(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362671
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】運動用具
(51)【国際特許分類】
A63B 21/055 20060101AFI20180712BHJP
A63B 23/04 20060101ALI20180712BHJP
A63B 23/12 20060101ALI20180712BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
A63B21/055
A63B23/04 Z
A63B23/12
A61H1/02 G
【請求項の数】29
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-500403(P2016-500403)
(86)(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公表番号】特表2016-512066(P2016-512066A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014018537
(87)【国際公開番号】WO2014158588
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】13/827,445
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515251159
【氏名又は名称】ハイジェニック インタンジブル プロパティー ホールディング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】クロウェル ジェイソン アラン
(72)【発明者】
【氏名】シュロック アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイカー タニア ロレイン
(72)【発明者】
【氏名】ガーバー ネヴィン ディーン
【審査官】
藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0059702(US,A1)
【文献】
米国特許第08343018(US,B1)
【文献】
米国特許第04570929(US,A)
【文献】
登録実用新案第3094822(JP,U)
【文献】
特開2012−228549(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02976496(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 21/00−21/28
A63B 23/00−23/20
A61H 1/00− 5/00
A61H 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動用具であって、
第1面および該第1面に対向して配置された第2面を備えた第1弾性材料部分と、
第3面および該第3面に対向して配置された第4面を備えた第2弾性材料部分と、
複数の結合領域であって、第1弾性材料部分の第2面は、各結合領域で第2弾性材料部分の第3面に取付けられており、各結合領域は、加えられた荷重を受けたときに同時的かつ多次元的な伸張が可能である複数の結合領域と、を有し、
複数の連続ループが、第1弾性材料部分と第2弾性材料部分との間の開スペースとして結合領域により形成され、
複数の連続ループが、休止状態にあるときにフラット状態になり、
さらに、少なくとも1つのループは、連続結合領域の間で前記第1弾性材料部分及び/又は前記第2弾性材料部分に形成された切欠き部を有していることを特徴とする運動用具。
【請求項2】
前記結合領域は、加えられた荷重を受けたとき同時的かつ多次元的な伸張が可能となる接着手段により、第1弾性材料部分を第2弾性材料部分に接着することにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の運動用具。
【請求項3】
