(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aに、実施例による蓄電装置の下部筐体10、及び下部筐体10に収容された部品の平面図を示す。下部筐体10が、底板11及び側板12を含み、上方に向かって開口する。側板12は、底板11の外周に沿って、底板11を周回する。下部筐体10に、第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21が収容されている。下部筐体10の開口部は、蓋で塞がれる。第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21は、底板11に固定される。
【0011】
底板11は、長方形の第1の部分111と、第1の部分111の1つの辺(
図1Aにおいて右側の辺)の一部分から外側に張り出した第2の部分112とを含む。第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21は、第1の部分111に配置されている。
【0012】
第1の蓄電モジュール20は、複数の蓄電セル201、第1の接続端子202、及び第2の接続端子203を含む。複数の蓄電セル201の各々は、板状の外形を有する。積み重ねられた蓄電セル201の両端に、それぞれ加圧板204、205が配置されている。加圧板204、205は、蓄電セル201に、積み重ね方向(蓄電セル201の厚さ方向)の圧縮力を印加する。
【0013】
加圧板204、205の下端が、第1の蓄電モジュール20の外側に向かってL字状に折り曲げられている。加圧板204、205の折り曲げられた部分の先端に、それぞれU字状の切り込み206、207が設けられている。切り込み206、207にボルト等の締付具を通すことにより、加圧板204、205が底板11に固定される。第1の接続端子202は、一方の加圧板204に取り付けられており、第2の接続端子203は、他方の加圧板205に取り付けられている。第1の接続端子202及び第2の接続端子203を通して、第1の蓄電モジュール20の充放電が行われる。
【0014】
第2の蓄電モジュール21も、同様に蓄電セル211、第3の接続端子212、第4の接続端子213、加圧板214、215、及び切り込み216、217を含む。第3の接続端子212及び第4の接続端子213を通して、第2の蓄電モジュール21の充放電が行われる。第1の蓄電モジュール20と第2の蓄電モジュール21とは、蓄電セル201の積み重ね方向と蓄電セル211の積み重ね方向とが平行になるように配置されている。
【0015】
第1の接続端子202と第3の接続端子212とが、安全スイッチモジュール50によって相互に接続されている。安全スイッチモジュール50は、底板11の第2の部分112に配置されており、第1の安全回路部品51、第2の安全回路部品52、支持部材53、及び複数のバスバーを含む。例えば、第1の安全回路部品51は、作業者によってオンオフ操作される安全スイッチであり、第2の安全回路部品52は、ヒューズである。第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52は、支持部材53に取り付けられている。
【0016】
第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52は、第1の接続端子202と第3の接続端子212との間に、直列に接続されている。バスバー54が、第1の接続端子202と第1の安全回路部品51とを接続し、バスバー55が、第3の接続端子212と第2の安全回路部品52とを接続し、バスバー56が、第1の安全回路部品51と第2の安全回路部品52とを接続する。
【0017】
第1の接続端子202及び第3の接続端子212は、上方を向く接触面を有する。第1の接続端子202及び第3の接続端子212の上方を向く接触面に、それぞれバスバー54、55が接触し、第1のねじ57によって固定される。2つの第1のねじ57は、それぞれ第1の接続端子202及び第3の接続端子212に設けられているねじ穴に上方から挿入されている。
【0018】
第2の接続端子203及び第4の接続端子213は、それぞれバスバー41、42を介してコネクタ39に接続されている。コネクタ39を介して、第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21が、外部の電気機器に接続される。
【0019】
図1Bに、
図1Aの一点鎖線1Bにおける概略断面図を示す。第1の安全回路部品51が支持部材53に、第2のねじ58により固定されている。第1の安全回路部品51は、2つの接続端子511、512を有する。接続端子511、512の各々の接触面は横方向を向いている。バスバー54はL字状に折り曲げられた形状を有し、一方の端部が、第1の蓄電モジュール20(
図1A)の第1の接続端子202に、第1のねじ57によって固定されている。第1のねじ57は、第1の接続端子202のねじ穴に上方から挿入される。バスバー54の他方の端部は、第1の安全回路部品51の一方の接続端子511に接続されている。
