(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属部材は、上面が開口し底面部と側面部とを有する本体と、前記上面の開口を閉塞する上面部とにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサケース構造。
前記樹脂部材には、少なくとも前記上面部に形成され、前記センサ部を前記底面部側に付勢する付勢部材を含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のセンサケース構造。
前記制御手段は、前記受信手段が災害情報を受信したときに、加熱運転を継続するか否かを選択させる報知を前記報知手段にて行い、加熱運転を継続する入力があった場合には加熱運転を継続し、加熱運転を停止する入力があった場合には加熱運転を停止することを特徴とする請求項14に記載の加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る加熱調理器について、図面を用いて説明する。
なお、以下で説明する構成や制御内容等は、一例であり、本発明に係る加熱調理器は、そのような構成や制御内容等に限定されない。
また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
また、重複又は類似する説明については、適宜簡略化又は省略している。
【0011】
以下の実施の形態1及び2では、加熱調理器の一例として誘導加熱調理器について説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の上面図である。
誘導加熱調理器100は、本体1と、本体1の上面に配置され、耐熱ガラスで形成されたトッププレート2とを有し、トッププレート2の上に載置される鍋10やフライパン等の被加熱物を、本体1の内部に設けられた誘導加熱手段により加熱する。本実施の形態1では、トッププレート2の左側手前、右側手前、及び中央側奥に、それぞれ加熱口6が設けられている。なお、以降の説明では、被加熱物のことを「鍋10」と称する場合がある。
【0012】
本体1の上面には、加熱条件や加熱指示の入力操作を受け付ける操作部3が、各加熱口6に対応して配置されている。使用者がトッププレート2上に被加熱物である鍋10やフライパンを載置し、各加熱口6に対応した操作部3に設けられた操作キーに操作入力を行うと、操作入力にしたがって誘導加熱手段により被加熱物が加熱される。加熱の進行状況や調理モードなどの設定に関する情報は、トッププレート2の上面に各加熱口6に対応して配置された液晶等を有する表示部4に表示され、加熱の火力は火力表示部5に表示される。
【0013】
本体1の後方には、本体1内を冷却するための風を取り込む吸気口9a、9b(以下、吸気口9と総称する場合がある)と、本体1内の空気を排気する排気口8が設けている。本体1内に設けられた図示しない送風手段が動作すると、外部の空気が冷却風として吸気口9から本体1内に流入し、当該冷却風が本体内部の図示しない基板、素子、誘導加熱手段である加熱コイル14、トッププレート2の下面等を冷却する。本体1の内部を冷却した後の冷却風は、排気口8から外部へと排出される。
【0014】
トッププレート2の加熱口6に対応する部分には、鍋10を載置する箇所を示す例えば円形の表示が印刷等によって設けられており、使用者は鍋10を載置すべき場所がわかるようになっている。
【0015】
本体1内において加熱口6の下側には、加熱手段である加熱コイル14が設けられている。なお、
図1では、加熱コイル14の配置を破線にて図示している。加熱コイル14に高周波電流を流すことでトッププレート2上に載置された鍋10に渦電流が発生し、この発生する渦電流と鍋10自身の抵抗により鍋底自身が発熱するので、鍋底を直接加熱する加熱効率の良い調理を実現できる。なお、誘導加熱調理器100の加熱口6の加熱手段として電気ヒータ等の他の加熱手段を設けてもよい。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の主要部の構成と機能を説明するブロック図である。
図2では、一つの加熱口6に対応する構成のみ図示しており、また、被加熱物としての鍋10も併せて図示している。
