(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態における情報提供システム10の一実施の形態の構成を示すブロック図である。情報提供システム10は、ユーザに緊急を要する症状が発生しているか否かを判定し、ユーザの健康状態に関する情報を、あらかじめ登録されている送信先のうち、情報開示の有用性が認められる送信先へ送信して、患者、すなわちユーザの情報を開示することを目的とする。情報提供システム10は、ユーザが所持するユーザ端末100と、ユーザ端末100から送信されるデータを解析して、ユーザの症状の緊急性、及び情報開示に対する有用性を判定し、通信回線で接続された送信先端末300へ情報を送信する情報提供装置200とで構成される。
【0009】
ユーザ端末100は、本実施の形態におけるユーザが所持する情報端末であって、例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末などが用いられる。
図2は、本実施の形態におけるユーザ端末100として、スマートフォンを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、スマートフォンに、以下に説明する処理を実行するためのユーザ端末用ソフトウェアがインストールされることにより、本実施の形態におけるユーザ端末100として動作する。なお、ユーザ端末用ソフトウェアのプログラムは、インターネットを介して接続されたサーバ上で公開されることにより提供され、ユーザ自身、またはユーザの主治医や家族といった関係者がこれをダウンロードにより入手し、ユーザ端末100にあらかじめインストールされているものとする。あるいは、ユーザ端末用ソフトウェアのプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されて提供されるようにしてもよい。
【0010】
ユーザ端末100は、タッチパネル101と、通信モジュール102と、GPSモジュール103と、加速度センサー104と、制御装置105とを備えている。
【0011】
タッチパネル101は、液晶パネル等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作することができる入力装置である。例えば、ユーザ端末100の操作者は、液晶パネル上に表示されたボタンやメニュー等の表示項目を指やタッチペンを用いてタッチまたはスライドさせることにより、ユーザ端末100を操作することができる。タッチパネル101は、操作者によるタッチやスライドといった操作を検出して、その検出信号を制御装置105へ出力する。
【0012】
通信モジュール102は、無線または有線により、LANや携帯電話通信網を介してユーザ端末100をインターネットに接続させるためのモジュールを含む。ユーザ端末100は、通信モジュール102を介してインターネットに接続することにより、情報提供装置200と通信を行うことが可能となる。
【0013】
GPSモジュール103は、GPS衛星と通信を行って、GPS衛星から現在位置を特定するための測位情報を受信するためのモジュールであり、GPS衛星と通信を行うためのアンテナや制御回路等が含まれる。
【0014】
加速度センサー104は、ユーザ端末100の移動に伴う加速度を検出するためのセンサーとその周辺回路を含む。
【0015】
制御装置105は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、ユーザ端末100の全体を制御する。なお、制御装置105を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、ユーザ端末100を動作させるためのファームウェアや種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。本実施の形態では、この不揮発性のメモリに、上述したユーザ端末用ソフトウェアのプログラムが記録されている。
【0016】
情報提供装置200は、インターネットに接続された装置であって、例えば、パソコンやサーバなどが用いられる。
図3は、本実施の形態における情報提供装置200として、サーバ装置を用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。情報提供装置200は、接続インターフェース201と、制御装置202と、記憶媒体203とを備えている。
【0017】
接続インターフェース201は、情報提供装置200をインターネット等の通信回線に接続するためのインターフェースであり、例えば、インターネットに有線で接続するための有線LANモジュールや、インターネットに無線で接続するための無線LANモジュールなどが用いられる。本実施の形態では、情報提供装置200は、この接続インターフェース201を介してユーザ端末100や送信先端末300と通信する。
【0018】
