特許第6362700号(P6362700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミソニクス インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000002
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000003
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000004
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000005
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000006
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000007
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000008
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000009
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000010
  • 特許6362700-超音波器具アセンブリ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362700
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】超音波器具アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   A61B17/32 510
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-536284(P2016-536284)
(86)(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公表番号】特表2016-530944(P2016-530944A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】US2014049909
(87)【国際公開番号】WO2015026526
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年7月26日
(31)【優先権主張番号】13/973,711
(32)【優先日】2013年8月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502167588
【氏名又は名称】ミソニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイク, ダン
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−59789(JP,A)
【文献】 特開平7−79988(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/083362(WO,A2)
【文献】 特表2003−510159(JP,A)
【文献】 特表2004−516073(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0058775(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端で超音波振動エネルギー源に結合可能な、縦軸を有する硬質のプローブシャフトと、
前記プローブシャフトの遠位端のヘッドと、
前記プローブシャフトを取り囲む少なくとも半硬質の遠位端部を有するシースと、
を含み、前記ヘッドは、横方向に偏心して前記プローブシャフトの一つの側方に延び、前記ヘッドは、前記縦軸から横方向に離れた作用先端又は作用表面を有し、前記遠位端部は側壁に開口部を備え、前記ヘッドは該開口部と位置を合わされており、前記シースは部分的に可撓性であり、それにより前記遠位端部は、前記シースに加えられた横方向の力に応じて、前記縦軸へ向かって横方向に枢動して撓むことができ、前記開口部を通して前記ヘッドの突出を増大させることができる、超音波手術器具アセンブリ。
【請求項2】
前記プローブシャフト及び前記ヘッドは、前記作用先端又は作用表面に排出口を有する孔又は水路を備えて形成される、請求項1に記載の器具アセンブリ。
【請求項3】
前記孔又は水路は、前記プローブシャフトの遠位端に別の排出口を有する、請求項2に記載の器具アセンブリ。
【請求項4】
前記遠位端部はその遠位端に開口を備え、前記別の排出口は該開口に近接する、請求項3に記載の器具アセンブリ。
【請求項5】
前記シースの前記遠位端部は、その遠位先端が閉じている、請求項1に記載の器具アセンブリ。
【請求項6】
前記遠位端部は、その遠位端に開口を備える、請求項1に記載の器具アセンブリ。
【請求項7】
前記作用先端又は作用表面は、ギザギザな表面を有する、請求項1に記載の器具アセンブリ。
【請求項8】
前記作用先端又は作用表面は、前記シースが停止又は曲げられていない状態において、前記側壁とおおよそ同一平面である、請求項1に記載の器具アセンブリ。