トッププレート2に設けられた加熱口6の下部には、加熱コイル14が配置されている。本実施の形態1では、加熱コイル14は、略環状の内側加熱コイル14aと、その外側に設けられた略環状の外側加熱コイル14bとを備えた二重環形状である。内側加熱コイル14aと外側加熱コイル14bとの間には略環状の隙間が設けられており、この隙間を、隙間15と称する。加熱コイル14は、加熱コイル14を収容する加熱コイル支持部16により、トッププレート2の下面との間に所定距離をおいて保持されている。
【0017】
内側加熱コイル14aと外側加熱コイル14bとの隙間15であって、加熱コイル14の上面よりも下方には、赤外線を検出すると検出した赤外線量に応じた出力を行う赤外線センサ12が設けられている。赤外線センサ12からの出力は、本体1に具備された赤外線温度検知部24に入力される。赤外線温度検知部24は、赤外線センサ12からの出力に基づいて、温度を算出する。より具体的には、記憶部21には、赤外線センサ12の出力量と、その出力量及び所定の放射率に基づいて算出された温度データとが対応付けられた温度換算表が、予め記憶されており、赤外線温度検知部24は、赤外線センサ12からの出力を受けるとこの温度換算表を参照して、温度を算出する。
【0018】
赤外線センサ12は、加熱コイル14の近傍を流れる冷却風が直接当たらないように、周囲をセンサケース200で覆われている。赤外線センサ12の周囲の雰囲気温度が一様となるように、赤外線センサ12はセンサケース200に空間距離を保ちながら保持されている。センサケース200は、加熱コイル支持部16にタッピングネジなどで止められる、あるいは加熱コイル支持部16と一部が一体で形成されるなどしており、トッププレート2と赤外線センサ12との間の距離が一定に保たれている。
【0019】
本実施の形態1では、トッププレート2を透過する鍋10の赤外線を検出するため、赤外線センサ12の上面部の透過窓部7には塗装13がないことが望ましい。しかしながら、透過窓部7に塗装を施さないと、トッププレート2の上面から内部の加熱コイル14や配線などが見えてしまう場合があり、意匠上望ましくない。このため、透過窓部7に塗装13を施さない場合には、加熱コイル14を保持する加熱コイル支持部16やセンサケース200に、トッププレート2の方向に向かって筒や板を設けるようにすればよく、このようにすることで加熱コイル14や配線などを外部から見えにくくすることができる。また、透過窓部7の全面を塗装13で覆うのではなく、透過窓部7に対して塗装13をドット状やストライプ状に施して塗装されていない開口部の割合を管理するようにしてもよく、このようにすることで意匠性と機能性とを担保することが可能となる。
【0020】
また、トッププレート2の下面には、サーミスタ等の接触式の温度検知手段である接触式温度センサ17が2つ設けられている(
図2には一つの接触式温度センサ17のみ図示している)。2つの接触式温度センサ17は、加熱コイル14の中心部を基準に180度ずらした位置にそれぞれ設けられている。接触式温度センサ17は、トッププレート2の下面に密着するように設けられており、トッププレート2の下面の温度に応じた信号を出力する。接触式温度センサ17の出力信号は、本体1に具備されたトッププレート温度検知部25に入力される。トッププレート温度検知部25は、接触式温度センサ17からの信号に基づいて、トッププレート2の温度を検知する。本実施の形態1では、接触式温度センサ17とトッププレート温度検知部25とにより、本発明のトッププレート温度検知手段を構成している。なお、トッププレート2の温度をより正確に時間の遅れが少なく検出可能な手段であれば、サーミスタ等の接触式温度センサ17に限らず任意のものをトッププレート温度検知手段として採用することができる。
【0021】
なお、本実施の形態1では、接触式温度センサ17を内側加熱コイル14aと外側加熱コイル14bとの隙間15に設ける構成としたが、接触式温度センサ17の配置はこれに限定されない。例えば、接触式温度センサ17を、外側加熱コイル14bの外周近傍に配置してもよいし、加熱コイル14の中心に配置してもよい。また、接触式温度センサ17の数は2個に限定されることはなく、1個又は2個以上であってもよい。
【0022】