制御装置202は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、情報提供装置200の全体を制御する。なお、制御装置202を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。例えば、接続インターフェース201を介して読み込まれたデータは、バッファメモリに一時的に記録される。
【0019】
記憶媒体203は、情報提供装置200が蓄える種々のデータや、制御装置202が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記憶媒体203に記録されるプログラムのデータは、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供され、操作者が取得したプログラムのデータを記憶媒体203にインストールすることによって、制御装置202がプログラムを実行できるようになる。
【0020】
送信先端末300は、情報提供装置200からの情報の送信先に配置された情報端末であって、例えば、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などが用いられる。
図4は、送信先端末300として、パソコンを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。送信先端末300は、操作部材301と、接続インターフェース302と、制御装置303と、記憶媒体304と、表示装置305とを備えている。
【0021】
操作部材301は、送信先端末300の操作者によって操作される種々の装置、例えばキーボードやマウスを含む。
【0022】
接続インターフェース302は、送信先端末300を他の装置や端末等の外部機器と接続するためのインターフェースである。例えば、送信先端末300は、LANやインターネット等の通信回線に接続するためのインターフェースが含まれる。送信先端末300は、この接続インターフェース302を介して情報提供装置200と通信を行う。
【0023】
制御装置303は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、送信先端末300の全体を制御する。なお、制御装置303を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。例えば、接続インターフェース302を介して読み込まれたデータは、バッファメモリに一時的に記録される。
【0024】
記憶媒体304は、送信先端末300が蓄える種々のデータや、制御装置303が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記憶媒体304に記録されるプログラムのデータは、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供され、公開者が取得したプログラムのデータを記憶媒体304にインストールすることによって、制御装置303がプログラムを実行できるようになる。
【0025】
表示装置305は、例えば液晶モニタであって、制御装置303から出力される種々の表示用データが表示される。
【0026】
本実施の形態における情報提供システム10では、ユーザ端末100は、ユーザが装着したバイタルデータ測定機能を備えるウェアラブル端末で測定されたユーザのバイタルデータを取得し、取得したバイタルデータを情報提供装置200へ送信する。このために、ユーザ端末100とウェアラブル端末とは、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信技術を用いて接続され、両機器間で通信を行うためのペアリングがあらかじめ行われている。
【0027】
例えば、ユーザが手首に巻いて装着するウェアラブル端末の場合、ユーザの身体と接する部分に血圧測定、脈拍測定、心電図測定、心拍数測定を行うためのセンサーが搭載されており、ユーザの血圧データ、脈拍データ、心電図データ、心拍数データを計測することが可能となる。なお、手首に巻き付けるタイプのウェアラブル端末において、装着者の血圧、脈拍、心電図、心拍数を測定するための技術については、公知のため、ここでの説明は省略する。また、ウェアラブル端末がユーザの血糖値や脳波も測定可能な場合には、血糖値や脳波のデータも本実施の形態におけるバイタルデータに含まれる。
【0028】
ウェアラブル端末では、常時連続して、またはあらかじめ設定された測定タイミングでバイタルデータを測定し、ウェアラブル端末固有の端末IDとバイタルデータの測定結果とを関連付けた測定結果データをユーザ端末100へ送信する。制御装置105は、ウェアラブル端末から測定結果データを受信すると、受信した測定結果データと、ユーザに対して一意に付与されている利用者IDと、GPSモジュール103からの出力に基づいて特定したユーザ端末200の現在位置と、加速度センサー104からの出力に基づいて特定したユーザ端末200の加速度とを関連付けた解析用情報を情報提供装置200へ送信する。
