特許第6362702号(P6362702)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6362702バイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362702
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】バイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/74 20060101AFI20180712BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 21/332 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01L29/74 V
   H01L29/06 301V
   H01L29/06 301M
   H01L29/74 301
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-537198(P2016-537198)
(86)(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公表番号】特表2016-532298(P2016-532298A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】EP2014066796
(87)【国際公開番号】WO2015028263
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2017年7月25日
(31)【優先権主張番号】13182052.4
(32)【優先日】2013年8月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508346767
【氏名又は名称】アーベーベー・テクノロジー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボタン,バージリウ
(72)【発明者】
【氏名】ボベキー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スティーグラー,カールハインツ
【審査官】 杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−066965(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/041836(WO,A1)
【文献】 特開平05−218394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/74
H01L 29/06
H01L 29/861
H01L 29/868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)であって、半導体ウェハ(2)と前記ウェハ(2)の第1の主側(3)上に形成される第1の電極(35)および前記第1の主側(3)の反対の前記ウェハ(2)の第2の主側(4)上に形成される第2の電極(45)とを備え、
前記半導体ウェハ(2)は、異なる導電型の層を有する少なくとも2つの層構造を備え、
前記少なくとも2つの層構造は、
第1の導電型のドリフト層(5)と、
前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第1の層(6)とを備え、前記第1の層(6)は、前記ドリフト層(5)上に前記第1の主側(3)に向かって配置され、前記第1の電極(35)に接触し、
前記半導体ウェハ(2)は、
厚さ(75)を有する内側領域(7)と、前記内側領域(7)を囲み、最大厚さ(85)を有する外側領域(8)とをさらに備え、前記最大厚さ(85)は、最大ウェハ厚さであり、前記最大厚さ(85)は前記第1の主側(3)上で前記内側領域(7)における厚さ(75)より大きく、
前記ドリフト層(5)は、前記外側領域(8)における前記ドリフト層(5)の厚さ(562)よりも大きいまたは等しい前記内側領域(7)における厚さ(561)を有し、
前記第1の層(6)は前記内側領域(7)において第1のセクション(61)および前記外側領域(8)内の第2のセクション(62)を有し、
前記第1の層(6)の厚さは、前記内側領域(7)および前記外側領域(8)の間の遷移領域(11)において、前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)の厚さ(615)から前記第1の層(6)の前記第2のセクション(62)の最大厚さ(625)まで増加し、
前記第1の層(6)の前記厚さは前記遷移領域(11)にわたって線形に増加し、前記遷移領域(11)の幅は、前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)の厚さ(615)の5倍より大きく、好ましくは前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)の前記厚さ(615)の10倍から20倍大きいことを特徴とする、半導体デバイス(1)。
【請求項2】
前記第1の主側(3)上で、前記外側領域(8)は前記内側領域(7)の上方に100μmまで、好ましくは前記内側領域(7)の上方に少なくとも12μmまたは少なくとも24μm突出する、請求項1に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項3】
前記ウェハの厚さは、前記外側領域(8)において特に多くとも5°を有する特に単一の角度を有するか、または特に前記内側領域のより近くで特に多くとも5°の第1の角度および前記ウェハ(2)の縁部のより近くで特に多くとも15°を有する第2の角度を有する、負のベベル(9、19)を有する前記最大厚さ(85)に対して、削減されることを特徴とする、請求項1または2に記載の、半導体デバイス(1)。
【請求項4】
前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)は、35μmから55μmの厚さ(615)を有するか、または
前記ドリフト層(5)は、前記内側領域(7)において前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)の前記厚さ(615)の9倍から24倍の厚さ(561)を有するか、の少なくともいずれかである、請求項1から3のいずれか1項に記載の、半導体デバイス(1)。
【請求項5】
前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)の最大ドーピング濃度は前記第1の層(6)の前記第2のセクション(62)の最大ドーピング濃度よりも高い、請求項1から4のいずれか1項に記載の、半導体デバイス(1)。
【請求項6】
第2の導電型の第2の層(16)は、前記ドリフト層(5)の下方に前記第2の主側(4)に向かって配置され、前記第2の電極(45)に接触し、前記第2の層(16)は、前記内側領域(7)において第1のセクション(161)および前記外側領域(8)において第2のセクション(162)を有し、
前記第2の層(16)の厚さは、前記遷移領域(11)において前記第2の層(16)の前記第1のセクション(161)の厚さ(1615)から前記第2の層(16)の前記第2のセクション(162)の最大厚さ(1625)まで増加し、
前記第2の層(6)の前記厚さは前記遷移領域(11)にわたって線形に増加し、前記遷移領域(11)の幅は、前記第2の層(16)の前記第1のセクション(161)の前記厚さ(1615)の5倍より大きく、好ましくは前記第2の層(16)の前記第1のセクション(161)の前記厚さ(1615)の10倍から20倍大きい、請求項1から5のいずれか1項に記載の、半導体デバイス(1)。
