特許第6362583号(P6362583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6362583薄板ガラスをスコアリングするための方法及び装置、並びにスコアリングされた薄板ガラス
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  • 特許6362583-薄板ガラスをスコアリングするための方法及び装置、並びにスコアリングされた薄板ガラス 図000063
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362583
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】薄板ガラスをスコアリングするための方法及び装置、並びにスコアリングされた薄板ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/027 20060101AFI20180712BHJP
   C03C 3/085 20060101ALI20180712BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20180712BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20180712BHJP
   C03C 3/093 20060101ALI20180712BHJP
   C03C 3/097 20060101ALI20180712BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   C03B33/027
   C03C3/085
   C03C3/087
   C03C3/091
   C03C3/093
   C03C3/097
   B28D5/00 Z
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-234601(P2015-234601)
(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-153358(P2016-153358A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2016年2月1日
(31)【優先権主張番号】10 2014 117 641.3
(32)【優先日】2014年12月1日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2015 108 061.3
(32)【優先日】2015年5月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン フォークト
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヨッツ
【審査官】 永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−217476(JP,A)
【文献】 特開平2−221134(JP,A)
【文献】 特開2013−43787(JP,A)
【文献】 特開昭61−86433(JP,A)
【文献】 特開2009−274434(JP,A)
【文献】 特開平3−193634(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/055834(WO,A1)
【文献】 特表2013−520385(JP,A)
【文献】 特開2013−63910(JP,A)
【文献】 特開2007−126346(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/166082(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/129454(WO,A1)
【文献】 特開2011−225429(JP,A)
【文献】 特開2002−3231(JP,A)
【文献】 特開平11−268925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B33/00−33/14
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スコアー及び破断により分離させるため、意図したスコアーラインに沿って薄板ガラスをスコアリングするための方法であって、以下の工程a)〜d):
a)機械工具の水平面に延在する作業台(6)上に、材料厚さが350μm〜3μmの範囲にある薄板ガラス(9)を用意する工程、前記機械工具は、
・スコアリング駆動機構(2)、
・精密駆動部(8)により鉛直方向に駆動可能な、駆動可能なフィードスライド部(3)、
・スコアリング工具(1)、該スコアリング工具は、スコアリング要素(14)を有し、かつ該スコアリング要素(14)が、静圧空気軸受(11、12)によってスコアリング工具ハウジング(10)内に搭載されたトラニオン(15)に固定されるスコアリング工具ホルダ(13)内に搭載されており、前記軸受は、トラニオン(15)の周りにスコアリング要素(14)のピボット運動のための放射状ガイド成分及び該トラニオン(15)の軸方向に減衰支持部材を形成しており、