【0029】
情報提供装置200では、制御装置202は、ユーザ端末100から受信した解析用情報を記憶媒体203に記録するともに、解析用情報に基づいて、ユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定するための緊急性判定処理を実行する。以下、緊急性判定処理について説明する。
【0030】
制御装置202は、解析用情報に含まれる利用者IDに基づいて、ユーザに関する情報を記憶媒体203から読み出す。ユーザに関する情報は、あらかじめ記憶媒体203に登録されているものとする。
【0031】
本実施の形態では、ユーザに関する情報は、あらかじめユーザ端末100上で入力され、情報提供装置200へ送信されることにより登録されているものとする。なお、ユーザに関する情報については、以下に示す情報のうち、情報提供装置200や送信先端末300上で入力可能な情報は、情報提供装置200上で入力されて登録されたり、送信先端末300上で入力され、情報提供装置200へ送信されることにより登録されるようにしてもよい。
【0032】
本実施の形態では、ユーザに関する情報には、ユーザを特定するための個人特定用情報と、ユーザの属性を示す属性情報などのユーザの個人情報が含まれる。個人特定用情報には、ユーザを一意に特定するための利用者IDと、ユーザの氏名、住所、電話番号、生年月日を含む名寄せ情報と、ユーザの指紋、網膜、声紋、顔面などを用いた生体認証情報が含まれる。属性情報には、ユーザ個人を分類するための個人分類情報とユーザの医療情報とユーザの活動や契約に関する活動・契約情報が含まれる。個人分類情報には、ユーザの性別、年齢、住所、身長、体重、血液型などの情報が含まれる。医療情報には、ユーザの症状、医師による所見、検査結果、ユーザのバイタルデータ(血圧、脈波、脳波、心電図、血糖値、心拍数等)、ユーザの処方歴、既往歴、常用薬、かかりつけ病院などの情報が含まれる。活動・契約情報には、ユーザの購買に関する情報、ユーザの運動量に関する情報、ユーザが加入している保険に関する情報などが含まれる。なお、本実施の形態では、医療情報に含まれるユーザのバイタルデータには、ユーザ端末100から解析用情報を受信したときに、解析用情報に含まれるバイタルデータの測定結果が履歴データとして記録されていく。
【0033】
制御装置202は、緊急性判定処理を行うに当たり、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報の中から、利用者IDが解析用情報に含まれる利用者IDと一致するデータを読み出す。そして、ユーザ端末200から受信した解析用情報と、記憶媒体203から読み出したユーザに関する情報を用いて、以下のようにユーザの緊急性判定を行う。ここでは、バイタルデータのうち、ユーザの血圧値に基づいて、ユーザが脳内出血や心筋梗塞などを発症しているか否かを判定することにより、ユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定する場合を例に、処理の内容を説明する。
【0034】
制御装置202は、解析用情報のバイタルデータに含まれる血圧測定値が正常値、例えば135mmHG/85mmHGより高い数値であるか否かを判定する。制御装置202は、その結果、ユーザの血圧測定値が正常値より高い場合には、緊急性を示す指標値に10を加算する。一方、ユーザの血圧測定値が正常値より低い場合には、緊急性を示す指標値への加減算は行わない。なお、この指標値の初期値は0であり、この数値が高いほどユーザに緊急を要する症状が発生している可能性が高いことを意味する。本実施の形態では、ユーザの緊急性を示す指標値を用いてスコアリングを行い、スコアリング結果に基づいてユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定する
【0035】
制御装置202は、解析用情報に含まれるユーザ端末200の加速度に基づいて、ユーザ端末200に急激な加速が所定時間以上継続して発生しているか否かを判定する。例えば、ユーザ端末200で検出された直近1分間の加速度の平均値が、地面と水平方向へ0.5G以上であるか否かを判定する。制御装置202は、その結果、ユーザ端末200に急激な加速が所定時間以上継続して発生していることを検出した場合には、緊急性を示す指標値に3を加算する。一方、ユーザ端末200に急激な加速が所定時間以上継続して発生していることを検出しない場合には、緊急性を示す指標値へ1を加算する。なお、ユーザ端末200に急激な加速が所定時間以上継続して発生している場合は、ユーザは運動中である可能性が高いことから、本実施の形態では、緊急性を示す指標値への加算量を大きくしている。
【0036】
