(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0012】
<本発明に係る電子クーポンシステム10のシステム構成>
図1は、本発明に係る電子クーポンシステム10のシステム構成図である。
電子クーポンシステム10は、管理サーバ100と、管理サーバ100と通信可能な複数のユーザ端末300と、を含む。
管理サーバ100と各ユーザ端末300とは、通信ネットワーク200を介して通信可能である。
【0013】
ユーザ端末300とは、電子クーポンシステム10を利用可能なコンピュータ端末の総称であり、そのコンピュータ端末のユーザに与えられている処理権限に応じて発行端末310、社員端末320、一般端末330に大別される。
ここで「電子クーポンシステム10を利用可能なコンピュータ端末」とは、後述するアカウント登録部130に登録されているコンピュータ端末に限定されてもよいし、アカウント登録部130に未登録のコンピュータ端末を更に含めてもよい。アカウント登録部130に未登録のコンピュータ端末でも電子クーポンシステム10を利用可能にするメリットとしては、未登録のコンピュータ端末にも電子クーポンを配布して利用してもらうことにより電子クーポンの拡散性を高め、販促効果の向上を図ることが可能である点が挙げられる。なお、未登録のコンピュータ端末でも電子クーポンシステム10を利用可能にする場合、該コンピュータ端末に与える処理権限は登録済みのコンピュータ端末に与える処理権限より制限されること(例えば、所有できる電子クーポンの費消予算が少額である、電子クーポンを他のコンピュータ端末に譲渡できない、インセンティブを受けられない等)が好ましい。
【0014】
図1や後述する図面において図示される各ユーザ端末300は、コンピュータ端末を模した絵柄の横に人間を模した絵柄を描き、横に描いた絵柄の種別によって発行端末310、社員端末320及び一般端末330を区別する。
なお、本実施形態の説明において「ユーザ端末」「発行端末」「社員端末」又は「一般端末」と称する場合には、該当するコンピュータ端末自体を意味することに限定されず、そのコンピュータ端末を使用するユーザ及びそのユーザが登録したアカウントをも包含する意味合いを持ちうる。例えば、「ユーザ端末が所有する電子クーポン」とは、該当するコンピュータ端末を使用するユーザのアカウントに対して割り当てられている電子クーポンを意味する。
【0015】
発行端末310は、電子クーポンシステム10上で新たな電子クーポンを発行する権限(以下、発行権限と称する)が与えられているユーザ端末300である。
例えば、発行端末310としては、或る販促活動を行う店舗や企業等(その企業において販促活動の予算権限が与えられている部署を含む)が使用するコンピュータ端末が想定される。
【0016】
社員端末320は、発行権限が与えられていないユーザ端末300のうち、或る販促活動を行う店舗や企業等に所属しているユーザが使用するものをいう。
例えば、社員端末320としては、該販促活動を行う店舗や企業等に所属している店員や社員が使用するコンピュータ端末が想定される。
【0017】
一般端末330は、発行権限が与えられていないユーザ端末300のうち、或る販促活動を行う店舗や企業等に所属していないユーザが使用するものをいう。
例えば、一般端末330としては、広告等を通じて電子クーポンシステム10(管理サーバ100)にアクセスすることによって電子クーポンを取得する一般ユーザが使用するコンピュータ端末が想定される。
【0018】
なお、たとえ一台のユーザ端末であっても、該ユーザ端末が発行端末、社員端末及び一般端末のうちいずれに該当するかは画一的に定まるものではなく、状況に応じて変化しうる。
例えば、或るユーザ端末にログインする際に使用するアカウントが、発行権限を与えられているものであれば該ユーザ端末は発行端末として扱いうるし、発行権限を与えられていないものであれば該ユーザ端末は社員端末又は一般端末として扱いうる。
また、或る販促活動においては発行端末又は社員端末であるユーザ端末が、例えば別の企業が展開する販促活動においては一般端末として扱われる場合もある。
更に、或る販促活動において社員端末であったユーザ端末が、該販促活動の期間内に発行権限が与えられて発行端末に変更されたり、該販促活動の期間内に所属を解かれて一般端末に変更されたりする場合もある。
【0019】
管理サーバ100は、電子クーポンシステム10の基幹となる情報処理装置であり、通信ネットワーク200を介して受け付けた各ユーザ端末300からの要求に応じて種々の情報処理を行う。
本実施形態に係る管理サーバ100は、データベース110と、電子クーポン発行部120と、アカウント登録部130と、所有管理部140と、費消設定部150と、経験値管理部160と、を備える。
なお、
図1においては、管理サーバ100を単独構成であるかのように図示しているが、管理サーバ100は単一の装置によって実現されてもよいし、複数の装置によって実現されてもよい。また、
図1に図示する管理サーバ100に含まれる構成要素は、本発明の説明に必要なものを便宜的に例示したに過ぎず、他の構成要素が付加されてもよいし、本発明の目的を損なわない範囲で図示した構成要素の一部が省かれてもよい。
【0020】
電子クーポン発行部120は、発行端末310からの要求に応じて電子クーポンを発行する機能を有している。
【0021】
アカウント登録部130は、ユーザ端末300(発行端末310、社員端末320、一般端末330)を登録する機能を有している。また、アカウント登録部130は、各ユーザ端末300に与えている処理権限を管理する機能を有している。
【0022】
所有管理部140は、電子クーポン発行部120によって発行された電子クーポンをユーザ端末300のいずれかに対して所有させる機能を有している。また、所有管理部140は、電子クーポンを所有しているユーザ端末300からの要求に基づいて、該電子クーポンを他のユーザ端末300に譲渡させる機能を有している。
【0023】
費消設定部150は、電子クーポンを利用した取引における費消予算を該電子クーポンに対して設定する機能を有している。ここで費消予算とは、その電子クーポンを利用した取引が成約した場合に費消される金額である。例えば、電子クーポンを利用する恩恵が商品やサービスの割引であるならば、その割引額が費消予算である。また、電子クーポンを利用する恩恵がノベルティであるならば、そのノベルティの調達に要したコストに相当する金額が費消予算である。或いは、電子クーポンを利用する恩恵が特定のサービスを無料で受けることであるならば、販促活動以外の期間(通常の営業期間)でその特定のサービスを受けるのに要する金額が費消予算である。
費消設定部150に係る処理は、発行端末310から電子クーポンの発行が要求される場合に行われる他、所定の処理権限が与えられた社員端末320や一般端末330からの要求に応じても行われる。