・前記ハウジング(10)及びスコアリング工具(1)を駆動可能なフィードスライド部(3)に固定する、平行な揺動部(4)、
・スコアリング工具(1)のスコアリング接触圧力を測定するための、測定デバイス(5)、及び
・実測値/目標値制御部(7)、該実測値/目標値制御部は、フィードスライド位置のための目標値メモリ及び目標値をスコアリング力成分の実際の測定値と比較するための比較回路を有し、及び
・制御ループ、該制御ループは、精密駆動部(8)、駆動可能なフィードスライド部(3)、平行な揺動部(4)、スコアリング工具(1)のスコアリング接触圧力を測定するための測定デバイス(5)及びフィードスライド位置のための目標値メモリを有する実測値/目標値制御部(7)を有し、
を含んでおり、
・ここで、平行な揺動部(4)は、2枚以上の板ばね(40)を含む平行四辺形であり、かつスコアリング工具ハウジング(10)に接続された一方の端部及び駆動可能なフィードスライド部(3)に接続された他方の端部を有しており、
b)スコアリング工具(1)を薄板ガラス(9)に近づけて、スコアリング工具(1)を、薄板ガラス(9)上で鉛直に位置決めする工程、
c)該板ばね(40)にバイアスをかけて、鉛直方向にフィードスライド部(3)が平行にずれることによって平行な揺動部(4)がたわむことで、該薄板ガラスに対して垂直な鉛直スコアリング力成分を調整する工程、
d)スコアリング工具(1)を、意図したスコアーラインに沿って、調整された鉛直スコアリング力成分により、薄板ガラス(9)上に引く工程、
を有し、
ここで、スコアリング工具(1)を引く間、鉛直スコアリング力成分を、平行な揺動部(4)の板ばね(40)のたわみ度合いによって測定し、かつ
意図するスコアーラインに沿った目標鉛直スコアリング力成分に対応する板ばね(40)のたわみのための目標値を該目標値メモリから取り、該実測値/目標値制御部(7)の比較回路において鉛直スコアリング力成分の実際の測定値と比較して、該目標値からずれた場合には各制御シグナルを得、かつフィードスライド部(3)を駆動させて前記ずれを相殺する、前記方法。
【請求項2】
前記スコアリングが、2N以下の均一な力を適用することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スコアリングを、公称の接触圧力の±0.05Nの範囲内という均一性を有する一定のスコアリング力で行う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記スコアリングを、制御された雰囲気下で、流体相によって特別に条件化された環境で行う、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
薄板ガラスのスコアー及び破断により分離するため、意図したスコアーラインに沿って、材料厚さが350μm〜3μmの範囲にある薄板ガラス(9)をスコアリングするための装置であって、
前記装置は、機械工具を有し、該機械工具は、
・薄板ガラス(9)を収容するためのxy方向に延在する作業台(6)、
・z方向に駆動可能な、駆動可能なフィードスライド部(3)、及び
・スコアリング工具(1)、該スコアリング工具は、スコアリング要素(14)を有し、かつ該スコアリング要素(14)が、静圧空気軸受(11、12)によってスコアリング工具ハウジング(10)内に搭載されたトラニオン(15)に固定されるスコアリング工具ホルダ(13)内に搭載されており、前記軸受は、トラニオン(15)の周りにスコアリング要素(14)のピボット運動のための放射状ガイド成分及び該トラニオン(15)の軸方向に減衰支持部材を形成しており、
・スコアリング工具ハウジング(10)をフィードスライド部(3)に固定することによって、スコアリング工具(1)をフィードスライド部(3)に接続する、平行な揺動部(4)、該平行な揺動部(4)は、2枚以上の板ばね(40)を含む平行四辺形であり、
・意図したスコアーラインに沿ってスコアリング工具(1)を引くためのスコアリング駆動機構(2)、
・駆動可能なフィードスライド部(3)をz方向に駆動し、かつスコアリング工具(1)のスコアリング接触圧力を薄板ガラス(9)にもたらすための、精密駆動部(8)、
・測定デバイス(5)、該測定デバイスは、平行な揺動部(4)に、ニュートラルポジションからの前記平行な揺動部のたわみを測定し、それにより、薄板ガラス(9)におけるスコアリング工具(1)のスコアリング接触圧力を、鉛直スコアリング力成分として測定するために連結されており、及び
・実測値/目標値制御部(7)、該実測値/目標値制御部は、フィードスライド位置のための目標値メモリ及び目標値をスコアリング力成分の実際の測定値と比較するための比較回路を有するものであり、及び
・制御ループ、該制御ループは、精密駆動部(8)、駆動可能なフィードスライド部(3)、平行な揺動部(4)、測定デバイス(5)及び目標値を該スコアリング成分の実際の測定値と比較するための実測値/目標値制御部(7)を有するものであり、
を有するものである、
前記装置。
【請求項6】
・スコアリング深さが、該ガラス材料厚さの1/20〜4/5の範囲であり、かつ
