(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記第1加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた前記紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面を前記第2加熱手段により追加昇温加熱させ、表面または斜表面の高温加熱と前記融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により前記融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により前記紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動を刺激として該溶融した紛体廃棄物を冷却により球状体物に成長させ、真球状スラグを得ることを特徴とする請求項1に記載のスラグ製造装置。
前記粉体供給手段は、前記紛体廃棄物に圧力を加えて押し出すプッシャー式の供給手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のスラグ製造装置。
前記第1加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面を前記第2加熱手段により追加昇温加熱させ、表面または斜表面の高温加熱と前記融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により前記融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により前記紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動を刺激として該溶融した紛体廃棄物を冷却により球状体物に成長させ、真球状スラグを得ることを特徴とする請求項10に記載のスラグ製造方法。
前記球状スラグと、前記加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とによる紛体溶融混合物に対してマイクロ波を照射して加熱しつつ徐冷することを特徴とする請求項10乃至請求項12の何れか1項に記載のスラグ製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、アスベスト粉砕物の全量溶融固化処理方法であり、アスベストの溶融に対しては現実的であるが、溶媒としてほぼ同一重量の焼却灰を加えることは処理後の全体積が増加して、減容化にはならずむしろ増大させてしまうことになる。また、この従来技術は全量溶融固化を行うものであり、有資源化のためには、骨材、細骨材、軽量砂等に粉砕・分級する必要があり、破砕断面からの未燃焼物溶出の可能性が残るという事情もあった。さらに、重油バーナーによる高温加熱を用いる構成であり、化石燃料の燃焼加熱は、脱硫設備や脱硝設備、或いはバグフィルターやその冷却塔など多量の排ガス処理設備が必要であり、莫大な建設費がかかるという問題がある。
【0007】
そこでこの発明は、設備コストおよび運用コストを抑制しつつ、溶融スラグの二次製品への利用の際の安全性を担保可能とし、紛体廃棄物の減容化を図り得るスラグ製造装置およびスラグ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、加熱炉と、前記加熱炉に融点降下剤を分散させた紛体廃棄物を供給する粉体供給手段と、前記加熱炉内を加熱する第1加熱手段と、前記加熱炉内で前記粉体供給手段により供給された紛体廃棄物が積もって該集合体が自然勾配を成すときの表面または斜表面を加熱する第2加熱手段と、前記第1加熱手段および前記第2加熱手段による加熱を制御する制御手段と、を備えたスラグ製造装置であって、前記制御手段は、前記第1加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた前記紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面を前記第2加熱手段により追加昇温加熱させ、表面または斜表面の高温加熱により前記融点降下剤を溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により前記融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、該溶融した紛体廃棄物の塊を冷却し、縮合球状化により真球状スラグを得ることを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明では、融点降下剤を分散させた紛体廃棄物について第1加熱手段により(紛体廃棄物を溶融点以下の温度まで加熱する)ベース加熱を行い、溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面に対して、第2加熱手段により追加昇温加熱し、表面または斜表面の高温加熱により融点降下剤を溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、溶融した紛体廃棄物の塊を冷却し、縮合球状化により全体の体積分立が略一定の球状体を得る。ここで、紛体廃棄物の塊とは、融点降下剤が溶けて周囲の粉体廃棄物を巻き込んだ溶融体をいう。また、縮合球状化とは、温度低下に従って自己収縮によって球状化する現象をいう。また、第1加熱手段および第2加熱手段には、マイクロ波を利用する加熱手段、高周波誘電を利用する加熱手段、電熱線を利用する加熱手段、ガス、重油、石油等の化石燃料を利用する加熱手段、或いは、当該スラグ製造装置が含まれるプラントのプラント本体の排熱を利用する加熱手段などの何れの加熱手段を用いても良い。なお、紛体廃棄物に融点降下剤を5〜15[%]分散させることが望ましい。また、流動灰中の融点降下剤作用による軟化点・溶融点で溶融塊を得ており、流動点まで温度を上げず球状体に成長させることから、球状体は流動灰中で点在造粒されることになる。