(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362571
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】エレベータ釣合重り搬出方法およびエレベータ釣合重り搬出用治具
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20180712BHJP
B66B 11/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
B66B7/00 K
B66B7/00 J
B66B11/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-123739(P2015-123739)
(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公開番号】特開2017-7784(P2017-7784A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】川上 重信
(72)【発明者】
【氏名】村上 真子
(72)【発明者】
【氏名】田中 麦平
(72)【発明者】
【氏名】望戸 力
【審査官】
今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−095457(JP,A)
【文献】
特開2004−010175(JP,A)
【文献】
特開2006−306621(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101830388(CN,A)
【文献】
特開平6−001568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00 − 7/12
B66B 11/00 − 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣合重り本体および前記釣合重り本体に設けられ、釣合重り用ガイドレールを転動するガイドローラを有する釣合重りを昇降路から搬出するエレベータ釣合重り搬出方法であって、
前記釣合重り本体から前記ガイドローラを取り外し、前記釣合重りを前記釣合重り用ガイドレールから取り外す釣合重り取外工程と、
前記釣合重り取外工程の後、前記釣合重りを高さ方向から視た場合に前記ガイドローラが前記釣合重り本体の厚さ方向について前記釣合重り本体から突出するように前記ガイドローラを前記釣合重り本体に支持させるガイドローラ取付工程と、
前記ガイドローラ取付工程の後、前記ガイドローラが乗場に載るように前記釣合重りを前記昇降路から前記乗場に移動させる釣合重り移動工程と
を備えたことを特徴とするエレベータ釣合重り搬出方法。
【請求項2】
前記釣合重り移動工程では、ロープによって吊り下げられている前記釣合重りを下降させながら、前記釣合重りを前記乗場に向かって引っ張ることにより、前記釣合重りを前記昇降路から前記乗場に移動させることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ釣合重り搬出方法。
【請求項3】
前記ガイドローラ取付工程では、前記高さ方向から視た場合に前記ガイドローラを前記厚さ方向について前記釣合重り本体から突出させるためのエレベータ釣合重り搬出用治具を介して、前記ガイドローラを前記釣合重り本体に支持させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ釣合重り搬出方法。
【請求項4】
釣合重り本体および前記釣合重り本体に設けられ、釣合重り用ガイドレールを転動するガイドローラを有する釣合重りを昇降路から搬出する際に用いられるエレベータ釣合重り搬出用治具であって、
前記ガイドローラが取り付けられていた前記釣合重り本体の部分に取り付けられる釣合重り本体取付部と、
前記釣合重り本体取付部と一体に形成され、前記釣合重りを高さ方向から視た場合に前記ガイドローラが前記釣合重り本体の厚さ方向について前記釣合重り本体から突出するように前記ガイドローラが取り付けられるガイドローラ取付部と
を備えたことを特徴とするエレベータ釣合重り搬出用治具。
【請求項5】
昇降路に設けられた釣合重り本体と、
前記釣合重り本体にねじ止めされる支持部と、
前記支持部に回転可能に支持されたガイドローラと
を備え、
前記釣合重り本体には、前記ガイドローラが前記昇降路に設けられた釣合重り用ガイドレールを転動する位置に前記ガイドローラを配置するため、前記釣合重り本体および前記支持部のねじ止めに用いられる第1のボルト孔および第2のボルト孔が形成され、
前記支持部には、前記ガイドローラが前記釣合重り用ガイドレールを転動する位置に配置された状態で、前記第1ボルト孔および前記第2ボルト孔のそれぞれに重なる2つのボルト孔が形成され、
前記釣合重り本体には、前記第1のボルト孔の中心と前記第2のボルト孔の中心とを結ぶ直線に対して直交する方向に、第3のボルト孔および第4のボルト孔が並べて形成され、