・薄板ガラスのヌープ硬度HKが、350〜650の範囲である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記薄板ガラスのヌープ硬度HKが、550〜650の範囲にある、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表1】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表2】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表3】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表4】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表5】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表6】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表7】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表8】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表9】
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記薄板ガラスが、以下のガラス組成:
【表10】
を有する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スコアー及び破断により分離するため、所望のスコアーラインに沿って薄板ガラスをスコアリングするための方法及び装置に関し、またこのような方法で作成された、スコアリングされた薄板ガラスに関する。ここで薄板ガラスとは実質的に、厚さが1.2mm〜3μmである平坦なガラスを言い、これはガラスリボン又はガラスフィルムとして作成でき、コイル状に巻くことができる。しかしながら、スコアリングされたガラスはまた、事前にスコアリングされたプレートとして、ウェハフォーマットで作成することも望ましい。スコアーに沿って破断した後、小さなガラスプレートが得られ、これは電気工学、電子工学、又は電池における部材の一部として、さらに加工される。
【背景技術】
【0002】
薄板ガラスは多くの技術分野で使用され、例えばディスプレイ、オプトエレクトロニック部材用の窓、成分のカプセル化、及び電気的な絶縁層において使用される。これらの適応にとっては、小さな薄板ガラスプレートが必要となる。しかしながら、ガラスは主にガラスリボン又はガラスフィルムとして製造され、最近では350μm未満の厚さが求められる。このような薄いガラスリボン、又はこのような薄いガラスフィルムを、より小さな薄板ガラスプレートに加工したい場合、取り扱いの問題が生じる。
【0003】
薄板ガラスの加工者は通常、小さくダイシングされた薄板ガラスプレートをさらなる加工に送ることを望まず、ロールに巻取った薄板ガラスは、小さな薄板ガラスプレートに分離するために用意される。しかしながら、事前にスコアリングされた薄板ガラスの場合、これは問題をはらんでいる。すなわち、コイル状に巻取った時に薄板ガラスを曲げると、スコアーに沿って事前に破断が起こってしまう危険性がある。たった1つの破断であっても、さらなる加工工程を妨害することがあり、薄板ガラスをロールから引き取る間に、破断箇所が原因で、さらなる加工工程を中断しなければならないことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、事前にスコアリングした薄板ガラスを高い信頼度でさらに加工することが可能になるよう、事前にスコアリングされた薄板ガラスを作成するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
スコアーに沿った事前破断の危険性を表現するため、作成されたスコアーは、規定の品質を有する必要がある。スコアーは、なるべく均一の深さを有さなければならない。すなわちスコアリング工具は、意図したスコアーラインに沿って正確に方向付けしなければならず、スコアリング接触圧力が、なるべく一定でなければならない。厚さ1.2mm〜350μmの範囲では、このことが可能である。比較的大きなスコアリング接触圧力が、スコアリングのために設定されるからである。しかしながら、超薄板ガラス(UTG)をスコアリングしたい場合、そして薄板ガラスに適用されるスコアリング接触圧力が、小さな値を取る場合(2N以下)、スコアリングすべきガラス表面でスコアリング工具が一時的に滑る危険性が増加し、これはスティック・スリップ現象として知られ、従来のカッティングヘッドでも観察されている。
【0006】
本発明の第一の態様によれば、薄板ガラスをスコアリングするための装置が提供され、この方法では、摩擦力を大部分回避することにより、効率的かつ正確にスコアリング接触圧力を、意図したスコアーラインに沿って一定に保つことができる。この目的のためにスコアリング工具は、2つ以上の板ばねを有する平行な揺動部により薄板ガラスに押しつけられ、意図したスコアーラインに沿って、CNC機械工具により駆動される。スコアリング工具のスコアリング接触圧力は、測定デバイスで制御しながら調整され、このデバイスは有利には、平行な揺動部のニュートラルポジションからのたわみに基づき、スコアリング接触圧力を決める。
【0007】
本発明の範囲において切断工具とは、スコアリング工具と同義である。同様にカッティングヘッド及びスコアリングヘッドは、同義で用いられる。ガラス(例えば薄板ガラス)の切断とは、スコアリングとそれに続く分離であると理解されるべきである。よってスコアリングとは、切断工程の一部である。本発明の範囲においてガラスのスコアリングとは、表面領域を何らかの形で弱体化させることであると理解されるべきであり、それは例えば、連続的又は非連続的な切り溝を作成することによって行われる。