また、融点降下剤が紛体物に作用溶融時点で徐冷して全体積の数十[%]が凝縮球状固化体の球状スラグとなる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のスラグ製造装置において、前記制御手段は、前記第1加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた前記紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面を前記第2加熱手段により追加昇温加熱させ、表面または斜表面の高温加熱と前記融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により前記融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により前記紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動を刺激として該溶融した紛体廃棄物を冷却により球状体物に成長させ、真球状スラグを得ることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明では、融点降下剤を分散させた紛体廃棄物について第1加熱手段によりベース加熱を行い、溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物による集合体の表面または斜表面を前記第2加熱手段により追加昇温加熱させ、表面または斜表面の高温加熱と融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動を刺激として該溶融した紛体廃棄物を冷却により球状体に成長させる。なお、紛体廃棄物に融点降下剤を5〜15[%]分散させることが望ましい。また、流動灰中の融点降下剤作用による軟化点・溶融点で溶融塊を得ており、流動点まで温度を上げず球状体に成長させることから、球状体は流動灰中で点在造粒されることになる。また、融点降下剤が紛体物に作用溶融時点で徐冷して全体積の数十[%]が凝縮球状固化体の球状スラグとなる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のスラグ製造装置において、前記融点降下剤は、廃ガラス粉体であることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のスラグ製造装置において、前記第2加熱手段はマイクロ波を利用する加熱手段であり、前記制御手段は、前記第1加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた前記紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面に対して、前記第2加熱手段によりマイクロ波を照射して追加昇温加熱させることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のスラグ製造装置において、前記第1加熱手段は、マイクロ波を利用する加熱手段であることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のスラグ製造装置において、前記第1加熱手段は、マイクロ波または高周波誘電を利用する加熱手段であり、前記加熱炉は、その内壁に誘電発熱体を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のスラグ製造装置において、前記粉体供給手段は、前記紛体廃棄物に圧力を加えて押し出すプッシャー式の供給手段であることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明では、プッシャー式で紛体廃棄物に圧力を加えて押し出すので、積もって自然勾配を成す紛体廃棄物が加熱炉内底部の解放空間方向に前進していくことになる。すなわち、押し出し圧による外部からの微少刺激による紛体廃棄物の移動崩壊運動が、融点降下剤の利用において溶融発現が起こるきっかけとなり、また、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動も加速される。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のスラグ製造装置において、前記加熱炉内で成長させた紛体廃棄物の塊を冷却、固化して縮合球状化により球状スラグを生成する冷却固化手段と、前記加熱炉からの排出物を、前記球状スラグと、前記加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とに分級する分級手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明では、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動により斜表面が前進移動して、球状体と、球状体に成長しなかった粉体との紛体溶融混合物が加熱炉の排出口に到達し、該排出口から落下して空冷または水冷されることになる。なお、加熱炉内を温度降下させ紛体廃棄物を徐冷する方法もある。また、例えば落下先の振動振るいコンベヤ等の分級手段で造粒物と粉体とに分級され、造粒物は貯留場へ向かい、粉体は再び融点降下剤と補充紛体廃棄物と混入されて溶融炉に投入される。このようなプロセスにより、連続して造粒・溶融加工製造することが可能となる。
【0020】
請求項9の発明は、請求項8に記載のスラグ製造装置において、前記冷却固化手段は、回転ドラムと、前記回転ドラムに前記加熱炉からの前記球状スラグと、前記加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とによる紛体溶融混合物を供給する供給手段と、前記回転ドラム内で前記紛体溶融混合物に対してマイクロ波を照射して加熱するマイクロ波加熱手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明では、冷却固化手段を回転徐冷炉で構成し、球状スラグと、加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とによる紛体溶融混合物に対して、マイクロ波加熱手段からマイクロ波を照射して加熱徐冷する。
【0022】
請求項10の発明は、加熱炉と、前記加熱炉に融点降下剤を分散させた紛体廃棄物を供給する粉体供給手段と、前記加熱炉内を加熱する第1加熱手段と、前記加熱炉内で前記粉体供給手段により供給された紛体廃棄物が積もって該集合体が自然勾配を成すときの表面または斜表面を加熱する第2加熱手段と、前記第1加熱手段および前記第2加熱手段による加熱を制御する制御手段と、を備えたスラグ製造装置におけるスラグ製造方法であって、前記第1加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた前記紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面を前記第2加熱手段により追加昇温加熱させ、表面または斜表面の高温加熱により前記融点降下剤を溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により前記融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、該溶融した紛体廃棄物の塊を冷却し、縮合球状化により真球状スラグを得ることを特徴とする。
