(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362708
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させる方法および装置
(51)【国際特許分類】
B02C 17/24 20060101AFI20180712BHJP
F16D 49/00 20060101ALI20180712BHJP
F16D 55/00 20060101ALI20180712BHJP
F16D 67/06 20060101ALI20180712BHJP
B02C 17/04 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
B02C17/24
F16D49/00 Z
F16D55/00 Z
F16D67/06 Z
B02C17/04 B
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-558754(P2016-558754)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公表番号】特表2017-513694(P2017-513694A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】EP2015055212
(87)【国際公開番号】WO2015144444
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】14161257.2
(32)【優先日】2014年3月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ベーンライン
(72)【発明者】
【氏名】ディアク メンズィング
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン テュイロ
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ヴァッカー
【審査官】
宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−111401(JP,A)
【文献】
特開平06−320035(JP,A)
【文献】
特開平07−051587(JP,A)
【文献】
特開平05−212305(JP,A)
【文献】
特開昭53−045783(JP,A)
【文献】
特開平02−245249(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0052205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 17/24
B02C 17/04
B02C 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕管(6)の内壁(20)から付着充填物(22)を剥離させる方法であって、
・ 前記粉砕管(6)を、設定可能な、当該粉砕管(6)が取る回転位置(28)から、駆動することなく前記付着充填物(22)の重さ(30)によって逆回転させ、この際に前記粉砕管(6)の少なくとも1つの運動状態量(40)を求め、
・ 前記逆回転中に前記粉砕管(6)の前記内壁(20)から前記付着充填物(22)を剥離させるため、前記少なくとも1つの運動状態量(40)に依存して前記粉砕管(6)を減速させる、方法において、
算出される少なくとも1つの前記運動状態量(40)は、前記粉砕管(6)の回転角(26)又は回転角速度(36)又は回転角加速度(38)であり、
前記粉砕管(6)の回転角(26)又は回転角速度(36)又は回転角加速度(38)が所定の値に達すると、前記粉砕管(6)を減速させる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記設定可能な、前記粉砕管(6)が取る回転位置(28)には、前記粉砕管(6)の駆動手段を使用した駆動回転によって到達させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設定可能な、前記粉砕管(6)が取る回転位置(28)を、充填物特性(34)に依存して算出される回転角(26)によって設定する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
安定した平衡位置(24)を起点として、40°〜80°の絶対値を有する回転角(26)により、前記粉砕管(6)が取る前記回転位置(28)を設定する、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記逆回転中、前記粉砕管(6)を、停止するまで少なくとも1回減速する、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記逆回転中、前記粉砕管(6)を、設定可能な減速度(48)で少なくとも1回減速する、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