【0008】
スコアリング工具ホルダ内で、スコアリングヘッドにおけるさらなるスティック・スリップ現象を回避するため、スコアリング工具のスコアリング要素が、静圧空気軸受内にあるトラニオンによってスコアリング工具ハウジング内に搭載されており、静圧空気軸受は、トラニオンの軸方向に減衰支持部材を備え、またスコアリング工具をピボット運動させるための放射状ガイド部を備える。スコアリング工具は、実質的に一定の力で、スコアリングすべき薄板ガラスに位置決めすることができ、意図したスコアーラインに沿って引くことができる。意図したスコアーラインが曲線を含む場合、静圧空気軸受によって、摩擦の少ない取り付け状態になり、従来技術のカッティングヘッドを有するカッティング工具のトラニオンを支持するためにこれまで慣用的に用いられている玉軸受を使用しても、スティック・スリップ現象が起こらない。さらに、ここで提案したスコアリングヘッドは、これまで慣用の従来技術のカッティングヘッドと比較して、特にモーメントが小さく、軽量に設計されたものであってよい。
【0009】
本発明の第二の態様は、薄板ガラスをスコアリングする間の工程制御と加工に関する。所定のスコアリング深さを一定に保ちたい場合、スコアリング深さから導かれる量を規定することが有用である。スコアリング深さは、スコアリング工具を引く間の平行な揺動部のたわみの程度と関連しており、測定されたたわみから算出可能である。スコアリング抵抗の不規則性が薄板ガラスにおいて起こると、この乱れは制御ループによって小さく保つことができ、スコアリング深さの許容範囲内に保つことができる。さらに制御とは、スコアリング装置においてスコアリング深さを変えて駆動可能なことを意味し、これは例えば薄板ガラスのより中心部と比べて、薄板ガラスの周辺端部近くで異なるスコアー及び破断性を補償するために行う。同じことが、二次元的な縦方向又は横方向の延伸について厚さの異なる薄板ガラスについても当てはまる。
【0010】
本発明の第三の態様は、事前にスコアリングされた、新規の小さい薄板ガラスプレート用の半製品として薄板ガラスを製造する方法に関し、このような薄板ガラスプレートは、消費者向け電気機器の様々な領域で有用に適用される。スコアーと破断による分離後に得られるこのような小さい薄板ガラスプレートは、ディスプレイデバイス、タッチパネル、太陽電池、半導体モジュール、又はLED光源のためのカバーガラスとして適している。しかしながら、小さな薄板ガラスプレートはまた、キャパシタ、薄膜電池、可撓性回路基板、可撓性OLED、可撓性の光起電モジュール、又は電子ペーパーの一部としても使用できる。この種の薄板ガラスは、意図する用途分野に従って特別に選択でき、耐薬品性、耐熱衝撃性、耐熱性、気密性、高い電気絶縁性、適切な膨張係数、可撓性、高い光学品質、及び透光性に関連する要求が、高い表面品質とともに満たされる。薄板ガラスは火炎研磨した表面を薄板ガラスの両面に有するため、粗さが非常に低い。
【0011】
要求される特性を有する薄板ガラスは、ヌープ硬度HKが350〜650の範囲にある。本発明のためには、ヌープ硬度は550〜650の範囲にあるのが好ましいが、ヌープ硬度は650を超える値が想定されていてもよい。ヌープ硬度がこれより高い場合、スコアーの深さが浅くても、スコアーに沿って破断させるためには充分であり、このことはコイル状の薄板ガラス材料において、スコアーに沿って事前に破断してしまうことを防止するために有利である。実際にスコアリング深さは、薄板ガラスの厚さの1/20〜4/5、好ましくは1/20〜1/5であってよく、スコアリング深さのために考慮される薄板ガラス材料へと延伸する亀裂を有する。
【0012】
ここで示したスコアリング法を成功させるためには、薄板ガラスの組成も重要となる。以下の種類のガラスが、特に適切であることが判明している:リチウムアルミノケイ酸塩ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリ金属アルミノケイ酸塩ガラス、及びアルミノケイ酸塩ガラス。
【0013】
これより図面を参照しながら、装置の例示的な態様によって本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】CNC機械工具のスコアリングヘッドによる、縦断面図を概略的に示す。
【実施例】
【0015】
CNC機械工具のスコアリングヘッドの主要部は、スコアリング工具1、スコアリング駆動機構2、駆動可能なフィードスライド部3、平行な揺動部4、及び測定デバイス5を有する。スコアリングヘッドはスコアリング工具1とともに、機械工具の作業台6上を水平方向に沿ってx方向及びy方向に移動可能である。駆動可能なフィードスライド部3は、z方向へのスコアリング工具1の調整を担い、フィード駆動部(図示せず)、及び精密駆動部8を有することができる。フィード駆動部は、スコアリング工具1を作業台(すなわち薄板ガラス9)上で位置決めするために用いられ、薄板ガラス9に力を適用しないのが好ましい。精密駆動部8により、スコアリング工具のスコアリング接触圧力が、薄板ガラス9にもたらされる。これを制御された状態で達成するため、実測値/目標値制御部7が備えられている。
【0016】
