【文献】
FISCHLI, A. et al.,Cobalamin-Co(I) as a catalyst. Part 5. Enantioselective reduction of α,β-unsaturated carbonyl derivatives,Helvetica Chimica Acta, (1979), 62(7),pp. 2361-73,ISSN: 0018-019X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
香料消費者製品が、香水、コロン、アフターシェーブローション、液体又は固体洗剤、布地用柔軟剤、ファブリックリフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、シャンプー、着色調製物、ヘアスプレー、バニシングクリーム、脱臭剤又は制汗剤、付香石鹸、シャワームース又はバスムース、オイル又はジェル、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐに使用できる」粉末エアフレッシュナー、ワイプ、食器用洗剤又は硬質表面洗剤であることを特徴とする、請求項5に記載の付香消費者製品。
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、香料の分野に関する。更に詳細には、本発明は、スズラン/クチナシ調の有用な付香成分である、以下に規定される式(I)の化合物の付香成分としての使用に関する。従って、本明細書に記載されるものによれば、本発明は、付香組成物又は付香消費者製品の一部として本発明の化合物を含む。
【0002】
従来技術
本発明者らの知る限り、3−メチル−5−フェニルヘキサン−1−オールは決して開示されず、4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オールは、1つの文書にのみ記載されている。前記文書、Helv. Chim. Acta 1979年, 62 (7), 2361-2373頁では、式(I)の化合物は、コバルトを使用する還元によって合成される。しかしながら、この先行技術文献は、式(I)の化合物の任意の官能特性、又は香料分野における前記化合物の任意の使用を報告又は示唆していない。
【0003】
本発明者らの知る限り、香料において知られている最も近い類似体は、フェニルヘキサノールとしても知られている化学物質3−メチル−5−フェニルペンタノールであり、n°2200としてS. Arctanderによる著書、(Perfume and Flavor Chemicals、1969年、米国、ニュージャージー州、モントクレア)において報告されている。本発明者らは、また、n°2575としてS. Arctanderによる著書(Perfume and Flavor Chemicals、1969年、米国、ニュージャージー州、モントクレア)において報告された6−フェニルヘプタン−2−オール及びJustus Liebigs Ann. Chem. 1962年, 654, 131〜145頁に記載された4−メチル−6−フェニルヘプタン−2−オールも引用し得る。しかしながら、公知の5−フェニルペンタノールの誘導体の中で、3−メチル−5−フェニルペンタノールとして又はRosaphen(登録商標)として第1級アルコール及び1つのメチル基を有するものが、バラのノート(香調、note)を有するものとして報告されており;6−フェニルヘプタン−2−オール又は4−メチル−6−フェニルヘプタン−2−オールとして第2級アルコール及び2つ又は3つのメチル基を有するものは、バラ又はルバーブノート調を示す。換言すれば、本発明の化合物に関して先行技術においては、全く別のノートが報告されている。
【0004】
これらの先行技術文献は、式(I)の化合物の官能特性を報告又は示唆せず、また、前記化合物の香料分野における使用も報告又は示唆していない。
【0005】
発明の詳細な説明
本発明者らは、ここで、驚くことに式
【化1】
(式中、一方のRはメチル基を表し、他方のRは水素原子である)
の化合物を、その立体異性体のいずれか1つ又はそれらの混合物の形態で、例えば、スズラン/クチナシの香気ノートを付与するための付香成分として使用できることを見出した。
【0006】
明確にするために、「その立体異性体のいずれか1つ」との表現、又は類似表現は、当業者によって理解される通常の意味、即ち、本発明の化合物が純粋な鏡像異性体又はジアステレオ異性体であり得ることを意味する。実際に、式(I)の化合物は、異なる立体化学を有し得る2つの立体中心を有する(即ち、化合物(I)は(R,R)又は(R,S)配置を有し得る)。前記立体中心は、それぞれ、相対配置R又はS又はそれらの混合物であってよく、又は換言すれば、式(I)の前記化合物は、純粋な鏡像異性体又はジアステレオ異性体の形、又は立体異性体の混合物の形であってよい。
【0007】