【請求項7】
バイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法であって、半導体ウェハ(2)と前記ウェハ(2)の第1の主側(3)上の第1の電極(35)および前記第1の主側(3)の反対の前記ウェハ(2)の第2の主側(4)上の第2の電極(45)とを備え、前記半導体ウェハ(2)は、第1の導電型のドリフト層(5)と前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第1の層(6)とを備える、異なる導電型の層を有する少なくとも2つの層構造を備え、前記第1の層(6)は、前記ドリフト層(5)上に前記第1の主側(3)に向かって配置され、かつ前記第1の電極(35)に接触し、
前記方法は、
前記第1の導電型のウェハ(2)を提供する製造ステップを少なくとも備え、前記ウェハ(2)は、厚さ(75)を有する内側領域(7)と、前記内側領域(7)を最大厚さ(85)を有する外側領域(8)とを備え、前記最大厚さ(85)は、最大ウェハ厚さであり、前記最大厚さ(85)は前記第1の主側(3)上で前記内側領域(7)における厚さ(75)より大きく、前記方法はさらに、
少なくとも前記第1のイオンのより高い濃度が前記内側領域(7)よりも前記外側領域(8)に配置されるように、または前記第1のイオン(64)が前記外側領域(8)に限定的に配置されるように、前記第1の層(6)を形成するために、前記第1の主側(3)上に前記第2の導電型の第1のイオン(64)を印加する製造ステップと、
さらに、前記第1の層(6)の第2のセクション(62)が前記外側領域(8)において最大厚さ(625)を有するように、前記外側領域(8)において前記ウェハ(2)に前記第1のイオン(64)を拡散することによって、前記外側領域(8)における前記第1の層(6)の第2のセクション(62)を作成する製造ステップと、
さらに、少なくとも前記第2のイオンのより高い濃度が前記外側領域(8)よりも前記内側領域(7)に配置されるように、または前記第2のイオンが前記内側領域(7)に限定的に配置されるように、前記第1の主側(3)上に前記第2の導電型の第2のイオン(66)を印加する製造ステップと、
さらに、前記第1の層(6)の第1のセクション(61)が前記内側領域(7)において厚さ(615)を有するように、前記内側領域(7)において前記ウェハ(2)に前記第2のイオン(66)を拡散することによって、前記内側領域(7)における前記第1の層(6)の第1のセクション(61)を作成する製造ステップとを特徴とし、
前記第1の層(6)の前記第1のおよび第2のセクション(61、62)は、前記第1の層(6)の厚さが、前記第1の主側(3)上で前記内側領域(7)および前記外側領域(8)の間の遷移領域(11)において、前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)の厚さ(615)から前記第1の層(6)の前記第2のセクション(62)の最大厚さ(625)まで増加するように作成され、
前記第1の層(6)の前記厚さは、前記遷移領域(11)にわたって線形に増加し、前記遷移領域(11)の幅は、前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)の前記厚さ(615)の5倍より大きく、好ましくは前記第1の層(6)の前記第1のセクション(61)の前記厚さ(615)の10倍から20倍大きく、
前記内側領域(7)における前記ドリフト層(5)は、前記外側領域(8)における前記ドリフト層(5)の前記厚さ(562)よりも大きいまたは等しい厚さ(561)を有し、前記方法は、
さらに、前記ウェハ(2)上の前記第1のおよび第2の主側(3、4)上に前記第1のおよび第2の電極(35、45)を加える製造ステップを備える、バイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項8】
前記第1の主側(3)上において前記外側領域が前記内側領域(7)の上方に突出し、特に前記外側領域(8)が多くとも100μm、特に少なくとも12μmまたは少なくとも24μm前記内側領域(7)の上方に突出するように、前記ウェハ(2)を提供する製造ステップをさらに備える、請求項7に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項9】
前記第1の主側(3)上の前記内側領域(7)の上方に突出する前記外側領域(8)を作成する製造ステップ、または前記第1のイオン(64)を印加する製造ステップの後、かつ前記第1の主側(3)上の前記第1の層(6)の前記第2のセクション(62)を作成する製造ステップの前に、
前記第1の主側(3)上に前記外側領域(8)を覆うマスクを適用する製造ステップと、
前記ウェハの前記厚さが前記第1の主側(3)上の前記内側領域(7)において削減されるように、前記第1の主側(3)上の前記内側領域(7)の表面から材料を除去する製造ステップと、
前記マスクを除去する製造ステップとによって、前記第1の主側(3)上の前記内側領域(7)の上方に突出する前記外側領域(8)の差分を増加させる製造ステップ、をさらに備える、請求項7または8に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項10】
少なくとも前記第3のイオン(164)のより高い濃度が前記内側領域(7)よりも前記外側領域(8)に配置されるように、または前記第3のイオン(164)が前記外側領域(8)に限定的に配置されるように、第2の層(16)を形成するために、前記第2の主側(4)上に前記第2の導電型の第3のイオン(164)を印加する製造ステップと、
さらに、前記第2の層(16)の前記第2のセクション(162)が前記外側領域(8)において最大厚さ(1625)を有するように、前記外側領域(8)において前記ウェハ(2)に前記第3のイオン(164)を拡散することによって、前記外側領域(8)において前記第2の層(16)の第2のセクション(162)を作成する製造ステップと、
さらに、少なくとも前記第4のイオンのより高い濃度が前記外側領域(8)よりも前記内側領域(7)に配置されるように、または前記第4のイオンが前記内側領域(7)に限定的に配置されるように、前記第2の主側(4)上に前記第2の導電型の第4のイオン(166)を印加する製造ステップと、
さらに、前記第2の層(16)の前記第1のセクション(161)が前記内側領域(7)において厚さ(1615)を有するように、前記内側領域(7)において前記ウェハ(2)に前記第4のイオン(166)を拡散することによって、前記第2の層(16)の第1のセクション(161)を前記内側領域(7)に作成する製造ステップをさらに備え、
前記第2の層(16)の前記厚さが、前記第2の主側(4)上で前記遷移領域(11)において、前記第2の層(16)の前記第1のセクション(161)の前記厚さ(1615)から前記第2の層(16)の前記第2のセクション(162)の前記最大厚さ(1625)まで増加するように、前記第2の層(16)の第1のおよび第2のセクション(161、162)は作成され、
前記第2の層(16)の前記厚さは、前記遷移領域(11)にわたって線形に増加する、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項11】
前記外側領域(8)において前記第1の主側(3)または第2の主側(4)からウェハ材料を部分的に除去することによって、少なくとも前記第1の主側(3)または前記第2の主側(4)上に前記外側領域(8)における前記ウェハの負のベベル(9、19)を作成する製造ステップをさらに備える、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項12】
少なくとも前記第1のまたは第2のイオン(64、66)の1つを前記第1の主側(3)上に0.1μmから10μm、好ましくは2μmから4μmの前記イオンの深さに印加する製造ステップをさらに備える、請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項13】