接触式温度センサ17の出力は、赤外線センサ12により検出された赤外線量に基づいて鍋10の温度を算出する際に用いられる。このため、より精度よく鍋10の温度を検出するために、接触式温度センサ17は、赤外線センサ12の近傍に設置されるのが望ましい。
なお、トッププレート2のどのような位置に被加熱物である鍋10が載置されるかは不定であり、また鍋10の形状も不定であるため、より広い範囲の温度を検出し、かつ低コストで実現することを優先させて、接触式温度センサ17と赤外線センサ12とを離して配置しても構わない。
【0023】
接触式温度センサ17は、設置数が少ないと、トッププレート2に載置される被加熱物の位置や形状の違いによって、取得温度にばらつきが生じ得る。このため、複数設けられた接触式温度センサ17の検出値の平均値や、複数の接触式温度センサ17のうち最も高い温度を出力したものの検出値を、鍋10の温度検出に用いるようにしてもよい。このようにすることで、接触式温度センサ17の設置数が少ない場合でも、ばらつきに強い温度検出が可能となる。
【0024】
本体1に設けられている記憶部21には、操作部3にて設定した情報や、赤外線温度検知部24、トッププレート温度検知部25からの出力が入力されて記憶される。
演算部22は、例えばマイコン等で構成され、鍋10の温度を算出する各種演算処理を行う。
【0025】
制御部23は、操作部3の設定内容と、赤外線センサ12及び接触式温度センサ17が検出した物理的情報に基づいて、赤外線センサ12の検出温度からトッププレート温度の影響分を差し引いて鍋10の温度を推定し、高周波インバータ26を制御して加熱コイル14に流れる高周波電流を調整する。このようにすることで、被加熱物の加熱制御を行う。
【0026】
次に、誘導加熱調理器100の操作部3及び火力表示部5の構成について説明する。
図3は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の左側の加熱コイルに対応して設けられた操作部及び火力表示部を説明する図である。誘導加熱調理器100の左側、右側、及び中央に設けられた加熱コイル14にそれぞれ対応する操作部3及び火力表示部5は、すべて同様の構成であるので、ここでは、左側の加熱コイル14に対応して設けられた操作部3及び火力表示部5を例に説明する。
【0027】
操作部3は、被加熱物を加熱する火力を設定するための火力設定キー31と、調理メニューを設定するためのメニューキー32とを備える。
火力設定キー31は、「弱火」キー、「中火」キー、「強火」キー、及び「3kW」キーで構成されており、使用者は、これらのキーを用いて4段階の火力のいずれかを設定することができるようになっている。火力に応じて個別にキーを設けることで、使用者は、必要な火力の設定を一回の操作で入力できるようになっている。
【0028】
メニューキー32は、「揚げ物」キー、「予熱」キー、「煮込み」キー、及び「タイマー」キーを備える。これらのキーが押下されると、各メニューに対して予め設定され記憶部21に記憶された制御シーケンスにしたがって、制御部23が加熱制御を行う。
【0029】
火力表示部5は、火力設定キー31で入力された火力や、メニューキー32で設定されたメニューに基づいて火力を複数段階に表示するものであり、火力に応じて表示態様が切り替わる。火力表示部5の表示により、動作中であることを使用者に示すことが可能である。火力表示部5は、例えば複数のLEDを有し、これらLEDの点灯状態(点灯、消灯、点滅等)を切り替える、あるいは点灯色を切り替えることにより、火力を表現する。このようにすることで、使用者が直感的に分かりやすい報知を行うことができる。
【0030】
なお、
図3には図示しないが、液晶画面等で構成された表示部4(
図1参照)には、例えば「予熱中」や「適温到達」等の火力や経過状況、設定されているメニューの内容等に関する情報が表示される。
【0031】
このような構成の誘導加熱調理器100において、例えば揚げ物調理を行う場合には、まず使用者は鍋10内に揚げ物を行うための油を入れ、鍋10をトッププレート2の加熱口6に載置する。次に使用者が、操作部3にて加熱開始のための操作入力を行うと、制御部23は、操作部3からの信号と鍋10の推定温度とに基づいて加熱コイル14に高周波電流を流し、予め設定され記憶部21に記憶された制御シーケンスにしたがって加熱調理を行う。
【0032】