制御装置202は、解析用情報に含まれるユーザ端末200の現在位置が病院の敷地内に位置しているか否かを判定する。例えば、病院の敷地範囲を緯度・経度を用いて特定した敷地特定用情報があらかじめ記憶媒体203に記録されており、制御装置202は、解析用情報に含まれるユーザ端末200の現在位置が敷地特定用情報によって特定される病院の敷地内に位置しているか否かを判定する。制御装置202は、その結果、ユーザ端末200が病院の敷地内に位置していることを検出した場合には、緊急性を示す指標値から10を減算する。一方、ユーザ端末200が病院の敷地内に位置していないことを検出した場合には、緊急性を示す指標値への加減算は行わない。なお、ユーザ端末200が病院の敷地内に位置している場合は、ユーザは既に院内にいるため、本実施の形態では、緊急性を示す指標値から減算している。
【0037】
制御装置202は、解析用情報に含まれるユーザ端末200の現在位置と、記憶媒体203に記録されている過去に受信した解析用情報に含まれるユーザ端末200の現在位置とに基づいて、ユーザ端末200が所定時間内にどの程度移動しているかを判定し、ユーザの移動距離に応じて緊急性を示す指標値のスコアリングを行う。本実施の形態では、ユーザの移動距離が長いほどユーザは緊急性が高い状況にあると判定して、緊急性を示す指標値への加算量を大きくする。例えば、本実施の形態では、制御装置202は、直近の1分間の移動距離が30m以上100m未満であれば、ユーザは歩行中であると判定して、緊急性を示す指標値に3を加算する。また、制御装置202は、直近の1分間の移動距離が100m以上であれば、ユーザは乗り物に乗って移動中であると判定して、緊急性を示す指標値に5を加算する。また、制御装置202は、直近の1分間の移動距離が30m未満であれば、ユーザは移動していないと判定して、緊急性を示す指標値から2を減算する。
【0038】
制御装置202は、記憶媒体203から読み出したユーザに関する情報に基づいて、ユーザの既往歴に脳内出血があるか否かを判定する。ユーザの既往歴に脳内出血がある場合は、ユーザに緊急性が高い症状が発生している可能性が高いため、緊急性を示す指標値に10を加算する。一方、ユーザの既往歴に脳内出血がない場合は、緊急性を示す指標値から5を減算する。
【0039】
制御装置202は、記憶媒体203から読み出したユーザに関する情報に基づいて、ユーザの既往歴に心筋梗塞があるか否かを判定する。ユーザの既往歴に心筋梗塞がある場合は、ユーザに緊急性が高い症状が発生している可能性が高いため、緊急性を示す指標値に8を加算する。一方、ユーザの既往歴に心筋梗塞がない場合は、緊急性を示す指標値から4を減算する。
【0040】
制御装置202は、上記処理によって緊急性を示す指標値に加減算を行った結果、緊急性を示す指標値のスコアリング結果が15以上である場合には、ユーザは緊急状態にある、すなわちユーザに緊急を要する症状が発生している可能性が高いと判定する。一方、緊急性を示す指標値のスコアリング結果が15未満である場合には、ユーザは正常状態にある、すなわちユーザに緊急を要する症状は発生していない可能性が高いと判定する。
【0041】
次に、制御装置202は、あらかじめ登録されている情報の送信先へユーザの健康状態に関する情報を提供することの有用性の有無を判定する。このために、制御装置202は、以下に説明する有用性判定処理を実行する。なお、本実施の形態では、以下に説明するように、有用性を示す指標値を用いてスコアリングを行い、スコアリング結果に基づいて送信先への情報提供の有用性の有無を判定する。なお、有用性を示す指標値の初期値は0であり、この数値が高いほど送信先への情報提供の有用性が高いことを意味する。
【0042】
記憶媒体203には、ユーザの健康状態に関する情報の送信先として、少なくとも1つの情報提供先が登録されている。ユーザの健康状態に関する情報の送信先としては、例えば、消防などの行政、病院などの医療機関、保険会社などの民間企業を想定する。制御装置202は、登録されている送信先ごとに、ユーザの健康状態に関する情報を提供することの有用性の有無を判定する。有用性を判定するためのスコアリング処理は、例えば、以下のようになる。
【0043】
送信先が消防などの行政である場合には、制御装置202は、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報にバイタル情報が含まれているか否かを判定する。その結果、ユーザに関する情報にバイタル情報が含まれている場合には、制御装置202は、有用性を示す指標値に1を加算する。また、制御装置202は、上述した処理で、ユーザに緊急を要する症状が発生していると判定した場合には、有用性を示す指標値に1を加算する。また、制御装置202は、ユーザ端末200の位置情報に基づいて、ユーザの現在位置が情報送信先の管轄内であるか否かを判定する。その結果、ユーザの現在位置が情報送信先の管轄内である場合には、制御装置202は、有用性を示す指標値に1を加算する。制御装置202は、このスコアリング処理の結果、有用性を示す指標値が3以上の場合には、ユーザの健康状態に関する情報を送信先、すなわち行政に送信することは有用性があると判定する。
【0044】