【0023】
請求項11の発明は、請求項10に記載のスラグ製造方法において、前記第1加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面を前記第2加熱手段により追加昇温加熱させ、表面または斜表面の高温加熱と前記融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により前記融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により前記紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動を刺激として該溶融した紛体廃棄物を冷却により球状体物に成長させ、真球状スラグを得ることを特徴とする。
【0024】
請求項12の発明は、請求項10または請求項11に記載のスラグ製造方法において、前記第2加熱手段はマイクロ波を利用する加熱手段であり、前記第1加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた前記紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面に対して、前記第2加熱手段によりマイクロ波を照射して追加昇温加熱させることを特徴とする。
【0025】
請求項13の発明は、請求項10乃至請求項12の何れか1項に記載のスラグ製造方法において、前記球状スラグと、前記加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とによる紛体溶融混合物に対してマイクロ波を照射して加熱しつつ徐冷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1、10の発明によれば、溶融球状スラグ製造における造粒工程と溶融工程とを加熱炉内で同時に行うことができるため、事前に行われていた造粒工程のための造粒設備が不要となり、設備およびエネルギーのコストを低減することができる。また、運転のON/OFFを簡単に行うことができ、急稼働、急停止が制御可能である。また、予備加熱に長期間の準備運転を必要とせず、また処理後は簡単に運転停止が可能であることから短期間運転にも適する。また、流動灰中の融点降下剤作用による軟化点・溶融点で溶融塊を得ており、流動点まで温度を上げず球状体に成長させることから、球状体は流動灰中で点在造粒されることになり、溶融塊が加熱炉の内壁に付着することなく流動性を維持することができ、装置の保守・管理も容易となる。
【0027】
また、造粒される球状スラグは、紛体廃棄物の粒状物体と粉末状物体の混合塊に溶解した融点降下剤を巻き込ませて球状体に成長させたものであるため、紛体廃棄物が含有する有害物(重金属、放射性汚染物、VOC等)の溶出防止加工処理を施すことができ、球状スラグを路盤材、アスファルト舗装骨材、コンクリート骨材等の各種二次製品に利用する際の安全性を高めることができる。また、紛体廃棄物が石炭灰である場合には、石炭灰の溶融減容化を図ることができる。また、紛体廃棄物が下水や建設等における汚泥である場合には、汚泥の焼却溶融減容化を図ることができる。また、紛体廃棄物が汚染建設残土である場合には、汚染建設残土を溶融造粒して再資源化を図ることができる。また、紛体廃棄物が焼却場の焼却灰である場合には、焼却灰を溶融無害化し、焼却灰の減容化・再資源化を図ることができる。すなわち、あらゆる紛体廃棄物の溶融再資源化が可能となる。さらに、溶融造粒別がランダムに造形されるので、埋戻し用砂や軽量盛土材等の再利用にも適している。
【0028】
請求項2、11の発明によれば、溶融球状スラグ製造における造粒工程と溶融工程とを加熱炉内で同時に行うことができるため、事前に行われていた造粒工程のための造粒設備が不要となり、設備およびエネルギーのコストを低減することができる。また、融点降下剤をより低温で溶解させることができるので、さらにエネルギーのコスト低減を図ることができる。
【0029】
請求項3の発明によれば、融点降下剤を廃ガラス粉体とすることにより、紛体廃棄物と共に廃ガラスの溶融再資源化を図ることができる。
【0030】
請求項4、12の発明によれば、第2加熱手段をマイクロ波を利用する加熱手段とすることにより、加熱および徐冷を効率的に行うことができる。
【0031】
請求項5の発明によれば、第1加熱手段をマイクロ波を利用した加熱手段とすることにより、密閉型の加熱炉溶融が可能となり、加熱炉外部に直結する開口部が不要で加熱炉内で高温が担保されることとなり、エネルギー効率に優れたスラグ製造装置を実現できる。また、従来の空気、酸素を要する燃料燃焼方式の加熱手段では、大量の排気ガス処理設備が必要となるが、密閉型の加熱溶融の実現により、排煙、脱硫装置等の大型排気ガス設備を不要とすることができ、設備の低コスト化を図ることができる。
【0032】
請求項6の発明によれば、第1加熱手段をマイクロ波または高周波誘電を利用した加熱手段とすることにより、密閉型の加熱炉溶融が可能となり、加熱炉外部に直結する開口部が不要で加熱炉内で高温が担保されることとなり、エネルギー効率に優れたスラグ製造装置を実現できる。また、従来の空気、酸素を要する燃料燃焼方式の加熱手段では、大量の排気ガス処理設備が必要となるが、密閉型の加熱溶融の実現により、排煙、脱硫装置等の大型排気ガス設備を不要とすることができ、設備の低コスト化を図ることができる。さらに、加熱炉の内壁に具備される誘電発熱体への配線の必要が無く、制御機器の著しい簡素化が可能である。また、炭化ケイ素を主原料としたもので誘電発熱体を形成することにより、素材の調達が簡便で、技術、コスト面でも量産化が可能な構成とすることができる。
【0033】
請求項7の発明によれば、粉体供給手段を、紛体廃棄物に圧力を加えて押し出すプッシャー式の供給手段としたので、押し出し圧による外部からの微少刺激による紛体廃棄物の移動崩壊運動が、融点降下剤の利用において溶融発現が起こるきっかけとなり、より低温での溶融が可能となる。
【0034】
請求項8の発明によれば、例えば、球状体と、球状体に成長しなかった粉体との紛体溶融混合物を加熱炉の排出口から落下させて空冷する構成とした場合には、より低コストでの徐冷が可能となる。また、落下先の分級手段で造粒物と粉体とに分級し、粉体を再び融点降下剤と補充紛体廃棄物と混入して溶融炉に投入する構成とすれば、連続して造粒・溶融加工製造することが可能となる。
【0035】