【0024】
経験値管理部160は、電子クーポンを利用した取引が成約した場合については、該電子クーポンが譲渡されたものであるか否か(未譲渡のものであるか)に関わらず、該電子クーポンを利用したユーザ端末300に対して、費消予算に基づいて定められる経験値を付与する機能を有する。また、経験値管理部160は、譲渡された電子クーポンを利用した取引が成約した場合に、該電子クーポンを譲渡したユーザ端末300に対して、費消予算に基づいて定められる経験値を付与する機能を有する。
ここで経験値とは、電子クーポンシステム10において各ユーザ端末300に付与されるインセンティブ(特典)であって、電子クーポンの利用や譲渡を繰り返すことによって蓄積されるポイント(定量的に示される値)である。また、経験値の累積が所定値を超えることによって、そのユーザ端末のレベルが上がるインセンティブがあってもよい。また、ここで「費消予算に基づいて定められる経験値」とは、経験値を定める条件が費消予算のみであることに制限されず、費消予算に加えて他の条件に基づいて経験値を定めてもよい(例えば特定の電子クーポンに対して他の電子クーポンより高い経験値を定める、貢献度の高いユーザ端末に対して他のユーザ端末より高い経験値を定める等)。
本実施形態において、ユーザ端末300に付与されている経験値が増える(レベルアップする)ほど、該ユーザ端末300に対して所有可能な電子クーポンの数が増えたり、又は該ユーザ端末300に管理サーバ100が与える処理権限の種類が増えたりする。これにより、各ユーザ端末300を使用するユーザは、ゲーム感覚で電子クーポンを利用したり譲渡したりすることができ、その結果として電子クーポンを拡散させるモチベーションが向上する。
【0025】
データベース110は、電子クーポン発行部120、アカウント登録部130、所有管理部140、費消設定部150及び経験値管理部160によって処理された情報を蓄積する。例えば、電子クーポン発行部120によって発行された電子クーポンの識別情報(クーポンID)及び属性情報、アカウント登録部130によって登録されたユーザ端末300の識別情報(アカウントID)及び属性情報、所有管理部140によって管理されている電子クーポンの所有者や譲渡履歴等がデータベース110に蓄積される。なお、費消設定部150によって電子クーポンに設定される費消予算は該電子クーポンに係る属性情報の一部であり、経験値管理部160によってユーザ端末に付与された経験値は該ユーザ端末に係る属性情報の一部である。
なお、データベース110の構造の詳細については、後に述べる。
【0026】
通信ネットワーク200は、例えばインターネット、携帯電話通信網、LAN(Local Area Network)またはこれらの複数が組み合わされたコンピュータネットワーク等が挙げられる。なお、通信ネットワーク200と管理サーバ100、又は通信ネットワーク200と各ユーザ端末300の間における通信は有線であっても無線であってもよい。
【0027】
<電子クーポンシステム10を活用した販促活動の具体例について>
上述した電子クーポンシステム10を活用した販促活動の具体例について、販促予算が50万円として与えられている場合を想定して説明する。
図2は、或る販促活動における電子クーポンの流れについて示した流れ図である。
【0028】
或る販促活動に係る発行権限が与えられている発行端末310は、50万円分の費消予算を要する電子クーポンの発行要求が入力されることに応じて、その発行要求を管理サーバ100(電子クーポン発行部120)に通知する。ここで発行端末310を使用するユーザとしては、その販促活動を推進する部署の責任者等が想定される。
【0029】
発行端末310は、電子クーポンの発行要求を入力する際に、その発行要求に基づいて発行する電子クーポンに設定可能な費消予算の上限を設定することをユーザに促し、設定された費消予算の上限を管理サーバ100(費消設定部150)に通知することが好ましい。なぜならば、上述したように、本実施形態における電子クーポンシステム10では、発行端末310からの要求に限らず、所定の処理権限が与えられた社員端末320や一般端末330からの要求に応じても費消予算が設定されるため、設定可能な費消予算の上限を定めなくては、販促予算内で発行される電子クーポンの発行数が限定的になって十分な販促効果が得られないこと、又は過度に高い費消予算(例えば商品の販売価格を超える費消予算)が設定されて電子クーポンが利用される現場(店舗等)が混乱すること等が懸念されるからである。
本実施形態では、販促活動の計画上において、発行端末310に費消予算の上限が1万円として設定され、少なくとも50枚の電子クーポンが配布されることを想定したものとする。
【0030】
発行端末310は、電子クーポンの発行要求を入力する際に、その発行要求に基づいて発行する電子クーポンに係る経験値の付与条件を設定することをユーザに促し、設定された経験値の付与条件を管理サーバ100(経験値管理部160)に通知することが好ましい。なぜならば、本実施形態の電子クーポンシステム10において、経験値を付与されることがユーザに対するインセンティブであって、電子クーポンの配布に関するユーザのモチベーションを向上させる観点から重大な要素であるため、発行権限を持たないユーザ端末300(社員端末320や一般端末330)からの要求によって任意に経験値の付与条件が変更されると販促効果を十分に得られない虞があるからである。
本実施形態では、発行端末310は、4通りのクーポンパターンと、各々に対して異なる経験値と、を要求したものとする。ここで4通りのクーポンパターンとは、具体的には以下の通りである。
(i)上限である1万円を費消予算として設定した電子クーポンを利用した取引が成約した場合に経験値を10ポイント付与する。
(ii)5千円を費消予算として設定した電子クーポンを利用した取引が成約した場合に経験値を20ポイント付与する。
(iii)1千円を費消予算として設定した電子クーポンを利用した取引が成約した場合に経験値を100ポイント付与する。
(iv)零円を費消予算として設定した電子クーポン、即ち利用しても取引上は何も金銭面では恩恵を受けられない電子クーポンを利用した取引が成約した場合に経験値を1000ポイント付与する。
【0031】
上述した経験値の付与条件は、本発明の実施に係る一具体例であって、本発明の実施はこれに限られない。しかしながら、電子クーポンを利用した取引が成約した場合に付与される経験値は、該電子クーポンに設定された費消予算が少ないほど増えることが望ましい。なぜならば、電子クーポンに設定された費消予算が少ないほど、該電子クーポンを利用した取引において得られる利益が大きく、販促活動を計画した店舗や企業等にとって好ましい状況になるからである。また、電子クーポンに設定された費消予算が少ないほど、該電子クーポンを利用する者にとっては金銭面だけ鑑みれば不利であるため、該電子クーポンを譲渡して利用させるのは困難であり、その困難性を超えて他のユーザに利用させたユーザに対してより優れたインセンティブを与えるためである。