前記第3のボルト孔の中心から前記第4のボルト孔の中心までの距離は、前記第1のボルト孔の中心から前記第2のボルト孔の中心までの距離と等しく、
高さ方向から視た場合に、前記第3のボルト孔の中心から前記釣合重り本体の外縁までの前記直線の方向における距離および前記第4のボルト孔の中心から前記釣合重り本体の外縁までの前記直線の方向における距離は、前記釣合重り用ガイドレールを転動する位置に配置された場合における前記ガイドローラと前記釣合重り用ガイドレールに接触する面から前記直線までの距離よりも小さいことを特徴とする釣合重り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、釣合重りを昇降路から搬出するエレベータ釣合重り搬出方法および釣合重りを昇降路から搬出する際に用いられるエレベータ釣合重り搬出用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降路に支持された揚重装置を備え、揚重装置を用いて釣合重りを昇降路のピットまで吊り降ろすエレベータ釣合重り搬出装置が知られている。ピットに吊り降ろされた釣合重りは、ピット内で解体され、解体された釣合重りはピットから乗場に搬出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−349255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ピットまで吊り降ろされた釣合重りをピット内で解体し、解体された釣合重りをピットから乗場に搬出するので、釣合重りを昇降路から乗場に搬出する作業効率が悪いという問題点があった。
【0005】
この発明は、釣合重りを昇降路から乗場に搬出する作業効率を向上させることができるエレベータ釣合重り搬出方法およびエレベータ釣合重り搬出用治具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ釣合重り搬出方法は、釣合重り本体および釣合重り本体に設けられ、釣合重り用ガイドレールを転動するガイドローラを有する釣合重りを昇降路から搬出するエレベータ釣合重り搬出方法であって、釣合重り本体からガイドローラを取り外し、釣合重りを釣合重り用ガイドレールから取り外す釣合重り取外工程と、釣合重り取外工程の後、釣合重りを高さ方向から視た場合にガイドローラが釣合重り本体の厚さ方向について釣合重り本体から突出するようにガイドローラを釣合重り本体に支持させるガイドローラ取付工程と、ガイドローラ取付工程の後、ガイドローラが乗場に載るように釣合重りを昇降路から乗場に移動させる釣合重り移動工程とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータ釣合重り搬出方法によれば、釣合重り本体からガイドローラを取り外し、釣合重りを釣合重り用ガイドレールから取り外す釣合重り取外工程と、釣合重り取外工程の後、釣合重りを高さ方向から視た場合にガイドローラが釣合重り本体の厚さ方向について釣合重り本体から突出するようにガイドローラを釣合重り本体に支持させるガイドローラ取付工程と、ガイドローラ取付工程の後、ガイドローラが乗場に載るように釣合重りを昇降路から乗場に移動させる釣合重り移動工程とを備えているので、釣合重りを解体することなく、昇降路から乗場に搬出することができる。その結果、釣合重りを昇降路から乗場に搬出する作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るエスカレータ装置を示す構成図である。
【
図4】
図3の釣合重り本体に取り付けられるエレベータ釣合重り搬出用治具を示す構成図である。
【
図5】
図4のエレベータ釣合重り搬出用治具を示す側面図である。
【
図6】
図4のエレベータ釣合重り搬出用治具が釣合重りに取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図7】
図6のエレベータ釣合重り搬出用治具が釣合重りに取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図8】
図1の釣合重りを昇降路から搬出する方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図1の釣合重りを乗場に移動させる状態を示す側面図である。
【
図10】
図9の釣合重りを乗場に載せた状態を示す図である。
【
図11】この発明の実施の形態2に係る釣合重り本体の上面の端部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ装置を示す構成図である。エレベータ装置は、昇降路100に設けられたかご1と、一端部がかご1に接続されたロープ2と、昇降路100に設けられ、ロープ2の他端部に接続された釣合重り3と、機械室101に設けられ、ロープ2が巻き掛けられた巻上機4とを備えている。巻上機4が駆動することによって、ロープ2が移動する。ロープ2が移動することによって、かご1および釣合重り3が互いに反対方向に昇降する。釣合重り3は、昇降路100の奥行方向についてかご1よりも背面側に配置されている。言い換えれば、釣合重り3は、釣合重り3を高さ方向から視た場合に釣合重り3と乗場102との間にかご1が配置されるように配置されている。