本発明の化合物の好ましい例としては、4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オールが挙げられ、これは蜂蜜の態様を有するスズラン/クチナシのノート及びグリーンノートによって特徴付けられる香りを有する。この化合物は、適用時に非常に強力であり、この成分のフローラルノートは、同じ種類のフローラルノートを有する公知の化合物、例えば、スチラリルアセテートよりも極めて重要である。その官能特性は、バラのノートのないグリーンコノテーションを有することによって及びその強さによってフェニルヘキサノールから区別される。本発明の特定の実施態様によれば、式(I)の化合物は、(2RS,4RS)−4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オール及び(2SR,4RS)−4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オールの両方の立体異性体の少なくとも80%を含有する立体異性体の混合物の形である。好ましくは、式(I)の化合物は、(2SR,4RS)−4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オールの少なくとも50%を含有する立体異性体の混合物の形である。明確にするために、「2RS,4RS」との表現は、2R,4R及び2S,4Sの等モル混合物を意味し、また「2SR,4RS」との表現は2S,4R及び2R,4Sの等モル混合物を意味する。
【0008】
他の例として、上記のものと類似の香りを有するが、それ自体、より強いクチナシ/スチラリルノート並びにやや弱いグリーンノート及びより少ないクリアさによって区別される、3−メチル−5−フェニルヘキサン−1−オールが挙げられる。
【表1】
【0009】
本発明の化合物の香りを先行技術の化合物の香りと比較した場合、本発明の化合物は、明らかなクチナシ/スズランノートによって及びフェニルヘキサノール又は6−フェニルヘプタン−2−オールのバラノートの特徴の欠如によってそれらを区別する。更には、4−メチル−6−フェニルヘプタン−2−オールに関して報告されたルバーブノートは、本発明の化合物に関しては弱い。前記の違いは、本発明の化合物及び先行技術の化合物を、それぞれ、様々な使用に適したものにする、即ち、様々な官能的印象を与える。
【0010】
上記のように、本発明は、式(I)の化合物の付香成分としての使用に関する。換言すれば、本発明は、付香組成物又は付香物品の香気特性を付与、強化、改善又は変更するための方法であって、前記組成物又は物品に有効量の少なくとも1つの式(I)の化合物を添加することを含む、前記方法に関する。「式(I)の化合物の使用」は、本明細書では、化合物(I)を含有する任意の組成物の使用のことであり、これらは香料産業において有利に利用され得ることも理解されるべきである。
【0011】
実際に付香成分として有利に利用され得る、前記組成物も、本発明の対象である。
【0012】
従って、本発明の別の対象は、付香組成物であって、
i)付香成分として、上記で定義された、少なくとも1つの本発明の化合物;
ii)香料担体及び香料ベースからなる群から選択される少なくとも1つの成分;及び
iii)任意に少なくとも1つの香料補助剤
を含む、前記付香組成物である。
【0013】
「香料担体」は、本明細書では、香料の観点から実質的に中性である材料を意味しており、即ち、これは付香成分の官能特性を大幅に変化させないものである。前記担体は液体又は固体であってよい。
【0014】
液体担体としては、非限定的な例として、乳化系、即ち、溶剤及び界面活性剤系、又は香料において通常使用される溶剤が挙げられ得る。香料において通常使用される溶剤の性質及び種類の詳細な説明は、網羅することができない。しかしながら、非限定的な例としては、最も一般的に使用されている、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール又はクエン酸エチルなどの溶媒を挙げることができる。香料担体及び香料ベースの両方を含む組成物の場合、これらの予め特定されたもの以外の他の適切な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン又は他のテルペン類、イソパラフィン類、例えば、Isopar(登録商標)(製造元:エクソン・ケミカル社)の商品名で知られたもの又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば、Dowanol(登録商標)(製造元:ダウ・ケミカル・カンパニー社)の商品名で知られたものであってもよい。
【0015】
固体担体としては、非限定的な例として、吸収ゴム又はポリマー、又は更に封入材料を挙げてよい。かかる材料の例は、壁形成及び可塑化材料、例えば、単糖類、二糖類又は三糖類、天然又は化工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質又はペクチン、又は更に参考文献、例えば、H. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr's Verlag GmbH & Co.(ハンブルグ、1996年)に引用された材料を含んでよい。カプセル化は、当業者によく知られた方法であり、例えば、噴霧乾燥、凝集又は更に押出成形などの技術を用いて実施され得るか、又はコアセルベーション及び複合コアセルベーション技術を含むコーティングカプセル化から構成されている。
【0016】
「香料ベース」は、本明細書では、少なくとも1つの付香補助成分を含む組成物を意味する。
【0017】
前記付香補助成分は式(I)のものではない。更には、「付香補助成分」は、本明細書では、快楽効果を付与する付香調製物又は付香組成物中で使用される化合物を意味している。換言すれば、付香性のあるものと考えられるべきこのような補助成分は、単に香りを有しているものとしてではなく、組成物の香りを積極的な又は心地良いように付与又は変更することが可能なものとして当業者によって認識されなければならない。
【0018】