【0020】
第1の安全回路部品51の他方の接続端子512に、バスバー56が接続されている。バスバー54、56は、それぞれ接続端子511、512に、第2のねじ58によって固定されている。複数の第2のねじ58は、接続端子511、512、及び支持部材53のねじ穴に横方向から挿入されている。
【0021】
第2の安全回路部品52(
図1A)の接続端子も、第1の安全回路部品51の接続端子511、512と同様に、横方向を向く接触面を有する。バスバー55、56(
図1A)は、それぞれ第2の安全回路部品52の接続端子に接続される。バスバー55、56を接続端子に固定するねじも、接続端子のねじ穴に横方向から挿入される。
【0022】
次に、
図1A〜
図1Bに示した実施例による蓄電装置の組立手順について説明する。支持部材53に第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52を、第2のねじ58により取り付ける。バスバー54、55、56を、第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52に、第2のねじ58により取り付ける。ここまでの手順で、安全スイッチモジュール50が完成する。第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21も、既に組み立てられている。安全スイッチモジュール50、第1の蓄電モジュール20、及び第2の蓄電モジュール21が、それぞれサブアセンブリとして取り扱われる。
【0023】
第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21を、下部筐体10の底板11にねじ止めする。第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21を固定するためのねじは、底板11に設けられたねじ穴に上方から挿入される。安全スイッチモジュール50を下部筐体10に収容し、バスバー54、55を、それぞれ第1の接続端子202及び第3の接続端子212に、第1のねじ57によって固定する。
【0024】
第2の接続端子203及び第4の接続端子213に、それぞれバスバー41、42を接続する。バスバー41、42を、それぞれ第2の接続端子203及び第4の接続端子213に固定するねじも、上方から挿入される。バスバー41、42にコネクタ39を接続する。最後に、下部筐体10の開口部を蓋で塞ぐ。
【0025】
上記実施例では、安全スイッチモジュール50が、サブアセンブリとして取り扱われる。すなわち、安全スイッチモジュール50を下部筐体10に組み込む前に、バスバー54、55、56が、第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52に取り付けられている。このため、安全スイッチモジュール50を下部筐体10に組み込んだ後に、横方向からのねじ止め作業を行う必要がない。第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21は、上方からのねじ止め作業のみで下部筐体10に固定される。安全スイッチモジュール50は、上方からのねじ止め作業のみで、第1の蓄電モジュール20及び第2の蓄電モジュール21に固定される。このため、組立作業の作業効率を高めることができる。
【0026】
次に、
図2〜
図5Bを参照して、他の実施例について説明する。以下、
図1A及び
図1Bに示した実施例との相違点に着目して説明し、共通の構成については説明を省略する場合がある。
【0027】
図2に、蓄電装置の下部筐体10、及び下部筐体10に収容された部品の平面図を示す。下部筐体10が、第1の部分111(
図1A)及び第2の部分112(
図1A)の他に、第3の部分113を含む。第3の部分113は、第1の部分111から、第2の部分112とは反対方向に突出している。
【0028】
第1の蓄電モジュール20を構成する複数の蓄電セル201の間に、伝熱板208が挿入されている。
図2では、蓄電セル201と伝熱板208とが交互に積み重ねられている例を示しているが、複数の蓄電セル201に対して1枚の伝熱板208を配置してもよい。蓄電セル201と伝熱板208とからなる積層体の両端に配置された加圧板204、205の一方から他方まで、複数のタイロッド209が架け渡されている。タイロッド209をナットで締め付けることにより、蓄電セル201及び伝熱板208からなる積層体に圧縮力が印加される。第2の蓄電モジュール21も、第1の蓄電モジュール20と同様の構成を有する。
【0029】
蓄電セル201の各々は、下部筐体10の底板11に対して垂直な姿勢で保持される。蓄電セル201の各々の両端から底板11に対して平行な方向(
図2において上下方向)に、電極タブ210が導出されている。電極タブ210には金属板が用いられる。蓄電セル201が底板に対して垂直に保持されているため、電極タブ210も、底板11に対して垂直な姿勢を保つ。伝熱板208を挟んで隣り合う蓄電セル201、または直接隣り合う蓄電セル201の電極タブ210が接続されることにより、複数の蓄電セル201が直列接続されている。両端の蓄電セル201の一方の電極タブ210は、それぞれ第1の接続端子202及び第2の接続端子203に接続されている。
