを設けることによって始まってもよい。図2から図6では、第2の主側の層のみが示される。明瞭性の理由のため、第1の主側11上の層はこれらの図の一部ではない。
【0038】
第2の主側15上の層の作製のために、以下のステップを行なう。
−第1の導電型とは異なる第2の導電型または第1の導電型のドーパントを第2の主側15に適用して、第2または第1の導電型の層2を形成する(図2b)。
【0039】
−その後、第2の主側15上に金属堆積層3を堆積する、金属はチタンである(図2c)。
【0040】
−金属堆積層3とウェハ1との間の界面に金属間化合物層35が形成され、かつドーパントがウェハ1の中に拡散されるように、チタン堆積層3をアニールする。
【0041】
−第2の側15上に第1の金属電極層4を作製する。
nまたはpドープされた層2,2′の作製のためのドーパントを、ドーパントの堆積または打込みによって第2の主側15に適用することができる。半導体の種類に依存して、ドーパントはn型またはp型である。たとえば、半導体がダイオードである場合はドーパントはn型であってもよく、半導体がIGBTである場合はp型ドーパントが適用される。(nまたはp型イオンのいずれかで予めドープされた)予めドープされた非晶質シリコンもドーパントとして適用可能である。
【0042】
半導体が逆導通装置である場合は、n型ドーパントおよびp型の別のドーパントを適用して、第2の主側に平行な平面に交互のn層およびp層を作製する(図4)。
【0043】
金属堆積層を堆積するために、その融点が1660℃であるチタンを用いる。この融点はシリコンの融点よりも高い。チタン堆積層の厚みは、例示的に、5〜200nmの間、特に20〜200nmの間、特に10〜100nmの間、特に10〜50nm、または特に50〜100nmである。チタン堆積層3のアニールは、例示的にレーザアニールによって行なわれる。
【0044】
光吸収層として機能するチタン堆積層3およびドーパントは、後にレーザアニールによってアニールされる。これは、例示的に、1−1.5J/cm2、特に1J/cm2のエネルギを用いて行なわれる。ウェハがシリコンからなる場合、このレーザアニールにより、チタンはシリコンとともにケイ化物層(金属間化合物層)を形成する。金属間化合物層35がチタン堆積層3とウェハ1との間の界面に形成されるということは、チタンがチタン堆積層3からウェハ1の中に拡散し、シリコンがチタン層の中に拡散することを意味する。すなわち、金属間化合物層35が、チタン堆積層3の下に、ウェハの第2の主側15からある深さに配置される。金属間化合物層の厚みは、その深さまでは層35がウェハ表面(第2の主側15)からウェハの中に延在する深さである。これは、例示的に、チタン堆積層の厚みの4倍まで、例示的には当該厚みの3倍まで、のチタン堆積層の厚みに相当する。
【0045】
金属間化合物層は、金属堆積層からの金属、すなわちチタン、がウェハの中に拡散する(固体状態拡散)、および金属がウェハ材料との化合物を形成する、層である。シリコンウェハの場合はケイ化物が形成される。たとえば、シリコンはチタンとともにTiSi2を形成する。「金属間」という用語は、本特許出願では、チタン堆積層の金属(すなわちチタン)の、シリコンウェハ中への拡散によって作製されるケイ化物層を指すのに用いられる。これはチタン−ウェハ化合物層、または単にチタン−ウェハ層とも呼ばれることがある。
【0046】
第1の金属電極層4を作製する前に、金属間化合物層35をチタン堆積層3とともに除去してもよい(図6)。
【0047】
これに代えて、金属間化合物層35を維持してもよく、一方で、この場合、チタン堆積層3も維持してもよく(図2d)、たとえば図8に示されるこれらの層を有する発明のIGBT110)、または第1の金属電極層4を作製する前にこれを除去してもよい(図5;金属間層35を有するがチタン堆積層を有しないIGBT、たとえばIGBT100を示す図7、IGBT120を示す図9、または発明のダイオード150を示す図10)。
【0048】
例示的に、チタン堆積層3および少なくとも金属電極層のチタン堆積層3に面する側の金属電極層4に同じ金属を用いる場合、チタン堆積層3を除去する製造ステップを回避してもよい。しかしながら、チタン堆積層3および第1の金属電極層4に異なる金属を用いる場合は、導電チタン堆積層3が第1の金属電極層4の一部を形成するように堆積層3も維持してもよい。このように、第1の金属電極層4が被挟持層を形成する。
【0049】
第1の金属電極層4の作製の後、ウェハ1への第1の金属電極層4の確実なコンタクトをさらに向上させるために、層4を焼結してもよい。
【0050】
図7には、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ100の形態の発明のパワー半導体装置が示され、これは、第1の主側11のエミッタ電極の形態の第2の金属電極層8と、第2の主側15上のコレクタ電極の形態の第1の金属電極層4とを備え、第2の主側15は第1の主側11とは反対に配置される。第1の主側11と第2の主側15との間に(n−)ドープされたドリフト層10が配置される。ドリフト層10と第1の主側11との間にpドープされたベース層5が配置される。ベース層5は第2の金属電極層8に接する。第1の主側11の上に、少なくとも1つのnドープされたソース領域6が配置される。