ここで、赤外線センサ12とセンサケース200の構成例を説明する。
図4は、実施の形態1に係るセンサケースの長手方向の縦断面図である。
図5は、実施の形態1に係るセンサケースの短手方向の縦断面図である。
図6は、実施の形態1に係るセンサケースの上部水平方向(A−A)断面図である。
図7は、実施の形態1に係るセンサケースの下部水平方向(B−B)断面図である。
図8は、実施の形態1に係るセンサケースの斜視図である。
図9は、実施の形態1に係るセンサケースの金属部材の展開図である。
図10は、実施の形態1に係るセンサケースの上面部の説明図(下面図及び側面図)である。
【0033】
赤外線センサ12は、例えばサーモパイルセンサのような赤外線領域に対して広い波長に感度を有するものを用いる。
図4、
図5に示す赤外線センサ12の本体は、凸形状の集光レンズ121を上面に備え、内部にサーモパイルチップ(図示しない)及び自己温度検出サーミスタ(図示しない)を封入した例えば円筒形状の封入部材122をプリント基板123上に載置してパッケージ化したものである。集光レンズ121を凸形状とすることで、赤外線センサ12の視野範囲12aを絞り、外乱光の影響を抑制している。なお封入部材122の形状は円筒形状に限定されない。
【0034】
集光レンズ121の基材としては、シリコンを用いることができる。シリコンは、赤外線領域において透過率が約50〜60%と波長依存性が小さく、また、赤外線領域での光の透過以外は反射率が大きく熱吸収率が小さいため、温度上昇しにくい。また、熱拡散性が高いことから、集光レンズ121が赤外線を吸収し温度上昇したとしても、熱拡散することで、赤外線量の検知に影響を与えにくい。
【0035】
このように、集光レンズ121の基材としてシリコン基材を用いることで、トッププレート2の近傍に設けられるような使用環境においても、赤外線センサ12の集光レンズ121の温度が上昇することによる赤外線量の検知への影響が生じにくい。なお、集光レンズ121の基材は、シリコンに限定されず、同様の透過特性や熱拡散性を有する材料であればそれを採用することができる。また、赤外線センサ12の具体的構成は
図4に例示したものに限定されない。
【0036】
次に、赤外線センサ12を覆うセンサケース200について
図4〜
図10を用いて説明する。
センサケース200は、加熱コイル14からの電磁ノイズの影響を防ぐための金属部材と、赤外線センサ12を適所に保持するための樹脂部材とを用いて構成されている。
金属部材と樹脂部材は、接合され一体成形品となっている。
金属部材としては、例えば、板状のアルミニウム、銅、ステンレス、鉄などを採用することができるが、耐磁気性能を考慮し非磁性金属であるアルミニウムや銅を使用することが望ましい。尚、金属部材は板状以外のものであってもよく、例えば、金属を立体形状に加工したものを使用することも可能である。
樹脂部材としては、例えば耐熱性能の高いポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)や、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等を用いることができる。
【0037】
金属部材と樹脂部材を接合するには、様々な工法があるが例えば、金属部材の表面を溶剤に浸漬し、または化学エッチングを行って金属部材の表面が凹凸形状となる表面処理を行い、この金属表面に直接樹脂を射出成形や押し出し成形を行って金属部材と樹脂部材とを接合し一体成形品を構成することが可能である。
溶剤は、例えば金属部材が銅であれば亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を使用し、金属部材がアルミニウムであればアンモニア、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、水溶性アミン系化合物から選択される1種以上の水溶液を使用することができる。または機械加工を行うことで金属部材の表面が凹凸形状となる表面処理を行ってもよい。
また、金属部材と樹脂部材とを接着剤を用いて接合し一体成形品とすることも可能である。
【0038】
金属部材で構成されたセンサケース200の形状は中空の略直方体形状であり、矩形形状の側面部201と、底面部202と、上面部203と、により構成されている。