【0010】
図2は
図1の釣合重り3を示す側面図、
図3は
図2の釣合重り3を示す平面図である。エレベータ装置は、昇降路100に設けられ高さ方向に延びた釣合重り用ガイドレール5をさらに備えており、釣合重り3は、昇降路100を昇降する際に釣合重り用ガイドレール5に案内される。それぞれの釣合重り用ガイドレール5は、昇降路100の側壁に平行に配置される平板形状の基部51と、基部51から垂直方向に延びるレール本体52とを有している。それぞれのレール本体52は、先端部が互いに対向するように配置されている。
【0011】
釣合重り3は、釣合重り枠および重り板を含む釣合重り本体31と、釣合重り本体31の上部に設けられた一対の上部ガイドローラ(ガイドローラ)32と、釣合重り本体31の下部に設けられた一対の下部ガイドローラ(ガイドローラ)33とを有している。上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が釣合重り用ガイドレール5を転動することによって、釣合重り3は、昇降路100を昇降する際に、釣合重り用ガイドレール5に案内される。
【0012】
上部ガイドローラ32は、釣合重り本体31に形成されたボルト孔に挿入されるボルト321と、ボルト321を用いて釣合重り本体31の上面に固定される固定板322と、固定板322に回転可能に支持され、釣合重り用ガイドレール5のレール本体52を転動する第1ローラ部323と、固定板322に回転可能に支持され、釣合重り用ガイドレール5のレール本体52の側面を転動する一対の第2ローラ部324とを有している。一対の第2ローラ部324は、釣合重り用ガイドレール5を挟むようにして配置されている。
【0013】
この例では、第2ローラ部324は、釣合重り3を高さ方向から視た場合に、釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出していない。つまり、上部ガイドローラ32は、釣合重り3を高さ方向から視た場合に、釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出していない。
【0014】
下部ガイドローラ33は、上部ガイドローラ32と同様の構成となっている。
【0015】
図4は
図3の釣合重り本体31に取り付けられるエレベータ釣合重り搬出用治具6を示す構成図、
図5は
図4のエレベータ釣合重り搬出用治具6を示す側面図である。ここでは、釣合重り本体31の上部に取り付けられるエレベータ釣合重り搬出用治具6について説明するが、釣合重り本体31の下部に取り付けられるエレベータ釣合重り搬出用治具6も同様の構成となっている。エレベータ釣合重り搬出用治具6は、上部ガイドローラ32が取り付けられていた釣合重り本体31の部分に取り付けられる釣合重り本体取付部61と、釣合重り本体取付部61と一体に形成されたガイドローラ取付部62と、釣合重り本体取付部61が釣合重り本体31に取り付けられている場合であってエレベータ釣合重り搬出用治具6が釣合重り本体31を支持する場合に、釣合重り本体31を支持する支持部63とを備えている。上部ガイドローラ32は、釣合重り3を高さ方向から視た場合に上部ガイドローラ32が釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出するようにガイドローラ取付部62に取り付けられる。上部ガイドローラ32が釣合重り3を高さ方向から視た場合に釣合重り本体31から突出する方向は、昇降路100についての奥行方向であって乗場102から離れる方向である。言い換えれば、上部ガイドローラ32が釣合重り3を高さ方向に視た場合に釣合重り本体31から突出する方向は、釣合重り本体31から、昇降路100における乗場102に対向する壁に向かう方向である。この例では、釣合重り3を高さ方向から視た場合に、釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出する上部ガイドローラ32の部分は、第1ローラ部323となっている。なお、釣合重り3を高さ方向から視た場合に、釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出する上部ガイドローラ32の部分は、第2ローラ部324であってもよい。
【0016】
釣合重り本体取付部61には、ボルト321が挿入されるボルト孔611が形成されている。ボルト孔611は、釣合重り本体取付部61が釣合重り本体31に取り付けられる際に、釣合重り本体31のボルト孔と重なるように形成されている。ボルト孔611と釣合重り本体31のボルト孔とにボルト321が挿入されることによって、釣合重り本体取付部61が釣合重り本体31に支持される。
【0017】
ガイドローラ取付部62には、上部ガイドローラ32が取り付けられる際に、上部ガイドローラ32のボルト孔と重なるように配置されたボルト孔621が形成されている。
【0018】
図6は
図4のエレベータ釣合重り搬出用治具6が釣合重り3に取り付けられた状態を示す平面図、