【請求項9】
前記ヘッドは、前記シースからの液体放出用の間隙を形成するために、前記開口部の縁から離されている、請求項1に記載の器具アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波道具又は器具アセンブリに関し、特に医療外科手術用のものに関する。本発明はまた、その超音波器具アセンブリ又は道具を用いての関連する手術方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去30年に亘って、外科手術で組織の切除又は切断に用いることができるいくつかの超音波道具が発明されてきた。このような装置は、特許文献1、2において開示される。
【0003】
実際には、これらの外科装置は、振幅が最大300μm以上で、20kc〜100kcの周波数で振動する先端が尖っていない中空プローブを含む。このような装置は、細胞を内破及び粉砕するキャビテーション気泡の生成、組織の圧迫及び応力の緩和(「ジャックハンマー効果(jackhammer effect)」とも呼ばれる)、又は組織基質での気泡のマイクロストリーミングなどの他の力のいずれかによって、組織を切除する。その効果は、組織が液化されて分離されることである。そして、組織は洗浄液で乳化される。次いで、生じた乳濁液をその部位から吸引する。組織の大量切除は、望ましくない腫瘍の周り及び下側にエネルギーを加えて組織を周囲構造から分離することによって可能となる。次いで外科医は、鉗子などの一般的な道具で組織を取り出すことができる。
【0004】
プローブ又はチューブは、示された周波数範囲内の交流電気信号を長手方向又は横断方向の振動に変換する圧電式又は磁歪式のいずれかのトランスデューサーによって励起される。プローブがトランスデューサーに取り付けられると、これらは、直列及び並列共振する単一要素となる。設計者は、適切な動作周波数が得られるようにこれらの要素の機械特性及び電気特性を調節する。大抵の場合、要素は長軸を有し、この長軸は直線状であり、この長軸に垂直な平面で切断された先端部を有する。これは、簡略化と経済性を考慮した結果である。医療用又は産業用にかかわらず、ほとんどすべての用途で、このような実施形態は実用的であり有用である。しかし、熱傷、創傷、糖尿病性潰瘍、又は放射線治療による潰瘍の創面切除などの用途では、尖っていない直線状のプローブは、創傷が治る際に生じる硬い痂皮の蓄積の除去では効果が低いことが示された。この痂皮の蓄積物は、最少の瘢痕組織形成で完全な治癒をもたらすために、健常な組織が露出されて傷口を塞ぐことができるように除去されなければならない。また、カニューレ挿入のために直径が小さい先端は環状領域が小さく、創傷内へのエネルギーの伝達が制限される。これは手術時間を長くし、施術者を疲労させると共に患者に不快感をもたらす。
【0005】
超音波切除の道具は、それらの正確性、信頼性、及び使い易さが認められている。超音波骨切断ブレードは、隣接する軟組織を損傷することなしに骨の切断を容易にするために設計されることができる。特許文献3を参照されたい。既存の超音波骨切除の道具は、骨表面から骨組織の層の段階的除去を可能にするために、ギザギザにされた作用先端又は末端作用表面を有する。その器具は、骨表面と接触したギザギザにされた作用先端又は作用表面で、手術部位において骨表面と概ね平行に動かされる。
【0006】
他の手術器具の使用でのように、特に器具が、電力が供給されている状態であり、それにより切除表面が作動して超音波振動しているならば、標的組織のみに接触するように注意が払われなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4223676号明細書
【特許文献2】米国特許第5188102号明細書
【特許文献3】米国特許第8343178号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、改良された超音波手術器具アセンブリ、特に骨切除での使用のためのものを提供することを目的とする。超音波手術器具アセンブリは、潅注及び/又は吸引能力を有し、向上された安全構造及び機能を示すことが意図される。改良された超音波手術器具アセンブリは、骨組織を削るのに特に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波手術器具アセンブリは、近位端で超音波振動エネルギー源に結合可能な硬質のプローブシャフトと、プローブシャフトの遠位端のプローブヘッドと、プローブシャフトを取り囲む少なくとも半硬質の遠位端部を有するシースとを含む。プローブシャフトは縦軸を有し、プローブヘッドは横方向に偏心してプローブシャフトの一つの側方に延びる。プローブヘッドは、縦軸から横方向に離れた作用先端又は作用表面を有する。シースの遠位端部は側壁に開口部を備え、プローブヘッドは開口部と位置を合わされる。シースは部分的に可撓性であるので、その遠位端部は、遠位端部に加えられた横方向の力に応じて、縦軸へ向かって横方向に枢動して撓むことができ、開口部を通してのプローブヘッドの突出を増大させることができる。
【0010】
ニュートラル又は動いていない状態では、器具アセンブリは、プローブヘッドが少なくとも部分的にシース内に引っ込んだ配置を有し、それにより作用先端又は作用表面は、シースの側壁とおおよそ同一平面である。このように、器具アセンブリがニュートラル又は動いていない状態では、プローブヘッドは、最も少なくシースから突出しする。いくつかの器具の実施形態では、作用先端又は作用表面は、シースの遠位端部が撓む前は全体がシース内に配置されることができる。
