(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1個人情報は、前記ユーザが保有している自動車の年式及び車種、前記ユーザが保有している自動車の走行距離、前記ユーザの自動車事故歴、並びに前記ユーザが保有している自動車の傷の状態のうち少なくとも1つの情報を含み、
前記購入金額は、前記ユーザが保有している自動車の年式及び車種に対応する基本下取り価格、前記ユーザが保有している自動車の走行距離、前記ユーザの自動車事故歴、並びに前記ユーザが保有している自動車の傷の状態のうち前記第1個人情報に含まれる少なくとも1つの情報に基づいて算出される、
請求項6記載の広告データ提供方法。
更に、前記ネットワークを介して前記映像再生装置から、前記映像再生装置に関連するユーザを示すユーザIDを、前記映像再生装置から前記ネットワークを介して受信し、
少なくとも一以上の個人情報を管理する第3データベースを用いて前記ユーザIDに対応した第1個人情報を取得し、
更に、前記第1個人情報を用いて前記第1重畳広告データを生成する、
請求項20記載の広告データ提供方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の基礎となった知見)
昨今、能動的に自分の興味のある商品の情報を調べたり、あるいは過去の検索履歴又は購買履歴から、暗黙的に商品の推奨を受けたりするインターネットの利用者(ユーザ)が増えている。ITを利用した個人適応性の高い広告は、従来型の広告と比べ、ユーザにとって必要性の高い情報にアクセスできるというメリットがある。ただし、インターネット広告に触れるためには、ユーザは、一般的には、PCやスマートフォン等の情報端末を操作する必要がある。
【0012】
一方、テレビCMは、テレビをつけさえすれば、なんの操作をする必要もなく、目に飛び込んでくる手軽さがメリットである。テレビCMの消費者へのリーチ度は、インターネット広告をしのぐ。しかし、テレビCMは、個人適応性が低く、興味がないCMの垂れ流しが飽きられ、インターネット広告に押されはじめている。
【0013】
このような背景から、特許文献1及び2のように、インターネット広告の個人適応性と、テレビCMの手軽さを兼ね備えた新しい広告の技術が知られている。
【0014】
しかし、特許文献1及び2の技術は、実際に実施しようとすると、いくつかの困難が予想される。
【0015】
そもそも、テレビCMは、広告主がテレビ局に対価を払って出稿するもので、この対価は、テレビ局の収入の源泉である。当然、広告主は、契約通りのCMが視聴者に届いているかどうか厳密にチェックし、放送局は、依頼されたとおりのCMを正しく視聴者に届けるよう努力する。
【0016】
この状況から考えて、先行技術のように、視聴者の嗜好に応じて自由にCMが差し替え可能となることは、広告主及びテレビ局の事業者に著しい損害を与えるものであり、両者から容認され得ない。したがって、特許文献1及び2の技術を、実際に実施することは、非常に困難である。
【0017】
そこで、発明者らは、テレビCMを差し替えるのではなく、視聴者の個人情報に応じてカスタマイズされた情報を、放送されたテレビCMに重畳する方法を見出した。
【0018】
本発明の一態様に係る広告データ提供方法は、入力された広告データを再生する映像再生装置とネットワークを介して接続する広告データ生成システムにおける広告データ提供方法であって、前記広告データを示す広告ID及び前記映像再生装置に関連するユーザを示すユーザIDを、前記映像再生装置から前記ネットワークを介して受信し、少なくとも一以上の個人情報を管理する第1データベースを用いて前記ユーザIDに対応した第1個人情報を取得し、前記広告データに重畳される重畳広告データの生成に用いられる少なくとも一以上の広告情報を管理する第2データベースを用いて前記広告IDに対応した第1広告情報を取得し、前記第1個人情報及び前記第1広告情報を用いて第1重畳広告データを生成し、前記映像再生装置に前記第1重畳広告データが重畳された前記広告データを再生させるために前記ネットワークを介して前記映像再生装置に前記第1重畳広告データを提供する。
【0019】
このように、上記広告データ提供方法では、広告データを差し替えることは行わず、さらに、個人情報に応じてカスタマイズされた情報が広告データに重畳される。
【0020】
広告主にとっては、広告データ自体には変化がないので、広告主は、広告したい商品に対して、個人情報に応じた情報がさらに付加されることで高い広告効果を得ることができる。
【0021】
また、前記第1データベースを用いて前記第1個人情報を取得できない場合は、前記第1広告情報のみから前記第1重畳広告データを生成してもよい。
【0022】
これにより、個人情報が事前に登録されていない場合であっても映像再生装置において広告データを再生することができる。なお、このような処理は、
図4のステップS2407に相当する。
【0023】
また、前記第1重畳広告データは、前記広告データの広告対象に関する数値を含み、前記数値は、前記第1個人情報に基づいて算出されてもよい。
【0024】
これにより、個人情報に応じた具体的な数値が広告データに重畳されるため、広告効果を高めることができる。
【0025】
また、前記広告対象は、自動車保険であり、前記数値は、前記ユーザが保有している自動車についての自動車保険料見積金額を示してもよい。
【0026】
また、前記第1個人情報は、前記ユーザの年齢、前記ユーザの免許証の色、及び前記ユーザが自動車を利用する際の主要利用目的のうち少なくとも1つの情報を含み、前記自動車保険料見積金額は、前記自動車保険の基本保険料、前記ユーザの年齢、前記ユーザの免許証の色、及び前記ユーザが自動車利用する際の主要利用目的のうち前記第1個人情報に含まれる少なくとも1つの情報に基づいて算出されてもよい。
【0027】
このように、広告データに重畳される数値は、具体的には、
図3及び
図5などに示される自動車保険料の見積もり金額である。
【0028】
また、前記広告対象は、自動車であり、前記数値は、前記ユーザが前記広告対象の自動車を購入する場合の購入金額を示してもよい。
【0029】
また、前記第1個人情報は、前記ユーザが保有している自動車の年式及び車種、前記ユーザが保有している自動車の走行距離、前記ユーザの自動車事故歴、並びに前記ユーザが保有している自動車の傷の状態のうち少なくとも1つの情報を含み、前記購入金額は、前記ユーザが保有している自動車の年式及び車種に対応する基本下取り価格、前記ユーザが保有している自動車の走行距離、前記ユーザの自動車事故歴、並びに前記ユーザが保有している自動車の傷の状態のうち前記第1個人情報に含まれる少なくとも1つの情報に基づいて算出されてもよい。
【0030】
このように、広告データに重畳される数値は、具体的には、
図7及び
図8などに示される自動車の購入金額である。
【0031】
また、前記広告対象は自動車であり、前記数値は前記ユーザが保有している自動車から前記広告対象の自動車へ乗り換えた場合の航続距離の向上についての予測値を示してもよい。
【0032】
また、前記第1個人情報は、前記ユーザが保有している自動車の年式及び車種であり、前記航続距離の向上についての予測値は、前記広告対象の自動車の最大航続距離と前記ユーザが保有している自動車の最大航続距離と、に基づいて算出されてもよい。
【0033】
このように、広告データに重畳される数値は、具体的には、
図9及び
図10などに示される自動車の最大航続距離(燃費)である。
【0034】
また、前記広告データは複数種類の物品を広告対象とし、前記第1重畳広告データは前記複数種類の物品のうち前記ユーザに推奨する一の物品を示してもよい。
【0035】
このように、広告データ提供方法は、各種の物品を広告対象とすることができる。なお、ここでの物品には動産だけでなく、不動産(土地または家など)が含まれる。
【0036】
また、前記第1個人情報は、前記ユーザが保有している家電機器の種類及び型番、並びに前記ユーザのテレビ視聴履歴についての情報を含み、前記ユーザに推奨する一の物品は、前記ユーザが保有している家電機器の種類及び型番と、前記ユーザのテレビ視聴履歴と、に基づいて決定されてもよい。
【0037】
例えば、物品が自動車である場合、
図11及び
図12に示されるように、家電機器のグレード等に基づいて推奨される自動車の車種が決定される。
【0038】
また、前記広告データは販売店を広告対象とし、前記販売店は系列の複数店舗を有し、前記第1重畳広告データは、前記系列の複数店舗のうち、前記ユーザの自宅から最寄りの店舗名と前記最寄りの店舗についての位置情報とを示してもよい。
【0039】
また、前記第1個人情報は、前記ユーザの自宅住所についての情報を含み、前記ユーザの自宅住所に基づいて前記最寄りの店舗が選択され、前記位置情報は、前記最寄りの店舗の地図上の位置を含んだ地図情報であり、地図データを管理する第3データベースを用いて、前記最寄りの店舗の位置を含んだ地図情報を取得してもよい。
【0040】
つまり、
図13及び
図14に示されるように、広告データには、最寄りの店舗名と最寄りの店舗についての位置情報(地図)とが重畳されてもよい。
【0041】
また、前記広告データの提供者と前記重畳広告データの提供者とは同一であってもよい。
【0042】
また、前記広告データの提供者と前記重畳広告データの提供者とは異なってもよい。
【0043】
つまり、
図23及び
図28に示されるように、広告データの提供者はサービスプロバイダAであり、重畳広告データの提供者は、サービスプロバイダC、D、またはEであってもよい。
【0044】
本発明の一態様に係る広告データ提供方法は、入力された広告データを再生する映像再生装置とネットワークを介して接続する広告データ生成システムにおける広告データ提供方法であって、前記広告データを示す広告ID及び前記広告データが視聴されている時期及び位置を含む視聴状況情報を、前記映像再生装置から前記ネットワークを介して受信し、前記広告データに重畳される重畳広告データの生成に用いられる少なくとも一以上の広告情報を管理する第1データベースを用いて前記広告IDに対応した第1広告情報を取得し、前記第1広告情報及び前記視聴状況情報を用いて第1重畳広告データを生成し、前記映像再生装置に前記第1重畳広告データが重畳された前記広告データを再生させるために前記ネットワークを介して前記映像再生装置に前記第1重畳広告データを提供する。
【0045】
これにより、視聴者の視聴状況に応じた情報が重畳されるため、広告効果を高めることができる。
【0046】
また、前記広告データは、広告対象に関する第1時間情報を含み、前記第1重畳広告データは、前記広告対象に関する第2時間情報を含み、前記第1時間情報と第2時間情報とは異なってもよい。
【0047】
また、前記広告対象は、販売店であり、前記広告データは前記販売店が提供する第1イベントに関する情報及び前記第1イベントが提供される時期を示す前記第1時間情報を含み、前記第1重畳広告データは前記販売店が提供する第2イベントに関する情報及び前記第2イベントが提供される時期を示す前記第2時間情報を含み、前記第1イベントと前記第2イベントとは異なってもよい。
【0048】
これにより、
図18に示されるように、視聴時期の違いにより広告効果の低下した広告データの広告効果を高めることができる。
【0049】
また、前記販売店は系列の複数店舗を有し、前記第1重畳広告データは前記系列の複数店舗のうち、前記広告データが視聴されている地点から最寄りの店舗名と前記最寄りの店舗についての位置情報とを含んでもよい。
【0050】
また、前記視聴状況情報を用いて前記最寄りの店舗が選択され、前記位置情報は、前記最寄りの店舗の地図上の位置を含んだ地図情報であり、地図データを管理する第2データベースを用いて、前記最寄りの店舗の位置を含んだ地図情報を取得してもよい。
【0051】
これにより、
図20に示されるように、映像再生装置がタブレット端末等であっても、視聴位置に応じて最寄の店舗までの地図が表示されるため、視聴者の購買行動を促進することができる。
【0052】