4枚の側面部201と底面部202は、
図9に示す展開図のように1枚の板状の金属部材から構成されており、これを折り曲げることで
図8に示す直方体の箱形形状を形成する。センサケース200の対向する側面部201には、側面開口201aが開口している。
また、上面部203には、
図10に示すように一対の上面開口203bと赤外線センサ12の視野範囲12aに対応した位置に円形の視野開口203aが設けられている。
【0039】
次に、センサケース200を構成する金属部材に接合される樹脂部材について説明する。
図4〜
図10に示すハッチング部分は樹脂部材を示している。
センサケース200の側面開口201aには、センサケース200を取り付けるための取付片301が側面開口201aを貫通して形成される。
取付片301は、直方体形状であり、ねじタッピングを挿通するための開口部301aが開口している。
【0040】
センサケース200の底面部202の上面周囲には、
図7に示すようにプリント基板123を載置する基板支持部材302が配置されている。基板支持部材302は、断面がL字形状となっており、
図4や
図5に示すようにその段差部分にプリント基板123の周囲が載置されるように側面部201に接して設置される。このようにプリント基板123を部分的に載置することで、プリント基板123の下面と底面部202との間に間隙を設け、センサケース200の金属部材とプリント基板123の裏面とが接触することを防止し絶縁距離を確保している。
実施の形態1に係るセンサケース200では、底面部202の周囲の4辺に4つ配置されているがこの形状に限定されるわけではなく、底面部202の4つの角部に配置してもよいし、プリント基板123が動かないように支持できれば4つ以上を小さい形状で分散配置等してもよい。
【0041】
センサケース200の側面部201同士を接合する4本の辺には、三角柱形状の接合部材303がセンサケース200の内部側から取り付けられている。本実施の形態1では、接合部材303を三角柱形状としたが、2面を接合できれば例えば直方体形状等を採用することも可能である。
【0042】
センサケース200の対向する側面部201の上部には、上面部203の上面開口203bに挿入され側面部201と上面部203とを係合する一対の係合爪部材304が形成されている。係合爪部材304は、
図4に示すように上端側に略三角錐形状の爪部304aを備えており、長方形の上面開口203bに挿入され弾性変形後、形状が復旧することで爪部304aが上面部203に引っ掛かり、側面部201と上面部203とを係合する。なお、爪部304aは三角錐形状としたが、上面部203と係合する形状であればこの形状に限定されない。
【0043】
底面部202には、プリント基板123に開口した位置決め孔123aに挿入される位置決め突起部305が2つ形成されている。位置決め突起部305は、プリント基板123の下面に当接する円形の載置面と、載置面の中央に立設され位置決め孔123aに挿入される挿入部とで断面凸形状となっている。なお、位置決め突起部305は円柱形状に限定されず、載置面と挿入部が形成されていれば、直方体形状等を採用することができる。また、個数についても2つに限定されない。
【0044】
上面部203には、プリント基板123の上面に当接し、プリント基板123を下方に付勢する円筒形状の付勢部材306が4本形成されている。この付勢部材306は、センサケース200の上面部203を側面部201に係合した際にプリント基板123を押さえる長さに設定されている。なお、付勢部材306は、円柱形状に限定されず、また、本数も4本に限定されない。
【0045】
このようにセンサケース200を金属部材と樹脂部材との一体成形品とすることで、金属による防磁性能と、樹脂による成形の自由度や成形精度の高さを両立することができる。すなわち、赤外線センサ12に対する加熱コイル14からの電磁波の影響を抑えるとともに金属製による放熱性や強度に優れたセンサケース200を得ることができる。また、樹脂を金属部材の表面に対して部分的に接合して使用することで、赤外線センサ12を正確な位置に位置決めすることが可能となる。そして、一体成形によるセンサケース200の小型化を図ることができるとともに、高価な高耐熱樹脂の使用量を減少させることができるため、センサケース200のコストを削減することができる。さらに、金属部材に対して樹脂部材を介して赤外線センサ12のプリント基板123を支持するため絶縁距離を確保することができる。