前記第1のイオン(64)を前記第1の主側(3)全体にわたって印加し、後に前記内側領域(7)における前記第1のイオン(64)を完全に除去するか、または前記内側領域(7)において前記第1のイオン(64)の前記深さが削減されるように、前記第1の主側(3)上の前記内側領域(7)における前記第1のイオン(64)を除去する製造ステップをさらに備える、請求項7から請求項12のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項14】
前記第2のイオン(66)を前記第1の主側(3)全体に印加し、後に前記外側領域(8)内の前記第2のイオン(66)を完全に除去するか、または前記第2のイオン(66)の前記深さが前記第1の主側(3)上の前記外側領域(8)において削減されるように前記外側領域(8)における前記第2のイオン(66)を除去する製造ステップをさらに備える、請求項7から請求項13のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項15】
前記外側領域(8)において前記ウェハ(2)に前記第1のイオン(64)を拡散する製造ステップは、前記第1の主側(3)から150μmまで行われる、請求項7から請求項14のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項16】
前記第2の主側(4)上に前記第3のまたは第4のイオン(164、166)を0.1μmから10μmまで、好ましくは2μmから4μmまでの前記イオンの深さまで印加する製造ステップをさらに備える、請求項10に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項17】
前記第2の主側(4)全体にわたって前記第3のイオン(164)を印加し、後に前記内側領域(7)において前記第3のイオン(164)を完全に除去するか、または前記内側領域(7)において前記第3のイオン(164)の深さが前記第2の主側(4)上で削減されるように、前記内側領域(7)における前記第3のイオン(164)を除去する製造ステップをさらに備える、請求項10または16に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【請求項18】
前記第2の主側(4)全体にわたって前記第4のイオン(166)を印加し、後に前記外側領域(8)において前記第4のイオン(166)を完全に除去するか、または前記第4のイオン(166)の前記深さが前記外側領域(8)において前記第2の主側(4)上で削減されるように、前記外側領域(8)において前記第4のイオン(166)を除去する製造ステップをさらに備える、請求項10、請求項16、または請求項17のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)製造のための方法。
【請求項19】
前記外側領域(8)において前記ウェハ(2)に前記第3のイオン(164)を拡散する製造ステップは、前記第2の主側(3、4)から150μmまで行われる、請求項10、または請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)製造のための方法。
【請求項20】
前記第2の主側(4)上に前記内側領域(7)上方に突出する前記外側領域(8)を作成するか、または前記第3のイオン(164)を印加した後かつ前記第2の層(16)の前記第2のセクション(162)を前記第2の主側(4)上に作成する前に、
前記第2の主側(4)上に前記外側領域(8)を覆うマスクを適用する製造ステップと、
前記ウェハの前記厚さが前記内側領域(7)において前記第2の主側(4)上で削減されるように、前記第2の主側(4)上の前記内側領域(7)の前記表面から材料を除去する製造ステップと、
前記マスクを除去する製造ステップとによって、前記外側領域(8)が前記第2の主側(4)上の前記内側領域(7)上方に突出する差分を増加させる製造ステップをさらに備える、請求項10、または請求項16から請求項19のいずれか1項に記載のバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス(1)の製造のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、パワーエレクトロニクスの分野に関し、より具体的には、少なくとも2500Vの遮断電圧を有するバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイス、およびこのような半導体デバイスのための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エネルギー効率の需要の高まりにより、位相制御サイリスタなどの半導体デバイスは、エネルギー送電および配電のために必要な多くの機器の中心にある。これらのデバイスは、コスト、信頼性と効率性の面で良好な性能を可能にする。具体的には、バイポーラ半導体パワーデバイスは、非常に低い導通損失と組み合わされたその非常に高いパワー機能のためにさまざまな用途に使用される。たとえば、ノンパンチスルーデバイスタイプのための、デバイスの最も厚い層である低(n−)ドープされたドリフト層、すなわち(n−)ベース領域は、特定の限界未満に削減されることができない。しかし、pドープされた第1の層の厚さ、すなわちp型アノードまたはpベース領域は、削減されることができる。これは、いくつかの理由から側方方向に大きな体積を消費し、したがって第1の層が正ベベルの概念においてより厚くされる必要がある、負のベベル接合終端の場合に特に有益であり得る。
【0003】
正ベベルとは反対に、デバイス内部の遮断状態でピーク電場を保持しているため、負のベベルを有する接合終端は、実用的に重要である。その結果、表面パッシベーションは極端な高電界にさらされず、表面リーク電流がより小さくなり、より高い信頼性が達成される。これは、高い大きさの逆電流がアバランシェ逆ブレークダウンで生成される、たとえば直流送電HVDC用途でのアバランシェライトニングにおいて、非常に重要である。換言すれば、負のベベルを維持することは、著しい電流が接合終端を通って周囲に流れ得るがそれでもデバイスの表面に接近しないときに、ブレークダウン電圧までのロバストな逆遮断という利点を有する。したがって、負のベベルの使用は、このような用途のために必要とされる。しかしながら、サイリスタは、全体の損失を最小限に抑え、機器の定格パワーを最大化することに重点を置いて開発される必要がある。
【0004】
厚いアノードとベース層を有する従来技術のデバイスのレベルで、順方向と逆方向の遮断の両方を維持するために、局所的に深くpドープされた終端層は、終端領域で使用されることができる。深い終端層は、原理的にHVDC用途で要求される高いアバランシェライトニング機能を提供する、単一または二重の負のベベルとの接合終端を有することを可能にする。
【0005】
たとえば国際公開第2012/041836Al号に係る以前のサイリスタ設計10は、内側領域7と外側領域8とを備えたウェハ2を示す。第1の主側3上に内側領域7内の第1のセクションおよび外側領域8内の第2のセクション62を有する、pドープされた第1の層6は、(n−)ドリフト層5上に配置されている。第1の層6の第2のセクション62は、従来技術によると、第1の層6の第1のセクション61よりもはるかに大きい深さを有する。両セクション61、62は、第1の主側3に同じ平面まで拡張し、唯一外側の領域8において負のベベル角度で傾く。第1の主側3の反対の第2の主側4上で、第2の層16は、第1の層6と同様に第1のセクション161および第2のセクション162を有するように構成され、主側3、4の一方上ではp+ドープされたショート18およびn+ドープされたカソード層23は、p+ドープされた第1のセクション61または161に配置され、これらの層18、23は、電極35または45と接触する。外側領域8で、負のベベルは、ウェハ2の縁部に向かってデバイスを終端させる。