前記結合領域は、第1弾性材料部分を第2弾性材料部分に熱接着することにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の運動用具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの結合領域を形成すべく運動用具に取付けられる結合具を更に有し、結合具は、加えられた荷重を受けたとき同時的かつ多次元的な伸張が可能となることを特徴とする請求項1記載の運動用具。
【請求項5】
前記弾性材料は、天然ゴム、熱可塑性エラストマーまたは合成材料の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1記載の運動用具。
【請求項6】
運動用具が加えられた荷重を受けると、この荷重を受けるループおよび結合領域は実質的に均一な伸びを受けることを特徴とする請求項1記載の運動用具。
【請求項7】
前記複数の連続ループの少なくとも1つは静止物体に取付けることができ、一方、複数の連続ループの他の少なくとも1つは使用者により保持されることを特徴とする請求項6記載の運動用具。
【請求項8】
前記複数の連続ループは8〜11個のループからなることを特徴とする請求項6記載の運動用具。
【請求項9】
前記複数の連続ループは少なくとも2つの異なるサイズのループを有していることを特徴とする請求項6記載の運動用具。
【請求項10】
第1サイズは約15.24cmおよび第2サイズは約30.48cmであり、複数の連続ループは、第2サイズの中央ループにより均等に分割された複数の第1サイズのループからなることを特徴とする請求項9記載の運動用具。
【請求項11】
各結合領域は一連の横方向の畝からなることを特徴とする請求項1記載の運動用具。
【請求項12】
前記弾性材料は細長いシート状材料であることを特徴とする請求項1記載の運動用具。
【請求項13】
前記弾性材料は細長いチューブ状材料であることを特徴とする請求項1記載の運動用具。
【請求項14】
一体連結された運動用具のアセンブリにおいて、
第1運動用具に一体に連結された第2運動用具を有し、各運動用具が、
第1弾性部分と、
第2弾性部分と、
第1弾性部分を第2弾性部分に周期的に取付ける複数の結合領域と、
複数の連続ループであって、各ループが、連続する結合領域同士の間および第1弾性部分と第2弾性部分との間に開スペースを形成し、複数の連続ループが、休止状態にあるときにフラット状態になる、複数の連続ループと、を備え、
複数の連続ループが、休止状態にあるときにフラット状態になり、
各結合領域が、加えられた荷重を受けたとき同時的かつ多次元的な伸張が可能となり、 第1運動用具と第2運動用具とが分離されたときに、各結合領域はより小さい2つの結合領域に分離でき、より小さい第1結合領域は第1運動用具の閉端部を形成しかつより小さい第2結合領域は第2運動用具の閉端部を形成し、
さらに、前記複数の連続ループのうち少なくとも1つのループは、連続結合領域の間で前記第1弾性部分及び/又は前記第2弾性部分に形成された切欠き部を有していることを特徴とする一体連結された運動用具のアセンブリ。
【請求項15】
各結合領域は、加えられた荷重を受けたとき同時的かつ多次元的な伸張が可能となる接着手段により、前記第1弾性部分の一部を前記第2弾性部分の一部に接着することにより形成されることを特徴とする請求項14記載のアセンブリ。
【請求項16】
各結合領域は、前記第1弾性部分の一部を前記第2弾性部分の一部に熱接着することにより形成されることを特徴とする請求項14記載の一体連結されたアセンブリ。
【請求項17】
一体に連結された複数の運動用具がロール状に組立てられることを特徴とする請求項14記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記弾性部分は細長いシート状材料であることを特徴とする請求項14記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記弾性部分は細長いチューブ状材料であることを特徴とする請求項14記載のアセンブリ。
【請求項20】
運動用具であって、
第1部分および該第1部分に対向して配置された第2部分を形成すべく折り畳まれた細長い弾性材料と、
第1部分の区域を第2部分の区域に連結して複数の連続閉ループを形成すべく細長い弾性材料の長手方向長さに沿って周期的に設けられた複数の結合領域とを有し、
複数の連続ループが、休止状態にあるときにフラット状態になり、
各結合領域が、加えられた荷重を受けたとき同時的かつ多次元的な伸張が可能となり、