また、更に、前記ネットワークを介して前記映像再生装置から、前記映像再生装置に関連するユーザを示すユーザIDを、前記映像再生装置から前記ネットワークを介して受信し、少なくとも一以上の個人情報を管理する第3データベースを用いて前記ユーザIDに対応した第1個人情報を取得し、更に、前記第1個人情報を用いて前記第1重畳広告データを生成してもよい。
【0053】
これにより、
図22に示されるように、地図に加えて個人情報に応じた情報が広告データに重畳されるため、広告効果を高めることができる。
【0054】
また、前記販売店は自動車販売店であってもよい。
【0055】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0056】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0057】
(実施の形態1)
[全体構成]
まず、実施の形態1に係る広告データ提供システムの全体構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る広告データ提供システムの全体構成を示す図である。
【0058】
図1の(A)に示されるように、広告データ提供システム1000は、グループ100と、データセンタ運営会社110と、サービスプロバイダ120とを備える。
【0059】
グループ100は、例えば企業、団体、家庭等であり、その規模を問わない。グループ100には、家庭内のテレビやエアコンや洗濯機、電子レンジなどの複数の機器101である機器A、機器B及びホームゲートウェイ102が存在する。複数の機器101には、インターネットと接続可能な機器(例えばテレビ)もあれば、それ自身ではインターネットと接続不可能な機器(例えば、エアコンなど)も存在する。それ自身ではインターネットと接続不可能な機器であっても、ホームゲートウェイ102を介してインターネットと接続可能となる機器が存在してもよい。またグループ100には、複数の機器101を使用するユーザ10が存在する。
【0060】
データセンタ運営会社110には、クラウドサーバ111が存在する。クラウドサーバ111は、インターネットを介して様々な機器と連携する仮想化サーバである。主に通常のデータベース管理ツール等で扱うことが困難な巨大なデータ(ビッグデータ)等を管理する。データセンタ運営会社110は、データ管理やクラウドサーバ111の管理、それらを行うデータセンタの運営等を行っている。データセンタ運営会社110が行っている役務の詳細については後述する。
【0061】
ここで、データセンタ運営会社110は、データ管理やクラウドサーバ111の運営等のみを行っている会社に限らない。例えば複数の機器101のうちの一つの機器を開発・製造している機器メーカが、併せてデータ管理やクラウドサーバ111の管理等を行っている場合は、機器メーカがデータセンタ運営会社110に該当する(
図1の(B))。また、データセンタ運営会社110は一つの会社に限らない。例えば機器メーカ及び他の管理会社が共同もしくは分担してデータ管理やクラウドサーバ111の運営を行っている場合は、両者もしくはいずれか一方がデータセンタ運営会社110に該当するものとする(
図1の(C))。
【0062】
サービスプロバイダ120は、サーバ121を保有している。ここで言うサーバ121とは、その規模は問わず例えば、個人用PC内のメモリ等も含む。また、サービスプロバイダがサーバ121を保有していない場合もある。
【0063】
なお、上記システムにおいてホームゲートウェイ102は必須ではない。例えば、クラウドサーバ111が全てのデータ管理を行っている場合等は、ホームゲートウェイ102は不要となる。また、家庭内のあらゆる機器がインターネットに接続されている場合のように、それ自身ではインターネットと接続不可能な機器は存在しない場合もある。
【0064】
次に、上記システムにおける情報の流れを説明する。
【0065】
まず、グループ100の機器A又は機器Bは、各ログ情報をデータセンタ運営会社110のクラウドサーバ111に送信する。クラウドサーバ111は機器A又は機器Bのログ情報を集積する(
図1の(a))。ここで、ログ情報とは複数の機器101が取得した、ユーザ10の機器の操作に関する情報や、ユーザ10が機器を操作して入力した情報などである。例えば、ユーザ10は、テレビでVOD(ヴィデオオンデマンド)サービスを利用する際、テレビを操作して、自身の個人情報を入力する。このような個人情報も、ログ情報として集積されてよい。
【0066】
さらに、ユーザ10がテレビをつけた日にちや時間もログ情報であり、消した時間や、いつチャンネルを変更したか、いつボリュームを操作したか、なども、すべてログ情報である。さらには、冷蔵庫のドアをいつ開けたか、エアコンをいつつけたか、電子レンジをいつ操作したか、なども、ログ情報に含まれる。ログ情報は、インターネットを介して複数の機器101自体から直接クラウドサーバ111に提供される場合もある。また複数の機器101から一旦ホームゲートウェイ102にログ情報が集積され、ホームゲートウェイ102からクラウドサーバ111に提供されてもよい。
【0067】
次に、データセンタ運営会社110のクラウドサーバ111は、集積したログ情報を一定の単位でサービスプロバイダ120に提供する。ここで、一定の単位は、データセンタ運営会社が集積した情報を整理してサービスプロバイダ120に提供することの出来る単位でもいいし、サービスプロバイダ120が要求した単位でもいい。また、一定の単位と記載したが一定でなくてもよく、状況に応じて提供する情報量が変化する場合もある。
【0068】
上記ログ情報は、必要に応じてサービスプロバイダ120が保有するサーバ121に保存される(
図1の(b))。そして、サービスプロバイダ120は、ログ情報をユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、ユーザに提供する。すなわち、情報を提供されるユーザは、複数の機器101を使用するユーザ10でもよいし、外部のユーザ20でもよい。ユーザへのサービスは、例えば、サービスプロバイダから直接ユーザへ提供されてもよい(
図1の(e)及び(f))。
【0069】
また、ユーザへのサービスは、例えば、データセンタ運営会社110のクラウドサーバ111を再度経由して、ユーザに提供されてもよい(
図1(c)及び(d))。また、データセンタ運営会社110のクラウドサーバ111がログ情報をユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、サービスプロバイダ120に提供してもよい。なお、ユーザ10とユーザ20とは、別でも同一でもよい。
【0070】
[詳細構成]
まず、実施の形態1に係る広告データ提供システム1000の詳細構成について説明する。
図2は、実施の形態1に係る広告データ提供システム1000の詳細構成を示す図である。
【0071】
図2に示されるように、広告データ提供システム1000は、映像送信部601と、映像再生部606と、クラウドサーバ111と、サービスプロバイダ120とを備える。なお、サービスプロバイダ120は、広告データ生成システムの一例である。
【0072】
映像送信部601は、マルチプレクサ(MUX)604と、送信部605とを有する。映像送信部601は、具体的には、映像ストリーム602と、映像ストリーム602を構成するシーンの内容を示すメタデータ603とを、MUX604において多重化し、送信部605から送信する。
【0073】
例えば、映像送信部601は、テレビ放送局に相当し、送信部605の送信は、テレビ放送電波の送信に相当する。しかしながら、映像送信部601は、このような例に限定されるものではない。映像送信部601は、例えば、ヴィデオオンデマンド(VOD)サーバのような、ネットワーク上の映像配信サーバであり、インターネットを通じて映像ストリーム602を送信してもよい。すなわち、映像送信部601は、
図1においては、グループ100の外部に配置されていることが考えられる。
【0074】
映像ストリーム602は、例えばテレビ番組であり、ドラマやニュースなどの番組そのものの映像(シーン)と、その間に挿入されているCMの映像(シーン)とで構成されている。
【0075】
メタデータ603は、映像ストリーム602に含まれるシーンが、どのような内容であるのか(番組なのかCMなのか、CMであれば、どのような商品に関するCMなのか)を示すデータである。例えば、メタデータ603は、シーンの内容を定義するために、対応するシーンの再生時刻、シーンのカテゴリ(番組かCMか等)、及び、シーンの内容を示すID等を含む。シーンがテレビCMの場合、メタデータ603は、広告ID615を含む。広告ID615の詳細については後述する。
【0076】
映像ストリーム602とメタデータ603は、MUX604において多重化(マルチプレクス)される。例えば、映像ストリーム602がMPEG2TSストリームとして符号化されている場合、メタデータ603は、TSパケットの一つとしてマルチプレクスされる。
【0077】
映像再生部606は、映像再生装置の一例であり、受信部607と、デマルチプレクサ(DeMux)603と、適応情報取得部609と、表示部610とを有する。映像再生部606は、映像送信部601から送られた映像ストリームを受信し、かつ、映像を表示する。映像再生部606は、テレビ、PC、スマートフォン、及びタブレットなどの機器に相当する。すなわち、映像再生部606は、典型的には、複数の機器101のうちの一つの機器に相当する。
【0078】
映像再生部606は、具体的には、受信部607において映像ストリーム602とメタデータ603を受信し、デマルチプレクサ(DeMux)608において映像ストリーム602とメタデータ603を分離する。
【0079】
適応情報取得部609は、分離されたメタデータ603に応じて、インターネットなどの通信手段を用いて、サービスプロバイダ120に対して個人ID614(ユーザID)及び広告ID615を送信する。個人ID614は、映像再生部606の視聴者(ユーザ)を特定するためのIDであり、広告ID615は、メタデータ603に含まれる広告を特定するためのIDである。個人ID614及び広告ID615を送信した結果、適応情報取得部609は、例えば、テレビCMの対象商品について個人適応された詳細情報(個人適応情報)を取得する。
【0080】
個人適応情報(重畳広告データ)は、静止画で表現されても、動画で表現されてもよい。また、個人適応情報は、静止画と動画が組み合わされたものであってもよい。個人適応情報は、ひとかたまりのデータであっても、インターネットによって接続されたサーバに格納されている静止画ファイルや動画ファイルへのリンクを含むHTMLで記述されたものであってもよい。なお、個人適応情報の具体例については後述する。
【0081】
表示部610は、映像ストリーム602を復号して表示するとともに、適応情報取得部609が取得した個人適応情報をメタデータ603により特定されるシーンに同期させて表示する。表示部610は、具体的には、液晶ディスプレイ(液晶パネル)や、有機ELディスプレイ(有機ELパネル)である。
【0082】
クラウドサーバ111は、
図1において説明したクラウドサーバ111に相当し、クラウドサーバ111内の個人情報保存部613(記憶部)には、視聴者の個人情報が格納されている。個人情報保存部613は、第1データベースの一例である。個人情報保存部613は、例えば、HDDであるが、半導体メモリなど、どのような記憶装置であってもよい。
【0083】
図1の説明の際には、クラウドサーバ111に蓄積される情報として、「ログ情報」という用語を使用した。実施の形態1における個人情報とは、「ログ情報」の中で、広告情報を個人適応するために利用できる情報のことを言う。
【0084】
個人情報は、例えば、XMLのようなマークアップ言語や、データベースシステムなどによって格納される。また、個人情報の取得方法は、特に限定されない。例えば、サービスプロバイダ120があらかじめ所定のタイミングにて取得した個人情報が、個人情報保存部613に保存されてもよい。また、クラウドサーバ111を運営するデータセンタ運営会社が取得した個人情報が、何らかの方法で個人情報保存部613に保存されてもよい。
