(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362682
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】溶出容器を清浄化し、その後、溶出媒体を投入するための方法、並びにこれを実施するための移動型モジュール式清浄化及び投入装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/15 20060101AFI20180712BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
G01N33/15 A
G01N1/00 101N
【請求項の数】28
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-517643(P2016-517643)
(86)(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公表番号】特表2016-523360(P2016-523360A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】ES2014070345
(87)【国際公開番号】WO2014195543
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年2月9日
(31)【優先権主張番号】P201330809
(32)【優先日】2013年6月3日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】515334865
【氏名又は名称】マヌエル ボルレゴ カストロ
【氏名又は名称原語表記】Manuel BORREGO CASTRO
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル ボルレゴ カストロ
【審査官】
赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−230342(JP,A)
【文献】
特開平04−099959(JP,A)
【文献】
特開2004−141699(JP,A)
【文献】
特開平06−265560(JP,A)
【文献】
特開昭63−020081(JP,A)
【文献】
米国特許第05816701(US,A)
【文献】
米国特許第06652495(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/15
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶出容器を清浄化し、その後、溶出媒体を投入するための方法において、以下の段階、つまり、
A.連続的又は同時的な副段階、つまり、
a.過熱水蒸気生成と、
b.投入する前記溶出媒体の予熱と、
c.廃棄物タンクを空にすることと、
を更に含む、全般的な調整と、
B.以下の連続的又は同時的な副段階、つまり、
a.前記溶出容器のカバーの取り付け及び調節と、
b.吸引管による前記溶出媒体の吸引除去と、
c.前記溶出媒体を前記廃棄物タンクに移送することと、
d.使用する前記溶出媒体及び試験する治療薬に応じた、所与の時間にわたる、予め設定された温度及び圧力レベルでの水蒸気の注入と、
e.前記吸引管を用いて蒸気を吸引除去し、前記廃棄物タンクに移送することと、
f.前記廃棄物タンク内に収容された前記溶出媒体及び蒸気を外部に移送することと、
を更に含む、前記溶出容器の清浄化と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の段階Bの終了後、以下の段階、つまり、
C:連続的又は同時的な副段階、つまり、
a.前記予熱された溶出媒体を、保管貯蔵部から投入貯蔵部に移送することと、
b.予め決定された量の、投入溶出媒体を、重量測定デバイスを用いて計測することと、
c.前記溶出媒体を前記溶出容器に移送することと、
を更に含む、投入
が実施されることを特徴とする、請求項1に記載の、溶出容器を清浄化し、その後、溶出媒体を投入するための方法。
【請求項3】
前記廃棄物タンクを空にした後、前記廃棄物タンクに中和溶液が添加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、溶出容器を清浄化し、その後、溶出媒体を投入するための方法。
【請求項4】
前記廃棄物タンクを空にするステップの後に、前記廃棄物タンクに消泡溶液が添加されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の、溶出容器を清浄化し、その後、溶出媒体を投入するための方法。
【請求項5】
前記過熱水蒸気に1種以上の化学添加物が添加されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の、溶出容器を清浄化し、その後、溶出媒体を投入するための方法。
【請求項6】