【0006】
このような第1および第2の層6、16の設計は、他の従来技術のデバイスと比較して、リーク電流を増加させたりブレークダウン電圧を低下させたりすることなく、内部領域内の第1のセクション61、161の削減された厚さをもたらし、かつ低いオン状態の電圧降下Vをもたらす。また、逆回復電荷Qrr、ターンオフ時間tのような他のパラメータおよび最大サージ電流もまた、向上される。逆および順遮断能力が低濃度のp型終端層および負ベベルを有する変形された接合終端によって維持されつつ、デバイス全体の厚さは、第1および第2の層6、16の薄い第1のセクションのために削減されることができる。
【0007】
しかし、以前のデザインは、第1の層6の厚さが内部領域7における第1の厚さから、外側領域8における第1の厚さの数倍の厚さとされ得る第2の厚さに変わるにつれて、デバイス内に局所的に高い電界をもたらす。第1の層6のステップ変化は、製造ステップ中に内部領域7から外側領域8へと、ドリフト層5への接合上に作成される。(n−)ドープされたドリフト層5とpドープされた第1の層6との間の境界におけるこの変化は、デバイスの局所的な大きな電場およびより高いリーク電流の原因となる。
【0008】
欧州特許出願公開第030046Al号明細書は、薄いが高濃度にドープされた中央のp層と、厚いが低濃度にドープされた外側のp層とを含むGTOサイリスタを記載しており、外側のp層は中央のp層に突出する。外側領域では、サイリスタは負のベベルを有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の説明
したがって、デバイス内の高電界を避け、さらにリーク電流を低減し、ブレークダウン電圧を向上させ、損失を低減することが、本発明の目的である。この目的は、請求項1に係るバイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイスおよび請求項7に係るそのようなデバイスの製造方法によって達成される。例示的な実施形態は従属特許請求項から明らかであるが、請求項の従属性は、さらなる意味のある請求項の組み合わせを除外するものとの解釈されてはならない。
【0010】
本発明によれば、例示的には、少なくとも2500ボルトの遮断電圧を有するノンパンチスルーパワー半導体デバイスは、半導体ウェハと、ウェハの第1の主側上に形成される第1の電極および第1の主側の反対のウェハの第2の主側上に形成される第2の電極とを備え、さらに、半導体ウェハは、異なる導電型の層を有する少なくとも2つの層構造を備え、少なくとも2つの層構造は、第1の導電型のドリフト層と、第1の導電型とは異なる第2の導電型であり、第1の主側から第1の主側及びドリフト層の間の接合部まで測定される深さを有する第1の層とを備え、第1の層は、第1の主側と直交する投影においてドリフト層上に第1の主側に向かって配置され、第1の電極と接触する。
【0011】
当業者によく知られているように、ノンパンチスルーパワー半導体デバイスは、第1の層に直接隣り合って配置されたドリフト層を有するデバイスである。したがって、低ドープされたドリフト層は、その間にバッファ層としても知られている第1の導電型の高濃度にドープされた層を有することなく、第1の層に接触している。ノンパンチスルーデバイスに対する遮断条件における電界は、三角形であり、ドリフト層内で止まる。空間電荷領域は、第1の層に到達しない。
【0012】
例示的に、ドリフト層は、一定の低いドーピング濃度を有してもよい。その中において、ドリフト層の実質的に一定のドーピング濃度とは、ドーピング濃度が、ドリフト層全体にわたって実質的に均一であることを意味するが、たとえば元のシリコン結晶を引く過程での変動によって、ドリフト層内のドーピング濃度の変動に1〜5のオーダーの因子が存在する可能性があり得ることを排除しない。最終のドリフト層の厚さおよびドーピング濃度は、用途のニーズのために選択される。ドリフト層の典型的なドーピング濃度は、5*1012cm-3と5*1014cm-3との間にある。
【0013】
ドリフト層は、第1のおよび第2の主側との間の測定される、外側領域の厚さより大きいまたは等しい内部領域の厚さを有する。例示的に、ドリフト層の厚さは内側領域で、また例示的に外側領域でも、一定である。
【0014】
半導体ウェハは、さらに、第1のおよび第2の主側間で測定される厚さ、すなわち平均厚さを有する内部領域と、内部領域を囲み、外側領域において第1のおよび第2の主側の間で測定されるウェハの最大厚さを有する外側領域とを含む。例示的に、内側領域の厚さは一定である。外側領域の厚さは、第1の主側または第2の主側で、もしくは負のベベル、すなわちウェハの縁部に向かう斜めの縁部を用いて第1のおよび第2の主側で減少されてもよい。ベベルは、ウェハがその最大厚さを有しかつウェハの縁部まで延びている、外側領域を超えて開始し、例示的に、ベベル領域においてウェハの厚さは、ウェハの縁部まで直線的に減少する。第1の主側は、第1の電極が配置される側におけるウェハの表面上にあるものであり、それはウェハの縁部までの表面上の領域を囲み、すなわち本発明のデバイスに対して第1の主側は平面領域ではなく、それは、例示的に内部領域における平面領域を有する曲面と、遷移領域における最大厚さまでの直線上昇プロファイルと、外側領域における減少領域とを有している。
【0015】
第1の層は、内側領域の第1のセクションと外側の領域の第2のセクションとを有している。第1の層の厚さは、内部領域と外側領域の間の遷移領域(すなわち第1の層の第1のセクションおよび第2のセクションの間)において、内部領域の厚さから外側領域の最大厚さに増加する。第1の層の第1のセクションの厚さは、遷移領域にわたって直線的に増加し、遷移領域は、第1の層の第1のセクションの厚さ(厚さは、第1の主側から第1の層の第1のセクションが延びる深さとして測定される)の5倍よりも大きい幅、例示的には、第1の層の第1のセクションの10〜20倍の厚さを有する。換言すれば、プロファイルの内部領域から外側領域への遷移は緩くまたは滑らかであるが、デバイスの機能の任意の障害を引き起こすような遠くまでデバイスを横切って伸びない。このように、本発明に係るデバイスは、遷移領域におけるピーク電界を低減することにより、デバイスのリーク電流を低減し、これによってブレークダウン電圧を増加させる。この利点は、元のブレークダウン電圧を得ながら、デバイスの厚さを削減することに利用することができる。デバイスは、そしてより低いオン状態とスイッチング損失を有し、このためデバイスは、従来技術のデバイスよりも効率的である。
【0016】
例示的な実施形態では、外側領域と遷移領域との厚さ、すなわち、ウェハの厚さの少なくとも最大値は、第1の主側上において、内側領域の厚さ、すなわち、ウェハの厚さよりも、好ましくは100μmまで大きい。言い換えれば、内部領域から外側領域へと進んで第1の主側で100μmまでの上昇が発生する。この拡大された厚さ、すなわちより大きな深さは、外側領域または遷移領域における第1の層の一部である。このように、従来技術によれば内側領域における第1の層よりも深さが大きい、外側領域における第1の層の少なくとも一部は、内側領域でのアクティブセルの厚さに寄与しない。このように、内側領域におけるドリフト層および外側領域におけるドリフト層は、同様の厚さであってもあるいは内側領域において僅かに大きい厚さであってもよく、これにより、従来のデバイスに対して、第1の主側に直交する方向において断面形状がより小さい変化を有してもまたは断面形状に変化がなくてもよく、すなわち、本発明のデバイスにおいて、ドリフト層への第1の層の接合は、全領域の平坦面とすることができ、同時に依然として第1のセクションよりも第2のセクションをより深くすることを達成可能である。このようにして、デバイスのピーク電界を大幅に低減することができる。