充填物特性(34)に依存して前記設定可能な減速度(48)を算出する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粉砕管(6)の機械的な負荷限界に依存して、前記設定可能な減速度(48)を算出する、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
粉砕管(6)の内壁(20)から付着充填物を剥離させる装置(8)であって、
前記粉砕管(6)の少なくとも1つの運動状態量(40)を算出可能に構成された算出装置(14)と、
前記粉砕管(6)を回転駆動するように構成された駆動ユニット(10)と、
設定可能な減速度(48)で前記粉砕管(6)を減速するように構成された制動装置(12)と、
算出した少なくとも1つの前記運動状態量(40)に依存して前記制動装置(12)を駆動制御し、前記粉砕管(6)が、設定可能な回転位置(28)を取ったときには、当該駆動ユニット(10)の駆動動作(68)を遮断するために前記駆動ユニット(10)を駆動制御するように構成された制御装置(16)と、を有する、剥離させる装置(8)において、
前記粉砕管(6)を、設定可能な、当該粉砕管(6)が取る回転位置(28)から、駆動することなく前記付着充填物(22)の重さ(30)によって逆回転させ、この際に、前記粉砕管(6)の回転角(26)又は回転角速度(36)又は回転角加速度(38)を求め、
前記逆回転中に前記粉砕管(6)の前記内壁(20)から前記付着充填物(22)を剥離させるため、前記粉砕管(6)の回転角(26)又は回転角速度(36)又は回転角加速度(38)が所定の値に達すると、前記粉砕管(6)を減速させる、
ことを特徴とする、剥離させる装置(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させる方法、及び粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させる装置に関する。
【0002】
チューブミルは有利には、脆い材料、特に鉱石を粉砕するために使用される。粉砕プロセスは、水平方向に配向された、チューブミルの粉砕管内で行われる。充填物が充填された粉砕管は、粉砕プロセス中、その長手方向軸を中心として回転する。一般的なチューブミルは、2m〜11mの直径及び25mまでの長さを有する粉砕管を有し得る。このようなチューブミルの駆動電力は一般的に5MW〜15MWの範囲内にあり、有利にはいわゆる巻線形電動機が使用される。
【0003】
チューブミルの動作を比較的長時間、中断させて粉砕管が停止していることは珍しいことではない。このような停止状態は、例えば保守作業のため又は動作障害により、粉砕管の断続的な充填ないしは排出に起因して発生し得る。
【0004】
粉砕管の停止中、この粉砕管内にある充填物の凝固ないしは淀み、及び、粉砕管の内壁における充填物の付着ないしは固着が発生することがあり得る。これに関連して付着充填物又は「凍結した充填物」“frozen Charge”という言い方がなされることもある。チューブミルが再動作する際には、付着充填物が、高所において、特に内壁直径の最高点において、粉砕管の内壁から剥がれ、落下し、結果的にチューブミルの損傷させてしまう危険性がある。
【0005】
このため一般的には、付着充填物が存在することを識別し、付着充填物が識別された場合にはチューブミルないしは粉砕管の回転を停止させる装置がチューブミルに備え付けられている。付着充填物が識別され、その結果チューブミルが停止された場合には、引き続いて付着充填物を粉砕管の内壁から剥離させなくてはならない。
【0006】
従来技術からは、粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させる種々異なる複数の方法が公知である。その一つにはツール、特に空気ハンマを使用し、人員を投入してこの付着充填物を剥離させることができる。さらに国際公開第2005/092508号には、充填物を所期のように剥離させるため、粉砕管の駆動装置を駆動して粉砕管を振動的に回転させるないしは回転を増大させることが開示されている。さらに欧州特許発明第2525914号明細書には、粉砕管に加えられる駆動トルクを基準トルクだけ変化させて増大させる方法が開示されている。
【0007】
本発明の課題は、粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させる有利な発明を示すことである。本発明の課題は特に、比較的簡単な駆動技術及び制御技術を使用して、良好なエネルギ効率で付着充填物を剥離できるようにすることである。
【0008】