図7は
図6のエレベータ釣合重り搬出用治具6が釣合重り3に取り付けられた状態を示す側面図である。エレベータ釣合重り搬出用治具6は、ボルト孔621に挿入されるボルト64をさらに備えている。ボルト64が上部ガイドローラ32のボルト孔およびボルト孔621に挿入されることによって、上部ガイドローラ32がガイドローラ取付部62に支持される。釣合重り本体取付部61が釣合重り本体31に固定され、上部ガイドローラ32がガイドローラ取付部62に固定されることによって、上部ガイドローラ32がエレベータ釣合重り搬出用治具6を介して釣合重り本体31に支持される。
【0019】
次に、釣合重り3を昇降路100から搬出する方法について説明する。
図8は
図1の釣合重り3を昇降路100から搬出する方法を示すフローチャート、
図9は
図1の釣合重り3を乗場に移動させる状態を示す側面図、
図10は
図9の釣合重り3を乗場に載せた状態を示す図である。まず、かご1および釣合重り3を停止させた状態で、釣合重り本体31から全ての上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を取り外し、釣合重り3を釣合重り用ガイドレール5から取り外す(ステップS101)(釣合重り取外工程)。
【0020】
釣合重り取外工程の後、釣合重り3を高さ方向から視た場合に上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出するように上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を釣合重り本体31に支持させる(ステップS102)(ガイドローラ取付工程)。ガイドローラ取付工程では、エレベータ釣合重り搬出用治具6を介して、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を釣合重り本体31に支持させる。
【0021】
ガイドローラ取付工程の後、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が乗場102に載るように釣合重り3を昇降路100から乗場102に移動させる(ステップS103)(釣合重り移動工程)。釣合重り移動工程では、ロープ2によって吊り下げられている釣合重り3を下降させながら、釣合重り3を乗場102に向かって引っ張ることにより、釣合重り3を昇降路100から乗場102に移動させる。以上により、釣合重り3を昇降路100から搬出する方法が終了する。
【0022】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ釣合重り搬出方法によれば、釣合重り本体31から上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を取り外し、釣合重り3を釣合重り用ガイドレール5から取り外す釣合重り取外工程と、釣合重り取外工程の後、釣合重り3を高さ方向から視た場合に上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出するように上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を釣合重り本体31に支持させるガイドローラ取付工程と、ガイドローラ取付工程の後、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が乗場102に載るように釣合重り3を昇降路100から乗場102に移動させる釣合重り移動工程とを備えているので、釣合重り3をピットで解体することなく、昇降路100から乗場102に搬出することができる。その結果、釣合重り3を昇降路100から乗場102に搬出する作業効率を向上させることができる。
【0023】
また、釣合重り移動工程では、ロープ2によって吊り下げられている釣合重り3を下降させながら、釣合重り3を乗場102に向かって引っ張ることにより、釣合重り3を昇降路100から乗場102に移動させるので、ピットに足場を組み立てることなく、釣合重り3を昇降路100から乗場102に搬出することができる。
【0024】
また、ガイドローラ取付工程では、高さ方向から視た場合に上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を厚さ方向について釣合重り本体31から突出させるためのエレベータ釣合重り搬出用治具6を介して、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を釣合重り本体31に支持させるので、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が釣合重り本体31に直接に取り付けられている状態では、高さ方向から視た場合に上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が厚さ方向について釣合重り本体31から突出していない場合に、高さ方向から視た場合に上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を厚さ方向について釣合重り本体31から容易に突出させることができる。