【0085】
また、個人ID614(詳細は後述)が登録される際に映像再生部606によって取得された情報を、映像再生部606が特定のタイミングで個人情報保存部613に送信してもよい。また、クラウドサーバ111は、データセンタ運営会社110が管理するサーバであってもよいし、サービスプロバイダ120が管理するサーバであってもよい。
【0086】
さらに、
図2に示されるようにサービスプロバイダ120が直接映像再生部606と情報をやり取りしてもよいし、データセンタ運営会社110を介して情報をやり取りしてもよい。また、この場合、クラウドサーバ111は、映像送信部601を管理するテレビ局によって管理されてもよい。
【0087】
個人ID614は、映像再生部606を利用して放送番組を視聴している視聴者を特定するIDであり、個人情報保存部613に格納されている複数の個人情報のうち、対象の視聴者の個人情報を特定するために用いられる。
【0088】
視聴者の特定は、主に映像再生部606(典型的には、テレビ)によって行われる。例えば、視聴者が、テレビを見る前に、ユーザ名を入力してもよい。視聴者は、テレビに設置されたカメラで視聴者の顔画像認識を行うことによって特定されてもよい。また、視聴者は、テレビに設置されたマイクで視聴者の声を検出し、声紋解析を行うことによって特定されてもよい。また、映像再生部606ではなく、映像再生部606の前に配置されたソファーが、当該ソファーに座った視聴者を、圧力センサ等で体重を検出することによって特定し、個人ID614を発行してもよい。
【0089】
なお、視聴者を特定する方法は上記のような方法に限定されない。例えば。映像再生部606のそれぞれにユニークなIDが振られていれば、当該ユニークなIDに基づいて、少なくとも家庭の単位で視聴者が誰かを特定できる。また、一人暮らしの家庭の場合は、上記ユニークなIDによって、完全に視聴者本人が特定できる。ユニークなIDは、例えば、映像再生部606にインターネットのインターフェイスがある場合は、映像再生部606が有するMACアドレスが利用できる。
【0090】
広告ID615は、メタデータ603の中に格納され、例えば、テレビCMの内容を示すIDである。一例として、広告ID615は、例えば、事業主識別子と、CM識別子とを含む。
【0091】
事業主識別子は、テレビCMの対象商品の事業主(メーカなど)を特定する識別子である。事業主識別子は、例えば、インターネットのサーバを特定するURLである。このURLにより、テレビCMの広告主(すなわち対象商品の事業主)が運営するサービスプロバイダ120を特定することができる。CM識別子は、事業主が扱うテレビCMのうち、メタデータ603が付与されたテレビCMを特定するための識別子である。
【0092】
なお、広告ID615には、さらに、個人適応情報の表示位置を指定する表示位置指定子が含まれてもよい。
【0093】
サービスプロバイダ120は、
図1で説明したサービスプロバイダ120に相当し、適応情報取得部609から個人ID614と広告ID615とを受信して個人適応情報を生成する。また、サービスプロバイダ120は、適応情報取得部609に生成した個人適応情報を送信する。
【0094】
サービスプロバイダ120は、具体的には、受信した個人ID614をクラウドサーバ111に送信し、個人情報保存部613に格納されている個人情報のうち、個人ID614によって特定される個人の個人情報を読み出す。さらに、サービスプロバイダ120は、受信した広告ID615によってテレビCMを特定し、特定したテレビCMの対象商品に関する広告情報612を広告情報保存部612aから読み出す。広告情報保存部612aは、第2データベースの一例であり、HDDなど、どのような記憶装置であってもよい。
【0095】
個人適応情報生成部611は、個人情報と広告情報612とに応じて、個人適応情報を生成し、適応情報取得部609に送信する。
【0096】
[広告データ提供方法]
以上のように構成された広告データ提供システム1000の具体的な動作(広告データ提供方法)を、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、映像再生部606の表示部610に表示されるテレビCM映像の一例を示す図である。
図4は、広告データ提供システム1000における広告データ提供方法のシーケンス図である。なお、
図3においては、
図2を用いて既に説明された内容については説明が省略される。
【0097】
図3において、広告主は、自動車保険を扱う事業主であるABC損保701である。また、ABC損保701は、サービスプロバイダ120の運営者でもある。
【0098】
まず、ABC損保701は、広告代理店702に対して、テレビCMの製作とテレビへの出稿を依頼する。広告代理店702は、テレビCM映像703(広告データ)を作成し、テレビ局である映像送信部601に対してテレビCM映像703の放送を依頼する。その際、映像送信部601は、サービスプロバイダ120を特定する事業主識別子(URL)と、テレビCM映像703を特定するCM識別子と、個人適応情報を映像再生部606の表示部610に表示する位置を特定する表示位置指定子とを含むメタデータ603を生成する。
【0099】
一方、クラウドサーバ111は、上述のように、映像再生部606に紐付けされた個人情報を、個人情報保存部613において管理している。例えば、VODなどのテレビ向けのネットサービスの運営会社がクラウドサーバ111を運営し、サービス提供の折々で、視聴者にアンケートをとる形で個人情報を集めていてもよい。
【0100】
ABC損保701は、クラウドサーバ111の運営会社と提携関係にあり、個人情報保存部613が保存している個人情報を利用できる。ABC損保701は、さらに、あらかじめ、自らの商品(自動車保険)の簡易見積もりに必要な情報の記入を映像再生部606の視聴者に促しており、その情報もクラウドサーバ111に格納されている。
図3に示される情報704は、個人情報保存部613に格納された情報のうち、自動車保険の見積もりに必要な情報であり、情報704には、視聴者の年齢、免許証の色などが含まれる。
【0101】
映像送信部601は、テレビCM映像703とメタデータ603とを多重化してCMデータとして送信する。映像再生部606は、テレビ放送に含まれるCMデータを受信し(S2401)、かつ復号することによってテレビCM映像703を取得し、かつ、メタデータ603を取得する(S2402)。
【0102】
映像再生部606の適応情報取得部609は、メタデータ603に含まれる広告ID615に含まれるURLが示すサービスプロバイダ120にアクセスする。このとき、適応情報取得部609は、広告IDおよび個人ID614(実施の形態1では、映像再生部606固有のユニークなID)を引数としてサービスプロバイダ120にアクセスする(S2403)。
【0103】
サービスプロバイダ120は、映像再生部606から取得した個人ID614を引数として、サービスプロバイダ120と提携しているクラウドサーバ111にアクセスする(S2404)。
【0104】
クラウドサーバ111は、サービスプロバイダ120から取得した個人ID614により特定される個人情報を個人情報保存部613から読み出し(S2405)、サービスプロバイダ120へ返送する。これにより、サービスプロバイダ120は、自動車保険の見積もりに必要な情報704を得る。
【0105】
個人情報保存部613に個人ID614に相当する個人情報が存在しなかった場合は(S2406でNo)、サービスプロバイダ120は、空白を表示データとするHTMLファイルを生成する(S2407)。
【0106】
個人情報保存部613に個人ID614に相当する個人情報が存在した場合は(S2406でYes)、サービスプロバイダ120は、映像再生部606から取得した広告ID615に含まれるCM識別子によりテレビCM映像703の対象商品を特定し、特定した対象商品の広告情報612を取得する(S2408)。ここで、
図3では、対象商品は、自動車保険の一種である、「大人が安い自動車保険」である。
【0107】
また、広告情報612には、自動車保険の見積もりの評価基準が含まれる。評価基準は、例えば、個人情報のそれぞれの項目を、どのように評価して自動車保険料を見積もるか(例えば、年齢によってどれくらい自動車保険料を安価にするか)に関する評価基準である。
図5は、広告情報612に含まれる情報の一例を示す図である。
【0108】
図5に示されるように、広告情報612には、評価基準3501、計算式3502、及びHTMLファイル3503などが含まれる。
【0109】
図5の(a)に示される評価基準3501は、広告情報612の一部であり、評価基準3501においては、自動車保険料を計算する際のパラメータが例示されている。
図5の(a)の例では、情報704に含まれる車検証情報(車両購入日からの日数)により、基本保険料が決定され、さらに情報704に含まれる、年齢、免許証の色、及び主な利用目的といったパラメータにより、基本保険料を増減する割合が決定される。すなわち、
図5の(b)に示される計算式3502のように、基本保険料と、パラメータごとの増減割合との掛け算で自動車保険料が決定される(S3502)。
【0110】
個人適応情報生成部611は、計算式3502と、情報704とに基づいて、自動車保険料の見積もりを行う(S2409)。さらに、基本となる表示レイアウトを定義するHTMLファイル3503の中に、ステップS2409において決定された自動車保険料を表示したHTMLファイル3504を生成する(S2410)。HTMLファイル3504は、具体的には、HTMLファイル3503の(A)の位置に自動車保険料が表示されたHTMLファイルである。生成されたHTMLファイル3504は、上述の個人適応情報に相当し、適応情報取得部609に送信される。
【0111】
適応情報取得部609は、HTMLファイル3504を取得し、表示部610は、HTMLファイル3504に基づく映像をテレビCM映像703に重畳したテレビCM映像705を表示する(S2411)。
【0112】
以上説明したような広告データ提供方法によれば、テレビCM映像703に、視聴者の個人情報によって適応化された商品の詳細情報(個人適応情報)を重畳することができる。
【0113】
特に、
図3及び
図4において説明した自動車保険のCMの場合、「大人が安い」という広告が表示されたとしても、それを見ている視聴者本人にとって、どのくらい安くなるのかわからないという点が課題であった。
【0114】
テレビCMが気になった視聴者は、例えば、インターネット上の見積もりサイトで、個人情報を入力すれば保険料を確認することができるが、そのためにはテレビの視聴を一旦中断しなければならず、心理的な抵抗感が大きい。
【0115】
これに対し、上記広告データ提供方法によれば、視聴者は通常通りテレビを見ているだけで、保険料の見積もり金額(視聴者本人にとってのみ意味のある情報)を確認できるという、格別の効果が得られる。
【0116】
なお、上記広告データ提供方法においては、視聴者は、自動車保険の見積もりに必要な情報704を事前にクラウドサーバ111(個人情報保存部613)に提供(登録)しておかなければならない。しかし、一度情報を登録してしまえば、自動車保険のテレビCMが流れるたびに、見積もり金額を確認することができる。
【0117】
ここで、個人情報を管理するクラウドサーバ111と、自動車保険事業主が運営するサービスプロバイダ120は、
図3に示されるように分離されていることが望ましい。このような構成では、ABC損保701以外の自動車保険会社がクラウドサーバ111(データセンタ運営会社110)と提携することにより、登録された自動車保険の見積もりに必要な情報704(個人情報)を利用でき、保険料の見積もり金額を表示することが可能になるからである。
【0118】