スコアリング工具1は、スコアリングハウジング10を有し、このハウジングは、その内部に静圧空気軸受11及び12と、スコアリング工具ホルダ13、及びスコアリング要素14とを備える。ここで図示した例に制限されることなく、一般的に軸受は磁力的な、静圧空気型、及び/又は機械的な軸受として構成されていてよいが、摩擦力を減少させるために適切な手段を考慮しなければならない。スコアリング要素は、焼結ダイヤモンドのカッティングホイールとして作成されていてよいが、硬質金属製のカッティングホイール及び切削用ダイヤモンドもまた有用である。スコアリング工具ホルダ13は、放射状の軸受12に搭載されたトラニオン15、並びに軸受11上に支持されたピストン16を有する。静圧空気軸受11、12には、圧縮空気導管を通じて圧縮空気が供給され、必要なガイドと、圧縮空気チャンバで発生したエアクッションを通じて動きの自由度を得る。スコアリング要素14は、トラニオン15の軸に対してずれた軸を有するスコアリング工具ホルダ13に取り付けられており、これによりスコアリング要素14を薄板ガラス9の上で、ずれた方向に見られるようなトラニオン15の軸の背後に延びる意図したスコアーラインに沿って、引くことができる。
【0017】
スコアリング要素14が薄板ガラス9で位置決めされるまで、z方向における動きに従わせるため、スコアリング工具ハウジング10が、平行な揺動部4によって、駆動可能なフィードスライド部3に取り付けられている。平行な揺動部4は平行四辺形であり、これは板ばね40を2個以上有し、板ばね40の端部をクランプするクランプ部材41及び42を有する。クランプ部材41は、スコアリング工具ハウジング10に固着されており、クランプ部材42は、駆動可能なフィードスライド部3に固着されている。
【0018】
薄板ガラス9の表面にスコアリング要素14を引く間、スコアリング工具1と平行な揺動部4の系に共鳴振動が励起されるのを回避するため、平行な揺動部4の構成に対して勾配特性が異なる複数の板ばね40を選択することが有利である。1つの板ばねに共鳴振動が起こると、その振動は緩和され、もう1つの板ばねにより抑制される。
【0019】
板ばねの数を変えることに加えて、平行な揺動部の構成について、厚さ、幅、長さ、及び材質を変えることもできる。適切な材料には、金属、プラスチック、炭素、ケプラー、グラフェンなどが含まれる。
【0020】
スコアリングを行うため、スコアリング要素14を有するスコアリング工具1を、接触圧ができるだけ少なくなるよう、薄板ガラス9の先端(top)で位置決めする。このために、一対の平行な停止部を設けることにより「代替的なタッチダウン」が備えられていてよく、一対をなす第一の部材は、スコアリング要素の下部端面の水平面に沿った停止表面を有し、一対をなす第二の部材は、スコアリングすべき薄板ガラスの上面の水平面に沿った停止表面を有する。続いて、一組の平行な停止部が使用できなくなり、第二の工程で薄板ガラス9に、スコアリング接触力がかけられる。これは、精密駆動部8によって達成される。スコアリング工具1のタッチダウン位置から出発して、駆動可能なフィードスライド部3は、精密駆動部8によりz方向に下向きの動きをもたらし、スコアリング要素14は、薄板ガラス9内に侵入し、板ばね40には、所望のスコアリング接触圧力が達成されるまで、バイアスがかけられ、力発生系においてあらゆる摩擦力を伴うことがないため、スコアリング接触圧力をもたらす際にスティック・スリップ現象は、薄板ガラスで起こらない。薄板ガラスの表面形状、作業台の表面形状、又はx−y方向への機械工具の駆動の表面形状に僅かな変化が起こった場合でも、これは問題とはならない。スコアリング接触圧力を変えて駆動させた場合であっても、各スコアリング接触圧力の調整に対して、摩擦力は何ら影響しない。
【0021】
直列の圧電駆動部は、精密駆動部8として適切である。測定デバイス5のセンサーとしては、一方の板ばね40においてストレインゲージが使用でき、これにより、スコアリング工具1を薄板ガラス9にタッチダウンさせた後の、z方向における平行な揺動部4のたわみを特定する。平行な揺動部4の板ばね40のばね定数が分かっているため、鉛直スコアリング力成分を測定することができ、平行な揺動部4のたわみに基づいて示すことができる。前述のように、鉛直スコアリング力成分は、摩擦力成分無しで所望の値に調整でき、実測値/目標値制御部7を用いて維持できる。
【0022】
従って、制御ループが工程制御のために設けられており、これは測定デバイス5、実測値/目標値制御部7、及びフィードスライド部3の精密駆動部8を有するものである。実測値/目標値制御部7は、意図したスコアーラインに沿った鉛直スコアリング力成分の目標値をインプット及び記憶するための目標値メモリを有し、また鉛直スコアリング力成分の実際の測定値と、記憶された目標値との間のずれを検知するための比較回路を有する。差違が生じた場合(すなわち、いわゆるエラーシグナル)、フィードスライド部3の精密駆動部8を、エラーシグナルが減少する方向に駆動させる。この手法により、必要とされるスコアリング力の程度は、あらゆる所定の時間で保証できる。目標値メモリを調整して、様々な目標値を記憶させたい場合、調整可能なスコアリング力特性をプログラムできる。これは、方法の最適化にとって有用である。
【0023】