【0046】
また、センサケース200は、表面が反射率の高い金属部材であるため、トッププレート2からの輻射熱を反射させ、赤外線センサ12への輻射熱の影響を抑制する。さらに、視野開口203a以外にセンサケース200には開口が無いため、冷却風が赤外線センサ12の周囲を吹き抜けることがない。
【0047】
よって、簡単な構造で、赤外線センサ12に対する電磁波の影響、輻射熱の影響、及び冷却風の影響を抑えることができるため、誘導加熱調理器100内の様々なノイズに対して耐性の高い赤外線センサ12を提供することができる。
【0048】
なお、実施の形態1では、赤外線センサ12(サーモパイル式)を収納するセンサケース200を例として説明したが、このセンサケース200を外乱光の影響を受けるフォトダイオード式による赤外線センサに適用し、外乱光を遮蔽することができる。
さらに、例えばセンサケース200を発振子が高温となる超音波距離センサやドップラー式距離センサに適用し、放熱性能を高めることができる。また、磁気式距離センサに採用することで、磁界の影響を遮断することが可能となり、また、光(レーザー)式センサに採用することで、外乱光の遮断性や放熱性を確保することが可能となる。
【0049】
次に、トッププレート2の分光透過特性について説明する。
図11は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレートの分光透過特性を示すグラフである。
図11のグラフは、厚さ約4mmの耐熱性の高い結晶化ガラスで構成されたトッププレート2の透過率τを一例として示している。
また、
図12は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレートの分光透過特性と各温度での分光放射輝度曲線との関係を示すグラフである。
図12では、鍋の温度が150℃、200℃、250℃である場合の分光放射輝度曲線とトッププレート2の透過率τとを示している。
【0050】
図11からわかるようにトッププレート2における透過率の高い波長帯域は、0.6μm〜2.6μmであり、次に、3.2μm〜4.2μmとなっている。また、
図12を参照すると、鍋10の温度が150℃、200℃、250℃の分光放射輝度曲線は、2.0μm付近から増加している。したがって、透過率(%)と分光放射輝度との積で求められる鍋10底から赤外線センサ12に到達する赤外線エネルギー量の値は、3.2μm〜4.2μmの波長帯域で大きくなり、鍋底の温度を検出するためには、この波長帯域の赤外線を検知する必要がある。この3.2μm〜4.2μmの波長帯域を検出することによって、トッププレート2による減衰の影響を受けにくい鍋底の温度が140℃以上の温度域を正確に測定することが可能となる。
【0051】
赤外線センサ12は、鍋底から放射される赤外線エネルギーと、トッププレート2が熱伝導により加熱されることによってトッププレート2の下面から放射される赤外線エネルギーとを検出することとなる。
トッププレート2から放射される赤外線エネルギーは、トッププレート2の透過率が低い領域である4.5μmよりも長い波長帯域において高い割合で放射される。ガラスの放射率εは一般的に0.84〜0.9程度であり、高い放射率を有している。
図13は、黒体の分光放射輝度曲線を温度毎に示したグラフである。
誘導加熱調理器100にて加熱される調理物(鍋10)の温度は湯沸しから揚げ物までの概ね230℃よりも低い温度帯が使用される。
【0052】
図13によれば、250℃までの分光放射輝度は、波長帯域として20μm程度まで検出されている。
このため、トッププレート2から放射される赤外線エネルギー量は、赤外線センサ12で本来検出したい3.2μm〜4.2μmの波長帯域に対してノイズとして高い影響を与える。
このような長い波長帯域までセンサケース200の金属部材の反射率を高めることで、トッププレート2が発する波長の長い輻射に対して、赤外線センサ12は耐性を有することとなる。
よって、金属部材は、特に0.1μm〜20μmの赤外線の領域に対して高い反射率を有するように表面処理を行うことが望ましい。表面処理は、メッキ加工や表面研磨等にて行い、反射率を調整することが可能である。