【0017】
また、このようにして、第1の層の第1の部分、すなわち内側領域における第1の層は、従来技術に対して深さをさらに削減され得る。従来技術のデバイスと比較して、本発明のデバイス1の第1の層の削減された厚さは、図9に示すように、オン状態電圧降下Vの減少をもたらす。また、逆回復電荷Qrr、ターンオフ時間tおよび最大サージ電流のような他のパラメータも改善される。従来技術と比較して、この改善は、第1の層の第1のセクションのさらなる薄層化によって達成される。デバイス全体の厚さが第1の層の第1のセクションの薄層化により削減されつつも、逆および順遮断能力は、低ドープp型終端層および負のベベルを有する変形された接合終端によって向上されることができる(図10は、左側に逆バイアスと図の右側に順方向バイアスを示す)。著しい電流が周囲において接合終端を通って流れるがそれでもデバイスの表面に接近しない可能性があるときに、負ベベルを維持することは、ブレークダウン電圧までのロバストな逆遮断という利点を有する。これは、逆I−V曲線の折れ曲がりの後の高電流で動作することができる、HVDC用サイリスタにおける、たとえば高いアバランシェライトニング能力のために必要である。
【0018】
たとえば、位相制御サイリスタ(PCT)は、共通の深さの第2の導電型の層、すなわち第2の縁部層とアノード層、または第1の縁部層とベース層、または縁部のためのさらにより低い深さを有する従来技術のサイリスタに比べて、非常に高い電流までのより低いオン状態電圧降下Vとともに、同時に非常に高い逆または順遮断性能を有する。より低いVは、たとえば、HVDCシステムのより高い省エネルギーおよび販売価格を意味するだけでなく、他の用途における他のパラメータのために有益であり得る。
【0019】
本発明では、PCTは、所定の電圧クラスに対して非常に薄い開始のシリコンウェハを用いて処理することができ、このために低いVとQrrを生じさせる。PCTは、対称的な遮断を有する、すなわち、順および逆遮断を有するノンパンチスルーデバイスであるので、電界ストップまたはバッファ層を有する薄いドリフト層の用途に適用されない。その結果、ドリフト層の厚さは、所定の電圧クラスのために温存される必要がある。本発明のデバイスはまた、ウェハの両主側上の内側領域における第2の導電型の層、すなわちアノードとベース層とを積極的に薄くすることを備えてもよい。たとえば、アノードとp型ベース層の厚さが従来技術のデバイスの厚さの約25%に削減されている場合、VRRM=8.5kVを有するPCTのウェハの厚さは、約15%削減されることができる。
【0020】
例示的に、第1の主側の外側領域におけるウェハの最大厚さは、第1の主側の内側領域の上方に100μm突出した外側領域によって、内部領域におけるその厚さよりも100μmまで高い。それは、少なくとも12μm、例示的には少なくとも24μm、内部領域における厚さよりも高くされてもよい。例示的には、内側領域の厚さは一定である。遷移領域では、ウェハの厚さは厚さの最大値まで直線的に増加する。外側領域におけるデバイスの縁部にまで、厚さはそして最大厚さを超えて負のベベルによってウェハの縁部にまで減少されることができる。
【0021】
さらに別の例示的な実施形態では、内側領域における第1の層は、35μm〜55μmの厚さを有し、たとえば、内側領域のドリフト層は、内側領域における第1の層の第1のセクションの厚さの9〜24倍の厚さを有する。
【0022】
例示的な実施形態では、内側領域における第1の層の第1のセクションの最大のドーピング濃度は、外側領域における第1の層の第2のセクションの最大のドーピング濃度よりも高い。
【0023】
本発明の例示的な実施形態において、半導体デバイスは、第2の主側に向かってドリフト層の下方に配置されかつ、第1のおよび第2の主側との間で測定された厚さを有する、第2の電極と接触する第2の導電型の第2の層を有し、対称的に製造されている。第2の層は、第1の層と同様に構成されてもよく、ウェハの厚さは、第1の主側のように第2の主側上で増加させることができる。
【0024】
第2の主側は、内側領域に配置された第2の層の第1のセクションと外側領域に配置された第2の層の第2のセクションとを有する(たとえば、pドープされた)第2の層をにしたがって形成されてもよい。
【0025】
第2の層の厚さは、内側領域と外側領域との間の遷移領域において、内側領域における第2の層の第1のセクションの厚さから外側領域における第2の層の第2のセクションの最大厚さまで増加する。第2の層の厚さは、内側領域の第2の主側から、内側領域の第2の層の深さの5倍、例示的には内側領域の第2の層の深さの10〜20倍より大きい幅の遷移領域にわたって線形的に増加する。
【0026】
例示的に、内部領域における第2の層の第1のセクションの最大のドーピング濃度は、外側領域の第2の層の第2のセクションの最大のドーピング濃度よりも高い。
【0027】
さらなる実施形態では、ウェハの厚さは、単一の角度、特に最大で5°を有する、または内部領域の近くで第1の角度、特に最大5°を有し、ウェハの縁部の近くで第2の角度、特に最大15°を有する、最大の厚さに対する負のベベルを有する外側領域において削減される。
【0028】
本発明は、たとえばV、Qrr、t、およびサージ電流能力といった関連するデバイスパラメータを改善しながら、アバランシェライトニング性能のような、HVDCに関連する他のパラメータを、従来のデバイスと同じようなレベルに保持する。また、本発明は、たとえば産業用PCTおよび整流ダイオードといったより低いブレークダウン電圧を有する他のデバイスに適用可能である。
【0029】
薄い層の製造がより低い拡散時間を必要とするので、本発明のさらなる利点は、サーマルバジェット、すなわち、製造コストが低減されることである。ドーパントの蒸着がイオンビーム注入に置き換えられるため、高温のゲッタリング、すなわち時間が比較的少なく要求され、ここでもサーマルバジェットが節約される。
【0030】
本発明のさらなる別の利点は、従来技術のデバイスと比較して、空乏領域または空乏ゾーンとして知られる、延在する空間電荷領域を有する、外側領域における第1の層の第1のセクションである。このように、デバイスにおける印加電界の位置は、ウェハに対して側方方向内側に移動され、この場所では、冷却がより良好であり負ベベルの改善された遮断能力がもたらされる。側方方向とは、第1の層と内側領域におけるドリフト層との接合面に垂直な方向であるものである。
【0031】
本発明は、バイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイスを製造するための方法であって、デバイスは、半導体ウェハと、ウェハの第1の主側上の第1の電極およびウェハの第2の主側上の第2の電極と、少なくとも第1の導電型のドリフト層および第1の導電型とは異なる第2の導電型の第1の層を備える、異なる導電型の層を有する少なくとも二層構造とを備える。第1の層は、ドリフト層上に第1の主側に向かって配置され、第1の電極と接触する。方法は、少なくとも以下の製造ステップを含む。
【0032】
−第1の導電型のウェハを提供するステップであって、ウェハは、完成されたデバイスにおいて第1のおよび第2の主側の間で測定される厚さを有する内部領域と、第1のおよび第2の主側との間で測定される最大厚さを有する、内側領域を囲む外部領域とを含む、ウェハを提供するステップと、
−第1のイオンの少なくとも高い濃度がその内部領域よりもウェハの外側領域に配置されるように、あるいは第1のイオンが外側領域に限定的に配置されるように、第1の主側上に第2の導電型の第1のイオンを印加する第1の層を形成するステップであって、外側領域は内側領域を取り囲み、
−そして、第1の層の第2のセクションが外側領域において最大厚さを有するように、外側領域において第1の主側から第1の層の第2のセクションの所望の深さまで、外側領域においてウェハに第1のイオンを拡散させることによって、外側領域における第1の層の第2のセクションを作成するステップと、