この課題は、本発明により、各独立請求項の特徴的構成を有する、粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させる方法及び装置によって解決される。本発明の好適な実施形態及び利点は、別の複数の請求項及び明細書から得られ、これらの好適な実施形態及び利点は、上記の方法及び装置に関連する。
【0009】
上記の方法では、粉砕管が取る設定可能な回転位置から、駆動することなく付着充填物の重さによってこの粉砕管を逆回転させ、この際にこの粉砕管の少なくとも1つの運動状態量を求める。
【0010】
上記の粉砕管が取る設定可能な回転位置は、粉砕管の回転軸周りの十分に大きな復元トルクをこの粉砕管に作用させる回転位置であってよい。この復元トルクは、付着充填物の重さから、ないしは重さと梃子の腕の長さとの積から得ることができる。この復元トルクは、回転の開始位置の方向ないしは粉砕管の安定した平衡位置に向かって、粉砕管の自律的な逆回転が生じ得る場合、十分に大きいとみなすことができる。
【0011】
粉砕管は、駆動されることなく、重さないしは上記の復元トルクによって逆回転し、すなわち加速され、ないしは平衡位置の方向に自律的に回転する。好適には、粉砕プロセス中に粉砕管を駆動しかつ例えば巻線形電動機を有し得る駆動装置は、上記の逆回転中、連結解除される、及び/又は、遮断される、及び/又は空転状態にある。
【0012】
上記の算出される少なくとも1つの運動状態量は、粉砕管の回転角及び/又は回転角速度及び/又は回転角加速度であってよい。
【0013】
これに関連してまた以下で「算出」とは、値を(それぞれ直接又は間接的に)好適に規定する、決定する、測定すること又は計算することである。
【0014】
粉砕管は、この粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させるため、算出した少なくとも1つの運動状態量に依存して減速される。
【0015】
上記の依存性は有利には、粉砕管の設定可能及び/又は算出した回転角速度及び/又は回転角加速度への到達である。例えば、粉砕管が自律的に所定の回転角速度に達すると直ちにこの粉砕管は減速される。
【0016】
粉砕管は好適には、制動装置、例えば操作型制動器及び/又はロック型制動器によって減速される。粉砕管は急峻に、すなわち回転角加速度の可能な限りに大きな、時間についての変化により、及び/又は、所定の減速度に達するまで減速させてよい。有利には、上記の設定可能な減速度を生じさせるために制動装置を駆動する好適に構成された制御ないしは調整装置を設けることができる。
【0017】
上記の減速により、すなわち粉砕管の運動方向とは逆方向を向いた加速により、付着充填物の質量慣性力が、この付着充填物を剥離させるように作用するため、粉砕管の内壁からこの付着充填物が剥離されて有利である。
【0018】
これにより、付着充填物の実際の剥離を駆動なしに行うことができて特に有利である。 これにより、付着充填物を剥離させるための、粉砕管の駆動装置の一般的には安価ではない駆動制御を回避することできて有利である。これによりさらに相当な駆動エネルギを節約することができて有利である。さらに、付着充填物を剥離するため、一般的に粉砕管にすでに設けられている制動装置を使用することができて有利である。したがって駆動技術的に特にコスト的に有利であり、エネルギを節約し、かつ簡単に実行可能な付着充填物の剥離を得ることできる。
【0019】
簡単に言い表すと本発明では、付着充填物の重さによって十分に大きな復元トルクが発生する回転位置において、粉砕管を自律的に回転させ、設定可能な回転角加速度に達したときに制動を所期のようにないしは量を調整して駆動制御して、発生した質量慣性力によって粉砕管の内壁から付着充填物が有利に剥離されるようにする。
【0020】
さらに本発明では、粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させる装置が設けられる。この装置は、算出装置と、駆動ユニットと、制動装置と、制御装置とを有する。
【0021】
上記の算出装置は、対応する測定技術ないしはセンサを備えることができ、これによって有利には粉砕管の回転角及び/又は回転角速度及び/又は回転角加速度が(回転角減速度/減速度も)求められる。有利にはチューブミルのプロセス制御技術に設けられている一般的なタコメータをこの算出装置に含めることにより、特に回転角及び回転速度を特にコスト的に有利にかつ確実に求めることできる。
【0022】
上記の制動装置は、設定可能な減速度で粉砕管を制動するように構成されている。
【0023】
制動装置は好適には操作型制動器及び/又はロック型制動器を有しており、これらの制動器はそれぞれ、粉砕管を減速するために設けられている。制動装置は、粉砕管に制動圧及び/又は制動力及び/又は制動トルクを伝達するように構成可能である。好適には制動装置を構成して、制動圧及び/又は制動力及び/又は制動トルクが、閉ループ制御ないしは開ループ制御できるようにする。
【0024】
有利には制動圧及び/又は制動力及び/又は制動トルクを液圧式に形成する。
【0025】