スコアリング工具1が、薄板ガラス9上で意図したスコアーラインに沿って走るように、スコアリング駆動機構2が備えられており、この駆動機構には、駆動可能なフィードスライド部3が搭載されており、スコアリング工具1に沿って、スコアリング駆動機構2の動きに従うようになっている。薄板ガラス表面で何らかのうねりに遭遇した場合、スコアリング深さにおけるその衝撃は、制御ループによって補償できる。さらに、軸方向にエアクッションを有する静圧空気軸受11を用いることによって、z方向における動きが緩衝され、これにより、薄板ガラスの表面でうねりが起こった場合、スコアリング力成分の変化速度が減少する。さらに、放射状の静圧空気軸受12を用いることによって(トラニオン15を搭載する玉軸受の代わりに)、また平行な揺動部4を用いることによって(工作物に対して切断工具にバイアスをかけるためのスクリュー駆動部の代わりに)、実質的な慣性質量(調整された時に、鉛直スコアリング力成分の所望の程度を維持する正確性に影響を与える)が、スコアリング工具上で回避される。このことは特に重要である。なぜならば目的が、特に350μm未満の超薄板ガラス(UTG)を事前にスコアリングすることであるからであり、これによって貯蔵条件下でも、スコアーに沿って事前に破断させてしまうことなく保持できる。これは適切なスコアリング深さを保つという点で、非常にデリケートな問題である。本発明の装置及び方法により、鉛直スコアリング力成分を、極めて僅かな程度で調整することができ、これによりさらに極めて薄いガラス材料を事前にスコアリングし、引き続きさらなる加工に供給することができる。これは特に、とりわけ良好な端部強度がこのようにして実現可能であることによる。
【0024】
弾性のある平行な揺動部を有する機械工具のスコアリングヘッドの稼働が有利となるのはまた、薄板ガラスをスコアリングするための装置が、測定手段及び制御手段無しで、またスコアリング要素の静圧空気式軸受の搭載無しで、構成されている場合である。
【0025】
本発明によるスコアリングヘッドの稼働により、特に、2N以下(カッティングホイールを用いる場合には好ましくは1.2N未満、ダイヤモンドチップを用いる場合には0.5N未満)という非常に均一な力を適用して薄板ガラスをスコアリングすることができ、いわゆるスティック・スリップ現象につながることはない。
【0026】
本発明によるスコアリングヘッドにより、非常に一定の力で薄板ガラスをスコアリングすることに、発明者らは成功した。その均一性は、公称の接触圧力の±0.05Nの範囲内、好ましくは±0.03Nの範囲内にある。これにより、高度な端部強度と関連する、鉛直的な亀裂のない端部品質が得られる。これとは対照的に、従来のスコアリングヘッドでは、スコアリングは単に不均一なスコアリング力と力のピークでのみ可能であり(特に、スティック・スリップ現象が生じることにより増幅される)、これは本発明と比較すると、多数の亀裂を有する端部品質が生じるため、端部強度は低くなる。
【0027】
本発明のさらなる態様において、スコアリングは制御された雰囲気下で行い、特に流体相により特別に条件化された環境で行う。この流体相は好ましくは、アルコール、より好ましくは無水アルコール、最も好ましくは無水エタノールを含有する。その他の流体には、脱イオン水、ロックステッダー(Lockstedter、45%のハーブリキュール)、及び欧州特許第1726635号明細書(B1)に開示された液体が含まれる。ここで、スコアリング工具は流体相によって、少なくとも部分的に、好ましくは完全に取り囲まれている。
【0028】
本発明の文脈において、薄板ガラスとは、プレート状、又はリボン状、又はフィルム状のガラスであって、その厚さが1.2mm未満、又は1.0mm未満、又は0.8mm未満、又は0.6mm未満、又は350μm未満、又は250μm未満、又は100μm未満、又は50μm未満のものであるが、最小の厚さは3μm、又は10μm、又は15μmであることが確認されている。
【0029】
このような薄板ガラスはしばしば、ロールの形状で貯蔵される。しかしながら、事前にスコアリングした薄板ガラスをコイル状に巻いた形で、事前に破断させることなく貯蔵したい場合、事前に破断してしまうことを避けるためには、特別な手段が必要となる。スコアーに張力がかかるような形で、又はさらに張力がロールコイルの外部円周に現れるような形で、コイル状に巻取ってはならない。これはつまり、スコアリングの開口部が巻取り中心部を向いていなければならないということである。さらに、薄板ガラスの側方端部(ここを曲げてロールコイルが形成される)は、弱体化してはならない。なぜならば経験的に、事前にスコアリングされていない薄板ガラスでさえも、このような側方端部で破断が始まることが判明しているからである。本発明により、薄板ガラスの端部までスコアリングを伸ばさないことが可能である。薄板ガラスの中心領域にスコアリングがあれば、後にスコアーに沿って破断を行うためには充分である。
【0030】
薄板ガラスを事前にスコアリングするための正確なスコアーを特定するための手順は、実験による。スコアリングは、薄板ガラスの最終的な加工において所望の小さな薄板ガラスプレートが得られるような深さで、また薄板ガラスに適用されるスコアリング接触圧力で、作成される。こうして、事前にスコアリングされた薄板ガラスが、例えばロールコイルの形で、スコアーに沿って事前に破断せずに貯蔵可能かどうかが決まる。貯蔵できない場合、スコアーの形状は、スコアリング深さの点で変えなければならない。従って、スコアーに沿った最終的な破断のための要件は、最終的に小さな薄板ガラスプレートを製造する場合、適用するために再決定しなければならない。スコアーに沿った破断は、薄板ガラスが脆ければ脆いほど、より容易にできる。ヌープ硬度HKは、薄板ガラスの脆さの測定値としてみなすことができる。よって、小さな薄板ガラスプレートに加工すべき場合、薄板ガラスが高いヌープ硬度値を示すことが有利である。材料厚さの1/20〜4/5の範囲、好ましくは1/20〜1/5の範囲にあるスコアリング深さが、貯蔵可能な事前にスコアリングされた薄板ガラスを製造するために有利に貢献することが判明している。