請求項8、13の発明によれば、冷却固化手段を回転徐冷炉で構成し、回転ドラム中の球状スラグと、加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とによる紛体溶融混合物に対して、マイクロ波加熱手段からマイクロ波を均一に照射して加熱徐冷するので、安定した温度降下制御が可能となる。例えば、マイクロ波の照射により球状スラグの冷却速度をより遅くすることにより、球状スラグの一部結晶化を促進することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0038】
(実施の形態1)
先ず、この発明の実施の形態1に係るスラグ製造装置およびスラグ製造方法について、図を参照して詳細に説明する。
【0039】
図1は、この発明の実施の形態1に係るスラグ製造装置の構成図である。この実施の形態1のスラグ製造装置は、加熱炉本体5、断熱ファイバ6、SiC誘電発熱体(誘電発熱体)7および耐熱石英版8を備えた加熱炉と、紛体投入器9、プッシャー10およびサブプッシャー11を備えた粉体供給手段と、マイクロ波発振部2a、冷却器部3aおよび導波管4aを備えた第1マイクロ波加熱手段(第2加熱手段)と、マイクロ波発振部2b、冷却器部3bおよび導波管4bを備える第2マイクロ波加熱手段並びにマイクロ波発振部2c、冷却器部3cおよび導波管4cを備える第3マイクロ波加熱手段を備えた第1加熱手段と、第1加熱手段および第2加熱手段による加熱を制御する制御手段30と、を備えた構成である。
【0040】
なお、第1マイクロ波加熱手段、第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段は、それぞれケーブル12a,12b,12cを介して、マイクロ波電源部1からの電源供給を受けている。また、加熱炉には排出口13が備えられている。
【0041】
第1マイクロ波加熱手段、第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段は、それぞれ、マイクロ波16a,16b,16cを発振するマイクロ波発振部2a,2b,2cを備え、付帯機器として冷却器部3a,3b,3cを備える。また、マイクロ波16a,16b,16cを照射する加熱炉とは、導波管4a,4b,4cを介して接続されている。なお、マイクロ波発振部2a,2b,2c並びに導波管4a,4b,4cの素材としては、マイクロ波遮断性能を有する耐熱性の素材(鉄、SUS,銅、アルミ等の金属素材)が好適である。
【0042】
また、粉体供給手段は、紛体投入器9を介して投入された紛体廃棄物に対して、圧力を加えて押し出すプッシャー10を用いたプッシャー式の供給手段である。また、サブプッシャー11は、加熱炉内に積もった紛体廃棄物に対し前進方向に圧力を加えるためのものである。
【0043】
なお、
図1では、プッシャー10を水平に設置して、加熱炉の側面に開けられた投入口から紛体廃棄物を供給する構造となっているが、この態様に限定されることなく、他の構造としても良い。例えば、投入口を加熱炉の側面または上面に設けてプッシャー10を斜め上方に傾けて設置する構造や、投入口を加熱炉の上面に設けてプッシャー10を直立させて設置する構造など、種々の態様とすることが可能である。また、サブプッシャー11についても、設置位置はこの態様に限定されることなく他の構造としても良く、またサブプッシャー11を複数個設置することも可能である。
【0044】
この実施の形態1のスラグ製造装置では、無機系の紛体廃棄物に対して、マイクロ波で溶融する性質の融点降下剤14(炭酸ナトリウムNa
2CO
3、水酸化カルシウムCa(OH)
2、炭酸カルシウムCaCO
3、塩化カルシウムCaCl
2または廃ガラス粉体等)を適量混合する。例えば、融点降下剤14を廃ガラス粉体とした場合には、紛体廃棄物に対する融点降下剤14の質量混合率を5〜15[%]とするのが望ましい。
【0045】
この融点降下剤を分散させた紛体廃棄物を加熱炉内にプッシャー10で送り込むと、供給された紛体廃棄物は積もって自然勾配を成し、紛体廃棄物を増量するに従って炉内底部の解放空間方向に前進していくことになる。
【0046】
ここで、加熱炉内での紛体廃棄物の処理方法は大まかに次の3つに分類される。第1は、紛体廃棄物を水平に挿入してそのまま動かさずに融点降下剤の周囲の紛体廃棄物を溶融する方法であり、第2は、紛体廃棄物を斜表面15のまま動かさずに融点降下剤の周囲の紛体廃棄物を溶融する方法である。これら第1および第2の方法においては、加熱炉内に積もった紛体廃棄物に対して、加熱中にプッシャー10およびサブプッシャー11による圧力は加えられない。また、第3は、紛体廃棄物を斜表面15で動かし、その前進崩壊運動で融点降下剤の周囲の紛体廃棄物を溶融する方法であり、この場合には、熱炉内に積もった紛体廃棄物に対して、加熱中にプッシャー10またはサブプッシャー11による圧力が加えられる。なお、第3の方法では、第1または第2の方法と比較して、融点降下剤をより低温で溶解させることができる。
【0047】
先ず、制御手段30の制御に基づき、第1マイクロ波加熱手段、第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段から加熱炉内にマイクロ波16a,16b,16cが照射されると、炉内の壁面に配置されているSiC誘電発熱体7が高温域で発熱し、紛体廃棄物の内部を加熱する。このベース加熱により、融点降下剤を分散させた紛体廃棄物は、溶融点以下の温度まで加熱されることになる。
【0048】
上記第1または第2の紛体廃棄物の処理方法の場合、加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面15に対して、第1マイクロ波加熱手段によりマイクロ波16aを照射して追加昇温加熱し、表面または斜表面15の高温加熱により融点降下剤を溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させることになる。この溶融した紛体廃棄物塊を冷却し、表面張力の重合収縮による球状固化により全体の体積分立が略一定の球状体が得られる。
【0049】
また、上記第3の紛体廃棄物の処理方法の場合、加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面15に対して、第1マイクロ波加熱手段によりマイクロ波16aを照射して追加昇温加熱し、表面または斜表面15の高温加熱と融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させることになる。この溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動を刺激として該溶融した紛体廃棄物を冷却により球状体に成長させる。
【0050】