さらに、前記複数の連続ループのうち少なくとも1つのループは、連続結合領域の間で前記第1弾性材料部分及び/又は前記第2弾性材料部分に形成された切欠き部を有していることを特徴とする運動用具。
【請求項21】
前記複数の結合領域は、加えられた荷重を受けたとき同時的かつ多次元的な伸張が可能となる接着手段による接着により形成されていることを特徴とする請求項20記載の運動用具。
【請求項22】
前記複数の結合領域は熱接着により形成されていることを特徴とする請求項20記載の運動用具。
【請求項23】
少なくとも1つの結合領域を形成すべく運動用具に取付けられる結合具を更に有し、結合具は、加えられた荷重を受けたとき同時的かつ多次元的な伸張が可能となることを特徴とする請求項20記載の運動用具。
【請求項24】
前記弾性材料は、天然ゴム、熱可塑性エラストマーまたは合成材料の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項20記載の運動用具。
【請求項25】
前記複数の連続ループは、少なくとも2つの異なるサイズのループを有していることを特徴とする請求項20記載の運動用具。
【請求項26】
第1サイズは約15.24cmおよび第2サイズは約30.48cmであり、複数の連続ループは、第2サイズの中央ループを少なくとも有していることを特徴とする請求項25記載の運動用具。
【請求項27】
前記結合領域は一連の横方向畝を有していることを特徴とする請求項20記載の運動用具。
【請求項28】
前記弾性材料は細長いシート状材料であることを特徴とする請求項20記載の運動用具。
【請求項29】
前記弾性材料は細長いチューブ状材料であることを特徴とする請求項20記載の運動用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは運動用具に関し、より詳しくは弾性抵抗運動バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗運動は、怪我または手術後に、怪我の防止を補助し、パフォーマンスを向上させかつ筋肉のリハビリテーションを施すべく、長い間アスレチックトレーニングおよび治療養生法に取り入れられている。従来のアイソメトリック運動(等尺性運動)用具またはアイソトニック(等張性)運動用具は、より嵩張る運動器具に要求されるコストおよびスペースを要せずして筋力トレーニングおよび筋肉治療を行う方法を提供するのに使用されている。より詳しくは、弾性材料からなる多くの形式の単一ループバンドまたは単一ストリップバンドが開発されており、これらは、使用者が単にバンドにより与えられる抵抗作用に基づいて手で運動することを可能にする。例えば使用者は、手または足でバンドの一端を保持し、例えばドアのような静止物体にバンドの他端を取付けるか、他方の手または足でバンドの他端を保持することにより、無端ループバンドを用いて運動することができる。従来のバンドで適正なグリップを得てかつこれを維持するには、使用者は、しばしば、バンドを使用者の手または足の回りに数回ループ状に巻きつけるか、バンドの適当な位置に結び目を作らなくてはならない。従来のバンドに沿う適当な位置に有効なハンドルを形成するこれらの方法は、結び目の領域およびこの周囲でバンドが非常に細くなるため、しばしば、バンドに損傷をもたらしおよび/または手または足の領域に局部的な圧力が加えられる。結び目を形成するバンドのこの食込み作用を避けるためには、使用者は、例えば手首または足首等の末端の大きい部分にバンドを取付けるのではなく、殆ど全部を指グリップに頼ることになる。例えば年輩者または手または足の筋肉に大きい損傷を受けた人はバンドを有効にグリップできず、したがって、損傷を受けた筋肉を強化しおよび/またはリハビリテーションすべく医者が処方した治療養生法から逸脱しおよび/または損傷を受けた筋肉に更に損傷を与えてしまう。この不快さを緩和するには、多くの使用者は運動用具に別途取付けなくてはならない特殊ハンドルに頼ることになり、このため付加コストおよび煩わしさを招き、使用者を落胆させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
結び目または締付けループにより再構成する必要がなく容易かつ効率的に使用できる運動用具であって、運動用具の形成に使用される材料の等方性により、例えば運動用具を種々の物体に取付けたときにスリップを低減すると同時に、更なる快適性が得られる使用者の解剖学的構造(アナトミー)の輪郭を形成できる運動用具が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記要望は、幾つかの実施形態において、上記欠点を少なくとも或る程度は解消できる運動用具を提供する本発明により大部分が達成される。