【0053】
センサケース200の金属部材の放射特性は、キルヒホッフの法則[放射率(ε)+透過率(τ)+反射率(ρ)=1]により示される。金属表面など熱が透過しない物体では透過率(τ)=0となり、放射率(ε)=1−反射率(ρ)となる。すなわち、反射率(ρ)が大きくなれば放射率(ε)は小さくなる。
よって、センサケース200の金属部材の両面の反射率を高くすることでトッププレート2からの輻射を金属部材の外面で反射させるとともに、金属部材の内面からの2次輻射を抑制することが可能である。
このように金属部材の両面の反射率を高くすることがトッププレート2からの輻射に対して耐性上望ましいが、上面と下面のどちらか一方の反射率を高くしてもセンサケース200や赤外線センサ12への輻射熱の放射を抑制する一定の効果がある。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態2に係る誘導加熱調理器は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成を備え、さらに、宅内の電力システムや情報機器コントローラとの連携を図ることで、災害時の不測の事態に備え、加熱調理の再開もしくは停止を選択し得る制御を備えたものである。
誘導加熱調理器100が備えた無線通信受信機等を宅内に設けられた電力システム(エネルギーマネージメントシステム)や、インターネットと接続し、災害情報を取得する制御システムを構築している。
【0055】
図14は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の電力システムを示す構成図である。
実施の形態2に係る誘導加熱調理器の電源は、系統電源(商用電源)400と系統電源400とは別の外部電源(蓄電池)410とを住宅内に引き込んで構成されている。この外部電源410はリチウムイオン蓄電池等に充電された直流電源を住宅内で使用可能な交流電源に変換して住宅内に供給するものである。
【0056】
切替分電盤420は住宅内の各コンセント(図示せず)に供給する交流電源を系統電源400と外部電源410から選択するように機能する。宅内コントローラ430は、例えば無線等で誘導加熱調理器100等の機器(図示せず)と通信を行い、住宅内のエネルギーマネジメントを行うものである。
【0057】
図15は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の地震対応時のフローチャートである。
実施の形態2に係る誘導加熱調理器は、例えば電力システム(エネルギーマネージメントシステム)やインターネット上の各地の地震情報等が受信している。地震情報には、誘導加熱調理器の使用場所での震度や、地震の到達時間などが含まれている。
そこで、一例として、揚げ物自動調理機能などの高温となる調理を行っている場合に、災害情報の一つの地震情報を受信した場合の動作を以下に示す。
【0058】
はじめに、ステップS1にて使用者が操作部3のメニューキー32の「揚げ物」キーを押下し、ステップS2にて制御部23が予め設定され記憶部21に記憶された制御シーケンスにしたがった設定温度(例えば揚げ物の場合140℃〜200℃程度である)となるよう加熱運転を開始する。
ステップS3にて、制御部23は、温度センサ情報(Ttp=赤外線温度検知部24の出力温度、Tth=トッププレート温度検知部25の出力温度)を読み込む。
ステップS4に進み、Ttp、Tthの出力値を用いて鍋温度推定値(Tobj)を演算する。
ステップS5では、演算した鍋温度推定値(Tobj)が目標温度となるように予熱制御を行う。
ステップS6では、本体1内に搭載の受信機が宅内コントローラ430より地震情報を受信し、地震情報の有無を確認する。
【0059】
ステップS6にて、地震情報が無い場合には、通常揚げ物制御フローとなり、ステップS7に進む。
ステップS7では、鍋温度推定値(Tobj)が第1目標温度に到達したか否かを判断する。到達した場合にはステップS8に進み、予熱制御を終了し、ステップS9にて鍋温度推定値(Tobj)が第1目標温度に維持されるよう温度維持制御へ移行する。また、到達していない場合には、ステップS6に戻る。