これによって、行政は、ユーザに緊急を要する症状が発生している状況において、ユーザに関する情報にバイタル情報が把握でき、かつユーザの現在位置が自管轄内である場合には、ユーザの症状を把握するための情報を入手することが有用であることを加味して、行政にとってユーザの健康状態に関する情報を受信することの有用性の有無を判定することができる。
【0045】
送信先が病院などの医療機関である場合には、制御装置202は、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報にバイタル情報が含まれているか否かを判定する。その結果、ユーザに関する情報にバイタル情報が含まれている場合には、制御装置202は、有用性を示す指標値に1を加算する。また、制御装置202は、上述した処理で、ユーザに緊急を要する症状が発生していると判定した場合には、有用性を示す指標値に1を加算する。また、制御装置202は、ユーザ端末200の位置情報に基づいて、ユーザの現在位置が情報送信先の管轄内であるか否かを判定する。その結果、ユーザの現在位置が情報送信先の管轄内である場合には、制御装置202は、有用性を示す指標値に1を加算する。制御装置202は、このスコアリング処理の結果、有用性を示す指標値が3以上の場合には、ユーザの健康状態に関する情報を送信先、すなわち医療機関に送信することは有用性があると判定する。
【0046】
これによって、医療機関は、ユーザに緊急を要する症状が発生している状況において、ユーザに関する情報にバイタル情報が把握でき、かつユーザの現在位置が自管轄内である場合には、ユーザの症状を把握するための情報を入手することが有用であることを加味して、医療機関にとってユーザの健康状態に関する情報を受信することの有用性の有無を判定することができる。
【0047】
送信先が保険会社などの民間企業である場合には、制御装置202は、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報にバイタル情報が含まれているか否かを判定する。その結果、ユーザに関する情報にバイタル情報が含まれている場合には、制御装置202は、有用性を示す指標値に1を加算する。また、制御装置202は、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報にバイタル情報以外の医療情報が含まれているか否かを判定する。その結果、ユーザに関する情報にバイタル情報以外の医療情報が含まれている場合には、制御装置202は、有用性を示す指標値に1を加算する。また、制御装置202は、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報に活動・契約情報が含まれているか否かを判定する。その結果、ユーザに関する情報に活動・契約情報が含まれている場合には、制御装置202は、有用性を示す指標値に1を加算する。また、制御装置202は、上述した処理で、ユーザに緊急を要する症状が発生していない、すなわちユーザは正常状態であると判定した場合には、有用性を示す指標値に1を加算する。また、制御装置202は、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報に活動・契約情報に基づいて、ユーザが送信先のサービスに対する契約者であるか否かを判定し、契約者である場合には、有用性を示す指標値に1を加算する。制御装置202は、このスコアリング処理の結果、有用性を示す指標値が3以上の場合には、ユーザの健康状態に関する情報を送信先、すなわち民間企業に送信することは有用性があると判定する。
【0048】
これによって、民間企業にとっては、ユーザに緊急を要する症状が発生していない正常状態において、ユーザが自社のサービスの契約者であり、ユーザの医療情報と活動・契約情報が把握できる場合には、ユーザの健康状態に関する情報を入手することが有用であることを加味して、民間企業にとってユーザの健康状態に関する情報を受信することの有用性の有無を判定することができる。
【0049】
制御装置202は、上述した処理によって情報を送信することに有用性があると判定した送信先に対してユーザの健康状態に関する情報を送信するに当たり、該送信先へ情報を提供することに対して、ユーザの同意が取れているか否かを判定する。本実施の形態では、事前に各送信先へ情報を提供することに同意するか否かをユーザに確認しておき、確認がとれたものについては、送信先ごとの同意の有無を示す同意情報が記憶媒体202に記録されているものとする。
【0050】
制御装置202は、情報を送信することに有用性があると判定した送信先に対する同意の有無を同意情報を参照して確認した結果、ユーザの同意が得られていると判定した場合には、その送信先の送信先端末300へユーザの健康状態に関する情報を送信する。ユーザの健康状態に関する情報としては、例えば、「○時〇分にA氏に高血圧140mmHG/90mmHGが測定された。位置情報は、経度○○.○○、緯度: ○○○.○○(〇〇県〇〇市○○町〇丁目)、管轄内、既往歴に脳内出血・心筋梗塞あり」のような情報を送信する。
【0051】
