特許第6362705号(P6362705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許63627052,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの同時製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362705
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】2,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの同時製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/25 20060101AFI20180712BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20180712BHJP
   C07C 19/08 20060101ALI20180712BHJP
   C07C 17/354 20060101ALI20180712BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20180712BHJP
   B01J 23/26 20060101ALI20180712BHJP
   B01J 23/86 20060101ALI20180712BHJP
   B01J 27/13 20060101ALI20180712BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180712BHJP
【FI】
   C07C17/25
   C07C21/18
   C07C19/08
   C07C17/354
   B01J23/44 Z
   B01J23/26 Z
   B01J23/86 Z
   B01J27/13 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-540640(P2016-540640)
(86)(22)【出願日】2015年9月21日
(65)【公表番号】特表2017-523123(P2017-523123A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】CN2015000654
(87)【国際公開番号】WO2016197280
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】201510321156.4
(32)【優先日】2015年6月11日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516137982
【氏名又は名称】浙江衢州巨新▲弗▼化工有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG QUZHOU JUXIN FLUORINE CHEMICAL CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】516137993
【氏名又は名称】浙江衢化▲弗▼化学有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG QUHUA FLUOR−CHEMISTRY CO LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雷 俊
(72)【発明者】
【氏名】王 愛国
(72)【発明者】
【氏名】楊 波
(72)【発明者】
【氏名】張 彦
(72)【発明者】
【氏名】周 華東
(72)【発明者】
【氏名】▲超▼ 陽
(72)【発明者】
【氏名】劉 国安
(72)【発明者】
【氏名】朱 意
(72)【発明者】
【氏名】蘇 剛
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−515457(JP,A)
【文献】 特開2008−019243(JP,A)
【文献】 特開2012−077086(JP,A)
【文献】 特表2009−542651(JP,A)
【文献】 特表2015−515973(JP,A)
【文献】 特表2011−520856(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0301373(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/25
B01J 23/26
B01J 23/44
B01J 23/86
B01J 27/13
C07C 17/354
C07C 19/08
C07C 21/18
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水素とヘキサフルオロプロペンをモル比2〜5:1で予熱した後、A段、B段、C段という三段に分かれ、かつ各段にそれぞれ異なる触媒を充填している第一反応器に供給し、空間速度を100〜1000h-1とする条件で、A段、B段、C段の順にヘキサフルオロプロペン及び水素を三段で反応させ、前記A段における反応温度が50〜200℃、前記B段における反応温度が150〜300℃であり、前記C段においてB段の物質温度で反応を行い、これによって、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン及びフッ化水素を含む混合物を得る工程;
(b)工程(a)で得られた混合物を第一精留塔に供給し、その頂部で得られた1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパンを第一反応器のA段下部に戻し循環させ、その釜部で得られた1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン及びフッ化水素を反応温度が200〜450℃である第二反応器に導入し、触媒の存在下で反応させ、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、フッ化水素及び未反応の1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを含む混合物を得る工程;