【0031】
以下、本発明による方法に従って加工すべき、ヌープ硬度HKが550〜650の範囲、及び650超である薄板ガラス(特に350μm未満の超薄板ガラス(UTG))に適切なガラス組成を、手に入る限り示す。
【0032】
例1:リチウムアルミノケイ酸塩ガラス
【表1】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0033】
例2:リチウムアルミノケイ酸塩ガラス
【表2】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0034】
例3:リチウムアルミノケイ酸塩ガラス
【表3】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0035】
例4:ソーダ石灰ガラス
【表4】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0036】
例5:ソーダ石灰ガラス
【表5】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0037】
例6:ソーダ石灰ガラス
【表6】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0038】
例7:ホウケイ酸ガラス
【表7】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0039】
例8:ホウケイ酸ガラス
【表8】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0040】
例9:ホウケイ酸ガラス
【表9】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0041】
例10:アルカリ金属アルミノケイ酸塩ガラス
【表10】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0042】
例11:アルカリ金属アルミノケイ酸塩ガラス
【表11】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0043】
例12:アルカリ金属アルミノケイ酸塩ガラス
【表12】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0044】
例13;アルミノケイ酸塩ガラス
【表13】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0045】
例14:アルミノケイ酸塩ガラス
【表14】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0046】
例15:アルミノケイ酸塩ガラス
【表15】
任意で、着色性酸化物(例えばNd23、Fe23、CoO、NiO、V25、MnO2、TiO2、CuO、CeO2、Cr23)をこの薄板ガラスに添加してもよい。さらに、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、F、及び/又はCeO2を0〜2質量%、清澄剤として添加できる。薄板ガラスに磁性、フォトニクス、又は光学的な作用を付与するため、希土類酸化物を0〜5質量%の量で添加できる。全組成の合計量は、100質量%である。
【0047】
例示的な態様16:
ガラスの組成は、以下の組成で例示される(質量%):
【0048】
例示的な態様17:
ガラスの組成はさらに、以下の組成によって例示される(質量%):
ここではさらに、MgO、CaO、及びBaOの含分の合計が、8〜18質量%の範囲にあることを特徴とする。
【0049】
例示的な態様18:
ガラスの組成はさらに、以下の組成によって例示される(質量%):
【0050】
例示的な態様19:
さらに、あり得るガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0051】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0052】
例示的な態様20:
さらなるガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0053】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0054】
例示的な態様21:
別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0055】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0056】
例示的な態様22:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0057】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0058】