上記の制御装置は、少なくとも1つの算出した運動状態量に依存して制動装置を駆動制御するように、また、設定可能な回転位置を粉砕管が取る際には、この駆動ユニットの駆動動作が遮断されるようにこの駆動ユニットを駆動制御するように構成されている。
【0026】
制御装置は有利には、制動装置の制動圧及び/又は制動力及び/又は制動トルクを制御するように構成されている。この制御は特に、算出装置によって求めた粉砕管の回転角速度に依存して行うことが可能である。
【0027】
本発明の有利な発展形態は、従属請求項からも得られる。これらの発展形態は、本発明による方法にも本発明による装置にも共に関連している。
【0028】
本発明及び以下で説明する発展形態は、ソフトウェアでも実現可能であると共に、例えば専用の電気回路を使用してハードウェアでも実現可能である。
【0029】
さらに、本発明又は以下で説明する発展形態は、本発明又はこの発展形態を実行するコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み出し可能記憶媒体によって実現することが可能である。
【0030】
本発明及び/又は以下で説明するすべての発展形態は、コンピュータプログラム製品によって実現することも可能であり、このコンピュータプログラム製品は、記憶媒体を有しており、この記憶媒体には、本発明及び/又は発展形態を実施するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0031】
有利な実施形態において、上記の粉砕管が取る設定可能な回転位置には、この粉砕管を駆動回転させることによって到達する。
【0032】
この駆動回転は、粉砕管の主駆動部及び副駆動部ないしは駆動装置によって生じさせることが可能である。上記の粉砕管が取る設定可能な回転位置は好適には、付着充填物の重さによって十分に大きな復元トルクが発生する、粉砕管の位置であってよい。復元トルクは、これが、駆動されることのない、すなわち、付着充填物の重さの方向にないしは接線方向に粉砕管の自律的な回転が生じ得る場合には十分に大きくなっている可能性がある。例えば、上記の粉砕管が取る回転位置は、この粉砕管の回転の平衡位置を起点として80°〜130°の回転角絶対値だけの回転によって取ることができる。駆動によって粉砕管が取る回転位置は、有利には付着充填物の不所望の剥離ないしは落下を生じ得ない位置である。
【0033】
付着充填物の重さに抗して粉砕管を駆動して回転させることにより、付着充填物の位置エネルギが増大する。このようにして形成されたエネルギは、粉砕管の単なる自律的な逆回転によって運動エネルギに変換可能である。さらにこの運動エネルギは、付着充填物の剥離に利用される。これにより、駆動技術的に特に容易に付着充填物を剥離させることができる。なぜならば設定可能な回転位置にこの付着充填物を回転させるだけでよいからである。
【0034】
別の実施形態では、粉砕管の設定可能な取る回転位置が、充填物特性に依存して求めた回転角によって設定されるように提案される。
【0035】
この充填物特性は、粉砕管の充填物量ないしは充填レベル、及び/又は、材料固有の特性値、及び/又は、充填物に経験的に対応付けられる値であってよい。例えば、所定の充填物では回転位置40°を、別の所定の充填物では位置80°(それぞれ充填物特性に応じて)を取り得る。このようにして回転角を求めることによって容易に、充填物が不所望に落下して、場合によってはチューブミルが損傷してしまわないようにすることが可能である。
【0036】
有利な発展形態によれば、粉砕管の取る回転位置は、この粉砕管の安定した平衡位置を起点として、40°〜80°の値を有する回転角によって設定される。
【0037】
粉砕管の上記の安定した平衡位置は、付着充填物の位置エネルギが、最小であり及び/又は駆動なしに粉砕管の自律的な回転が生じるほどには十分に大きくない、この粉砕管の回転位置とすることが可能である。一般的にこの位置は、付着充填物のいわゆる6時位置において得られる。
【0038】
有利な発展形態において、上記の算出される少なくとも1つの運動状態量は、粉砕管の回転角及び/又は回転角速度及び/又は回転角加速度であってよい。
【0039】
好適には上記の回転角も回転角速度も共にタコメータによって求めることができる。
【0040】
有利な実施形態では、逆回転中、粉砕管は、少なくとも1回、停止するまで減速させられる。
【0041】
好適には粉砕管は、急峻に、すなわち時間についての回転角加速度の可能な限りに大きな変化によって減速させられる。これによって簡単に、付着充填物の特に大きな慣性力と、対応する特に大きな剥離力とを付着充填物に生じさせることができる。
【0042】
特に停止状態までの制動に成功した後、改めて、駆動することなく回転させる場合、有利には粉砕管を一回以上減速することも可能である。
【0043】
有利な発展形態において、逆回転中、粉砕管は少なくとも1回、設定可能な減速度によって減速される。
【0044】