但し、電子クーポンに設定された費消予算が少ないほど、付与される経験値が増えるといっても、或る販促活動を全体として見た場合にその傾向性が認められれば足り、部分的には例外もありうる。例えば、付与される経験値について特定の電子クーポンが優遇される場合、仮に該電子クーポンに設定されている費消予算が少額であったとしても該電子クーポンの利用時に付与される経験値が、より多額の費消予算が設定されている他の電子クーポンの利用時に付与される経験値より高くなってもよい。
【0032】
管理サーバ100(電子クーポン発行部120と費消設定部150と経験値管理部160)は、発行端末310から受け付けた上記の発行要求に基づいて50枚の電子クーポンを発行し、費消予算の上限と経験値の付与条件を各々の電子クーポンに設定した上でデータベース110に格納する。
【0033】
続いて、その販促活動において発行権限を有さない第1の社員端末321が、自機に与えられている権限(例えば、費消予算10万円)の範囲内で管理サーバ100に格納されている電子クーポンを取得したものとする。ここで社員端末321を使用するユーザとしては、例えばその販促活動を推進する部署に所属する社員等が想定される。
なお、社員端末321によって行われる電子クーポンの取得は、発行端末310からの要求によって指定されることを条件として実行されてもよいし(プッシュ型)、社員端末321が自ら要求することを条件として実行されてもよい(プル型)。
また、社員端末321によって行われる電子クーポンの取得は、電子クーポンの譲渡として処理されてもよいし、電子クーポンの譲渡として処理されなくてもよい。「電子クーポンの譲渡」として処理される場合には、その処理を契機として該電子クーポンに係る譲渡可能回数が減算されることが好ましい。
【0034】
続いて、社員端末321が第1の一般端末331に1万円分の費消予算が設定された電子クーポンを譲渡する場合について説明する。ここで一般端末331を使用するユーザとしては、社員端末321のユーザの社外の友人等が想定される。
図3は、社員端末321から一般端末331に電子クーポンを譲渡する場合に、社員端末321に表示される表示画面の具体例を示す図である。
まず、社員端末321は譲渡したい電子クーポンを読み出す(
図3(a)参照)。このとき、社員端末321には、電子クーポンの詳細内容として、電子クーポンの名称、電子クーポンの内容に関連する画像、電子クーポンの利用条件(例えば、販売価格から1万円割引等)、キャンペーン期間、電子クーポンの有効期限、電子クーポンに係る譲渡可能回数が表示される。また、社員端末321には、電子クーポンを分割する権限(以下、分割権限と称する)、電子クーポンを利用する権限(以下、利用権限と称する)、電子クーポンを譲渡する権限(以下、譲渡権限と称する)が与えられており、表示画面には各処理に係る操作アイコンが表示される。なお、本実施形態においてキャンペーンとは、販促活動と同義とする。
次に、社員端末321のユーザが譲渡に係る操作アイコンをタッチすると、譲渡経路を指定する画面が
図3(a)に示した表示画面に重畳して表示される(
図3(b)参照)。本実施形態における譲渡経路には、専用のアプリケーションソフトを用いる経路及びウェブを経由する経路の2通りが存在する。専用のアプリケーションソフトを用いる場合には、そのアプリケーションソフトをインストールする必要があり、インストール時にはアカウント登録が要求されるため、そのアプリケーションソフトをインストールしたコンピュータ端末はアカウント登録部130に登録される。一方で、ウェブを経由する場合には、専用のアプリケーションソフトを必要としないため、アカウント登録の必要がなく、未登録のコンピュータ端末であっても電子クーポンを受け取ることができる。
ここで、社員端末321のユーザが専用のアプリケーションソフトを用いて一般端末331に電子クーポンを譲渡することを選択したものとする。この場合、社員端末321には、該電子クーポンに係る識別情報や属性情報を含むQRコード(登録商標)を表示する(
図3(c)参照)。このQRコードを一般端末331に読み取らせることによって、社員端末321から一般端末331への譲渡処理が実行される。社員端末321から一般端末331への譲渡処理が実行された場合、管理サーバ100(所有管理部140)は、データベース110に格納されている対象の電子クーポンの属性情報を変更して、該電子クーポンの所有者を社員端末321から一般端末331に変更すると共に、該電子クーポンの譲渡可能回数を1減算する。
【0035】
仮に、社員端末321のユーザがウェブを経由して電子クーポンを譲渡することを選択した場合、電子メール機能によって所定のアクセス先を指定するアドレスを、社員端末321から一般端末331に伝送し、一般端末331がそのアドレスによって指定される所定のアクセス先を参照することによって、社員端末321から一般端末331への譲渡処理が実行されてもよい。
【0036】
続いて、一般端末331が、譲渡された1万円分の費消予算が設定された電子クーポンを分割する場合について説明する。
図4は、一般端末331が電子クーポンを分割する場合に、一般端末331に表示される表示画面の具体例を示す図である。
まず、一般端末331は分割したい電子クーポンを読み出す(
図4(a)参照)。このとき、一般端末331には、電子クーポンの詳細内容が表示される。また、一般端末331には、分割権限、利用権限及び譲渡権限が与えられており、表示画面には各処理に係る操作アイコンが表示される。
次に、一般端末331のユーザが分割に係る操作アイコンをタッチすると、分割パターンを指定する画面が
図4(a)に示した表示画面に重畳して表示される(
図4(b)参照)。分割パターンは、発行端末310によって設定されたクーポンパターンによって定められるものであり、本実施形態においては分割を要しないクーポンパターン(費消予算が上限に設定されるパターン)を除いた3通りのクーポンパターンを反映された表示がなされる。なお、
図4(b)において「紹介クーポン(割引無し)」と表示されている分割パターンは、零円を費消予算として設定した電子クーポンに係るクーポンパターンを反映した表示である。
ここで、一般端末331のユーザが「1000円クーポン(10分割)」の分割パターンを選択したものとする。この場合、管理サーバ100(費消設定部150)は、データベース110に格納されている対象の電子クーポンの属性情報を変更して、該電子クーポンに設定されている費消予算を1万円から1千円に変更する。即ち、管理サーバ100は、電子クーポンを所有している一般端末331からの要求に基づいて費消予算を設定する場合、該電子クーポンに対して予め定められている複数通りの分割パターンのいずれかから選択的に費消予算を設定しうる。更に、一般端末331には、分割した後の電子クーポンに係る詳細内容が表示される(