【0005】
本発明は、幾つかの実施形態において、一連のフレキシブルループの形成に使用される材料の抵抗特性に基づいた筋肉運動用具を開示する。本発明の運動用具は、選定された間隔で周期的に結合された弾性材料のストリップから形成できる。より詳しくは、本発明の運動用具は、第1面および該第1面に対向して配置された第2面を備えた第1弾性材料部分と、第3面および該第3面に対向して配置された第4面を備えた第2弾性材料部分と、複数の結合領域とを有し、第1弾性材料部分の第2面は、各結合領域で第2弾性材料部分の第3面に取付けられており、各結合領域は、加えられた荷重を受けたときまたは加えられた荷重から解放されたときに同時的かつ多次元的な伸張が可能である。
【0006】
本発明の他の態様によれば、一体連結された運動用具のアセンブリ(組立体)は、第1運動用具に一体に連結された第2運動用具を有している。各運動用具が、第1弾性材料部分と、第2弾性材料部分と、第1弾性材料部分を第2弾性材料部分に周期的に取付ける複数の結合領域と、複数の連続ループとからなり、各ループが、連続する結合領域同士の間および第1弾性部分と第2弾性部分との間に開スペースを形成しており、第1運動用具と第2運動用具とが分離されたときに、各結合領域はより小さい2つの結合領域に分離でき、より小さい第1結合領域は第1運動用具の閉端部を形成しかつより小さい第2結合領域は第2運動用具の閉端部を形成する。
【0007】
本発明の更に別の態様によれば、運動用具は、弾性材料から形成されかつ第1部分および該第1部分に対向して配置された第2部分を形成すべく折り畳まれた細長い弾性材料と、第1部分の区域を第2部分の区域に連結して複数の連続閉ループを形成すべく細長いストリップの長手方向長さに沿って周期的に設けられた複数の結合領域とを有している。
【0008】
以上、本発明の詳細な説明がより良く理解されるようにするため、および本発明の技術分野への本発明の寄与がより良く理解されるようにするため、発明の或る実施形態について幾分概略的に説明した。本発明の他の実施形態を以下に詳細に説明するが、これらの実施形態は特許請求の範囲に記載の要旨を形成するものであることはもちろんである。
【0009】
この点で、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の用途は、以下に説明しまたは図示する構造およびコンポーネンツの配置の細部にされないことを理解すべきである。本発明は、説明に係る実施形態以外の実施形態として構成できかつ種々の方法で実施できる。また、本明細書で使用する語句および専門用語並びに要約は説明のためのものであり、制限的なものであると理解すべきではない。
【0010】
当業者ならば、本発明が基づく概念は、本発明の幾つかの目的を実行する他の構造、方法およびシステムを設計する基礎として容易に利用できるであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、このような均等構造を含むものと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による運動用具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による運動用具を示す拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示した本発明の一実施形態による運動用具を示す正面図である。
【
図4】
図3に示した本発明の一実施形態による運動用具を示す左側面図である。
【
図5】
図2に示した本発明の一実施形態による運動用具を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。尚、全図面を通して同じ部品には同じ参照番号が使用されている。
【0013】
一体に連結され、取付けられおよび/または結合されたコンポーネンツを説明することにより、運動用具の種々の態様を例示する。本明細書で使用するとき、用語「接続され」、「取付けられ」および/または「結合され」は、2つのコンポーネンツ間の直接連結を示すか、介在コンポーネンツまたは中間コンポーネンツを介しての相互の適当な間接連結示す。これに対し、コンポーネンツが「直接接続され」、「直接取付けられ」および/または「直接結合され」と表現されるときは、いかなる介在要素も存在しないことを意味する。