−そして、少なくともより高濃度の第2のイオンが外側領域よりも内側領域に配置されるように、あるいは第2のイオンが内側領域に限定的に配置されるように、第1の主側上に第2の導電型の第2のイオンを印加するステップと、
−そして、第1の層の第1のセクションが内側領域において厚さを有するように、第1のセクションの所望の深さまで、内部領域においてウェハに第2のイオンを拡散させることにより、内側領域における第1の層の第1のセクションを作成するステップと
−そして、第1のおよび第2の主側のウェハ上に第1のおよび第2の電極を加えるステップ。
【0033】
第1のおよび第2のイオンを印加し、第1の層の第1のおよび第2のセクションを作成することは、第1のセクションの低い厚さから第2のセクションの高い厚さまで、内側領域と外側領域との間の遷移領域において第1の主側上の第1の層の厚さが増加するように行われる。第1の層の厚さは、第1の層の第1のセクションの厚さの5倍、好ましくは第1の層の第1のセクションの10〜20倍の厚さよりも大きい遷移領域の幅を有する遷移領域を介して、直線的に増加する。本発明の方法により、内部領域のドリフト層は、外側領域のドリフト層の厚さより大きなまたは等しい厚さを有する。
【0034】
さらなる例示的な実施形態において、製造方法は、第1の主側上における内部領域の厚さよりも外側の領域においてより大きな厚さを初期的に有するウェハから始まる。第1の主側の外側領域におけるより大きな厚さは、厚さの差が内側領域の上方に突出した外側領域によって達成されることを意味するものである。厚さは、第1の主側上において例示的に最大100μm、特に少なくとも12μmまたは少なくとも24μm大きい。ウェハは、内側領域において一定の厚さを有してもよく、ウェハがその最大厚さを有する外側領域に向かって、遷移領域における一方の主側のみまたは両方の主側のいずれかで遷移領域において増加してもよい。このように、外側領域は、第1の主側または両方の主側の内側領域の上方に突出する。このため、外側領域におけるウェハの厚さは、完成されたデバイス内で、上記の値よりも合計で2倍まで、すなわち内部領域よりも200μmまで厚くてもよく、各外側領域は対応する側から最大で100μm内側領域の上方に突出してもよい。
【0035】
低い厚さを有する内側領域と高い厚さを有する外側領域との間の厚さの差を第1の主側上で達成するためのもう一つの方法は、第1のイオンを印加した後、外側領域を覆う第1の主側にマスクを適用することである。そして、ウェハの厚さが第1の主側の内側領域で減少するように、たとえば、エッチング、研削または第1の主側上で内部領域の表面から研磨されることにより、材料は除去され、外側領域の最大厚さが遷移領域に向かう側にあるウェハをもたらす。例示的に、ウェハの厚さは、このステップにおいて内側領域で一定であり、遷移領域で増加し、再び一定であるが、外側領域ではより大きい。このエッチング工程は、内側領域の厚さより大きな厚さを有する外側領域を作成するために、イオンを印加した後に望ましくないイオンを除去するエッチング工程と組み合わされてもよい。その後、マスクは除去される。
【0036】
さらなる実施形態では、第1のイオンの印加は、第1の主側上全体にわたって行われる。その後、第1のイオンは完全に内側領域で除去されるか、またはそれらは、第1の主側の内側領域で部分的にイオンの深さが減少するように低減されるかいずれかである。これは、外側領域により高い量の第1のイオンを残す。方法の例示的な実施形態では、内側領域を囲む外側領域において第1の主側に印加される第1のイオンは、0.1μm〜10μm、好ましくは2μm〜4μmのイオンの堆積深さまで行われる。
【0037】
別の実施形態では、第2のイオンの印加は、第1の主側上全体に行われる。その後、第2のイオンは完全に外側領域において除去されるか、またはそれらは、第1の主側の外側領域で部分的にイオンの深さが減少するように低減されるかいずれかである。これは、内部領域により高い量の第2のイオンを残す。方法の例示的な実施形態では、内側領域を囲む外側領域において第1の主側に印加される第2のイオンは、0.1μm〜10μm、好ましくは2μm〜4μmのイオンの堆積深さまで行われる。
【0038】
第2の主側上において、第2の層の構造は、第2の主側上に第1のおよび第2のイオンの代わりに第3および第4のイオンを印加し、これにより、第2の層の第1および第2のセクションを作成することを使用して、第1の主側の第1の層の対する構造に応じて行うことができる。
【0039】
この方法は、さらに、ウェハの厚さがウェハの縁部に向かってだんだんと減少するように、外側領域で第1の主側からウェハ材料を除去することによって、第1の主側の外側領域にウェハの負のベベル部の一部を作成するステップを含んでもよい。
【0040】
バイポーラノンパンチスルーパワー半導体デバイスおよびデバイスの製造方法は、内側領域よりも外側領域においてより深いプロファイルを有するか、または第1のまたは第2の層とドリフト層の間の境界に平坦な平面形状のプロファイルを有する第1の層を用いて実施されてもよい。この場合、pn接合も、平面である。いくつかの用途では、これは損失を低減し、デバイスのパワー定格を増大させるのに十分であり得る。
【0041】
さらに別の実施形態は、第1の主側から、第2の主側上の第1の層の第2のセクションおよび/または第2の層の第2のセクションの所望の深さに、外側領域において150μmまでウェハに第1の/第3のイオンを拡散させることを備える。
【0042】
さらに別のさらなる実施形態は、第1の主側から、第2の主側の第1の層の第1のセクションおよび/または第2の層の第1のセクションの所望の深さまで、内側領域において35〜55μmまでウェハに第2の/第4のイオンを拡散させることを含む。
【0043】
第1の主側および第2の主側上の層を作成するための全てのプロセスは、次々と、または他の一部または全てのステップと同時に行うことができる。
【0044】
図面の簡単な説明
本発明の主題は、ここで、添付の図面に示される好ましい例示的な実施形態を参照して以下の文章においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の半導体デバイスの製造ステップまたは製造を概略的に示す。
図2】本発明の半導体デバイスの製造ステップまたは製造を概略的に示す。
図3】本発明の半導体デバイスの製造ステップまたは製造を概略的に示す。
図4】本発明の半導体デバイスの製造ステップまたは製造を概略的に示す。
図5】本発明の半導体デバイスの製造ステップまたは製造を概略的に示す。
図6】本発明の半導体デバイスの製造ステップまたは製造を概略的に示す。
図7】本発明の半導体デバイスの製造ステップまたは製造を概略的に示す。
図8】本発明に係る半導体デバイスを概略的に示す図である。
図9】従来の半導体デバイスと比べた本発明の半導体デバイス逆回復電荷とオン電圧Vを示す。
図10】従来の半導体デバイスに比べた本発明の半導体デバイスの順および逆遮断特性を示す。
図11】従来の半導体デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面で使用する参照記号、およびその意味は、符号の一覧に要約形式で一覧表示される。原理的には、同一の部分には図面において同一の符号が付されている。
【0047】
好ましい実施形態の詳細な説明
図8は、例示的に少なくとも2500ボルトの遮断電圧の、バイポーラノンパンチスルーパワー用半導体デバイス1を示しており、デバイス1は、半導体ウェハ2と、ウェハ2の第1の主側3に形成された第1の電極35と、第1の主側3の反対のウェハ2の第2の主側4上に形成された第2の電極45とを備える。ウェハ2は、(n−)ベース層とも呼ばれる(n−)ドープされたドリフト層5、および、たとえばpドープされたベース層の形態の、第1の主側3とドリフト層5までの間で測定される厚さを有する、pドープされた第1の層6を備え、第1の層6は、第1の主側3に向かってドリフト層5の上に配置され、第1の電極35に接触する。厚さは、第1の主側から、第1の層6とドリフト層5との間の接合部の深さまで測定される。第1の層6は、たとえばpドープされたベース層の形態の厚さ615を有する内側領域7における第1のセクション61、およびたとえば接合終端まで厚さ625を有する外側領域における第2のセクション62を有している。