(c)工程(b)で得られた混合物を水洗浄、アルカリ洗浄、乾燥して、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを含む混合物を得て、該混合物を第二精留塔に導入し、その頂部に2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得て、その釜部に1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを得て、該1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを第二反応器に循環する工程;及び
(d)工程(c)で得られた2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを第三精留塔に導入し、その頂部に産物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、その釜部に産物である1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得る工程
を含み、
反応条件をコントロールすることにより、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの産物比例をフレキシブルに調節できること
工程(a)において、前記A段の触媒がPd/Al2O3であり、かつ、Pdの含有量が質量パーセントで0.3〜3%であり、前記B段の触媒が質量パーセントで酸化クロム5〜10%、酸化アルミニウム80〜90%、酸化亜鉛3〜10%という組成とするものであり、前記C段の触媒がPd/AlF3又はPd/Cであり、かつ、Pdの含有量が質量パーセントで0.3〜3%であること、
工程(b)において、前記触媒が質量パーセントで酸化クロム60〜80%、酸化インジウム4〜10%,酸化ニッケル10〜35%という組成とするものであること、
を特徴とする、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの同時製造方法。
【請求項2】
工程(a)において、前記水素とヘキサフルオロプロペンとのモル比が2〜2.5:1であり、空間速度が200〜800h-1であり、前記A段の反応温度が55〜150℃であり、前記B段の反応温度が180〜250℃であることを特徴とする請求項1に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの同時製造方法。
【請求項3】
工程(b)において、前記第二反応器の反応温度が250〜400℃であることを特徴とする請求項1に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの同時製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素含有オレフィンの製造方法に関し、特に2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの同時製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロフルオロオレフィン(hydrofluoroolefin、HFO)としては、例えば2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)が挙げられる。HFO-1234yfは、沸点が-29.5℃であり、GWP値が4であり、大気寿命が10日である。HFO-1234yfは、冷媒、消火剤、推進剤、発泡剤、起泡剤、担体流体、グレージング研磨剤、動力循環作動流体として用いられるが、冷媒分野において、第四世代の冷媒として、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の代わりに使用されることが、より有望な用途である。HFO-1234zeは、Z型及びE型という2種があり、Z型の沸点が9℃であり、E型の沸点が-19℃であり、GWP値が6である。Z型が発泡剤として用いられ、E型が他の物質と混合した後、冷媒として用いられる。
【0003】
HFO-1234zeの合成経路は比較的多く、主に1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)気相脱HF法や、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)気相脱HF法などがある。なお、HFC-245ebという原料の入手が困難であるため、現在、HFC-245fa気相脱HF法によりHFO-1234zeを製造することが多い。
【0004】
工業生産化の見込みがあるHFO-1234yfの製造方法には、主に3,3,3-トリフルオロプロペン法、ヘキサフルオロプロペン法及び1,1,2,3-テトラクロロプロペン法がある。しかし、3,3,3-トリフルオロプロペン法は、原料である3,3,3-トリフルオロプロペンの入手が困難であり、その合成経路が長く、三廃(排ガス、排水、固体廃棄物)が多く、製造コストが高い。1,1,2,3-テトラクロロプロペン法は、原料である1,1,2,3-テトラクロロプロペンの製造が比較的複雑であり、かつ製造過程において三廃(排ガス、排水、固体廃棄物)の発生が比較的多い。ヘキサフルオロプロペンはクロロジフルオロメタン(HCFC-22)により製造されるため、産業チェーンの面から見ると、ヘキサフルオロプロペンを原料としてHFO-1234yfを合成する方法がより理想的な合成経路である。
【0005】