A.前記溶出容器の上の、カップリング及び封止調節手段を備えたカバーと;前記カバー内に便利に配置された、フィルタの挿入を可能にする真空破壊システムと;封止状態で前記カバーに結合され、かつ前記溶出媒体の前記吸引除去ラインに連結された、可変長の吸引管と;前記吸引管内に適切に配置された逆止弁と;前記吸引管内に適切に配置された粒子フィルタと;上部シールを有する部品を含む蒸気分配器に連結された、蒸気供給ラインと;蒸気の循環のための内部チャネル、及び前記チャネルに対し垂直に配置された、外部開口部を有する一連の穴と;前記溶出媒体用の供給ライン及び作動スイッチと、を更に含む、カバーモジュールと、
B.廃棄物タンクに連結された吸引除去システムを含む、前記溶出媒体及び蒸気用の吸引除去モジュールと、
C.水蒸気生成モジュールと、
D.前記溶出媒体を保管するための保管貯蔵部と、重量測定用測定デバイスと、投入貯蔵部と、を含む、前記溶出媒体の投入モジュールと、
E.情報スクリーン及びデータ入力部を備えた制御モジュールと、
F.前記カバーモジュール、前記吸引除去モジュール、前記水蒸気生成モジュール、前記投入モジュール、前記制御モジュールが結合され、かつ搬送手段が適切に配置されたフレームを含む、トランスポーションモジュールと、
G.装置と各モジュールの要素との間、及び前記異なるモジュール間の、対応する相互接続及び連結チューブ、取付部品及び電磁弁と、
を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法を実施するための移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項7】
前記カバーモジュールでは、前記真空破壊システムに挿入された前記フィルタ、前記カバー及び前記蒸気分配器がプラスチックで作製されることを特徴とする、請求項6に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項8】
前記廃棄物タンクが、レベルセンサと、逆止弁を備えた廃棄物ポンプと、を備えることを特徴とする、請求項6又は7に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項9】
前記蒸気生成モジュールが、ステンレス鋼で作製されたボイラであって、1つ又は複数の電気ヒータと、水位センサと、安全サーモスタットと、圧力/温度制御システムと、電磁弁と、安全弁と、好ましくはベントバルブ型の真空破壊システムと、を便利に備える、ボイラと、その対応する逆止弁を備えた、前記ボイラのための充填ポンプと、レベルセンサを備えた、前記ボイラのための供給貯蔵部とを含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項10】
前記溶出媒体の前記保管貯蔵部が、レベルセンサと、温度制御部を備えた加熱システムと、を備えることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項11】
前記投入貯蔵部が真空破壊システムを組み込むことを特徴とする、請求項6〜10のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項12】
前記制御モジュールが、少なくとも、前記カバーモジュールの前記スイッチの作動と、蒸気圧と、前記溶出容器内への蒸気の注入時間と、前記溶出媒体を吸引除去する時間及びサイクルと、投入する前記溶出媒体の温度及び量と、を制御することを特徴とする、請求項6〜11のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項13】
前記溶出容器の前記カバーの前記調節手段がシーリングガスケット型のものであることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項14】
前記カバー内に配置された前記真空破壊システムが開放型のものであることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項15】
前記カバー内に配置された前記真空破壊システムに挿入された前記フィルタが、PVDF(ポリビニリデンジフルオリド)製の35ミクロンメッシュの形態であることを特徴とする、請求項6〜14のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項16】
前記吸引管内に配置された前記逆止弁がチェックボール及びスプリング型であることを特徴とする、請求項6〜15のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項17】
前記吸引管内に配置された前記フィルタがステンレス鋼メッシュで作製されることを特徴とする、請求項6〜16のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項18】