この設定可能な減速度は、上限値又は下限値であってよい。上限値は、特にチューブミルないしは粉砕管の負荷限界から、特にその駆動装置及び/又は制動装置から得ることができる。例えば、上限値は、これを上回ると、過度に大きい慣性力による機械的な酷使によってチューブミルの機能が損なわれることが予想される値であってよい。下限値は特に、これを下回ると、付着充填物が、慣性力によって粉砕管の内壁から剥離しない減速度値であってよい。
【0045】
有利な実施形態によれば、上記の設定可能な減速度は、充填物特性に依存して求められる。
【0046】
この設定可能な減速度は、下限値であって、これを下回ると、粉砕管の内壁からの付着充填物の剥離が想定され得ない下限値であってよい。
【0047】
これにより、良好に量を調整した、粉砕管の遅延を容易に行うことができ、その際にはチューブミルないしは粉砕管の、慣性力によって過度に大きな機械的な酷使が発生することはない。
【0048】
有利な発展形態において、上記の設定可能な減速度は、粉砕管の機械的な負荷限界に依存して算出される。
【0049】
この設定可能な減速度は、上限値であって、これを上回ると、許容できないほどに大きな慣性力による機械的な酷使によって粉砕管の損傷及び/又はチューブミルの機能が損なわれることが予想される上限値であってよい。
【0050】
これにより、粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させる際にチューブミルのコンポーネントないしはチューブミルの機械的な過負荷を容易に回避することができる。
【0051】
有利な発展形態によれば、駆動装置は、設定可能な回転位置に粉砕管を駆動回転させるように構成されており、制御装置は、算出した少なくとも1つの運動状態量及び/又は充填物特性に依存して、駆動装置を駆動制御するように構成されている。
【0052】
充填物特性に依存して求めた回転位置は必ずしも上記の装置によって求める必要はなく、制御装置への入力値ないしは設定値として伝送するないしは制御装置に入力することも可能である。特に有利であるのは、駆動装置の駆動制御が特に簡単に行われることであり、この駆動制御を駆動部の起動及び停止に限定することが可能である。
【0053】
有利な発展形態において上記の装置は、検出ユニットを有しており、この算出ユニットは、粉砕管の少なくとも1つの運動状態量に依存して、粉砕管の内壁からの付着充填物の剥離を求めるように構成されている。
【0054】
これによって簡単に求めることができるのは、粉砕管の少なくとも1回の減速が、この粉砕管の内壁からの付着充填物の剥離に結び付いたか否かである。
【0055】
有利な発展形態によれば、上記の制動装置は機械式の制動器を、特にドラムブレーキを有し、有利にはディスクブレーキを有する。
【0056】
機械式制動器は、さまざまな試験がなされているため、粉砕管の特に確実な制動を得ることができて有利である。制動装置は有利にはディスクブレーキを有しており、これによって特に高い減速度を、ひいては剥離力を生じさせることができて有利である。
【0057】
一変形実施形態において、算出装置は、磁気ホイールセンサを有する。磁気ホイールセンサは、さまざまな試験がなされており、測定精度が高いため、特に確実かつ正確に、例えば回転角を求めることができて有利である。
【0058】
本発明ではさらに、本発明による装置を備えたチューブミルがさらに設けられている。
【0059】
ここまで示した有利な実施形態の説明には数多くの特徴的構成が含まれており、これらの特徴的構成の一部は、個々の従属請求項において複数の特徴的構成にまとめて書き表されている。しかしながらこれらの特徴的構成は好適には個別のものとみなすことができ、意味のある別の複数の組み合わせにまとめることができる。特にこれらの特徴的構成は、従属請求項に記載したようにそれぞれ個別にまた任意の適切な組み合わせで、本発明の方法及び本発明の装置と組み合わせることができる。
【0060】
上で説明した本発明の特性、特徴及び利点、ならびにこれらがどのようにして得られるかは、図面に関連して詳しく説明される複数の実施例の以下の説明に結び付ければ、より一層明瞭かつ明らかに理解される。これらの実施例は、本発明の説明に使用されるが、本発明を、そこに示される複数の特徴の組み合わせに限定するものでも、又は機能的な特徴についても限定するものでもない。さらに、各実施例のこのために有利な複数の特徴的構成を、明示的に別々のものとみなすこともができ、1つの実施例から取り除く、補足のために別の実施例に採り入れる、及び/又は、複数の請求項のうちの任意のものと組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】内壁に付着充填物が付着した粉砕管を備えたチューブミルの概略図である。
【
図2】粉砕管の内壁から付着充填物を剥離させるための制御ないしは調整装置の概略構造を示す図である。
【
図3】駆動動作及び制動動作の対応する経過と共に、回転角の概略的な経過を時間について示す線図である。
【