【0011】
本発明の別の特徴に関しては、プローブシャフト及びプローブヘッドは、作用先端又は作用表面に排出口を有する孔又は水路を備えて形成される。任意で、孔又は水路は、プローブシャフトの遠位端に別の排出口を有することができる。追加の排出口は、シースの遠位先端での補助的な開口に近接する。
【0012】
シースの遠位端部は、その遠位先端が閉じられても、開放されてもよい。
【0013】
通常は、作用先端又は作用表面はギザギザな表面を有し、特に骨などの硬組織の層の除去のために設計される。
【0014】
プローブヘッドは、シースからの液体放出用の間隙を形成するために、開口部の縁から離されてもよい。
【0015】
本発明の手術方法は、超音波手術器具アセンブリを使用する。その超音波手術器具アセンブリは、ヘッドを備えたシャフトを含み、ヘッドはシャフトの一つの側方に偏心して延びる。その器具アセンブリは、シャフトを取り囲むシースを更に含み、シースはヘッドと位置を合わされた開口部を備えた遠位端部を有する。ヘッドは、その開口部を通って延びることができる。この方法は、(a)シースの側面が手術部位での組織と接触した状態となるように、器具アセンブリを動かすことと、(b)シースが組織と接触することによって加えられた横方向の圧力によって、シースの遠位端部を枢動して撓ませることと、(c)シースの遠位端部の撓みによって、開口部を通してのヘッドの突出の度合いを増大させることと、(d)組織をヘッドの作用先端又は作用表面と接触させることと、(e)その作用先端又は作用表面が組織と接触している間に、シャフト及びヘッドを超音波振動させることとを含む。
【0016】
その方法の終了段階では、器具アセンブリは動かされて組織とシースの遠位端部との間の接触を終わらせて、遠位端部をニュートラル又は停止位置に戻し、開口部を通して少なくとも部分的にシース内にヘッドを引っ込ませる。シースの遠位端部がニュートラル又は停止位置に戻ることは、遠位端部と器具アセンブリの基部又はハンドピースとの間の可撓性結合部の内部での弾性の繋がりによって、好ましくは自動的にもたらされる。
【0017】
その方法は、作用先端又は作用表面が組織と接触している間に、上記開口部を通して液体を供給することを更に含んでもよい。液体は、開口部を定めている縁とプローブヘッドとの間の間隙、及び/又はシャフトでの水路と繋がるプローブヘッドの孔を通して、供給されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の超音波骨切除器具アセンブリの概略等角図である。
図2】拡大された図1の超音波骨切除器具アセンブリの遠位端部の概略等角図である。
図3図1、2の超音波骨切除器具アセンブリの遠位端部の縦断面図である。
図4】本発明の超音波骨切除器具アセンブリの変更された実施形態の概略等角図である。
図5】拡大された図4の超音波骨切除器具アセンブリの遠位端部の概略等角図である。
図6図4、5の超音波骨切除器具アセンブリの遠位端部の縦断面図である。
図7】本発明の超音波骨切除器具アセンブリの別の実施形態の概略等角図である。
図8】拡大された図7の超音波骨切除器具アセンブリの遠位端部の概略等角図である。
図9図7、8の超音波骨切除器具アセンブリの縦断面図である。
図10】拡大された図7〜9の超音波骨切除器具アセンブリの遠位端部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜3に示されるように、超音波手術器具アセンブリ10は、少なくとも半硬質の遠位端部20と、基部又は拡大した近位端部12とを有するシース18を含む。基部12は、図7〜10を参照して後述するように、振動子を搭載したハンドピース206のノーズ部208上にぴったりと合う。
【0020】
器具アセンブリ10は、ハンドピース206内の圧電式又は磁歪式の振動子22に近位端で結合されることができる硬質のプローブシャフト14を更に含む。プローブシャフト14は、遠位端にプローブヘッド16を備える。
【0021】
シャフト14は縦軸24を有し、一方でヘッド16は、横方向に偏心してシャフトの一つの側方に延びる。ヘッド16は、軸24から横方向に離れた作用先端又は作用表面26を有する。先端又は表面26は、硬組織の切除のためにギザギザにされる。
【0022】
シース18の遠位端部20は、側壁(個別に番号を付されない)に開口部28を備え、プローブヘッド16は開口部と位置を合わされて開口部を通って延びる。シース18の遠位端部20は、横方向に移動可能であるので、ヘッド16は開口部28を通って可変量で突出する。シース18は、近位端で基部12と結合し、遠位端部20と基部12との間のいずれかの場所に可撓部30を備える。それにより、シースの遠位端部は、遠位端部20に加えられた横方向の力F1に応じて、軸24へ向かって横方向に枢動して撓むことができる。シャフト14に向かってのシース18の撓み又は移動は、開口部28を通してのヘッド16の突出を増大させることができる。
【0023】