【0014】
例えば「下方の」、「底(の)」「上方の」、「頂(の)」「端部(単一または複数)」、「面」または「ベース」等の相対関係を表わす用語は、本明細書では、図示された1つの要素の他の要素に対する関係を示すのに使用される。相対関係を表わす用語は、運動用具の図示された方向以外に異なる方向をも含むことも意図している。例えば、図示された運動用具の態様が反転されている場合には、他の要素の「底」側にあると説明された要素は、他の要素の「頂」側に配向されることになる。したがって、用語「底」は、用具の特定配向に基づいて、「底」および「頂」の両配向を含むものである。
【0015】
図1は、本発明による運動用具10を示す斜視図である。運動用具10は、ベース部12および頂部14を有している。ベース部12および頂部14は、本明細書で説明する材料特性、例えば高度の弾性が得られ、裂けに耐えかつ強い反復伸張(ストレッチング)の後で静止状態にあるときに、所望の形状およびフレキシビリティを維持する材料特性が得られる任意の適当な天然ゴムまたは合成材料で形成される。
【0016】
図1にはまた、ベース部12および頂部14がこれらの長さに沿う結合領域18で連結されており、ベース部12と頂部14との間に複数のループ16が形成されているところが示されている。ループ16は、任意の適当な方法、例えば熱接着、高周波融着または超音波融着および/または種々の接着剤を使用してベース部12と頂部14とを連結することにより形成できる。本発明の更に別の態様によれば、結合領域18を形成するのに任意の適当な工具または装置、例えば、結合領域18が運動用具10の他の部分の伸び特性と実質的に同じ均一伸びをもつことを可能にするブラケットを使用できる。
図1に例示の運動用具10に示すように、用具10の長さに沿って8つのループ16が周期的に形成されており、個々の各ループ16は結合領域18により分離されている。本発明の態様によれば、運動用具10の長さに沿って6〜12個のループ16を設け、用具10が伸長されていない状態で各ループ16の長さを約6インチ
(15.24cm)とすることができるが、任意の適当な個数のループ16を使用できる。また、
図1に示したループ16はほぼ同じ寸法であるが、ループ16のサイズは個々に変えることができ、これにより、種々のサイズのループ16の種々のパターンを組合せて運動用具10を形成できる。例えば、4インチ
(10.16cm)のループ16と6インチのループとを交互に配置するか、中央ループを12インチ
(30.48cm)とした6インチのループを使用できる。
【0017】
図2〜
図5は、全体として運動用具10に適用できる概略的概念を示すための運動用具10の種々の部分拡大図である。例えば
図1には開ループとして示されているが、
図2および
図4には、例えば運動用具10がほぼ休止状態にあるか、運動用具10が引張された使用状態にあって、特定のループ16がループまたはハンドルとして使用されていないときにはループ16が平坦(フラット)状態になるものが示されている。したがって、閉状態においては、ループ16は、実際には、ベース部12および頂部14の一方に裂け目(tear)または割れ目(rip)が生じた場合でも余裕を付与できる2層構造になっている。この余裕は、単一層の材料がスナップするときに、一体設計で生じる虞のある怪我、運動中の予期せぬ解放抵抗および/または運動用具10の一部を危険な態様で使用者に向かってスナップさせることを防止する安全基準を運動用具に与える。例えば固定支持体の鋭いエッジが運動用具10に使用された場合のように、用具10が完全に裂ける場合でも、ベース部12または頂部14の一方が最初に裂けるようにして、抵抗力の一部のみが解放された状況であることを使用者に警告し、使用中に使用者が重傷を負うことを回避できるようにする。また、2層設計の余裕性により、一般的な使用中に生じることがある、スナップしたまたは解放した運動用具10の衝撃すなわち「スナップ・バック」を最小にできる。
【0018】