より具体的に、この実施の形態1におけるスラグ製造方法では、以下の7つの特徴的な工程を備える。
【0051】
第1の特徴的な工程は、融点降下剤14の活用による部分点在溶融工程である。コークスベッド法やバッチ式のように紛体廃棄物の全量溶融ではなく、紛体廃棄物内の融点降下剤14を核とし、全体の体積分立が略一定(全体積の数十%程度)の溶融技術である。
【0052】
また、第2の特徴的な工程は、流動性の紛体廃棄物中の融点降下剤17の作用による軟化点・溶融点で、溶融塊を得る工程である。紛体廃棄物が流動点までの炉内高温溶解ではないので、球状体と、球状体に成長しなかった粉体との紛体溶融混合物は壁面や底面に溶融接着せず、絶えず流動性(さらさらとして加熱炉の内壁に付着しない)が確保され、連続製造が可能となる。
【0053】
また、第3の特徴的な工程は、軟化点以下までのベース加熱源工程である。第1マイクロ波加熱手段、第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段からのマイクロ波16a、16b、16cの照射により、SiC誘電発熱体7が高温域で発熱し、紛体廃棄物の内部を加熱する。なお、第1加熱手段を第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段ではなく、他の加熱手段による構成としても良い。例えば、電熱線による加熱では、耐熱石英版8が加熱されて紛体廃棄物を加熱する。
【0054】
なお、マイクロ波による溶融パターンとしては、以下の4通りの方法がある。第1はSiC誘電発熱体7による発熱無しで、マイクロ波による加熱のみでベース発熱と追加溶融加熱を同時に行うものである。この第1の溶融パターンは、紛体廃棄物中に一定数量の未燃焼物を含有している場合に採られる手法である。
【0055】
これに対して、紛体廃棄物中に未燃焼物が存在しない場合に採られる手法として、次の3つがある。即ち、第2の溶融パターンは、SiC誘電発熱体7による発熱でベース加熱を行い、マイクロ波の照射により追加加熱を行うものであり、第3は、SiC誘電発熱体7による発熱無しで、電熱線による加熱でベース加熱を行い、マイクロ波の照射により追加加熱を行うものであり、第4は、SiC誘電発熱体7による発熱と電熱線による加熱でベース加熱を行い、マイクロ波の照射により追加加熱を行うものである。
【0056】
次に、第4の特徴的な工程は、軟化点・溶融点加熱工程である。第1マイクロ波加熱手段による融点降下剤14の作用による溶融であり、紛体廃棄物内での部分的溶融である。
【0057】
すなわち、上記第1または第2の紛体廃棄物の処理方法の場合には、溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面15に対して、第1マイクロ波加熱手段によりマイクロ波16aを照射して追加昇温加熱し、表面または斜表面15の高温加熱により融点降下剤を溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させる。また、上記第3の紛体廃棄物の処理方法の場合、加熱手段により溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面15に対して、第1マイクロ波加熱手段によりマイクロ波16aを照射して追加昇温加熱し、表面または斜表面15の高温加熱と融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させる。
【0058】
次に、第5の特徴的な工程は徐冷工程である。加熱炉から排出された紛体溶融混合物を空冷(または水冷)で冷却、固化して球体スラグを得る。より具体的には、加熱炉内で、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動により斜表面15が前進移動して、球状体と、球状体に成長しなかった粉体との紛体溶融混合物が加熱炉の排出口13に到達し、該排出口13から落下して空冷されることになる。なお、水冷の場合には、水冷ホッパー等で水に直接接触または水浸させて冷却する直接水砕、或いは、水等の冷却媒体と熱交換器を介して間接的に冷却する間接水冷の何れかの手法が採られる。また、冷却方法として、加熱炉内を温度降下させ紛体廃棄物を徐冷する方法もある。
【0059】
第6は分離工程である。加熱炉の排出口13から落下空冷され、落下先の分離コンベヤ(振動振るいコンベヤ)またはトロイメル等の分級手段で球体スラグ(造粒物)と余剰紛体とに分級される。球体スラグ(造粒物)は貯留場へ向かい分離貯蔵される。
【0060】
さらに、第7の特徴的な工程は再投入工程である。分級された余剰紛体は、再び融点降下剤と補充紛体廃棄物と混入されて加熱炉に投入される。このようなプロセスにより、連続して造粒・溶融加工製造することが可能となる。
【0061】
以上のように、この実施の形態1のスラグ製造装置およびスラグ製造方法では、融点降下剤14を分散させた紛体廃棄物について第1加熱手段(第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段)によりベース加熱を行い、溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面15に対して、第2加熱手段(第1マイクロ波加熱手段)によりマイクロ波を照射して追加昇温加熱し、表面または斜表面15の高温加熱により融点降下剤を溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、溶融した紛体廃棄物塊を冷却、表面張力の重合収縮による球状固化により全体の体積分立が略一定の球状体を得る。なお、流動灰中の融点降下剤作用による軟化点・溶融点で溶融塊を得ており、流動点まで温度を上げず球状体に成長させることから、球状体は流動灰中で点在造粒されることになる。また、融点降下剤が紛体物に作用溶融時点で徐冷して全体積の数十[%]が凝縮球状固化体の球状スラグとなる。
【0062】
この実施の形態1のスラグ製造装置およびスラグ製造方法によれば、溶融球状スラグ製造における造粒工程と溶融工程とを加熱炉内で同時に行うことができるため、従来、事前に行われていた造粒工程のための造粒設備が不要となり、設備およびエネルギーのコストを低減することができる。また、運転のON/OFFを簡単に行うことができ、急稼働、急停止が制御可能である。また、予備加熱に長期間の準備運転を必要とせず、また処理後は簡単に運転停止が可能であることから短期間運転にも適する。また、流動灰中の融点降下剤作用による軟化点・溶融点で溶融塊を得ており、流動点まで温度を上げず球状体に成長させることから、球状体は流動灰中で点在造粒されることになり、溶融塊が加熱炉の内壁に付着することなく流動性を維持することができ、装置の保守・管理も容易となる。