つまり、視聴者は、一度だけクラウドサーバ111に情報を登録すれば、あとはCMで流れる各社の様々な自動車保険の見積もりをテレビを見ているだけで得ることができる。これは視聴者にとって大きなメリットとなる。また、ABC損保701等の自動車保険会社にとっては、まだ顧客となっていない見積もり段階の人の個人情報を管理する必要がないというメリットがある。
【0119】
このような構成においては、ABC損保701等の自動車保険会社は、個人適応情報を生成し表示を行った回数に応じた個人情報利用料を、個人情報(情報704)の利用の対価として、クラウドサーバ111を運営するデータセンタ運営会社110に支払えばよい。よって、クラウドサーバ111を運営する側にとっては、個人情報利用料を得られることがメリットとなる。
【0120】
なお、
図3に示される構成は一例であり、広告データ提供システム1000の構成は、
図3のような構成に限定されるものではない。例えば、保険料の見積もり金額は、ABC損保701から依頼を受けて、クラウドサーバ111を運営するデータセンタ運営会社110が計算してもよいし、ABC損保701が運営するサービスプロバイダ120側で、個人情報の管理が行われてもよい。
【0121】
また、個人適応情報を重畳したCM映像の表示形態は、
図3に示されるような形態に限定されるものではない。
図6は、個人適応情報が重畳されたCM映像の別の表示形態を示す図である。
【0122】
図6に示される表示形態においては、映像送信部601から送信されるテレビCM映像703は、映像再生部606(テレビ)の表示部610に表示される。一方で、HTMLファイル3504(個人適応情報)に基づく映像は、映像再生部606とインターネット803により接続されたタブレット端末802の表示部に表示される。
【0123】
この表示形態は、
図3で説明した表示形態に比べ、個人適応情報に興味を持った視聴者がより詳細な情報にアクセスしたくなったときに、視聴者はタブレット端末802にタッチするだけで詳細な情報にアクセスできる点で有用である。このように、ユーザインターフェース(UI)は、テレビ(映像再生部606)よりもタブレット端末802の方が優れている。したがって、個人適応情報を確認した後に視聴者に対してアクションを促したい場合は、個人適応情報に基づく映像は、タブレット端末802に表示されるほうがよい。
【0124】
また、広告主(ABC損保701)が、このような複数の表示形態を、状況に応じて自由に選択できる構成であってもよい。例えば、個人適応情報生成部611が生成するHTMLファイルにより、表示形態が指定されてもよいし、メタデータ603が含む広告ID615が、表示位置指定子を有し、広告ID615において表示形態が指定されてもよい。
【0125】
[広告主が自動車メーカである場合の例]
これまで、広告データ提供方法の一例として、自動車保険の見積もり金額の表示について説明したが、実施の形態1に係る広告データ提供方法は、他の広告にも適用できる。
図7は、自動車のテレビCM映像に自動車の購入に際しての見積もり金額が重畳される例を示す図である。
図8は、この場合に広告情報612に含まれる情報の一例を示す図である。
【0126】
視聴者は、あらかじめ、視聴者が現在保有している自動車に関する情報902を、個人情報保存部613に登録しておく(
図7の(b))。なお、視聴者が保有している自動車がネットワークに接続され、自動的に現在の自動車の状態を個人情報保存部613にアップロードされるような構成においては、視聴者が保有している車の情報902は、視聴者がなにもしなくても個人情報保存部613に登録(保存)されている状態となる。
【0127】
情報902が個人情報保存部613に保存されている状態で、広告主である自動車メーカは、高級車であるキング(車種名)という車のテレビCM映像901を出稿する。
図3と同様の構成により、視聴者は、映像再生部606を通じてテレビCM映像903(
図7の(c))を視聴することとなる。
【0128】
具体的には、まず、個人情報保存部613に登録された、視聴者が保有している車の情報902が個人適応情報生成部611によって読み出される。情報902は、キングの広告情報612に含まれる評価基準2501によって評価され、保有している自分の車を下取りに出した場合の、新車のキングの見積もり金額が計算される。この結果、テレビCM映像901(
図7の(a))に、キングを購入するための見積もり金額(
図8のHTMLファイル2504に基づく映像)が重畳されたテレビCM映像903が表示される。
【0129】
この場合、
図8に示されるように広告情報612には、評価基準2501、計算式2502、及びHTMLファイル2503などが含まれる。
【0130】
評価基準2501においては、下取り価格を計算する際のパラメータの定義されている。評価基準2501の例では、保有車の型式により、基本の下取り価格が決定され、さらに、走行距離、事故の有無、傷の有無といった個人情報により、基本の下取り価格に対する増減割合が決定される。
【0131】
このようにして決定された下取り価格を、CM対象車両の基本価格から減算した価格が、視聴者の購入価格となる。すなわち、購入価格は、計算式2502に基づいて算出される。計算された購入価格は、基本となる表示レイアウトを定義するHTMLファイル2503の(A)の位置に表示され、HTMLファイル2504が生成される。
【0132】
高級車のCM映像は、極めて魅力的に視聴者に映るが、魅力的であるがゆえに、視聴者にとって、まったく手が届かない、高値の花である、という印象も持たせてしまう。そこで、テレビCM映像903のように、保有者の下取り価格を差し引いた購入価格が表示されれば、視聴者は、がんばれば手が届くかもしれないと考え、具体的な購買行動を始める可能性がある。
【0133】
このように、実施の形態1に係る広告データ提供方法は、通常のテレビCMに比べ、視聴者をより購買行動に導くという点で優れている。
【0134】
次に、自動車のテレビCM映像に広告対象の自動車の性能が重畳される例について説明する。
図9は、自動車のテレビCM映像に自動車の最大航続距離が重畳される例を示す図である。
図10は、この場合に広告情報612に含まれる情報の一例を示す図である。
【0135】
図9では、ハイブリットカーのクイーン(車種名)という車のテレビCM映像1001(
図9の(a))が例示されている。視聴者は、
図7の場合と同様に、現在の保有者の型式1002(型番)を個人情報保存部613にあらかじめ登録しておく(
図9の(b))。なお、視聴者が保有している自動車が、ネットワークに接続されている場合は、ネットワークを通じて自動車から直接型式が登録されてもよい。
【0136】
視聴者が保有している車の型式1002が登録された状態で、
図3と同様の構成により、視聴者は、テレビCM映像1003(
図9の(c))を視聴することとなる。
【0137】
具体的には、まず、個人情報保存部613に登録された、視聴者が保有している車の型式1002が個人適応情報生成部611によって読み出される。車の型式1002は、クイーンの広告情報612が含む評価基準2601に基づいて評価され、視聴者が保有している車の燃費が計算される。なお、燃費の計算は、型式1002から決定される燃費情報を基本として、車の走行距離や経年変化などの影響を加味して計算されてもよい。このように計算された燃費と、新車のクイーンの燃費とが比較され、どれくらいクイーンの燃費が良いかを示す情報が算出される。
【0138】
この結果、テレビCM映像1001に、算出された燃費の良さを示す情報(
図10のHTMLファイル2604に基づく映像)が重畳されたテレビCM映像1003が表示される。
【0139】
この場合、
図10に示されるように、広告情報612には、評価基準2601、計算式2602、及びHTMLファイル2603などが含まれる。
【0140】
評価基準2601においては、保有車の最大航続距離を計算する際のパラメータが定義されている。
図10の例では、保有車の型式1002により、保有車の最大航続距離が決定される。このようにして決定された最大航続距離から、CM対象車両の最大航続距離を引いたものが、航続距離向上予測となる。つまり、航続距離向上予測は、計算式2602に基づいて算出される。そして、算出された値が、基本となる表示レイアウトを定義するHTMLファイル2603の(A)の位置に表示されたHTMLファイル2604が生成される。
【0141】
ハイブリッドカーのセールスポイントは、燃費が良いことである。しかし、どの程度燃費が良くなるかは、数字を言われてもピンとこない場合が多い。そこで、視聴者が現在保有している車と比較して「今より98キロも多く走れる」などと具体的に表示されれば、視聴者は、クイーンの特長をより深く理解することができる。
【0142】
次に、自動車のテレビCM映像に視聴者の嗜好に応じた自動車の映像が重畳される例について説明する。
図11は、自動車のテレビCM映像に視聴者の嗜好に応じた自動車の映像が重畳される例を示す図である。
【0143】
図11では、自動車メーカの新車のラインナップを紹介するテレビCM映像1101(
図11の(a))が例示されている。ここで、個人情報保存部613には、視聴者のライフログ1102が格納されている(
図11の(b))。
【0144】
ライフログ1102は、視聴者が保有している、ネットワークに接続された家電によりアップロードされた情報である。ライフログ1102には、具体的には、型番の情報、使用年月、及び主に視聴者に利用される時間などが含まれる。例えば、家電が電子レンジである場合は、いつ、どのような調理を行ったかなどがライフログ1102としてアップロードされる。家電がテレビ又はレコーダである場合、視聴者がどのような番組を視聴、録画したかの情報がライフログ1102としてアップロードされる。また、個人情報保存部613には、視聴者がテレビのVODサービスを利用時のインタビューに対する答えとして入力した年齢や性別、及び、視聴者がどのようなVODサービスを利用したかの購入履歴などもライフログ1102として保存されている。
【0145】
視聴者のライフログ1102が登録された状態で、
図3と同様の構成により、視聴者は、自動車のラインナップを示すテレビCM映像1103(
図11の(c))を視聴することとなる。
【0146】
具体的には、まず、個人情報保存部613に登録された視聴者のライフログ1102が個人適応情報生成部611によって読み出される。ライフログ1102から、視聴者の趣味及び嗜好が分析される。分析結果から、広告情報612が有する複数の情報カテゴリ、すなわち新車のラインナップの一つが選択され、選択されたラインナップの一つが重畳されたテレビCM映像1103が表示される。
【0147】
視聴者の趣味及び嗜好は、ライフログ1102から様々な方法で抽出できる。例えば、ライフログ1102に家電の型番が含まれていれば、型番により特定される家電の色から、視聴者がどんなタイプの色を好むかがわかる。家電の色が白又はベージュなのか、グレー又は黒なのか、又は、赤又は黄色なのか、ということは、視聴者の趣味を色濃く反映するものである。例えば、家電を黒でそろえている視聴者には、おすすめの自動車として黒の自動車が選択されることが好ましい。
【0148】
また、家電の単価も重要な情報である。家電がハイエンドの製品か、普及価格帯の製品なのか、ローエンドの製品なのかで、ある程度、視聴者の経済状況が把握できる。ローエンドの家電をそろえている視聴者には、高級車よりも、軽自動車をおすすめしたほうが視聴者の嗜好に合う可能性が高い。しかしながら、ローエンドの家電をそろえている視聴者であっても、テレビの視聴履歴が車番組を好んで視聴していることを示す場合、又はVODにおいてカーレースのビデオが購入された履歴がある場合などは、軽自動車よりも、スポーツカーをおすすめするべきである。
【0149】
また、家電の利用履歴からは、視聴者が家族と暮らしているのか、一人暮らしなのかが推定できる。このような推定の結果、ファミリー用のワンボックスの車をおすすめするか否かを決定できる。また、視聴者の性別や年齢に応じておすすめの車を選択することもできる。
【0150】