ニュートラル又は動いていない状態では、器具アセンブリ10は、ヘッド16が少なくとも部分的にシース18内に引っ込んだ配置を有する。器具アセンブリ10がニュートラル又は動いていない状態では、プローブヘッド16は、最も少なくシース18から突出し、作用先端又は作用表面26は、シースの側壁とおおよそ同一平面であってもよい。いくつかの器具の実施形態では、作用先端又は作用表面26は、シースの遠位端部20が撓む前は全体がシース18内に配置されてもよい。
【0024】
シャフト14及びヘッド16は、孔又は水路32を備えて形成されてもよい。孔又は水路32は、シャフト14での軸方向部分34及びヘッド16での横方向部分36を有し、作用先端又は作用表面26に排出口38を備える。シース18の遠位先端40は閉じている。
【0025】
プローブヘッド16は、シース18からの液体放出46用の間隙44を形成するために、開口部28の縁42から離れている。
【0026】
図4〜6に示されるように、超音波手術器具アセンブリ50は、少なくとも半硬質の遠位端部60と、基部又は拡大した近位端部52とを有するシース58を含む。基部52は、振動子を搭載したハンドピース206のノーズ部208上にぴったりと合う(図7〜10参照)。
【0027】
器具アセンブリ50は、ハンドピース206内の圧電式又は磁歪式の振動子62に近位端で結合されことができる硬質のプローブシャフト54を更に含む。プローブシャフト54は、遠位端にプローブヘッド56を備える。
【0028】
シャフト54は縦軸64を有し、一方でヘッド56は、横方向に偏心してシャフトの一つの側方に延びる。ヘッド56は、軸24から横方向に離れた作用先端又は作用表面66を有する。先端又は表面66は、硬組織の切除のためにギザギザにされる。
【0029】
シース58の遠位端部60は、側壁(個別に番号を付されない)に開口部68を備え、プローブヘッド56は開口部と位置を合わされて開口部を通って延びる。シース58の遠位端部60は、横方向に移動可能であるので、ヘッド56は開口部68を通って可変量で突出する。シース58は、近位端で基部52と結合し、遠位端部60と基部52との間に可撓部70を備える。それにより、シースの遠位端部は、遠位端部60に加えられた横方向の力F2に応じて、軸64へ向かって横方向に枢動して撓むことができる。シャフト54に向かってのシース58の撓み又は移動は、開口部68を通してのヘッド56の突出を増大させることができる。
【0030】
ニュートラル又は動いていない状態では、器具アセンブリ50は、ヘッド56が少なくとも部分的にシース58内に引っ込んだ配置を有する。器具アセンブリ50がニュートラル又は動いていない状態では、プローブヘッド56は、最も少なくシース58から突出し、作用先端又は作用表面66は、シースの側壁とおおよそ同一平面であってもよい。いくつかの器具の実施形態では、作用先端又は作用表面66は、シースの遠位端部60が撓む前は全体がシース58内に配置されてもよい。
【0031】
シャフト54及びヘッド56は、孔又は水路72を備えて形成されてもよい。孔又は水路72は、シャフト54での軸方向部分74及びヘッド56での横方向部分76を有し、作用先端又は作用表面66に排出口78を備える。シース58の遠位先端80は開口82を有する。孔又は水路の部分74は、開口82と近接かつ整列した補助的な液体排出口86で終わる軸方向の延長部84を有する。
【0032】
プローブヘッド56は、シース58からの液体放出92用の間隙90を形成するために、開口部68の縁88から離れている。
【0033】
図7〜10に示されるように、別の超音波手術器具アセンブリ100は、シース又はスリーブ108と、硬質のプローブシャフト104とを含む。プローブシャフト104は、ハンドピース206内に配置された圧電式又は磁歪式の振動子アセンブリ112の前方伝達機構204に、近位端でねじ結合202を介して動作可能に結合される。プローブシャフト104は、偏心して延びたプローブヘッド106を遠位端に備えて形成される。
【0034】
シース又はスリーブ108は、ハンドピース206のノーズ部208上にぴったりと合ってそこに設置される、拡大した直径の基部又は近位部分102を有する。シースの近位部分102は、外面上に突出又は突起210の円筒配列を備えて形成され、円筒状のリブ又は1つ以上の突起などの、少なくとも1つの突出部212を内面に備える。突出部212は、ノーズ部208の外面上の複数の凹部又は溝214の1つに受けられて、ハンドピース206からのシース108の延長の度合いを調節可能にする。
【0035】
シース108は、プローブシャフト104を取り込む実質的に硬質の遠位端部110を含む。シャフト104は縦軸114を有し、一方でプローブヘッド106は、横方向に偏心してシャフトの一つの側方に延びる。ヘッド106は、軸114から横方向に離れた作用先端又は作用表面116を有する。先端又は表面116は、硬組織の切除のためにギザギザにされる。
【0036】
シース108の遠位端部110は、側壁(個別に番号を付されない)に開口部118を備え、プローブヘッド106は開口部と位置を合わされて開口部を通って延びる。シース118の遠位端部110は、横方向に移動可能であるので、ヘッド106は開口部118を通って可変量で突出する。シース108は、遠位端部110と拡大した近位部分102との間に部分的に可撓性である半硬質の中間部120を含む。それにより、シースの遠位端部は、シース108に加えられた横方向の力F3に応じて、軸114へ向かって枢動して横方向に撓むことができる。シャフト114に向かってのシース108の撓み又は移動は、開口部118を通してのヘッド106の突出を増大させることができる。