【0063】
また、実施の形態1によれば、造粒される球状スラグは、紛体廃棄物の粒状物体と粉末状物体の混合塊に溶解した融点降下剤(14)を巻き込ませて球状体に成長させたものであるため、紛体廃棄物が含有する有害物(重金属、放射性汚染物、VOC等)の溶出防止加工処理を施すことができ、球状スラグを路盤材、アスファルト舗装骨材、コンクリート骨材等の各種二次製品に利用する際の安全性を高めることができる。
【0064】
また、紛体廃棄物が石炭灰である場合には、石炭灰の溶融減容化を図ることができる。また、紛体廃棄物が下水や建設等における汚泥である場合には、汚泥の焼却溶融減容化を図ることができる。また、紛体廃棄物が汚染建設残土である場合には、汚染建設残土を溶融造粒して再資源化を図ることができる。また、紛体廃棄物が焼却場の焼却灰である場合には、焼却灰を溶融無害化し、焼却灰の減容化・再資源化を図ることができる。すなわち、あらゆる紛体廃棄物の溶融再資源化が可能となる。さらに、溶融造粒別がランダムに造形されるので、埋戻し用砂や軽量盛土材等の再利用にも適している。また、融点降下剤を廃ガラス粉体とした場合には、紛体廃棄物と共に廃ガラスの溶融再資源化を図ることができる。
【0065】
この実施の形態1のスラグ製造装置およびスラグ製造方法では、融点降下剤を分散させた紛体廃棄物について第1加熱手段(第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段)によりベース加熱を行い、溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物による集合体の表面または斜表面15に対して、第2加熱手段(第1マイクロ波加熱手段)によりマイクロ波16aを照射して追加昇温加熱し、表面または斜表面15の高温加熱と融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させ、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動を刺激として該溶融した紛体廃棄物を冷却により球状体に成長させる。これにより、従来、事前に行われていた造粒工程のための造粒設備が不要となり、設備およびエネルギーのコストを低減することができる、また、融点降下剤をより低温で溶解させることができるので、さらにエネルギーのコスト低減を図ることができる。
【0066】
また、実施の形態1によれば、第2加熱手段をマイクロ波を利用する加熱手段とすることにより、加熱および徐冷を効率的に行うことができる。また、第1加熱手段をマイクロ波または高周波誘電を利用した加熱手段とすることにより、密閉型の加熱炉溶融が可能となり、加熱炉外部に直結する開口部が不要で加熱炉内で高温が担保されることとなり、エネルギー効率に優れたスラグ製造装置およびスラグ製造方法を実現できる。また、従来の空気、酸素を要する燃料燃焼方式の加熱手段では、大量の排気ガス処理設備が必要となるが、密閉型の加熱溶融の実現により、排煙、脱硫装置等の大型排気ガス設備を不要とすることができ、設備の低コスト化を図ることができる。さらに、加熱炉の内壁に具備される誘電発熱体への配線の必要が無く、制御機器の著しい簡素化が可能である。また、SiC誘電発熱体7を、炭化ケイ素を主原料としたもので構成することにより、素材の調達が簡便で、技術、コスト面でも量産化が可能な構成とすることができる。
【0067】
また、実施の形態1によれば、粉体供給手段を、紛体廃棄物に圧力を加えて押し出すプッシャー式の供給手段としたので、押し出し圧による外部からの微少刺激による紛体廃棄物の移動崩壊運動が、融点降下剤の利用において溶融発現が起こるきっかけとなり、より低温での溶融が可能となる。
【0068】
また、実施の形態1によれば、加熱炉内で溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動により斜表面が前進移動して、球状体と、球状体に成長しなかった粉体との粉体・溶融造粒混合物が加熱炉の排出口に到達し、該排出口から落下して空冷(または水冷)されることになり、より低コストでの徐冷が可能となる。また、落下先の振動振るいコンベヤ等の分級手段で造粒物と粉体とに分級され、造粒物は貯留場へ向かい、粉体は再び融点降下剤と補充紛体廃棄物と混入されて溶融炉に投入されるので、連続した造粒・溶融加工製造が可能となる。
【0069】
(実施の形態2)
次に、この発明の実施の形態2に係るスラグ製造装置およびスラグ製造方法について、図を参照して説明する。実施の形態1との対比において、実施の形態2の特徴的な構成は、第1加熱手段に外部加熱源17を用いる点と、徐冷に回転徐冷炉型の冷却固化手段を用いる点である。
図2はこの実施の形態2のスラグ製造装置の構成図であり、
図3は実施の形態2のスラグ製造装置における回転徐冷炉型の冷却固化手段の構成図である。
【0070】
図2において、この実施の形態2のスラグ製造装置は、加熱炉本体5、断熱ファイバ6、SiC誘電発熱体(誘電発熱体)7および耐熱石英版8を備えた加熱炉と、紛体投入器9、プッシャー10およびサブプッシャー11を備えた粉体供給手段と、マイクロ波発振部2a、冷却器部3aおよび導波管4aを備えたマイクロ波加熱手段(第2加熱手段)と、外部加熱源17(第1加熱手段)と、外部加熱源17およびマイクロ波加熱手段による加熱を制御する制御手段31と、を備えた構成である。なお、加熱炉には排出口13が備えられている。また、外部加熱源17による加熱は、例えば、ガス・重油・石炭・コークス・バイオガス等の化石燃料の燃焼により行われる。さらに、マイクロ波加熱手段は、ケーブル12aを介してマイクロ波電源部1からの電源供給を受けている。
【0071】
また、
図3において、この実施の形態2の回転徐冷炉型の冷却固化手段は、外筒ドラム18および内筒ドラム19を備えた回転ドラムと、紛体投入器9Bおよびプッシャー10Bを備えて、回転ドラムの内筒ドラム19に、加熱炉からの球状スラグと、加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とによる紛体溶融混合物21を供給する供給手段と、マイクロ波発振部2Ba、冷却器部3Baおよび導波管4Baを備えて、回転ドラムの内筒ドラム19内で紛体溶融混合物21に対してマイクロ波16aを照射して加熱するマイクロ波加熱手段と、マイクロ波加熱手段による加熱徐冷を制御する制御手段32と、を備えた構成である。なお、回転ドラムには排出口13Bが備えられ、回転ドラムの内筒ドラム19はドラム回転モータ20により回転駆動されている。また、マイクロ波加熱手段は、ケーブル(不図示)を介して不図示のマイクロ波電源部からの電源供給を受けている。