一方、制御装置202は、情報を送信することに有用性があると判定した送信先に対する同意の有無を同意情報を参照して確認した結果、ユーザの同意が得られていないと判定した場合には、ユーザにその送信先へ情報を提供することに対する追加同意を得るために、ユーザ端末100に追加同意を取り付けるためのメッセージを送信する。
【0052】
ユーザ端末100では、制御装置105は、情報提供装置200から追加同意を取り付けるためのメッセージを受信した場合には、メッセージ内容をタッチパネル101に表示し、同意するか否かについて、ユーザからの回答を待つ。本実施の形態では、例えば、「あなたのバイタルデータ(血圧)を行政(消防)に提供することに同意しますか?」のメッセージとともに、「YES」と「NO」のボタンを表示し、ユーザからの指示を待つ。制御装置105は、ユーザによって「YES」のボタンがタッチされることにより、追加同意が得られた場合には、追加同意が得られたことを示す情報を追加同意結果として情報提供装置200へ送信する。一方、制御装置105は、ユーザによって「NO」のボタンがタッチされることにより、追加同意が得られなかった場合には、追加同意が得られなかったことを示す情報を追加同意結果として情報提供装置200へ送信する。
【0053】
情報提供装置200では、制御装置202は、ユーザから追加同意が得られた場合には、その送信先の送信先端末300に宛てて、上記と同様のユーザの健康状態に関する情報を送信する。これによって、事前にユーザの同意が得られていない場合であっても、追加で同意を取り付けて有用性のある情報を送信先へ送信することができる。
【0054】
送信先端末300では、制御装置303は、情報提供装置200から情報を受信すると、受信した情報を記憶媒体304へ記録するとともに、表示装置305へ表示する。これによって、送信先の行政、医療機関、民間企業は、有用性のある情報を取得することができる。
【0055】
図5は、本実施の形態におけるユーザ端末100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示す処理は、上述したユーザ端末用ソフトウェアの実行が指示されると起動するプログラムとして、制御装置105によって実行される。
【0056】
ステップS10において、制御装置105は、ウェアラブル端末から上述した測定結果データを受信したか否かを判断する。ステップS10で否定判断した場合には、後述するステップS30へ進む。これに対して、ステップS10で肯定判断した場合には、ステップS20へ進む。
【0057】
ステップS20では、制御装置105は、受信した測定結果データと、ユーザに対して一意に付与されている利用者IDと、GPSモジュール103からの出力に基づいて特定したユーザ端末200の現在位置と、加速度センサー104からの出力に基づいて特定したユーザ端末200の加速度とを関連付けた解析用情報を情報提供装置200へ送信する。その後、ステップS30へ進む。
【0058】
ステップS30では、制御装置105は、上述したように、情報提供装置200から追加同意を取り付けるためのメッセージを受信したか否かを判断する。ステップS30で否定判断した場合には、後述するステップS60へ進む。これに対して、ステップS30で肯定判断した場合には、ステップS40へ進む。
【0059】
ステップS40では、制御装置105は、追加同意を得るためのメッセージを表示した追加同意確認画面をタッチパネル101に表示する。その後、ステップS50へ進む。
【0060】
ステップS50では、制御装置105は、追加同意を得るためのメッセージに対するユーザの応答結果を示す追加同意結果を情報提供装置200へ送信する。その後、ステップ60へ進む。
【0061】
ステップS60では、制御装置105は、ユーザ端末用ソフトウェアの終了が指示されか否かを判断する。ステップS60で否定判断した場合には、ステップS10へ戻る。これに対して、ステップS60で肯定判断した場合には、処理を終了する。
【0062】
図6は、本実施の形態における情報提供装置200で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示す処理は、ユーザ端末200から上述した解析用情報を受信すると起動するプログラムとして、制御装置202によって実行される。
【0063】
ステップS100において、制御装置202は、ユーザ端末100から受信した解析用情報を記憶媒体203に記録する。その後、ステップS110へ進む。
【0064】
ステップS110では、制御装置202は、上述したように、ユーザの緊急性を示す指標値を用いてスコアリングを行うことによって、ユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定するための緊急性判定処理を実行する。その後、ステップS120へ進む。
【0065】