【0030】
安全スイッチモジュール50の支持部材53の下端がL字状に折り曲げられている。支持部材53は、底板11に対して垂直な垂直部分531と、底板11に平行な平行部分532とを含む。平行部分532は、複数の第3のねじ59により底板11に固定されている。垂直部分531は、蓄電セル201の積み重ね方向と直交する姿勢で下部筐体10内に固定される。
【0031】
第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52が、垂直部分531の外側の面に取り付けられている。バスバー54、55は、それぞれ第1の接続端子202及び第3の接続端子212との接続箇所から、垂直部分531に設けられた開口を通過して、第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52が配置された領域まで延びる。バスバー56が第1の安全回路部品51と第2の安全回路部品52とを接続する。安全スイッチモジュール50の構成については、後に
図3を参照して詳細に説明する。
【0032】
第2の接続端子203が、バスバー41及び第1のリレー回路37を介してコネクタ39に接続されている。第4の接続端子213が、バスバー42及び第2のリレー回路38を介してコネクタ39に接続されている。コネクタ39は、底板11の第3の部分113の上の空間に配置される。バスバー41、42の両端以外の部分は、それぞれディッピング被膜43、44で覆われている。バスバー41、42をディッピング被膜43、44で被覆することにより、短絡事故の発生を抑制することができる。
【0033】
下部筐体10の第1の部分111に、第1の均等化回路モジュール22及び第2の均等化回路モジュール23が収容されている。第1の均等化回路モジュール22は、第1の蓄電モジュール20の蓄電セル201の各々に接続され、蓄電セル201の電圧の均等化を行う。第2の均等化回路モジュール23は、第2の蓄電モジュール21の蓄電セル211の各々に接続され、蓄電セル211の電圧の均等化を行う。第1の均等化回路モジュール22及び第2の均等化回路モジュール23の構成については、後に
図4A及び
図4Bを参照して詳細に説明する。
【0034】
図3に、安全スイッチモジュール50、第1の接続端子202、及び第3の接続端子212の斜視図を示す。第3の接続端子212が、絶縁碍子218を介して加圧板214に固定されている。第3の接続端子212は、第2の蓄電モジュール21の端部の蓄電セル201(
図2)の電極タブ210に接続されている。第3の接続端子212は上方を向く接触面を有する。同様に、第1の接続端子202が、絶縁碍子(
図3には現れていない)を介して加圧板204に固定されている。第1の接続端子202も、上方を向く接触面を有する。
【0035】
加圧板204、214に対向するように、支持部材53の垂直部分531が配置されている。支持部材53の平行部分532は、第3のねじ59によって、下部筐体10の底板11(
図2)に固定されている。垂直部分531の外側を向く面に、絶縁碍子60、61が取り付けられている。第2の安全回路部品52の一方の端子とバスバー55とが相互に重ねられて、第2のねじ58により絶縁碍子60に共締めされている。第2の安全回路部品52の他方の端子とバスバー56とが相互に重ねられて、第2のねじ58により絶縁碍子61に共締めされている。
【0036】
第1の安全回路部品51が、垂直部分531の外側を向く面に取り付けられている。第1の安全回路部品51の一対の接続端子は、横方向(
図3において手前側)を向く接触面を有する。バスバー56が、第2のねじ58により、第1の安全回路部品51の一方の接続端子に接続されている。バスバー54が、第2のねじ58により、第1の安全回路部品51の他方の接続端子に接続されている。
【0037】
バスバー55は、絶縁碍子60に取り付けられた箇所から上方に延びた後、L字状に折れ曲がり、垂直部分531の開口を通過して、第3の接続端子212の上方を向く接触面まで達する。バスバー55の先端が、第1のねじ57によって第3の接続端子212に固定されている。バスバー54は、一旦横方向に延びてL字状に折れ曲がった後、上方に延びる。その後、再度L字状に折れ曲がり、垂直部分531の開口を通過して、第1の接続端子202の上方を向く接触面まで達する。バスバー54の先端が、第1のねじ57によって第1の接続端子202に固定されている。
【0038】
図4Aに、第1の均等化回路モジュール22(
図2)の斜視図を示す。第2の均等化回路モジュール23(
図2)の構成は、第1の均等化回路モジュール22の構成と同一である。第1の均等化回路モジュール22は、複数の回路基板24と、回路基板24を保持する保持部材25とを含む。回路基板24に、均等化回路が実装されている。保持部材25は、上下に開口した筒状の形状を有する。複数の回路基板24は、下部筐体10の底板11(