図4(c)参照)。
【0037】
仮に、一般端末331のユーザが「紹介クーポン(割引無し)」の分割パターンを選択した場合、管理サーバ100(電子クーポン発行部120と所有管理部140と費消設定部150)は、対象の電子クーポンとは別に、費消予算が零である新たな電子クーポンを発行して一般端末331に所有させてもよい。この場合に発行される新たな電子クーポンの属性情報は、対象の電子クーポンから分割されたものであることを、ユーザが認識可能な程度に共通している(例えば、電子クーポンの名称、キャンペーン期間、電子クーポンの有効期限又は電子クーポンに係る譲渡可能回数のうち少なくとも一つが同じである)ことが好ましい。
【0038】
なお、
図4(b)には図示しないが、一般端末331に分割パターンを表示する場合に、その分割パターンで設定される費消予算の電子クーポンを利用した取引が成約した場合に得られる経験値を併せて表示してもよい。
【0039】
続いて、一般端末331が分割して得られた1千円の電子クーポンを第2の一般端末332に譲渡したものとする。ここで一般端末332を使用するユーザとしては、一般端末331のユーザの友人等が想定される。
この譲渡については、一般端末331に表示される利用条件(費消予算)が異なる以外は、社員端末321から一般端末331に電子クーポンを譲渡する処理と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
続いて、一般端末332が、譲渡された1千円分の費消予算が設定された電子クーポンを利用し、第2の社員端末322がその利用を処理する場合について説明する。ここで社員端末322を使用するユーザとしては、その電子クーポンを利用した取引が可能な店舗で働いている店員等が想定される。
図5は、一般端末332が電子クーポンを利用する場合に、一般端末332に表示される表示画面の具体例を示す図である。
図6は、一般端末332に提示された電子クーポンを社員端末322が処理する場合に、社員端末322に表示される表示画面の具体例を示す図である。
まず、一般端末332は利用したい電子クーポンを読み出す(
図5(a)参照)。このとき、一般端末332には、電子クーポンの詳細内容が表示される。また、一般端末332には、利用権限及び譲渡権限が与えられており、表示画面には各処理に係る操作アイコンが表示される。
次に、一般端末331のユーザが利用に係る操作アイコンをタッチすると、一般端末332には、利用する電子クーポンに係る識別情報や属性情報を含むQRコードが表示される(
図5(b)参照)。
一方で、社員端末322は、ユーザの操作に応じてQRコードの読取機能を起動し、且つ社員端末322に付設されているカメラ(図示せず)によって一般端末332に表示されているQRコードを撮影することによって、該QRコードを読み取ることができる(
図6(a)参照)。
このようにして読み取ったQRコードに基づいて、社員端末322はデータベース110から対象の電子クーポンを読み出して表示することができる(
図6(b)参照)。この場合、社員端末322には、該電子クーポンの詳細内容と共に、利用済みにするための操作アイコンが表示され、ユーザが該操作アイコンをタッチすると、社員端末322から管理サーバ100に該電子クーポンを利用した取引が成約した旨が通知される。
この通知を受け付けた管理サーバ100(所有管理部140と経験値管理部160)は、データベース110に格納されている対象の電子クーポンの属性情報を変更して、該電子クーポンの所有者を該電子クーポンの利用者に変更すると共に、該電子クーポンを譲渡した一般端末331と利用した社員端末322に1千円の費消予算に応じた経験値(100ポイント)を付与し、該電子クーポンの分割前の電子クーポンを譲渡した社員端末321に1万円の費消予算に応じた経験値(10ポイント)を付与する。
【0041】
以上のような流れで、本実施形態に係る電子クーポンシステム10は、発行した電子クーポンを多数のユーザ端末300に拡散させることができる。
また、電子クーポンの拡散に伴って、管理サーバ100(経験値管理部160)は、各ユーザ端末300にインセンティブとして経験値を付与するため、電子クーポンの拡散に関する動機付けを各ユーザに与えることができ、販促効果を高めることができる。
【0042】
<電子クーポンの譲渡経路の可視化について>
電子クーポンシステム10を活用した販促活動の効果を解析するにあたって、又はその解析結果に基づいて新たな販促活動を立案するにあたって、電子クーポンの譲渡経路及び電子クーポンを譲渡したユーザの活動量を観察することが重要である。
しかしながら、電子クーポンが広く拡散されるほど、又は電子クーポンシステム10を活用した販促活動が増加するほど、電子クーポンの譲渡経路は複雑化して容易に観察できるものではなくなる。
【0043】
図7は、A企業及びB企業が別々に電子クーポンシステム10を活用して販促活動を展開した場合における電子クーポンの譲渡経路を示す図である。
なお、
図7において「クーポンA」と表記される電子クーポンはA企業が展開する販促活動に関するものであり、「クーポンB」と表記される電子クーポンはB企業が展開する販促活動に関するものである。
また、
図7において、クーポンAに関する流れを示す矢印と、クーポンBに関する流れを示す矢印と、はアローヘッドの形態を変えて表記する。
【0044】
A企業が展開する販促活動において、その販促活動の電子クーポンに係る発行権限を有する発行端末311は、予算の範囲内でクーポンAを発行し、A企業の社員が使用する社員端末323及び社員端末324に発行したクーポンAを分配して割り当てる。
この場合において、A企業内には、社外の一般端末333にクーポンAを譲渡する社員端末324も存在すれば、社内でクーポンAを譲渡する社員端末323も存在する。
また、A企業内には、発行されたクーポンAが分配されず、専らクーポンAが利用された取引において、利用されたクーポンAを利用済みとして処理する社員端末325も存在する。
更には、A企業内には、A企業の社員であるが、クーポンBの譲渡を受けている社員端末324も存在する。
このように同じ企業内の社内端末でありながら、社員端末323、社員端末324及び社員端末325は、A企業の販促活動に対する関わり方が異なる。
【0045】
B企業が展開する販促活動において、その販促活動の電子クーポンに係る発行権限を有する発行端末312は、予算の範囲内でクーポンBを発行し、B企業の社員が使用する社員端末326に発行したクーポンBを一括で割り当てる。
この場合において、社員端末326は、自らクーポンBを利用して、社員端末327に利用済みとして処理してもらう場合がある。