ステップS120では、制御装置202は、上述したように、情報送信の有用性を示す指標値を用いてスコアリングを行うことによって、送信先へユーザの健康状態に関する情報を送信することの有用性の有無を判定するための有用性判定処理を実行する。その後、ステップS130へ進む。
【0066】
ステップS130では、制御装置202は、有用性判定処理の結果、ユーザの健康状態に関する情報を送信することの有用性がある送信先が存在するか否かを判定する。ステップS130で否定判断した場合には、処理を終了する。これに対して、ステップS130で肯定判断した場合には、ステップS140へ進む。
【0067】
ステップS140では、制御装置202は、有用性があると判定した送信先へ情報を提供することに対して、ユーザの同意が取れているか否かを判定する。このとき、有用性があると判定した送信先が複数ある場合には、全ての送信先について、同意の有無を確認する。その後、ステップS150へ進む。
【0068】
ステップS150では、制御装置202は、ステップS140で確認した結果に基づいて、ユーザの同意が得られている送信先の送信先端末300へ、上述したユーザの健康状態に関する情報を送信する。その後、ステップS160へ進む。
【0069】
ステップS160では、制御装置202は、ステップS140で確認した結果に基づいて、ユーザの同意が得られていない送信先があるか否かを判断する。ステップS160で否定判断した場合は、処理を終了する。これに対して、ステップS160で肯定判断した場合には、ステップS170へ進む。
【0070】
ステップS170では、制御装置202は、ユーザにその送信先へ情報を提供することに対する追加同意を得るために、ユーザ端末100へ追加同意を取り付けるための追加同意確認メッセージを送信する。その後、ステップS180へ進む。
【0071】
ステップS180では、制御装置202は、ユーザ端末100から追加同意結果を受信した結果、上述した追加同意が得られたことを示す情報を受信した送信先の送信先端末300へ、上述したユーザの健康状態に関する情報を送信する。その後、処理を終了する。
【0072】
図7は、本実施の形態における送信先端末300で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示す処理は、上述したように、情報提供装置200からユーザの健康状態に関する情報を受信すると起動するプログラムとして、制御装置303によって実行される。
【0073】
ステップS200において、制御装置303は、情報提供装置200から受信したユーザの健康状態に関する情報を記憶媒体304へ記録する。その後、ステップS210へ進む。
【0074】
ステップS210では、制御装置303は、情報提供装置200から受信したユーザの健康状態に関する情報を表示装置305へ表示する。その後、処理を終了する。
【0075】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)ユーザ端末100の制御装置105は、ユーザのバイタルデータを取得し、取得したバイタルデータを含んだ解析用情報を情報提供装置200へ送信するようにした。情報提供装置200では、制御装置202は、ユーザ端末から受信した解析用情報に基づいて、ユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定し、緊急性の判定結果を加味して、ユーザの健康状態に関する情報を送信先へ送信することの有用性の有無を送信先ごとに判定し、有用性があると判定した送信先に対して、ユーザが自身の健康状態に関する情報を送信することに同意しているか否かを判定し、同意があると判定した送信先に対してユーザの健康状態に関する情報を送信するようにした。これによって、ユーザが情報送信に同意している場合には、ユーザの健康状態に関する情報を送信することに有用性が認められる送信先に宛てて、ユーザの健康状態に関する情報を提供することができる。
【0076】
(2)情報提供装置200では、制御装置202は、ユーザからの同意が得られていない送信先に対して、ユーザの健康状態に関する情報を送信することの同意をユーザに要求し、この要求に応じてユーザの同意が得られた場合には、ユーザの同意が得られた送信先へ、ユーザの健康状態に関する情報を送信するようにした。これによって、事前にユーザの同意が得られていない送信先に対しても、ユーザからの追加同意を得て、ユーザの健康状態に関する情報を提供することができる。
【0077】
(3)情報提供装置200では、制御装置202は、ユーザのバイタルデータと、ユーザの位置情報、ユーザの加速度情報、ユーザの個人情報とを用いて緊急性を判定するためのスコアリングを行い、スコアリング結果に基づいてユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定するようにした。これによって、ユーザのバイタルデータ、位置情報、加速度情報、個人情報に基づいて、ユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定することができる。
【0078】