【0048】
図1に示すように、デバイス1の初期の製造工程は、たとえば、シリコンといったn型半導体などの半導体ウェハ2を用いて開始する。ウェハ2は、第1の主側3と第2の主側4とが平面領域である、切石積み状(アシュラー)であってもよい。代替的に、ウェハ2は、例示的に平面領域である内部領域7において、厚さ75を設けられてもよい。ウェハ2の側縁に向かって、遷移領域11内の第1の主側3上においてウェハの厚さが増大し、内部領域7と遷移領域11とを囲む外側領域8において、最大厚さ85に到達する。この初期段階では、最大厚さ85は、外側領域8において例示的に一定である。第1の主側3上のウェハの厚さの増加は、ウェハ2が内側領域7において第1の主側3上に凹部を有し、これにより、外側領域8が内部領域7上方向に例示的に最大で100μm、突出するように理解されるものである。例示的には、外側領域8は、第1の主側4上の内側領域7の上方に、少なくとも12μm、例示的に少なくとも24μm突出する。
【0049】
p型の第1のイオン64は、ウェハ2の第1の主側3に、たとえば0.1μm〜5μm、例示的には2μm〜4μmのイオンの深さまで印加される。第1のイオン64は、第1の主側3上のウェハの全面に、注入または堆積によって印加されてもよい(図2)。内側領域7と外側領域8とを作成するために、たとえばエッチングマスクなどのマスクは、外側領域8を覆うウェハ2の第1の主側3上に印加される。たとえば、エッチング、研削、または研磨することによって、内部領域7の材料を除去しながら内部領域7が作成され、内部領域7は、たとえばエッチングステップによりたとえば最大5μmの深さまでイオン64が印加された低下された厚さを有する(図3)。第1のイオン64は、内部領域7において、このエッチングステップによって部分的または完全に除去される。
【0050】
代替的に、第1のイオン64が外側領域8(図3)に限定的に印加されるように、第1のイオン64は、ウェハの内部領域7を覆うマスクを介して、注入または堆積などによって、印加されてもよい。
【0051】
イオンを印加するステップの結果、より高い濃度の第1のイオンが内側領域7よりも外側領域8に配置されるか、第1のイオン64は外側領域8に限定的に配置される。少なくともより高い濃度のイオンがウェハの内部領域7よりも外側領域8に印加されるように、第1の主側上3に第2の導電型の第1のイオン64を印加する、という用語は、たとえば第1の主側3上にウェハの全面にわたって第1のイオンが印加され、その後部分的または完全に内部領域7において除去されるという方法を含むものである。
【0052】
デバイス1を製造する次のステップでは、マスクが除去され、第1の層6の第2の部分62を作成するために、初期的に印加された第1のイオン64は、そして外側領域8の第1の層6の第2の部分62の所望の深さ625までウェハ2に拡散される。例示的に、第1の層6の第2のセクション62の所望の深さ625は、第1の主側3から最大150μmまでである。
【0053】
そして、p型の第2のイオン66は、ウェハ2の第1の主側3に0.1μm〜10μm、例示的に2μm〜4μmまでの第2のイオン66の深さに印加される。第2のイオン66は、第1の主側3上のウェハの全面に、注入または堆積によって印加されてもよい(図5)。たとえば、エッチングマスクなどのマスクは、内部領域7を覆ってウェハ2の第1の主側3上に印加されることができる。エッチングなどによって、例示的に、第2のイオン66が印加されたたとえば最大5μmまでの深さまで、外側領域8において材料は除去されることができる(図6)。第2のイオン66は、このエッチングステップによって外側領域8において部分的または完全のいずれかで除去されてもよい。第2のイオン66が内部領域7に限定的に印加されるように、第2のイオン66は、ウェハの外側領域8を覆うマスクを介して、注入または堆積などによって、印加されることができる(図6)。その結果、第2のイオン66の少なくとも高い濃度が外側領域8よりも内側領域7に配置されるか、第2のイオン66は内側領域7内に限定的に配置されてもよい。少なくともイオンのより高い濃度が外側領域7よりも内側の領域7内に配置されるように、第2の導電型の第2のイオンを第1の主側第2の導電型3に印加する、という用語は、第2のイオンがウェハ全面にわたって第1の主側3に印加され、その後、外側領域8において部分的または完全に除去されるという方法を含む。
【0054】
今度は、第1のセクション61の所望の深さ615までウェハ2に内部領域7において第2のイオン66を拡散させることによって、第1の層6の第1のセクション61は、内部領域7において作成される。
【0055】
第1のまたは第2のイオン64、66のための注入(または堆積)量は、第2のまたは第1のセクション625、615の最大のドーピング濃度および最終厚さに応じて選択される。
【0056】
第1の層の第1のおよび第2のセクション61、62は、このように作成され、内部領域7と外側領域との間の遷移領域11における第1の主側3上で、第1の層の第1のセクション61のより低い厚さから、第1の層の第2の部分62のより高い厚さまで、第1の層6の厚さが増加するようウェハは設けられ、内部領域7のドリフト層5は、外側領域8内のドリフト層5の厚さ562よりも大きいか等しい厚さ561を有し、第1の層6の厚さは、遷移領域11にわたって直線的に増加し、遷移領域11の幅は第1の層6の第1のセクション61の厚さの5倍、好ましくは第1の層6の第1のセクション61の厚さの10〜20倍より大きい。第1の層の第1のセクションは、ウェハの内側領域に配置された第1の層のような領域であり、第2のセクションは、ウェハの外側領域に配置された第1の層のような領域である。
【0057】
また、第1の主側3の内部領域7において、第1の電極35はウェハ2上に印加され、第2の電極45は第2の主側4に印加される。
【0058】
例示的に、第1の層の第1のセクション61の最大のドーピング濃度は、第1の層の第2の部分62のより高い。第1のセクション61の最大のドーピング濃度は8*1015cm-3から5*1017cm-3の範囲とすることができ、第2の部分61に対しては5*1014cm-3から5*1015cm-3の範囲とすることができる。
【0059】
第2の主側4上で、第2の層16は、第1の層6と同様の方法で作成されてもよい。第2の層16は他の層と同時に作成されることができるが、たとえば1つずつ互いに独立して生成することも可能である。原理的な製造ステップは、同一であり、以下において区別可能なステップのみが説明される。
【0060】
第2の層16の第2のセクション162を作成するために、p型の第3のイオン164は、ウェハ2の第2の主側4に印加される。第2の層16の第2の部分62を(たとえば、接合終端の形態で)作成するために、初期的に印加される第3のイオン164は、そして第2の層6の第2のセクション162が外側領域8に最大厚さ1625を有するように、ウェハ2内に拡散される。
【0061】
そして、p型の第4のイオン166は、ウェハ2の第2の主側4上に印加される。第2の層16の第1のセクション161は、(たとえば、アノード層の形態で)第2の層の第1のセクション161が内側領域において厚さ1615を有するように、内部領域7においてウェハ2へ第4イオン166を拡散させることによって、内部領域7において作成される。
【0062】