ステップS10では、通常揚げ物調理制御を行い、記憶部21に記憶された制御シーケンスにしたがって、制御部23が加熱制御を行う。
そして、ステップS11では、調理開始から加熱最大利用可能時間(例えば45分を設定)が経過したか否かを判断し、経過した場合にはステップS12に進み、揚げ物機能による加熱調理を終了する。経過していない場合は、ステップS9に戻る。
【0060】
次に、ステップS6にて地震情報があった場合を説明する。
ステップS6にて地震情報があるとステップS21に進み、地震告知モードとなる。 制御部23は、音声や表示部4への表示等で地震情報が入っていることを使用者に報知する。
ステップS22にて、鍋温度推定値(Tobj)が第1目標温度に到達しているか否かを確認する。到達している場合にはステップS23に進み、加熱を停止するか否かを使用者に音声や表示部4への表示等で確認する。使用者が加熱停止を指示した場合、もしくは入力なしの場合にはステップS12に進み、強制的に加熱を停止する。但し、入力なしの場合には所定時間経過後、加熱停止前に再報知をしてもよい。この地震情報による加熱運転の停止中は、例えば表示部4にその旨の表示を行う。
ステップS23にて、使用者が加熱続行を指示した場合にはステップS24に進み、鍋温度推定値(Tobj)が第1目標温度に維持されるよう温度維持制御を行い、ステップS25に進んで通常揚げ物調理制御を行う。
【0061】
ステップS22にて、鍋温度推定値(Tobj)が第1目標温度に到達していない場合にはステップS31に進み、第1目標温度よりも低い第2目標温度に目標温度を下げて予熱制御を行う。第2目標温度は、例えば100℃程度とし、再加熱時に時間をかけず第1目標温度に復帰できるような温度に設定する。
ステップS32では、加熱を停止するか否かを使用者に音声や表示部4への表示等で確認する。使用者が加熱停止を指示した場合、もしくは入力なしの場合にはステップS12に進み、強制的に加熱を停止する。但し、入力なしの場合には所定時間経過後、加熱停止前に再報知をしてもよい。この地震情報による加熱運転の停止中は、例えば表示部4にその旨の表示を行う。
【0062】
ステップS32にて、使用者が加熱続行を指示した場合にはステップS33に進み、鍋温度推定値(Tobj)が第2目標温度に維持されるよう予熱制御を継続する。
ステップS34にて、鍋温度推定値(Tobj)が第2目標温度に到達しているか否かを確認する。到達していなければステップS32に戻り、到達していればステップS35に進んで使用者に音声または表示部4への表示にて通常揚げ物調理制御に戻すか否かを確認する。通常揚げ物調理制御に戻さない入力があった場合にはステップS32に戻り、通常揚げ物調理制御に戻す入力があった場合には、ステップS36に進んで通常揚げ物調理制御を行う。
【0063】
なお、上記地震対応フロー時に制御部23が地震情報により地震の予測無しの確定報告を受信した場合には、その旨の報知を音声もしくは表示部4に表示した後に通常加熱制御に戻す制御を行う。
また、ステップS22にて、鍋温度推定値(Tobj)が第1目標温度に到達していない場合にはステップS31に進み、第1目標温度よりも低い第2目標温度に目標温度を下げて予熱制御を行っているが、例えば地震の規模を地震情報から判断して大きい震度であれば予熱制御の目標温度を低下させる制御を採用してもよい。
【0064】
以上、誘導加熱調理器の地震対応制御を行う時には、被加熱物の検出温度が正確であることが重要であり、誘導加熱調理器100内でのノイズに対して赤外線センサ12の耐性を高くすることが必要である。実施の形態2に係る誘導加熱調理器では、実施の形態1に係る赤外線センサ12のセンサケース200の構成を採用したことで赤外線の測定精度が向上し、例えば揚げ物自動調理制御などのように被加熱物が140℃以上の高温域にて加熱を行う際の災害時に不測の事態に備えた制御を行い、使用者の保護と利便性とを提供することが可能となる。
なお、実施の形態2では、一例として揚げ物自動調理機能による加熱運転を行う場合を説明したが、この機能に限定されることはなく、様々な加熱運転制御中に災害情報を受信した場合の加熱調理器の対応として適用することが可能である。
【0065】
以上、実施の形態1、2について説明したが、本発明は各実施の形態の説明に限定されない。例えば、各実施の形態の全て又は一部を組み合わせることも可能である。