【0072】
この実施の形態2のスラグ製造装置では、紛体廃棄物に対して、マイクロ波で溶融する性質の融点降下剤14(廃ガラス粉体等)を適量(5〜15[%])混合し、加熱炉内にプッシャー10で紛体廃棄物を送り込むと、供給された紛体廃棄物が積もって自然勾配を成し、紛体廃棄物は増量するに従って炉内底部の解放空間方向に前進していくことになる。
【0073】
また、この実施の形態2のスラグ製造装置では、制御手段31の制御に基づく外部加熱源17による加熱により、紛体廃棄物が外部加熱される。外部加熱源17により溶融点以下の高温に熱せられた紛体廃棄物の集合体の表面または斜表面15に対して、制御手段31の制御に基づき、マイクロ波加熱手段によりマイクロ波16aを照射して追加昇温加熱し、表面または斜表面15の高温加熱と融点降下剤を分散させた紛体廃棄物の前進崩壊運動による物的刺激との相乗効果により融点降下剤をより低温で溶解させ、該融点降下剤の溶解の誘発により紛体廃棄物中の融点降下剤周囲の紛体廃棄物を溶融させることになる。この溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動を刺激として該溶融した紛体廃棄物を冷却により球状体に成長させ、該球状体の回転徐冷炉型冷却固化手段(
図3参照)による徐冷により球状スラグを得る。なお、ここでは、上記第3の紛体廃棄物の処理方法の場合について説明したが、第1または第2の紛体廃棄物の処理方法の場合については実施の形態1と同等である。
【0074】
加熱炉の排出口13は、回転徐冷炉型冷却固化手段の紛体投入器9Bの投入口に連結されている。この連結は、コンベヤ等の運搬手段により、或いは紛体投入器9Bの投入口を加熱炉の排出口13の直下に配置するなどの空間的配置構造により具現される。すなわち、加熱炉内で、溶融した紛体廃棄物の前進崩壊運動により斜表面15が前進移動して、球状体と、球状体に成長しなかった粉体との粉体・溶融造粒混合物が加熱炉の排出口13に到達し、該排出口13から落下して球状スラグと加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とによる紛体溶融混合物21となり、連結手段を介して紛体投入器9Bの投入口に投入されることとなる。
【0075】
また、紛体投入器9Bに投入された紛体溶融混合物21は、プッシャー10Bにより回転ドラムの内筒ドラム19内に押し出される。そして、内筒ドラム19内の紛体溶融混合物21に対して、制御手段32の制御に基づきマイクロ波加熱手段からマイクロ波16Bが照射され、加熱徐冷が行われる。回転ドラムの内筒ドラム19はドラム回転モータ20により回転駆動されているので、紛体溶融混合物21に対するマイクロ波16Bの照射は均一に行われることになる。
【0076】
より具体的に、この実施の形態2におけるスラグ製造方法では、以下の7つの特徴的な工程を備える。
【0077】
第1は、融点降下剤14の活用による部分点在溶融工程である。また第2は、流動性の紛体廃棄物中の融点降下剤17の作用による軟化点・溶融点で、溶融塊を得る工程である。これらについては、実施の形態1と同様である。また第3は、軟化点以下までのベース加熱源工程である。外部加熱源17による加熱により、紛体廃棄物を外部加熱する。
【0078】
第4は、軟化点・溶融点加熱工程である。マイクロ波加熱手段による融点降下剤14の作用による溶融であり、紛体廃棄物内の一部の溶融である。これについては実施の形態1と同様である。
【0079】
第5は徐冷工程である。加熱炉から排出された紛体溶融混合物21を、回転徐冷炉型の冷却固化手段で徐々に温度降下させながら回転造粒・固化を行う。より具体的には、球状スラグと、加熱炉内で球状体に成長しなかった粉体とによる紛体溶融混合物21に対して、マイクロ波加熱手段からマイクロ波16Bを均一に照射して加熱徐冷する。マイクロ波加熱手段によるマイクロ波16Bの照射を調整することにより、安定した温度降下制御が可能となり、例えば、球状スラグの冷却速度をより遅くすることにより、球状スラグの一部結晶化を促進することも可能となる。
【0080】
第6は分離工程である。冷却固化手段による徐冷が完了すると、紛体溶融混合物21は、回転ドラムの排出口13Bから落下して、分離コンベヤ(振動振るいコンベヤ)またはトロイメル等の分級手段で球体スラグ(造粒物)と余剰紛体とに分級される。球体スラグ(造粒物)は貯留場へ向かい分離貯蔵される。
【0081】
第7は再投入工程である。分級された余剰紛体は、再び融点降下剤と補充紛体廃棄物と混入されて加熱炉に投入される。このようなプロセスにより、連続して造粒・溶融加工製造することが可能となる。
【0082】
以上のように、この実施の形態2のスラグ製造装置およびスラグ製造方法では、外部加熱源17によるベース加熱源工程とした点を除いて、実施の形態1と同様の部分点在溶融工程、軟化点・溶融点での溶融塊の取得工程、および軟化点・溶融点加熱工程を経ているので、実施の形態1と同等の効果を奏することができる。すなわち、設備コストおよび運用コストを抑制しつつ、溶融スラグの二次製品への利用の際の安全性を担保可能とし、紛体廃棄物の減容化を図ることが可能である。
【0083】
また、実施の形態2によれば、回転徐冷炉型の冷却固化手段による徐冷工程で、加熱炉から排出された紛体溶融混合物21に対して、マイクロ波加熱手段からマイクロ波16Bを均一に照射して加熱徐冷するので、安定したな温度降下制御が可能となり、また球状スラグの一部結晶化を促進することも可能となる。
【0084】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、第1加熱手段および第2加熱手段にマイクロ波加熱手段を用いた構成を例示したが、これに限定されることなく、他の加熱手段、例えば高周波誘電を利用した加熱手段、電熱線による加熱手段、或いは外部加熱源17と同等の加熱手段などを用いた構成としても、上記実施の形態1および実施の形態2と同様の効果を奏することができる。すなわち、第1加熱手段および第2加熱手段として、(1)マイクロ波を利用する加熱手段、(2)高周波誘電を利用する加熱手段、(3)電熱線を利用する加熱手段、(4)ガス、重油、石油等の化石燃料を利用する加熱手段、(5)当該スラグ製造装置が含まれるプラントのプラント本体の排熱を利用する加熱手段、などの加熱手段を用いることが可能であり、また、第1加熱手段および第2加熱手段を同種の加熱手段または異種の加熱手段の組合せで実現するかについても任意に選択可能である。
【0085】
また、上記の実施の形態では、加熱炉にSiC誘電発熱体7および耐熱石英版8を備えた構成としているが、これは、第1加熱手段に第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段を用いる構成と、電熱線による加熱を行う構成とで、兼用するためものであり、第1加熱手段に第2マイクロ波加熱手段および第3マイクロ波加熱手段のみを用いる構成では、耐熱石英版8が不要となる。