前記蒸気分配器の前記プラスチック材料が、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から作製されることを特徴とする、請求項6〜17のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項19】
前記蒸気分配器の前記上部シールが、フルオロエラストマーの一種の登録商標である、Vitonジョイントであることを特徴とする、請求項6〜18のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項20】
前記吸引除去システムが、シーリングガスケットを備えた吸引除去ポンプであることを特徴とする、請求項6〜19のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項21】
前記生成モジュールの前記圧力/温度制御システムが圧力スイッチにより実行されることを特徴とする、請求項9及び請求項9を引用する請求項10〜20のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項22】
生成される前記蒸気の前記供給ラインに化学添加物を添加するためのデバイスが前記水蒸気生成モジュール内に適切に配置されていることを特徴とする、請求項6〜21のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項23】
前記投入モジュールの前記加熱システムが、サーモスタットを備えた1つ又は複数の電気ヒータであることを特徴とする、請求項10及び請求項10を引用する請求項11〜22のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項24】
前記重量測定用測定デバイスがロードセルであることを特徴とする、請求項6〜23のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項25】
前記投入モジュールの前記真空破壊システムが前記ベントバルブ型のものであることを特徴とする、請求項11及び請求項11を引用する請求項12〜24のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項26】
前記制御モジュールが、供給される前記水蒸気に添加される化学添加物の量を制御することを特徴とする、請求項6〜25のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項27】
種々のモジュールが互いに切り離されるか、又は、異なるモジュールの組み合わせにて群化され、各モジュール又は群に対し、前記対応するフレームと、その搬送手段とが設けられることを特徴とする、請求項6〜26のいずれか一項に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【請求項28】
前記搬送手段が、1つ又は複数の車輪の群であることを特徴とする、請求項27に記載の移動型モジュール式清浄化及び投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的
本発明の目的は、蒸気を用いて溶出容器を清浄化し、その後、使用に備えられた溶出媒体又は溶媒を、前記溶出容器に充填するための手順又は方法を提供することである。溶媒は、投入される前に予熱され、その適切な量が計測される。上記方法を実施するための移動型モジュール式装置もまた、本発明の目的である。
【背景技術】
【0002】
製薬業界において、溶出試験はますます一般化している。これら試験では、設けられた時間枠内及び設定温度にて特定の溶出媒体中に放出される有効成分の量を特定する。有効成分は、通常、錠剤、フィルムコーティング錠、カプセル剤、又は治療的ケアで用いられる同様の製品のような種類の医薬製剤に含まれる。
【0003】
溶出試験は、一般に溶出容器と呼ばれる、受器内において実施される。溶出容器には、予め選択した温度(通常37度)の、予め設定された量の溶出媒体が収容されており、そこに、有効成分を含む、ある投入単位の治療薬が添加され、撹拌される。溶出サンプルは予め設定された時間間隔で取り出され、前記サンプルは、その後、適切な装置にて分析され、溶出媒体中に放出された有効成分の量が得られる。試験が完了すると、装置は、溶出物のすべての痕跡又は残渣を除去し、同じ治療薬又は異なる治療薬の新たな試験へと移行するために清浄化する必要がある。
【0004】
前述の方法は、手動で、又は自動化の程度がより大きな若しくはより小さな装置を用いて実施してもよい。
【0005】
従来技術によれば、溶出容器の洗浄又は清浄化は、後に吸引除去される液体を用いて実施され、所望の結果を得るために、場合によってはブラシが使用される。
【0006】
提案する発明は、加圧水蒸気を用いて溶出容器を清浄化し、溶出容器に、その後、新たな溶出媒体を充填するための方法、並びに溶出装置内の溶出容器のハウジングから溶出容器を取り外す必要なしに、かつ溶出容器の清浄化及びその後の調整に大量の水及び時間を費やす装置を用いることなしに、1つ又は複数の溶出容器のための方法を実施するための移動式装置を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