このような趣味及び嗜好の抽出は、例えば、各パラメータに重み付けを行うことによって視聴者一人一人について個別に行われる。また、複数の視聴者のライフログ1102を統計処理して、「このような家電を持っている視聴者はこの車を保有している場合が多い」といった結果を利用して趣味及び嗜好の抽出が行われてもよい。
【0151】
趣味及び嗜好の抽出の方法の具体例を、
図12を用いて説明する。
図12は、趣味及び嗜好の抽出の方法の具体例を示す図である。
【0152】
図12の例では、趣味及び嗜好は、ハイエンド(高級)−ローエンド(普及価格)の第1軸と、フォーマル−カジュアルの第2軸とからなる2軸の2次元空間2702で表現される。
【0153】
このように定義された2次元空間2702には、あらかじめ、キング、クイーン、ジャックなどの自動車を示す点がプロットされている(
図12の(b)の白丸)。例えば、カジュアル志向で普及価格帯のジャック(車種名)は、2次元空間2702の左下の象限にプロットされる。
【0154】
一方、広告情報612に含まれる情報2701(
図12の(a))においては、家電の型番及び視聴履歴が、2次元空間2702上の座標値とが対応付けて格納されている。個人適応情報生成部611は、情報2701を参照して、視聴者が保有している家電の座標値を取得し、2次元空間2702上に個人情報を示す点としてプロットする(
図12の(b)の黒丸)。
【0155】
そして、各自動車を示す点(白丸)に対して、個人情報を示す点(黒丸)のそれぞれとの距離の総和が計算される。最も距離の総和が小さい白丸が示す自動車が、視聴者の趣味嗜好に応じたおすすめの(広告対象の)自動車として選択される。
【0156】
このように視聴者の趣味嗜好を抽出する広告データ提供方法は、漠然と大多数に向けて放送されるテレビCM映像を、個人にピンポイントで適応したものに変更できるという格別の効果を奏する。特に、複数の商品を紹介するテレビCM映像を、視聴者の好みの単一の商品にフォーカスしたテレビCM映像に変更することができる。
【0157】
[広告主が自動車のディーラーである場合の例]
次に、自動車のディーラーのテレビCM映像に地図が重畳される例について説明する。
図13は、自動車のディーラーのテレビCM映像に地図が重畳される例を示す図である。
【0158】
図13では、自動車のディーラーを紹介するテレビCM映像1201(
図13の(a))が例示されている。ここで、個人情報保存部613には、視聴者の郵便番号1202が格納されている(
図13の(b))。
図3と同様の構成により、視聴者は、自動車のディーラーを紹介するテレビCM映像1203(
図13の(c))を視聴することとなる。
【0159】
具体的には、個人情報保存部613に登録された視聴者の郵便番号1202が個人適応情報生成部611によって読み出され、視聴者の住所(郵便番号)に最も近いディーラーが選択される。そして、視聴者の家から最寄りのディーラーへの経路を含めた地図が生成され、自動車のディーラーのテレビCM映像1201に、地図が重畳されたテレビCM映像1203が表示される。
【0160】
上記のような地図の生成方法の具体例を
図14を用いて説明する。
図14は、地図の生成方法の具体例を示す図である。
【0161】
情報2801(
図14の(a))は、広告情報612の一部であり、郵便番号の上3桁と、郵便番号の住所から最も近いディーラーの名前と、そのディーラーの住所とが対応付けられている。ブロック
図2802(
図14の(b))に示されるように、個人適応情報生成部611は、広告情報612に含まれる情報2801を用いて、郵便番号1202に対応付けられた最寄りのディーラーの住所を取得し、取得した住所を引数として外部の地図サービスプロバイダ2803にアクセスする。そして、個人適応情報生成部611は、地図サービスプロバイダ2803から最寄のディーラー近辺の地図データを取得し、取得した地図データに基づいてテレビCM映像1201に重畳される映像のHTMLファイルを生成する。
【0162】
ディーラーを紹介するテレビCM映像を見ても、わざわざディーラーの場所を探して訪問しようとする視聴者は少ない。しかしながら、視聴者の自宅に近いディーラーが選択され、選択されたディーラーまでの地図が表示されれば、視聴者を消費行動へ導くことができる。
【0163】
以上、広告データ提供方法の具体例について、実施の形態1に基づいて説明した。上記実施の形態1では、一つのテレビCM映像に対して、一つの個人適応情報が生成されたが、実施の形態1に係る広告データ提供方法は、このような態様に限定されない。
図15は、一つのテレビCM映像に対して、二つ以上の個人適応情報が生成される例を示す図である。
【0164】
図15の(a)に示されるように、サービスプロバイダ120において、個人適応情報生成部611は、例えば、購入金額の見積もりに関する広告情報612と、燃費に関する広告情報612とを用いて二通りの個人適応情報を生成する。
【0165】
この結果、
図15の(b)に示されるように、テレビCM映像1301に、二通りの個人適応情報が重畳される。具体的には、見積もり金額が重畳されたテレビCM映像1302と、最大航続距離(燃費)が重畳されたテレビCM映像1303とが選択的に表示される。
【0166】
個人適応情報の選択は、例えば、
図11で説明した、ライフログ1102による視聴者の趣味嗜好に応じて行われる。具体的には、視聴者が保有している家電に、高価であるがエコ機能が充実している家電が多く含まれる場合、視聴者は、新車の購入金額よりも、エコ機能に興味があると考えられる。したがって、燃費に関する個人適応情報が重畳されたテレビCM映像1303が選択される。
【0167】
また、個人適応情報は、表示履歴に基づいて選択されてもよい。例えば、サービスプロバイダ120において、個人IDで特定される視聴者にこれまでどのような個人適応情報が表示されたかを示す表示履歴が保存されれば、前回表示した個人適応情報と異なる個人適応情報の選択が可能となる。つまり、前回テレビCM映像1303が表示されたので、今回はテレビCM映像1302を表示する、といった処理が実現される。
【0168】
また、上記実施の形態1では、個人適応情報を生成するのに必要な情報は全て、個人情報保存部613に保存されていた。しかしながら、個人情報保存部613に情報が登録されていないために個人適応情報が生成できない、ということがありうる。
【0169】
このような場合は、
図4のステップS2407で説明したように個人適応情報が重畳されない(=空白が重畳された)テレビCM映像が表示されてもよいが、
図16に示されるように個人情報の登録を促すメッセージが重畳されてもよい。
図16は、個人情報の登録を促すメッセージが重畳される例を説明するための図である。
【0170】
図16に示されるテレビCM映像1401のように、アンケートに答えると個人適応情報が表示されることを視聴者に通知するメッセージが生成及び表示され、視聴者に必要な個人情報の登録を促してもよい。この場合、タブレット端末1402(映像再生部606にインターネット803を通じて接続されている)に、アンケートを入力するフォームが表示されれば、より好適である。
【0171】
また、上記実施の形態で説明したテレビCM映像は、一例であり、その他の様々なテレビCM映像において、実施の形態1に係る広告データ提供方法は適用可能である。
【0172】
例えば、広告データ提供方法は、結婚式場のテレビCM映像に適用できる。式に呼びたい客の人数や式のグレードなどを視聴者が登録しておくことで、だいたいの結婚式の費用の見積もりを表示することが可能である。また、実施の形態1に係る広告データ提供方法は、家のリフォームのテレビCM映像に適用可能であり、この場合、視聴者の家の広さと築年数などが登録されていれば、大まかな見積もり金額を表示することが可能となる。
【0173】
また、広告データ提供方法は、女性服のテレビCM映像において、視聴者が男性だった場合は、「彼女にプレゼントするならコレ」といった観点の個人適応情報を重畳したテレビCM映像を表示することができる。広告データ提供方法は、視聴者の体重が登録されていれば、体重に応じたオススメメニュー(例えばダイエットメニュー)をレストランのテレビCM映像に表示することができる。
【0174】
[効果等]
このように、実施の形態1に係る広告データ提供方法によれば、特定の視聴者にとっては効果が薄いようなテレビCM映像であっても、個人適応情報が重畳されることで、広告効果を高められる。つまり、CM出稿料の無駄を低減できる。
【0175】
なお、実施の形態1において個人適応情報は静止画を想定した情報であるが、個人適応情報は、動画であってもよい。また、テレビCMの一部に重畳されるだけではなく、全画面が切り替わってもよい。
【0176】
また、上記実施の形態1では、テレビCM映像に個人適応情報が重畳される例について説明したが、ドラマやニュースなどのテレビ番組のシーンに個人適応情報が重畳されてもよい。実施の形態1に係る広告データ提供方法は、例えば、ニュース番組においてある企業の株価の変動を伝えるニュースが放送されている場合に、視聴者がその企業の株を保有しているときには、視聴者の資産がどのくらい変動したかを表示することができる。
【0177】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係るに係る広告データ提供システムの詳細構成について説明する。
図17は、実施の形態2に係る広告データ提供システムの詳細構成を示す図である。なお、
図17において、実施の形態1において既に説明した構成要素については説明が諸略される。
【0178】
実施の形態2に係る広告データ提供システム1000aは、映像記録部1501を備える点において広告データ提供システム1000と異なる。
【0179】
映像記録部1501は、受信部1502と、HDD1503と、送信部1504とを備える。映像記録部1501は、映像送信部601から送信された映像ストリームを受信部1502によって受信し、HDD1503に蓄積(保存)する。つまり、映像記録部1501は、DVDレコーダやBDレコーダといった機器に相当する。つまり、視聴者の操作により、映像記録部1501内のHDD1503から映像ストリームが読み出され、映像再生部606によって再生される。
【0180】
映像再生部606は、例えば、家庭に据え置かれたテレビであるが、家庭の外に持ち出し可能なタブレット端末であってもよい。映像再生部606がタブレット端末の場合は、映像再生部606は、映像記録部1501とインターネット等で接続され、映像ストリームが映像再生部606に伝送される。
【0181】
また、広告データ提供システム1000aにおいては、適応情報取得部609が視聴状況情報1505を個人適応情報生成部611に送信する点が、広告データ提供システム1000と異なる。
【0182】
視聴状況情報1505は、映像再生部606が映像を再生している場所や時間を示す情報である。映像再生部606がタブレット端末の場合は、家庭の外に持ち出されて蓄積された映像を視聴するケースがある。この場合、適応情報取得部609は、GPSなどを利用して映像視聴時の位置情報を取得し、視聴状況情報1505として、既に説明した個人ID614や広告ID615と共に、サービスプロバイダ120(個人適応情報生成部611)に送信する。
【0183】
実施の形態2では、視聴されるテレビCM映像は、映像記録部1501に蓄積されたものである。したがって、テレビCM映像が放送された時期と、視聴者がテレビCM映像を視聴すされる時期とが異なる。
【0184】
テレビCM映像の多くは、広告として有効な期間があり、その期間を過ぎてしまうと、広告としての効果が失われてしまう。実施の形態2では、「視聴者が視聴をしている時間」という個人情報(すなわち、視聴状況情報1505)を利用することで、失効した(効果的な期間が過ぎた)テレビCM映像の広告効果を高めることを目的とする。
【0185】
以下、実施の形態2に係る広告データ提供方法によって表示されるテレビCM映像について説明する。
図18は、実施の形態2に係るテレビCM映像の一例を示す図である。