【0051】
装置は、トレンチゲート電極7(図7図8)またはプレーナゲート電極7′(図9)のいずれかの形態のゲート電極を備える。
【0052】
そのようなトレンチゲート電極7は、導電層75と、導電層75を取囲み、こうして導電層75をドリフト層10、ベース層5、および少なくとも1つのソース領域6から分離する第1の電気絶縁層72とを備える。典型的に、導電層75と第2の金属電極層8との間に第2の絶縁層74が配置される。トレンチゲート電極7は、第1の主側11に平行な平面に、ベース層5の横に配置される。
【0053】
プレーナゲート電極7′を有するIGBT120が図9に示される。プレーナゲート電極7′も導電層75を備えるが、この場合、ゲート電極7′は第1の主側11上のウェハ1の上に配置される。ドリフト層10、ベース層5、および少なくとも1つのソース領域6から導電層75を分離するように、導電層75とウェハ1との間に第1の電気絶縁層72が配置される。典型的に、導電層75と第2の金属電極層8との間に第2の絶縁層74が配置される。
【0054】
ソース領域6が第2の金属電極層8に接するように、ベース層5の中にソース領域6が埋込まれる。
【0055】
第2の主側15上に、コレクタ層の形態のpドープされた層2が配置される。ドリフト層10よりもドーピング濃度が高いnドープされたバッファ層13が、ドリフト層10とコレクタ層との間に、一般的にはドリフト層10と第2の主側15との間に配置されてもよく、バッファ層はドリフト層10に隣接する。
【0056】
ソース領域6のドーピング濃度はベース層5のドーピング濃度よりも高い。ソース領域6の例示的なドーピング濃度は、1*1018cm-3よりも高く、1*1021cm-3よりも低く、例示的には1*1019cm-3と1*1020cm-3との間である。
【0057】
適用例の必要性および以上で与えられるドーピング濃度の規則によって、ベース層5およびドリフト層10のドーピング濃度を自由に選ぶことができる。600Vを超える装置については、ドリフト層のドーピング濃度は典型的に5*1014cm-3よりも低い。ベース層5は例示的に5*1018cm-3よりもドーピング濃度が低い。
【0058】
上述のような構造はアクティブセルを形成する。IGBT装置は、以上開示したようにアクティブセルを1つだけ備えてもよいが、装置は、少なくとも2つ以上のそのようなアクティブセルを備えることもできる。すなわち、アクティブセルを1つのウェハに繰返し配置することができる。
【0059】
図10に、第1の主側上にpドープされたアノード層55を備える発明のダイオード150が示される。第2の主側15上に、製造の際に金属堆積層3が適用されたnドープされた層2′がある。適用例に依存して、図110ではドリフト層10と第1の層2′の間に存在するバッファ層13も省略されてもよい。図10では、装置は金属間化合物層35を備えるが、前に述べたように、この層も除去されていてもよく、またはチタン堆積層3も維持されていてもよい。
【0060】
別の実施形態では、導電型を入換える。すなわち、第1の導電型のすべての層がp型(たとえばウェハ1)であり、第2の導電型のすべての層がn型である(たとえば、層2がウェハ1とは異なる導電型の場合は層2)。
【0061】
「備える」という用語は他の要素またはステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除するものではないことに留意すべきである。また、異なる実施形態と関連して説明される要素を組合せてもよい。請求項中の参照記号は、請求項の範囲を限定するものとして解釈されてはならないことにも留意すべきである。
【0062】
当業者には、本発明が、その精神または必須の特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で実現可能であることを認めるであろう。したがって、現在開示される実施形態はすべての点において例示であり、制限ではないと考えられる。発明の範囲は、以上の説明よりもむしろ添付の請求項によって示され、その意味および範囲内に入るすべての変更およびその均等物がその中に包含されることが意図される。
【0063】
参照符号の一覧
1 ウェハ、10 ドリフト層、11 第1の主側、13 バッファ層、15 第2の主側、100、110、120 発明のIGBT、150 発明のダイオード、2,2′ 第1または第2の導電型の層、3 チタン堆積層、35 金属間化合物層、4 第1の金属電極層、5 ベース層、55 アノード層、6 ソース領域、7,7′ ゲート電極、72 第1の絶縁層、74 第2の絶縁層、75 導電層、8 第2の金属電極層
図1
図2a)】
図2b)】
図2c)】
図2d)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11