ヘキサフルオロプロペン(HFP)及び水素(H2)を原料としてHFO-1234yfを合成する方法は、一般的に、二つの水素化工程及び二つの脱フッ化水素工程という4つの工程を経由する。第一工程では、ヘキサフルオロプロペンと水素とを反応させ1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)を生成する;第二工程では、HFC-236eaを気相又は液相鹸化により脱フッ化水素とし、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)を得る;第三工程では、HFO-1225ye及び水素により1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)を生成する;第四工程では、HFC-245ebを気相又は液相鹸化により脱フッ化水素化し、HFO-1234yfを得る。従って、ヘキサフルオロプロペン法は、製造工程が多く、収率が低く、設備投資が大きく、製造コストが高いという欠点が存在する。
【0006】
例えば、中国特許公開公報CN102267869A(公開日2011年12月7日、発明名称:2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの合成方法)には、ヘキサフルオロプロペンを出発原料として、a) 1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンを水素化し還元させ、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパンを製造する工程;b) 1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパンを脱HF化して 1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペンを製造する工程;c) 1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペンを接触水素化し1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを製造する工程;及びd) 1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを脱HF化し、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する工程、を含む製造方法が開示されている。上記発明は、4つの工程で行われるため、反応経路が長く、全体的な収率が低く、設備投資が大きい。
【0007】
また、中国特許公開公報CN101671229A(公開日2010年3月17日、発明名称:フッ素化物の製造方法)には、下記(i)〜(iv)のステップを有する製造方法が記載されている:(i)ヘキサフルオロプロピレンを水素化して1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパンにし;(ii)前記ステップで得られた1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパンを110〜180℃の温度水と水酸化カリウムとの混合物(混合物中の水酸化カリウムの濃度は58〜86重量%)を使用してデヒドロフルオロ化して1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペンにし;(iii)前記ステップで得られた1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペンを水素化して1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンにし;(iv)前記ステップで得られた1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを110〜180℃の温度で水と水酸化カリウムとの混合物(混合物中の水酸化カリウムの濃度は58〜86重量%)を使用してデヒドロフルオロ化して2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンにする。しかし、上記発明は、プロセス経路が長く、液相脱フッ化水素や、三廃(排ガス、排水、固体廃棄物)が大量に発生し、収率が低く、さらに反応器内部の腐食がひどいといった欠点を有する。
【0008】
また、中国特許公開公報CN101544536A(公開日2009年9月30日、発明名称:フッ素化オレフィンの製造方法)は、フッ素化オレフィンの製造方法に関するものである。具体的には、4つの単位操作からなる単一シリーズを利用して、1,1,1,2-テトラフルオロプロペン及び/または1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペンを製造する方法を提供している。上述の単位操作は、(1)ヘキサフルオロプロペンと任意で選択された再循環1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペンとを含む出発物質の水素化;(2)1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン及び/または1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンのような所望の中間体ヒドロフルオロアルカンの分離;(3)所望の1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン及び/または1,1,1,2-テトラフルオロプロペンを製造するために、中間体ヒドロフルオロアルカンの脱フッ化水素化;(4)所望の生成物の分離、及び任意選択による1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペンの循環からなる工程を含む。上記の方法では、2つの水素化工程が一つの反応器で行われる一方、2つの脱フッ化水素工程も一つの反応器で行われるため、触媒に対する要求がより高く、かつ反応副産物が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プロセスが簡単で、投資が小さく、エネルギー消費が低く、かつ転化率が高い2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの同時製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の技術問題を解決するために、本発明は、下記工程を含む2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの同時製造方法を採用する。