図19は、広告データ提供システム1000aにおける広告データ提供方法のシーケンス図である。なお、
図19において
図4で既に説明したステップについては同一の符号が付され、説明が省略される。
【0186】
図18に示されるように、テレビCM映像1601は、自動車のディーラーのテレビCM映像である。テレビCM映像1601は、7月15日までにディーラーの試乗会に参加すると、スイカがもらえることを広告している。
【0187】
ここで、映像記録部1501に記録されたテレビCM映像1601を視聴者が視聴した日が、8月であったとする。そうすると、テレビCM映像1601は、期限切れであるといえる(期限切れであることは、サービスプロバイダ120に送信された広告IDによってテレビCM映像が特定されることで判別できる)。
【0188】
この場合、実施の形態2に係る広告データ提供方法においては、
図19に示されるような処理が行われる。実施の形態2に係る広告データ提供方法では、映像再生部606の適応情報取得部609は、広告ID及び視聴状況情報1505を引数としてサービスプロバイダ120にアクセスする(S2412)。つまり、広告ID及び視聴状況情報1505が、映像再生部606から送信される。
【0189】
サービスプロバイダ120は、広告IDに相当する広告情報612を取得し(S2408)、広告情報612と、視聴状況情報1505とを用いて個人適応情報を生成する(S2413)。ここで、個人適応情報は、具体的には、8月の試乗会ではソーメンがもらえることを示す情報(例えば、HTMLファイル)である。この結果、このような情報が重畳されたテレビCM映像1602が表示される。
【0190】
このように実施の形態2に係る広告データ提供方法によれば、放送された時期と視聴された時期の違いにより失効したテレビCM映像を再び意味のあるテレビCM映像に復活させることができる。
【0191】
なお、
図19においては、視聴時刻を示す視聴状況情報1505は、映像再生部606から送信されるとしたが、サービスプロバイダ120が視聴者の視聴時刻を把握できるのであれば、このような構成に限定されない。
【0192】
次に、実施の形態2に係るテレビCM映像の別の例について説明する。
図20は、テレビCM映像に地図を重畳する例を示す図である。
【0193】
図20の例では、個人適応情報生成部611は、視聴状況情報1505に加えて、
図13で説明した、個人情報保存部613に含まれる視聴者の位置を用いて個人適応情報の生成を行う。ただし、
図20の例では、郵便番号ではなく、自宅の外に持ち出したタブレット端末で取得した位置情報を利用している。なお、位置情報は、視聴状況情報1505としてサービスプロバイダ120に送信される。
【0194】
これにより、現在地の位置情報から、最寄りのディーラーが選択され、現在地からディーラーまでの経路を示す地図が表示される。さらに、テレビCM映像1601は、現在では期限切れとなっているため、視聴状況情報1505に基づき、テレビCM映像1701では、現在ではスイカではなくソーメンがもらえることを示す情報も追加されている。
【0195】
図20に示されるテレビCM映像を表示するための具体的方法を、
図21を用いて説明する。
図21は、視聴状況情報1505及び位置情報を用いた個人適応情報の生成方法を説明するための図である。
【0196】
図21に示される情報2901は、広告情報612の一部であり、情報2901においては、ディーラーの名前及び住所と、ディーラーの位置(緯度及び経度)とが対応付けられている。個人適応情報生成部611は、情報2901を用いて、タブレット端末のGPS機能で取得した位置情報(緯度及び経度)に最も近い緯度及び経度を持つディーラーを選択する。
【0197】
個人適応情報生成部611は、さらに、選択されたディーラーのイベントデータ2902を読み出す。イベントデータ2902は、広告情報612の一部であり、イベントデータ2902では、イベント期間と、そのイベントでプレゼントされる商品とが対応付けられている。
【0198】
このように、視聴状況情報1505及び位置情報を用いた個人適応情報によれば、視聴者は、外出先であっても、最寄のディーラーへ向かうための地図と、現在実施されているイベント内容とを知ることができる。
【0199】
次に、実施の形態2に係るテレビCM映像のさらに別の例について説明する。
図22は、実施の形態2に係るテレビCM映像の別の例を示す図である。
【0200】
図22の例では、個人適応情報生成部611は、視聴状況情報1505に加えて、個人情報保存部613に保存されたライフログ1102に基づく趣味及び嗜好の抽出を行って個人適応情報を生成する。すなわち、テレビCM映像1801に示されるように、ライフログ1102に基づいて、視聴者がジャックという車に興味を持つ可能性が高いことを判定し、当該車を推奨する。テレビCM映像1801では、同時に、現在はスイカではなくソーメンがもらえることを示す情報も追加されている。
【0201】
以上説明したように、実施の形態2に係る広告データ提供方法によれば、映像記憶部1501に記憶されたテレビCM映像であって、放送された時期と視聴される時期が異なるテレビCM映像の広告効果を復活させることができる。また、映像再生部606がタブレット端末等である場合には、GPS情報を利用することで、視聴者の現在位置の応じた個人適応情報を生成することができる。
【0202】
(実施の形態3)
上記実施の形態1及び2では、個人適応情報は、全て広告主が取り扱う商品(あるいは広告主が営業する店舗)に関する情報であった。実施の形態3では、個人適応情報が、テレビCM映像の広告主とは異なる事業主が取り扱う商品となる形態について説明する。
【0203】
以下、実施の形態3に係るに係る広告データ提供システムの詳細構成について説明する。
図23は、実施の形態3に係る広告データ提供システムの詳細構成を示す図である。なお、
図23において、実施の形態1において既に説明した構成要素については説明が諸略される。
【0204】
実施の形態3に係る広告データ提供システム1000bは、サービスプロバイダA1901、サービスプロバイダC1902、サービスプロバイダD1903、及びサービスプロバイダE1904の構成が広告データ提供システム1000と異なる。
【0205】
サービスプロバイダA1901(サービスプロバイダA1901のサーバ)は、テレビCMを出稿した事業主が運営し、テレビCMに重畳する個人適応情報を生成する。なお、サービスプロバイダA1901は、広告データ生成システムの一例である。
【0206】
サービスプロバイダC1902、サービスプロバイダD1903、及びサービスプロバイダE1904は、それぞれサービスプロバイダA1901とは異なる事業主が運営し、それぞれ事業主が扱う商品についての、広告情報612を保持している。
【0207】
サービスプロバイダA1901は、サービスプロバイダ120と異なり、代替情報選択部1905と、代替情報生成部1906とを備える。
【0208】
代替情報選択部1905は、サービスプロバイダA1901の中に存在し、広告情報612を選択する。ここで、広告情報612は、他のサービスプロバイダC1902、サービスプロバイダD1903、及びサービスプロバイダE1904にあらかじめ登録されている広告情報612の中から選択される。
【0209】
代替情報生成部1906は、代替情報選択部1905によって選択された広告情報に基づいて個人適応情報を生成する。
【0210】
上記のように構成された広告データ提供システムにおける広告データ提供方法について具体的に説明する。
図24は、実施の形態3に係るテレビCM映像の一例を示す図である。
図25及び
図26は、広告データ提供システム1000bにおける広告データ提供方法のシーケンス図である。なお、
図25及び
図26において、符号が
図4と同じステップについては説明が省略される。
【0211】
自動車メーカA2001は、サービスプロバイダA1901を運営する事業主で、クイーンという自動車を販売している。自動車メーカA2001は、広告代理店2002を通じ、クイーンのテレビCM映像2003の出稿をテレビ局に依頼する。
【0212】
視聴者が、クイーンのテレビCM映像2003を視聴するときには、実施の形態1と同様に、個人適応情報生成部611は、個人情報保存部613から、個人情報2011を取得する(S2408)。そして、個人適応情報生成部611は、視聴者が最近クイーンを購入したことを示す購入履歴が個人情報2011に含まれているかどうかチェックする(3001)。購入履歴が個人情報2011に含まれていなかった場合(S3001でNo)は、個人適応情報生成部611は、
図7と同様に、クイーンの下取り込みの購入価格を計算し、HTMLファイルを生成する(S3107)。
【0213】
以下、視聴者が最近クイーンを購入していたことを示す購入履歴が個人情報2011に含まれていた場合(S3001でYes)の動作について説明する。
【0214】
最近、クイーンを購入した視聴者に、クイーンのテレビCMを視聴させても、広告効果はゼロに等しい。そこで、サービスプロバイダA1901は、あらかじめ登録しておいた、他の事業主が運営するサービスプロバイダC1902、サービスプロバイダD1903、及びサービスプロバイダE1904に対し、広告情報612の要求を行う(S3101)。各サービスプロバイダは、広告情報612を送信し(S3102)、代替情報選択部1905(サービスプロバイダA1901)は、送信された3つの広告情報612(具体的には、広告情報2004、広告情報2005、及び広告情報2006)を取得する。
【0215】
次に、代替情報選択部1905は、3つの広告情報612のそれぞれに含まれる広告料をチェックし、最も高い広告料の広告情報612を選択する(S3103、及びS3104)。
図26の例では、代替情報選択部1905は、最も高い広告料を提示していたタイヤメーカCが運営するサービスプロバイダE1904(サービスプロバイダE1904の広告情報612)を選択する。
【0216】
続いて、代替情報生成部1906は、サービスプロバイダE1904に対し、広告を表示するためのHTMLファイルを要求する(S3105)。サービスプロバイダE1904は、広告表示のためのHTMLファイルを作成する(S3106)。サービスプロバイダE1904は、具体的には、タイヤメーカCが販売する、低燃費タイヤについての情報を生成する。なお、ステップS3106のHTMLファイルを作成処理は、広告表示のための情報をサービスプロバイダE1904から受信することにより代替情報生成部1906が行ってもよい。
【0217】
映像再生部606は、サービスプロバイダA1901(代替情報生成部1906)を通じて上記HTMLファイルを受信し、受信したHTMLファイルに基づく映像をテレビCM映像2003に重畳したテレビCM映像2007を表示部610に表示する(S2411)。タイヤメーカCは、自社の広告を表示することができたので、提示していた広告料を自動車メーカA2001に支払う。
【0218】
テレビCM映像は、いわば、テレビ放送の一部分の時間を買うことによって放送される。そして、そのテレビCM映像が効果を生まないものであったとしても、広告料金が返却されるものではない。
【0219】
これに対し、実施の形態3に係る広告データ提供方法によれば、個人情報に基づいてテレビCM映像が効果的でないと判断された場合は、他の事業主の広告を重畳させることができる。
【0220】
上記の例では、自動車メーカA2001は、自社のテレビCM映像がある視聴者にとって、効果のないものになったと判断したときは、そのテレビCM映像の時間をタイヤメーカCに売ることにより対価を得ることができる。タイヤメーカCにとっては、多くのテレビCMの時間を買うことは負担が大きい。しかしながら、タイヤメーカCは、自動車メーカA2001の不要になったテレビCM映像の時間を安価に買い取ることができる。
【0221】