ベース中に存在する付香補助成分の性質及び種類は、本明細書においてより詳細な説明は行わないが、そのような説明はいずれにせよすべて余すことなく完全に行われるものではなく、当業者は、自身の一般的な知識に基づいて、そして意図する使用又は用途及び所望の感覚刺激効果に応じて、それらを選択することができる。一般的に、これらの付香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン炭化水素、窒素又は硫黄複素環式化合物及び精油などの化学クラスに属し、且つ前記付香補助成分は天然又は合成由来であってよい。これらの補助成分の多くは、いずれの場合も参考テキスト、例えば、S. Arctanderによる書籍、Perfume and Flavor Chemicals, 1969年(米国、ニュージャージー州、モントクレア)又はその最新版によって、又は同様の性質の他の論文に、並びに香料分野の豊富な特許文献に列記されている。また、前記補助成分が、制御された方法で様々な種類の芳香化合物を放出することが知られた化合物であってもよいことも理解されている。
【0019】
「香料補助剤」とは、本明細書では、付加的に追加される利益、例えば、色、特に耐光性、化学的安定性等を付与することが可能な成分を意味する。香料ベースに一般に使用される補助剤の性質及び種類は、すべて余すことなく詳細に説明できるものではないが、前記成分が当業者によく知られていると記載されるべきである。
【0020】
少なくとも1つの式(I)の化合物及び少なくとも1つの香料担体からなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施態様並びに少なくとも1つの式(I)の化合物、少なくとも1つの香料担体、少なくとも1つの香料ベース、及び任意に少なくとも1つの香料補助剤を含む付香組成物を表す。
【0021】
上記の組成物において、2つ以上の式(I)の化合物を有する可能性は、調香師が、本発明の様々な化合物の香調を有する調和物、香料を調製し、その作業のための新たな道具を作り出すことができるため重要であることが本明細書において述べられることは有用である。
【0022】
明確にするために、化学合成から直接得られる任意の混合物、例えば、本発明の化合物が、出発生成物、中間生成物又は最終生成物として含まれる、十分に精製されていない反応媒体は、前記混合物が香料に適した形で本発明の化合物を提供しない限り、本発明による付香組成物と考えることができないことも理解されている。従って、未精製の反応混合物は、一般に、他に規定されない限り、本発明から除外される。
【0023】
更には、本発明の化合物は、また、前記化合物(I)が添加される消費者製品の香りを積極的に付与又は変更するために、現代香料、即ち、香水又は機能香料の全ての分野において有利に使用することもできる。結果として、本発明の別の対象は、付香成分として、上記で規定された、少なくとも1つの式(I)の化合物を含む、付香消費者製品によって表される。
【0024】
本発明の化合物は、それ自体として又は本発明の付香組成物の一部として添加することができる。
【0025】
明確にするために、「付香消費者製品」とは、これが適用される表面(例えば、肌、髪、テキスタイル、又は硬質表面)に少なくとも心地良い付香効果を送達することが期待される消費者製品を意味すると言及されるべきである。換言すれば、本発明による付香消費者製品は、機能的配合物、並びに任意に所望の消費者製品、例えば、洗剤又はエアフレッシュナーに対応する、追加の利益剤及び嗅覚的有効量の少なくとも1つの本発明の化合物を含む付香された消費者製品である。明確にするために、前記付香消費者製品は、非食用製品である。
【0026】
香料消費者製品の性質及び種類は、本明細書においてより詳細な説明は行わないが、そのような説明はいずれにせよすべて余すことなく完全に行われるものではなく、当業者は、自身の一般的な知識に基づいて、そして前記製品の性質及び所望の効果に応じて、それらを選択することができる。
【0027】
適切な香料消費者製品の非限定的な例は、香料、例えば、香水(fine perfume)、コロン又はアフターシェーブローション;ファブリックケア製品、例えば、液体又は固体洗剤、布地用柔軟剤、ファブリックリフレッシャー、アイロン水、紙、又は漂白剤;ボディケア製品、例えば、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、着色調製物又はヘアスプレー)、化粧品(例えば、バニシングクリーム又は脱臭剤又は制汗剤)、又は皮膚ケア製品(例えば、付香石鹸、シャワームース又はバスムース、オイル又はジェル、又は衛生製品);空気ケア製品、例えば、エアフレッシュナー又は「すぐに使用できる」粉末エアフレッシュナー、又はホームケア製品、例えば、ワイプ、食器用洗剤又は硬質表面洗剤であってよい。
【0028】
上記の消費者製品の一部は、本発明の化合物に対して刺激的な媒体を表し得るので、例えば、カプセル化によって、又はこれを別の化学物質に化学的に結合させることによって早期分解から保護する必要があることもあり、これは酵素、光、熱又はpHの変化などの適切な外部刺激時に本発明の成分を放出することに適している。
【0029】
本発明による化合物を様々な前述の物品又は組成物中に組み込むことができる割合は広範囲の値で変化する。これらの値は、付香されるべき物品の性質及び所望の感覚刺激効果に応じて並びに本発明による化合物が当該技術分野で通常使用される付香補助成分、溶媒又は添加剤と混合される時の所与のベース中の補助成分の性質に応じて変化する。
【0030】
例えば、付香組成物の場合、典型的な濃度は、それらが導入される組成物の重量を基準として、0.001重量%〜10重量%の程度、又は更にそれ以上の程度の本発明の組成物である。これらよりも低い濃度、例えば、0.01重量%〜5重量%の程度の濃度は、これらの化合物が付香された物品に組み込まれる時に使用することができ、パーセンテージは物品の重量に対するものである。