【0037】
ニュートラル又は動いていない状態では、器具アセンブリ100は、ヘッド106が少なくとも部分的にシース108内に引っ込んだ配置を有する。器具アセンブリ100がニュートラル又は動いていない状態では、プローブヘッド106は、最も少なくシース108から突出し、作用先端又は作用表面116は、シースの側壁とおおよそ同一平面であってもよい。いくつかの器具の実施形態では、作用先端又は作用表面116は、シースの遠位端部110が撓む前は全体がシース108内に配置されてもよい。
【0038】
プローブシャフト104及びヘッド106は、孔又は水路122を備えて形成されてもよい。孔又は水路122は、シャフト104での軸方向部分124及びヘッド106での横方向部分126を有し、作用先端又は作用表面116に排出口128を備える。シース108の遠位先端130は開口132を有する。孔又は水路の部分124は、開口132と近接かつ整列した補助的な液体排出口136を有する。
【0039】
プローブヘッド106は、シース108からの液体放出142用の間隙140を形成するために、開口部118の縁138から離れている。
【0040】
超音波手術器具アセンブリ10、50又は100を使用しての手術方法では、その器具は、シース18、58、108の側面又は横面が、手術部位での組織TT(図3)と接触した状態となるように動かされる。接触圧F1、F2、F3は、シース18、58、108の遠位端部20、60、110を、軸24、64、114に向けて枢動して撓ませるのに十分であり、それによって開口部28、68、118を通してのプローブヘッド16、56、116の突出量が増大する。標的手術部位での組織を、増大して突出したヘッド16、56、116の作用先端又は作用表面26、66、116と接触させ、その作用先端又は作用表面が組織と接触している間に、シャフト14、54、114及びヘッド16、56、116を超音波振動させる。標的組織に対するヘッド16、56、116の作用先端又は作用表面26、66、116の誘発された振動は、キャビテーション及び標的組織を切除又は削る他の機械音響負荷に標的組織を曝す。
【0041】
手術部位での標的組織の切除後に、器具アセンブリ10、50、100、特にシース18、58、108の遠位端部20、60、110を手術部位での組織及び隣接した組織と接触しない場所に動かすと、シースの遠位端部20、60、110がニュートラル又は停止位置に戻り、ヘッド16、56が開口部28、68、118を通って少なくとも部分的にシース18、58、108内に引っ込む。シース18、58、108の遠位端部20、60、110がニュートラル又は停止位置に戻ることは、可撓性の結合部又はシースの部分30、70の内部での弾性作用によって自動的にもたらされる。
【0042】
この手術方法は、好ましくは更に、作用先端又は作用表面26、66、116が組織TTと接触している間に、開口部28、68、118を通して液体46、92、142を供給することを含む。液体は、図4〜6及び7〜10の実施形態における、遠位の開口82、132及び間隙90、140から供給されることができる。
【0043】
シース18、58、108は、横方向に加えられた力F1、F2、F3に応じて限定された変形又は曲げを可能にするのに十分な可撓性である、半硬質(例えば、高分子)材料の一体化された部品で作られてもよい。あるいは、上述されたように、シース18、58、108は、可撓性の程度が異なる、異なる材料の異なる部分を組み合わせてもよい。
【0044】
本発明は特定の実施形態及び用途について説明されたが、当業者は、この教示を踏まえると、本発明の趣旨から外れること又は本発明の範囲を超えることなく、更なる実施形態及び修正を生み出すことが可能である。従って、図面及び本明細書の記載は、本発明の理解を容易にするために例示の目的で提供されることが理解されるべきであり、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【符号の説明】
【0045】
10、50、100 超音波手術器具アセンブリ
12、52、102 シースの基部又は近位端部(部分)
14、54、104 プローブシャフト
16、56、106 プローブヘッド
18、58、108 シース(又はスリーブ)
20、60、110 シースの遠位端部
22、62 振動子
24、64、114 縦軸
26、66、116 作用先端又は作用表面
28、68、118 シースの開口部
30、70 シースの可撓部
32、72、122 孔又は水路
34、74、124 孔又は水路の軸方向部分
36、76、126 孔又は水路の横方向部分
38、78、128 孔又は水路の排出口
40、80、130 シースの遠位先端
42、88、138 開口部の縁
44、90、140 間隙
46、92、142 液体放出
82、132 シースの遠位先端での開口
84 孔又は水路の延長部
86、136 補助的な液体排出口
112 振動子アセンブリ
120 シースの可撓性の中間部
204 振動子アセンブリの前方伝達機構
206 ハンドピース
208 ハンドピースのノーズ部
210 シース外面上の突出又は突起
212 シース内面の突出部
214 ハンドピースのノーズ部の凹部又は溝
F1、F2、F3 横方向の力、接触圧
TT 手術部位での組織
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10