図2に示すように、一般に、ベース部12は、第1端部20および第2端部22を有する或る長さの弾性材料から形成でき、頂部14も第1端部24および第2端部26を有する第2長さの弾性材料から形成できる。例えば、運動用具10の製造方法として、頂部14をその材料スプールから直線的に供給して、第2材料スプールから直線的に供給されるベース部12上に重ねる方法がある。材料として、例えばシート状材料、またはスプールから長手方向に供給されるチューブ状材料がある。ベース部12および頂部14に使用される材料は同じであるのが好ましいが、異なる材料特性を有する材料を使用することもできる。ベース部12および頂部14を所定間隔で連結して運動用具10の結合領域18を形成するのに熱シーリングまたは接着剤の塗布等の接合方法を使用でき、結合領域18は等間隔を隔てるか、間隔を変えることもできる。本発明の或る態様によれば、特定の結合領域18の長手方向区域は、例えば7つの結合領域毎のような所定間隔で二重接合される。任意の結合領域が、分離したときに2つの個々の運動用具10の2つの端部を形成する領域となるが、運動用具の両端部に付加強度が望まれる場合には二重接合が使用される。例えば或る治療養生法では、行うべき運動が、運動用具10の端ループを使用することに偏っており、この場合には二重接合により得られる付加強度が望まれる。接合区域を二重にすることにより、分離した運動用具の両端部を形成する2つの小さい結合領域の強度を増大できる。本明細書では二重接合と呼ぶが、二重接合とは、同様な結合領域の接合区域について結合領域の接合区域のあらゆる増大をいう。
【0019】
結合領域18(該結合領域18は、
図2および
図3では畝(うね)のように見えるかも知れない)は、加工工具の形状により任意の所望形状となるように形成できる。これらの畝は、接合された弾性層用具を1つの結合領域で切断または分離するときの視覚ガイドとなる機能を有し、運動用具のカスタム化または複数の運動用具のアセンブリからの1つの運動用具の分離を可能にする。
【0020】
本発明の他の態様によれば、畝付き圧着工具ではなく、任意の適合する円滑表面、テクスチャ表面および/またはエンボス加工表面の外観を付与する圧着工具を使用できる。ベース部12および頂部14の材料は、円滑表面、テクスチャ表面および/またはエンボス加工表面の外観となるように構成できる。
【0021】
本発明の更に別の態様によれば、例えば、一連の連結された運動用具10の大きいスプール、ロールまたは折畳まれたスタックが形成され、その後、熟練作業者が、結合領域18の1つを通って所望長さで切断することにより、アセンブリから個々の運動用具10を取出す。これにより、熟練作業者は、特定使用者の要望に適合する各運動用具10の個々の長さを制御できるとともに、貯蔵のためのコンパクトな形態を維持できる。或いは、連結された運動用具10のスプールに、該スプールに巻かれた運動用具10の大きい集合体からの個々の運動用具10の容易かつ効率的な取出しを可能にする特定長さで、結合領域18に沿う刻み目を付ける。
【0022】
図2に示すように、連続する結合領域18同士の間には、ベース部12および/または頂部14の一方または両方の長手方向側部に沿って切欠き部30を設けることができる。各切欠き部30は、対向するベース部12または頂部14の非切欠き領域32と一致する。この構成により、使用者は、頂部14からベース部12を分離してループ16を形成すべく非切欠き領域32を容易にグリップできる。切欠き部30は放物線状の形状が示されているが、運動用具10の全体的外観という観点で見たときに審美的に好ましい任意の形状に形成できる。切欠き部30は、
図5に示すように、一方の切欠き部30を用具10のベース部12の一方の側部に形成しかつ他方の切欠き部30を用具10の頂部14の反対側の側部に形成して、ベース部12または頂部14の特定の長手方向側部の中心に設けることができる。本発明の更に別の態様では、ベース部12および頂部14のそれぞれの長手方向側部に沿う任意の箇所に単一または複数の切欠き部30を設けることができる。
【0023】
運動用具10の連続ループ16は、例えば用具10を物体に取付けるときに用具10の迅速な位置決めを可能にする。物体の回りに用具10を結び付けるのではなく、用具10の一端を物体の適当な取付け部の回りに迅速に巻き付け、好ましくは用具10の他端近くの1つのループ16に挿通する。続いて用具10の第1端部を引っ張るだけで、静止物体の取付け部の回りに巻かれた用具10の一部を簡単に締め付けることができる。運動用具10を迅速に取外すには、使用者は、用具10の能動端を単に解放し、かつ運動用具10が初めに挿通されたループ16を引っ張ればよい。挿通ループ16はやがて能動端から分離されて能動端が解放され、運動用具10が物体から自由に取外される。