【0031】
本発明の化合物は、文献に報告された方法又は本明細書において以下に記載される当該技術分野で公知の標準的な方法によって製造することができる。
【0032】
実施例
本発明を、ここで以下の実施例によって更に詳細に説明するが、その際、略字は、当該技術分野での通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で示され;NMRスペクトルデータは、
1H及び
13Cの場合には360MHz又は400MHzで、CDCl
3(特段記載されない限り)で記録され、化学シフトδは標準としてTMSに関してppmで示され、結合定数JはHzで表される。
【0033】
実施例1
式(I)の化合物の合成
a)4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オール:
i)98mlのヘプタンに、0.3gの水に溶解したベンズアルデヒド(100g、0.94モル)、カンファースルホン酸(0.26g、0.001モル)を添加した。この混合物を98℃〜100℃のポット温度に加熱した。水/ヘプタン共沸混合物(78℃の沸点)としてフラスコ内の水を除去する。フラスコ温度が安定した時に、メチルイソプレノール(73.6g、0.74モル)の添加を開始する。約13.2gの水は、反応の間に共沸により除去される。水の除去が停止するまで反応を続ける。これは、塔の頂部での蒸気温度の20℃の上昇によって示される。8gの水に溶解した0.4gの炭酸ナトリウムをゆっくりとフラスコに添加する。pHが9を上回ることを確認する。2つの層を分離し、水相を100mlのエーテルで抽出した。2つのエーテル相を合わせ、50mlの水及び50mlのブラインで洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。濾過と濃縮によって161gの油が得られた。この油を真空蒸留(68〜100℃、0.5〜0.05ミリバール)により短経路を通して精製すると、100.5g(61%)の2−メチル−4−メチレン−6−フェニルテトラヒドロ−2H−ピランの二重結合異性体の混合物が得られた。
【表2】
【0034】
ii)前の工程で得られた混合物(15g、0.079モル)に、オートクレーブ内で、Pd/C5%(ESCAT11、50%湿潤)を添加した。H
2を用いて13バールに加圧し、加熱を開始して120℃にする。オレフィンの水素化後、オートクレーブを脱気した。0.5mlの水に溶けたpTsOH.H
2O(0.021g、0.001モル)を加えた。p−トルエンスルホン酸を添加した後、H
2で加圧して13バールに戻し、設定値温度を140℃に上げ、更に3時間水素化反応を継続させた。G.C.によって分析する。水素化が完了した時に、オートクレーブを室温まで冷却し、その後、大気圧に脱気した。オートクレーブを2.5バールのN
2で加圧し、再び大気圧に脱気して、残留H
2をパージした。このパージを繰り返し、再び、脱気した。混合物をCelite(登録商標)上で濾過し、50mlの飽和NaHCO
3溶液で洗い、50mlのブラインで洗った。有機相をNa
2SO
4で乾燥させた。濾過及び濃縮によって13.5gの油が得られた。この油を、真空蒸留(100℃〜150℃、0.5〜0.02ミリバール)により短経路を通して精製すると、94/6((2RS,4RS)/(2SR,4RS))の比を有するジアステレオ異性体の混合物として13.2g(87%)の4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オールが得られた。
【0035】
(2RS,4RS)−4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オール:
【表3】
【0036】
(2SR,4RS)−4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オール:
【表4】
【0037】
b)3−メチル−5−フェニルヘキサン−1−オール:
i)トルエン(500ml)、アセトフェノン(120g、1モル)、イソプレノール(129g、1.5モル)、及びパラ−トルエンスルホン酸(3g、0.02モル)の混合物を、水が完全に除去されるまで還流下で4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、Al
2O
3上で濾過した。揮発物を蒸発させ、粗混合物をクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル9/1)によって精製し、その後、蒸留によって、102gの2−メチル−2−フェニル−4−メチレン−テトラヒドロピランの二重結合異性体の混合物(54%)が得られた。
【0038】
ii)前の工程で得られた化合物(10g、0.053モル)に、オートクレーブ内で、Pd/C5%(500mg)を添加した。H
2を用いて13バールに加圧し、加熱を開始して120℃にする。オレフィンの水素化後、オートクレーブを脱気した。HCl(2ml)を添加した。HClを添加した後、H
2で加圧して13バールに戻し、設定値温度を140℃に上げ、更に3時間水素化反応を継続させた。G.C.によって分析する。水素化が完了した時に、オートクレーブを室温まで冷却し、その後、大気圧に脱気した。オートクレーブを2.5バールのN
2で加圧し、再び大気圧に脱気して、残留H