(a)ヘキサフルオロプロペン及び水素をモル比2〜5:1で予熱した後、第一反応器に供給する。第一反応器はA段、B段、C段という三段に分かれ、かつ各段にそれぞれ異なる触媒を充填しており、空間速度を100〜1000h-1とする条件下で、A段、B段、C段の順にヘキサフルオロプロペン及び水素を三段で反応させ、A段における反応温度が50〜200℃、B段における反応温度が150〜300℃であり、C段においてB段の物質の温度で反応を行うことにより、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン及びフッ化水素を含む混合物を得る工程;
(b)工程(a)で得られた混合物を第一精留塔に供給し、その頂部で得られた1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパンを第一反応器のA段下部に循環して戻し、その釜部で得られた1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン及びフッ化水素を、反応温度が200〜450℃である第二反応器に導入し、触媒の存在下で反応させ、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、フッ化水素及び未反応の1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを含む混合物を得る工程;
(c)工程(b)で得られた混合物を水洗浄、アルカリ洗浄、乾燥して、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを含む混合物を得て、該混合物を第二精留塔に導入し、その頂部に2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得て、その釜部に1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを得て、該1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパンを第二反応器に循環させる工程;及び
(d)工程(c)で得られた2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを第三精留塔に導入し、その頂部に産物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、その釜部に産物である1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得る工程。
【0011】
本発明の実施形態では、工程(a)において水素とヘキサフルオロプロペンとのモル比が2〜2.5:1であり、空間速度が200〜800h-1であり、A段の反応温度が55〜150℃であり、B段の反応温度が180〜250℃であることが好ましい。
【0012】
本発明の実施形態では、工程(b)において第二反応器の反応温度が250〜400℃であることが好ましい。
【0013】
本発明の実施形態では、工程(a)においてA段の触媒がPd/Al2O3であり、かつPdの含有量が質量パーセントで0.3〜3%であることが好ましい。
【0014】
本発明の実施形態では、工程(a)においてB段の触媒が質量パーセントで酸化クロム5〜10%、酸化アルミニウム80〜90%、及び酸化亜鉛3〜10%という組成とするものであることが好ましい。
【0015】
本発明の実施形態では、工程(a)においてC段の触媒がPd/AlF3又はPd/Cであり、かつPdの含有量が質量パーセントで0.3〜3%であることが好ましい。
【0016】
本発明の実施形態では、工程(b)において触媒が質量パーセントで酸化クロム60〜80%、酸化インジウム4〜10%、酸化ニッケル10〜35%という組成とするものであることが好ましい。
【0017】
本発明において、第一反応器はA段、B段、C段という三段に分かれて、各段には異なる触媒を充填している。原料であるヘキサフルオロプロペン及びH2を予熱器で予熱した後、第一反応器に供給して、A段、B段、C段の順に各段で反応させる。A段ではヘキサフルオロプロペンが完全に転化され、反応により生成したHFC-236ea及び過剰のH2を含む混合物を得て、B段に導入する。B段では、HFC-236eaを気相脱HF反応させ、得られた混合物をC段に導入し、引き続き反応させ、HFC-236ea、HFC-245eb及び少量のHFを含む混合物を得る。
【0018】
第一反応器のA段では、ヘキサフルオロプロペンの水素化反応が行われる。該反応は強い放熱反応であるため、反応温度が触媒の活性、及び生成物の選択性に大きな影響を及ぼす。反応温度が上昇すると、触媒活性の向上に役立てるが、ヘキサフルオロプロペンの水素化が比較的行われやすく、より低い温度のほうがヘキサフルオロプロペンの転化率及びFC-236eaの選択性を100%に達成させることができる。このため、触媒を工業的応用価値の面を考慮すると、触媒の高活性を保証しながら、できるだけ反応温度を下げ、エネルギー消費を減少することが要求される。このことに鑑みて、A段の反応温度を50〜200℃、好ましくは55〜150℃とする。また、空間速度の増加に伴い、反応物と触媒床との接触の時間が減少し、触媒の活性が低下する。従って、ヘキサフルオロプロペンの完全転化を保証するために、空間速度を100〜1000h-1とし、好ましくは200〜800h-1とする。また、H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比が反応に大きな影響を及ぼす。モル比が低下すると、反応体系におけるH2の濃度が低く、触媒の活性が低くなる。一方、H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比が向上すると、触媒の炭素析出を有効に防止し、触媒の選択性及び安定性を改善することができ、触媒の活性が徐々に向上する。過量の水素が反応による熱量を奪い、かつC段における反応に水素化原料を提供することができるため、水素とヘキサフルオロプロペンとのモル比を2〜5:1、好ましくは2〜2.5:1とする。