【0086】
さらに、実施の形態1では、徐冷工程を空冷(または水冷)で冷却、固化することとしたが、実施の形態2と同様に回転徐冷炉型冷却固化手段を用いて徐冷することも可能である。
【0087】
(実施例)
以上説明したように、この発明は、融点降下剤を分散させた紛体廃棄物を加熱炉内でマイクロ波と他の加熱源の組み合わせにより加熱昇温し、その後に温度降下して球状スラグを製造するものである。ここでは、マイクロ波照射によるマイクロ効果について言及した後、マイクロ波加熱手段による球状スラグの製造に予備実験として行った実験結果について説明する。
【0088】
マイクロ波は波長(100[μm]〜1[m])の電磁波であり、衛星放送通信など様々な用途に使用される。光子としてのエネルギーは、その波長が赤外線などよりも長いため、直接分子の振動や電子状態を変えるほど大きくないが、分子の回転運動を励起したり、誘電損失により物質を加熱することができる。マイクロ波のこのような特性を利用したものが電子レンジであるが、近年ではされに化学反応にも応用されており、マイクロ波照射による反応促進は収率の増大や反応時間の短縮をマイクロ効果と呼び、その要因として次に掲げる熱的効果と非熱的効果の2つが考えられている。
【0089】
熱的効果は、誘電損失による溶媒の昇温効果によるものである。電気双極子モーメントを持つ極性溶媒分子がマイクロ波の交流電場に追従して回転しようとする際に、分子摩擦のために電場の変化に完全には追従できずに発熱することによるものである。また、非熱的効果は、電磁場と溶質分子の電気双極子相互作用などによるものである。分子間反応の場合には、電磁場との相互作用によって分子が整列することで反応性衝突の頻度が高まったり、活性化エントロピーが増加する。その他、熱的効果で説明できないものを総称して非熱的効果と呼ばれている。
【0090】
この発明のマイクロ波照射による球状スラグの製造過程においても、熱的効果と共に非熱的効果が作用していると考えられ、この発明の球状スラグの製造手法を確認するための予備実験を行った。
【0091】
先ず、この発明では、紛体廃棄物の融点を低下させるために、紛体廃棄物に融点降下剤を分散させているが、この融点降下剤の適正な混入率を確認するための実験を行った。実験では、マイクロ波出力が700[W]のマイクロ波加熱手段を使用し、目標温度を1000[℃]とした。
【0092】
また試料は、(a)融点降下剤を添加せず石炭灰のみのもの、(b−1)石炭灰:9[g]に対して炭酸ナトリウムNa
2CO
3:1[g]を添加したもの、(b−2)石炭灰:8[g]に対してNa
2CO
3:2[g]を添加したもの、(b−3)石炭灰:7[g]に対してNa
2CO
3:3[g]を添加したもの、(b−4)石炭灰:6[g]に対してNa
2CO
3:4[g]を添加したもの、(c−1)石炭灰:9[g]に対して廃ガラス粉体(粒度調整無し):1[g]を添加したもの、(c−2)石炭灰:8[g]に対して廃ガラス粉体:2[g]を添加したもの、(c−3)石炭灰:7[g]に対して廃ガラス粉体:3[g]を添加したもの、(c−4)石炭灰:6[g]に対して廃ガラス粉体:4[g]を添加したもの、について実施した。なお、球状溶融時点で徐々に冷却し、炉外に排出して、球状スラグと紛体廃棄物を分離して球状スラグを得た。
【0093】
実験結果を
図4に示す。横軸を融点降下剤の質量混入率[%]とし、縦軸を球体スラグ生成率[%]として、各資料についてプロットしたものである。なお、縦軸の球体スラグ生成率は、マイクロ波加熱で加熱後の試料の総質量に対する加熱で得られた球体スラグの質量の割合である。この実験結果より、融点降下剤を廃ガラス粉体とした場合には、紛体廃棄物に対する融点降下剤の質量混合率を5〜15[%]とするのが望ましいことが確認できる。
【0094】
次に、種々の融点降下剤に対する球状スラグの生成状況を確認するための実験を行った。実験では、マイクロ波出力が700[W]のマイクロ波加熱手段を使用し、目標温度を1250[℃]および1000[℃]とした。
【0095】
また試料は、(a)融点降下剤を添加せず石炭灰のみのもの、(b)石炭灰:9[g]に対して炭酸ナトリウムNa
2CO
3:1[g]を添加したもの、(c)石炭灰:9[g]に対して炭酸カルシウムCaCO
3:1[g]を添加したもの、(d)石炭灰:9[g]に対して水酸化カルシウムCa(OH)
2:1[g]を添加したもの、(e)石炭灰:9[g]に対して廃ガラス粉体(粒度調整無し):1[g]を添加したもの、(f)石炭灰:9[g]に対して廃ガラス粉体(粒径1[mm]以下):1[g]を添加したもの、(g)石炭灰:9[g]に対して廃ガラス粉体(粒径0.5[mm]以下):1[g]を添加したもの、について実施した。なお、球状溶融時点で徐々に冷却し、炉外に排出して、球状スラグと紛体廃棄物を分離して球状スラグを得た。
【0096】
実験結果を
図5に示す。1250[℃]に加熱後の試料について減容化率[%]および球体スラグ生成率[%]を示し、1000[℃]に加熱後の試料について球体スラグ生成率[%]を示している。
【0097】
1250[℃]に加熱後の試料について;廃ガラスを混入した試料(e)〜(g)と石炭灰のみの試料(a)においては、生成された球体スラグの表面の約1〜3[mm]までは溶流して黒茶色のガラス状を呈しており、内部は粒状物体と粉末状であった。ただし、減容化率には大きく差があり、廃ガラスを混入した方が減容化率が高く、廃ガラスの粒度別に比較すると、粒径1[mm]以下の条件が最も減容化率が高くなっている。なお、試料(b)については全体がガラス化して球体スラグは得られていない。
【0098】
1000[℃]に加熱後の試料について;全体がガラス化する試料は無く、生成された球体スラグの表面は乾燥固化状態で、内部は粒状物体と粉末状が主であった。また、球体スラグの多くは直径0.5〜2[mm]であった。なお、試料による生成された球体スラグの性状の差は小さいと判断される。
【0099】
これら予備実験により、マイクロ波照射の加熱により融点降下剤を5〜15[%]分散させた紛体廃棄物では、融点降下剤の融点まで加熱状態に保持して融点降下剤を核とした分散点在溶融(球状)させることに成功した。また、全体の体積分立が略一定の微細球状スラグ体が製造できることを確認できた。
【0100】
なお、加熱手段をマイクロ波加熱手段によらず他の外部加熱源を用いた構成で、同様の予備実験を行った(図示せず)が、このような構成によっても、全体の体積分立が略一定の微細球状スラグ体が製造できることが確認されている。