図2)に対して垂直な姿勢で、保持部材25に保持されている。
【0039】
回路基板24の各々に、接続部(コネクタ)26が実装されている。接続部26は、保持部材25の上方の開口部を通してアクセス可能な位置に取り付けられている。均等化回路と蓄電セル201(
図2)とを接続するケーブル29のコネクタが、接続部26に上方から挿入される。
【0040】
保持部材25の上方の開口部の相互に対向する縁から外側に向かって、一対の取付け部27が張り出している。取付け部27に、ねじ止め用の貫通孔28が形成されている。
【0041】
図4Bに、下部筐体10に収容された第1の均等化回路モジュール22及び第2の均等化回路モジュール23の断面図を示す。下部筐体10の底板11から上方に向かって2つの支持壁13が立ち上がっている。側板12の内側の表面に、段差14が形成されている。段差14は、支持壁13の上端と同一の高さに配置されている。一方の支持壁13と側板12との間に、第1の均等化回路モジュール22が配置され、他方の支持壁13と側板12との間に第2の均等化回路モジュール23が配置されている。下部筐体10の開口部が蓋18で塞がれる。
【0042】
保持部材25の取付け部27が、支持壁13の上面、及び段差14の上方を向く面に、第4のねじ15によってねじ止めされる。第4のねじ15は、支持壁13及び段差14に設けられたねじ穴に上方から挿入される。横方向からのねじ止め作業が不要であるため、第1の均等化回路モジュール22及び第2の均等化回路モジュール23の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0043】
さらに、ケーブル29も、上方から接続部26に挿入される。このため、第1の均等化回路モジュール22及び第2の均等化回路モジュール23を下部筐体10に取り付けた後にケーブル29を接続する作業の作業性を高めることができる。
【0044】
図5A及び
図5Bに、それぞれ蓋18及び下部筐体10の斜視図を示す。下部筐体10の底板11の縁から側板12が立ち上がっている。底板11は、
図2を参照して説明したように、第1の部分111、第2の部分112、及び第3の部分113を含む。下部筐体10は、上方に向かって開口する第1の開口部115及び第2の開口部116を含む。第1の開口部115は、第1の部分111及び第2の部分112に対応し、第2の開口部116は、第3の部分113に対応する。第1の開口部115が蓋18で塞がれる。第2の開口部116は、コネクタ39が取り付けられることによって塞がれる。
【0045】
第2の部分112の縁から立ち上がる側板12に、開口部16が設けられている。開口部16は、蓋17で塞がれる。蓋17を取り外した状態で、開口部16を通して、第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52(
図2、
図3)のメンテナンスを行うことが可能である。蓋18を取り外すことなく、第1の安全回路部品51及び第2の安全回路部品52のメンテナンスを行うことが可能であるため、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0046】
図6に、さらに他の実施例による蓄電装置の下部筐体10、及び下部筐体10に収容された部品の平面図を示す。以下、
図2に示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0047】
図2に示した実施例では、安全スイッチモジュール50のバスバー54、55が、それぞれ第1の接続端子202及び第3の接続端子212に直接接続されていた。
図6に示した実施例では、バスバー54と第1の接続端子202とが、第1のケーブル62で接続され、バスバー55と第3の接続端子212とが、第2のケーブル63で接続されている。第1のケーブル62及び第2のケーブル63の両端に、接続端子、例えば圧着端子が取り付けられている。
【0048】
第1のケーブル62の両端の接続端子は、それぞれ第1の接続端子202及びバスバー54にねじ止めされている。第2のケーブル63の両端の接続端子は、それぞれ第3の接続端子212及びバスバー55に第5のねじ66によりねじ止めされている。第5のねじ66は、第1の接続端子202、第3の接続端子212、及びバスバー54、55に設けられたねじ穴に上方から挿入される。第1の接続端子202と第1のケーブル62との接続部分が、絶縁カバー64で覆われている。同様に、第3の接続端子212と第2のケーブル63との接続部分が、絶縁カバー65で覆われている。
【0049】
第1のケーブル62及び第2のケーブル63を取り付けるための第5のねじ66が上方から挿入されるため、
図2に示した実施例と同様に、組立作業の作業性の向上を図ることが可能である。第1の接続端子202と第1のケーブル62との接続部分、及び第3の接続端子212と第2のケーブル63との接続部分が、それぞれ絶縁カバー64、65で覆われているため、短絡事故の発生を抑制することができる。
【0050】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。