【0019】
B段における反応は、気相脱フッ化水素反応であり、温度が高く、HFC-236eaの転化率は高いが、目的物の選択性が低い。触媒の性能、転化率及び選択性に基づいて、反応温度を150〜300℃、好ましくは180〜250℃とする。
【0020】
第一反応器のC段では、外部加熱する必要がない。B段における物質をそのままC段に導入することで、C段に必要な反応温度を提供する。これにより、熱量の総合利用を達成し、かつエネルギー消費を低下させることができる。
【0021】
第二反応器の反応温度が低すぎると、HFC-245ebのワンパス転化率が低く、HFO-1234zeを生成する方向へ反応が進む。一方、反応温度が高すぎると、HFO-1234yfを生成する方向へ反応が進む。このことに鑑みて、産物に対する需要により、第二反応器の反応温度を調整することができる。転化率及び産物構成を総合的に考えると、本発明の第二反応器の反応温度を200〜450℃、好ましくは250〜400℃とする。
【0022】
本発明の第一反応器のA、C段には、貴金属であるPd触媒を充填している。担持型貴金属触媒を製造する場合、活性成分Pdの含有量が触媒の性能に重要な影響を及ぼす。Pdの担持量が低すぎると、触媒活性が充分ではない。一方、Pdの担持量が高すぎると、製造された触媒が失活し易い。一定の範囲内では、活性成分Pdの担持量の増加に伴って、触媒の転化率が向上するが、Pdの担持量が高いほど良いわけではなく、Pdの含有量には適したバランス値が存在する。活性成分Pdの分散状態は、触媒活性と密接な関係がある。Pdの含有量を無限に増加させても、Pdの分散度の変化が顕著とはならない。Pdの担持量を増加させる場合、主産物の選択性が低下する恐れがある。従って、経済的及び実験要求の面を考慮すれば、触媒の最も適当な担持量を設定する時、高い産物選択性及び転化率を保証するとともに、できるだけ触媒の担持量を低くすることが要求される。
【0023】
Pd触媒失活の原因には、主にPd流失、Pd焼結、コーク、炭素析出及び触媒中毒がある。原料である気体における水分の含有量が高すぎると、触媒における活性成分Pdの流失を招く場合がある。温度が高い場合、触媒の比表面積及び微孔が減少する。活性成分であるPdが担体の孔構造内に担持されると、微孔が部分的に充填され、その数量と体積とがいずれも減少する。高い温度もPd顆粒の焼結を招く。原料に含まれるヒ素、硫黄、一酸化炭素などの異物も触媒中毒を起こす。
【0024】
本発明の第一反応器のB段及び第二反応器に用いられる触媒は、本技術分野でよく知られる酸化クロムを活性成分とする触媒を採用することができ、第一反応器B段における触媒は、質量パーセントで酸化クロム5〜10%、酸化アルミニウム80〜90%、酸化亜鉛3〜10%という組成とするものであることが好ましい。該触媒の製造方法は以下のとおりである。クロム及び亜鉛の塩化物を酸化アルミニウム担体に含浸させ、その後、乾燥、ベークしてクロム及び亜鉛の塩化物を酸化物に変化させ、次いで、フッ素化して触媒を得る。第二反応器における触媒は、質量パーセントで酸化クロム60〜80%、酸化インジウム4〜10%、酸化ニッケル10〜35%という組成とするのが好ましい。該触媒の製造方法は以下のとおりである。クロム、インジウム及びニッケルの塩化物と沈殿剤とを反応させ、水酸化物固体の懸濁物を生成し、濾過、洗浄、乾燥、ベークしてクロム、アルミニウム及び亜鉛の酸化物にし、その後、造粒、打錠成型し触媒前駆体を得て、次いで、フッ素化し触媒を得る。触媒の活性化は、その他の反応器で行っても良い。
【0025】
本発明における第一反応器及び第二反応器は、等温型反応器又は断熱型反応器を使用してもよい。反応器の材質としては、例えばインコネル(Inconel)などの耐酸性腐食の材料が用いられる。第一反応器における各段の間に穴付きバッフルを設置してもよい。下から上までC、B、Aという順序に触媒を充填する。触媒の外形は、球状又は柱状であることが好ましい。これによって、反応気体の速度を保持し、均一の空隙率を保証し、さらに気体混合物の軸方向及び径方向への離散を防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
従来技術に比べて、本発明は、以下のようなメリットを有する。
1.プロセスが簡単である。第一反応器では3種類の異なる触媒を充填して、三つの反応を行ってもよく、プロセス過程が簡素化される。
2.転化率が高い。反応器におけるH2とヘキサフルオロプロペンとのモル比を調節し、かつ触媒、反応温度、空間速度などのパラメータを最適化することで、ヘキサフルオロプロペンの転化率を100%に達成させる。
3.エネルギー消費が低い。第一反応器のC段を外部加熱する必要がなく、B段の物質をそのままC段に導入することで、C段に必要な反応温度を提供するため、熱量の総合利用を達成し、かつエネルギー消費を低下することができる。
4.投資が小さく、操作の可変性が大きい。ワンセットの装置では、HFO-1234yf及びHFO-1234zeという2種の産物が得られ、市場の要求に基づいて産物比例をフレキシブルに調節でき、設備投資にかかるコストを顕著に低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の製造方法のフローは図1のとおりである。第一反応器2は、A段、B段、C段という三段に分かれて、各段には異なる触媒を充填している。原料であるヘキサフルオロプロペン及びH2を、ライン10を介して予熱器1に供給し、予熱器1で予熱された後、ライン11を介して第一反応器2に導入し、A段、B段、C段の順に三段で反応させる。具体的には、A段では、ヘキサフルオロプロペンが完全に転化され、反応によるHFC-236ea及び過量のH2を含有する混合物が得られ、そして、該混合物をB段に導入する。B段では、HFC-236eaを気相脱HF反応させ、得られた混合物をC段に導入し水素化反応させ、HFC-245eb、HFC-236ea、HF及びH2を含む混合物を得る。該混合物を、ライン13を介して第一精留塔3に導入し、第一精留塔3の頂部で分離したHFC-236eaをライン12を介して第一反応器のA段下部に戻す。第一精留塔3の釜部におけるHFC-245eb及びHFを、ライン14を介して第二反応器4に導入する。