2をパージした。このパージを繰り返し、再び、脱気した。混合物をCelite(登録商標)上で濾過し、50mlの飽和NaHCO
3溶液で洗い、50mlのブラインで洗った。有機相をNa
2SO
4で乾燥させた。濾過及び濃縮によって油が得られ、これをクロマトグラフィー及び蒸留により精製すると、4.7g(46%)の3−メチル−5−フェニルヘキサン−1−オールが得られた。
【表5】
【0039】
実施例2
付香組成物の調製
清浄剤用の付香組成物を、以下の成分を混合することによって調製した:
【表6】
*イソプロピルミリステート中
1) ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
2) ペンタデセノリド;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
3) 3−(3,3/1,1−ジメチル−5−インダニル)プロパナール;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
4) 1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン;製造元:インターナショナルフレーバーズ&フレグランス、米国
5) メチルジヒドロジャスモナート;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
6) 3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
7) (2Z)−2−プネニル−2−ヘキセニトリル;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
8) 4−メチル−3−デセン−5−オール;製造元:ジボダンSA、ヴェルニエ、スイス
9) 2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセテート;製造元:インターナショナルフレーバーズ&フレグランス、米国
【0040】
500質量部の4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オールを上記組成物に添加することにより、該組成物に全コノテーションをクチナシ/スズランの方向に付与した。同量の先行技術のフェニルヘキサノールの添加は、明らかにバラのノートである全く異なる結果をもたらした。
【0041】
実施例3
付香組成物の調製
エアフレッシュナー用の付香組成物を、以下の成分を混合することによって調製した:
【表7】
*ジプロピレングリコール中
**イソプロピルミリステート中
1) 3−メチル−2−ヘキセニルアセテート;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
2) ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
3) 4−シクロヘキシル−2−メチル−2−ブタノール;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
4) (シクロヘキシルオキシ)−アセテートd’アリル;製造元:シムライズ、ホルツミンデン、アルマーニュ
5) 3−(4/2−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;製造元:インターナショナルフレーバーズ&フレグランス、米国
6) ペンタデセノリド;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
7) メチルジヒドロジャスモナート;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
8) 3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
9) 1,3−ベンゾジオキソール−5−カルバルデヒド;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
10) 1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン;製造元:インターナショナルフレーバーズ&フレグランス、米国
11) 3−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、製造元:ジボダンSA、ヴェルニエ、スイス
12) 4/3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド;製造元:インターナショナルフレーバーズ&フレグランス、米国
13) 3−メチル−5−シクロペンタデセン−1−オン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
14) 3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
15) (2Z)−2−フェニル−2−ヘキセニトリル;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
16) 2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
17) 4−メチル−3−デセン−5−オール;製造元:ジボダンSA、ヴェルニエ、スイス
【0042】
700質量部の4−メチル−6−フェニルヘキサン−2−オールを上記の組成物に添加することにより、該組成物にグリーン及びクチナシ/スズランのコノテーションを付与し、元の組成物のすみれ色を強めた。