図4】駆動動作及び制動動作の対応する経過と共に、回転角の別の概略的な経過を時間について示す線図である。
【
図5】粉砕管を駆動回転する一般的な駆動装置の略図である。
【
図8】さらに別のチューブミルの概略平面図である。
【0062】
図1には、例えば鉱石を粉砕するために使用されるチューブミル2が略示されている。チューブミル2は、フレーム体4と、円筒形の粉砕管6と、駆動装置10、(駆動装置10によって覆い隠された)制動装置12、算出装置14及び制御装置16を備えた装置8とを有する。
【0063】
粉砕管6は、回転軸18の周りに回転可能にフレーム体4に支承されており、また図示し易くするため1つの断面において示されている。粉砕管6は、内壁20を有する。付着充填物22は、粉砕管6の内部にあり、その内壁20に付着している。
【0064】
付着充填物22ないしは粉砕管6は、平衡位置24を起点として回転角26だけ回転した回転位置28にある。回転位置28では、付着充填物22の重心32に加わる重さ30が作用する。重さ30により、回転軸18の周りの復元トルクが発生する。
【0065】
チューブミル2の通常動作中、駆動装置10により、粉砕管6が回転駆動される。(ここでは図示していない)付着していない充填物は、この結果、充填物それ自体の間で、内壁20に、及び、場合によって設けられている球状又は円筒体(粉砕体)によって伝送される撃力、圧力及び剪断力によって粉砕される。チューブミル2の粉砕動作が十分に長い時間の間停止すると、冒頭に説明したように、
図1に示した、粉砕管6の内壁20における充填物の付着が発生することがある。
【0066】
粉砕管6の内壁20に充填物22が付着しているここに示したケースでは、駆動装置10によって粉砕管6を駆動した場合、所定の回転位置、例えば90°〜180°の値の範囲の回転位置を越えると、さらに剥離させるように作用する重さ32によって、不所望にも付着充填物22が落下してしまうことになり得る。付着充填物22の落下に結び付き得る回転角は、特に充填物特性34、例えば粉砕管6の充填レベル、又は付着充填物22の材料特性に依存する。
【0067】
算出装置14は、粉砕管6の実際の回転角26ないしは実際の回転位置28及び/又は回転角速度36及び/又は回転角加速度38を算出するように構成されている。算出装置は、
図1に示したように、必ずしも算出装置に組み込まれた構成部分でなくてもよく、算出装置とは切り離して配置することも可能な磁気ホイールセンサ15を有する。
【0068】
制動装置12は、回転角速度36及び/又は回転位置28ないしは回転角26に依存して粉砕管6を減速できるように構成されている。制動装置12は、制動圧力及び/又は制動力及び/又は制動トルクを粉砕管6に伝達するように構成されている。さらに制動装置12は、制動圧力及び/又は制動力及び/又は制動トルクを閉ループ制御ないしは開ループ制御できるように構成されている。すなわち、制動装置12は、制御装置16によって駆動制御されるように構成されている。
【0069】
制御装置16は、粉砕管6の回転角速度36及び/又は回転角加速度38及び/又は充填物特性34に依存して、制動圧力及び/又は制動力及び/又は制動トルクを閉ループ制御ないしは開ループ制御するように構成されている。
【0070】
粉砕管6の内壁20から付着充填物22を剥離させるため、駆動装置10は、平衡位置24を起点として回転位置28に粉砕管6を動かし、ここでこの回転位置28は、充填物特性34に依存して設定することができる。この際には当然のことながら、
図1に示した回転方向とは逆にこの駆動回転を行うことも可能であり、重要なのは、回転角26の絶対的な大きさだけである。
【0071】
回転位置28に到達して駆動装置10を遮断ないしは連結解除した後、粉砕管6は、駆動されず(自律的に)(重さ30ないしは重さ30から得られる復元トルクによって回転軸18の周りに)上記の駆動回転方向とは逆に平衡位置24の方向に回転する。算出装置14は、特に粉砕管6の自律の回転中に、回転位置28から、粉砕管6の発生した回転角26及び/又は回転角速度36及び/又は回転角速度38を算出する。
【0072】
このようにして算出した回転角速度36に依存して制御装置16は、粉砕管6に加わる制動装置12の制動圧力ないしは制動力ないしは制動トルクを制御して、粉砕管6が所期のように減速されるようにする。粉砕管6をこのように減速することにより、付着充填物22の質量慣性力が、付着充填物22を剥落させるように作用するため、粉砕管6の内壁20から付着充填物22が剥落することになって有利である。
【0073】
粉砕管6は、特に充填物特性34に依存して減速される。すなわち、例えば充填物特性34に応じて、制動装置12は、粉砕管を可能な限りに迅速に停止状態まで、又はあらかじめ設定可能な回転角速度38ないしはあらかじめ設定可能な減速度48で制動する。さらにチューブミル2の機械的な使用限界に合わせて、あらかじめ設定可能な減速度39を定めることができる。これにより、強すぎる減速によって制動装置12ないしはチューブミル2の機械的な過負荷が生じないことを保証することができる。