少量 の非凝縮性ガスであるH2が排気される。第二反応器4出口におけるHFO-1234yf、HFO-1234ze、HF及び未反応のHFC-245ebを含有する混合物を、ライン15を介して水洗塔5に導入する。大部分のHFが除去された混合物を、ライン16を介してアルカリ洗浄塔6に導入し、さらに残留する少量HFを除去する。アルカリ洗浄した混合物をライン17を介して乾燥塔7に導入することで、混合物における少量の水分を除去する。乾燥後、HFO-1234yf、HFO-1234ze及びHFC-245ebを含有する混合物をライン18を介して第二精留塔8に導入する。第二精留塔8の釜部で得られたHFC-245ebをライン19、20を介して第二反応器4に循環して引き続き反応させる。第二精留塔8の頂部で得られたHFO-1234yf及びHFO-1234zeをライン21を介して第三精留塔9に導入する。第三精留塔9の頂部で得られたHFO-1234yfをライン23を介してパッケージングし、第三精留塔9の釜部で得られたHFO-1234zeをライン22を介してパッケージングする。
【0029】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0030】
まず、反応器のC段に200mlのPd/AlF3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.3%である)、B段に300mlのクロム-アルミニウム-亜鉛触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム5%、酸化アルミニウム90%、酸化亜鉛5%)、A段に200mlのPd/Al2O3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.3%である)を充填する。第二反応器に700mlのクロム-インジウム-ニッケル触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム60%、酸化インジウム5%、酸化ニッケル35%)を充填する。
【0031】
次いで、第一反応器のA段の温度を55℃に、B段の温度を200℃に、第二反応器の温度を300℃に昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温過程においては、常温から150℃まで1℃/minの昇温速度で、150℃からは0.5℃/minの昇温速度で昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温完了後に、窒素ガスを吹きつけて2時間乾燥する。
【0032】
そして、原料を投入し反応させる。H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比2:1でヘキサフルオロプロペン及びH2を混合し予熱器に供給する。空間速度が300h-1である。第一反応器出口でのHFC-245eb、HFC-236ea及びHFを含有する反応混合物を第一精留塔に導入する。頂部におけるHFC-236eaを第一反応器のA段の下部に戻し循環させ、釜部における混合物を第二反応器に供給する。第一反応器及び第二反応器出口での混合物をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーで分析する。その有機物組成を表1に示す。
【0033】
【表1】
【実施例2】
【0034】
まず、反応器のC段に200mlの Pd/AlF3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.6%である)、B段に300mlのクロム-アルミニウム-亜鉛触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム10%、酸化アルミニウム80%、酸化亜鉛10%)、A段に200mlのPd/Al2O3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで1%である)を充填する。第二反応器に700mlのクロム-インジウム-ニッケル触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム80%、酸化インジウム10%、酸化ニッケル10%)を充填する。
【0035】
次いで、第一反応器A段の温度を70℃、B段の温度を240℃、第二反応器の温度を330℃に昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温過程においては、常温から150℃まで1℃/minの昇温速度で、150℃からは0.5℃/minの昇温速度で昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温完了後に、窒素ガスを吹きつけて2時間乾燥する。
【0036】
そして、原料を投入し反応させる。H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比2.5:1でヘキサフルオロプロペン及びH2を混合し気化器に供給する。空間速度が500h-1である。第一反応器出口でのHFC-245eb、HFC-236ea及びHFを含有する混合物を第一精留塔に導入する。頂部におけるHFC-236eaを第一反応器のA段の下部に戻し循環させ、釜部における混合物を第二反応器に供給する。第一反応器及び第二反応器出口での混合物をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーで分析する。その有機物組成を表2に示す。
【0037】
【表2】
【実施例3】
【0038】
まず、反応器のC段に200mlのPd/C触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.3%である)、B段に300mlのクロム-アルミニウム-亜鉛触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム8%、酸化アルミニウム85%、酸化亜鉛7%)、A段に200mlのPd/ Al2O3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで1.5%である)を充填する。第二反応器に700mlのクロム-インジウム-ニッケル触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム66%、酸化インジウム7%、酸化ニッケル27%)を充填する。