提案する、溶出容器を清浄化し、その後、溶出媒体を投入するための方法は、以下の段階、つまり、
A.連続的又は同時的な副段階、つまり、
a.水蒸気の生成と、
b.投入する溶出媒体の予熱と、
c.廃棄物タンクを空にすることと、中和又は消泡溶液を、前記廃棄物タンクに任意に挿入することと、
を更に含む、全般的な調整と、
B.以下の連続的又は同時的な副段階、つまり、
a.溶出容器のカバーの取り付け及び調節と、
b.ボタンを押してプロセスを開始することと、
c.吸引管を用いた溶出媒体の吸引除去と、
d.廃棄物タンクに移送することと、
e.任意選択的に、1種以上の化学添加物を水蒸気に添加することと、
f.使用する溶出媒体及び試験する治療薬に応じた、所与の時間にわたる、予め設定された温度及び圧力レベルでの水蒸気の注入と、
g.吸引管を用いて蒸気を吸引除去し、廃棄物タンクに移送することと、
h.廃棄物タンク内に収容された溶出媒体及び蒸気を外部に移送することと、
を更に含む、溶出容器の清浄化と、
C.連続的又は同時的な副段階、つまり、
a.予熱された溶出媒体を、保管貯蔵部から投入貯蔵部に移送することと、
b.予め決定された量の、投入溶出媒体を、重量測定デバイスを用いて計測することと、
c.溶出媒体を溶出容器に移送することと、
を更に含む、投入と、
を含む。
段階B、つまり、溶出容器の清浄化と、段階C、つまり、投入とが連続し、かつ互いに独立しており、上述の手順において、段階Bは必須であるが、この理由は、溶出試験において、最終段階は、使用済みの溶出容器を、新たな試験の実施に備える状態にすることであるためであり、これは、特定の時間の経過後に必要とされ得るものであり、段階Cは、手順の任意の部分である。
【0008】
上述の方法を実施するためのモジュール式清浄化及び投入装置は、
図1に記載される以下のモジュールを含む。
A.プラスチックから作製された部品を含み、カップリング、及び好ましくは、シーリングガスケット型の封止調節手段を備えた、溶出容器の上部の、カバーと;カバー内に便利に配置された、好ましくは、PVDF(ポリビニコベレンジフルオリド)製の35ミクロンメッシュであるプラスチックフィルタの挿入を可能にする、好ましくは、穴型の、真空破壊システムと;プラスチック材料から作製された、異なるサイズの溶出容器で使用するための、封止状態でカバーに結合され、かつ溶出媒体の吸引除去ラインに連結された、可変長の吸引管と;好ましくは、ボール及びスプリング型の、吸引除去された溶出媒体が溶出容器に偶発的に戻ることを防止するために吸引管内に適切に配置された、逆止弁と;前記吸引管内に適切に配置された、好ましくは、ステンレス鋼から作製されたメッシュである粒子フィルタと;プラスチック、好ましくは、PTFE(ポリテトラフルオレチレン(polytetrafluorethylene))からから作製された部品であって、上部シールが、理想的には、Viton(フルオロエラストマーの登録商標)によって作製された部品と、蒸気の循環のための内部チャネルと、蒸気が溶出容器の内壁に対して半径方向に供給され得るように、チャネルに対し垂直に配置された、外部開口部を有する一連の穴と、を含む、蒸気分配器に連結された、蒸気供給ラインと;溶出媒体用の供給ライン、及びプロセスを開始又は停止するよう制御モジュールに命令を与えるための作動スイッチと、を更に含む、カバーモジュール。
【0009】
B.レベルセンサを備えた、使用済みの溶出媒体及び蒸気の貯蔵用の廃棄物タンクと、逆止弁を備えた、廃棄物タンクのためのドレンポンプと、に連結された、好ましくは、シーリングガスケットを備えた吸引除去ポンプである、吸引除去システムと、他のモジュールとの連結を可能にする、それらの対応する相互接続及び連結配管並びに取付部品と、を含む、溶出媒体及び蒸気用の吸引除去モジュール。
【0010】
C.ステンレス鋼で作製されたボイラであって、1つ又は複数の電気ヒータと、水位センサと、安全サーモスタットと、圧力スイッチを介することが好ましいが、これに限定されない圧力/温度制御システムと、電磁弁と、安全弁と、好ましくはベントバルブ型のである真空破壊システムと、が適切に備えられた、ボイラと、その対応する逆止弁を備えた、ボイラのための充填ポンプと、レベルセンサを備えた、ボイラのための給水タンクと、モジュールの残部を連結するための、それらの対応する相互接続及び連結配管並びに取付部品と、任意の設計要素として、発生した蒸気の供給ラインに化学添加物を添加するためのデバイスと、を含む水蒸気生成モジュール。
【0011】
D.レベルセンサと、好ましくは、サーモスタットを備えた1つ又は複数の電気ヒータである温度制御部を備えた加熱システムと、を有する、溶出媒体の保管貯蔵部と;好ましくは、重量測定ロードセルを使用する、供給される溶出媒体の重量測定デバイスと;好ましくは、ベントバルブ型の真空破壊システムを組み込む溶出容器に供給される溶出媒体の量を収容する投入貯蔵部と;投入用の溶出媒体の駆動システムと、それらの対応する、モジュールの残部を相互連結及び連結するための、チューブ、取付部品及びソレノイドと、を含む、溶出媒体の投入モジュール。