【0074】
粉砕管6を一度制動した後、付着充填物22の剥離が行われなかった場合、上記の過程を繰り返すことができ、この繰り返しは、粉砕管6が、平衡位置24に到達するまで、ないしは、重さ32によって形成される復元トルクが、この粉砕管6を自律的に回転させるのに十分でなくなるまで行われる。
【0075】
平衡位置24への逆回転に失敗した後、粉砕管6を改めて回転位置28に回転させることができ、有利にはさらに回転させた回転位置に回転させることもでき、つぎに付着充填物22を剥離させるための別の複数のステップを改めて実行する。
【0076】
図2には、粉砕管6の内壁20から付着充填物22(20、22については
図1を参照されたい)を剥離させるための調整ないしは制御装置8の概略構造が示されている。
【0077】
装置8は、駆動装置10と、制動装置12と、算出装置14と、制御装置16とを有する。
【0078】
粉砕管6の内壁20から付着充填物22を剥離させるため、算出装置14は、粉砕管6の少なくとも1つの運動状態量40を算出する。少なくとも1つのこの運動状態量40ないしは複数の運動状態量40は有利には、重さによる自律的な回転の元で粉砕管6が示す回転角26及び/又は回転角速度36及び/又は回転角加速度38である。
【0079】
少なくとも1つの運動状態量40の値は、測定信号42として制御装置16に伝送される。
【0080】
少なくとも1つの運動状態量40に依存して、有利には回転角速度36及び回転角加速度38に依存して、制御装置16は、制御信号44を介して制動装置12を駆動制御する。
【0081】
制動装置12は、制動トルク46(制動圧、制動力でもよい)の作用によって粉砕管6を所期のように減速する。ここでは算出装置14によって求めた運動状態量40、有利には回転角加速度38に依存して制動トルク46を閉ループ制御又は少なくとも開ループ制御することができる。
【0082】
設定可能な減速度48は、データないしは値として制御装置16に格納されている。 設定可能なこの減速度48は、一時的な定数、又は時間について変化する値であってよく、この値は特に付着充填物22の充填物特性34に依存する(22、34については
図1を参照されたい)。付着充填物特性34は、複数の値からなる集合であってもよい複数の入力値50の形態で制御装置16に入力されるか又はこの制御装置16によって算出される。入力値50は有利には、付着充填物22の材料固有の特性及び/又は粉砕管6の充填レベルに関係する。
【0083】
制動装置12は、設定した減速度48を(上限値の場合に)上回らないかないしは(下限値の場合に)少なくともこれに到達しないように、粉砕管を制動するかないしは制御信号44を介して制御装置16によって駆動制御される。
【0084】
減速の結果として十分に高い回転角加速度38(減速)が得られる場合、冒頭に述べた複数の理由から、粉砕管6の内壁20から付着充填物22が剥離する。
【0085】
これとは時間的に先行して粉砕管6は、駆動装置10によって生じる駆動トルク52(駆動力でもよい)により、好適な回転位置に回転させられる。この回転は、冒頭に述べたように、付着充填物22の復元トルクに抗して行われ、また制御装置16により、制御信号54を介して制御される。
【0086】
制御装置による駆動装置10の駆動制御は有利には、付着充填物22の充填物特性34に依存して、すなわち入力値50に依存して行われる。すなわち、取るべき回転位置は、入力値50に依存して算出されるか、そうでなければ設定可能な回転位置56として制御装置16に格納される。
【0087】
図3には、粉砕管6の内壁20から付着充填物22(6、20、22については
図1を参照されたい)を剥離する間の、時間58(横軸[s])についての粉砕管6の回転角26(縦軸[φ])の概略経過を有する線図が示されている。さらに、駆動動作60(縦軸[A])及び制動動作62(縦軸[B])の対応する経過がそれぞれ時間58について示されており、ここで図示した3つの時間軸は同じである。
【0088】
時点66の回転位置64における粉砕管6の平衡位置24(
図1を参照されたい)を起点として、粉砕管6は、駆動動作68によって時点72に回転位置70に回転させられる。時点66と72との間の駆動動作68中、駆動トルク52(
図2を参照されたい)が粉砕管6(
図1、2を参照されたい)に伝達されるが、ここでは図示し易くするため、駆動トルク52の明示的な経過は示していない。
【0089】
時点72に駆動動作68を遮断した後、粉砕管は、冒頭で説明したように付着充填物の重さにより、前に駆動動作68によって行われた回転とは逆方向に自律的に回転する。この際には、回転角速度が増大する。
【0090】
時点74には、制動動作76により、粉砕管が急峻に減速され、この粉砕管は、回転位置78において静止する。時点74と80との間の制動動作76中、制動トルク46(
図2)が粉砕管6(