(4)情報提供装置200では、制御装置202は、緊急性判定処理による判定結果、ユーザの個人情報、ユーザの位置情報を用いて有用性を判定するためのスコアリングを行い、スコアリング結果に基づいてユーザの健康状態に関する情報を送信先へ送信することの有用性の有無を判定するようにした。これによって、緊急性判定処理による判定結果、ユーザの個人情報、加速度情報に基づいて、ユーザの健康状態に関する情報を送信先へ送信することの有用性の有無を判定することができる。
【0079】
(5)ユーザ端末200では、制御装置105は、ユーザに装着されたバイタルデータ計測端末からバイタルデータを受信することにより、バイタルデータを取得するようにした。これによって、既存のバイタルデータを取得する機能を備える端末を利用して、ユーザのバイタルデータを取得することができる。
【0080】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の情報提供システムは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、ユーザ端末200では、ユーザが装着したウェアラブル端末からバイタルデータを受信することにより、ユーザのバイタルデータを取得する例について説明した。しかしながら、医療知識を持つ人物がユーザのバイタルデータを計測し、タッチパネル101上でユーザのバイタルデータを入力するようにしてもよい。この場合、制御装置101は、タッチパネル101上で入力を受け付けたバイタルデータを解析用情報に含めて情報提供装置200へ送信すればよい。
【0081】
(2)上述した実施の形態では、情報提供装置200で実行される緊急性判定処理では、バイタルデータのうち、ユーザの血圧値に基づいて、ユーザが脳内出血や心筋梗塞などを発症しているか否かを判定することにより、ユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定する場合について説明した。このために、上述した実施の形態における緊急性判定処理では、血圧値やユーザの既往歴に脳内出血と心筋梗塞があるかといった判定項目を用いて緊急性を示す指標値のスコアリングを行った。しかしながら、血圧値以外のバイタルデータを用いて、脳内出血や心筋梗塞以外の症状を検出するようにしてもよい。この場合は、想定する病気や症状に応じた判定項目を用いて、緊急性を示す指標値のスコアリングを行えばよい。
【0082】
(3)上述した実施の形態では、情報提供装置200で実行される有用性判定処理では、ユーザの健康状態に関する情報の送信先として、消防などの行政、病院などの医療機関、保険会社などの民間企業を想定し、それぞれの送信先に合った判定項目を用いてスコアリング処理を行う例について説明した。すなわち、送信先が消防などの行政である場合や病院などの医療機関である場合には、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報にバイタル情報が含まれているか否か、ユーザに緊急を要する症状が発生しているか否か、ユーザの現在位置が情報送信先の管轄内であるか否かといった判定項目を対象としてスコアリング処理を行う例について説明した。また、送信先が保険会社などの民間企業である場合には、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報にバイタル情報が含まれているか否か、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報にバイタル情報以外の医療情報が含まれているか否か、記憶媒体203に記録されているユーザに関する情報に活動・契約情報が含まれているか否か、ユーザに緊急を要する症状が発生しているか否か、ユーザに関する情報に活動・契約情報に基づいて、ユーザが送信先のサービスに対する契約者であるか否かといった判定項目を対象としてスコアリング処理を行う例について説明した。しかしながら、有用性の判定処理に用いる判定項目は上記の例に限定されず、それぞれの送信先に合った判定項目が適宜設定され、各判定項目ごとに所定のスコア値を加算または減算するようにしてもよい。
【0083】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
情報提供システム10は、ユーザのバイタルデータを取得するバイタルデータ取得手段と、バイタルデータ取得手段によって取得されたバイタルデータに基づいて、ユーザに緊急を要する症状が発生したか否かを判定する緊急性判定手段と、緊急性判定手段による判定結果を加味して、ユーザの健康状態に関する情報を送信先へ送信することの有用性の有無を、送信先ごとに判定する有用性判定手段と、有用性判定手段によって有用性があると判定された送信先に対して、ユーザが自身の健康状態に関する情報を送信することに同意しているか否かを判定する同意有無判定手段と、同意有無判定手段によって同意があると判定された送信先に対してユーザの健康状態に関する情報を送信する情報送信手段とを備える。