また、社員端末326は、社外の一般端末334に対してクーポンBを譲渡し、一般端末334を介してクーポンBを所有した一般端末337や一般端末339にクーポンBを利用してもらい、社員端末327に利用済みとして処理してもらう場合がある。なお、一般端末337と一般端末339とでは、クーポンBを所有するまでに行われた譲渡回数が異なる。
このように同じ社員端末326を起点として拡散されたクーポンBであるにも関わらず、利用されるまでの経路は多様である。
【0046】
A企業及びB企業に所属しない一般端末(一般端末333、一般端末334、一般端末335、一般端末336、一般端末337、一般端末338及び一般端末339)についても十人十色である。
例えば、クーポンAのみを所有する一般端末335及び一般端末338、クーポンBのみを所有する一般端末334、一般端末337及び一般端末339、クーポンAとクーポンBの双方を所有する一般端末333及び一般端末336がそれぞれ存在する。
また、所有しても利用しない一般端末333、一般端末334及び一般端末336が存在すれば、利用するのみで譲渡しない一般端末335、一般端末337、一般端末338及び一般端末339が存在する。
【0047】
図7に示すように複雑化しがちな電子クーポンの譲渡経路を、直感的に観察可能に可視化するため、本発明者は、
図8から
図11を用いて説明する特徴を有するデータベース110を構築し、各ユーザ端末300がデータベース110を参照して電子クーポンの譲渡経路を表示することによって、上記の目的を達成する電子クーポンシステム10を完成させた。
図8から
図11は、データベース110の構造概念を示す模式図である。なお、
図8から
図11に図示されるユーザ端末301及びユーザ端末302はそれぞれ或るユーザ端末に係るノードを表しており、電子クーポン401及び電子クーポン402は或る電子クーポンに係るノードを表している。ここでユーザ端末301及びユーザ端末302は、発行端末に係るノードであってもよいし、社員端末に係るノードであってもよいし、一般端末に係るノードであってもよい。
【0048】
データベース110は、電子クーポン発行部120によって発行された電子クーポン及びアカウント登録部130によって登録されたユーザ端末の各々をノードとして記憶し、これらのノード間における相互の関係性(リレーション)によってデータベースを構築している。
ここでノード(node)とは、データベース110において各リレーションで結ばれる要素(頂点)である。なお、本実施形態におけるノードはデータベースの分野で用いられる「vertex」と同義と扱ってもよいし、本実施形態におけるリレーションは該分野で用いられる「edge」と同義と扱ってもよい。
【0049】
電子クーポン401に係るノードには、電子クーポン401を識別するクーポンIDと、電子クーポン401に係る属性情報と、が付加されている。ここで電子クーポンに係る属性情報には、電子クーポンの譲渡や利用に必要な情報や電子クーポンの詳細内容をユーザ端末に表示させるために必要な情報等が含まれうる。より具体的には、電子クーポンに係る属性情報に含まれうる情報として、発行日、発行者のアカウントID、発行元の企業ID、電子クーポンのジャンル、有効期間、有効期限、利用の可否、利用条件(費消予算を含む)、譲渡可能回数、経験値の付与条件等が挙げられる。ここで「電子クーポンのジャンル」には、その電子クーポンを利用した取引の種別(例えばグルメ、ファッション等)、その電子クーポンが利用できる店舗等の属性(例えば地域名や業務形態等)又はその電子クーポンを利用した取引の価格帯のうち少なくとも一つが含まれてもよい。
【0050】
ユーザ端末301又はユーザ端末302に係るノードには、ユーザ端末301又はユーザ端末302を識別するアカウントIDと、ユーザ端末301又はユーザ端末302に係る属性情報と、が付加されている。ここでユーザ端末に係る属性情報には、経験値の管理に必要な情報やユーザ端末に係るアカウントの詳細内容をユーザ端末に表示させるために必要な情報等が含まれうる。より具体的には、ユーザ端末に係る属性情報に含まれうる情報として、ユーザ端末に係るアカウント情報(ユーザ名、性別、生年月日、職業、連絡先、住所等)、そのユーザが得ている経験値の累計、そのユーザが到達しているレベル等が挙げられる。
【0051】
図8に示すように、データベース110は、ユーザ端末301に電子クーポン401に所有させる場合、所有していることを表す所有リレーションR1を、ユーザ端末301に係るノードを起点として電子クーポン401に係るノードを終点として記憶する。
【0052】
図9に示すように、データベース110は、電子クーポン401の所有をユーザ端末301からユーザ端末302に変更する場合、所有リレーションR1の起点をユーザ端末301に係るノードからユーザ端末302に係るノードに変更して記憶し、且つ譲渡したことを表す譲渡リレーションR2を、ユーザ端末301に係るノードを起点としてユーザ端末302に係るノードを終点として記憶する。
この時点において、譲渡リレーションR2に付加される属性情報には、譲渡リレーションR2が張られた時に実行された譲渡処理の状況を表す情報や譲渡された電子クーポンの現状を表す情報等が含まれうる。より具体的には、譲渡リレーションに係る属性情報に含まれうる情報として、譲渡された電子クーポンのジャンル、該電子クーポンを発行した企業名、譲渡時における電子クーポンに設定された費消予算、該費消予算に応じて付与された経験値が零である旨、譲渡された電子クーポンは未利用である旨、譲渡された位置等が挙げられる。
なお、譲渡リレーションに係る属性情報に含まれうる「譲渡時における電子クーポンに設定された費消予算」は、該譲渡リレーションがデータベース110に記憶された後に変更することがない情報であるのに対して、電子クーポンに係る属性情報に含まれうる「利用条件(費消予算を含む)」は該電子クーポンがデータベース110に記憶された後であっても分割処理によって変更されうる情報である点において相違する。
【0053】
図10に示すように、データベース110は、ユーザ端末302が所有している電子クーポン401と2分割して電子クーポン402を新たに所有する場合、所有リレーションR3を、ユーザ端末302に係るノードを起点として電子クーポン402に係るノードを終点として記憶する。
この場合、電子クーポン401の属性情報に係る費消予算は、分割前の半額に変更される。電子クーポン402の属性情報に係る費消予算は、電子クーポン401の属性情報に係る分割後の費消予算と同額(分割前の費消予算の半額)が与えられる。
【0054】
図11に示すように、データベース110は、電子クーポン401を所有しているユーザ端末302が電子クーポン401を利用する場合、ユーザ端末302に係るノードを起点とし電子クーポン401に係るノードを終点とする所有リレーションR1を、ユーザ端末302に係るノードを起点とし電子クーポン401に係るノードを終点とする利用リレーションR4に変更して記憶する。