【0025】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータ釣合重り搬出用治具6によれば、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が取り付けられていた釣合重り本体31の部分に取り付けられる釣合重り本体取付部61と、釣合重り本体取付部61と一体に形成され、釣合重り3を高さ方向から視た場合に上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出するように上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が取り付けられるガイドローラ取付部62とを備えているので、釣合重り3を解体することなく、昇降路100から乗場102に搬出することができる。その結果、釣合重り3を昇降路100から乗場102に搬出する作業効率を向上させることができる。
【0026】
なお、上記実施の形態1では、ピットに足場を組み立てることなく、釣合重り3を昇降路100から乗場102に搬出する方法について説明したが、ピットに足場を組み立てた後、釣合重り3を足場に載せて、昇降路100から乗場102に釣合重り3を搬出してもよい。
【0027】
また、上記実施の形態1では、ロープ2によって吊り下げられている釣合重り3を下降させながら、釣合重り3を昇降路100から乗場102に移動させる方法について説明したが、釣合重り3を揚重する揚重装置を昇降路100に取り付け、揚重装置を駆動することによって釣合重り3を下降させながら、釣合重り3を昇降路100から乗場102に移動させてもよい。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態1では、通常時において、第1ローラ部323の回転軸の方向が釣合重り本体31の厚さ方向となり第2ローラ部324の回転軸の方向が釣合重り本体31の幅方向となるように上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が釣合重り本体31に取り付けられ、搬出時において、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を釣合重り本体31から一度取り外し、第1ローラ部323の回転軸の方向が釣合重り本体31の幅方向となり第2ローラ部324の回転軸の方向が釣合重り本体31の厚さ方向となるように、エレベータ釣合重り搬出用治具6を用いて、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を再度釣合重り本体31に取り付ける構成について説明した。これに対して、エレベータ釣合重り搬出用治具6を用いずに、第1ローラ部323の回転軸の方向が釣合重り本体31の幅方向となり第2ローラ部324の回転軸の方向が釣合重り本体31の厚さ方向となるように、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を再度釣合重り本体31に取り付けることもできる。
【0029】
図11はこの発明の実施の形態2に係る釣合重り本体31の上面の端部を示す図である。実施の形態2においては、釣合重り3は、釣合重り本体31に代えて釣合重り本体71を有している。釣合重り本体71の上端部には、上部ガイドローラ32を取り付けるためのボルト321が通るボルト孔711a(第1のボルト孔)およびボルト孔711b(第2のボルト孔、第3のボルト孔)が形成されている。ボルト孔711aおよびボルト孔711bは、
図11に示すように、釣合重り本体71の上端部に、釣合重り本体71の厚さ方向に並んで配置されている。ボルト孔711aは乗場102側に配置され、ボルト孔711bは昇降路100における乗場102に対向する壁側に配置される。ボルト孔711aおよびボルト孔711bは、上部ガイドローラ32を釣合重り本体71に取り付けるため、ボルト321が通る固定板322の2つのボルト孔と重なる位置に配置される。なお、上述では詳細を省略したが、ボルト孔711aおよびボルト孔711bと固定板322の2つのボルト孔とは、実施の形態1においても同様の配置である。
【0030】
また、釣合重り本体71の上端部には、ボルト孔712(第4のボルト孔)がさらに形成されている。ボルト孔712は、上部ガイドローラ32を釣合重り本体71に取り付けるための孔である。ボルト孔712は、ボルト孔711bと同様に、昇降路100における乗場102に対向する壁側に配置される。ボルト孔712は、ボルト孔711aの中心とボルト孔711bの中心とを結ぶ直線と、ボルト孔711bの中心とボルト孔712の中心とを結ぶ直線とが直交する位置に配置される。ボルト孔711bおよびボルト孔712は、昇降路100における乗場102に対向する壁に沿って配置され、ボルト孔711bの中心からボルト孔712の中心までの距離は、ボルト孔711aの中心からボルト孔711bの中心までの距離と等しい。