図1、2を参照されたい)に伝達される。ここでは制動トルク46の明らかな経過は、図示し易くするために示していない。制動動作76は、時点80に終了し、これによって粉砕管6は、改めて自律的に回転して加速する。この際に、算出可能な回転角加速度は、梃子の腕に依存して減少した、付着充填物22の復元トルクの結果、時点72における元々の逆回転の回転角加速度よりも小さい。
【0091】
後続の時点82には新たな制動動作84によって粉砕管6が再度急峻に減速され、この粉砕管は回転位置86において停止する。制動動作84は、時点88に終了し、この際に粉砕管は、新たに自律的に回転することはなく、充填物が剥離された状態で回転位置86に静止する。
【0092】
図4には、粉砕管6の内壁20から付着充填物22(6、20、22については
図1を参照されたい)が剥離する間の、粉砕管6の回転角26(縦軸[φ])の、時間58(横軸[s])についての概略的な経過を有する別の線図が示されている。さらに、ここでも駆動動作60(縦軸[A])及び制動動作62(縦軸軸[B])の対応する経過がそれぞれ時間58について示されており、図示した3つの時間軸は同じである。
【0093】
時点92の回転位置90における粉砕管6の平衡位置24(
図1を参照されたい)を起点として、粉砕管6は、駆動動作94により、時点98に回転位置96に回転させられる。
【0094】
時点98に駆動動作94を遮断した後、粉砕管6は、冒頭で説明したように付着充填物の重さにより、前に駆動動作94によって行われた回転とは逆方向に自律的に回転する。この際には、回転角速度が増大する。
【0095】
時点100には、制動動作102により、設定可能な減速度48(
図2を参照されたい)に到達するまで粉砕管6が減速され、この粉砕管6は、回転位置104において静止する。すなわち、粉砕管6は、
図3に示した実施例とは異なり、急峻ではなく適正に量が調整されて減速されるのである。制動動作102は、回転位置106において、有利にはこの時点に求められる回転速度36(
図1、2を参照されたい)に依存して開始される。制動動作102は、時点108に終了し、これに続いて粉砕管6は、時点110まで、改めて自律的に回転し、付着充填物22が剥離されることなく、改めて平衡位置24(
図1を参照されたい)ないしは回転位置90に到達する。
【0096】
時点110と114との間の新たな駆動動作112、時点114と116との間の粉砕管の自律的な加速、及び時点116と120との間のさらなる制動動作118により、粉砕管6の内壁20から付着充填物22が剥離する。この結果、制動動作118の終了後、粉砕管が新たに回転することはなく、この粉砕管は、回転位置104に停止する。
【0097】
図5には、粉砕管6を駆動回転させる一般的な駆動装置10が略示されている。駆動装置10は、主駆動装置122と、主変速装置124と、副駆動装置126と、副変速装置128と、2つの副クラッチ130と、主クラッチ132とを有する。制動装置12は、副駆動装置126と、副変速装置128との間に配置されており、この制動装置12は、別の位置又は駆動装置10とは構造的に切り離して配置することも可能である。駆動装置10は、粉砕管6の周囲に配置可能なリングギア134に作用を及ぼす。
【0098】
図6には、チューブミル2aが平面図で略示されている。チューブミル2aは、回転軸18の周りで回転可能に支承された粉砕管6と、主駆動装置122a及び主変速装置124aを備えた駆動装置10aとを有する。駆動装置10aは、リングギア134に作用を及ぼす。チューブミル2aは複数の制動装置12aをさらに有する。これらの制動装置は、主駆動装置122aと主変速装置124aとの間、また出力側では主変速装置124a及びリングギア134に取り付けられている。
【0099】
図7には、別のチューブミル2bが平面図で略示されている。チューブミル2bは、回転軸18の周りで回転可能に支承された粉砕管6と、主駆動装置122b及び主変速装置124bを備えた駆動装置10bと、副駆動装置126aと、副変速装置128aとを有する。駆動装置10bは、リングギア134に作用を及ぼす。チューブミル2bは複数の制動装置12bをさらに有する。これらの制動装置は、主駆動装置122bと主変速装置124bとの間、主変速装置124bの出力側、及び副駆動装置126aと副変速装置128aとの間に取り付けられており、また出力側では副変速装置128a及びリングギア134に取り付けられている。
【0100】
図8には、別のチューブミル2cが平面図で略示されている。チューブミル2cは、回転軸18の周りで回転可能に支承された粉砕管6と、主駆動装置122c及び主変速装置124cを備えた駆動装置10cと、副駆動装置126bと、副変速装置128bとを有する。駆動装置10cの主変速装置124cは、リングギア134に直接作用を及ぼす。チューブミル2cは複数の制動装置12cをさらに有する。これらの制動装置は、主駆動装置122cと主変速装置124cとの間、及び副駆動装置126bと副変速装置128bとの間に取り付けられており、また副変速装置128b及びリングギア134に取り付けられている。