この時点において、譲渡リレーションR2に付加されている属性情報のうち「譲渡された電子クーポンは未利用である旨」が「譲渡された電子クーポンは利用済みである旨」に変更され、且つ「該費消予算に応じて付与された経験値が零である旨」が「該費消予算に応じて付与済みの経験値」に変更される。
また、この時点においてユーザ端末301及びユーザ端末302に係る属性情報である「そのユーザが得ている経験値の累計」に「該費消予算に応じて付与済みの経験値」が加算され、加算後の「該費消予算に応じて付与済みの経験値」が所定値を超えた場合には「そのユーザが到達しているレベル」が1加算される。
また、この時点において電子クーポン401に係る属性情報である「利用の可否」は肯定から否定に変更される。
【0055】
上記のように構築されるデータベース110を参照するので、ユーザ端末301やユーザ端末302は、自機に係るノード(第一ノード)を表示する際に、第一ノードを起点又は終点とする譲渡リレーションによって関連付けられているノード(第二ノード)を選択的に表示することができる。また、ユーザ端末301やユーザ端末302は、第二ノードと譲渡リレーションによって関連付けられているノード(第三ノード)についても選択的に表示することができる。
換言すれば、ユーザ端末301やユーザ端末302は、第一ノードと、第二ノードのうち少なくとも一部を表示することができ、更に第三ノードのうち少なくとも一部を表示してもよい。
ここで第二ノードは、第一ノードを基準として一つの譲渡リレーションを経由して関連付けられているノードと言い換えることができる。また、第三
ノードは、第一ノードを基準として二つの譲渡リレーションを経由して関連付けられているノードと言い換えることができる。
【0056】
図12は、
図7に図示した一般端末333に係るノードを第一ノードとして、一般端末333に表示される表示画面の具体例を示す図である。なお、
図12において自機(一般端末333)に係る第一ノードは円形で囲った強調表示によって目立つようにしている。
【0057】
一般端末333に係るノードを第一ノードとした場合、第二ノードは社員端末324、社員端末326、一般端末335及び一般端末336に係るノードであり、第三ノードは一般端末338及び一般端末339に係るノードであるため、一般端末333に表示されるノードは自機を含めて7つに間引かれる(
図12(a)参照)。
図12(a)に図示される譲渡経路と
図7に図示する譲渡経路とを比較すれば明らかであるように、自機を中心とする譲渡経路がより直接的に視認できる。
また、
図12(a)に示すように各ユーザ端末に係るノード間を繋げてライン表示しているが、このライン表示によって互いの関連性(譲渡リレーションで関連付けられていること)を表している。なお、一般端末333と社員端末326又は一般端末336を繋げるライン表示はより太く表示され、一般端末333と社員端末324を繋げるライン表示は更に太く表示されているが、この表示はこれらを関連付けている譲渡リレーションに付加された属性情報が示す費消予算に応じて変化するものであり、具体的には、費消予算が増えるほど太く表示される。即ち、ライン表示の太さによって、より多くの費消予算が設定された電子クーポンが授受される関係性を明らかにしている。
【0058】
また、一般端末333は、自機に係るノードと譲渡リレーションを経由している第二ノード又は第三ノードのうち、該譲渡リレーションに付加されている「譲渡された電子クーポンのジャンル」又は「該電子クーポンを発行した企業名」によって、自機に係るノードと共に表示させる第二ノード又は第三ノードを選択的に表示することができる。換言すれば、一般端末333は、第一ノードと第二ノードとを関連付けている譲渡リレーションに付加された属性情報が示す電子クーポンのジャンルや発行した企業名に基づいて、第一ノードと共に表示させる第二ノードを選択的に表示してもよい。
図12(b)は、B企業の企業名又はB企業の業務種別をキーとして、一般端末333に係るノードと共に表示させるノードを間引いた結果、社員端末324、一般端末336及び一般端末339が一般端末333に表示されたことを示している。
図12(b)に図示するように、一般端末333と社員端末324の間を繋ぐライン表示、及び一般端末333と一般端末336を繋ぐライン表示の太さが細くなっている。これは、これらを関係付けている譲渡リレーションに付加されている属性情報は、A企業(クーポンA)に係るものとB企業(クーポンB)に係るものが混在しており、A企業(クーポンA)に係るものが間引かれた結果として費消予算が減少したことに起因するものである。
【0059】
また、一般端末333は、自機に係るノードと譲渡リレーションを経由している第二ノード又は第三ノードのうち、第二ノード又は第三ノードに付与されている経験値やレベルの大小(特典の量)に基づいて、第二ノード又は第三ノードの表示態様を変化させることができる。例えば、一般端末333は、第二ノード又は第三ノードに付与されている経験値やレベルが増加するほど、第二ノード又は第三ノードの表示を大きくしてもよいし、又は第二ノード又は第三ノードの表示を強調して表示してもよい。
図12(c)は、
図12(a)の表示態様を、第二ノード又は第三ノードに付与されている経験値の量に基づいて変化させたものである。
図12(c)に示すように、表示されているユーザ端末のうち一般端末338に付与されている経験値が最大であるため、一般端末338が最も大きく表示されている。なお、
図12(c)では図示省略するが、各ユーザ端末の傍に、その時点で付与されている経験値やレベルを付記することによって、経験値の差異をより明確に表してもよい。
このように、自機と譲渡リレーションによって関連付けられているユーザ端末の中に有力なユーザ端末、即ち電子クーポンの拡散力があるユーザ端末が存在することを視覚的に認識することができる。このようなユーザ端末の存在を意識して、一般端末333は、一般端末338に譲渡実績のある一般端末336により多くの電子クーポンを譲渡する、又は一般端末336に一般端末338を仲介してもらって一般端末338に直接電子クーポンを譲渡できるように便宜を図る等の戦略を立てることができる。
【0060】
図13(a)は、
図7に図示した発行端末311に係るノードを第一ノードとして、発行端末311に表示される表示画面の具体例を示す図である。また、
図13(b)は、
図7に図示した発行端末312に係るノードを第一ノードとして、発行端末311に表示される表示画面の具体例を示す図である。
なお、
図12と同様に、
図13(a)及び
図13(b)において自機(発行端末311又は発行端末312)に係る第一ノードは円形で囲った強調表示によって目立つようにしている。また、
図13(a)及び