【0039】
次いで、第一反応器A段の温度を65℃、B段の温度を250℃、第二反応器の温度を350℃に昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温過程においては、常温から150℃まで1℃/minの昇温速度で、150℃からは0.5℃/minの昇温速度で昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温完了後に、窒素ガスを吹きつけて2時間乾燥する。
【0040】
そして、原料を投入し反応させる。H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比3:1でヘキサフルオロプロペン及びH2を混合し気化器に供給する。空間速度が800h-1である。第一反応器出口でのHFC-245eb、HFC-236ea及びHFを含有する混合物を第一精留塔に導入する。頂部におけるHFC-236eaを第一反応器のA段の下部に戻し循環させ、釜部における混合物を第二反応器に供給する。第一反応器及び第二反応器出口での混合物をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーで分析する。その有機物組成を表3に示す。
【0041】
【表3】
【実施例4】
【0042】
まず、反応器C段に200ml のPd/C触媒(Pdの含有量が質量パーセントで1%である)、B段に300mlのクロム-アルミニウム-亜鉛触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム6%、酸化アルミニウム90%、酸化亜鉛4%)、A段に200mlのPd/Al2O3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで3%である)を充填する。第二反応器に700mlのクロム-インジウム-ニッケル触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム70%、酸化インジウム8%、酸化ニッケル22%)を充填する。
【0043】
次いで、第一反応器A段の温度を100℃、B段の温度を210℃、第二反応器の温度を280℃に昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温過程においては、常温から150℃まで1℃/minの昇温速度で、150℃からは0.5℃/minの昇温速度で昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温完了後に、窒素ガスを吹きつけて2時間乾燥する。
【0044】
そして、原料を投入し反応させる。H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比2.5:1でヘキサフルオロプロペン及びH2を混合し気化器に供給する。空間速度が200h-1である。第一反応器出口でのHFC-245eb、HFC-236ea及びHFを含有する混合物を第一精留塔に導入する。頂部におけるHFC-236eaを第一反応器のA段の下部に戻し循環させ、釜部における混合物を第二反応器に供給する。第一反応器及び第二反応器出口での混合物をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーで分析する。その有機物組成を表4に示す。
【0045】
【表4】
【実施例5】
【0046】
まず、反応器C段に200mlのPd/C触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.5%である)、B段に300mlのクロム-アルミニウム-亜鉛触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム5%、酸化アルミニウム85%、酸化亜鉛10%)、A段に200mlのPd/Al2O3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.8%である)を充填する。第二反応器に700mlのクロム-インジウム-ニッケル触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム75%、酸化インジウム5%、酸化ニッケル20%)を充填する。
【0047】
次いで、第一反応器A段の温度を80℃、B段の温度を180℃、第二反応器の温度を250℃に昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温過程においては、常温から150℃まで1℃/minの昇温速度で、150℃からは0.5℃/minの昇温速度で昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温完了後に、窒素ガスを吹きつけて2時間乾燥する。
【0048】
そして、原料を投入し反応させる。H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比4:1でヘキサフルオロプロペン及びH2を混合し気化器に供給する。空間速度が500h-1である。第一反応器出口でのHFC-245eb、HFC-236ea及びHFを含有する混合物を第一精留塔に導入する。頂部におけるHFC-236eaを第一反応器のA段の下部に戻し循環させ、釜部における混合物を第二反応器に供給する。第一反応器及び第二反応器出口での混合物をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーで分析する。その有機物組成を表5に示す。
【0049】
【表5】
【実施例6】
【0050】