なお、上記実施の形態3では、サービスプロバイダの選択は、広告料に基づいて行われたが、サービスプロバイダは、どのように選択されてもよい。例えば、テレビCM映像で広告の対象となる商品に使用可能な(適合した)他社製品を選択してもよい。具体的には、広告の対象の商品が低燃費性能に優れた自動車である場合は、低燃費効果が最も高いタイヤの広告が選択されてもよい。
【0222】
また、例えば、サービスプロバイダは、視聴者の個人情報に基づいて選択されてもよい。また、上記の例では、タイヤという商品カテゴリ内の複数のサービスプロバイダ(複数の事業主)が選択の対象とされたが、代替情報選択部1905は、まず、商品カテゴリを選択し(例えばタイヤ、車の芳香剤、カーワックスなどの商品カテゴリ)、それから、その商品を扱うサービスプロバイダ(事業主)を選択してもよい。
【0223】
ところで、上記実施の形態3で説明した構成では、自動車メーカA2001が、他社のCMの出稿を管理するが、このような構成は、自動車メーカA2001が広告代理店のような業務を行うことを意味し、現実的ではない可能性がある。
【0224】
そこで、以下、広告を出したい事業主と、そのような事業主と提携し、広告の出稿を代行する広告代理店とが分離された構成について説明する。
図27は、事業主と広告代理店とが分離された広告データ提供システムの詳細構成を示す図である。
図28及び
図29は、
図27の広告データ提供システムにおける広告データ提供方法のシーケンス図である。なお、
図27では、広告データ提供システム1000cが部分的に図示されている。
【0225】
図27に示されるサービスプロバイダA2101は、自動車メーカA2001によって運営されるのではなく、広告代理店のような、別の事業主によって運営されている。自動車メーカA2001は、サービスプロバイダB2102を運営している。なお、サービスプロバイダA2101は、広告データ生成システムの一例である。
【0226】
クイーンのテレビCM映像2003が視聴されるときには、まず、サービスプロバイダA2101が適応情報取得部609(
図27において図示せず)から呼び出される。そして、サービスプロバイダA2101の個人適応情報生成部611は、個人情報保存部613から読み出した個人情報2103を、広告ID615によって特定されるサービスプロバイダB2102に、広告ID615と共に送信する(S3201)。
【0227】
サービスプロバイダB2102は、広告判定部2105を有する。広告判定部2105は、自動車メーカA2001のテレビCMに、自動車メーカA2001の個人適応情報を重畳するか、あるいは他の事業主に広告スペースを売るかを判定する。すなわち、
図25のステップS3001と同様に、広告判定部2105は、視聴者が最近クイーンを購入したことを示す購入履歴が個人情報2103に含まれているかどうかを判定する(S3202)。
【0228】
購入履歴が個人情報2103に含まれていなかった場合(S3202でNo)、
図7及び
図25と同様に、広告判定部2105は、クイーンの購入価格を計算し、テレビCM映像2003に重畳するためのHTMLファイルを生成する(S3301)。そして、広告判定部2105は、生成したHTMLファイルをサービスプロバイダA2101に送信する。
【0229】
一方、視聴者が最近クイーンを買っていたことを示す購入履歴が個人情報2103に含まれていた場合は、広告判定部2105は、代替広告選択情報2104を、サービスプロバイダA2101に送信する(S3302)。サービスプロバイダAは、受信した情報が代替広告選択情報2104であるか判定する(S3303)。受信した情報が代替広告選択情報2104である場合(S3303でYes)、広告判定部2105は、サービスプロバイダC1902、サービスプロバイダD1903(
図29では図示せず)、及びサービスプロバイダE1904に対し、広告情報612の要求を行う(S3304)。
【0230】
各サービスプロバイダは、広告情報612を送信し(S3102)、代替情報選択部1905は、代替広告選択情報2104と、受信した広告情報612とを用いて、代替広告の選択を行う(S3305)。代替広告の選択ができた場合(S3306でYes)、代替情報選択部1905は、選択した代替広告のHTMLファイルを、サービスプロバイダに要求する(S3307)。代替広告の選択ができなかった場合(S3306でNo)、代替情報生成部1906は、空白のHTMLファイルを生成する(S3308)。
【0231】
代替広告選択情報2104は、テレビCM映像2003の出稿主が、そのスペースを他の事業主に売る際に、出稿主にとってふさわしい個人適応情報が選択されるために用いられる情報である。自動車メーカA2001は、クイーンのテレビCM映像2003のスペースを他の事業主に売って対価を受け取りたいが、その際、ライバルの自動車メーカの個人適応情報が表示されるのは避けたい。
【0232】
ここで、広告データ提供システム1000bの場合は、自動車メーカA2001自身が、代替の個人適応情報を選択できるため、ライバルの自動車メーカの個人適応情報が表示されることを避けることができる。これに対し、広告データ提供システム1000cの場合は、代替の個人適応情報を選択するのは、自動車メーカA2001とは無関係の広告代理店であるため、偶然、ライバルの自動車メーカの個人適応情報が選択されてしまうということがありうる。そこで、代替広告選択情報2104が利用される。以下、代替広告選択情報2104について説明する。
図30は、代替広告選択情報2104の具体例を示す図である。
【0233】
図30に示される代替広告選択情報2201は、一例として、推奨関連商品カテゴリ、推奨商品カテゴリ、推奨商品、推奨メーカ、及び非推奨商品カテゴリ、といった情報から構成される。
【0234】
ここで、「商品」とは、広告対象の商品そのものを指す。例えば、本例では、クイーンである。「商品カテゴリ」とは、広告対象の商品が含まれるカテゴリを指す。「商品」がクイーンである場合、「商品カテゴリ」は、車である。「関連商品カテゴリ」とは、広告対象の商品の利用分野を指す。「商品カテゴリ」が車である場合、「関連商品カテゴリ」は、移動手段となる。「商品カテゴリ」がタイヤである場合、「関連商品カテゴリ」は、車となる。
【0235】
代替広告選択情報2201においては、これらの情報に対し、「推奨」又は「非推奨」の属性が付与されている。具体的には、代替広告選択情報2201においては、推奨関連商品カテゴリは車であり、非推奨商品カテゴリも車である。これは、クイーンのテレビCM映像2003のスペースに重畳される他の事業主の広告としては、車の関連商品(タイヤなどのカー用品)が望ましく、車そのものの広告は望ましくないことを示す。
【0236】
一方、代替広告を出稿したい事業主(サービスプロバイダC1902、サービスプロバイダD1903、及びサービスプロバイダE1904)は、広告情報612を提示する。
【0237】
図30に示される広告情報2202は、広告情報612の一例である。広告情報2202は、対象商品の事業主がタイヤメーカCであり、商品は低燃費タイヤであり、関連商品は車であり、商品カテゴリはタイヤであることを示している。このような広告情報2202は、代替広告選択情報2201により規定される条件と合致している。すなわち、広告情報2202は、テレビCM映像2003のスペースに重畳される候補として、選択される可能性がある。
【0238】
広告情報2203は、広告情報612の別の一例である。広告情報2203は、対象商品の事業主が自動車メーカB、商品名はクローバー、関連商品カテゴリは移動手段、商品カテゴリは車であることを示している。すなわち、広告情報2203の広告対象は、自動車メーカA2001のライバルメーカーの自動車メーカBのクローバーという車である。広告情報2203は、代替広告選択情報2201の非推奨商品カテゴリが、車とされていることから、代替広告選択情報2201により規定される条件と合致していないので、代替広告として選択されない。
【0239】
以上説明したように代替広告選択情報2201、及び、広告情報612(代替広告)の選択方法について、
図31を用いて説明する。
図31は、代替広告の選択方法を示すフローチャートである。
図32は、代替広告選択のサブルーチンのフローチャートである。なお、
図31は、
図29のS3305の詳細を示すフローチャートである。
【0240】
図31に示されるように、代替情報選択部1905は、まず、“推奨商品”について、代替広告を選択する(S3401)。この選択は、代替広告選択のサブルーチン(
図32)をコールすることにより行われる。
【0241】
代替広告の選択に成功した場合は(S3402でYes)、代替情報選択部1905は、他の処理をスキップする。代替広告の選択に失敗した場合は(S3402でNo)、代替情報選択部1905は、“推奨方品カテゴリ”について代替広告の選択を同様に行い(S3403、S3404)、さらに選択できなかった場合は、“推奨関連商品カテゴリ”について、代替広告の選択を同様に行う(S3405)。すなわち、
図31のフローチャートは、代替広告選択情報2201における、各パラメータの優先順位を表わしている。
【0242】
次に、代替広告選択のサブルーチンのフローチャートについて
図32を用いて説明する。なお、
図32のフローチャートにおいては、一例としてX個の推奨項目の条件を広告情報612が満たすかに応じて。代替広告の選択の成功又は失敗が判定される。
【0243】
図32に示されるように、サブルーチン内部においては、全ての広告情報分のループが構成される(S3407)。このループの中で、まず、代替広告選択情報2201内に“非推奨商品カテゴリ”の記載があり(S3408でYes)、さらに“非推奨商品カテゴリ”として記載された商品カテゴリが対象の広告情報612の商品カテゴリと一致した場合(S3409でYes)は、代替情報選択部1905は、後の処理をスキップし、次の広告情報612に対する処理が行われる。
【0244】
次に、代替広告選択情報2201内に“非推奨商品カテゴリ”の記載がない場合(S3408でNo)、及び、“非推奨商品カテゴリ”として記載された商品カテゴリが対象の広告情報612の商品カテゴリと一致しない場合(S3409でNo)は、以下のような処理が行われる。
【0245】
代替広告選択情報2201内に“推奨メーカ“の記載があり(S3410でYes)、“推奨メーカ“として記載された事業主が対象の広告情報612の事業主と一致しない場合は(S3411でNo)、代替情報選択部1905は、処理をスキップし、次の広告情報612に対する処理が行われる。
【0246】
最後に、代替広告選択情報2201内に“推奨メーカ“の記載がない場合(S3410でNo)、及び、“推奨メーカ“として記載された事業主が広告情報612の事業主と一致する場合(S3411でYes)は、以下のような処理が行われる。
【0247】
引数として指定されたX項目について、代替広告選択情報2201内に記載があり(S3412でYes)、さらに、X項目の記載が対象の広告情報612の該当項目の記載と一致する場合(S3413でYes)は、対象の広告情報612が代替広告として選択される。つまり、代替広告の選択成功となる(S3415)。
【0248】
一方、X項目について、代替広告選択情報2201内に記載がない場合(S3412でNo)、さらに、X項目の記載が対象の広告情報612の該当項目の記載と一致しない場合(S3413でNo)は、代替情報選択部1905は、処理をスキップし、次の広告情報612に対する処理が行われる。
【0249】
代替広告が選択されることなく全ての広告情報分のループが完了した場合は、代替広告の選択失敗となる(S3414)。
【0250】
なお、
図32の例では、最初に条件を満たす広告情報612が代替広告として選択されたが、例えば、条件を満たす広告情報612を集め、その中で最も高い広告料の広告情報612が代替広告として選択されてもよい。
【0251】
以上説明したように、広告データ提供システム1000cによれば、代替広告選択情報2201により規定される条件を満たす広告情報612(広告)が選択される。これにより、不要になったテレビCM映像のスペースを、好適な他の事業主に売ることができる。
【0252】