【0012】
E.少なくとも、カバーモジュールのスイッチの作動と、水蒸気圧と、溶出容器内への蒸気の注入時間と、溶出媒体を吸引除去する時間及びサイクルと、投入する溶出媒体の温度及び量と、任意選択的に、供給する水蒸気に添加する化学添加物の量と、を制御する、情報スクリーン及びデータ入カ部を備えた制御モジュール。
【0013】
F.残りのモジュールが結合され、かつ好ましくは1つ又は複数の車輪の群である搬送手段が適切に配置されたフレームを含む、トランスポーションモジュール(Transportion module)。
【0014】
設計オプションとして、本発明を含む種々のモジュールを互いに切り離してもよい、又は、異なるモジュールの組み合わせにて群化してもよい。各モジュール又はモジュールの群に対し、その対応するフレームと、好ましくは1つ又は複数の車輪の群である搬送手段とが設けられる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、吸引除去モジュール及び水蒸気生成モジュールが同じアセンブリに結合され、投入及びカバーモジュールから分離された、溶出容器を清浄化し、溶出容器に投入するための移動型モジュール式装置の好適な実施形態を示す。この実施形態では、モジュール相互接続チューブが、迅速結合部品及びモジュールアセンブリ用の車輪付き運搬手段とともに、便利に配置されている。
【0017】
この装置は、清浄化及び投入方法の開始前に、充填貯蔵部から、充填ポンプを用いてボイラに水を供給することにより、蒸気を用意することと;センサによって示された最低圧力レベルに達するまで、好ましくは電気ヒータを使用し、水を、蒸発及び過熱するまで加熱することと;任意選択的に、廃棄物タンクの内部に吸引除去される溶出媒体を調整するために中和剤/消泡溶液を導入することと、を含む、全般的な調整を必要とする。同様に、投入する溶出媒体は、好ましくは、電気ヒータを用いて、予め設定された温度まで予熱する必要がある。
【0018】
この実施形態では、洗浄及び投入方法は、互いに独立して実施される。
【0019】
方法は、溶出容器の上にカバーを配置することから開始され、その後、手動スイッチを作動させて、プロセスの開始を制御モジュールに指示する。
【0020】
洗浄方法とは、溶出容器内にある溶出媒体を、吸引管を通じて吸引除去し、それを、好ましくは、廃棄物タンクの底部から導入して廃棄物タンクに移送し、タンク内にある媒体と、任意選択的に、調整段階時に予め添加されている中和及び/又は消泡溶液と混合することを必然的に意味する。
【0021】
その洗浄後、ボイラからの蒸気が、蒸気分配器(
図2a及び
図2b)に接続された蒸気ラインを通じて溶出容器に添加され、溶出容器がより良好に清浄化され得るように、容器の内壁に対し蒸気が半径方向かつ対称に放射されることが可能になる。清浄化プロセスが実施されるように、蒸気は吸引管を用いて吸引除去され、吸引除去ラインを通じて廃棄物タンクへと送られる。
【0022】
廃棄物タンクのレベルが最高レベルセンサ(maximum level sensor)によって予め設定された限度を超えると、廃棄物タンクは、ドレンポンプを通じて使用済みの溶出媒体を排出し、それを適切な保管及び廃棄物処理デバイスへと送る。ドレンプロセスの終了は、廃棄物タンクの最低レベルセンサ(minimum level sensor)を使用して決定される。
【0023】
ボイラ内の水位が予め設定された下限を超えると、ボイラの充填ポンプは水を入れ替え、調整プロセスを再度開始する。
【0024】
溶出媒体を投入するための方法は、調整プロセスにおいて予め加熱された、好ましくは、重量測定ロードセル測定デバイスによって決定された、予め設定された量の媒体を投入貯蔵部に移すことから開始される。前記溶出容器に移すステップは、投入ポンプを用いて実施される。
【0025】
媒体タンク内にある溶出媒体の高さが予め設定された下限を超えると、溶出媒体を入れ替え、調整プロセスを再度開始する必要がある。
【0026】
細部、形状、寸法及び他の補助的要素並びに本発明のツールを製造するために使用される材料は、技術的に等価の他の物と便利に入れ替えてもよく、かつ以下に含まれる特許請求の範囲の本質又は特許請求の範囲で定義される範囲から逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0027】
1. 溶出容器用のモジュール式清浄化及び投入装置
2. 投入モジュール
3. 蒸気生成モジュール
4. 吸引除去モジュール
5. カバーモジュール
6. 溶出容器
7. カバー
8. 吸引管
9. 蒸気分配器
10. 蒸気供給ライン
11. 溶出媒体供給ライン
12. 吸引除去ライン
13. 吸引除去ポンプ
14. 廃棄物タンク
15. ドレンポンプ
16. ボイラ
17. 充填ポンプ
18. ボイラへの供給貯蔵部
19. 溶出媒体貯蔵部
20. 重量測定デバイス
21. 投入貯蔵部
22. 投入ポンプ