まず、反応器C段に200mlの3%Pd/AlF3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで3%である)、B段に300mlのクロム-アルミニウム-亜鉛触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム6%、酸化アルミニウム90%、酸化亜鉛4%)、A段に200mlのPd/Al2O3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで1.5%である)を充填する。第二反応器に700mlのクロム-インジウム-ニッケル触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム63%、酸化インジウム6%、酸化ニッケル31%)を充填する。
【0051】
次いで、第一反応器A段の温度を150℃、B段の温度を250℃、第二反応器の温度を400℃に昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温過程においては、常温から150℃まで1℃/minの昇温速度で、150℃からは0.5℃/minの昇温速度で昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温完了後に、窒素ガスを吹きつけて2時間乾燥する。
【0052】
そして、原料を投入し反応させる。H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比2.1:1でヘキサフルオロプロペン及びH2を混合し気化器に供給する。空間速度が300h-1である。第一反応器出口でのHFC-245eb、HFC-236ea及びHFを含有する混合物を第一精留塔に導入する。頂部におけるHFC-236eaを第一反応器のA段の下部に戻し循環させ、釜部における混合物を第二反応器に供給する。第一反応器及び第二反応器出口での混合物をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーで分析する。その有機物組成を表6に示す。
【0053】
【表6】
【実施例7】
【0054】
まず、反応器C段に200mlのPd/AlF3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.5%である)、B段に300mlのクロム-アルミニウム-亜鉛触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム10%、酸化アルミニウム86%、酸化亜鉛4%)、A段に200mlのPd/Al2O3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.5%である)を充填する。第二反応器に700mlのクロム-インジウム-ニッケル触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム70%、酸化インジウム4%、酸化ニッケル26%)を充填する。
【0055】
次いで、第一反応器A段の温度を100℃、B段の温度を200℃、第二反応器の温度を310℃に昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温過程においては、常温から150℃まで1℃/minの昇温速度で、150℃からは0.5℃/minの昇温速度で昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温完了後に、窒素ガスを吹きつけて2時間乾燥する。
【0056】
そして、原料を投入し反応させる。H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比2:1でヘキサフルオロプロペン及びH2を混合し気化器に供給する。空間速度が500h-1である。第一反応器出口でのHFC-245eb、HFC-236ea及びHFを含有する混合物を第一精留塔に導入する。頂部におけるHFC-236eaを第一反応器のA段の下部に戻し循環させ、釜部における混合物を第二反応器に供給する。第一反応器及び第二反応器出口での混合物をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーで分析する。その有機物組成を表7に示す。
【0057】
【表7】
【実施例8】
【0058】
まず、反応器C段に200mlのPd/C触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.5%である)、B段に300mlのクロム-アルミニウム-亜鉛触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム5%、酸化アルミニウム90%、酸化亜鉛5%)、A段に200mlのPd/Al2O3触媒(Pdの含有量が質量パーセントで0.3%である)を充填する。第二反応器に700mlのクロム-インジウム-ニッケル触媒(触媒組成を質量パーセントで表すと、酸化クロム80%、酸化インジウム5%、酸化ニッケル15%)を充填する。
【0059】
次いで、第一反応器のA段の温度を120℃、B段の温度を250℃、第二反応器の温度を330℃に昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温過程においては、常温から150℃まで1℃/minの昇温速度で、150℃からは0.5℃/minの昇温速度で昇温する。第一反応器及び第二反応器の昇温完了後に、窒素ガスを吹きつけて2時間乾燥する。
【0060】
そして、原料を投入し反応させる。H2とヘキサフルオロプロペンとのモル比2.2:1でヘキサフルオロプロペン及びH2を混合し気化器に供給する。空間速度が600h-1である。第一反応器出口でのHFC-245eb、HFC-236ea及びHFを含有する混合物を第一精留塔に導入する。頂部におけるHFC-236eaを第一反応器のA段の下部に戻し循環させ、釜部における混合物を第二反応器に供給する。第一反応器及び第二反応器出口での混合物をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーで分析する。その有機物組成を表8に示す。
【0061】
【表8】
【符号の説明】
【0062】
1 予熱器
2 第一反応器
3 第一精留塔
4 第二反応器
5 水洗塔
6 アルカリ洗浄塔
7 乾燥塔
8 第二精留塔
9 第三精留塔
10〜23 ライン
図1