そのため、固定板322の2つのボルト孔を通る2つのボルト321を、それぞれボルト孔711bとボルト孔712に通し、釣合重り本体71の上端部と固定板322をねじ止めすることで、上部ガイドローラ32を釣合重り本体71に取り付けることができる。釣合重り3を高さ方向から視た場合に、ボルト孔711bの中心から釣合重り本体71の外縁までのボルト孔711aの中心とボルト孔711bの中心とを結ぶ直線の方向における距離は、ボルト孔711aの中心とボルト孔711bの中心とを結ぶ直線から第1ローラ部323の釣合重り用ガイドレール5に接触する面までの距離よりも小さい。ボルト孔712の中心から釣合重り本体71の外縁までの前記直線における距離についても、ボルト孔711aの中心とボルト孔711bの中心とを結ぶ直線から第1ローラ部323の釣合重り用ガイドレール5に接触する面までの距離よりも小さい。
【0031】
上記実施の形態1では、エレベータ釣合重り搬出用治具6が釣合重り本体31に取り付けられていない状態では、釣合重り3を高さ方向から視た場合に、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出していない構成について説明した。一方で、以上説明したように、エレベータ釣合重り搬出用治具6が釣合重り本体31に取り付けられていない状態で、釣合重り3を高さ方向から視た場合に、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33が釣合重り本体31の厚さ方向について釣合重り本体31から突出する構成であってもよい。この場合、エレベータ釣合重り搬出用治具6を用いる必要がなく、釣合重り取外工程の後、ガイドローラ取付工程で、エレベータ釣合重り搬出用治具6を介さずに、上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を釣合重り本体31に支持させることができる。これにより、部品点数の削減が可能となる。
【0032】
また、釣合重り本体71の上端部に、昇降路100における乗場102に対向する壁に沿ってボルト孔711bおよびボルト孔712を配置することで、一度取り外した上部ガイドローラ32を釣合重り本体71に対して角度を変えて再度取り付けることができる。エレベータ釣合重り搬出用治具6を用いる必要がないため、部品点数の削減が可能である。また、上部ガイドローラ32を釣合重り本体71に取り付けるため、釣合重り3の搬出前に用いたボルト孔711bを、上部ガイドローラ32を釣合重り本体71に再度取り付けるため、釣合重り3の搬出時に再度用いることで、釣合重り本体71の加工工程を削減できる。
【0033】
なお、釣合重り本体71の上端部のうち、上部ガイドローラ32を取り付ける一箇所のみについて説明したが、上端部のうち、もう一方の上部ガイドローラ32の取付箇所、および下部ガイドローラ33の取付箇所についても同様の構成にできる。また、実施の形態1の取付構成と、実施の形態2の取付構成とを両方採用することもできる。例えば、上部ガイドローラ32については実施の形態1の取付構成とし、下部ガイドローラ33については実施の形態2の取付構成とすることもできる。
【0034】
また、釣合重り取外工程では、全ての上部ガイドローラ32および下部ガイドローラ33を取り外す必要はなく、一対の中の一方の上部ガイドローラ32および下部ガイドローラを取り外して、釣合重り3を釣合重り用ガイドレール5から取り外してもよい。また、ボルト孔711aを通るボルト321を取り除き、ボルト孔711bを通るボルト321による釣合重り本体71の上端部と固定板322とのねじ止めを緩めた状態で、ボルト孔711bを通るボルト321を中心として、上部ガイドローラ32を回転させることができる。この回転により、固定板322のボルト孔とボルト孔712を重ねることができるため、これらのボルト孔にボルト孔711aから取り除かれたボルト321を通すことで、釣合重り本体71の上端部と固定板322とをねじ止めすることができる。以上の手順では、ガイドローラ取付工程においてボルト321を1つのみ取り外せばよいので、工事期間の短縮が図れる。また、上部ガイドローラ32の釣合重り本体71の上端部への取付位置を変更する過程で、ボルト孔711bを通るボルト321により、上部ガイドローラ32が釣合重り本体71に仮止めされた状態になる。よって、昇降路100内の限られた作業スペースにおいても効率的に作業を行うことができ、作業中の部品の落下等を防ぐことができる。
【0035】
なお、搬出前と搬出時とでボルト孔711bを共用のものとしたが、別のボルト孔(第3のボルト孔)を設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 かご、2 ロープ、3 釣合重り、4 巻上機、5 釣合重り用ガイドレール、6 エレベータ釣合重り搬出用治具、31 釣合重り本体、32 上部ガイドローラ、33 下部ガイドローラ、51 基部、52 レール本体、61 釣合重り本体取付部、62 ガイドローラ取付部、63 ボルト、100 昇降路、101 機械室、102 乗場、321 ボルト、322 固定板、323 第1ローラ部、324 第2ローラ部、611 ボルト孔、621 ボルト孔。