図13(b)に図示する例は、自機が発行した電子クーポンの譲渡経路を表示することを想定したもの、即ち
図13(a)はクーポンAの譲渡経路、
図13(b)はクーポンBの譲渡経路を表示することを想定したものである。
【0061】
図13(a)のような表示を実現するには、発行端末311の発行要求によって新たに電子クーポンを発行する際に、発行端末311に係るノードを起点とし該電子クーポンに係るノードを終点とする所有リレーションを与えること、即ち
図8で説明した処理と同等の処理を行うことを要する。
そして、社員端末323又は社員端末324が管理サーバ100から該電子クーポンを取得する際に、所有リレーションの起点を社員端末323又は社員端末324に係るノードに変更すると共に、発行端末311に係るノードを起点とし社員端末323又は社員端末324に係るノードを終点とする譲渡リレーションを与える、即ち
図9で説明した処理と同等の処理を行うことを要する。
ここで述べた処理は、
図13(b)の表示を実現する場合において、発行端末312に係るノードと社員端末326に係るノードに対して行う処理に関しても同様である。
【0062】
図13(a)の表示において、発行端末311に係るノードは第一ノードに該当し、社員端末323及び社員端末324に係るノードは第二ノード及び第三ノードのいずれにも該当し、一般端末333は第三ノードに該当する。更に、
図13(a)には、一般端末333に係るノードに一つ又は複数の譲渡リレーションを経由して関連付けられる、一般端末335、一般端末336及び一般端末338に係るノードが含まれる。
図13(b)の表示において、発行端末312に係るノードは第一ノードに該当し、社員端末326に係るノードは第二ノードに該当し、一般端末333及び一般端末334は第三ノードに該当する。更に、
図13(b)には、一般端末333又は一般端末334に係るノードに一つ又は複数の譲渡リレーションを経由して関連付けられる、社員端末324、一般端末335、一般端末336、一般端末339、一般端末334及び一般端末337に係るノードが含まれる。
このように、本発明の実施において第一ノードと共に表示されるのは、該第一ノードを基準として一つ又は二つの譲渡リレーションを経由して関連付けられているノード(第二ノード又は第三ノード)以外にも、三つ以上の譲渡リレーションを経由して関連付けられているノードが含まれてもよい。
【0063】
各発行端末が、
図13(a)又は
図13(b)の表示を行うことによって、自社が展開する販促活動の電子クーポンの拡散状況を視覚的に表すことができ、該販促活動の解析を容易に行うことができる。
なお、
図13(a)又は
図13(b)の表示は、自社の発行端末によって行われるに限られず、他社の発行端末によって行われてもよい。例えば、発行端末311が、発行端末312に係るノードを第一ノードに指定して、
図13(b)の表示を行ってもよい。又は、発行端末312が、発行端末311に係るノードを第一ノードに指定して、
図13(a)の表示を行ってもよい。或いは、例えば新規に電子クーポンシステム10を活用する別の企業の発行端末(図示せず)が、発行端末311又は発行端末312に係るードを第一ノードに指定して、
図13(a)又は
図13(b)の表示を行ってもよい。
このように、他社が展開する販促活動の電子クーポンの拡散状況を表示することによって、他社の販促活動や戦略等を推測したり、自社の販促活動に役立てたりすることができる。
【0064】
図14は、発行端末311及び発行端末312を第一ノードとして、いずれかの発行端末に表示される譲渡経路の表示例である。即ち、
図14の表示は、
図13(a)と
図13(b)の表示を合わせたものと換言できる。
発行端末311又は発行端末312が
図14の表示を行う場合、第一ノードは自機及び他機に係るノードと換言できる。或いは、新規に電子クーポンシステム10を活用する別の企業の発行端末(図示せず)が、
図14の表示を行う場合、第一ノードは複数の他機に係るノードと換言できる。
なお、
図14の表示を行う際に、発行端末は電子クーポンのジャンルに基づいて表示する譲渡経路を絞り込み、同じジャンル(同じ取引種別、同じ地域、同じ価格帯等)に属する同業他社の販促活動を解析できるようにしてもよい。
【0065】
発行端末が
図13や
図14のような表示を行う効果を総じて言えば、電子クーポンシステム10を活用することによって共通化された評価指標(例えば、経験値やレベル)に基づいて自社及び他社の過去の実績を解析し、販促予算をどのユーザ端末に投下すればメリットが大きいか、即ちより大きな販促効果を如何に生じさせるかを検討可能であるとも言える。
【0066】
<本発明に係る実施形態の変形例について>
本発明の実施は上述の具体例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0067】
上述の実施形態において、管理サーバ100(経験値管理部160)によって付与される経験値又は経験値に基づいて向上するレベルが電子クーポンシステム10におけるインセンティブ(特典)に該当し、経験値やレベルが増えることによって所有可能な電子クーポンの費消予算や与えられる処理権限が増える旨を述べたが、本発明の実施においてユーザ端末に付与される特典はこれに限られない。
例えば、付与される特典が現金や換金可能なポイントであってもよいし、現実の取引に利用できるポイントであってもよいし、譲渡又は利用された電子クーポンとは別の商品やサービスに係るクーポンであってもよい。
【0068】
上述の実施形態において、電子クーポンを利用した取引の成約を契機として付与される特典(経験値)は、該電子クーポンを利用したユーザ端末に対しても、該電子クーポンを譲渡したユーザ端末に対しても、同じ特典を付与するものとして説明したが、異なる特典を付与してもよい。
【0069】
上述の実施形態において、管理サーバは、電子クーポンを利用した取引が成約した場合に、該電子クーポンの譲渡に関わったユーザ端末(譲渡リレーションの起点又は終点になっているユーザ端末)に対して特典(経験値)を付与する態様を述べたが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、管理サーバは、電子クーポンを譲渡した場合に該電子クーポンの譲渡に関わったユーザ端末(譲渡側と受取側の双方)に特典を付与してもよいし、或いは電子クーポンを譲渡した場合及び電子クーポンを利用した取引が成約した場合の双方について該電子クーポンの譲渡に関わったユーザ端末に特典を付与してもよい。
【0070】