【0024】
使用者は、一般に、運動用具10のベース部12および頂部14の構成に使用される材料の抵抗性を頼りにする。このため、ベース部12および/または頂部14は、或る厚さを有しおよび/または用具10を用いて運動する使用者に特定範囲の抵抗を付与する寸法を有する弾性材料から形成される。このため、漸増抵抗レベルを有する一連の運動用具を表示する識別システムを使用できる。例えば、漸増抵抗レベルを有する運動用具のシステムを表示するのに、数字、色、文字、記号、パターンまたは他の適当なマークを使用できる。
【0025】
本発明の他の態様によれば、ベース部12および頂部14の構成に使用される弾性材料は、どの方向にも同様に引っ張ることができる等方性材料を使用できる。等方性材料は、例えば種々の物体に取付けるときに、材料を、より良いグリップが得られる表面形状に容易に輪郭形成できるようにすると同時に、使用者の解剖学的構造の輪郭に形成できるようにする。かくして、等方性材料は、より有効かつ快適な抵抗形式の運動用具であって、用具を用いて広範囲の運動を可能にする運動用具を提供する。
【0026】
また、材料の弾性は、運動用具の負荷部分の均一伸びおよび復元を与え、結合領域およびループの両方を横切って加えられた荷重の下で同様に伸び、従来の運動用具を用いたときにしばしば経験する底打ちすなわち突然停止を生じさせることなく、使用者に一貫した進行を与える。例えば、弾性ウェビングと組合わされた織物コンポーネントからなる従来の運動用具は、織物材料の非弾性による特定の終点限度を有し、使用者にとって不快な突然停止すなわち底打ち引き起こし、運動用具を用いて行うことができる運動範囲を制限する。結合領域およびループを横切って一貫した伸びが得られる本発明の弾性材料の性質は、復元中に、休止状態に向かって戻る運動用具の円滑で一貫した伸びが得られる。また、織物コンポーネントに基づいた運動用具は織物材料の大きな摩耗を受け、この摩耗は、運動用具に対し意図した抵抗レベルおよび経時伸びの一貫性を変化させる。また、織物に基づいた運動用具は、しばしば非常に滑り易く、本明細書に述べた方法にしたがって運動用具を物体に取付けることは非常に危険であり、かつ広範囲の運動を行うには有効でない。
【0027】
運動用具10は、例えばドアハンドルのような静止物体に取付けることができるが、例えば使用者の胴体または脚および腕の種々の部分の回りに前述の方法で締め付けることができる。この方法により、使用者は、種々の抵抗形式の運動を行うべく、多くの方法で運動用具10を迅速および効率的に使用できる。また、一連の連続ループ16を設けることにより、運動用具10は、該用具10をグリップする多くの位置が得られ、運動用具10を多くの使用者の種々の解剖学的寸法に適合する長さにする必要性を無くすことができる。また、例えば従来の無端ループバンドと比較して、運動用具10に設けられた連続ループ16の曲率半径が小さいため、広範囲の運動中にループ16が使用されるとき、より安全なグリップが得られる。
【0028】
運動用具10の他の長所は、運動用具10がループ16を使用しているため、例えば無端開バンドと比較して、慣れない使用者にとってより直観的なことである。また、使用者は、ループ16を容易に使用して、運動用具10に結び目を作ることなく用具10を適宜グリップできる(結び目は、細いバンド材料により加えられる圧力により、大きい食い込み圧力を使用者に加える)。使用者は、ループ16の開側を頼りにして、運動用具10をより自然にかつ人間工学的に使用者の身体の手、足、手首、足首または他の適当な部分に取付けて、快適かつ効率的にかつ指示にしたがって運動用具10を使用できる。運動用具10の使用容易性および使用を通して実現される効率性により、使用者は、一連の運動またはルーチンを通してより迅速に移動できるようになり、これにより使用者の追従性が向上されかつ心拍数が高く維持される。
【0029】
以上の詳細な説明から本発明の多くの特徴および長所が明らかになり、したがって、特許請求の範囲の記載は、本発明の精神および範囲内に含まれる本発明の全てのこのような特徴および長所を包含するものである。更に、当業者には多くの改良および変更が容易に明らかであるため、本発明は例示した構造および作動に限定されるものではなく、したがって、適当な全ての改良および均等物は本発明の範囲に包含されるものである。