特に、テレビCM映像の広告主と他の事業主との仲介を行うサービスプロバイダA2101を、広告代理店のような事業主が運営することができるので、テレビCM映像の広告主は、他の広告を出稿したい事業主を募集したり折衝したりする手間が省ける。
【0253】
一方、代替個人適応情報として自己の広告が表示された事業主が、元々のテレビCM映像の広告主に広告料を支払うと同時に、仲介を行ったサービスプロバイダA2101にも手数料を支払えば、サービスプロバイダA2101の運営は継続される。
【0254】
なお、上記代替広告は、ある視聴者にとって不要になったテレビCM映像のスペースを、他の事業主に売るものであった。しかしながら、代替広告は、このような構成に限定されるものではない。自社の商品のテレビCMだけでは、広告効果が弱いと判断されたときは、むしろ積極的に他社に個人適応情報を重畳し、より一層広告効果を高めることも可能である。
図33は、積極的に他社の広告を重畳したテレビCM映像の一例を示す図である。
【0255】
図33に示されるテレビCM映像2301(
図33の(a))は、製紙業者であるKG製紙が、AAペーパーというトイレットペーパーを広告するために作成したテレビCM映像である。テレビCM映像2301によっても一定の広告効果は得られるが、上記実施の形態1〜3で説明した個人適応情報に基づく映像が重畳された広告が普及すれば、テレビCM映像2301の広告効果は、やや不十分である。
【0256】
例えば、上述の車のテレビCM映像においては、個人適応情報に基づいて視聴者の近所のディーラーの情報を重畳し、視聴者に実際に販売店に足を運んでもらうことで、購買行動を促すことができた。このようなテレビCM映像は、自動車メーカが、自身の事業範囲において、ディーラー網の運営も行っているために実現可能であるが、製紙業者のKG製紙は、トイレットペーパー専売店を運営しているわけではない。したがって、製紙業者のテレビCM映像に、個人適応情報に基づく販売店の情報を重畳することは難しい。
【0257】
しかしながら、上述のように、広告データ提供システム1000b及び広告データ提供システム1000cによれば、広告主は、自身のテレビCM映像に他の事業主の広告(個人適応情報に基づく映像)を重畳できる。
【0258】
例えば、
図33に示されるように、個人情報保存部613に保存された個人情報(郵便番号2302)を用いて(
図33の(b))、AAペーパーを取り扱うスーパーマーケット(KG製紙とは別の事業主)群の中から、視聴者にとって最寄りのスーパーマーケットの広告を選択することができる。よって、例えば、AAペーパーのタイムサービスについての情報が重畳されたテレビCM映像2303(
図33の(c))が表示可能である。
【0259】
以下、
図33のようにテレビCM映像2303で示したような効果を得るための、代替広告選択情報2104及び広告情報612の具体例について説明する。
図34は、代替広告選択情報2104及び広告情報612の具体例を説明するための図である。
【0260】
図34に示される、AAペーパーのテレビCM映像に関する代替広告選択情報2304においては、推奨商品として、AAペーパーが指定されている。これは、すなわち、KG製紙以外の事業主による、AAペーパーを対象とした広告が推奨される、という意味である。
【0261】
広告情報2305は、スーパーマーケット事業主のスーパーZによる、AAペーパー(商品)の、タイムサービス(商品カテゴリ)に関する広告情報である。広告情報2305は、代替広告選択情報2304に規定された条件を満たすので、代替広告として選択されうる。
【0262】
広告情報2306は、スーパーZによる物販の広告情報だが、対象商品が卵である。広告情報2306は、代替広告選択情報2304に規定された条件を満たさないので、代替広告として選択されない。
【0263】
広告情報2307は、BBペーパーというトイレットペーパーの広告情報である。BBペーパーは、KG製紙のライバル企業の商品であるので、AAペーパーのテレビCM映像に重畳されることは避ける必要があるが、広告情報2307は、対象商品がAAペーパーではないので、選択されない。
【0264】
広告情報2308は、XYZ石油(事業主)という石油メーカが運営するガソリンスタンドにおいて、ガソリンの給油(関連商品カテゴリ)に関する会員権(商品カテゴリ)を購入すると、AAペーパー(商品)がプレゼントされることを示している。具体的には、広告情報2308が選択された場合、「XYZ石油芦屋浜店で会員登録すると、○△ペーパープレゼント」といった情報がテレビCM映像に重畳される。
【0265】
広告情報2308は、対象商品がAAペーパーであるので、代替広告として選択されうる。もし、KG製紙が、AAペーパーを景品として扱う広告は、AAペーパーのCMに重畳されるのにふさわしくない、と考えるのであれば、代替広告選択情報2304の推奨関連商品カテゴリの項目に、物販、が指定されればよい。これにより、AAペーパーを対象商品とした広告情報しか選択されなくなるので、広告情報2308が選択されることを防止できる。
【0266】
広告情報2309は、ABCスーパーというスーパーマーケット事業主による、AAペーパーの特売情報を示す。広告情報2309は、代替広告選択情報2304に規定された条件を満たすので、代替広告として選択されうる。
【0267】
代替情報選択部1905は、例えば、まず、広告情報2305及び広告情報2309を選択候補として抽出し、最終的にいずれかを選択する。代替情報選択部1905は、例えば、店舗情報に含まれる郵便番号(位置情報)により、より視聴者の自宅に近い位置情報を含む広告情報を選択してもよいし、広告料が高い広告情報を選択してもよい。また、広告情報の選択には、個人情報に基づき判定された視聴者の嗜好が反映されてもよいし、選択された広告情報の履歴に基づいて選択されてもよい。
【0268】
(実施の形態4)
上記したすべての実施の形態において説明された技術は、例えば、以下のクラウドサービスの類型において実現されうる。しかし、上記態様において説明された技術が実現される類型はこれに限られるものでない。
【0269】
[サービスの類型1:自社データセンタ型]
図35は、サービスの類型1(自社データセンタ型)を示す。本類型は、サービスプロバイダ120がグループ100から情報を取得し、ユーザに対してサービスを提供する類型である。本類型では、サービスプロバイダ120が、データセンタ運営会社の機能を有している。即ち、サービスプロバイダが、ビッグデータの管理をするクラウドサーバ111を保有している。従って、データセンタ運営会社は存在しない。
【0270】
本類型では、サービスプロバイダ120は、データセンタ203(クラウドサーバ111)を運営、管理している。また、サービスプロバイダ120は、OS202及びアプリケーション201を管理する。サービスプロバイダ120は、サービスプロバイダ120が管理するOS202及びアプリケーション201を用いてサービス提供204を行う。
【0271】
[サービスの類型2:IaaS利用型]
図36は、サービスの類型2(IaaS利用型)を示す。ここでIaaSとはインフラストラクチャー・アズ・ア・サービスの略であり、コンピュータシステムを構築及び稼動させるための基盤そのものを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
【0272】
本類型では、データセンタ運営会社110がデータセンタ203(クラウドサーバ111)を運営、管理している。また、サービスプロバイダ120は、OS202及びアプリケーション201を管理する。サービスプロバイダ120は、サービスプロバイダ120が管理するOS202及びアプリケーション201を用いてサービス提供204を行う。
【0273】
[サービスの類型3:PaaS利用型]
図37は、サービスの類型3(PaaS利用型)を示す。ここでPaaSとはプラットフォーム・アズ・ア・サービスの略であり、ソフトウェアを構築及び稼動させるための土台となるプラットフォームを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
【0274】
本類型では、データセンタ運営会社110は、OS202を管理し、データセンタ203(クラウドサーバ111)を運営、管理している。また、サービスプロバイダ120は、アプリケーション201を管理する。サービスプロバイダ120は、データセンタ運営会社が管理するOS202及びサービスプロバイダ120が管理するアプリケーション201を用いてサービス提供204を行う。
【0275】
[サービスの類型4:SaaS利用型]
図38は、サービスの類型4(SaaS利用型)を示す。ここでSaaSとはソフトウェア・アズ・ア・サービスの略である。例えばデータセンタ(クラウドサーバ)を保有しているプラットフォーム提供者が提供するアプリケーションを、データセンタ(クラウドサーバ)を保有していない会社・個人(利用者)がインターネットなどのネットワーク経由で使用できる機能を有するクラウドサービス提供モデルである。
【0276】
本類型では、データセンタ運営会社110は、アプリケーション201を管理し、OS202を管理し、データセンタ203(クラウドサーバ111)を運営、管理している。また、サービスプロバイダ120は、データセンタ運営会社110が管理するOS202及びアプリケーション201を用いてサービス提供204を行う。
【0277】
以上いずれの類型においても、サービスプロバイダ120がサービス提供行為を行ったものとする。また例えば、サービスプロバイダ若しくはデータセンタ運営会社は、OS、アプリケーション若しくはビックデータのデータベース等を自ら開発してもよいし、また、第三者に外注させてもよい。
【0278】
(その他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1〜4を説明した。しかしながら、本発明における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記各実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0279】
例えば、上記実施の形態1では、サービスプロバイダ120が個人ID614及び広告ID615を取得したが、クラウドサーバ111が個人ID614及び広告ID615を取得してもよい。
図39は、クラウドサーバ111が個人ID614及び広告ID615を取得する広告データ提供システムの詳細構成を示す図である。
【0280】
図39に示される広告データ提供システム1000dにおいては、2以上のサービスプロバイダ120及び120aが含まれる。サービスプロバイダ120は、個人適応情報生成部611を備え、サービスプロバイダ120aは、個人適応情報生成部611aを備える。そして、クラウドサーバ111内には、個人情報保存部613及び広告情報保存部612aが設けられる。
【0281】
クラウドサーバ111は、個人ID614及び広告ID615を映像再生部606から取得する。続いて、クラウドサーバ111は、広告IDが示す広告情報の広告主のサービスプロバイダ120(またはサービスプロバイダ120a)に対して、個人情報保存部613に保存された個人情報と、広告情報保存部に保存された広告情報612とを送信する。そして、個人適応情報生成部611は、受信した個人情報と、広告情報612とを用いて個人適応情報を生成する。
【0282】
このような広告データ提供システム1000dによれば、個人情報及び広告情報の管理をクラウドサーバ111において一括して行うことができる。
【0283】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0284】
また、上記各実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0285】
以上、一つ又は複数の態様に係る広告データ提供方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。