上述の実施形態において、管理サーバは、電子クーポンを所有しているユーザ端末からの要求に基づいて費消予算を設定する場合、該電子クーポンに対して予め定められている複数通りの分割パターンのいずれかから選択的に費消予算を設定しうる旨を述べたが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、管理サーバは、電子クーポンを所有している一般端末からの要求に基づいて費消予算を設定する場合、該一般端末において任意に入力された費消予算を該電子クーポンに対して設定してもよい。但し、該一般端末において入力可能な費消予算は、発行端末によって設定された費消予算の上限の範囲内に制限されることが望ましい。
【0071】
上述の実施形態において、電子クーポンを譲渡する処理や利用する処理にQRコードの読取を用いる態様を述べたが、この態様は実地(オフライン上)で一のユーザ端末と他のユーザ端末とが互いに対応している処理を実行することを契機としてオンライン上で処理を行う態様(いわゆる、O2O(Online to Offline))の一具体例であって、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、上述の実施形態におけるQRコードの読取を、QRコード以外の二次元コードや一次元コード(バーコード)の読取に代えてもよいし、一のユーザ端末と他のユーザ端末との間でBluetooth(登録商標)や赤外線通信等の近距離無線通信による伝送に代えてもよい。
【0072】
上述の実施形態において、データベース110に記憶される属性情報に含まれうる情報の具体的な内容を列挙したが、本発明の目的が達成される限りにおいて、列挙した情報の一部が省かれてもよいし、列挙していない情報が追加されてもよい。
【0073】
上述の実施形態において、電子クーポンの譲渡経路の表示について、一般端末を自機とする態様について説明したが、本発明の実施はこれに限られない。即ち、同様の表示方式を、発行端末を自機とする電子クーポンの譲渡経路の表示や、社員端末を自機とする電子クーポンの譲渡経路の表示に適用してもよい。
【0074】
上述の実施形態において、第一ノードに係るユーザ端末(
図12における一般端末333)は、第一ノードと第二ノードとを関連付けている譲渡リレーションに付加された属性情報が示す費消予算に基づいて、第一ノード及び第二ノードを表示する表示態様を変化させる一具体例として、費消予算に基づいて互いを繋ぐライン表示の太さを変化させる態様について説明したが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、第一ノードに係るユーザ端末は、第一ノードと第二ノードとを関連付けている譲渡リレーションに付加された属性情報が示す費消予算に基づいて、第一ノード及び第二ノードを繋ぐライン表示の色彩を変化させてもよいし、互いを結ぶライン表示や第二ノードに重畳するように相互の関係性が強いことを示すマーク(例えばハートマーク等)を表示させてもよい。
或いは、第一ノードに係るユーザ端末は、第一ノードと第二ノードとを表形式で表示し、第一ノードと第二ノードとを関連付けている譲渡リレーションに付加された属性情報が示す費消予算に基づいて第二ノードの表示順序をソートしてもよい。なお、この変形例を採用する場合、第一ノードに係るユーザ端末は、表示した内容を代表的な表計算ソフトにインポート可能な形式で出力してもよい。
【0075】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)管理サーバと、前記管理サーバと通信可能な複数のユーザ端末と、を含む電子クーポンシステムであって、前記管理サーバは、電子クーポンを発行する発行手段と、ユーザ端末を登録する登録手段と、前記発行手段によって発行された電子クーポン及び前記登録手段によって登録されたユーザ端末の各々をノードとして記憶しているデータベースと、を備え、前記データベースは、一のユーザ端末に一の電子クーポンに所有させる場合、所有していることを表す所有リレーションを、前記一のユーザ端末に係るノードを起点として前記一の電子クーポンに係るノードを終点として記憶し、前記一の電子クーポンの所有を前記一のユーザ端末から他のユーザ端末に変更する場合、前記所有リレーションの起点を前記一のユーザ端末に係るノードから前記他のユーザ端末に係るノードに変更して記憶し、且つ譲渡したことを表す譲渡リレーションを、前記一のユーザ端末に係るノードを起点として前記他のユーザ端末に係るノードを終点として記憶し、ユーザ端末は、前記データベースを参照して、自機又は他機に係る第一ノードと、前記第一ノードを起点又は終点とする前記譲渡リレーションによって前記第一ノードに関連付けられている第二ノードの少なくとも一部と、を表示することを特徴とする電子クーポンシステム。
(2)前記譲渡リレーションには、譲渡された電子クーポンに与えられている費消予算を示す情報を少なくとも含む属性情報が付加されており、ユーザ端末は、前記第一ノードと前記第二ノードとを関連付けている前記譲渡リレーションに付加された属性情報が示す費消予算に基づいて、前記第一ノード及び前記第二ノードを表示する表示態様を変化させる(1)に記載の電子クーポンシステム。
(3)ユーザ端末は、前記第一ノードと前記第二ノードとを繋げるライン表示によって互いの関連性を表し、前記第一ノードと前記第二ノードとを関連付けている前記譲渡リレーションに付加された属性情報が示す費消予算に応じて該ライン表示の表示態様を変化させる(2)に記載の電子クーポンシステム。
(4)前記譲渡リレーションには、譲渡された電子クーポンのジャンルを示す情報を少なくとも含む属性情報が付加されており、ユーザ端末は、前記第一ノードと前記第二ノードとを関連付けている前記譲渡リレーションに付加された属性情報が示す電子クーポンのジャンルに基づいて、前記第一ノードと共に表示させる前記第二ノードを選択的に表示する(1)から(3)のいずれか一つに記載の電子クーポンシステム。
(5)前記管理サーバは、電子クーポンを譲渡した場合又は電子クーポンを利用した取引が成約した場合のうち少なくとも一方において、該電子クーポンに係る前記譲渡リレーションの起点又は終点になっているユーザ端末に対して、定量的に示される特典を付与し、ユーザ端末は、前記第二ノードに付与されている前記特典の量に基づいて、前記第二ノードの表示態様を変化させる(1)から(4)のいずれか一つに記載の電子クーポンシステム。
(6)ユーザ端末は、前記データベースを参照して、前記第一ノードと前記第二ノードを表示すると共に、前記第二ノードと前記譲渡リレーションによって関連付けられている第三ノードの少なくとも一部も表示する(1)から(5)のいずれか一つに記載の電子クーポンシステム。
【解決手段】管理サーバと、管理サーバと通信可能な複数のユーザ端末と、を含む電子クーポンシステムであって、ユーザ端末(例えば一般端末333)は、管理サーバ上に構築されたデータベースを参照して、自機又は他機に係るノードと、当該ノードを起点又は終点とする譲渡リレーションによって関連付けられているノード(例えば社員端末324、326及び一般端末335、336、338及び339)の少なくとも一部と、を表示する。