例示的な態様23:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0059】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0060】
例示的な態様24:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0061】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0062】
例示的な態様25:
さらなるガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0063】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0064】
例示的な態様26:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0065】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0066】
例示的な態様27:
別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0067】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0068】
例示的な態様28:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0069】
さらなるガラスの構成成分には、以下のものが含まれ得る:P25、SrO、BaOが0〜1質量%、及び清澄剤のSnO2、CeO2、又はAs23、又はその他の清澄剤が0〜1質量%。
【0070】
例示的な態様29:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0071】
例示的な態様30:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0072】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0073】
例示的な態様31:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0074】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0075】
例示的な態様32:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0076】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0077】
例示的な態様33:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0078】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0079】
例示的な態様34:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0080】
例示的な態様35:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0081】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0082】
例示的な態様36:
さらに別のガラスは、以下の組成によって例示される(質量%):
【0083】
この組成の場合、ガラスの特性値は以下の通りである:
【0084】
特に列挙されていない限り、上記態様16〜36は全て、任意で清澄剤(例えばSnO2、CeO2、As23、Cl-、F-、硫酸塩)を0〜1質量%含有することができる。
【0085】
上記例で挙げたガラスは、厚さが350μm〜3μmの範囲にある可撓性の超薄板ガラスリボン及びガラスフィルムを製造するために、特に適している。ガラスの厚さは好ましくは、5μm、10μm、15μm、25μm、30μm、35μm、50μm、55μm、70μm、80μm、100μm、130μm、145μm、160μm、190μm、210μm、及び280μmである。
【0086】
このようなガラスリボン及びガラスフィルムは、薄板ガラスに対して鉛直スコアリング力成分として調整されたスコアリング接触圧力により加工され、事前にスコアリングされた薄板ガラスとして、薄板ガラスプレートへとさらに加工するために提供される。これにより初めて、スコアーの深さが材料の厚さの1/20から4/5の範囲、好ましくは1/20〜1/5の範囲にあり、ヌープ硬度HKが350〜650である、事前にスコアリングされた超薄板ガラスを作成することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 スコアリング工具、 2 スコアリング駆動機構、 3 駆動可能なフィードスライド部、 4 平行な揺動部、 5 測定デバイス、 6 作業台 7 実測値/目標値制御部、 8 精密駆動部、 9 薄板ガラス、 10 スコアリング工具ハウジング、 11 軸受、 12 軸受、 13 スコアリングホルダ、 14 スコアリング要素、 15 トラニオン、 16 ピストン、 40 板ばね、 41 クランプ部材、 42 クランプ部材
図1