例示的に、第1の主側3上のウェハの負のベベル9は、電極35、45(複数可)の作成前または後のいずれかに外側領域8において第1の主側3からウェハ材料を部分的に除去することによって、外側領域8において作成されてもよい。ベベル9に対して、ウェハ2の部分は、少なくとも第1の主側3から減少する1つの角度で負のベベル9が形成されるように、たとえば、エッチング、研削、研磨またはレーザ切断することにより第1の主側3内の外側領域8において除去される。厚さは、遷移領域11に近い外側領域における最大厚さ85から、デバイスの縁部に向かって低下する。別の例示的な実施形態では、ウェハ表面がその最大厚さ85を有する領域から、最大で5°の単一の一定角度で低下するように、外側領域8におけるウェハの厚さの減少を作成するためにウェハ材料はだんだんと除去され、このためにウェハ2の縁部まで均一な厚さの減少を生じる。別の実施形態では、外部(終端)領域8におけるウェハの厚さの減少を作成するために、ウェハ側部が第1の主側3(または第2の主側4、それぞれ)の平面から最大5°および15°の2つの一定の角度によって減少するように、ウェハ材料は、だんだんと除去される。このような2つの減少角度によって二重の負のベベルが形成される。
【0063】
本発明の例示的実施形態では、pn接合が達成される内側および外側領域7、8との間に、第1の層6の厚さの増加を作成することによって、デバイス1内の損失は低減され、内部領域7と外側領域8との間には滑らかな遷移を有する。内側領域7と外側領域8との間の遷移領域11内の厚さは、外側領域8のドリフト層5の厚さ562から、内側領域7のドリフト層5の高い厚さ561までの、滑らかな遷移が作成されるように変化する。例示的に、外側領域8のドリフト層5の厚さ562は一定であり、内部領域7におけるドリフト層5の厚さは一定であるが、内在する遷移領域11においては変化する。内部領域7におけるドリフト層5の厚さは、外側領域8におけるドリフト層5の厚さよりも大きくてもよい。
【0064】
また、第1の層6の厚さは、第1の層6の第1のセクション61の5倍、好ましくは第1の層6の第1のセクション61の厚さ615の10〜20倍よりも大きい遷移領域11の幅の遷移領域11にわたって直線的に変化する。幅は、内側および外側領域7、8の間の第1の電極に平行な面における遷移領域11の拡張部であるものであり、このため、遷移領域11の幅は内側および外側領域7、8の間の距離に対応する。厚さは、第1のおよび第2の主側3、4の間の層の最大拡張部であるものである。
【0065】
この方法では、プロファイルの遷移は、デバイス1内の任意のピーク電界を低減するのに十分に滑らかであるが、デバイス上で、適切な機能を妥協するまでには伸ばされない。
【0066】
さらに、デバイスの種類およびたとえば2500Vから9000Vなどの必要なブロッキング電圧に応じて、内部領域7における第1の層6の第1のセクション61は、35μm〜55μmの厚さ615を有する。厚さ615は、より高いブロッキング電圧が必要とされるにつれて僅かに高くなる。第1のセクション61の厚さ615は、第1の主側3から、すなわちウェハ2の表面から、第1のセクション61の最大深度の拡張部に、すなわち、第1のセクション61とドリフト層5との間の接合部まで測定される。しかし、内部領域7におけるドリフト層5はより高いブロッキング電圧が必要とされるにつれて強く増加し、内部領域7のドリフト層5の厚さ561は、必要とされるブロッキング電圧に応じて、例示的に第1の層6の第1のセクション61の厚さ615の9〜24倍までの厚さ561を有する。
【0067】
また、図8において本発明のデバイス1は、第1の主側3上に交互に配置されたp++ショート18およびカソード層23を有し、そのどちらもが第1の電極35に接触する。ショート18およびカソード層23は、第1の電極35と第1の層6との間に配置されている。p++チャネルストップ24は、p++ショート18およびnカソード層23とこれらの層と遷移領域11との間の同一平面に配置されてもよい。
【0068】
第2の主側4上に、また、アノード層として作用する第2の層16と第2の電極45との間に配置された、p++アノードコンタクト層14を備えてもよい。第2の層16は、第1の層6のように第1のセクション161と第2のセクション162とを備えてもよい。第2の層16の第1のセクション161は、必要な逆ブロッキングを保証する。p++コンタクト層14は、高い注入レベルが低い順方向電圧降下、すなわち低いオン損失を保証するように、ドリフト層5に正孔を注入し、それは高度にドープされる。さらに、pベース層の形態の第1の層6の第1のセクション61は、必要な順ブロックとトリガー、すなわちデバイスのラッチアップの達成を保証する。p++ショート18は、第1の主側3の表面上に分散され、スイッチング中の電子−正孔間プラズマの均一な広がりを確保する。p++ショート18はまた、アノード電圧の急速な変化、すなわち、dV/dt、およびアノード電流の変化、すなわちdL/dt性能、すなわちデバイスが、または用途回路からのアノード電圧または電流速い変化の存在下であってもゼロゲート電流で切り替わらないことを保証する。高い注入レベル、すなわち、低いオン損失が低い順方向電圧降下を保証するように、n+カソード層23は、ドリフト層5に電子を注入し、高濃度にドープされる。p++チャネルストップ24は、高リーク電流と低ブレークダウン電圧を引き起こすであろう、いかなるMOS効果が発生しないことを保証するために、表面で自由キャリアのためのチャネルを壊すためにある。p++ドープされたいずれかの層、すなわち、コンタクト層14、ショート18またはチャネルストップ24の、最大のドーピング濃度層は、例示的に1*1019cm−3の1*1021cm−3範囲内である。
【0069】
代替的に、p++コンタクト層14は、第1の主側3およびp++ショート18上に配置されてもよく、カソード層23およびp++チャネルストップ24は、第2の主側4に配置されてもよい。
【0070】
さらなる例示的な実施形態では、外側領域8における第1の層6の第2のセクション62は、外側領域8の表面全体に沿って延びる空間電荷領域を有する。換言すれば、外側領域8の全面に沿う空間電荷領域は、従来のデバイスに比べて長くなる。また、電界の位置は、冷却がより良好となる、ウェハ2に対して側方方向内側に移動される。これは、イオン、すなわちp型ドーパントの拡散のために同じサーマルバジェットを使用する負ベベルの遮断能力を向上させる。
【0071】
図示された実施例では、デバイスは、第1の主側3上の第1の層6および第2の主側4上の第2の層16を有する対称の設計である。第2の層16は、上述されたように第1の層6と同様にあるいは同時に作製されてもよいが、本発明の構造はまた、一主側上に当業者によく知られている従来の構造を有するデバイスの他の1つの層のみに、配置されてもよい。
【0072】
もちろん、ドリフト層5のような第1の導電型の層は、この場合はp型であるが全ての層の導電型を逆に、すなわち、第1の層6のような第2の導電型の層をn型であるようにすることができる。
【0073】
符号の一覧
【符号の説明】
【0074】
1 デバイス
2 ウェハ
3 第1の主側
4 第2の主側
5 ドリフト層
6 第1の層
61 第1の層の第1のセクション
615 第1の層の第1のセクションの深さ
62 第1の層の第2のセクション
625 第1の層の第2のセクションの深さ
64 第1のイオン
66 第2のイオン
7 内側領域
75 内側領域の厚さ
8 外側領域
85 外側領域の最大厚さ
9 負のベベル
11 遷移領域
14 p++アノードコンタクト層
16 第2の層
161 第2の層の第1のセクション
1615 第2の層の第1のセクションの深さ
162 第2の層の第2のセクション
1625 第2の層の第2のセクションの深さ
164 第3のイオン
166 第4のイオン
18 p++ショート
19 負のベベル
23 カソード層
24 p++チャネルストップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11